第2章 巨大日本企業の人事部 ーこれまでの実態ー

第2章 巨大日本企業の人事部
ーこれまでの実態ー
D班 大木・島田・西田・今西・中村
1980年代の日本の人事部
⇒当時アメリカ人事部の2倍の規模
なぜ日本の人事部は力があったのか?
日本企業に慣行的に根付いた4つの要因が影響
詳細は次のページへ⇒
①新卒入社から終身を前提とした雇用
→社員の能力開発・キャリアを計画的に管理
②比較的高い労働組合組織率
→交渉と協議のための役割
③年功序列を前提とした給与評価制度
→社内要因を査定・管理する役割
④教育・福利厚生を中央集権的に管理する役割
アメリカと日本の人事部比較
◯アメリカ
人事権等を各事業部に分権する(M字型組織)
◯日本
本社人事部で中央集権管理(U字型組織)
メリット:規模の経済が働く
各事業部が本業に集中できる
⇒ 日本の人事部が高く評価される
影の実力者
=日本の人事部(経営トップ選抜時)
◆なぜか?
・本社人事部は一目置かれていた
・全社員の個人情報を所持している
組合
組合と本社人事部は共生関係にある
1980年代初頭~
役員クラスが組合で積極的に活動
⇒組合幹部から取締役へ就任する者の存在
その理由…
組合幹部と経営上層部との共通点があった
コーポレート・ガバナンス
ステークホルダー型資本主義
□考え方
企業は誰かの所有物ではなく、『共同体』
解釈①
企業共同体の構成は社員だけでなく、
利害関係全て(顧客・サプライヤー・銀行・株主)
解釈②
日本企業は労働者自主管理企業の一種
社員は平等主義によって
共通の利害関係意識を持っている(長期雇用)
□経営者を監視するのは?
・銀行:株や債券を所有しているため無視でき
ない
しかし…
業績悪化でも利子が払えなくなる事態まで
問題視しない
・中間管理職:自分の昇進、給与に関わるため
□人事部の役割
・最も有能かつ非利己的な中間管理職の選抜
の支援
・経営陣に社員の意見を伝達
人事部のキャリア
◆日本の管理職
人事部・・・人脈、社内実情において最適な部署
人事部→経営トップが有利とみなす傾向
・人事部担当役員のキャリアパターン
=ゼネラリスト
*英米では専門化されている
日本企業組織構造の長所短所
◯長所
• 強い信頼関係
• 優秀な人的資本の育
成
• 高品質の製品・サービ
ス
• 意思決定後からの実行
が迅速
◯短所
• 余剰社員を抱える構造
→ コストがかかる
• 意思決定が遅い
• 過度の権限集中
• 既存企業への過剰投
資
• 新規ベンチャー企業出
現率の低さ
◯日本企業人事部は様々な要素がうまく噛み
合い、評価されていた。
集権管理
企業別組合
日本企業
の成功
終身雇用
年功序列
ステークホルダー
型コーポレート・ガ
バナンス
90年代の長期間の不況の影響
◯不況に対応するため企業は欧米企業を参考に
リストラを行う
⇒ 終身雇用・年功序列の崩壊
◯コスト削減志向による海外進出
⇒ ステークホルダー型
コーポレート・ガバナンスの崩壊
組 合
• 組合数は減少している。(現在約20%)
①・・・企業別組合が組織化に関心を持たない
から。
②・・・組合でない企業グループと交渉するほう
が、望ましいから。
• 別の考えとして、日経連が独立した組織とし
て消滅。
経団連と合併
弱体化。
パイの配分問題と社会規範
• パイの再分配は、日本の方が難しい。
日本には規範があるからである。
アメリカ型の規範や価値観を唱導する人には好機。
①・・・外国人株主
②・・・手数料や企業売買で利益を得ようとする人々。
• しかし、日本の経営者は日本的コーポレート・
ガバナンスを変えようとはしていない。
法改革Ⅰ
• 90年代半ば、多くの企業関連法改正案が誕
生した。
改革は株主に特権を与える形に。
• 政府は、雇用制度を支えてきた土台を削り始
めた。
①・・・有権者である、組合員の反対。
②・・・企業関連法案の意見の統一制。
③・・・三者からは、雇用政策や社会政策の目的で存
在。
法改革Ⅱ
• しかし、政府は「柔軟化」の元の、見せかけの
雇用政策の推進。
派遣労働者の一年働けば、正社員の仕事の定期用。
一方、正社員を簡単に解雇できる法案の承認。
• 経済成長の減速と、雇用問題などが日本的
コーポレート・ガバナンスのプレッシャーに。