大学入学から 5~6 年後の経済状況は入学前よりも悪化

日本学術振興会ワシントン研究連絡センター
営利大学学生、大学入学から 5~6 年後の経済状況は入学前よりも悪化
(5 月 31 日)
ジョージワシントン大学(George Washington University、ワシントン DC)
公共政策・行政学部准教授のステファニー・リーグ・セリニ氏(Stephanie Riegg
Cellini)と財務省(Department of the Treasury)税分析局(Office of Tax
Analysis)のニコラス・ターナー氏(Nicholas Turner)は、営利大学の修了
証・準学士号・学士号取得課程に在籍した学生の収入に関する研究結果をまと
めた論文『十分な収入が得られる雇用か?行政データを使用した営利大学学生
の雇用と収入の評価(Gainfully Employed? Assessing the Employment and
Earnings of For-Profit College Students Using Administrative Data)』を発
表した。
本研究は、2006 年~2008 年に大学に在籍した学生約 140 万人に関し、教育
省(Department of Education)の連邦学資援助受給者の在籍に関するデータ
と、国税庁(Internal Revenue Service)の収入レベルに関するデータを組み
合わせて行われた。
これによると、営利大学に在籍する学生の大半は社会人学生であるが、大学
在籍から 5~6 年経過後の収入が、営利大学入学前と比較すると低くなってい
ることが明らかにされた。論文執筆者は、経済的にマイナス効果が表れた主な
原因は、多くの学生が修了証及び学位を取得せずに退学し、多額のローンだけ
が残ったこととし、準学士号・学士号取得課程を修了した全体の約 30%の学
生の経済状況は良いという。
また、2008 年からの景気後退の影響を受けていることも考慮すべきではあ
るものの、結果に対する懸念を表明している。同研究結果に対し、民間セクタ
大学協会(Association of Private Sector Colleges and Universities)会長兼
CEO のスティーブ・ガンダーソン氏(Steve Gunderson)は、研究手法に問
題があるとの声明を 5 月 30 日に発表して反論している。
なお、本論文の要旨は、
<http://www.nber.org/papers/w22287?utm_campaign=ntw&utm_medium
=email&utm_source=nt>から閲覧可能。
Inside Higher ED, Not So Gainfully Employed
https://www.insidehighered.com/news/2016/05/31/study-finds-most-who-en
roll-profit-colleges-experience-earning-declines