第9回(11/20) 立憲制度と戦争

第9回(11/20)
立憲制度と戦争
長谷部『憲法と平和を問いなおす』
第Ⅲ部
ホッブズの社会契約論
「万人の万人に対する闘争」
「比較不能な価値観の深刻な対立
状況」
「いかに平和な社会生活の枠組み
を築くか」
「自己保存のために自然権を行使
する無秩序状態」
モンテスキューとルソーにおける
自然状態=平和状態
「ホッブズとルソーの違いを過大に
評価すべきでない。」(p.116)
ルソー
「私有財産制度が生まれるや、人
間本来の必要とは無関係な利欲、
嫉妬心、競争と対抗意識が生じ、
そこから果てしない紛争と恐ろしい
無秩序が到来したであろうことを認
めている」
「財産の危険に怯えた富者層のイ
ニシアティヴで、しかしすべての人
の安全を保障することを名目とし
つつ国家が設立される。」(ルソー)
ホッブズの関心は最初からこの無
秩序状態にあった
そのうえで、
ルソーの指摘
「複数の国家相互の関係が
なお自然状態にある」
国家間の戦争を引き起こす
ルソーの提案その1)
「常備軍を廃止し、訓練された民
兵を組織すべき」(p.120-121)
ルソーの提案その2)
「国家間の同盟を通じて平和を達
成すべき」(p.122-123)
⇔(主権を単一の世界政府に移譲)
ルソーの提案その3)
「国家という約束事(社会契約)を
消滅させる」(p.124-125)
平和主義と立憲主義は両立する
のか?
調整問題状況
と
囚人のジレンマ状況
(p.131-)
チキンゲーム状況
(p.141-)
集団安全保障の困難
1)実際的な困難
2)原理的な困難
1)実際的な困難(p.152-)
2)原理的な困難(p.156-)
選択肢
1)穏健な平和主義
2)人民武装
3)組織的な非暴力不服従
4)善き生を全うする絶対平和主義
5)世界警察または帝国
長谷部の選択は
1)穏健な平和主義
「ともかく軍備を放棄せよという考
え方は、『善き生き方』を教える信
仰ではありえても、立憲主義と両立
しうる平和主義ではない。」(p.179)
国民国家体制と戦争
立憲主義と平和主義の問題とは、
国家の自衛権と集団安全保障の問題
にほかならない。
国家の自衛権と
集団安全保障の問題について
以下、
豊下楢彦『集団的自衛権とは何か』 (岩波新書
より
「そもそも国連憲章は、『すべての加盟
国は、その国際関係において、武力に
•
よる威嚇または武力の行使を、・・・・慎
まなければならない』(二条四項)と規
定して武力行使禁止原則を謳っている
が、
次の三つの場合にのみ武力行使が認
められている。」
その一つが、『平和に対する脅威、平
和の破壊及び侵略行為』の発生に対
し、安全保障理事会(安保理)の決定に
基づいてとられる『軍事的措置』の場
合である(四二条)。
この措置は、国連の名において実施さ
れる点で『公権力の行使』にたとえら
れ、集団安全保障と呼ばれる。」
あとの二つは、憲章五一条に規定
されているもので、加盟国に対す
る『武力攻撃が発生』し、安保理が
必要な措置をとるまでの間に認め
られる、個別的自衛権の行使と集
団的自衛権の行使の場合であ
る。」
「『仮想敵』を想定せず安保理の管轄
下で実施される集団安全保障
(collective security)と、
共通の『仮想敵』を設定し、安保理が
機能するまでの間においてのみ認め
られる集団的自衛権(collective
defense)とは、
根本的に異なった概念なのである。」
国家の自衛権と
集団安全保障の問題
個別的自衛権~国家の主権の行使
集団的自衛権~国家間同盟
集団安全保障~国連・世界警察・帝国
集団的自衛権と集団安全保障の区別と理
解については、日本政府の見解も含め極
めて不充分な状況にある。集団的自衛権
の行使は、現行憲法において明確に否定
されている。
この立場は、国連安保理の管轄下で実施
される集団安全保障への積極的参加とい
う立場と固く結びついている。憲法9条は、
国連憲章42条と相補的な理念である。
選択肢
1)穏健な平和主義
2)人民武装
3)組織的な非暴力不服従
4)善き生を全うする絶対平和主義
5)世界警察または帝国
長谷部の選択は
1)穏健な平和主義
とるべき選択は
1)穏健な平和主義
と
5)世界警察または帝国