アナログ停波がケーブルTVに与える影響 2009年4月 若山(テッド)隆 NSI Research, Inc. 5080 Shalen Ct. San Jose, CA 95130 [email protected] NSI Research, Inc. 会社概要 1987年にシリコンバレーで設立。 調査・コンサルティング分野はIT、通信、それに放送 1994年に双方向TVサービス分野のニュースレターの The Compassを出版開始 業務内容 委託調査&リテイナー・コンサルティング 出版: The Compass,および放送分野のレポート 若山(テッド)隆 オクラホマ州立大学イーストセントラル校のメディアとコ ミュニケーション学部学士 カリフォルニアの調査会社Strategic Inc.の調査部長を 経て、NSI Researchを設立 NSI Research, Inc. 2 NSI Research, Inc. 最近の委託調査 モバイルTV放送設備調査 POS端末におけるバイオメトリックセキュリティーの利用動向 マルチチャネルサービスにおけるプログラミング ケーブルTV事業者の収入構造と広告市場 欧米グローバル企業のR&D管理体制の調査 メッセージング・セキュリティー市場 コミュニティー・チャンネルの現状 米国の700 MHz帯競売の背景 米国MSOの戦略調査 Enterprise DRM市場と競合 OCAP市場とベンダー動向 P2Pとネットワーク中立性問題に関する調査 組み込みデータベース市場と競合の調査 欧米の放送規制に関する調査 米国における通信事業者のビデオ市場参入に関する規制 欧州と北米のデジタルSTB市場 米国の携帯電話向けコンテンツサービスの動向 NSI Research, Inc. 3 アナログ停波後のマストキャリー NSI Research, Inc. 4 多チャンネルサービス市場 地上波の視聴は多チャンネルサービスによる再送信が主 体 多チャンネルサービスへの加入: 9950万 計算上の普及率は87%だが、複数のサービスに加入している 世帯もあり、実際はこれより低い 地上波放送の直接受信 のみの世帯: 約1800万世帯 アナログケーブルTV加入 世帯は2300万世帯 2008年多チャンネルサービス加入世帯シェア IPTV 3% その他 1% アナログケーブル 24% DBS 32% デジタルケーブル 40% NSI Research, Inc. 5 マストキャリー規制の概要 ケーブルTV事業者(IPTV含む)はそのサービス地区にお ける地上波放送局の全てを再送信しなければならない DBS事業者の場合、地上波再送信サービスを提供した地区で は、その地区の全局の再送信が義務化される 地区内の放送局と同様の番組を配信する地区外の放送 局の再送信はしてはならない この義務に基づいて行われる再送信に対して、放送局は ライセンス料の請求を含め、条件を求める事は出来ない しかし、放送局は義務による再送信を辞退し、再送信条 件の交渉を出来る 多チャンネル事業者への再送信義務は無くなるが、ネット ワーク系等の視聴者の多い局を再送信しないと、加入者 が不満を持ち、チャーンが増えるので拒否することは難し い NSI Research, Inc. 6 デジタル移行後の再送信義務 FCCはアナログケーブルTVサービスをしている事業者に 対しては場合は、2012年2月までは、デジタルによる再送 信に加え、デジタル地上波をアナログ変換し、再送信も行 う、2重のマストキャリーを義務化。 FCCは対象は主チャンネルで、副チャンネル(マルチキャ スト)の再送信義務は無く、また、再圧縮も可能とした。 しかし、番組がHDで放送されている場合は、1) HDのま ま、2) SDのSTB向けにダウンコンバートした信号、3) ア ナログ化した信号の3つの放送をしなければならない可能 性もあり、帯域の不足が問題になる。 特にシステムのアップグレードがまだ、あるいはデジタル 化がまだの小規模局には問題 NSI Research, Inc. 7 小規模事業者への免除策 加入世帯2,500以下で、大手ケーブル事業者の系列下で は無いシステム、あるいは帯域が552 MHz以下のシステ ムに対してはHD放送の再送信義務は免除し、デジタル SD、あるいはアナログへのダウンコンバートで再送信義 務を果たした事に見なす しかし、システムの規模にかかわらず、HDでの再送信を 行う場合、もしシステム内に、HD対応のSTBを持たない 世帯が存在する場合、同時にデジタルSD、あるいはアナ ログでの再送信は必要とする。しかし、デジタルSDとアナ ログは同じ解像度の同等放送であり、SDデジタルとアナ ログの両方での再送信義務は無い。 NSI Research, Inc. 8 帯域不足のケーブルTV事業者 NSI Research, Inc. 9 ケーブルTV事業者の帯域 大手事業者は850 MHz程度のシステムを使っている 地上波再送信、CNN等の基本的な多チャンネルネット ワークで500MHz(70チャンネル)程度を使う 残りの350 MHz程度で、デジタルサービスのチャンネル、 VOD、ケーブルモデムの上り回線を提供する HD放送の数、VODの規模、ケーブルモデムの速度を増 やすにはさらなる帯域が必要 DBS事業者はHDチャンネルの数で攻め、ケーブルTV事 業者は対抗出来ていない 電話事業者とのブロードバンドサービスの競合上でも帯 域の確保は不可欠 NSI Research, Inc. 10 帯域拡張の方法 1,000 MHz、あるいはそれ以上を使うにはSTBを含めた システムのアップグレードが必要になる MPEG-4への移行: STBのリプレースが必要になり、高価 STBのリプレースをする場合、CableCARDを採用する必要が ある ノード・スプリット: ノードあたりの世帯数を減らす事で、 ケーブルモデムの高速化等は出来るが、放送チャンネル は増えない スイッチド・デジタル・ビデオ(SDV): 視聴者の少ないチャ ンネルはSDVにして、視聴者が無いときは帯域を使わな い アナログ放送を止めることで、500 MHz近い帯域が回収 出来る NSI Research, Inc. 11 ケーブルTVのデジタル移行の方法 NSI Research, Inc. 12 困難なアナログ放送の終了 アナログ放送を終了させるためには、アナログサービスへ の加入世帯の全TV、それにデジタルサービス世帯のTV でアナログサービスに接続されているTVに対してSTBを 提供する必要がある STBのレンタル料を取れたとしても、ケーブルTV事業者 は先行投資が必要になる アナログサービスの加入世帯は現状以上のTVサービス を求めていなく、高価になるデジタルサービスに移行させ ることは困難 無理にデジタルサービスへの移行させる、あるいはアナ ログサービスで提供されているチャンネルを削り始めると、 DBS等の競合に乗り換えるリスクがある NSI Research, Inc. 13 ケーブルTVのデジタル移行 アナログで放送されているチャンネルをデジタルでも同時 に放送する 低コストのSTBを導入し、徐々にアナログ世帯に配布する STB、DTAが普及した時点で、必要であれば、地上波再 送信だけのサービスの為のチャンネルを残し、アナログ 放送を終了する DTA(Digital Terminal Adapter、あるいはDigital-toAnalog)と呼ばれる、コンバーターはVOD、EPG等に対応しな いが、$30~$50で導入可能 アナログチューナー無しのSTBを導入可能になる 自治体とのフランチャイズ契約上、地上波再送信だけの基本 サービスを提供しなければならない場合がある 問題はCAS無しのDTAで地上波再送信以外のチャンネ ルを放送可能か NSI Research, Inc. 14
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