ビジネスモデルとビジネス方法特許 1.ビジネスモデルとは 2.特許について 3.ビジネス方法特許の例 4.ビジネス方法特許の読み方 文教大学 幡鎌 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 1. ビジネスモデルとは どんなビジネスにも、企業活動を通じて顧客に働きかけ、 製品やサービスを提供して利益をあげる仕組みが存在。 それがビジネスモデル。 ビジネスモデルとは、顧客に価値を提供して利益をあげる ノウハウそのもの。 NEC IT Square「5分で分かる経営キーワード」より http://www.sw.nec.co.jp/biz_hint/keyword/biz_m/ 事業として何を行ない、どこで収益を上げるのかという「儲 けを生み出す具体的な仕組み」のこと。 特に、コンピュータやインターネットなどの情報システムを 活用した新しいビジネス手法のことを指す場合もある。 e-Words より (http://e-words.jp/) 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 例. リクルートのビジネスモデル リクルート 消費者と広告主のマッチングビジネス。(雑誌やネットで) リボン図で表現される。 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 日経産業新聞2004.9.30「リクルート高収益の行方(下)」より リクルートのビジネスモデルの具体化 キーマンズネット(http://www.keyman.or.jp/) ネットでのマッチングビジネス。会員は無料、情報提供企業は有料。 会員は、自分に必要な製品カテゴリー等を事前に登録 ↓ IT 業界の企業から、製品やセミナーに関する情報を提供 ↓ その情報を会員に無料で、Push型メールの形で情報を提供 ↓ 会員が資料請求やアンケート記入などの積極的なレスポンスを行った場合、 リクルートが情報提供企業に報告して、会員と企業をマッチングさせる。 * 特許取得「取引仲介システム及び取引仲介管理方法 (特許3034836号)」 会員と情報提供会社の両方にパーソライズ画面を表示。 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 2. 特許とは? イノベーションを促進するための仕組み 特許法の第一条 この法律は、発明の保護および利用を図ることによ り、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与すること を目的とする。 「発明」の定義 この法律で発明とは、自然法則を利用した技術的 思想の創作のうち高度のものをいう。(第二条より) 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 特許の例 医薬品・食品・素材などの製造方法 医薬品では特許化できると一般には製造を独占. 特許が切れると、他社が参入して安くなるのが普通. 機械・電機などの仕組み 1つだけでなく多くの特許で製品を守ることが多い. かつて, Xeroxは何百という数の特許でコピー機のビジネスを独占. キヤノンが破った. (プロジェクトXより http://www.nhk.or.jp/projectx/101/) ソフトウェアやビジネス方法 電子商取引の仕組みを権利化できる. 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 特許の審査基準 新規性 --- 特許出願前に、公然と知られた例、公然と知ら れた発明、刊行物やインターネットで利用可能な発明は ダメ. 進歩性 --- だれでも簡単に思いつくものはダメ.例えば、 他の分野の発明を単純に転用したり、寄せ集めはダメ. 産業上の利用可能性 --- 産業(農水産業やサービス業も 含む)で利用できないといけない.ただし,医療行為の方 法は除く. 公序良俗や公衆衛生を害するものはダメ. 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 特許の手続きと権利 手続き 出願(公表前に出願する必要がある) * 一般に, 出願後, 18カ月後に公開される. 公開番号 ↓ 審査請求(出願から3年以内に審査請求が必要) ↓ 特許庁での審査 * 一度、拒絶通知されても意見書で反論可能 ↓ 成立 = 登録査定(権利は出願後20年間) 特許番号 権利 権利期間 = 出願から20年間 権利範囲 = 請求項に記載した範囲 権利行使方法 = 差し止め、ライセンス料の請求など * 未成立でも、公開された時点で警告は可能 (成立したら請求しますよ!) 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 特許マップ(技術の木) どのように技術が発展 しているかを木で表現 (バイオ技術の例) 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 ソフトウェア/システムの特許とは? ソフトウェアも特許にできる. 最初は、ハードの一部にソフトウェアを使うことで特許された. そして、徐々にソフトウェアの位置づけが大きくなってきた. 平成14年改正法より、「プログラム」を請求項で保護できるように なった. システムの特許では, 組合せによる顕著な効果が必要 単なる組合せでは、特許として認められない. 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 ソフトウェアの特許の流れ http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/tt1210-037_qanda_a.htm#No,2 より 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 ソフトウェアの特許の例 ソフトウェアの要素技術/方式の特許の例 ・暗号化方式の特許 ・圧縮/伸張方式 (MPEG等) の特許 ・通信制御の特許 ・Acrobatの特許 --- 起動画面に表示される ・文書処理/検索の特許 などなど 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 ビジネス方法特許とは • ITの進歩により、ソフトウェアの応用可能性が広がって きた結果、ビジネス上のアイデアを汎用コンピュータや 既存のネットワークを利用して実現する事例が多く見ら れるようになってきた。そのため、広告、流通、金融その 他のサービス分野など、これまで特許制度との関係が 希薄であった分野・業種においても、こうしたソフトウェア の発明が見られるようになってきた。 • そのようにビジネス上の発明をソフトウェアで計算機上 に実装した特許が、ビジネス方法特許と呼ばれる。 ビジネスモデル特許、ビジネス関連発明、とも呼ばれる. 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 3. EC向けの特許の例(1) ガーラの掲示板「サイバーコップス」 http://sales.gala.jp/marketing/cyber/index.html 「電子掲示板システム」(特許第2951307号)取得 掲示板・チャットに対するユーザー投稿をフィルタリングし、その結果 を管理者へ報告する一連のシステムでのビジネス方法特許。 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 ガーラの掲示板の特許 【請求項1】 ネットワークを通じて利用者コンピュータと通信するサーバコンピュータ により構成され、~~を備えた電子掲示板システムにおいて、 電子掲示板に掲載することは不適当であるとして事前に選出された用語をデータ ベース化した掲載禁止用語集と、 電子掲示板に掲載したことに対する社会の反応に注意する必要があるものとして事 前に選出された用語をデータベース化した要注意用語集と、 前記メッセージ登録画面の記入情報のうち電子掲示板に掲載希望のメッセージにつ いて前記掲載禁止用語集および前記要注意用語集に照して検査を行う手段と、 前記掲載希望メッセージに前記掲載禁止用語集中の用語が含まれていない場合に 当該メッセージを電子掲示板に掲載する手段と、 前記掲載希望メッセージに前記要注意用語集中の用語が含まれている場合、要注 意用語が含まれたメッセージを電子掲示板に掲載した事象を当該電子掲示板シ ステムの運営管理人コンピュータに対して通知する手段と、 前記掲載希望メッセージに前記掲載禁止用語集中の用語が含まれている場合、当 該メッセージを発した利用者コンピュータに対してメッセージを掲載できない旨を 通知する書状の画面データを送信するとともに、メッセージの掲載を拒否した事 象を当該電子掲示板システムの運営管理人コンピュータに対して通知する手段と、 を備えたことを特徴とする電子掲示板システム。 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 EC向けの特許の例(2) 「出荷貨物の一括集配代行支援システム」(特許第3411257号) 日本通運の特許. 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 EC向けの特許の例(3) 日本商工会議所のオンラインマーク制度 http://mark.cin.or.jp/ 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 オンラインマークの特許 日立製作所の「インターネットマーク方式」を採用 http://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/solution/IM/ 日立は特許を取得. 「Webページの真正性確認システム」(特許第3184868号, 第3184869号) 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 EC向けの特許の例(4) 三井住友銀行の入金照合サービス「パーフェクト」 仮想口座番号を用いて 入金照合の手間を軽減。 (特許成立) www.smbc.co.jp/hojin/eb/perfect/ 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 EC向けの特許の例(5) 取引仲介サービスからマーケティング情報収集 「取引仲介システム及び取引仲介管理方法」 リクルートの「キーマンズネット」の特許(特許第3034836号) http://www.keyman.or.jp/ 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記事 情に鑑み、コンピュータ関連機器等の専門性が高い物 件の取引にあたり、提供者が見込み客となる利用者を 正確に把握することを可能にし、かつ利用者との一対 一のコミュニケーションを可能とすることにより、提供者 および利用者双方に便宜な取引仲介システムを提供 することを目的とする。 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 EC向けの特許の例(6) BtoBtoCの特許 中間業者の囲い込みに役立つ特許 – 松下電工の「すむすむ」の特許(特許第3280661,3280662号) – コクヨの「@office 」の特許(特許第2956661号) 個別取引条件を 販売店毎に設定 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 @officeのBtoBtoC コクヨ系の@office ・代理店を支援する機能を ASPで提供 ・ユーザは担当の小売店 のサイトにアクセスしてい るように見える(特許) 「べんりねっと」の位置づけ が変わって「@office」へ。 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 @office でのASP 顧客と代理店の両方に,ASPのサービスを提供. 顧客には,代理店が開設しているページのように見せている. PC @office (ASP) 顧客 (購入) ブラウザ 顧客からは代理店の サイトにアクセスして いるように見える アプリケーシ ョン (顧客用) ブラウザ 代理店 アプリケーシ ョン(代理店用) (顧客管理) C ---------- B -------------------------------- B 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 その他のEC向けの特許の例 インターネットナンバー 「ネットワーク上の情報へのアクセス方法及びシステム」(特許第3295667号) Amazonのリコメンデーションの仕組み System and methods for collaborative recommendations (USP 6,064,980) Yahooの検索方法の特許出願 「階層状に複式化されたドキュメントからの情報検索」(特表2001-522097) --- 日 本では未成立 米国では特許成立 “Information retrieval from hierarchical compound documents” (USP 5,991,756) 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許 4. ビジネス方法特許の読み方のコツ 特許明細書 一般の人にとって、最初から読 んでは全く分かりません。 【要約】 【特許請求の範囲】 【発明の属する技術分野】 【従来の技術】 【発明が解決しようとする課題】 【課題を解決するための手段】 【発明の実施の形態】 システム/ソフトウェアの技術を記述 ( 構成,フローチャート,データ構造など) 【効果】 2005.3.12 まず、 【発明の属する技術分 野】・ 【従来の技術】・【課題】を 読み、どんな分野かを知る。 次に、図(フローチャートや画面 例など)を見て、どんな手段か を知るといい。(特許明細書の 手段】は読みにくい。) 最後に、 【特許請求の範囲】を 読んで権利範囲を確認。 ビジネスモデルとビジネス方法特許 ビジネス方法特許の評価 特許明細書 【要約】 【特許請求の範囲】 【発明の属する技術分野】 一般の特許 【従来の技術】 ビジネス方法特許 【発明が解決しようとする課題】 技術的構成 【課題を解決するための手段】 ビジネス方法の 【発明の実施の形態】 進歩性も評価 の進歩性を 評価 システム/ソフトウェアの技術を記述 ( 構成,フローチャート,データ構造など) 【効果】 2005.3.12 ビジネスモデルとビジネス方法特許
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