は じ め に 国内経済は、未だ回復基調が不透明な状況であり、会員を取り巻く経済環境は、長引く給与 抑制措置が一部緩和されたものの依然として厳しく、更に年金制度が大きく変更されるなど 生活環境は不安な状況が続いています。 現職会員は、児童・生徒をめぐる生活、教育環境が時代や社会の状況を反映して複雑化して いるなか、業務量が増大するなど、ますます多忙化しています。 退職会員は、年金支給開始年齢の段階的引き上げに伴い、再任用として働く会員が増加する とともに、将来の独り暮らしや老々介護など生活面での不安も多くなっています。 このような状況のなか、 「第4次経営改革中期計画(2014年度~2017年度)」の3年 次として、引き続き多様化する会員個々のライフスタイルに応じた提案活動を進めるととも に、超高齢社会を不安なく過ごせるよう、会員が参画する相互扶助の仕組みの強化を図りつ つ、組織力を活かして会員を総合的に支援できるよう諸事業を推進します。 2016年度事業計画の主なものは、次のとおりです。 Ⅰ 長期的な視点のもと、現職会員と退職会員が一体となった総合福祉団体としてさらなる 発展を目指すため、おおむね10年間(2027年度末)を展望した次期将来構想の策定 に取り組みます。そのため、厚生会の福利厚生制度に対する意見聴取や、会員の生活実態 を把握する基礎調査(アンケート)を実施します。 Ⅱ 本部組織体制については、5部1室体制を維持しつつ機能別的な業務体制を推進すると ともに、一元的な情報管理と効率的な事務処理を行うため、財務部情報管理課が所管する 会員資格及び収納金業務を業務部業務1課に移管します。 支部組織体制については、生産性を上げ、地域実態に応じた会員サービスの向上や活動 強化に取り組むため、引き続き9支部8出張所体制とします。 Ⅲ 支部活動は、時代の変化に伴う多様な会員ニーズに対して、総合的かつ機動的に対応でき るよう、専門知識の習得に努めるとともに、ライフプランに基づいた一体的事業提案に取り 組みます。特に、人生設計の具体化に向けた資金計画や保障(補償)に関する提案について は、会員の年齢や家族構成等、会員一人ひとりの立場に立った保険内容の見直しや財産形成 に向けた適切なアドバイス等を面談により行うことを基本活動として位置づけ推進します。 また、退職会員に対しては、会員に密着する支部事務所の強みを活かした計画的な退職会 員宅訪問を実施し、会員相互の連帯のサポート、資金計画や健康相談など安心と豊かさが実 感できる事業提案を行います。 セーフティネットについては、小集会など「ふれあいサテライト」を拡充し、相互扶助活 動など厚生会からの情報の発信や会員ニーズの把握など、会員との対話により会員と厚生 会の「つながり」の強化に努めます。 Ⅳ 広報活動については、学校(園)や会員の活動を厚生会だより「ふれあい」に掲載するな ど、「手に取りやすい」誌面づくりに取り組みます。会員の意見を積極的に広報媒体に反映 し、所属所、会員、厚生会がつながる広報を推進します。また、厚生会事業を会員のライフ ステージに沿った具体的な事例で紹介し、保険や財産形成についてわかりやすい情報提供 に努めます。 Ⅴ 公益事業については、会員や地域住民に対して教育・文化の振興に寄与できるよう努めま す。豊かな心と伝えることの大切さ、家族との絆を再認識する「親から子へ・子から親への ハガキ大募集」や、退職教職員の支援によって児童の健全育成を目指す「本をよむなかよし 会」「自然を楽しむ会・手づくりを楽しむ会」を実施します。 また、兵庫県内の自然災害に備えて、わかば奨学金の管理を継続し、万一の時には就学を 支援します。 Ⅵ 福祉厚生事業については、会員ニーズに合った事業を目指して、会員とその家族の元気回 復となる事業の実施に努めます。 給付事業では、現職給付において請求事務の簡素化や、近年の年齢構成の変化に対応でき る給付について調査研究を進めます。 福祉事業では、給付等検討委員会の答申を受け、増加する若年会員や子育て世代のニーズ に対応し、人気のある契約施設や子育て世代が楽しめるコンサートへの無料招待企画を試 行的に実施するとともに、現職会員の宿泊施設利用補助券の見直しを実施します。 また、超高齢・長寿社会を豊かに過ごしていくための学問である「ジェロントロジー(老 年学)」を紹介していくとともに、各地域で退職会員の組織づくりの活性化に取り組みます。 相談事業では、契約相談員が県内各地に出向く「出前講座」を引き続き実施するとともに、 相談事業の広報に努め、会員の仕事や生活面等の公私にわたる悩みごと、不安解消をサポー トします。 さらに、給付等検討委員会の答申に基づく事業財源の見直しについては、2016年度 1年間をかけて、会員への丁寧な周知活動に取り組みます。 Ⅶ 信用共済事業については、会員の貯蓄、人生の三大支出(住宅資金・教育資金・退職後生 活資金)など、生涯にわたる生活の安定と生活設計に資するため、会員一人ひとりのライフ プランに応じた提案を行います。 預金事業では、会員の財産形成に寄与するため、市中金融機関より有利な利率を維持する とともに、若年層の利用促進のため、ボーナス時期には新会員を対象として定期預金に優遇 利率を設定します。また、退職後の資金面をサポートするため、退職予定者には5年定期預 金の周知を図り、県費支弁の再任用退職会員には定期預金の取扱いを開始するとともに、積 立預金の取扱いや市町費支弁の再任用退職会員への対応など制度拡充に向けた準備を進め ます。 貸付事業については、会員の金利負担軽減と持ち家促進を図るため、新規のすまいる住宅 貸付申込者に申込優遇金利を継続設定します。併せてハウジング利用会員やハイブリッド 積立継続加入会員が申込む際には、さらなる優遇金利を適用します。また、ライフイベント に応じて必要となる資金は、低利な特別貸付を提案します。 預金・貸付事業の各種手続きがインターネットからできる「手続きかんたんシステム」の 登録と利用拡大を推進します。 退職後資金のセーフティネットについては、退職後の生活の不安を和らげるため、マネー プラン「はばたき」の加入を推進します。また、年金「やすらぎ」加入者に対しては、各種 福祉事業等を案内します。 資金運用では、資金運用委員会で決定された運用方針に基づいて、安全かつ堅実な運用に 努め、より安定した財政基盤の確立を図ります。また、日銀のマイナス金利政策下で厳しい 運用環境が想定されることから、引き続き、資金運用委員会のメンバーに専門の知識・経験 を持つ外部の有識者を加え、経済動向を踏まえた運用手法などについて専門的な見地から のアドバイスを得て、的確な運用に努めます。 Ⅷ 保険事業については、ライフステージに応じた各種の備えと、こころ豊かな生活のため、 会員や家族の状況や将来を見据えながら最適な保障(補償)を提案します。 生命保険事業では、新規会員を中心にリスクへの総合的な備えとして、厚生会グループ保 険及び団体総合生活補償保険(医療型、傷害型)の一体提案型の募集活動を引き続き実施す るとともに、団体保険制度の維持、安定に努めます。また、新たに代理店資格を取得したこ とにより、厚生会職員が退職後の資産形成等に寄与できる一時払終身保険の提案を行います。 損害保険事業では、身近な代理店として会員密着型のサービス提供に努め、会員からの相 談への迅速な対応と、きめ細やかなサポートに努めます。また、自動車保険、火災保険、傷 害保険など各種保険を一元管理できる強みを活かし、会員のリスク対応を総合的に支援し ます。さらに、学校行事を支援する補償制度については、各所属所への継続利用を呼びかけ ながら補償内容の充実を図るとともに、申込み手続きの簡素化に向けて調査研究を行います。 Ⅸ 生活用品事業については、会員の暮らしと教育活動をサポートする事業を積極的に展開 します。 会員向けの生活用品事業では、従来から事業展開の理念としてきた「安全・安心」を堅持 しながら、会員の趣味・嗜好に合った企画の充実に努めるとともに、退職会員の増加や高齢 化に対応するため、食品・食材企画等の拡大や宅配事業・介護関連商品の新規事業を検討し ます。 また、消費税の再増税が予定されているなか、利用メリットの大きいハウジング事業や新 車購入をサポートする事業等については、特典や利用方法など広報活動を強化するととも に、関係部署と連携し会員個人にあったトータルな提案を行います。 教育活動をサポートする教育用品事業では、教育現場の実態とニーズを踏まえながら、児 童・生徒や学校図書館への図書事業や学校公費節減に貢献する事業を積極的に提案します。 以上、2016年度の重点事業について述べましたが、第4次経営改革中期計画のビジョン として描いた、2017年度末に厚生会がめざす姿「会員ニーズをデザインし、生涯にわたる 生活の安心を、提案力・行動力で支える厚生会」を実現するため、関係団体との連携も図りな がら、全役職員が力を合わせ取り組みます。
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