社会システム論

社会システム論
第4回 宇宙・地球システムと人間
宇宙の視点から文明を考える
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松井孝典(東京大学名誉教授)
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地球惑星物理学
5月17日(木) 15:00~17:00
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比較文明文化研究センターセミナー
「宇宙から見た文明」
生涯教育プラザ プラザホール
宇宙的スケールで考える
空間的広がり
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最も遠い天体 132億光年
数百億、数千億の銀河があると予想
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銀河系の大きさ
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約10万光年
約2千億個から4千億個の恒星からなる
太陽系の大きさ
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そのうち観測されているのは数十万個程度
約1.6億光年
8個の惑星と、その他の小天体からなる
地球と太陽の距離 光の速さで8分19秒
時間的広がり
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ビッグバン(宇宙膨張) 137億年前
原始太陽の成立
50億年前
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太陽の寿命は100億年
地球の成立
生命の誕生
46億年前
40億年前
地球史年表(1)
地球の誕生
海の形成
原子バクテリア
シアノバクテリア
生物の陸上誕生
恐竜出現
鳥類出現
46億年前
40億年前
35億年前
25億年前
4億年前
2億年前
1億8千万年
1月1日0時
2月中旬
3月下旬
5月中旬
11月下旬
12月上旬
12月中旬
地球史年表(2)
霊長類の登場 6500万年前 12月24日20時
猿人登場
600万年前 12月31日
12時34分
原人登場
75万年前
22時34分
旧人登場
25万年前
23時31分
新人登場
16万年前
23時42分
縄文時代
5000年前
23時59分
26秒
変化の時間のスケール
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自然界の各階層において顕著な変化が
起きる時間スケール
天体(宇宙時間)
地表環境(地球時間)
生物(進化時間)
人間(文明時間)
約1億年
約100万年
約1万年
約20年
(海部宣男)
生命の発生から多様化
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生命の発生に関する有力説
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原始地球の海において、海水に溶けた有機物
の化学進化を通じて生じた
進化=生命の多様化
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あらゆる生命は共通の祖先を持つ
突然変異とさまざまな淘汰によって、環境に適
用する生命が残ってきた
基本的に単純なものから複雑なものへ
地球システム(松井孝典)
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構成要素
物質圏
 生物圏
 人間圏
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物質圏
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外から順に
プラズマ圏
 大気圏
海
 地殻
 マントル
 コア(核)
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物質圏としての地球
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閉鎖系としての地球
物質の出入りはない
外部から入るエネルギー
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太陽からの光・熱エネルギー
月の潮汐エネルギー
内部からのエネルギー
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地球内部の熱エネルギー
地球における
エネルギー・物質の流れ
水の循環
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太陽光によって地表が暖められる
海から水が蒸発し、大気中で雲になる
雨となって地表に降る。
大陸地殻を侵食しながら、海に戻る。
水の循環
大気の循環
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太陽光によって地表が温められる。
緯度による太陽熱供給の違い
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赤道付近が最もたくさん供給される
赤道から極方向に向かう対流
地球の自転によって生じる空気の流れ
両者が複雑に組み合わさるが、地球規模で見た
場合、大気の流れは基本的に一貫している。
(貿易風、偏西風)
大地の循環
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地球内部におけるマントルの対流
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地殻を動かす
生物圏
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生物
地表付近に分布し、有機物からなる
土壌、海洋
草原、森林
そこに生息する生物
生態系(エコシステム)
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ある一定の区域に存在する生物と、それを
取り巻く非生物的環境をまとめ、ある程度
閉じた一つのシステムと見なす
生物圏とは、地球環境全体に広がる生態
系の総称である。
来週の授業で取り上げる。
生物圏
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物質圏におけるエネルギー・物質の循環
に加えて
光合成・食物連鎖・生体物質の分解などの
過程を通して、エネルギー、物質の循環が
行われている。
人間圏
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生物の中での特殊な存在としての人間
1万年位前に、生物圏から分化し、新たに人間
圏が成立する
狩猟採集
農耕牧畜
狩猟採集と農耕牧畜の違い
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狩猟採集
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生物圏内部の物質・エネルギー循環を利用
農耕牧畜
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地球システムの物質・エネルギー循環を利用
する
人間圏
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人類は地球システムの中の新たな稀有製
要素として、人間圏を作った
人間圏を作ることによって、利用できる物
質循環の量は、圧倒的に大きくなった。
文明の発達 経済の発展
フロー依存型人間圏と
ストック依存型人間圏
フロー依存型
地球システムの物質循環を利用する
ストック依存型人間圏
地球システムの物質循環を積極的にコント
ロールする
地中に存在している鉱物資源の利用。
石油・石炭
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過去に存在した動物・植物が地中に埋も
れたもの
かっての太陽エネルギーを蓄積したまま、
地中に保存されていたエネルギー
物質・エネルギー循環の加速化
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人間は自己の欲望を満足させるために、地球シ
ステムからの物質のフローを増やした。
人間によって地球システムの物質やエネルギー
の流れが大きく変わった。
地球環境問題の本質
宇宙への進出
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人類は、初めて地球の外側から地球を眺
める視点を持った。