生体分子解析学 2016/7/9 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析 1 宿題に関するお願い 2016/7/9 誰かと共同で解答した際は、共同でやった人の名前と、共同解答 であることを明記して下さい。 解答の元にした情報源を明記して下さい。 例) Wikipedia、教科書?ページ 等 2 演習 2016/7/9 1. 励起光と蛍光ではいずれの波長が長いか。理由も応えなさい。 おさらいの中で説明します。 宿題 (予習) 旋光性を示す化合物の特徴を説明しなさい。 (特に構造特性に着目して下さい) 間違い、不十分な例 「光学活性」 ≈ 「旋光性」 なので、これは単なる言い換え α位、β位:これは官能基に対する相対位置の記号 不斉中心を持つ化合物 の溶液 3 紫外可視領域の分光法・物理的背景 高 γ線 物理現象 測定法 低 E (光子のエネルギー;単位: J) 波長 短 10-12 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 (m) 長 X線 電子による X線の弾性散乱 X線結晶構造 解析 回折法 2016/7/9 紫 外 線 可 視 光 線 電子遷移 赤外線 マイクロ ラジオ波 波 分子振動 分子の 核スピンの 回転運動 反転 紫外可視 赤外分光法 分光法 蛍光 ラマン 分光法 分光法 CD, ORD 旋光度 回転 分光法 ESR 分光法 分光法 NMR 分光法 4 蛍光とリン光の化学的背景 2016/7/9 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) S1 励起一重項 最低振動準位 ΔE1 = hν1 励起 蛍光 ΔE2 = hν2 G 基底状態 最低振動準位 (一重項) 5 2016/7/9 蛍光とリン光の化学的背景 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) S1 励起一重項 最低振動準位 ΔE1 = hν1 励起 振動遷移 回転遷移 衝突や運動 (禁制遷移) 電子スピン 反転 蛍光 リン光 ΔE2 = hν2 ΔE3 = hν3 励起三重項 最低振動準位 リン光を出す 過程が遅い (禁制遷移) G 基底状態 最低振動準位 T1 長く光る (一重項) 6 演習 2016/7/9 1. 励起光と蛍光ではいずれの波長が長いか。理由も応えなさい。 7 2016/7/9 蛍光とリン光の化学的背景 (禁制遷移) 電子スピン 反転 S1 励起一重項 最低振動準位 ΔE1 = hν1 励起 蛍光 リン光 ΔE2 = hν2 ΔE3 = hν3 励起 三重項 最低振動準位 リン光を出す 過程が遅い (禁制遷移) G 基底状態 最低振動準位 ΔE1 > ΔE2 > ΔE3 T1 長く光る ΔE = hν ν1 > ν2 > ν3 8 2016/7/9 蛍光とリン光の化学的背景 高 波長 振動数 E (光子のエネルギー;単位: J) 1.0×10-8 1.0×10-7 3×1016 3×1015 入射光 蛍光 リン光 ΔE1 > ΔE2 > ΔE3 ν1 > ν2 > ν3 ΔE = hν λ = c/ν 低 1.0×10-6 (m) 3×1014(Hz) 入射光 蛍光 リン光 ν1 > ν2 > ν3 λ1 < λ2 < λ3 蛍光・リン光は入射光より長波長 蛍光・リン光は入射光より低エネルギー 9 2016/7/9 蛍光スペクトル:装置 蛍光 or リン光 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 蛍光は90°横から検出 透過光の混入を避けるため 蛍光 or リン光 λ2 色々な波長で 発光 10 2016/7/9 蛍光スペクトル測定 光源から特定波長(λ1)の取出し 蛍光 or リン光 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 蛍光の波長掃引 励起光: λ1 蛍光 or リン光 λ2 色々な波長で 発光 11 2016/7/9 励起スペクトル測定 蛍光 or リン光 励起光の波長掃引 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 蛍光 or リン光 λ2 単一波長(λ2)の蛍光の取出し 励起スペクトル 蛍光: λ2 λ2 色々な波長で 発光 λ1を波長掃引した時の、 λ2の蛍光強度変化 12 蛍光スペクトルと励起スペクトル 励起スペクトル (吸収スペクトル) 2016/7/9 蛍光スペクトル 励起スペクトルと蛍光スペクトルの 13 蛍光スペクトルと励起スペクトル 励起スペクトル (吸収スペクトル) 2016/7/9 蛍光スペクトル 励起スペクトルと蛍光スペクトルの 鏡像関係 14 蛍光スペクトルによる分析 2016/7/9 吸光度 (A=εcl) > 0.05 の時 定量性悪し セルの場所によって蛍光が 吸光度 (A=εcl) < 0.05 の時 定量性良し セルの場所による蛍光 蛍光強度 F = kI0Φεcl ∝ c (濃度) 15 蛍光スペクトルによる分析 2016/7/9 吸光度 (A=εcl) > 0.05 の時 定量性悪し セルの場所によって蛍光が 変化 吸光度 (A=εcl) < 0.05 の時 定量性良し セルの場所による蛍光 変化無し 蛍光強度 F = kI0Φεcl ∝ c (濃度) 16 蛍光スペクトル:応用 2016/7/9 1) 蛍光標識:タンパク質や核酸に蛍光プローブを結合させる 2) 細胞内物質のイメージング:蛍光標識タンパク質を用いて、タ ンパク質の細胞内局在等を調べる。 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー ブで標識し、蛍光のエネルギー移動効率から蛍光プローブ間 距離を見積もることが出来る手法 17 蛍光スペクトル:応用 2016/7/9 1) 蛍光標識:タンパク質や核酸に蛍光プローブを結合させる 2) 細胞内物質のイメージング:蛍光標識タンパク質を用いて、タ ンパク質の細胞内局在等を調べる。 Cancer Letters, 2001, 171, 153. Eur. J. Physiol., 2015, 467, 389. 18 蛍光スペクトル:応用 2016/7/9 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー ブで標識し、蛍光のエネルギー移動効率から蛍光プローブ間 距離を見積もることが出来る手法 hν1 D hν2 hν1 D A 蛍光プローブ1 蛍光プローブ2 hν3 A 19 蛍光スペクトル:応用 2016/7/9 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー ブで標識し、蛍光のエネルギー移動効率から蛍光プローブ間 距離を見積もることが出来る手法 hν1 D hν1 hν2 D A hν3 蛍光プローブ1 蛍光プローブ2 蛍光プローブ1 A ν1 (ν ) 2 励起スペクトル 蛍光スペクトル ν3 蛍光プローブ2 励起スペクトル 蛍光プローブ1の蛍光スペクト ルと蛍光プローブ2の励起スペ クトルの波長に重なりがある時 に起こる 蛍光スペクトル 波長(λ)/nm 20 2016/7/9 旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 y 0 電場成分(x-y平面) x z 21 光(電磁波):磁場成分 2016/7/9 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 y 0 x z 22 光(電磁波):電場成分 2016/7/9 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 y 0 電場成分(x-y平面) x z 23 光(電磁波):電場成分の波動 2016/7/9 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 y 0 電場成分(x-y平面) x y z z 24 2016/7/9 電場成分と円偏光 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 y 0 電場成分(x-y平面) y z x z 円偏光 25 2016/7/9 光(電磁波):平面偏光 自然光 電場成分(振動面) y 平面偏光 (直線偏光) y z z 26 2016/7/9 旋光度:光(電磁波) 平面偏光 (直線偏光) 電場成分(振動面) y 偏光子 (偏光フィルター) z 自然光 y z 27 2016/7/9 旋光性 平面偏光 (直線偏光) 電場成分(振動面) y 偏光面の回転 旋光性のある 化合物の溶液 z y z 旋光性:偏光面を回転させる性質 28 2016/7/9 旋光性 平面偏光 (直線偏光) 電場成分(振動面) 旋光性のある 化合物の溶液 y z 偏光面の回転 y z 右旋性(dextrorotatory): 光に向かって偏光面を右に回転させる性質 左旋性(levorotatory): 光に向かって偏光面を右に回転させる性質 d体、l体の名前の由来 29 旋光性を有する化合物 軸不斉 不斉炭素 (中心不斉) らせん不斉 2016/7/9 全て を有する化合物 30 旋光性を有する化合物 不斉炭素 (中心不斉) らせん不斉 2016/7/9 軸不斉 全て 鏡像異性体 を有する化合物 31 2016/7/9 旋光度(日局16の定義) 平面偏光 (直線偏光) 電場成分(振動面) 旋光性のある 化合物の溶液 y y 旋光度 α z z l t 旋光度 α = (1/100)[α]X lc α ∝ l(光路長) かつ α ∝ c(試料濃度) t [α]X: 比旋光度.光路長 (mm)、試料濃度 (g/mL)、 波長x nm、における偏光面の回転角 波長:ナトリウムD線 (約589 nm)を一般的に用いる 32 2016/7/9 旋光度(一般化学の定義) 平面偏光 (直線偏光) 電場成分(振動面) 旋光性のある 化合物の溶液 y y 旋光度 α z z l t 旋光度 α = [α]X lc α ∝ l(光路長) かつ α ∝ c(試料濃度) t [α]X: 比旋光度.光路長10 cm (1 dm)、試料濃度 (g/mL)、 波長x nm、における偏光面の回転角 波長:ナトリウムD線 (約589 nm)を一般的に用いる 33 2016/7/9 旋光度:物理背景 平面偏光 (直線偏光) 電場成分(振動面) 旋光性のある 化合物の溶液 y y z 旋光度 α z l 旋光性の生じる理由: 左円偏光と右円偏光に対する 屈折率 (nl, nd) の違い 屈折率 (nl, nd) : 波長によって異なる! 34 2016/7/9 旋光度:物理背景 平面偏光 (直線偏光) 電場成分(振動面) 旋光性のある 化合物の溶液 y y z 旋光度 α z l 旋光性の生じる理由: 左円偏光と右円偏光に対する 屈折率 (nl, nd) の違い 屈折率 (nl, nd) : 波長によって異なる! 35 2016/7/9 比旋光度:鏡像異性体 α = [α]Xt lc 鏡像異性体 (2) (1) t t [α]D(1) = −[α]D(2) 鏡像異性体の比旋光度は、互いに逆向きで絶対値が等しい 鏡像異性体同士の濃度が等しい時→旋光度α = 0 36 2016/7/9 比旋光度:鏡像異性体 α = [α]Xt lc 鏡像異性体 (2) (1) t t [α]D(1) = −[α]D(2) 鏡像異性体の比旋光度は、互いに逆向きで絶対値が等しい 鏡像異性体同士の濃度が等しい時→旋光度α = 0 ラセミ体 37 2016/7/9 比旋光度:光学純度 α = [α]Xt lc 鏡像異性体 (2) (1) t t [α]D(1) = −[α]D(2) 鏡像異性体の比旋光度は、互いに逆向きで絶対値が等しい 比旋光度の観測値 光学純度(%) = ×100 純粋な鏡像異性体の比旋光度 38 演習 2016/7/9 1. 絶対配置R体のある化合物について、濃度3 g/mLで、かつ、 光路長5 cmのとき、旋光度が30°であった。この化合物の比旋 光度を求めなさい。 宿題 絶対配置R体の化合物の比旋光度が30°であった。この化合物の 濃度2 g/mLの溶液を光路長20 cmのセルに入れた時の旋光度を 求めなさい。 (予習) 成功している人と、そうでない人は、何が一番異なるので しょうか? 39
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