成層圏化学モデルについて 滝川雅之 地球フロンティア・大気組成変動予測研究領域 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 目次 鉛直レベルの検討 CHASERの化学過程の拡張 鉛直移流の改善 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 1. 鉛直層数の検討 1. 現在のCHASERは鉛直32層、モデルトップは高度約 40km(化学反応を考慮しているのは高度20km程度まで)。 2. 住共生の所謂マル高は鉛直56層、モデルトップは高度約 50km。 →下部成層圏におけるオゾンホールなどの影響を考慮するた めには、モデルトップはどの程度の高さまで必要か? 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 これまでの鉛直層数の例 20 中間圏 成層圏 対流圏 PBL 0 5 8 7 56 32t 67 0 0 7 9 17 10 24 10 25 15 29 7 14 7 7 6 20層: 中解像度大気海洋結合 56層: 高解像度大気海洋結合 32層: 対流圏化学(CHASER) 67層: 成層圏QBO実験 32層: 成層圏化学 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 32s 鉛直層数に関するtips 1. オゾンおよび水蒸気トレンドを議論するためには、高度約 50km程度まではきちんと取り扱えるようにしたい。 → モデルトップは高度60-70km程度 2. メタン破壊などをきちんと考慮するにも50km程度は必要。 3. 太陽活動や重力波、QBOなどを議論するためには高度 80-90km程度は欲しい(?) → non-LTE放射スキームが新たに必要(次期放射スキー ムもこの高度域は適用外)。 4. チューニングなどの手間を少なくするため、対流圏以下で の層間隔は20層もしくは56層とそろえた方が良い。 5. ESにおけるマイクロタスクによる並列化のため、鉛直層数 は8の倍数であることが望ましい。 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 大気中でのメタン破壊 メタン破壊速度(水蒸気生成速度)がもっ とも大きいのは赤道域の高度50km程度 2003/09/24 極渦の中ではメタン濃度の低い 気隗が降りてきている 共生第二課題連絡会議 鉛直層数に関するまとめ 1. 56層をベースに上部成層圏を細かくする、あるいは67層の 上端を切り詰めて、64層程度にする。 2. 東西風が大きくなるため、モデルのタイムステップは小さく なる。→計算時間の増大(Δtがl56の1.5倍程度?) 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 2. CHASERの化学過程の拡張 現在のCHASERは高度約20km程度までの主に対流圏におけ る化学過程を考慮している。 →下部成層圏におけるオゾンホールなどの影響を考慮するた めには、どの程度の化学反応が必要か? • CH4,N2Oなどを予報変数に入れる。 • Ox反応を入れる。 • 塩素系化合物は極域でのPSC表面上での不均一反応など が重要なため、成層圏を取り扱う場合は必須。 • 臭素系化合物は塩素系との連鎖によってオゾン破壊を加 速するため、可能ならば導入を検討したい。 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 化学過程の拡張(例) 化学種 long 現在 short 光解離反応 気相反応 液相反応 不均一反応 26 102 4 7 0 +5 (+19) 0 +8 (+20) 52 37 15 +21 +ClOx +18 +3 +15 +29 +10 +BrOx +7 2003/09/24 +3 +6 +16 共生第二課題連絡会議 化学過程の拡張(続) 塩素系・臭素系化合物を入れることによって、どの程度化学過 程が重くなるのかをBOXモデルを用いて推計する。 • 上部対流圏程度の領域で、三種類(対流圏のみ、+塩素 系、+臭素系)の設定で30日間走らせる。 • PSC typeI, typeII 表面上での不均一反応については今回 は考慮していない。 • 各々の実験について、5回の平均実行時間を比較。 • 実行環境は RedHat Linux8 (Pentium4 3GHz) + Intel Fortran Compiler 7.1 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 化学過程の拡張(続々) system time(sec.) relative ratio original 2.492 (x1.0) +ClOx 5.258 x2.11 +BrOx 5.66 x2.27 • 塩素系化合物に加えてN2O, CH4 やOx系の反応なども考 慮する必要があるため、Cl系化合物まで加えると現時点 の二倍以上重くなる可能性がある。 • 臭素系化合物まで入れてもそれほど重くなるわけではない。 • 海洋モデルなどと計算時間が同程度になるように、臭素系 まで、もしくは「簡略版塩素系」を検討したい。 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 計算時間に関して • 現在のCHASERが t42l32 32PE で2.5時間/モデル年程度 • l64, モデルトップ 70km, 臭素系化合物まで含めるとすると 2.5hr x 2 x 1.5 x 2.3 = 17 時間/モデル年 • 100年計算するのに二ヶ月強かかる計算。 高速化のアイデア • マイクロタスク (4倍程度高速化?) • 化学過程を別ノード化(大量の三次元データを通信するので、 通信速度が心配) • 成層圏化学、対流圏化学をさらに別ノード化し、各々の高 度域に絞って(一時間ごと程度に)AGCMと通信する? 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 3.鉛直移流の改善 • t42l56std などで、ヒマラヤ付近において鉛直方向の Courant数の絶対値が1を超えることがある。 • t42l67, および t42l32tc でも時折見られる (CHASER につ いてはNCEP再解析データを用いて強め(時定数二日程 度)にナッジングをかけた場合)。 • 現状の移流スキームではCourant数の絶対値が1を超えな いことを仮定していたため、quick hack で対応。 →計算時間はオリジナル、quick hack版でほぼ同じ(DECOSF, ESとも) • 1を超えた領域を調べるとΔp=13hPa程度なので、dσ/dt が 0.01hPa/s(dt=10分と仮定)にもなっている? →そもそもdπ/dtがノイジーすぎる? 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 北緯32度、上部対流圏での6時間ごとのSF6濃度(pptv) 赤線はオリジナル、黒線はquick hack後。 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 移流スキームのまとめ • quick hack でほぼ十分? →渡辺くんの取り扱いと比較する。 →Courant数の絶対値が2を超えることがあるのかどうか。 • 長期積分して比較する。 • MASFIXを通さなくても負値で計算が破綻しないか? →計算時間の短縮が可能か • quick hack版ではOPT_LIMITW は不要になるので、関連 部分を削る。 2003/09/24 共生第二課題連絡会議 全体のまとめ、および今後の作業に関して • 鉛直層は成層圏オゾン、水蒸気などを考慮するには60km 程度、層数にして64層程度は必要と思われる。 →層数に関してはもっと削れないか、検討する。 • 臭素化合物まで入れられる可能性を検討する。 • awkの勉強をする。 →成層圏化学過程の三次元モデルへの導入。 (short-lived speciesの取り扱いの改良) • 移流スキームの高速化を検討する。 • dπ/dtを調べる。 2003/09/24 共生第二課題連絡会議
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