3.スピーキングの評価

2016・5・30
応用言語学特講
人文学類 3 年
稲岡 類(201410021)
3.スピーキングの評価
スピーキングテスト作成・実施を中心に
1.初めに
現行の学習指導要領では
中学校:コミュニケーション能力の基礎
/
高校:コミュニケーション能力
の育成を求めている。
スピーキング評価ではパフォーマンス評価を行うが、授業内のスピーキング活動の観察とス
ピーキングテストを行う方法がある。
*スピーキングテスト実施の流れ
1.テストの作成
└目的能力、タスク形式、採点方法、実施・採点時間、テスト細目
2.テスト前の準備
└テスト実施予告、採点準備
3.テスト実施
4.テスト採点
5.テスト後の活動
└生徒への FB、妥当性の確認
2.スピーキングテストの作成
2.1
使用目的と測る能力
何の目的で評価を行うかを明確にする。
・成績評価
・生徒の長所・短所の把握
・生徒の意欲を高める
・指導効果の計測
・構成概念:学校では「到達度」を測ることが多いが、熟達度を測ることもある
*スピーキング能力の観点(Fulcher 2003)
①言語能力
②方略能力
③会話構造の知識(テクスト的知識)
④語用論的知識
⑤社会言語学的知識
2016・5・30
応用言語学特講
人文学類 3 年
稲岡 類(201410021)
*中学校での評価基準(NIER 2011)
「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」
└「言語活動への取り組み」
「コミュニケーションの継続」
「外国語表現の能力」
└「正確な発話」
「適切な発話」
「言語や文化についての知識・理解」
└「言語についての知識」
「文化についての理解」
・テストを作成する際はすべての項目をくまなく網羅できるようなテストが望ましい。
しかし、項目を絞る場合は「重要かつできるだけ全体をカバーするような点」を出題する。
2.2
タスク形式
タスク形式は 3 つに分けられる。
①モノローグ型
:スピーチ、プレゼンテーション
②教師との対話型
:面接、ロールプレイング
③生徒間での対話型
:チャット、ディベート、ディスカッション
・1 回のテストに複数の形式を入れたほうが、幅広いスピーキング能力を見ることが可能
*HOPE(High school Oral Proficiency Examination)
└日本人の中高生向けのテスト
1.ウォームアップ(30 秒、評価対象外)
2.ピクチャータスク(1 分)
3.フォローアップクエスチョン(1 分)
4.ロールプレイ(1 分 30 秒)
5.フォローアップクエスチョン(1 分)
6.ワインドダウン(1 分、評価対象外)
・事前予告の有無、準備時間の有無、どのタスクを使用するかなどを操作することで、生徒
の話し方も変化する。
2.3
採点方法
スピーキングの採点には 2 種類ある。
①各項目の採点を行う「項目独立型」
②まとめて採点を行う「項目非独立型」
└「総合的評価」と「分析的評価」
*ルーブリック:評価規準(評価の観点)と判定基準を合わせたもの(cf. テキスト pp48-49)
2016・5・30
応用言語学特講
2.4
人文学類 3 年
稲岡 類(201410021)
テスト実施と採点に使用可能な時間・必要な時間
授業内採点が可能な場合もあれば、コンピュータ教室等のテストでは授業外採点が必要にな
る。必要な時間を考えてタスクや採点方法を考えるべきである。
2.5
テスト細目
テスト細目と呼ばれる設計図を作成するとよい。
└目的、図る能力、タスク、予想される発話例、サンプルタスクなど