情報デザイン特論 誰のためのデザイン? D.A.ノーマン 4番目担当 中谷 洋輔 2006/6/1 全体の流れ あわれなデザイナー 技術の逆説 あわれなデザイナー よいデザインは安易ではない メーカー 安上がり 販売店 お客を引きつける 買う人 店にいるとき:品物の値段と外見 家に戻れば:機能性と使いやすさ 修理部門 故障を診断・修理するのが簡単 相矛盾している。 デザイナーはすべての人を満足させることができるかもしれない。 あわれなデザイナー 手近にある良いデザインの例 CD 本に書いてある例:フロッピーディスク コンピュータに挿入するやり方は八通りあって、そのうち一つだけ正解。 長方形になっていて、一つだけ正しくてその一つだけがうまくいく。 例:CD コンピュータに挿入するやり方は二通り あって、そのうち一つだけ正解。 円形になっていて、一つだけ正しくてその 一つだけがうまくいく。 あわれなデザイナー 工夫のあるよいデザイン - どのように使われるか - 人がどう誤って使うか - どういうエラーが起こりそうか - 人がこれでどんなことをやろうとするか これらを良く考えたからこそ、私たちの生活が大きく異なるような、すばらしい細 かな工夫のあるよいデザインになる。 あわれなデザイナー 『なぜ良いデザイン案が市場に出回る製品に反映されないの か』ということについて、あるデザイナーとの対話 デザイナー 「本当に良いものを作るには普通五回か六回試みる必要があります。 新しいものを作ることを考えると、もしもそれが本当に革命的なもので あるなら、最初はどうデザインしたらよいかわかるはずがないというこ とです。何回かやる必要があります。 それでその製品が市場に投入されて失敗したらどうでしょう。 それでおしまいとなります。もう一度、あるいは三回くらいまではやり 直せるかもしれませんが、その後はもうその製品は終わり、あれは失 敗だったと思うのです。」 あわれなデザイナー 失敗例 複雑な機械に音声メッセージ 例 カメラや自動販売機などの複雑な機械に音声メッセージ ↓ 失敗(世間の物笑いの種) ↓ もう一度試そうと考えなくなる あわれなデザイナーまとめ デザイナーはすべての人を満足させることができるかもしれない。 そのためには五回か六回試す必要があるが、二、三回で市場に受け入れられ なければそれで終わり。 つまり、新しい製品というのはそれがどんなによいアイディアであったとしても、 失敗すると決まっている。 さらに一度失敗してしまったものは、もう一度試してみようなどと考えさえしなく なってしまう。 技術の逆説 技術 技術 生活をより気楽で、楽しいものにする可能性を提供 新しい技術 より豊かな恩恵を与えてくれる。 複雑さも増大し困難さと欲求不満も増える 技術の逆説 技術の進歩 技術の進歩は、複雑さに関して言えばU字型 のカーブを描くよう 新しい種類の道具は複雑で使うのが困難 技術者が有能になると道具は簡単で信頼できるようになる。 新たな参入者がもっと色々なものを作り出そうとすると複雑になり、信頼性も低く なるのも省みない 技術の逆説 複雑さのカーブに当てはまる例 ラジオ 初期(複雑):アンテナ、周波数、感度 や音量の調整。 その後(簡単):電源を入れて、放送局 を選び音量を調整するつまみだけ 最近(初期より複雑):数限りない操作つまみ、スイッチ、ライト、ディスプレイ、 メーターなどゴチャゴチャ 音質や受信性能を向上しても、複雑すぎて使えないのなら何の役にもたたない。 技術の逆説 技術の逆説 この付加機能が問題を起こす。 道具にさまざまな機能を付け加えて、私たちの暮らしを簡単にしてくれるはずの、 その技術が道具の使い方を覚えにくく、使いにくくしてしまい暮らしを複雑怪奇な ものとしてしまう。 技術の逆説 しかし、よいデザインの原則に従っていれば、その複雑さも手に負えないものと はならないはず。 技術の逆説 大学の授業で多機能の時計つきラジオのデザインを課題 一つの製品の中に盛り込もうとしている ・AM-FMラジオ ・カセットテープ ・CDプレーヤー ・電話機 ・留守番電話機能 ・時計 ・目覚まし時計 ・机用あるいはベッド用のランプ 検討中 ・(2インチ)テレビ ・コーヒーメーカーかトースターをつなぐことができるタイマー連動のコンセント 技術の逆説 あなたがするべきこと (A)どうゆうものを作ったらよいかアドバイス (B)コントロールパネルをデザイン (C)本当にそれがユーザが欲しているもので使いやすいものかどうか この三つの仕事をどう行うか述べよ。 どのようにして、あなたの会社に対するアドバイスが妥当であり、正当であるこ とを示すか説明しなさい。 技術の逆説 回答の一つとしてありそうなもの これは受け入れがたい答え 技術の逆説 答えはこうであって欲しいというような点① 実際のユーザの必要とするものになっているかどうか 使う可能性のあるユーザに現在その人たちがどのような機械を使っているか 今考えている複合多目的の製品がどのように使われるのかを確かめて欲しい。 技術の逆説 答えはこうであって欲しいというような点② デザインしたコントロール手段が使いやすく理解しやすいかどうか 例: 時計つきのラジオはベッドの中など暗い所で使われることが多いので暗いとこ ろだけでも操作できるように。 またちょっと間違ったボタンを押すと時間がリセットされるような重大な間違い が起こらないように。 技術の逆説 答えはこうであって欲しいというような点③ 製作コストや作りやすさ、外見のよさなどの現実の課題も考慮に入れて欲 しい 完成したデザインは多くのユーザに受け入れられて欲しいため 技術の逆説 技術の逆説のまとめ 機能が増えれば複雑さと使いにくさが増大すること、避けがたいとい う技術の逆説が存在すること しかしうまくデザインすれば、それほど複雑にも使いにくくもならないよ うにできること 御清聴ありがとうございました。
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