『YouTube革命』について 小林ゼミ グループB 演習Ⅱの前期に1人1冊 IT関連の 書物を選定し、書評を作成 それをもとに今回の発表を行う 1 『YouTube革命』 (ソフトバンククリエイティブ、2006年) 著者略歴 神田敏明(かんだ としあき) ビデオジャーナリスト。コンピューター系フリーペーパーの編集 長などを経て、世界で一番小さなデジタル放送局 「KNN.com」 を起業。 また、日本初のテレビ&ユーチューブ同時配信を実現した 「BlogTV」(東京MXテレビ)でキャスターを務める。関西大学総合 情報学部講師。㈱宣伝会議「編集・ライター養成講座」「Webディ レクション講座」各講師。 2 「YouTube」とは 3 YouTubeは・・・ 動画共有サービスを提供するアメリカの企業 2006年、グーグルが16億5000万ドルで買収 膨大なアクセス数を誇る cf. 動画共有サービスとは: 動画を無料で提供するウェブサイト ユーザーの動画投稿が可能 4 YouTubeのチャームポイント 無料で大容量の動画をアップロードできる投稿機能 膨大な作品の検索を可能にするタグ機能 動画でコミュニケーションする共有機能 埋め込みタグによるブログスフィア活用 ひかえめな宣伝 おおらかな著作権保護対応 ↓ あらゆる面でユーザーにとっての使いやすさが考 慮されている 5 YouTubeのメディアパワー 6 YouTubeのメディアパワー 連鎖するコンテンツ 面白いと思った映像はすぐにシェアできる ユーザー同士がインフルエンサーとなって話題 が広がる ↓ カネもかからず難しい演出も不要で、 少しの勇気さえあれば誰でもまねができる 7 YouTubeのメディアパワー 「Bouncy Balls」(ソニーUK「ブラビア」CM) サンフランシスコの坂道を25万個のカラーボールが落 ちていく映像 「The DietCoke & Mentos Experiments」 2ℓのダイエットコークに4粒のメントスを入れると、噴水 のように噴出すというもの 「たったひとつの宝物」(明治安田生命CM) 小田和正の「言葉にできない」がBGMに使われた、スラ イドショー仕立てのCM 8 YouTubeのメディアパワー オリジナルを超える参加型コンテンツ 著作権問題よりもまず、聞いてもらえる場を提 供することのほうがビジネス的にも意味がある ユーザーにコントロールを委ね、コンテンツを 開放することによって、新たなコンテンツビジネ スが成立する 9 YouTubeのメディアパワー 10 動画共有が創造するビジネスモデル 11 動画共有が創造するビジネスモデル ネット広告市場が拡大 国内ネット広告費 1814億円(2004) → 3630億円(2006) 国内ネット動画広告費 5億円(2005) → 50億円(2006) 世界ネット広告費 186億ドル(2005) → 342億ドル(2008予測) 12 動画共有が創造するビジネスモデル YouTubeならではの広告手法 「参加型動画広告(PVA)」 レート付けやコメント付加など、YouTubeのコミュ ニティ機能をすべて備えた広告形式 「ブランドチャンネル」 企業やアーティストと連動する広告チャンネル コメントやトラックバックなどの機能も使える 13 動画共有が創造するビジネスモデル CGCM(コンシューマ・ジェネレーテッド・コマーシャル) 「メントス&コーク」 メントス製造元が広告枠を買い上げ、動画を制作 した「Eepybird」には3万ドル(350万円)以上の広 告収入が支払われた ↓ CGCMが単なる遊びからクリエイターの収入源の 一つとして定着する可能性 14 動画共有が創造するビジネスモデル 企業発のYouTubeCM 「NikeCosplay」(Nike) 秋葉原で一人のサラリーマンが突然、戦隊ものの コスプレをした集団に追いかけられる 「日本メガネ党 政権放送」(メガネストアー) お笑いコンビ「おぎやはぎ」が日本のメガネ人口 増加を訴える 15 方向転換を余儀なくされるテレビ業界 16 方向転換を余儀なくされるテレビ業界 視聴環境の変化 大容量HDDレコーダー、「ロケーションフリー」の 登場で、見たい番組を見たい場所で見たい時に 見られるようになった ↓ 番組放送時間帯に在宅している人のみ対象の 視聴率というモノサシが崩壊 17 方向転換を余儀なくされるテレビ業界 視聴率という亡霊 日本のテレビ業界は視聴率に基づく従来のビジネス モデルにしがみついたまま ↓ メディアの地殻変動がすでに起きていることを考え、 どのように対処すべきなのか、もっと議論されなけれ ばならない 18 著作権2.0を考える 19 著作権2.0を考える YouTubeは著作権の侵害者なのか? 削除要請に適宜対応 1ファイル当たりの時間制限 通報ボタン「Flag as Inappropriate」の設置 動画の自動フィルタリング機能も導入予定 ↓ イリーガルなコンテンツが長く続かないことは YouTubeが一番よく分かっている 20 著作権2.0を考える 告訴から共存へ 日本の著作権関係権利者団体がYouTubeに対し 集中的に削除要請を行い、約3万件のファイルが 削除されたことがある ← 米国のテレビ局は共存の道を歩みはじめている 21 著作権2.0を考える ⒸからCCへ 「CC(クリエイティブ・コモンズ)」 個人著作者や非商用コンテンツホルダーが、ある 程度その著作物の権利を持ったまま、一定の条 件下で著作物を他人に利用させることを可能にし ようという運動 ↓ コンテンツはまずユーザーにとって扱いやすいもの であるべき 22 YouTube後の世界 23 YouTube後の世界 YouTubeの登場により、映像の世界に誰もが 簡単に参加できるようになった ↓ ユーザー1人ひとりが自己表現の手段として コンテンツを生産し流通させることができるよ うになった 24 YouTube後の世界 「情報の生産と流通」のコストが限界まで削減 されることにより、新たなライフスタイルが生ま れようとしている ↓ その社会を生み出すトリガー =「ユーチューブ革命」 25 著者の問題設定とその回答 26 著者の問題設定とその回答 著作権について 長い目で見れば、利益を上げる上でも、広くユー ザーにコントロールを委ね、コンテンツを開放する ことが重要である 新しいビジネスや文化について 連鎖していくコンテンツの力は、放送の既得権益 を変え、著作権制度にも影響を及ぼし、クリエイテ ィブのスタイルの変革にもつながっている 27 著者の問題設定とその回答 「情報の偏食化」の問題 ブログやSNSなどコミュニティ化が進み、検索可 能な情報が増えると、自分の好みに合う、自分に とって都合のいい情報ばかり収集してしまう ⇒「情報の偏食化」 対策 ユーザーが自分では絶対に選ばない、検索しな い、見つけられない情報「ノイズ(雑音)」をマスメ ディアが提供していく 28 評者の見解 29 評者の見解 著作権について コンテンツの硬化防止のためにも、著作権を過度 に保護するべきではない ⇒クリエイターがインセンティブを失わない ような新しいシステム作りが必要 新しいビジネスや文化について 一視聴者でしかなかった人たちが、自らコンテン ツ提供者になりたいと思えるようになり、それを実 現できるようになったのは、大きな変革である 30 評者の見解 「情報の偏食化」について 著者の提案 : マスメディアによるノイズの提供 ⇒ユーザーはそのノイズが鬱陶しいからこそ 検索可能な映像に飛びついた 本当に必要な対策とは、ユーザー自身が自ら情報 が偏らないように気を付けて情報収集できるように することを目的としたものであるべき 31 質疑応答 32
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