第3回 EBM研究フォーラム 科学的根拠に基づく 乳がん診療ガイドライン 独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 高嶋成光 平成16年10月16日 乳がん診療ガイドラインの必要性 ●患者の多さ →罹患率が急増している ●疾患の重篤度 →壮年期女性の死亡率1位 ●社会的な関心 →新しい治療法(乳房温存療法など) →視触診単独の乳がん検診の有効性 厚生労働科学研究補助金 科学的根拠に基づく乳がん診療ガイドライン 作成に関する研究 作成の基本原則 現在、国際的に標準的な方法とされている「根拠に基 づいた医療Evidence-based Medicine」の手法に則っ て作成する EBM4段階 Step 1: 知りたいことを「回答可能な質問」の形に作り変える Step 2: Best Evidence を探す Step 3: 得られたEvidenceを批判的に吟味する Step 4: 批判的に吟味した結果を患者さんの状況に当てはめて みる EBMの手法を用いた診療ガイドラインの作成手順-1- 作成委員会の設置 疫 学 下妻晃二郎 渡辺 亨 平岡真寛 田口哲也 伊藤良則 光森通英 黒井克昌 佐伯俊昭 鹿間直人 今井博久 勝俣範之 大内憲明 山崎弘資 中村清吾 牧野春彦 角田博子 検 診 診 断 武田元博 薬 物 療 法 小林 直 放 射 線 療 法 関口建次 唐澤久美子 片岡正明 今城吉成 徳田 裕 山内智香子 海瀬博史 岩瀬 哲 大貫幸二 福内 敦 池田 正 日馬幹弘 相原智彦 明石定子 大野真司 森谷卓也 井上賢一 梅村しのぶ 向井博文 津田 均 岩田広治 石田孝宣 外 科 療 法 福富隆志 稲治英生 高橋かおる 安藤二郎 EBMの手法を用いた診療ガイドラインの作成手順-2- 乳がん診療の現状の把握と疑問点の抽出 103項目 Evidence-driven questions ●High quality evidenceがすでにあるCQ 転移再発乳がんに対する一次化学療法としてはどのような治療が 推奨されるか Necessity-driven questions ●臨床家が日々知りたいCQ 乳がん肝転移に対して動注化学療法は推奨されるか EBMの手法を用いた診療ガイドラインの作成手順-3- 各疑問点に関する文献検索→批判的吟味→エビデンス レベルの分類→構造化抄録の作成 109,320件→7,195件→ 684 件 Ia Ib Ic 2a 2b 2c 3a 3b 4 5 : ランダム化比較試験 (RCT) の系統的レビュー : 信頼区間の狭い個別 RCT : 全か無の結果 : コホート研究の系統的レビュー : 個別のコホート研究(質の低い RCT を含む) : アウトカム調査 : 症例対照研究の系統的レビュー : 個別の対照研究 : 症例集積(または質の低いコホート研究と症例対照研究) : 明確な批判的吟味のない専門家の意見、または 生理学、基礎実験あるいは基本原理に基づくもの (Oxford EBMセンター May 2001) EBMの手法を用いた診療ガイドラインの作成手順-4- 各疑問点に対すると推奨の強さの決定 推奨の強さ • グレードA・・・行うよう強く勧められる • グレードB・・・行うよう勧められる • グレードC・・・行うよう勧めるだけの根拠が明確でな い • グレードD・・・行わないよう勧められる 推奨の強さ CQ 疑問文形式 12±2 バンクーバースタイル 構造化抄録 EBM 臨床能力 臨床試験 + ガイドライン 患者の意向 + 創る エビデンス 伝える・使う ガイドラインは、江戸前のお鮨と同様、 旬でなければならない・・・
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