ブランドのピラミッドを構築するにあたっては

Brand portfolio economics
ブランドポートフォリオにる企業の成長
ブランドポートフォリオ選択
ブランドポートフォリオの誤った決定やオーバーラッピン
グは、価格プレミアムを減少させ、製造時の規模の経
済を弱め、流通にも悪い影響を与えてしまう。また、市
場に伝えるべき企業のメッセージを弱め、顧客を混乱さ
せてしまう。
→結果的に企業の収益を低下させてしまう。
単にブランドを増やすだけなら簡単。しかし、ブランドを減
らしたり、ブランドを価値あるものにする事はとても困難。
では、どのようにポートフォリオ選択を考
えてゆけばよいのか
効果的なポートフォリオ選択をするにあたって
まず、ブランドの価値や市場に与える影響を知る。
⇒投資家や提携会社や多くの機会を焦点にあてた、
ブランドの個々または全体の戦略を浮き彫りにする。
ブランドという無形のものと、実際の企業の財政を
関連付けることによって、ブランドが最大限に利用
でき、他社に対し有利な戦略を取ることができる。
合併によるブランドポートフォリオを例とってみてみよう
合併におけるブランド選択
1990年年代の合併・吸収の嵐の中、多くの企業のブラン
ドポートフォリオが乱雑した。企業によっては、多様な市
場に立ち向かうためブランドをそのまま残した
(例)General Motorsは、Saab、Alfa Romeo、Hummerと合
併し、FordはVolvoとLand Roverを買収。
⇒その結果、それらの個々のブランドをそのまま促進さ
せるか、縮小または無くしてしまうかの、苦渋の選択に迫
られている。
次に、この他の2つのタイプを例にとって説明する。
合併におけるブランド選択
大きな一つのマスターブランドを作
り、獲得した新しいブランドはその
傘下に隠す。
(例)Asea Brown Boveri、Alstom、
Textron
問題点:
ポートフォリオ内に、多様なブラン
ドを育て上げることが出来ない。よ
り広範囲の市場を得ようとすると、
マスターブランドに圧力がかかる。
市場シェアの増加を狙って、ブラ
ンドの範囲を広め、新しい顧客を
得ようとする。
問題点:
ポートフォリオ内で、他のブランド
とセグメントが重なってしまい、顧
客を混乱させ、企業価値を低め
てしまう。
両者に言える問題点は、価格方針や生産規模や流通政
策といった経営戦略にどのようにブランドと結びつくのか
慎重に計算しないという点である。
ブランド戦略
ブランドのスローガンが考えられ、大金を使って広告に
より宣伝される事により、ブランドは前進する。
ブランドは実体が無形資本であり、株主の価値を高める
ために力を発揮する。しかし、経営者は以下の3点にお
いて理解できないことがある。
1、ブランド個々の力
⇒顧客の選択に影響をあたえるブランドの特徴
2、ブランドのシナジー効果
⇒いくつかのブランドの相互作用
3、ブランドポートフォリオの効果
⇒ポートフォリオをどう組めば、最も効果的なROIを示せるか。
ブランドについての疑問
1. 利益や市場シェアの損失無く、ブランドを取り除けるか
2. ブランドの市場での位置付けを変えたり、新しいブラン
ドを始めたりを上手く出来るか
3. ブランドの他業種への拡大に、消費者はどう応えるか
4. ブランドポートフォリオ内の、Global、regional、localの区
分をどう決めて戦略するか
5. ブランドを自社の他のブランドを守るために使うべきか
6. ブランドを、流通戦略のために使うべきか
それぞれの疑問の例
1. 利益や市場シェアの損失無く、ブランドを取り除けるか
2.GMはOldsmobileを、FordはMercuryを、
ブランドの市場での位置付けを変えたり、新しいブラン
Daimler
ドを始めたりを上手く出来るか
ChryslerはPlymouthのブランドを取り除く事を計画して
3.いる。これらの動きの結果は、数年以内に明らかになる
ブランドの他業種への拡大に、消費者はどう応えるか
であろう。
4.こういった動きはリスクを伴う
ブランドの、Global、regional、localの区分をどう決めて
戦略するか
(例)1990年代始め、MillerはMiller
High Lifeというビール
始めは経営状態が
5.ブランドを企業の主流から外した。
ブランドを自社の他のブランドを守るために使うべきか
良くなったものの、その後は市場を失いつづけている。
6. ブランドを、流通戦略のために使うべきか
それぞれの疑問の例
1. 利益や市場シェアの損失無く、ブランドを取り除けるか
2. ブランドの市場での位置付けを変えたり、新しいブラン
ドを始めたりを上手く出来るか
3. ブランドの他業種への拡大に、消費者はどう応えるか
Philip(タバコ会社?)が大規模な事業を獲得した後、何
4.年間もヨーロッパ内で強いブランド力を示した。ここ最近、
ブランドポートフォリオ内の、Global、regional、localの区
分をどう決めて戦略するか
会社の名前をAltria
Groupと変え、前任者の不完全だっ
5.た部分を補うために新しいブランドが打ち立てられた。
ブランドを自社の他のブランドを守るために使うべきか
6. ブランドを、流通戦略のために使うべきか
それぞれの疑問の例
1. 利益や市場シェアの損失無く、ブランドを取り除けるか
2. ブランドの市場での位置付けを変えたり、新しいブラン
ドを始めたりを上手く出来るか
3. ブランドの他業種への拡大に、消費者はどう応えるか
4. ブランドポートフォリオ内の、Global、regional、localの区
Kodakはおもちゃ市場に参入した。またMc
Donaldはス
分をどう決めて戦略するか
イスのGolden Arches hotelsに進出しようとしている。
5. ブランドを自社の他のブランドを守るために使うべきか
6. ブランドを、流通戦略のために使うべきか
それぞれの疑問の例
Morrisのタバコ事業は、どのブランドをMarlboroと
1.Philip
利益や市場シェアの損失無く、ブランドを取り除けるか
平行してglobalに進めるか決めようと努力している。一
2.方Electroluxは、globalとregionalの最も良い調整は何か
ブランドの市場での位置付けを変えたり、新しいブラン
ドを始めたりを上手く出来るか
を探している。
3. ブランドの他業種への拡大に、消費者はどう応えるか
4. ブランドポートフォリオ内の、Global、regional、localの区
分をどう決めて戦略するか
5. ブランドを自社の他のブランドを守るために使うべきか
6. ブランドを、流通戦略のために使うべきか
それぞれの疑問の例
1. 利益や市場シェアの損失無く、ブランドを取り除けるか
2. ブランドの市場での位置付けを変えたり、新しいブラン
ドを始めたりを上手く出来るか
3. SwatchGroupは、Swatchのブランド力を収益性の高い
ブランドの他業種への拡大に、消費者はどう応えるか
OmegaやRadoを他社から守るために用いている。
4. ブランドポートフォリオ内の、Global、regional、localの区
分をどう決めて戦略するか
5. ブランドを自社の他のブランドを守るために使うべきか
6. ブランドを、流通戦略のために使うべきか
それぞれの疑問の例
1. 利益や市場シェアの損失無く、ブランドを取り除けるか
2. ブランドの市場での位置付けを変えたり、新しいブラン
ドを始めたりを上手く出来るか
3. ブランドの他業種への拡大に、消費者はどう応えるか
4. John
ブランドポートフォリオ内の、Global、regional、localの区
Deereは、チャネル間の争いを減らすために、トラ
分をどう決めて戦略するか
クターのブランドを再構築した。
5. ブランドを自社の他のブランドを守るために使うべきか
6. ブランドを、流通戦略のために使うべきか
ブランドの悪循環
ポートフォリオ内のブランド同士のセグメントが重なってし
まい、違いが無くなってしまうと、企業の利益に影響を及
ぼす。
価格の力が弱まり値下げを行う事によって、ブランドの質
を下げ、悪循環を引き起こす。
⇒開発者は新たな特徴のある他と区別された製品を作る
⇒販売チャネルでは、多くの製品で一杯になり、また全て
のブランドを宣伝する資金もない。
⇒最終的に収益が落ち込み全てのブランドについて中途
半端になってしまう。
価格とプロモー
ションに影響
ブランド力の低下
ブランドが自動
的に集中する
流通規模の縮小
ブランド同士のセグ
メントが重なり、差
別化できないブラン
ドポートフォリオ
生産規模の縮小
市場規模の縮小
効果的なブランドポートフォリオ
ブランドの縮小と拡大(投資)についてのより選び抜か
れた戦略が必要。
またブランドの、市場シェア・価格プレミアム・規模の経
済・その他の財政的変化を知ることにより、ブランドポー
トフォリオの真相を明らかにしなけらばならない。
ブランドという捕らえ難い無形のものと、実際の企業の
利益のつながりを知る事により、ブランドを利用してより
多くの利益を得ることが出来るようになる。
収益性のあるブランドポートフォリオを
行うための3つの指針
1. ブランドポートフォリオを企業のビジネスデザインと
適合させ、調整をはかる。
2. ピラミッドの構築を考える
3. 良いブランドを育て、悪いブランドを縮小する
①ブランドポートフォリオを企業のビジネス
デザインと適合させ、調整をはかる。
良いブランドポートフォリオマネージャーは、ブランド選択を、経
営戦略(顧客の選択から内部組織まで)に埋め込んで考える。
⇒そうする事により、ブランドを、経営戦略の推進とサポートの
ために利用できる。
⇒同時に、ブランドポートフォリオを維持するための費用や複
雑さを少なくする事の有効性を理解できる。
しかし、ブランドの費用と複雑さを少なくする経営戦略事は難しい。
簡単化して費用の低い単一のマスターブランドを作ることによって、サブ
ブランドの勢いを弱めてしまう。
バランスの取れたブランドポートフォリオ決定は・・・・・
経営戦略の多様性・広範囲のブランドを管理するための組織の能力・ブ
ランドポートフォリオをサポートする経営幹部に掛かっている。
②ピラミッドの構築を考える
多くの経営者は、ブランドポートフォリオと個々のブラン
ドの集まりを全く異なるものとして考えてしまう
⇒しかしそうしてしまうと、境界がぼやけ、個々のブランド
の区別が無くなってしまう。
ポートフォリオ内の個々のブランドは、相互に関係
させる事により、個々がより強力になる
(例)
Kraft Foods(自家製ピザ屋)
個々の価格帯に合わせて4つのブランドを作った。
②ピラミッドの構築を考える
Kraft Food
1990年代に、下向き傾向だった市場に活力を与えるため
に、ブランドのピラミッドを構築した。
顧客の収入を参考にしながら、徐々に価格帯の高いピザ
屋を作っていき、徐々に多くの価格帯のブランドを得た。
美食家
California Pizza
Kitchen(1998)
持ち帰りを好む大人
中間層の家族
10代
DiGiorno(1995
)
Jack’s(1992)
Tombstone(1980s)
Digiornoを作ったことによ
り、全体の売上が20%増
え、ピザのテイクアウト市
場の40%をしめた。全体の
需要は10%以上増えた。
②ピラミッドの構築を考える
Kraft Foodの成功の理由は、それぞれのブランドがピ
ラミッドの違う区分に属されていたことである。
その区分があいまいであると、それぞれのブランドの
マネージャーは、他の区分に移ることが出来えてしま
い、ブランド同士の境界があやふやになり、結果的に
他社の集中型の戦略に負けてしまう。
②ピラミッドの構築を考える
ブランドのピラミッドを構築するにあたっては・・・
☆底辺のブランドを常に意識しなくてはならない☆
底辺で獲得した顧客は、そのまま自社の上のレベルのブラ
ンドを利用してくれる可能性が高い。そこで、常にシェアを獲
得するために、積極的な価格戦略を行う。
また、既存企業は、底辺のシェアを新規参入者に取ら
れてしまうと、高いレベルを重点にあててブランド戦略
を行ってしまいがち。しかし、それらの高いレベルのブ
ランドは不安定であり、将来負けてしまう恐れがある。
⇒1970年代以来の車業界によりはっきりと見られる。
(日本や韓国の車の影響)
③良いブランドを育て、悪いブランドを縮小する
主要ブランドは、価格プレミアム・流通での優位性・世界
規模・その他の利点を持っているため、効率良く利益を
得ることが出来る。
(例)Unilever
以前は約1600ものブランドを有していたため、資金や労力
が分散され過ぎていた。そこで、1999年に主力な400のブラ
ンド以外を取り除き、60億ドルの広告・プロモーション費を集
中させた。
それによりDove(主力ブランドの一つ)の販売を、13
カ国から75カ国に増やし、以前の2倍以上(8億ドル)
を売上、アメリカ内では売上が34%増加した。
弱いブランドを切り放す事により、より多くの経営資源を収
益性・優位性のあるブランドに集中することが出来た。