WEB Journal No. 03 第4回 独身者(40~50 代)の老後生活設計ニーズに関する調査: 独身女性における過去の調査との比較 長野 誠治 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構主任研究員 【 記 事 情 報 】 掲載誌:年金研究 No.3 pp. 189-209 ISSN 2189-969X オンライン掲載日:2016 年 6 月 28 日 掲載ホームページ:http://www.nensoken.or.jp/nenkinkenkyu/ 要旨 (1)今回で「独身者の老後生活設計ニーズに関する調査」は 4 回目になる。本論文では 独身女性について第 2 回から第 4 回までの調査結果について比較検討した。その結果 によると、今回、彼女らの雇用は回復しつつあるが、収入は伸びず、親と同居してい る人の割合が増えている。また、最も充実感を感じられるのは、一人でゆったりと休 養している時で、老後のことはあまり考えていない。これが 40~50 代の独身女性の全 般的なイメージである。 (2)仕事については、雇用の回復傾向がうかがえ、第 3 回調査では「正社員」の割合が リーマンショックの影響から大幅に減少したが、今回調査では小幅増加するとともに、 「無職」の割合が減少した。現在の仕事の継続期間は、第 3 回調査に比べて勤続 10 年 を境にして、それより短い期間の割合が減り、長い期間の割合が増加している。なお、 60 歳以降も働きたいという意向は今回調査では後退している。 (3)家族・家計については、第 3 回調査に比べて一人世帯の割合が減少している一方で、 親と同居している人の割合は第 2 回調査以降、一貫して増加傾向にある。世帯収入は、 全体として徐々に下方へシフトしてきている。本人の仕事の収入は「200 万円以上 300 万円未満」が引き続き最頻値になり、回答した人の割合も増加傾向にある。世帯の生 活費(月額)も収入と同様に下方へシフトしており、第 3 回調査に比べて「10 万円未 満」と回答した人の割合が増えている。老後のための資産形成は、 「預貯金」という回 答が 7 割を占めている。保有している金融資産額は、第 3 回調査に比べて 2 極分化の 傾向が強まってきている。 (4)住まいについては、現在の住まいが「親の持ち家」と回答した人の割合が増加傾向 にあり、今回調査では 44%になっていた。一方、「賃貸住宅」は漸増傾向、「自分の持 ち家」という回答は減少傾向にある。 「老後も現在の住まいに住み続ける」という回答 は増加傾向にあり、今回調査では 6 割に達した。 (5)今の生活について、最も充実感を感じるのは「一人でいる時」や「ゆったりと休養 189 している時」 (第 2 位から第 1 位へ順位は上昇)、 「特にない」の回答割合がそれぞれ増 加する一方、 「趣味やスポーツに熱中している時」が大幅に減少して第 2 位に転落した。 生活の満足度は、生活全般や仕事の内容は過去調査から横ばい推移、収入や資産・貯 蓄は「不満」と回答した人の割合が「満足」の割合を引き続き上回っているが、その 差は縮小傾向にある。 (6)老後の生活については、 「生活設計をまだ考えていない」という回答が過半数を占め、 その割合は増加傾向にある。老後の 1 ヵ月の生活費予想は、過去調査に比べて金額が 上方にシフトしている。収入源は、 「公的年金」 「預貯金」 「仕事による収入」の順とな っており、過去 2 回の調査と変化はない。将来、自分に介護が必要になった場合の対 処方法は、 「在宅介護を利用」が第 1 位になる一方、前回調査でトップだった「公的介 護施設に入所」は回答割合が大きく落ち込んで、第 2 位に落ちた。 1 過去の調査概要 今回で 4 回目となる「独身者の老後生活設計ニーズに関する調査」だが、過去 3 回では 調査対象者を女性に限定したものであった。このため本論文では、今回の調査結果から女 性だけを抽出して、過去の調査と比較した。なお、質問内容が第 1 回調査と第 2 回調査以 降とでは大きく異なるため、第 2 回~第 4 回(今回)調査結果について比較検討した。第 2 回~第 4 回の調査概要は以下の通り。 ① 第 2 回(前々回)調査 実施時期:2005 年 12 月~2006 年 1 月 調査対象地域:.全国 調査方法:郵送調査 総発送数:1,250 人 調査対象(回答)者:40~59 歳の未婚女性1(1,008 人) 有効回答率:80.6% ② 第 3 回(前回)調査 実施時期:2010 年 9 月 27 日~10 月 5 日 調査対象地域:全国 調査方法:インターネット調査 調査委託先:株式会社マクロミル 調査対象(回答)者:40~59 歳の女性(未婚 1,016 人、有配偶者 313 人) ③ 第 4 回(今回)調査 実施時期:2015 年 12 月 10 日~14 日 調査対象地域:全国 調査方法:インターネット調査 調査委託先:株式会社インテージ 調査対象(回答)者:40~59 歳の未婚男女(男性 1,136 人、女性 1,139 人) 1 生涯未婚女性(これまでに結婚経験がない女性。離別・死別を除く未婚女性)を指す。以下同様。 190 2 対象者の基本的属性 2.1 年齢分布 今回調査では、年齢構成を『平成 22 年国勢調査』と一致するように設定して、サンプル を確保した。前回調査に比べて 40 代の割合が増える一方で、50 代の割合が減少している。 図表 1 年齢分布 50% 38.2% 40% 36.7% 38.9% 29.0% 30% 26.5% 24.0% 20.6% 20% 17.3% 18.7% 18.7% 15.6% 15.9% 10% 0% 40代前半 40代後半 前々回調査(n=1,008) 2.2 50代前半 前回調査(未婚のみ、n=1,016) 50代後半 今回調査(n=1,139) 居住地分布 今回調査では、居住地を首都圏・名古屋圏・大阪圏・その他(3 大都市圏を除く)の 4 地域2に区分し、それぞれのサンプル割合を『平成 22 年国勢調査』の分布割合に一致させ た。前回調査では国勢調査と一致させることは行わなかった。前回調査と分布を比べると、 関東地方のサンプルが 12 ポイント減少したのに対して、それ以外の中国地方を除く 6 地 方のサンプル割合が増加している。 2 当初は 8 地方を『平成 22 年国勢調査』に一致させることも試みたが、男女別・年齢階層別も併せて割付を考えると 、1グループあたりのサンプル数が極め少なくなることから、住居地は 4 地域に集約することにした。 191 図表 2 50% 46.8% 居住地分布 43.0% 40% 31.4% 30% 19.8% 19.4% 18.6% 16.0% 20% 12.2% 9.7% 7.1% 6.9% 6.1% 5.3% 3.9% 3.8% 10% 6.1% 4.1% 3.7% 10.3% 9.5% 7.3% 2.5% 2.5% 1.8% 2.2% 0.0% 0.0% 0% 北海道 東北地方 関東地方 前々回調査(n=1,008) 2.3 中部地方 近畿地方 中国地方 前回調査(未婚のみ、n=1,016) 四国地方 九州地方 不明 今回調査(n=1,139) 最終学歴 学歴の分布状況を前回調査と比較すると、高等学校、短大・専修学校の割合がわずかな がら増える一方で、大学・大学院の割合が低下して、前々回調査の分布に幾分近づいてい る。 図表 3 学歴分布 50% 40% 37.0% 32.5% 33.2% 36.6% 38.1% 35.6% 30.8% 28.4% 30% 21.7% 20% 10% 2.5% 1.1% 1.1% 0.7% 0.0% 0.6% 0% 中学校 高等学校 前々回調査(n=1,008) 短大・専修学校 大学・大学院 前回調査(未婚のみ、n=1,016) 192 その他(不明含む) 今回調査(n=1,139) 2 仕事について 2.1 現在の就業状況 前回調査ではリーマンショックの影響から「正社員」の割合が大幅に減少する一方で、 「無職」の割合が大幅に増加した。今回調査では景気回復の影響から「正社員」の割合が 小幅増加する一方で、 「無職」の占める割合は減少した。 「非正規」3の割合は 3 回の調査を 通じて 30%前後であり、ほぼ横ばいで推移している。 図表 4 従業上の地位 50% 45% 40% 35% 43.0% 33.4% 35.4% 30.2% 30.1% 29.4% 30% 25% 21.4% 18.2% 20% 13.4% 11.8% 10.0% 9.1% 15% 10% 4.3% 4.0% 3.3% 5% 0% 正社員 非正規 前々回調査(N=1,008) 2.2 自営・自由業 前回調査(N=1,016) その他 無職 今回調査(N=1,139) 仕事の内容 今回調査における仕事の内容を過去の調査と比べてみると、最大の構成比を占める「事 務職」の割合が一貫して増加している。一方、「営業・販売」および「製造・技能・労務」 は減少傾向をたどっている。 「事務職」に次ぐ構成比を占める「専門職」については、4 ポ イント増加した前回調査から今回は 9 ポイントと大幅に低下した。なお、今回は、 「その他・ 不明」の割合が前回調査に比べて 7 ポイント以上増加していることには留意が必要である。 3 「非正規」は「アルバイト」 「パート」「契約社員・嘱託」「派遣社員」の合計。 193 図表 5 仕事の内容 60% 48.2% 42.9% 50% 40.1% 40% 30% 28.3% 24.2% 19.3% 20% 9.4% 11.5% 3.1% 10% 2.7% 8.5% 6.1% 9.2% 10.1% 4.0% 6.0% 3.8% 1.3% 10.9% 3.5% 6.2% 0.3% 0.1% 0.3% 0% 前々回調査(N=863) 2.3 前回調査(N=800) 今回調査(N=932) 現在の仕事の継続期間 前回調査からの変化では、勤続 10 年を境にして、それより短い期間の割合が減り、長 い期間の割合が増えている。前々回調査から前回調査への変化とは逆の動きである4。特に、 20 年以上は大幅に増加している。 図表 6 現在の仕事の継続期間 30% 23.9% 16.6% 25% 20.2% 18.4% 20% 15.5% 15% 13.4% 12.0% 16.4% 15.4% 13.8% 11.1% 10% 24.2% 15.2% 11.8% 10.2% 12.3% 9.7% 11.4% 11.0% 9.8% 7.8% 5% 0% 1年未満 1年~3年未満 3年~5年未満 前々回調査(N=799) 2.4 5年~10年未満 10年~15年未満 前回調査(N=650) 15年~20年未満 20年以上 今回調査(N=909) 60 歳以降の就業意向 60 歳以降も働きたい人の割合の推移を見たのが図表 7 である。前回調査ではすべての年 齢階層で「働きたい」という回答割合が増加したが、今回調査では減少に転じており、ま ったく逆の現象が生じている。 4 過去 2 回の調査では「現在のつとめ先の勤続年数」を尋ねているのに対して、今回は「同じ勤務先でなくても、同 様な内容の仕事を続けている通算年数」を尋ねている点が異なる。 194 図表 7 60 歳以降も働きたい人の割合 100% 97% 93% 87% 90% 81% 80% 80% 75% 86% 82% 91% 84% 87% 88% 81% 79% 70% 70% 60% 50% 40% 40~44歳 45~49歳 前々回調査(n=799) 2.5 50~54歳 前回調査(n=746) 全体 55~59歳 今回調査(n=998) これまでの職歴 これまでの職歴として、初職と現在の仕事の関係を過去の調査と比較したのが図表 8 で ある。転職経験者(「初職と現在の仕事が異なる」)の割合は緩やかな増加傾向にある。初 職を継続している人の割合は前回調査では 1 割の大幅減少となったが、今回調査では小幅 増加した。また、 「現在は無職だが過去に仕事に就いていた」の割合も減少しており、前回 調査時のリーマンショックの影響が薄れて、雇用回復を映じた動きとみることもできる。 図表 8 これまでの職歴 60% 52.1% 54.9% 55.1% 50% 40% 30% 33.8% 23.8% 26.7% 20.2% 20% 16.9% 12.2% 10% 0% 初職は現在の仕事と同じ 前々回調査(N=1,008) 2.6 初職は現在の仕事と異なる 前回調査(N=1,016) 現在は無職だが過去に仕事に就いていた 今回調査(N=1,139) (現在無職の人の)現在仕事についていない理由 現在無職の人を対象に、仕事に就いていない理由をたずねたところ、過去 2 回の調査に 比べて「自分が働かなくても生活できる」が 10 ポイント以上低下しているのが特徴である。 「希望する仕事に就けない」や「身体がきつい」は前回調査に比べて低下して、前々回調 査の水準並みとなっている。なお、「その他」が前回調査から 8 ポイント増えているが、 195 18.8%のうち「病気・障害」を理由5とするものが 11.1%ある。この理由を「身体がきつい」 と加えると 40%を超えて最大の理由になる。 図表 9 仕事に就いていない理由(現在無職の人のみ) 40% 30% 25% 33.8% 32.9% 35% 26.7% 22.2% 29.6% 27.5% 30.0% 21.8% 21.5% 23.1% 18.8% 20% 15% 18.8% 12.6% 10.6% 12.1% 10% 5% 0% 自分が働かなくても生活できる 希望する仕事に就けない 前々回調査(n=1,008) 3 身体がきつい 親の介護など家庭の事情で 手が離せない 前回調査(n=1,016) 今回調査(n=1,139) その他 家族・家計について 3.1 世帯人数 前回調査では全年齢階層で一人暮らしの世帯割合が前々回調査に比べて増加したが、今 回の調査では前回調査から 50 代後半で増減の変化がなかった以外は、いずれも一人世帯の 割合が減少し、全体でも 5 ポイントほど低下した。それでも前々回調査の水準を上回って おり、一人暮らし世帯の長期的な増加傾向は続いているようだ。 図表 10 一人暮らしの世帯の割合 50% 44.0% 39.9% 40% 37.7% 30% 45.3% 45.3% 41.2% 38.0% 36.4% 34.4% 33.4% 30.6% 43.9% 29.8% 32.1% 28.7% 20% 10% 0% 40~44歳 45~49歳 前々回調査(N=1,008) 50~54歳 前回調査(N=1,016) 5 「その他」で具体的な理由を病気や障害とした回答。 196 55~59歳 今回調査(N=1,139) 全体 3.2 親との同居割合 同居人が居る場合、親と同居している人の割合は、過去 2 回の調査から一貫して増加傾 向にある。この傾向はいずれの年齢階層においても当てはまり、全体では 9 割を超える水 準となっている。 図表 11 100% 94.6% 91.4% 89.7% 90% 親との同居割合 93.4% 90.6% 89.9% 86.4% 83.1% 92.1% 80.8% 78.9% 80% 88.8% 77.4% 75.0% 70% 59.8% 60% 50% 40% 40~44歳 45~49歳 前々回調査(N=681) 3.3 50~54歳 55~59歳 前回調査(N=597) 全体 今回調査(N=724) 世帯収入 世帯全体の収入の最頻値は、3 回の調査すべてで「200 万円以上 300 万円未満」となっ ていて変化はないが、徐々に年収の分布が下方にシフトしてきている。今回調査では前回 調査比で 400 万円未満の分布帯すべてが増加する一方で、400 万円以上では「500 万円以 上 600 万円未満」と「600 万円以上 800 万円未満」が小幅増加した以外は、いずれも減少 している。 図表 12 世帯全体の年間収入額 25% 22.1% 20.1% 19.1% 20% 12.9% 15% 15.5% 14.8% 15.0% 12.8% 12.6% 12.2% 9.5% 10% 14.1% 12.5% 9.0% 8.1% 10.4% 9.8% 8.0% 6.7% 6.1% 4.1% 4.7% 4.2% 3.3% 2.0% 1.6% 1.2% 6.5% 5% 8.2% 4.6% 3.8% 3.6% 1.0% 0% 前々回調査(N=954) 前回調査(N=1,016) 197 今回調査(N=1,139) 3.4 世帯の収入源 世帯の収入源について、前回調査で 10 ポイント以上減少した「自分の仕事の収入」が 今回は 3 ポイント増加に転じた。 「年金収入」は第 2 位で変化はないが、その回答割合は増 加傾向をたどっている。 図表 13 90% 81.4% 80% 世帯の収入源 71.2% 74.9% 70% 60% 45.8% 40.4% 39.4% 50% 40% 18.9% 21.8% 21.7% 30% 20% 10% 8.1% 6.7% 4.9% 12.6% 6.1% 5.1% 不動産収入 その他 1.4% 2.4%4.5% 0% 自分の仕事の収入 同居の方の仕事の収入 年金収入 前々回調査(N=1,008) 3.5 前回調査(N=1,016) 特に無い 今回調査(N=1,139) 本人の仕事の収入 本人の仕事の収入については、最頻値帯は過去 2 回と同様 「200 万円以上 300 万円未満」 にあり、その回答割合は増加傾向にある。 図表 14 本人の仕事の収入 30% 26.4% 22.1% 25% 20.2% 16.5% 14.6% 16.2% 20% 15% 12.6% 17.6% 19.0% 14.1% 13.0% 11.0% 11.8% 10.6% 10% 9.2% 8.3% 6.5% 5% 5.9% 5.6% 5.0% 4.3% 5.0% 6.2% 6.7% 4.4% 5.8% 1.6% 0% 前回調査(N=872) 今回調査(N=800) 198 今回調査(N=870) 3.6 世帯の生活費(月額) 世帯の 1 ヵ月の生活費は、今回調査では収入と同様に金額の分布が下方へシフトしてい る。特に「10 万円未満」が前回調査に比べて 6 ポイント増加しており、「10 万円以上 15 万円未満」とほぼ同水準となっている。また、前回調査に比べて増加したのは「10 万円未 満」の回答だけで、他を回答した人の割合はすべて減少している6。 図表 15 世帯の生活費(月額) 40% 35% 33.7% 32.5% 32.3% 30.4% 30% 25% 25.7% 19.6% 20% 15% 18.6% 18.1% 15.6% 11.3% 9.4% 12.5% 10% 12.0% 5.3% 5% 6.3% 5.4% 5.0% 2.7% 0% 10万円未満 10万~15万円未満 15万~20万円未満 20万~25万円未満 25万~30万円未満 前々回調査(N=1,008) 3.7 前回調査(N=1,016) 30万円以上 今回調査(N=852) 老後のための資産形成 老後のための資産形成の手段としては、引き続き「預貯金」を大半の人が回答していて、 1 番多い運用資産になっている。個人年金保険は前回調査から 19 ポイントと大幅減少して いる。「株式」「債券」「外貨預金」なども減少している。一方で、「何もしていない」は緩 やかに増加して 2 割を超えた。 6 回答のうち「不明」は、前回調査ではゼロであったが、今回調査では全体の 25%に及んだ。比較可能にするため 当該回答を控除して、回答割合を算出した。したがって、図表 13 では「不明」は表示されていない。 199 図表 16 老後のための資産形成 90% 73.1% 80% 70.1% 70% 64.8% 60% 50.0% 50% 42.8% 43.7% 39.0% 32.7% 40% 30% 14.5% 15.5% 20% 13.7% 9.2% 5.4% 10% 15.6% 8.0% 8.1% 11.6% 7.4% 7.0% 4.7% 5.4% 10.8% 5.9% 5.5% 0% 前々回調査(N=1,008) 3.8 前回調査(N=1,016) 18.4% 20.5% 18.4% 4.7% 2.6% 1.8% 今回調査(N=1,139) 現在保有している金融資産額 現在保有している金融資産額は、 「1,000 万円未満」および「2,000 万円以上」と回答し た人の割合が前回調査に比べてそれぞれ増加しており、2 極分化の傾向がより明確になっ ている7。 また、今回調査で資産残高がゼロと回答した割合が 32.1%と、前回調査の 4.6%から急 増していることは注目される。 図表 17 現在保有している金融資産額 45% 40.2% 40% 32.1% 35% 30% 23.3% 16.4% 19.9% 25% 20% 15.7% 12.0% 10.8% 10.0% 8.6% 15% 10% 5% 19.4% 4.6% 4.8% 0.0% 10.5% 9.8% 4.0% 5.9% 2.8% 3.7% 1.5% 8.2% 4.0% 3.1% 8.0% 2.1% 2.0% 1.8% 0.8% 0% 前々回調査(N=1,008) 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) 7 「無回答」が、前回調査では 4 割、前々回と今回は 2 割を占めている点には注意を要する。 200 21.0% 4 住まいについて 4.1 現在の住まい 現在の住まいについて過去の調査と比較すると、 「自分の持ち家」の回答割合が前回比 で 7 ポイント低下する一方で、「親の持ち家」が 6 ポイント増加している。「賃貸住宅」の 回答割合は微増にとどまっている。 図表 18 現在の住まい 60% 50% 44.0% 37.9% 40% 30% 30.7% 33.7% 29.8% 27.3% 27.9% 27.0% 20% 19.8% 10% 2.0% 3.1% 3.1% 3.9% 1.4% 1.5% 0% 自分の持ち家 4.2 親の持ち家 兄弟姉妹・親族の持ち家 前々回調査(N=1,008) 前回調査(N=1,016) 賃貸住宅 公営住宅・公的施設 今回調査(N=1,139) 老後の住まい 老後の住まいの予定については、今回までの 3 回の調査のすべてで「老後も現在の住ま いに住み続ける」が最も多かった8 9。この回答割合の変化を年齢階層別に示したのが、図 表 19 である。前回調査に比べて「老後も現在の住まいに住み続ける」の回答割合は、50 代前半では減少したが、他の年齢階層では増加している。全体でも 4 ポイント弱の増加と なった。 8 前々回調査では、 「現在の住まいに住み続ける」39%、「転居するつもりである」21%、「その他」39%。 9 前回調査では「現在の住まいに住み続ける」が 57%、今回調査では同じく 61%を占めている。 201 図表 19 「老後も現在の住まいに住み続ける」と回答した人の割合 80% 67.9% 71.8% 67.5% 70% 61.9% 56.0% 60% 57.1% 54.8% 51.7% 53.3% 48.3% 50% 59.6% 38.6% 36.6% 40% 60.8% 27.5% 30% 20% 10% 0% 40~44歳 45~49歳 50~54歳 前々回調査(N=1,008) 4.3 全体 55~59歳 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) 老後の同居意向 老後に誰と暮らすかについては、4 割が「一人で暮らすつもり」と答えており、その回 答割合は増加傾向にある。第 2 位の「親と暮らすつもり」も前回調査と比べて増加してい る。 図表 20 老後の同居意向 50% 40% 42.8% 40.0% 33.0% 32.5% 30% 22.7% 21.2% 17.1% 20% 12.3% 14.8% 10.2% 8.5% 10% 8.7% 5.9% 8.2% 7.7% 1.4% 1.8% 0.9% 0% 前々回調査(N=1,008) 5 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) 今の生活について 5.1 最も充実感を感じる時 最も充実感を感じる時を 1 つだけ選択してもらった結果を過去2回の調査と比較したも 202 のが図表 21 である。前回調査に比べて増加した回答は、 「一人でいる時」 「ゆったりと休養 している時」 「特にない」などである。逆に「趣味やスポーツに熱中している時」が大幅に 減少10したほか、 「仕事に打ち込んでいる時」 「勉強や教養に身を入れている時」 「友人と会 合、雑談をしている時」なども小幅減少している。今回調査では積極的に行動したり、交 際したりするよりも、一人でゆったりと過ごすことを選好する姿勢が顕著に表れている。 図表 21 0% 最も充実感を感じる時 5% 10% 20% 21.7% 19.6% 5.1% 4.8% 3.4% 2.0% 0.6% 0.0% 4.8% 5.9% 12.4% 2.3% 1.1% 1.0% 特にない 前々回調査(N=1,008) 5.2 25.7% 10.9% 6.6% 5.4% 一人でいる時 その他 22.8% 7.4% 3.5% 4.0% 友人と会合、雑談している時 社会奉仕や社会活動をしている時 35% 29.7% 22.4% ゆったりと休養している時 恋人と雑談している時 30% 5.8% 5.5% 3.8% 趣味やスポーツに熱中している時 家族団らんの時 25% 13.1% 10.5% 9.9% 仕事にうちこんでいる時 勉強や教養に身を入れている時 15% 6.5% 8.9% 11.8% 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) 生活の満足度 現在の生活全般と各側面に対する満足度を過去 2 回と比較したのが、 図表 22 である。 「満 足度」 (「満足」-「不満」)をみると、生活全般および仕事の内容については前回調査から ほぼ横ばいで推移している。収入および資産・貯蓄の経済的側面は、引き続きマイナス(不 満が満足を上回っている)ではあるが、不満の程度が後退している。対人関係では、友人 10 「趣味やスポーツに熱中している時」が前回調査で大幅に増加した反動が今回の結果に現れたとも解釈することで きる。前々回調査と比べると今回は小幅増加している。前回調査の異常ともいえる増加には精査が必要であるため 、本文中の表現が妥当かは議論の余地がある。 203 に対する満足度が大幅に増加したが、それ以外の職場の人間関係、家族、恋人、地域・近 隣の人に対する満足度は減少している。趣味やスポーツ活動に対する満足度も低下傾向が 続いている。 図表 22 現在の生活満足度 「 満足」① 「不満」 ② (非常に満足+まあ満足) (非常に不満+やや不満) 「満足度」①-② 前々回 前回 今回 前々回 前回 今回 生活全般 67.7% 55.7% 56.5% 30.2% 44.3% 43.5% 前々回 37.5% 前回 11.5% 今回 13.0% 仕事の内容 69.8% 54.7% 55.0% 30.3% 45.3% 45.0% 39.5% 9.4% 10.0% 職場の人間関係 70.2% 64.6% 62.7% 29.7% 35.4% 37.3% 40.5% 29.2% 25.4% 収入 34.1% 27.0% 33.9% 65.8% 73.0% 66.1% -31.7% -46.0% -32.2% 資産・貯蓄 29.7% 24.9% 30.0% 70.3% 75.1% 70.0% -40.6% -50.2% -40.0% 趣味やスポーツ活動 68.2% 69.9% 64.1% 31.9% 30.1% 35.9% 36.3% 39.8% 28.2% 家族 85.9% 79.4% 73.3% 14.2% 20.6% 26.7% 71.7% 58.7% 46.6% 友人 91.6% 60.7% 79.8% 8.4% 39.3% 20.2% 83.2% 21.5% 59.6% 恋人 73.3% 87.3% 50.5% 26.7% 12.7% 49.5% 46.6% 74.5% 1.0% 地域・近隣の人 73.1% 72.4% 68.1% 27.0% 27.6% 31.9% 46.1% 44.9% 36.2% (注)「あてはまらない」を除いた母集団で割合を集計。 5.3 過去の介護経験 過去に介護経験がない(現在も含めて)人は今回調査では全体の 8 割以上を占め、回答 割合は緩やかに増加傾向をたどっている。前回調査で増加した「兄弟姉妹」は今回減少し て、前々回調査の水準に戻った。 図表 23 過去の介護経験 100% 80% 73.8% 75.7% 81.2% 60% 40% 21.5% 20% 15.9% 15.1% 1.7% 8.9% 1.3% 0% ない 前々回調査(N=1,008) 親 兄弟姉妹 前回調査(N=1,016) 3.4% 1.0% 2.4% その他 今回調査(N=1,139) (注)現在、介護をしているケースも含む。 5.4 (介護経験がある人のみ)実際の主な対処方法 介護経験がある人が実際にどのような対処をしたかについては、今回調査では「働きな がら自分で介護」の回答割合が前回調査と比べて 20 ポイント以上も大きく伸びている。た 204 だし、過去 2 回の調査では「会社の介護休業制度などを利用して自分で介護」という尋ね 方をしていた。事例としてあげていた「介護休業制度などを利用」という文言が、今回調 査では削られたために、この回答割合が増加した側面もあると思われる。逆に「在宅介護 を利用」の回答割合が 10 ポイント以上、大幅に減少している。 ほかでは「同居家族が介護」が 26%程度で横ばい推移している。さらに「仕事をやめて 自分で介護」 「公的介護施設を利用」 「病院に入院」はいずれも減少する一方、 「介護付き有 料老人ホームに入所」が増加した。 図表 24 0% 介護経験がある人が過去に行った対処方法 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 16.2% 仕事をやめて自分で介護 20.6% 15.4% 4.7% 働きながら自分で介護 1.2% 23.8% 28.9% 同居家族が介護 その他親族が介護 25.9% 26.6% 1.6% 2.0% 2.3% 15.0% 在宅介護を利用 16.6% 5.1% 4.0% 公的介護施設に入所 13.0% 9.3% 1.2% 介護付き有料老人ホームに入所 2.4% 5.6% 20.6% 病院に入院 7.0% その他 10.1% 6.4% 8.1% 4.7% 前々回調査(N=253) 前回調査(N=247) 今回調査(N=214) (注)現在、介護をしているケースも含む。 5.5 将来、親の介護が必要になった時の対処方法 将来、親の介護が必要になった時の対処方法については、前回調査から大きな変化はな いが、「仕事をやめて自分で介護」や「働きながら自分で介護」が増加する一方で、「同居 家族が介護」や「在宅介護を利用」が減少している。 205 図表 25 将来、親の介護が必要になった時の対処方法(単一回答) 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 12.4% 12.9% 仕事をやめて自分で介護 15.7% 8.9% 9.5% 働きながら自分で介護 12.0% 同居家族が介護 10.2% 15.0% 13.9% 1.6% 3.8% その他親族が介護 3.6% 23.1% 在宅介護を利用 23.0% 26.2% 7.9% 10.0% 公的介護施設に入所 11.1% 1.7% 2.1% 介護付き有料老人ホームに入所 3.1% 病院に入院 9.4% 4.0% 5.3% 家政婦を雇用 0.2% 0.2% 0.2% 10.7% 10.9% 親はいない 9.9% その他 4.1% 6.4% 6.0% 前々回調査(N=1,008) 6 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) 老後の生活について 6.1 老後の生活設計について 65 歳以降の生活設計を「まだ考えていない」と回答した人の割合は、増加傾向にある。 今回調査では過半数の人が「まだ考えていない」と答えており、いずれの年齢階層でもそ の割合が増加している。 206 図表 26 老後の生活設計をまだ考えていない人の割合 80% 66.4% 63.5% 70% 60% 51.4% 50% 61.6% 48.8% 47.3% 51.6% 37.4% 28.7% 40% 30% 38.7% 57.9% 46.1% 43.5% 27.4% 23.6% 20% 10% 0% 40~44歳 45~49歳 50~54歳 前々回調査(N=1,008) 6.2 全体 55~59歳 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) 老後の1ヵ月の生活費予想額 老後の 1 ヵ月あたりの生活費予想11については、 「10 万円以上 15 万円未満」が最頻値で あり、この点は前回調査と変わりがない。さらに、 「10 万円未満」が前回調査に比べて 14 ポイント減と大きく減少したのが特徴的である。一方、15 万円以上のすべての金額帯で回 答割合は増加した。 図表 27 40% 36.5% 35.1% 35% 老後の 1 ヵ月の生活費予想額 34.6% 23.8% 30% 27.4% 26.5% 27.8% 25% 20% 18.3% 15% 13.1% 13.8% 10.2% 7.3% 10% 6.5% 3.1% 5.9% 2.0% 2.0% 5% 4.3% 1.9% 0% 0.0% 0% 10万円未満 10万~15万円未満 15万~20万円未満 20万~25万円未満 25万~30万円未満 前々回調査(N=1,008) 6.3 前回調査(N=1,016) 30万円以上 不明 今回調査(N=1,139) 老後生活の収入源 1 位が「公的年金」、2 位が「預貯金」、3 位が「仕事による収入」、4 位が「個人年金」 という順番は、過去 2 回の調査と同じであった。なお、 「わからない」が今回急増したのは、 過去 2 回では「いくつでも」あてはまるものがあれば選択できたが、今回は「優先順位の 高いものから順に 5 つ」としたために、4 番目や 5 番目で「わからない」と回答した人の 割合が多かったことが影響していると思われる。 11 前々回調査では「60 歳以降の生活費」 、前回調査では「65 歳以上の生活費」、今回調査では「老後(65 歳以 降)に最低限の生活を営むのに必要な生活費」とそれぞれ異なる尋ね方をしていることに留意が必要。 207 図表 28 老後の収入源 90% 80% 79% 71% 72% 69% 66% 70% 60% 50% 49% 36% 44% 54% 39% 40% 30% 12% 12% 20% 53% 41% 32% 23% 10% 8% 7% 7% 16% 11% 7% 3% 2%7% 5% 3% 12% 1% 9% 12% 1% 1% 0% 前々回調査(N=1,008) 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) (注)今回調査で、「公的年金」を老後の収入源としなかった人の割合は 31%であった。 6.4 将来、自分の介護が必要になった時の対処方法 将来、自分の介護が必要になった時の対処方法については、ほぼすべての回答項目で前 回調査から減少している12。特に「公的介護施設への入所」が 16 ポイント減少して、前回 の第 1 位から第 2 位に落ちた。前回調査で 2 位だった「在宅介護を利用」と回答した人の 割合も減少したが、相対的に落ち込みが小幅であったことから今回の調査では第 1 位とな った。 12 前回、前々回は「該当するものはいくつでも」という選択方法であったが、今回は「最も当てはまるものを一つ」 と変更したことには留意が必要。 208 図表 29 将来、自分の介護が必要になった時の対処方法 0% 10% 20% 30% 40% 37.7% 42.5% 自宅でホームヘルプサービス、訪問看護などの在宅介護を利 用する 35.9% 10.3% 親族に介護してもらう 友人に介護してもらう 50% 5.8% 9.4% 1.1% 1.2% 0.4% 38.7% 公的介護施設(特別養護老人ホーム・老人保健施設など)に 入所する 46.5% 30.3% 15.9% 19.5% 15.5% 介護付き有料老人ホームに入所する 病院に入院する 20.2% 21.1% 31.8% 8.5% その他 前々回調査(N=1,008) 14.9% 12.2% 前回調査(N=1,016) 今回調査(N=1,139) (注)前回および前々回は「該当するものはいくつでも」という選択方法であったが、 今回は「最も当てはまるものを一つ」に変更。 参考文献 シニアプラン開発機構(2006)『第 2 回 独身女性(40~50 代)を中心とした女性の老 後生活設計ニーズに関する調査』 年金シニアプラン総合研究機構(2011)『第 3 回 独身女性(40~50 代)を中心とした 女性の老後設計ニーズに関する調査』 209
© Copyright 2024 ExpyDoc