小泉首相の靖国神社参拝に関する所感

21世紀のアジアと日中交流
の発展を考える
神田 健策
中国寧波大学外国語学院
今年は1945年から60年
• 1937年7月7日
盧溝橋事件
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日中戦争開戦日
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『紀念全面抗日戦争勝利60周年』
私の好きな中国映画
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張芸謀:初恋のきた道(我的父親母親)
あの子を探して(一個都不能少)
至福のとき(幸福時光)
陳凱歌:北京ヴァイオリン(和□在一起)
梁詠琪;再見(我的兄弟姐妹)
霍建起;山の郵便配達(那山 那人 那狗)
他、多数
斉 文波
1998年3月修了
中国農村協同組合金融の現状と改革に関する研究
The Study on Present Status and Reform of Rural Cooperatives in China
林 学貴
2000年3月修了
中国における「緑色食品」の認証システムと生産の課題
Production Issues of "Green Food“ in China
陳 秋明
2000年3月修了
中国農村における合作経済組織の実態分析-東北部S市を事
例として
Analysis of The Economic Organization of Area Co-ops in Chinese Farming -
Case Study of "S" City in the Northeast China-
周 銘国
2003年9月修了
中国農村における供銷合作社の展開と課題-基層供銷社の
協同組合としての展開を中心に-
The Development and Problems of Supply and Marketing Cooperatives in Rural
China.- With a focusd on the Cooperative Development of Specialized
Cooperatives-
李 中華
2005年 3月修了
中国における新型農協に関する研究-遼寧省農業統計分析と
実態調査を中心に-
New Agro-Cooperatives in China -An Analysis of Agriculture in Liaoning Province
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私の中国訪問
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①1993年8月
②1995年8月
③1997年7月
④2000年2月
⑤2003年10月
⑥2004年11月
⑦2005年7月
⑧2005年9月
⑨2005年11月
黒龍江省・北京市
黒龍江省・北京市
遼寧省大連市・北京市
香港・深セン市
遼寧省瀋陽市
遼寧省瀋陽市
折江省寧波市・上海市
山東省・青島市・西安市
遼寧省瀋陽市・北京市
二 日本と中国・アジア諸国
最近の日本とアジア近隣諸国
(中国、韓国など)との関係
• 政冷経熱
• ① 中国、2004年の成長率9.5%
• ② 日本にとって、中国が最大の貿易相手国
~ 2004年貿易統計
• 靖国神社問題 小泉首相の参拝
• 教科書問題 「つくる会」教科書の認可
日中韓3カ国の比較世論調査
~80%超が靖国参拝反対~
• 日本、中国、韓国の国民意識の比較
• 小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、中国の86%、
韓国の82%が「参拝すべきではない」と回答。
• 日本の国連安全保障理事会常任理事国入りについても、中
国の87%、韓国の85%が「反対」と答えた。
• 日本への親しみでは「あまり感じない」「全く感じない」を合わ
せると中国で83%、韓国で75%に上った。
• 2002年調査では中国が67%、韓国が69%で、ともに対日
感情が悪化していることを示した。(2005年6月19日 共同
通信社)
三 何故、靖国神社参拝が問題か
小泉首相の靖国神社参拝に関する所感(平成14年4月21日)
• 本日、私は靖国神社に参拝いたしました。
私の参拝の目的は、明治維新以来の我が国
の歴史において、心ならずも、家族を残し、国の
ために、命を捧げられた方々全体に対して、衷
心から追悼を行うことであります。今日の日本
の平和と繁栄は多くの戦没者の尊い犠牲の上
にあると思います。将来にわたって、平和を守り、
二度と悲惨な戦争を起こしてはならないとの不
戦の誓いを堅持することが大切であります。
小泉首相 中韓靖国批判に反論
• 「心の問題であり、これを批判することはいま
だに理解できない」
• 「私には何のわだかまりもない。日中、日韓
関係を重視しており、首脳会談を行う用意が
ある」
(2005.12.14 マレーシア)
靖国神社はどういうものか?
• 特殊な歴史観 太平洋戦争(日中戦争)は、
アジア人を解放した正しい戦争であった。
• 大東亜戦争
• ABCDラインに封鎖されてやむをえない戦争
• A級戦犯の処刑は戦勝国が敗戦国を一方的
に断罪
学生討論の声
• ドイツと日本の戦後処理の差異
• ナチスの徹底追求
• 教育 周辺諸国との共通の教科書作成
• 相手の立場にたって考えること
• 人々の痛みを知ることは、悲劇を「繰り返さな
い」という反省につながる。
歴史を知らない国民になっては
アジアと共生できない
侵略戦争と植民地支配についての歴史の真
実を知り、その反省の上に平和と民主主義の
憲法があることを学ぶことは、わが国の子ど
もたちが二十一世紀を生きる主権者として育
つ上で不可欠。
日中の障害は靖国参拝と胡主席
• 小泉首相はチリ・サンティアゴ市のホテルで中
国の胡錦濤国家主席と約1年ぶりに会談。胡
主席は「日中間の政治的障害は、日本の指導
者が靖国神社を参拝していることだ」と首相の
靖国参拝を強く批判。「適切に対処してほしい」
と中止を求めたが、首相は参拝継続の姿勢を
変えなかった。胡主席が首相に対し「靖国」に
直接言及したのは初めて。【サンティアゴ共同】
[共同通信社:2004年11月22日]
中曽根首相時代の長官「談話」
• 中曽根内閣は公式参拝翌年の86年、
後藤田官房長官談話。
• 靖国公式参拝を中止した理由について「近隣
諸国の国民の間に、我が国の行為に責任を
有するA級戦犯に対して礼拝したのではない
かという批判を生み」、「(わが国の)過般の戦
争への反省と平和友好への決意に対する誤
解と不信さえ生まれるおそれがある」と表明。
世界は日本をどう見ているのか
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各国の新聞
「根本に日本の無反省」
「日本はよい隣人になれないのか」
「日本の未来像を疑う」
「日本は何故、アジアの人々と一緒に新しい
時代を迎えようとしないのか」
• 「ドイツの常任理事国入りには反対の声はあ
がらないのに何故、日本は近隣諸国から反
対されるのか」
• →国際的に日本はおかしな国と見られている
朝日新聞世論調査
靖国参拝「中止を」48%
• 小泉首相の靖国神社参拝については、
「やめた方がよい」(48%)が「続けた方がよい」
(36%)を上回り、中止を求める意見が多かっ
た。
• 昨年11月の日中首脳会談後の調査では、3
9%対38%と拮抗(きっこう)していた。
• 2005年4月25日『朝日新聞』付
靖国問題の解決が日中友好の道
• 日中首脳会談(4月23日)
• 胡錦濤国家主席から「過去の歴史を反省するという
言葉を行動の上で表し、二度と中国人民の感情を
傷つけることはしない」よう求められる。
• (首相が)先のアジア・アフリカ首脳会議ので反省と
おわびに言及した以上、それと矛盾する行動、相手
から矛盾と受け取られるような行動は慎むべき。
• 小泉首相の靖国神社参拝問題を解決することなし
に事態の真の打開はない。
• 四年連続して参拝。
四 日本の戦前と戦後
大日本帝国憲法-天皇大権
• この憲法は1990年(明治23年)11月29日に施行され
る。
• 第1条 大日本帝国は、万世一系の天皇が国を統治
する。
• 第3条 天皇は神聖にして、侵してはならない。
• 第4条 天皇は国家元首で統治権を持つ。
• 第11条 天皇は陸海軍を統帥する。
• 第20条 日本臣民は、法律の定めたとおり兵役の義
務を有する。
• 第29条 日本臣民は、法律の範囲内において言論、
著作、印刷、発行、集会および結社の自由を有する。
五日市憲法草案の意義
• 「現存するすべての憲法構想の内最も民主
主義的内容のものであって、ブルジョア民主
主義の極致を行く独創的な案」(家永三郎)
• 「日本国民ハ各自の権利自由ヲ達ス可シ、
他ヨリ妨害ス可ラス、且国法之ヲ保護ス可シ」
• 「府県令ハ特別ノ国法ヲ以テ其綱領ヲ制定セ
ラル可シ、府県ノ自治ハ各地ノ風俗習例ニ因
ル者ナルカ故ニ必ス之ニ干渉妨害ス可ラス
其権域ハ国会ト雖モ之ヲ侵ス可ラサル者ト
ス」
五 日本国憲法成立の背景
立憲主義
• 憲法とは、国民の権利を守るために国家権
力のありあり方を定めたもの。
• 第99条【憲法尊重擁護の義務】
•
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重
し擁護する義務を負ふ。
• 前文 「人類普遍の原理」に反する「一切の
憲法、法令及び詔勅を排除する。」
憲法研究会の「憲法草案要綱」
• 1945(昭和20)年10月29日、高野岩三郎の
提案により、民間での憲法制定の準備・研究
を目的として結成。
• 事務局を憲法史研究者の鈴木安蔵が担当し、
研究会内での討議をもとに、鈴木が第一案か
ら第三案(最終案)を作成して、12月26日に
「憲法草案要綱」として、同会から内閣へ届け、
記者団に発表。
日本国民の中から生まれた
「憲法草案要綱」
• 同要綱の冒頭の根本原則では、天皇の統治権を否
定、国民主権の原則を採用する一方、天皇は「国家
的儀礼ヲ司ル」として天皇制の存続を認めた。また
人権規定においては、留保が付されることはなく、
具体的な社会権、生存権が規定されている。
• この要綱には、GHQが強い関心を示し、通訳・翻訳
部(ATIS)がこれを翻訳するとともに、民政局のラウ
エル中佐から参謀長あてに、その内容につき詳細
な検討を加えた文書が提出されている。また、政治
顧問部のアチソンから国務長官へも報告されている。
世界に先駆けた内容の説明
• そこでこんどの憲法では、日本の國が、けっして二
度と戰爭をしないように、二つのことをきめました。
その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戰爭を
するためのものは、いっさいもたないということです。
これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないの
です。これを戰力の放棄といいます。「放棄」とは「す
ててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっし
て心ぼそく思うことはありません。日本は正しいこと
を、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正
しいことぐらい強いものはありません。
もう一つは、よその國と爭いごとがおこったとき、
けっして戰爭によって、相手をまかして、じぶんのい
いぶんをとおそうとしないということをきめたのです。
日本国憲法9条の意義
• 「日本の誇り」「世界の宝」
• アジアの侵略を反省し、二度と戦争をしない
ことを約束したのが「憲法9条」
• 外国で戦争しないことの歯止めをかけてきた
のが「憲法9条」
六 何故、憲法九条の改正か?
日本を戦争可能な国に
• 憲法制定から半世紀以上を経たいま、九条を
中心に日本国憲法を「改正」しようとする動き
が、かつてない規模と強さで台頭しています。
その意図は、日本を、アメリカに従って「戦争
をする国」に変えるところにあります。そのた
めに、集団的自衛権の容認、自衛隊の海外
派兵と武力の行使など、憲法上の拘束を実
際上破ってきています。
• そして、子どもたちを「戦争をする国」を担う者
にするために、教育基本法をも変えようとして
います。(九条の会アピール)
米国・国家戦略研究所の特別報告(2000年10月)
• アメリカ国防大学「国家戦略研究所」が発
表した「合衆国と日本――成熟したパート
ナーシップに向けての前進」(元国防次官
補のアーミテージ)。
• 日米軍事共同作戦体制の障害を除去す
るためとして、自衛隊が後方支援だけで
なく、前線に出て米軍と共同行動できるよ
う、集団的自衛権を採用すべきだと要求。
イラク大量兵器 米大統領「情報
の多く誤り」
• ブッシュ米大統領は十四日、ワシントン市内
で講演し、イラク戦争開戦の理由となった同
国の大量破壊兵器に関する情報について
「多くが誤りだったことは事実だ」と認め、「大
統領として開戦の決断に責任がある」と述べ
た。一方で、フセイン政権の打倒は正しい判
断だったとあらためて強調し、「勝利を達成す
るまでイラクを出ることはない」と米軍の早期
撤退を否定した。(2005年12月)
米国支持に誤りはない 安倍官房長官
• 安倍晋三官房長官は十五日午前の記者会
見で、ブッシュ米大統領がイラク戦争前に把
握していた大量破壊兵器に関する情報の多く
が「誤りだった」と認めたことについて、「イラ
クが過去実際に大量破壊兵器を使用したと
いう事実や、国連査察団が指摘した数々の
未解決の問題をかんがみれば、イラクへの武
力行使が開始された当時、大量破壊兵器が
あると想定するに足る理由があった」と述べ、
日本が米国を支持したことに誤りはなかった
との考えを示した。 (2005年12月15日)
憲法改正の試案の特徴
• 現行憲法第9条2項「戦力不保持」規定削除
•
→「軍隊の保持」(自衛軍。防衛軍)
•
→「集団的自衛権行使」
• (国連決議があれば海外での武力行使が可
能/米国のための集団的自衛権の行使)
• 「伝統重視の前文」 天皇制は、日本の歴史、
伝統及び文化と不可分