講義ノートその2(ppt 11.6Mb

核磁気共鳴法とその固体物理学への応用
東大物性研: 瀧川 仁
[Ⅰ] 核磁気共鳴の基礎と超微細相互作用
[Ⅱ] NMRスペクトルを通してスピン・軌道・電荷・格子
の局所構造を探る (静的性質)
[Ⅲ] 核磁気緩和現象を通して電子(格子)のダイナミク
スを見る (動的性質)
[Ⅱ] NMRスペクトルを通してスピン・軌道・電荷・格子の
局所構造を探る (静的性質)
1.常磁性状態におけるNMRスペクトル
結晶の対称性とNMRスペクトル
例:SrCu2(BO3)2におけるホウ素サイトのNMRと圧力下相転移
不純物によって誘起される現象
2.磁気秩序状態におけるNMR
色々な秩序状態におけるNMRスペクトル
磁気構造についてNMRから何が言えるか (例:BaFe2As2)
強磁場下で出現する秩序相 (例:SrCu2(BO3)2における逐次磁化プラトー)
3.f電子系の多極子秩序とNMRスペクトル
NMRでどうして多極子が見えるか?
例:CeB6、PrFe4P12における多極子秩序
1.常磁性状態におけるNMRスペクトル
NMRスペクトル:
局所対称性(点群、point group)を反映。
原子核の位置から周りを眺める、という視点。
~
K , V
結晶中の点群対称性(サイトシンメトリー)
を反映。
空間群(space group)の知識を活用。
International Tables for Crystallography
Volume A: Space-group symmetry
230の空間群の表
解説
Space Groups for Solid State Scientists
Gerald Burns and A. M. Glazer
Academic Press 1990
P
Fe
Pr
結晶の対称操作
[1] 回転 (n=2, 3, 4, 6), 回反(回転+反転)、鏡映
[2] 併進 t=[I, j, k] or [½, ½, 0] or [½, ½, ½]
[4] glide (鏡映+1/2併進)
[3] screw (回転+m/n併進)
サイト・シンメトリーとシフト・電場勾配の対称性
[1] 観測しているサイトを通るn回軸 (n≥2)があれば、これは主軸の1つ。
特に n≥3 であればシフト、電場勾配は軸対称。
(軸に垂直な面内の2つの主値は等しい。)
[2] 観測しているサイトが鏡映面上にあれば、この面に垂直な方向は
主軸の1つ。
等価なサイトにおける共鳴線の分裂と一致
(b)
(a)
O
Cu
(c)
B
O
結晶学的に等価
4+, 4-で移り変わる
B
A
磁場下では一般に非等価。
上図のAサイトと下図の
Bサイトが等価
A
磁場が[110]に平行。
4+, 4-の対称操作で磁
場の方向が変わらない。
B
AサイトとBサイトは等価
A
単位胞中に複数の結晶学的に等価なサイトがある場合。
その中の任意の2サイトA、Bに対し、AサイトをBサイトに移す対称操作
{R|t }が存在する。
磁場の方向がRによって不変であれば、AサイトとBサイトの共鳴線は
一致する。(不変でなければ共鳴線は一般に分裂する。)
共鳴線が一致する場合:
磁場が 1.Rがnのとき、n回軸(らせんを含む)に平行
2.Rが2のとき、2回軸に垂直
3.Rが鏡映のとき、鏡映(グライド)面に平行、または垂直
相転移における共鳴線の分裂
秩序の発生(対称性の破れ)
NMRスペクトルの角度依存性から
秩序パラメータを同定する。
例題1:PrFe4P12における31P-NMR
Pサイトの対称性
磁場をxy(001)面内で回転
2つのP1サイトは反転によって移る。
P1とP2は(001)面の鏡映、又は2回軸[010]周り
の回転で移る。
5,6
1,2
3,4
例題2:Cs2CuCl4 (Pnma)における133Cs NMR スペクトル
2つのCsサイト:b軸に
垂直な鏡映面上にある。
4種類の対称操作
4つの等価なサイト
反転(常に等価)
C方向の1/2らせん、
又は、a-glide
で不変な方向
磁場がc方向、又はab面内にあるとき
等価なサイトは分裂しない。それ以外の場合は
2本に分裂する。
擬2次元直交ダイマースピン系SrCu2(BO3)2
H. Kageyama et al. PRL 82 (1999) 3168.
J
J’
Shastry-Sutherlandモデル
J’/J < 0.7では、ダイマー・シング
レットの直積が厳密な基底状態
相図
J=84 K,
J’=54 K
J/J’=0.64
dimer
plaquette
Neel
SrCu2(BO3)2における磁化プラトー
トリプレットの反発力による局在化 --- ボゾンのモット絶縁体
SrCu2(BO3)2におけるホウ素サイトのNMR
Cu, B
ホウ素サイトはミラー面上にある。
磁場を(110)面で回転すると、3,4サイトは等価。
圧力下の相転移:2.4GPaにおける11B-NMR
2段階の共鳴線分裂
H // c
7T
T. Waki et al., J. Phys. Soc. Jpn.
76 (2007) 073710.
ギャップレス
シングレット
1. 30K以下で共鳴線が徐々に分裂。 (B1, B2) サイト
と (B3, B4)サイトが非等価になる。
2. 4K以下で更に2本のシャープなラインと2本のブ
ロードなラインに分裂する。
3. シャープなラインは非磁性シングレットの振る舞い
を、ブロードなラインはギャップレスな磁気的振る舞
い(低温の極限で有限のシフト、緩和率)を示す。
4. 3.6Kにおいて明瞭な相転移を示す異常。
圧力下の相転移:2.4GPaにおける11B-NMR
T. Waki et al., J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 073710.
3.6Kにおいて磁気的な相転移。
1. (B1, B2) サイト、 (B3, B4)サイトともにシャープな
ラインとブロードなラインに分裂 --- 相転移。
H // [110]
2. バルクな磁化率も明瞭な折れ曲がりを示す。
10K(中間温度相)におけるシフト、四重極分裂の角度依存性
T. Waki et al., J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 073710.
[110]
[1-10]
中間温度領域:
(110)面内の磁場下での(B1, B2)サイトのシフトと (110)面
内の磁場下での (B3, B4)サイトのシフトが異なる。
4回対称性の欠如。鏡映対称性は残る。
1GPa、10Kにおいて (8, -6, 2) X線反射の分裂が観測さ
れた。
Orthorhombic or monoclinic distortion
100K付近で構造相転移 I42m Fmm2
Yamaura unpublished.
低温相におけるシフトの角度依存性
低温相:
0.3
K (%)
0.2
B1s,
B2s
B3s, B4s
B1b,
B2b
B3b, B4b
Simulation (No staggered Moment)
Induced Moment 0.053 B
B1 – B4 サイト全てにおいて、
共鳴線がシャープなラインと
ブロードなラインに分裂
0.1
0.0
2倍の単位胞が実現
-0.1
-0.3
0
磁気的ダイマーと非磁性ダイ
マーが超構造を形成。
2.1 K, 7.0 T
H || (-110)
-0.2
30
60
 (degree)
90 0
30
60
 (degree)
90
低磁場での振舞い: 2つの異なるギャップ
a
低磁場ではブロードな
ラインも低温で非磁性
基底状態に落ち込む。
b
-0.20
秩序パラメータは何か?
ダイマー内スピン相関の反強的秩序
新しいタイプの valence-bond-solid (VBS)
秩序?
K (%)
-0.15
-0.10
-0.05
H=1.4 T
// c
0.00
0
1
2
3
T (K)
4
5
S1  S 2
6
不純物によって誘起される現象
相関が強いにも拘らず無秩序状態にあるスピン系では、局所的な乱れがス
ピン相関を長距離にわたって乱す可能性がある。非磁性不純物に対するス
ピン系の応答は、乱れがない時の基底状態の性格を反映する。
例 1. S=1 ハルデイン鎖の端に現れる不純物スピン
89Y
NMR in YBa2Ni1-xMgxO
Tedoldi, Santachiara, Horvatic, PRL83 (1999) 412.
J  280K
J
 5  10  4
J
各Y原子核は主として隣り合う鎖上の2つのスピンと結合する。
 

H hf  A( S1  S 2 )
A  0.13 T
YBa2Ni1-xMgxO におけるサテライト共鳴線
89Y
NMR spectra for x=0.05
Shift of the 1st satellite line.
p1   A
g B S S  1
H0
3kT
Free spin 1/2
S  1 2 
周波数シフトのサイト依存性
周波数シフト(磁化)の指
数関数的な減少から、ス
ピン相関距離が求まる。
バルクな系に対する相関
距離の計算結果と良く一
致する。
 l  1 

 pl T    p1  exp  
  T  
bulk correlation length

例2:S=1/2 ハイゼンベルグ鎖の端に生じる磁場誘起交替磁化
Eggert and Affleck, PRL75 (1995) 934.
一様な磁場が端付近に交替(反強磁性的)磁化を誘起する。
H

l T  
Slz
H
l  luni   1l lalt
H 0
lalt 
2a
J
l
 J 
 4l T 
  sinh 

2
T
J
 


, a  0.58
Monte Carlo T=J/15
alt
 max
 0.137
J
lmax  0.48
T
~1/T
J
T
Sr2CuO3における63Cu NMR スペクトル
Takigawa et al., PRB55 (1997) 14129.
450サイトの
シミュレーション
Hyperfine form factor
Hhf i   I i  Ail Sl , Aq    Al exp iql 
l
l
K i   A z 0  uni  A z   alt i 
H is proportional to
1
and anisotropic.
T
H a : H b : H c  1 : 1.2 : 3.7
1
   Ab  2  Ac  2 , etc.
T
Aa   : Ab   : Ac    1 : 1.1 : 3.3  1  a
Average chain length ~ 1800.
Origin of the defects ?
例3: ドープされたスピン・パイエルス系CuGe1-xSixO3
スピン・パイエルス転移
不純物をドープしたCuGeO3における2量
体化と反強磁性の共存。
誘起された磁気モーメントはどこにあるか ?
Si
63,65Cu
NQR
Kikuchi et al., PRL88 (2002) 037603.
サテライトS1 (S2) は最
近接と次近接Geのうち、
1個 (2個)がSiで置き換
えれたCuサイトに対応
する。
メインラインは線幅の大き
な変化なく、急激に
wipeout (信号強度の減
少)される。これは磁気的
原因(T2の減少)による。
Relaxation rate
Frequency shift
S1サイトは磁気的に不活性。S1サイトの
近くではスピン・パイエルス転移温度以上
でシングレットペアは形成されている。磁気
モーメントはSiから離れたところにある。
スピン・格子結合を入れた有限鎖に対する計
算結果とも一致。 Ohnishi and Miyashita,
J.Phys.Soc.Jpn. (2000).
2.磁気秩序状態におけるNMRスペクトル

~ 
H hf   Ai  Si

磁気秩序 Si  0 があれば、外部磁場なしでも
i
共鳴が観測可能。 --- ゼロ磁場NMR

共鳴条件: res   H hf


更に外部磁場が加わると、 res   H hf  H ext
2
2
  H ext
 H hf
 2 H ext H hf cos 
非整合(incommensurate)な磁気秩序




 
 


Si  mQ exp iQ  Ri  mQ exp  iQ  Ri
Spin density wave
Helical order

h  H ext   cos 
非整合構造:が一様に連続分布
局所磁場分布
ph dh  d 2
1 dh
ph  
2 d
1

1
2 2  h  H ext 2
擬3角格子
Cs2CuBr4
粉末試料の場合(powder pattern)
整合反強磁性
P ( H eff ) 
Incommensurate SDW
H eff
H ext H int
2
H int  H int
 H  H ext 2
P( H )  A log
H  H ext
磁気秩序状態におけるNMRスペクトルの解析
A
K
鉄ヒ素系超伝導体の母物質
Co
Fe
加圧(Sr)
AFe2As2 (A=Ba, Sr, Ca)
BaFe2As2
Ba
140Kで1次相転移
構造変化:I4/mmm
遍歴反強磁性秩序
超伝導
Fmmm
Fe
As
2副格子反強磁性、Hhf // c
Kitagawa et al., JPSJ 77, 114709 (2008)
超微細結合テンソルの対称性
 Baa Bab Bac 
4
低温構造:Fmmm 


~
~ 
H hf   Bi  mi B1   Bba Bbb Bbc 
m


i 1
 Bca
Bcb
Bcc 
a面での鏡映操作から
 Baa
~ 
B2    Bba
 B
 ca
 Bab
Bbb
Bcb
 Bac 

Bbc 
Bcc 
一般にBは対称テンソル B  B 
m
同様に
一様磁化


mi  m
 Baa

~
B

4
 i 0
i 1
 0

4
 Baa
~ 
B3    Bba
 B
 ca
 Bab
Bbb
 Bcb
Bac 

 Bbc 
Bcc 
 Baa
~ 
B3   Bba
 B
 ca

 4 ~ 
H hf    Bi   mi
 i 1 
0
Bbb
0
0 

0 
Bcc 
a, b, c軸がシフトの主軸。
Bab
Bbb
 Bcb
 Bac 

 Bbc 
Bcc 
可能な反強磁性構造の同定
Q=(100) or (101) ストライプ構造
case I)
~ ~ ~ ~ I




I 
m1  m2  m3  m4   H hf  B1  B2  B3  B4 

 0
~ ~ ~ ~ 
B1  B2  B3  B4   0
 4B
 ca
0 4 Bac 

0
0 
0
0 


H hf
  cI 
 
 4 Bac  0 
 I 
 a 
超微細磁場がc方向を向く
ためには、反強磁性モーメ
ントはa方向に限られる。
case II)
Q=(110) or (111)




 II 
~ ~ ~ ~  II
m1  m2  m3  m4  
H hf  B1  B2  B3  B4  

 0
~ ~ ~ ~ 
B1  B2  B3  B4   4 Bba
 0

4 Bab 0 

0
0
0
0 


H hf
  bII 
 
 4 Bab   aII 
 
 0 
超微細磁場がc方向を向くことはできない。
可能な反強磁性構造の同定
case III)
Q=(001)
1つの層に関しては一様磁化と同じ。

H hf
case I
 Baa aIII 


III
 4 Bbb b 

III 

B

 cc c 
case III
BaFe2As2における構造・磁気相転移の様相
1. ヒステリシスを伴った1次転移
2. 低温斜方晶で電場勾配の大きな
非対称性。構造相転移に伴い電
場勾配の最大主軸はc軸からab
面内に90度変わる !
ヒ素サイトの電子状態の大きな変化
高圧下のSrFe2As2における超伝導と反強磁性の共存
Kitagawa et al. arXiv:0906.4740
5.4GPaで超伝導転移 --- 低温で有限な状態密度
ギャップレス
高圧下のSrFe2As2における超伝導と反強磁性の共存
Kitagawa et al. arXiv:0906.4740
18K以下で2副格子反強磁性相と超伝導相が共存。
18K以上はインコメンシュレート?
高圧下のSrFe2As2における超伝導と反強磁性の共存
Kitagawa et al. arXiv:0906.4740
実験装置の工夫
SrCu2(BO3)2における強磁場下逐次磁化プラトー
0.35
1/3
(2/g)M (B/Cu)
0.30
0.25
1/4
0.20
0.15
1/8
0.10
0.05
0.00
0
10
20
30
Magneic field (T)
40
50
1/8プラトー相におけるCu-NMRスペクトル
 NMR   N H eff  Q (m  1 / 2)





ˆ
H eff  H ext  H n , H n   A ik  gˆ   S k 
i
(m  3 / 2, 1 / 2,  1 / 2 for
63, 65
Cu)
Ac=-23.8 T/B, gc=2.28, Q=22MHz.
もしトリプレットが1個のダイマーに局在していれば、
NMRスペクトルは6本の共鳴線の組2セットからなる
と予想される。
20 MW 電磁石 Grenoble High
Magnetic Field Laboratory
~200 MHz
frequency
1/8プラトー相におけるCu-NMRスペクトル
Kodama et al., Science
298 (2002) 395.
0.30
0.25
M
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
15
20
25 30 35
Field (T)
40
Fit: 11 sites
<sz>=0.3
<sz>=0.2
<sz><0
Site <Hn> (T) Intensity
1 -16.23 1/8
2 -11.01 1/8
3
-4.05 1/8
4
-3.51 1/8
5
-3.04 1/16
6
0.60 1/16
7
1.97 1/8
8
2.61 1/16
9
2.95 1/16
10
3.30 1/16
11
4.61 1/16
1/8 プラトーにおけるスピン超構造
Kodama et al., Science 298 (2002) 395.
Exact diagonalization of the
Shastry-Sutherland model
Theory +
on-site
hyperfine
coupling
Miyahara, Becca and Mila, PRB 68 (2003) 24401
A= 23.8 T/B
Experiment
A  4B  C =
23.8 T/B
Theory + on-site,
NN and NNN
coupling
<Sz1>=0.386
<Sz4>=-0.215
<Sz6>=0.312
<Sz2>=0.01
<Sz3>=-0.0063
<Sz5>=0.0073
<Sz7>=-0.035
<Sz8>=0.04
Spin density of one
“triplet” is distributed
over three dimers.

B = 1.04 T/B
C = 2.45 T/B
最近の進展:新しいプラトーと逐次相転移(磁化・トルク測定)
torque at NHMFL (30 mK,
field shifted by -0.8T)
S. Sebastian et al., arXiv: 0707/2075.
15
20
25
pulsed field at 1.5 K
(+ adiabatic cooling),
30
K. Onizuka et al., JPSJ
69 (2000) 1016.
0.20
1/4
(2/gc)M (B/Cu)
1/6
0.15
1/8
F. Lévy et al., EPL 81 (2008)
67004 and unpublished.
?
1/6
2/15
torque and magnetization
at GHMFL (60 mK)
Cu NMR shift (50 mK)
?
1/8 +e
0.10
理論的に予測され
た新しいプラトー:
0.05
1/9, 2/15, 1/6, 2/9.
0.00
15
20
25
Field (T)
30
35
Dorier, Schmidt, Mila,
Phys. Rev. Lett. 101
(2008) 250402.
2つの新しいプラトー相:2/15, 1/6
June 2008 @ GHMFL
T = 0.43 K
1/6 ?
31.7 T
33.9 T
"1/4"
33.7 T
normalized NMR intensity (a. u.)
30.7 T
プラトー:
33.5 T
29.5 T
シャープな共鳴
線(コメンシュ
レート構造)
中間相:
28.9 T
1/8+e
33.3 T
"1/8"
32.5 T
2/15 ?
27.9 T
-5
-4
-3
-2
-1
0
1
Frequency shift (MHz)
2
3
-5
-4
-3
-2
-1
0
1
Frequency shift (MHz)
2
3
連続的なバック
グラウンドの上に
ブロードなピーク。
(ドメイン又は非
整合構造?)
11B-NMRスペクトルから決定されたスピン超構造
F. Mila and M. Takigawa
1/8
2/15
1/6
1/4
1/3
f 電子系の多極子秩序とNMRスペクトル
電子系の自由度:電荷密度、スピン密度、電流密度
f 電子系:強いスピン・軌道相互作用 J=L+S
結晶場分裂 --- 高対称な結晶場では大きな縮退度。
f 電子系の状態を表す自由度(秩序パラメーター):
電荷、磁気双極子モーメント、電気四重極モーメント、磁気8極子、
電気16極子、・・・

2
1
2
3J z  J
2


3 2
J x  J y2
2

15
JxJyJz
6
酒井、菊地、椎名、瀧川、日本物理学会誌 63、427 (2008).
175  4
3  2   2 1 
4
4
J

J

J

J  J  
x
y
z
48 
5 
3 
NMRでどうして多極子が見えるか?
 
H  -  N I  H hf

H hf
超微細相互作用


  
l

s
3
r
 s r 8   
 2  B  3  3 

s δr 
5
3
r
r
r

PrFe4P12
磁気8極子の例
全空間で積分した磁化はゼロであるが、
局所的には有限のスピン密度が存在する。
網の目のように張り巡らしたリガンド核に
よって多極子の磁化分布を検出する!
CeB6における四極子秩序と磁場誘起8極子
Pm3m
Bサイト
磁場を(110)面で回転すれば、B1, B2
サイトは等価、B3サイトとは非等価。
B
Ce
I相:常磁性状態。
II相:各サイトの共鳴線が2本に分裂。反強磁性?
磁場ゼロで分裂幅もゼロ。 磁場誘起反強磁性
分裂幅の角度変化
分裂幅の磁場変化
3
1,2
H // z
Takigawa et al., JPSJ 52, 728 (1983).
H⊥c
CeB6のII相に関するNMRと中性子の矛盾
H // c に対し,B3, B3ペアの共鳴線が分裂
するためには、Q(0,0,1/2)の秩序が必要。
しかし、中性子回折の実験ではこのよ
うな波数は観測されなかった。
中性子回折の結果:
1.H // [111], H // [110]の場合、Q=(½, ½, ½)の反強磁性モーメントが
誘起される。
2.H // [001] の場合、反強磁性モーメントは誘起されない。
CeB6のNMRスペクトルの新解釈
Sakai et al., JPSJ 66, 3005 (1997).
核スピンと多極子の相互作用の不変式
磁気的多極子: dipoles
octupoles Txyz
y
15

JxJ yJz
6
Jy,
Jz



1
2 J x3  J x J y2  J z2 J x
2
1
Ty  2 J y3  J y J z2  J x2 J y
2
1
Tz  2 J z3  J z J x2  J y2 J z
2
Tx 






15
J x J y2  J z2 J x
6
15
Tx 
J y J z2  J x2 J y
6
15
Tx 
J z J x2  J y2 J z
6
Tx 
B3核とCe1サイトの結合を考える。
B3-Ce1ボンド軸は(1-10)鏡映面上にある。従って
相互作用は(1-10)鏡映に関して不変な項に限られる。
x
奇パリティ: J x  J y , J z
Ix  I y, Iz
Jx,
Txyz
Tx  Ty , Tz
Tx  Ty
偶パリティ: J  J
x
y
Ix  I y
Tx  Ty
Tx  Ty , Tz



対称操作に関して不変な相互作用
H // z で共鳴線が分裂
Izに結合する多極子が内部磁場の原因。



不変式: I z aTxyz 1  bJ z 1  c J x 1  J y 1 d Tx 1  Ty 1
同様な表式を他のCeサイト2, 3, 4について足し合わせる。
4回操作でJzは不変、しかしTxyz=JxJyJzは符号を変える!
J x  J y , J y  J x , J z  J z


a Txyz 1  Txyz 2   Txyz 3  Txyz 4  
Iz 












b
J
1

J
2

J
3

J
4
z
z
z
z


Q=(1/2,1/2,1/2)の波数を持つ
Txyzの反強秩序はz方向の内部
磁場を作る。
反強四極子秩序と磁場によって誘起された8極子
ゼロ磁場でOxy型の電気四極子秩序。
磁場で誘起されるスピン密度は元の
電荷密度分布を反映する。
分裂幅の角度変化
電荷小
電荷大
3
1,2
H // z
H⊥c
ゼロ磁場での四極子秩序変数とコンパチブルな磁場誘起モーメント
Shiina, Shiba, Thalmeier, JPSJ 66, 1741 (1997).
PrFe4P12における全対称多極子秩序
6.5K(ゼロ磁場)で相転移。
低温相ではQ=(100)の超
周期構造。
t[½,½,½]併
進が欠如。
電気抵抗率
磁化
例題1:PrFe4P12における31P-NMR
Pサイトの対称性
磁場をxy(001)面内で回転
2つのP1サイトは反転によって移る。
P1とP2は(001)面の鏡映、又は2回軸[010]周り
の回転で移る。
5,6
1,2
3,4
低温相における31P-NMRスペクトルの分裂
Im3
どの方向に対しても、共鳴線が2倍に分裂する。
体心立方から単純立方への変化
単位胞の大きさが2倍
2種類にPrサイト(P12の籠)が非等価になる。
Kikuchi et al., JPSJ
76, (2007) 043705.
分裂幅の磁場・方向依存性
Kikuchi et al., JPSJ
76, (2007) 043705.
磁場ゼロで分裂幅も消失。
超微細磁場の起源は
磁場で誘起された磁気
的多極子。
分裂はどの方向でも
ゼロにならない。
分裂幅はTA以上のシ
フトと同じ対称性。
サイト対称性は低下し
ていない。
磁場誘起多極子、ゼロ磁場秩序変数と共鳴線の数の関係
Q=(100)の反強秩序を仮定。
P1,P2サイトの超微細磁場の交替成分の不変式
s

 +:P1
 c11Txyz
 c12 J xs  c13Txs


s
s
s
s
H hf   c21J y  c23Ty  c22 J z  c24Tz 
-:P2

s
s
s
s

  c31J y  c33Ty  c32 J z  c34Tz 
例えば、ゼロ磁場でOyzの反強4極子秩序がある場合、
[001]方向の磁場下ではP1とP2サイトの共鳴線はJy, Ty
によって分裂する。




四極子秩序では実験を説明できない。
全対称な秩序変数
175  4
3  2   2 1 
4
4
H 
J x  J y  J z  J  J  
48 
5 
3 
0
Kikuchi et al., JPSJ
76, (2007) 043705.
四重極では説明できない理由
(H // [111]の場合)
一般化されたパイエルス転移
 Q=(100)方向のフェルミ面のネスティング
 G1型多極子のQ=(100)のオーダーが、伝導電子に対するポ
テンシャル変調を作り出す。
パイエルス転移:格子変形
PrFe4P12: f電子の電荷分布の変形
ポテンシャル変調
何故全対称か?
伝導帯を作る分子軌道:xyz対称性
X12 molecular orbital
a2u in O h, xyz
in Th
V4: 24=16th; hexadecapole
V6: 26=64th; hexacontatetrapole
Harima, private commun.