あっちの話こっちの話

から
知恵の数々。今月は、長野県と宮崎県をまわった今年の新入職員が集めた話の特集です。
通路にシュレッダークズ、
雑草もアブラムシもサヨウナラ
中村幸真
スーパーに出荷するナス、オクラを合わせて
一〇〇本つくる中野市の町田高司さん。最近気
に入っている資材は、タダで手に入るシュレッ
ダークズです。
ベッド上は白黒マルチで覆ったものの、通路
は土がむき出し。ここにシュレッダークズを防
草シートの代わりになればと敷いたところ、草
を抑えるのはもちろん、アブラムシが寄り付か
なくなったり、ナスの光沢がよくなったりとい
いことずくめでした。
﹁シュレッダークズと白黒マルチで太陽光を反
射した畑は、思わず目を細めてしまうほど眩し
い。その反射光が実や葉に当たり、色づきをよ
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現代農業 2016.8
「あっちの話こっちの話」は、全国をまわる農文協職員が村々におじゃました時に、農家の皆さんから教わった
長野
ったりするんじゃないか﹂と町田さん。
くしたり、光を嫌うアブラムシが寄り付かなか
経つと夜露に濡れて、地面にベッタリ貼り付い
す。だから風で飛ばされることはないし、一晩
てくれるのも便利なところです。
シュレッダークズは近所の製本所や農協が処
分するものをもらいます。一袋五〇円かかる処
シュレッダークズは四aの畑に一〇〇袋︵一
〇〇ℓ袋︶使います。おもしろいことに、袋に
入ったシュレッダークズは静電気を帯びている
渡辺謙吾
分費がいらなくなるので、喜ばれるそうです。
ネズミ対策 その❶
さ よし
水を張ったバケツに米ヌカ、
カンタン落とし穴
た はら け
小谷村の山間地でイネをつくる田原今朝喜さ
ん。自家用畑を荒らす野ネズミ対策に、お手製
のワナを使っています。
やり方は簡単。ネズミの通り道︵田原さんの
場合は畑の端︶にバケツを埋め、縁から一五㎝
下まで水を入れ、水面が見えなくなるくらい米
ヌカを入れます。米ヌカのにおいで寄ってきた
現代農業 2016.8
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た め、 通 路 に ま い た そ ば か ら 土 に く っ つ き ま
から
お たり
長野
ネズミは、土だと思って飛び込んだら最後、バ
ること。バケツの壁面を登れないネズミは外に
臼井 藍
出られません。
ネズミ対策 その❷
リンゴの根元にスイセン混植
長野市のリンゴのわい化団地では、新植した
リンゴの苗木の根がネズミにかじられて枯れて
おお や よし と
しまうことに、皆さん頭を抱えていました。
矢義登
そんな中、同市に住むリンゴ農家の大
さんは、樹と一緒にスイセンを植えてネズミを
撃退。被害はほとんどなくなったといいます。
リンゴの樹の両脇にスイセンを植えるだけです。
﹁毒のあるスイセンを嫌って寄り付かなくなる
のでは﹂と大矢さん。
五月、リンゴよりも一足早く咲くスイセンは
とてもきれいで、気分も盛り上がるそうです。
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現代農業 2016.8
ケツの中で溺れてしまうというわけです。
から
ポイントは、バケツの水位を縁下一五㎝にす
長野
サニーレタスとトウモロコシ、
ウネ連続利用で売り上げ反当八〇万円
上原野亜
を耕し、五月からトウモロコシを播き始めるの
が普通でしたが、そうなると、八月に入ってか
ど りき
安曇野市の等々力広文さんの畑には、収穫直
前のサニーレタスと、芽が出たばかりのトウモ
らの収穫でした。ラクに早出しできるこの方法
と
ロコシが一緒に植わっています。マルチもウネ
は、安曇野市内で流行っているようです。
わけです。
わわに実ったトウモロコシが収穫できるという
し、チッソとカリを追肥。七月十五日から、た
コシが腰くらいの高さになったらマルチを外
残肥で育つので、元肥は入れません。トウモロ
け、トウモロコシのタネを播きます。レタスの
日 頃 に、 サ ニ ー レ タ ス の 株 間 の 中 央 に 穴 を あ
サニーレタスには、株間三〇㎝の穴あきマル
チを使っています。その収穫一〇日前、四月十
上げになるとのこと。やり方を聞きました。
す。この二作で、一反当たり八〇万円もの売り
も そ の ま ま 使 い、 ト ウ モ ロ コ シ を と る 作 戦 で
あ ずみ の
から
以前は、サニーレタスの収穫を終えてから畑
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長野
子牛の下痢予防にバナナ、治療にはヤクルト
吉田祐貴
パク食べ始めます。これを一日一回です。
初はペロペロ舐めるだけですが、しだいにパク
城市の酪農家、中西博之さん。
﹁ 子牛の下
都
痢予防にはバナナが一番﹂と胸を張ります。
バナナは食物繊維が豊富なうえ、腸内環境を
整えるオリゴ糖が豊富。それで下痢予防になる
みやこのじょう
から
バナナは、生後三日目から与えます。人工哺
乳を終えたらすぐに、口元にバナナを一本。最
というわけです。
ポイントは、皮にシュガースポット︵黒い斑
点︶が出た完熟バナナを使うこと。中西さんは
個人商店を経営している親戚から、熟し過ぎた
ものをもらったり、スーパーで箱買いしたりし
て、毎日バナナを切らさないようにしています。
万が一下痢をしてしまった場合は、二ℓのミ
ルクにヤクルトを一本入れ、一日一回︵ひどい
ときは二回︶飲ませると改善するそうです。
子牛の下痢に困っていた農家にこのやり方を
教えたところ﹁下痢をしなくなった﹂とたいへ
ん感謝されたそうです。
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現代農業 2016.8
宮崎