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松下電器の特許権取得戦略
と
ビジネスモデル特許への取組み
松下電器産業株式会社
IPRオペレーションカンパニー
坂口智康
2001年9月19日
松下電器の概要紹介
松下電器の創業
1918年
故松下幸之助創業者(当時23才)は
「松下電気器具製作所」を設立し、
電気器具の開発・製造・販売を始める。
松下電器の歴史はここから始まる。
松下電器は発明から始まる
1、創業者は、有能な発明者であった。
2、1916年:
電気ソケットについて
「松下式ソケット」の名称で出願
1917年:
登録実用新案第42129号を取得」
1918年:
権利を実用化するために創業
故松下創業者の発明・考案数
(合計:100件)
灯具
電池
電熱器
配線・器具
その他
合計
特許・実用新案権
34
15
20
16
15
100
会 社 概 要
社名
松下電器産業株式会社
住所
大阪府門真市
設立
1918年 創業者:松下 幸之助
代表者
中村 邦夫
資本金
2、096億円
従業員
29万人
売上高
7.3兆円
R&D費
5,300億円
ブランド
主: National
副: Quasar
Panasonic
Technics
(1999年度データ)
分野別販売状況
●グローバル連結販売額 72 , 993億円
部品・デバイス(21%)
情報通信(28%)
産業機器(10%)
家電・住設機器(18%)
映像・音響機器(23%)
重点事業分野 (5成長6新規事業分野)
5成長事業
6新規事業
デジタル放送システム
ITS
半導体
ドキュメント
モバイルコミュニケーション
蓄積デバイス
ディスプレイデバイス
健康・ヘルスケア
環境・エネルギー
システムソリューション
Eネットビジネス
販売の1/2、生産の1/3が海外に
●地域毎の事業規模に応じた知財権の確保が必須
地域別販売額
アジア
(18%)
欧州
地域別生産額
アジア
日本
(51%)
(18%)
欧州
(6%)
(12%)
米国
米国
(19%)
(7%)
日本
(69%)
松下知財の概要紹介
松下知財の概要紹介
2000年度 各国別特許件数ランキング
日本(公開)
米国(登録)
会社名
件数
会社名
件数
1位 松下
12,250 IBM
2,922
2位 キャノン
10,751 NEC
2,034
3位 東芝
8,769 キャノン
1,897
4位 NEC
8,536 三星
1,442
5位 日立
8,535 Lucent
1,415
6位 ソニー
8,226 ソニー
1,394
7位 三菱
5,988 Micron
1,306
8位 リコー
5,019 東芝
1,264
9位 三洋
4,449 Motorola
1,203
10位 トヨタ自動車 3,582 富士通
1,169
11位 松下
1,150
中国(出願)
会社名
件数
松下
769
P&G
516
Philips
491
三星
482
ソニー
399
エリクソン
368
IBM
324
Siemens
316
NEC
284
三菱
257
欧州(公開)
韓国(出願)
会社名
件数 会社名
件数
Philips
1005 LG電子
5,842
Siemens
947 三星電子
5,091
松下
898 現代電子
5,005
ソニー
866 現代モータ
4,007
Lucent
817 POHANG
2,016
キャノン
767 KIA MOTOR
1,140
BOSCH
736 三星SDI
829
CITアルカ
641 ソニー
793
NEC
512 NEC
792
コダック
479 LG.Philips
691
14位 松下
540
松下グループにおける
日本の26の拠点に知的財産組織
知的財産権部門 組織構成図 知的財産スタッフ: 600人超
本社部門
知的財産権本部
日本弁理士:27人
米国弁護士: 1人
IPRオペレーションカンパニー
松下技術情報サービス
分社・関係会社
知的財産権部門
事業部
知財課
社内分社
知的財産権部門
研究所
知的財産権部門
世界各国の松下知財部門
<現地法人の知財管理部門>
米 アメリカ松下電器(株)知的財産権部 (ニュージャージ)
国
欧
州 ヨーロッパ松下電器(株)企画部知的財産権課 (ロンドン)
中
国
松下電器(中国)有限公司知識産権部 (北京)
アジア アジア松下電器(株)企画渉外センター (シンガポール)
<特許権取得 強化部門>
米
国 Panasonic Patent Center(PPC)
(ワシントンD.C.)
欧
州 Panasonic Patent Center(PPC)
(ミュンヘン)
松下の特許権取得戦略
松下の特許権取得戦略
2001年度 特許権取得方針
今後
従来
出願中心主義
ライセンス交渉重視の
特許権取得
国内出願偏重
グローバルな特許権取得
事業場毎の個別主義
松下Gのトータル戦略
<目標>
2003年 特許出願・登録数 : 日・中1位、 欧・米3位以内
-7-
松下グループにおける重要発明
・5成長6新規分野に関する発明
例:DVD、DTV、半導体、液晶、PDP
ITS、W-CDMA、eネット…etc
・国際標準規格に関する発明
例:DVD、MPEG、DTV…
権利取得のトレンドと対応
プロパテント
質の強化
グローバル
必要な国で、
必要な権利を、
必要な件数
早期権利付与
事業活動に同期した
タイムリーな権利取得
日本特許庁の新施策 「まとめ審査」
<<まとめ審査>>
<<通常審査>>
出願1
審判請求書
審判請求書
発明数
発明数
出願2
審判請求書
審判請求書
発明数
発明数
出願3
審判請求書
審判請求書
発明数
発明数
IPC分類付与
~IPC分類毎に各審査室へ~
出願1
審判請求書
審判請求書
発明数
発明数
出願2
審判請求書
審判請求書
発明数
発明数
出願3
審判請求書
審判請求書
発明数
発明数
まとめ対象リスト選定
審査官に技術説明
審査請求後
24ヶ月程度
で審査着手
~審査~
~審査~
~審査~
技術説明後
すぐに審査着手
~審査~
審査室の枠を超えて連携
松下グループの取組み
役割分担
分社・関係会社
発明管理の強化
重要発明抽出
面接審査
まとめ審査
早期審査
本社
直結体制構築
早期権利取得
体制の整備
各
国
特
許
庁
松下の発明現場と
各国特許庁とを
太く短いパスで結び
つけたい
松下グループの取組み
<東京知財グループ>
・10人(弁理士3人)のスタッフ
・面接審査を一括管理
・社内弁理士活用によるコストダウン
面接審査
まとめ審査
東京知財グループ
日本特許庁
(東京)
重要発明ルート
特許
事務所
通常発明ルート
本社
(大阪)
研究所、分社、関係会社
(日本全国26拠点)
1500
松下Gの面接審査/まとめ審査
件数の推移
1000
1427
500
0
396
427
'97
'98
651
'99
特許取得成功率
面接審査
85%
通常審査
58%
'00
面接審査強化の
グローバル展開
日本国特許庁
面接
面接
東京
知財G
ヨーロッパ
特許庁
米国特許庁
米国
特許事務所
中国知識
産権局
面接
PPC
PPC
ワシントン
オフィス
ミュンヘン
オフィス
面接
PPC北京
オフィス
国内特許事務所
知財担当者
(発明者)
知財担当者
(発明者)
知財担当者
(発明者)
松下電器 本社
松下
研究所・分社・関係会社
知財担当者
(発明者)
面接審査、まとめ審査のメリット
<面接審査、まとめ審査>
・審査官との意思疎通
→
・審査官から学ぶ
→
登録率アップ
権利化(審査)スピードアップ
松下社員のスキルアップ
<まとめ審査>
・事業戦略にマッチした群単位の特許権取得が容易
・重み付けが容易になり、効率も上がる
松下における
ビジネスモデル特許への取組み
スマイルカーブとビジネス特許
利益率
ビジネス特許
従来型特許
デバイス
製品製造
販売
サービス/
ソリューション
~松下におけるBM特許の類型~
ビジネスモデル特許は以下の3種類に大別される
① 新規ハードウエア開発
ハード特許 +
ハード利用のBM特許
研究・開発部門
に多い
② 新規システム開発
BMとして抽出
→特許出願
システム部門、
eネット部門
営業部門に多い
③ 個人のアイデアで
BM特許出願
出所は様々、
数は少ない
新規eネットサービス提案
BM提案
松下におけるBM特許の強化体制
<基本の考え>
松下のビジネス保護が最優先
<役割分担>
本社
①eネット事業、システムソリューション事業等
の重点事業から生まれるBM、
営業から生まれるBM を特許出願
②経営トップへの動機付け
③営業、SE社員への知財教育
研究所・分社 ①新たなBM提案を特許出願
新規ハードウエア特許をBM特許に拡張
②技術開発者への動機付けと教育
<その他>
BM特許緊急プロジェクトの発足
→ 組織を横断的に活動
松下のBM特許出願実績
BM特許出願:424件 (約1年5ケ月間の実績)
1999/10/01~2001/02/28
160
140
出願件数
120
100
80
60
40
20
0
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
松下の部門
L
M
N
O
P
Q
R
松下のBM特許出願分析
機器不特定の新しいビジネス方法、新しいサービスに関する
特許出願が少ない
BM特許モデル
BM特許出願分析
情報の出入口
40
35
ネットワーク
30
松下電器
他社
25
20
15
10
5
0
家電
放送機器
モバイル
サーバー
特定なし
Eコマース
その他
BM特許の特徴および課題
従来の特許と比べたBM特許の特徴と課題
①ビジネスの展開、終息サイクルが短い
→ 従来の知財管理では十分について行けない
②お客様との関係(共同出願、特許補償問題)
→ 安易な契約は危険、しかし信用維持も重要
③個人発明家、ベンチャー企業の保有権利に対する不安
→ クロスライセンスできない
今後の展開
①出願だけでなく、権利化/権利行使の体制強化
②さらなる社員教育の徹底
ビジネスモデル特許について
思うこと(私見)
<魅力>
特許出願のインパクト大 →ビジネスを大きく加速する
<リスク>
法整備、審査基準がまだ不明確
→ビジネスリスクが大きい
早急な法整備、適切な特許権付与が望まれる