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東北社会学研究会大会@東北大川内
平成25年度東北社会学研究会大会
東日本大震災以後の社会理論の課題
「東日本大震災以後の社会理論の課題」
リスクと機能分化
コメント
討論者の研究関心など
(※省略予定)
災害の被害の
受けやすさ
ヴァルネラビリティ概念
• 災害研究の研究史/概念
災害研究
地域防災
地域社会と被災者ケア
• 保健師の災害対応
• ジェンダー
• 災害時要援護者
連
関
保健
医療
要援
護者
ジェンダー
概括的なコメント
1;三上
信頼
3;小松
機能
分化
2;正村
リスク
知
科学
•
•
•
•
原発災害メイン
近代「以後」
機能分化社会
リスク/危険
リスクをめぐるやり取り
(≒コミュニケーション)
(≒「リスクの政治」)
コメントの角度(討論者の関心)
A.リスクと機能分化
個人的関心から
B.
リスクと不平等
価値的な観点から
• 中間集団とリスク対処
• 民主的統合のあり方
• 機能システムと信頼
• リスクと責任帰属
• 知/無知とリスク定義
• リスク認知の不平等
A.リスクと機能分化(1)
~三上報告へのコメント
共助
• リスクとシンボリックなもの;「自主防災」
e.g.町内会自治会=中間集団、セーフティネット
コミュニティ
• リスクとディアボリックなもの;「分断?」
地域単位の防災にとって両者の区別は根本的
コミュニティをどのようなものとして描くか
Q 再帰的ディアボリズムからの「防災」とは?
A.リスクと機能分化(2)
~正村報告へのコメント
• 「機能分化」を前提とした意思決定システム
→いったい、どのシステムが意思決定を担うか
→「民主的統治」はシステム間の序列を前提?
e.g.「高台移転」;工学的、経済的、政治的
+「社会的」(=正村報告では「価値的」)
Q 民主的統治が可能になる条件はなにか?
三上報告の「シンボリズム」との関連など
A.リスクと機能分化(3)
~小松報告へのコメント
極端な!
• 東日本大震災と科学への「信頼/不信」の反転
e.g. 「御用学者」「全部ウソだった」
• クライシスの文脈(=「リスクのとき」)におけ
る諸社会システムの作動の特殊性
e.g. 小松(2012);「システミックリスク」論、
e.g. 災害時の「蓄積的排除」の強化と圧縮
Q なぜ災害時(クライシスの文脈)でこそシステ
ム間の極端な相互作用が生じるのか
B.リスクと不平等(1)
~三上報告へのコメント
「リスク」の責任
単一の責任帰属先
• リスク/危険をめぐる不平等(≒ディアボリズム)
→決定権の無さ(≒危険と「被影響」圏)
+弱い立場への単一の責任帰属と国家の帰責逃れ
Q 「境界線の曖昧さの利用」(p.6)の事態?
B.リスクと不平等(2)
~正村報告へのコメント
• 相対的無知を知ることのできる立場の不平等
e.g. 「科学コミュニケーション」
e.g. 放射線量の自主測定(市民イニシアティブ)
• 機能システム間でも無知/知の内容に差異(当然)
→この差異に対してとりうる理論的方向について
Q 民主的統治における「無知の知」の共有は機能
システム間でどのような形態をとりうると理論的
には記述できるか?(カップリングの問題?)
B.リスクと不平等(3)
~小松報告へのコメント
• 「不確実性吸収」と「問い直し」の契機(p.4)
→契機が与えられるか自体が不平等の問題
→信頼するしかないという状態
=見せかけの信頼以外の選択肢のないなかの
「被害」;抗議すら不可能
=だが、システム的には無問題
Q 「抗議」すらできないひとを支援する可能性
※排除と包摂の問題?
その他~気になったところ
※時間があれば・・・
• 三上報告 ←開発途上国の災害研究からみて
開発途上国ではディアボリズムは別の現れ方?
• 正村報告 ←リスクの文化的特殊性からみて
平成の「市町村合併」の地域防災への長期的影響
• 小松報告 ←報告原稿のp.6について
「情報の受け手の「自由」の前提」という箇所
情報伝達における前もっての可能性の縮減?
コメントと関連する文献
• 三上剛史, 2013, 『社会的ディアボリズム―リスク社会の個
人』, 学文社.
• 三上剛史, 2008, 「「安全・安心」、「信頼」概念再考の
ために」『安全安心社会研究ワーキングペーパー』.
• 正村俊之, 2012, 「リスク社会論の視点からみた東日本大
震災」『東日本大震災と社会学』, ミネルヴァ書房.
• 正村俊之, 2009, 『グローバリゼーション-現代はいかな
る時代か』, 有斐閣.
• 小松丈晃, 2013, 「社会的排除のリスクに抗する機能シス
テムはありうるのか」『滲透するルーマン理論』, 文眞堂.
• 小松丈晃, 2012, 「システミックリスクと社会の《危
機》」, 『現代社会学理論研究』.