新幹線を用いたモーダルシフトの 可能性に関する研究 流通情報工学

新幹線を用いたモーダルシフトの
可能性に関する研究
流通情報工学課程
2000717 久保 祐樹
モーダルシフト化率の推移
モーダルシフトが進まない現状。
60%
50%
40%
30%
20%
10%
モーダルシフト化率の推移
12
10
8
6
4
61
59
57
55
53
63
平
成
2
和
51
0%
昭

過去の研究




土木学会と日本航海学会の過去20年の研究を検索
キーワードはモーダルシフトとして検索
両学会でキーワードに該当した研究10件のうち8件が海運に
関するもの。
鉄道の過去の研究は在来線しか対象としていない。
鉄道輸送の問題点

在来線貨物輸送には輸送容量に限界がある。
トラック輸送発展の理由として高速性。
60
54
50
物流時間(時間)

40
30
20
19
9
10
0
鉄道
トラック
輸送機関
海運
(例)東京~大阪間輸送機関別物流時間の比較
研究目的

高速性を持つ輸送手段として新幹線。
新幹線は貨物輸送を行っていない。

新幹線を用いたモーダルシフトの可能性について検討。

検討項目

以下の項目について検討を行う
 対象範囲についての検討
 導入効果から見た検討
 輸送方法から見た検討
 輸送サービスを変化させた場合の検討
対象範囲についての検討
線の色
路線名
東海道新幹線
山陽新幹線
東北新幹線
上越新幹線
北陸新幹線
山形新幹線
秋田新幹線
新八代
区間
東京
新大阪
新大阪 博多
東京
八戸
東京
新潟
東京
長野
東京
新庄
東京
秋田
博多
八戸
秋田
盛岡
新潟
新庄
福島
長野
高崎
大宮
新大阪
東京
鹿児島中央
検討方法として路線ごとに駅を持つ県間流動量の合計を求める。
対象範囲の決定
路線別県間流動量(3日間)の比較
713658 , 12%
689700 , 12%
2968429 , 51%
513796 , 9%
459149 , 8%
東北新幹線
秋田新幹線
山形新幹線
上越新幹線
長野新幹線
東海道山陽新幹線
467121 , 8%
単位:トン
東海道山陽新幹線の県間流動が全路線県間流動に対して51%と多い。
全国での総流動量2,768万9,224トンに対しても10%を占めている。
東海道山陽新幹線の県間を対象範囲とする。
導入効果から見た検討

鉄
道
ト
ラ
ッ
ク
海
運
犠牲量モデルを用いて新たに新幹線を追加したときに各輸送機関の輸送量に
どのような変化が起こるか検討
輸送機関の分類
鉄道(コンテナ)
鉄道(車扱・その他)
自家用トラック
営業用トラック(宅配便等混載)
営業用トラック(一車貸切)
トレーラー
フェリー
海運(コンテナ船)
海運(RORO船)
海運(その他船舶)
航 空
その他
航
空
追
新幹線
加
貨物の品目分類
農水産品
林産品
鉱産品
金属機械工業品
化学工業品
軽工業品
雑工業品
特殊品
新幹線の運賃と物流時間の設定

トン当たり運賃は以下のように設定した。



過去の研究から1両あたり18トン積載できるとし、座
席数は100とする。
1人当たり料金×100×座席利用率(65%)÷18トン
物流時間は以下のように設定した。

時刻表における輸送時間+集配送時間として4時間
総量で見た変化
輸送機関 導入前
導入後
変化量
変化量/対象地域総量
鉄道
57,105
56,873
-232
-0.007%
トラック
2,634,353 2,624,282 -10,071
-0.314%
海運
512,772
509,030
-3,742
-0.117%
航空
1,388
1,262
-126
-0.004%
新幹線
0
14,170
14,170
0.442%
単位:
トン
3日間
18トン×16両=1編成とすると、288トン積載できる。
約49編成分モーダルシフトが起こった。
品類で見た変化
品類
農水産品
林産品
鉱産品
金属機械工業品
化学工業品
軽工業品
雑工業品
特殊品
合計
単位:
トン
変化量 品類ごとの総量 変化率
749
76,643
0.977%
-
-
-
5,538
1,072,117
0.517%
1,967
700,607
0.281%
533
567,434
0.094%
5,090
418,343
1.217%
0
140,518
0.000%
293
229,955
0.127%
14,170
3,205,618
0.442%
3日間
変化量で見ると鉱産品が1番多い。
変化率で見ると軽工業品が1番高い。
雑工業品はモーダルシフトが起こらなかった。
県間で見た変化
モーダルシフトのOD表
単位:
トン
東京都
神奈川県
岐阜県
静岡県
愛知県
発 滋賀県
県 京都府
大阪府
兵庫県
岡山県
広島県
山口県
福岡県
東京都
神奈川県 岐阜県
静岡県
14
3
597
147
187
11
21
200
78
14
32
47
12
8
3,003
108
14
13
58
22
10
4
36
32
愛知県
54
141
850
49
4
5
50
32
51
4
5
1
38
14
3
40
38
41
40
13
4
着県
京都府
滋賀県
大阪府
49
41
174
198
5
12
2
64
8
11
12
2
41
41
59
103
562
264
68
82
22
1
53
65
98
9
8
8
43
113
26
14
41
6
兵庫県
92
35
27
217
202
35
93
30
82
28
100
105
18
165
1,269
232
248
149
56
108
52
26
42
モーダルシフトの起こった県間数は151。
岡山県
広島県
山口県
4
59
3
34
63
6
4
43
78
9
20
9
53
44
14
18
99
123
6
36
24
56
68
福岡県
3
6
3
16
25
4
3
39
30
425
53
18
38
2
81
39
18
24
16
83
368
100
31
3日間
100.0%
90.0%
80.0%
70.0%
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
25%の県間でモーダルシフト
総量の8割を構成する。
1
11
21
31
41
51
61
71
81
91
10
1
11
1
12
1
13
1
14
1
15
1
累計構成比
県間で見た変化
県間数
貨物が特定の県間に集中していることがわかる。
モーダルシフトの対象県間
総量
発県
22 静岡県
28 兵庫県
21 岐阜県
21 岐阜県
28 兵庫県
33 岡山県
33 岡山県
14
27
22
13
23
35
40
着県
貨物量(トン) 構成比 累計構成比
21.2%
神奈川県
3,003 21.2%
9.0%
30.1%
大阪府
1,269
6.0%
36.1%
静岡県
850
4.2%
40.4%
東京都
597
4.0%
44.3%
愛知県
562
3.0%
47.3%
山口県
425
2.6%
49.9%
福岡県
368
主要品類
主要輸送機関
県間構成比 品類構成比
鉱産品
軽工業品
鉱産品
鉱産品
軽工業品
鉱産品
鉱産品
97.1%
100.0%
100.0%
97.9%
76.7%
86.6%
59.0%
52.6%
24.9%
15.3%
10.5%
8.5%
6.6%
3.9%
構成比
海運
トラック
トラック
トラック
トラック
海運
トラック
97.1%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
86.6%
100.0%
3日間
総量に対する構成比50%。
主な品類は鉱産品と軽工業品。
主にトラックと海運からシフト。
輸送方法
コンテナやロールボックスパレットなど
貨物列車
旅客列車
連結
連結
貨物専用列車
一部貨物列車
対象県間における輸送方法
貨物専用列車は288トン、一部旅客列車は座席利用率が65%で
あることから残りの35%(101トン)を貨物車両として利用する。
対象県間
発県
22 静岡県
28 兵庫県
21 岐阜県
21 岐阜県
28 兵庫県
33 岡山県
33 岡山県
14
27
22
13
23
35
40
貨物量(
トン)
必要編成(
編成)
着県
3日間 1日あたり 貨物専用列車 一部旅客列車
1,001
3.5
9.9
神奈川県 3,003
423
1.5
4.2
大阪府 1,269
283
1.0
2.8
静岡県
850
199
0.7
2.0
東京都
597
187
0.7
1.9
愛知県
562
142
0.5
1.4
山口県
425
123
0.4
1.2
福岡県
368
水色の対象県間については1日あたりの必要編成が1編成に満たないため、
輸送方法は一部貨物列車とするほうが良いと考えられる。
感度分析での総量の変化
ケース
1
2
3
4
5
輸送機関 料金(
倍)時間(
倍)
新幹線
0.8
新幹線
0.8
新幹線
0.8
0.8
トラック
1.2
トラック
1.2
1.2
新幹線
0.8
0.8
トラック
1.2
1.2
6
ケース
1
2
3
4
5
6
モーダルシフト量(
トン) 増加率(倍)
14,795
1.04
17,560
1.24
18,437
1.30
16,854
1.19
16,859
1.19
25,992
1.83
3日間
結論




対象範囲は、東海道山陽新幹線の駅を持つ県間にモー
ダルシフトの可能性があるということがわかった。
導入効果として、対象範囲において約49編成分モーダ
ルシフトの可能性があるということがわかった。
輸送方法として、貨物専用列車と一部貨物列車を使い
分ける必要があるということがわかった。
トラックと新幹線の運賃と物流時間では、物流時間が
モーダルシフトに影響を与えることがわかった。
今後の課題

新幹線の運賃と物流時間は仮定した。


データが存在すれば正確な計算ができる。
輸送ダイヤや荷役方法について詳しく検討する
必要がある。