水の官能試験による おいしさの相関について 法政大学工学部物質化学科 1 目的 水のおいしさの科学的判定 官能検査による水の評価 をする。 本実験では、水のおいしさの科学的判定と官能検査による 水の評価を行い、試料を増やすことで、おいしさの相関関係を 調べる。 2 理論 香り、口当たり、粘り、柔らかさ、硬さなどの項目から総合的に判断する。 感覚的なものであり、個人差が大きい。 一般的には食味官能値で総合的に評価をする。 検査対象の保存状態などの違いが影響されることがあるため、現状ではまだまだ 画一的な評価が困難と考えられている。 検査した人間が実際に試飲した時の感覚的な評価にしかすぎない。 水の科学的判定をするために、硬度の算出方法には Ca, Mgの成分量を必要とする。以下は算出式である。 硬度=[Ca]×100/40+[Mg]×100/24.3 試料が足りないと相関関係がよくばらつき、よくわからない。 相関関係は、試料が多いほど見やすい為、計24種の試料よ り結果をだす方が良いと考える。 3 方法ー官能テストによる評価 各試料の銘柄を隠し、各コップに違う水を注ぎ、官能テストを 行う。 評価は評点法5段階評価(以下記載)とする。 評価得点合計を求め、平均を出し、順位を決め、 硬度とスコアのグラフを作り、相関関係性を考える。 [ 5段階評価の仕方 ] 各自、普通だと感じるおいしさを基準に、5段階評価(評点法) により官能検査を行う。 非常においしい・・・・・・2点 おいしい・・・・・・・・・・・・1点 普通・・・・・・・・・・・・・・・0点 まずい ・・・・・・・・・・・・-1点 非常にまずい ・・・・・・-2点 4 試料データ –結果 試料名 ボルビック 南アルプス天然水 バナジウム天然水 エビアン/冷 アルカリ天然水 Penta ミナクア ヴァットヴィレール tillette ロケッタ エビアン/常温 バランスデイトウォーター サンタニオル asahi 酸素水 ティナント・スプリングウォーター 霧島の天然水 水道水 masafi VIVO ヴィッテル オキシジェン0 2 OXYGIZER コントレックス ハイドロキシターゼ Ca 9.90 9.70 7.50 78.00 18.00 0 9.00 180 77.4 57 78.00 9.00 92.1 0 22.5 33 3.4 0 91.00 69.80 180 486.00 213.5 Mg 6.10 1.50 2.50 24.00 0.04 0 3.30 15 13 3.5 24.00 1.00 15.4 0 11.5 20 19 0 19.90 31.00 41 84.00 243 K 5.70 2.80 1.00 1.00 0.40 0 1.10 1.3 0.5 1.00 1.00 1.7 0 1 6.8 0.2 0 4.90 1.10 0.6 3.20 192.2 Na 9.40 6.50 3.80 5.00 24.00 0 15.00 3 33 4.7 5.00 1.00 6 0 22 24 10 0 7.30 1.00 1.2 9.10 1945 硬度 49.85 30.42 29.04 293.77 45.16 0 36.08 511.7284 246.9979 156.9033 293.77 26.62 293.6245 0 103.5751 164.8045 70.00 86.6893 0 309.39 302.07 618.7243 1560.68 1533.75 pH 7 7.1 7.2 8.3 6.3 6.7 7.6 7.46 7.2 7 7.3 6.8 7 7.8 7 7.3 4.5 7.52 7.3 6.8 A グルー プ 6 4 4 1 2 2 1 2 -4 1 -4 -2 0 -3 -2 -4 -4 -6 -6 Bグルー プ 4 4 1 3 2 0 1 0 5 -1 4 1 -2 -1 -2 -1 -5 -4 -6 計 10 10 8 6 5 4 4 2 2 2 2 1 0 0 -1 -2 -3 -4 -4 -5 -9 -10 -12 -12 Av. 1.43 1.43 1.14 0.86 0.71 0.667 0.57 0.333 0.333 0.333 0.29 0.14 0.000 0.000 -0.167 -0.333 -0.43 -0.667 -0.667 -0.71 -1.29 -1.667 -1.71 -2.000 順位 1 1 3 4 5 6 7 8 8 8 11 12 13 13 15 16 17 18 18 20 21 22 23 24 5 結果 硬度-Av. 2 1 511.73/ヴァットヴィレール Av. 0 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 -1 618.72/OXYGIZER -2 硬度 詳しく!! 1533.73/ハイドロキシターゼ R2 = 0.4628 1560.68/コントレックス 6 結果-Ⅰ 1位 ボルビック・南アルプス天然水 おいしさと硬度の関係 [0-400] 3位 バナジウム天然水 4位 エビアン/冷 2 30.423 5位 アルカリ天然水 49.853 29.038 1 0.000 293.765 45.165 Av. 36.080 0 0.000 0 156.903 246.998 293.765 26.615 50 100 70.000 0.000 103.575 150 200 250 164.805 293.624 300 2 86.689 R = 0.1109 -1 21位 オキシジェンO2 グラフ外[400以上]: (22位 OXYGIZER) ヴァットヴィレール/511.72 (23位 コントレックス) (最下位 ハイドロキシターゼ) 309.393 302.072 20位 ヴィッテル -2 350 硬度 OXYGIZER,/618.72 ハイドロキシターゼ/1533.75 コントレックス/1560.68 7 結果-Ⅱ 1位 Penta, asahi酸素水, VIVO おいしさとカルシウムの関係 4位 masafi Ca-Av.[0-250] 5位 バナジウム天然水 2 9.90 9.70 7.50 1 78.00 18.00 0 9.00 Av. 57 0 9.00 0 78.00 0 50 22.5 0 77.4 3.4 180 92.1 100 150 200 250 33 91.00 -1 19位 サンタニオル 69.80 20位 ヴァットヴィレール・ OXYGIZER -2 Ca量 22位 ハイドロキシターゼ 180 2 R = 0.3651 213.5 (グラフ外:最下位 コントレックス/486) 8 結果-Ⅲ おいしさとマグネシウムの関係 1位 Penta, asahi酸素水, VIVO Mg-Av.[0-100] 4位 アルカリ天然水 2 1.50 2.50 1 Av. 0 0 -1 24.00 0.04 0 0 5位 バランスデイトウォーター 6.10 3.30 1.00 3.5 0 13 10 11.5 15 15.4 20 19 24.00 20 30 40 50 19.90 60 70 80 90 100 19位 エビアン 31.00 41 20位 オキシジェンO2 84.00 21位 OXYGIZER -2 Mg量 R2 = 0.4074 22位 コントレックス (グラフ外:最下位 ハイドロキシターゼ /243) 9 結果-Ⅳ 1位 Penta, asahi酸素水, VIVO 4位 masafi おいしさとカリウムの関係 5位 アルカリ天然水 K-Av.[0-10] 2 5.70 2.80 1 1.00 1.00 0 0.40 Av. 1.00 0 0.50 0 0 1.10 1.30 1.00 1 1.00 1.70 2 3 4 0.20 5 4.90 0 -1 1.10 0.60 6 7 6.80 8 9 10 18位 コントレックス 19位 ヴィッテル 2 R = 0.1905 20位 ボルビック 3.20 -2 K量 21位 霧島の天然水 (グラフ外:最下位 ハイドロキシターゼ /192.2) 10 結果-Ⅴ 1位 Penta, asahi酸素水, VIVO おいしさとナトリウムの関係 Na-Av.[0-35] 4位 バランスデイトウォーター 5位 オキシジェンO2 2 6.50 1 3.80 5.00 0 Av. 1.00 0 R2 = 0.1913 9.40 0 0 3 24.00 15.00 4.7 33 5.00 5 22 6 10 15 20 25 30 35 24 0 7.30 -1 10 19位 ティナント・スプリングウォーター 1.00 1.2 -2 20位 アルカリ天然水 9.10 Na量 21位 霧島の天然水 22位 tillette (グラフ外:最下位 ハイドロキシターゼ /1945) 11 結果-Ⅵ 酸性度:強 オキシジェンO2 おいしさとpHの関係 2位 Penta 3位 ミナクア 2 4位 ティナント・スプリングウォーター・ 1 Av. 6.3 0 4 5 6.7 6 7.2 7.46 7 6.8 4.5 -2 19位 ロケッタ 6.8 8.3 7.6 7.2 7.3 7 7 8 9 7.8 7 -1 R2 = 0.0364 7.1 7 ハイドロキシターゼ 7.3 7.3 7.52 20位 OXYGIZER 21位 ヴァットヴィレール pH値 22位 masafi アルカリ度:強 アルカリ天然水 12 酸素水のおいしさの比較 おいしさの比較 100% 80% 非常においしい おいしい 普通 おいしくない 非常においしくない 60% 40% 20% 0% オ キ シ ジ ェ ン 0 2 a s a h i 酸 素 水 O X Y G I Z E R バ ウラ ォン ース タデ ーイ ト 13 まとめ 日本人の一般味覚より、 一番おいしいとされたのは<軟水>次に<中硬水>特においしくないと されるものは<発泡水>であることが本実験からわかった。 特にボルビックは日本の水の硬度に近いこともあり、おいしいと感じられたのだと考える。 感覚的に冷えている水の方が、人間の味覚ではおいしく感じるからである。 このことから人間の味覚では常温・冷却水ではおいしさの判断がしにくくなる。 硬度計算に関わる成分量(Ca,Mg)が多いと硬度が上がるために評価も 下がる。(相関関係を持つ) 相関係数値結果からもわかるように、0に近い硬度・K・Naはおいしさにはあまり関係がなく、Ca・ Mgは相関係数が約0.4となっていることから、味に関係があると科学的に説明できる。 pH-Av.相関図からpHも成分同様に考えると、相関係数が0に近いことから味には関係ないこと がわかる。 味のおいしさには、成分による影響が大きいと考えられる! 14
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