7月1日号 ブレグジットは第2のリーマンショックではない

為替トピックス
2016/7/1
投資情報部
FX チーフストラテジスト
鈴木 健吾
ブレグジットは第2のリーマンショックではない

英国民はEU離脱(Brexit)を選択した。市場では「最終的には残留を選択する」との暗黙の
コンセンサスがあったように思われる。それだけに、予想を覆しての離脱派勝利は金融市
場に大きな混乱をもたらした。

為替市場ではリスク回避の円買いから、ドル円は1ドル=106.87円から一時99.00円まで下
落。一日の値幅で約8円近い変動を記録した。

欧州単一市場へのアクセスが制限されれば英国経済には悪影響。また、離脱までの道筋
が具体的に見えないことが金融市場の不安をかき立て、金融市場の動揺を誘っている。

しかし、Brexitは第2のリーマンショックではない。世界経済の混乱を招くほどのものではな
く、あくまで英国を起因とした欧州中心のローカルな衝撃にとどまるとみられる。

英国やEU経済への悪影響に関する具体的な規模や離脱までの道筋がもう少し見えてくれ
ば、市場は早晩、落ち着きを取り戻すのではないかとみている。

ドル円は、経済的な基礎的要因(ファンダメンタルズ)を反映したというよりは、リスクイベン
トに対する過度の反応であり、100 円割れはオーバーシュートではないかとみている。
英 国 民 は EU 離 脱
( Brexit ) を 選択、 金
融市場は 大荒れ の
展開に
6/23(木)に英国で欧州連合(EU)の離脱の是非を問う国民投票が実施された。最
終的な得票率は離脱が51.9%に対して残留が48.1%となり、英国民はEUからの離脱
(Brexit)を選択した。事前の世論調査では離脱と残留がきっ抗していたものの、離
脱を選択した場合の悪影響が明らかであることから、「最終的には残留を選択する」
との暗黙のコンセンサスがあったように思う。しかし、実際には離脱が選択されたこと
で、週末の金融市場は大荒れの展開となった。
6/24の為替市場ではポンドが対ドルで年初来高値の水準から約31年ぶりの安値ま
で急落し、リスク回避の円買いにドル円は朝方の1ドル=106.87円から一時99.00円ま
で下落。株式市場も世界的に下落し、金利も低下(債券買い)。国民投票から数日
が過ぎた市場は落ち着きを取り戻しつつあるものの、なお不透明感が強いなか、神
経質な状況が続いている。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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Brexitは第2のリーマ
ンショックか
英国を中心としてそれぞれの国や地域への影響はさまざまあり、不透明要素は多い
ものの、その悪影響はリーマンショックのような世界規模の景気悪化を直ちに招くも
のではなく、あくまで英国を起因とした欧州中心のローカルな衝撃にとどまると考え
ている。リーマンショック時には、前年に起きた米サブプライム問題によって土地や
金融商品のバブルが崩壊、企業や家計のバランスシートをき(毀)損、加えて大手
金融機関の破たんにより、金融機関の経営不安が表面化、急激な信用の収縮、金
融の機能不全といった金融システム不安につながり、世界経済に大きなインパクト
をもたらした。
しかし、今回のBrexitはあくまでも政治的な問題が中心だ。英国の政治的な選択や
今後のEUとの交渉にともなう制度やルールの変更を通じて経済に悪影響をもたら
すものといえる。
また、金融当局の対応も違う。バブルは弾けてから初めてその実態が明らかになる
ものであり、サブプライムやリーマンショックはそのタイミングに関しては、結果として
当局の対応は対処療法的な手法により後手にまわった。しかし、今回は国民投票
のスケジュールが事前に明らかで、離脱を選択した場合のシミュレーションも行われ
ており、各主要国の中銀も流動性の供給等の事前準備に基づいた対応を迅速に
打ち出した結果、流動性に関する不安は見られていない。
とはいえ、後述する通り、少なくとも英国経済にとっては大きな悪影響を及ぼすとみ
られることや、離脱までの道筋が具体的に見えていないこと等が不安をかき立て、
金融市場の動揺につながっている。逆に言えば英国やEU経済への悪影響に関す
る具体的な規模や離脱までの道筋がもう少し見えてくれば、市場は早晩、落ち着き
を取り戻すのではないかとみている。
実際の離脱手続き
では、実際に英国がEUから離脱する際の手続きはどのようなものとなるのか。正式
な離脱交渉はEU基本条約(いわゆるリスボン条約)第50条に基づき、脱退希望国
(今回は英国)がEUに対して脱退通知を行うことによってスタートする。
ただ、EU残留支持派だったキャメロン英首相は今回の投票結果を受けて辞任する
意向を示し、離脱交渉については次の首相に任せる旨を表明している。次の首相
を事実上決定するのが与党保守党の党首選だ。報道によれば約2ヵ月をかけて9/9
までに新党首を選出するという。6/30に立候補が締め切られたが、有力視されてい
たEU離脱派のリーダーの1人だった前ロンドン市長のボリス・ジョンソン下院議員は
立候補せず、党首・首相選びに不透明感が加わった。
ちなみに、英国の離脱選択が市場の動揺をもたらすなかで「(法的拘束力のない)
国民投票を受けて本当に英国はEUを離脱するのか」「署名活動が起きているように
再び国民投票を行うことはないのか」という疑問がある。今回の国民の選択結果を
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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受け、残留派のキャメロン首相が辞任し、基本的には離脱派がその後の政策のハン
ドルを握るとみられるなか、基本的には離脱撤回といった方向にはならないだろう。
英国の新首相がEUに対して離脱を通告することにより、交渉がスタートする。EU基
本条約第50条によれば、その交渉は2年以内に妥結する必要がある。交渉期間の
延長は可能だが、EU加盟国全ての合意が必要となる。実際には貿易、関税、規制
問題、英国におけるEU加盟国民の法的位置づけ(逆もしかり)等々、交渉しなけれ
ばいけないことは多岐にわたり、2年間で全ての合意は事実上不可能とみられ、EU
首脳会議のトゥスク常任議長のように7年間は要するとの指摘もある。
英国は2年というタイムリミットにとらわれずに有利な条件を引き出すため、離脱の通
告を行わないまま水面下で交渉に入ることを模索しているが、独・仏等のEU主要国
は「離脱の通告がない限り一切の離脱に向けた交渉を行わない」ことを確認した。2
年以内に離脱交渉の妥結ができず、なおかつ交渉の延長もできなかった場合には
EU法は英国での効力を失う。各国・地域と個別に貿易協定を締結しない限り、貿易
等に関しては世界貿易機関(WTO)のルールに則(のっと)ることとなり、英国はこれ
までのEU単一市場内における財やサービス市場への自由なアクセス権を失うことと
なる。英国がこの離脱通告を行うタイミングは非常に重要であるが、それだけに英国
は慎重を期する可能性がある。早ければ9月の首相決定後、数週間以内との見方も
あるが、来年以降になるとの見方もあり、予想は分かれている。
英国のEU脱退交渉の進め方
脱退協定
締結
英国
欧州議会の承認を得た上
で、EU首脳会議で決定
脱退交渉
脱退を通知(交渉開始)
交渉開始2年内で脱
退協定まとまらず
EU首脳会議
(欧州理事会)
脱退協定なしで
のEU脱退
ただし全加盟国の合意
で交渉延長も可能
英国へのEU基本条約の適用
交渉延長中は継続適用
出所:欧州委員会資料等よりみずほ証券作成
英国の 楽観論は 通
用しない
英国はEUとの関係において「財やサービス等、これまで通りEUとの自由な市場にア
クセスしたい。しかし、EU法に縛られたくないし、移民は規制したい、EUへの予算拠
出もしたくない」。一方、EUからすれば、「そんな都合の良い話を受け入れれば、
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次々と離脱国が出てしまう」。したがって、EUは英国との交渉において基本的に甘
い顔も手加減もせず、英国の離脱楽観論は打ち砕かれることになろう。英国を待ち
受けているのは非常に長く険しい道のりとなろう。
英国経済への影響
英国に対しては、経済・政治両面から大きな影響が及ぶだろう。
経済的な影響は、ほぼ確実に下押し要因となろう。英国の輸出の半分近くがEU向
けであるなかで、直感的にもこれに関税や各種手続きが必要になれば、英産業に
は長期的に大きなダメージとなる。また、英経済の80%近くを占めるサービス分野で
は、EU単一市場へのアクセスが制限されることで、とりわけ欧州の金融のハブとして
機能していた金融セクターに対する影響が懸念される。英当局の認可を得れば、他
のEU加盟国内でも活動が行えるというシングルパスポートルールが失効する場合
には、世界の金融機関は欧州の中心拠点を他のEU諸国に移転させる可能性が高
まる。
実際、国民投票目前に公表された英国財務省の試算によれば、より深刻なケース
では、Brexit直後の7-9月期の実質GDP成長率は消費マインドや企業景況感の下
振れや金融市場の混乱などにより前期比で最大で▲1.0%のマイナスとなり、2017年
4-6月期までマイナス成長が継続。離脱後2年間で消費や投資が冷え込むことによ
り、実質GDP成長率は離脱しない場合の標準シナリオに比べて最大6.0%ポイント下
押しされ、最大+82万人が失業(失業率は+2.4%上昇)、住宅価格は▲18%の下落と
なると指摘している。
英国がEU離脱した場合の今後2年余りの影響
GDP
離脱シナリオ
▲3.6%
より深刻なケース
▲6.0%
失業率
+1.6%
+2.4%
失業者
+52万人
+82万人
住宅価格
▲10%
▲18%
(注)離脱しない場合の標準シナリオとの比較
出所:英財務省の資料よりみずほ証券作成
英国政治への影響
政治的な混乱も起こるとみられる。今回の国民投票はその結果も僅差だったように
世論を二分したが、投票にあたって離脱派が主張していた離脱のメリットが早くも一
部剥げ落ちている。たとえば離脱によってEUへの巨額の拠出金が減ればその分を
国民の医療サービスに回せるとしていたが、実際には離脱派の主張ほど巨額なも
のではなかったようだ。また、離脱によって移民を制限するとしていた部分について
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も「移民がゼロになるわけではなく、少し管理できるようになる」と下方修正。前述の
通り経済への悪影響が見込まれるなか、勝利した離脱派と敗北した残留派の争い
が改めて激しくなる可能性がある。
さらには、英国が分裂に向かう可能性も指摘される。離脱の是非を巡る国民投票の
結果をみると、地域によって離脱派と残留派がきれいに分かれている。スコットランド
と北アイルランドは残留派が多く、ロンドン以外のイングランドとウェールズは離脱派
が多い。スコットランドは2014年に英国からの離脱を問う住民投票を行った経緯があ
るが、改めてこれを行い、英国を離脱してEU加盟を目指す可能性も指摘されてい
る。また、北アイルランドも過去に独立を巡ってさまざまな動きがあった地域。同様に
英国からの離脱を目指す可能性もある。
スコットランド
北アイルランド
イングランド
ウェールズ
出所:外務省
EUに対する影響
EUに関する最大の影響は経済面よりもその信頼性にあるだろう。つまり「欧州連合」
が決して一枚岩ではなくその団結は意外に脆(もろ)い可能性があることを示したこ
とだ。EUが崩壊に向かえばそれに含まれるユーロ圏も崩壊に向かう可能性が強まる
(ユーロ売り材料)。EUとしては半世紀以上かけて積み上げてきた統合への流れを
ここで断ち切るわけにはいかず、英国に対しては厳しい態度で臨むだろう。甘やか
せば次の離脱国を生むきっかけとなりかねない。今後、数年内にEUでは多くの国
政選挙が予定されるなか、EU懐疑派の台頭をしっかりと防いでいくことができるか。
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英国民投票後の欧州関連注目イベント
年月日
2016年
6月 28日
29日
7月 1日
9月 9日
イベント
注目点
EU首脳会議(~29日、ベルギー・ブリュッセル)
英保守党・党首選候補者受付(~30日)
スロバキアがEU議長国に就任(~16年12月)
英保守党・新党首選出
英国の国民投票結果を受けた対応を協議
立候補者3人以上の場合には保守党下院議員330人
の投票で候補者を2人に絞ったうえで、保守党員によ
る決選投票を実施
輪番制によるもの
新党首が首相に任命され、以降、脱退交渉開始時期
や内容を決定
英国離脱後のEUの運営等を協議
EUの難民受け入れ割り当て計画の是非を問う
16日
EU首脳会議(スロバキア・ブラチスラバ)
9月 ~10月上旬 ハンガリー国民投票
9月頃
ドイツ州議会選挙(メクレンブルク=フォアポンメルン、ベル
リン)
10月頃
イタリア国民投票
上院の権限変更等の憲法改正手続き、レンツィ首相
への信認投票の意味合いも
10月 9日
リトアニア議会選挙
11月 20日まで
スペイン・バスク自治州議会選挙
30日まで
ルーマニア総選挙
2017年
1月
マルタがEU議長国に就任(~17年6月)
輪番制によるもの
3月 15日まで
オランダ総選挙
反EUを掲げる極右政党・自由党が国政に足掛かりを
広げるか
4月 ~5月
フランス大統領選挙(第1回、第2回)
反EUを唱える極右政党・国民戦線ルペン党首がどれ
だけ支持を集めるか。第1回で過半数超える候補者
がいない場合、上位2名で第2回選挙実施
6月
フランス国民議会選挙
7月
英国がEU議長国に就任(~17年12月)
輪番制によるもの
8月 ~10月頃
ドイツ連邦議会選挙
メルケル首相続投なるか。選挙結果を受けて連立政
権交渉、首相選出へ
10月 まで
チェコ下院選挙
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります
出所:各種資料よりみずほ証券作成
日米への影響
日本経済や米国経済への影響は、いずれも直接的には非常に限定的とみられる。
日本の輸出に占める英国向けのシェア(財・サービスの合計、2015年)は3.5%であ
り、名目GDP比では0.7%にとどまる。また、米国の輸出に占める英国向けシェア(同)
は5.5%であり、GDP比では0.7%にとどまる。これがそれぞれ半減したとしても、いずれ
もそれほど深刻なものではない。
より短期的には、日本や米国への影響は貿易等を通じたものよりも、金融市場の動
揺を通じた株安や通貨高がもたらす悪影響の方が大きい。国際決済銀行(BIS)によ
れば世界の決済通貨に使われる通貨のうち約8割が、ドル、ユーロ、円、ポンドの4
通貨で占められている。今回のBrexitがポンド売り、ユーロ売りとなれば逃避先とし
て買われるのはドルと円だ。現状、米大統領選挙でトランプ大統領誕生リスクを抱え
るドルよりも円の方が逃避通貨となりやすく、結果としてドル円は2013年10月以来と
なる1ドル=99.00円まで下押す場面がみられた。
内閣府の企業行動に関するアンケート調査によれば日本の輸出企業の平均的な
採算レートは1ドル=103.19円とされる。これを割り込む円高になったということは、輸
出企業は平均的に赤字になるということだ。企業業績が赤字となれば、株価は当然
下落する。雇用や所得環境の悪化を通じて、消費も手控えられるだろう。また、通貨
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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高は輸入品が安く買える(輸入物価の低下)ことにより、物価の下押し圧力(デフレ
圧力)をかける。米国経済に関しても基本、同様の波及経路をたどる可能性がある。
つまり、長期的な対応が可能な英国やEUとの貿易の増減による影響よりも、短期的
には金融市場の動揺がもたらす、通貨高、株安、企業業績悪化、雇用・所得・消費
の悪化、デフレといった悪影響の方がずっと厄介だ。
業種別 採算円レート
(1ドル=円)
120
115
110
105
100
95
90
85
80
(調査時期:平成28年1月)
全産業の採算円レート
(1ドル=103.19円)
精
密
機
器
非
鉄
金
属
機
械
パ
ル
プ
・
紙
輸
送
用
機
器
電
気
機
器
化
学
ガ
ラ
ス
・
土
石
製
品
医
薬
品
そ
の
他
製
品
金
属
製
品
卸
売
業
繊
維
製
品
鉄
鋼
食
料
品
出所:内閣府「平成27年度企業行動に関する アンケート 調査報 告書」よりみ ずほ 証券作 成
不透明感の払しょくと
なれば、金融市場の
混乱は後退へ
この動揺をもたらしているのが、不透明感だ。離脱の具体的な道筋やタイミング、英
国やEUの景気悪化や政治的混乱の程度、離脱後の英国とEUの関係性等、不透
明な部分が多い。こうした不確実性の高まりは、域内はもちろん域外の国・地域に
おける投資や消費に対しても悪影響を与えるだろう。しかし、前述の通り、基本的に
は今回のBrexitは第2のリーマンショックとはならず、実際に世界経済に与える影響
は限定的とみている。離脱への道筋や影響経済への影響等がもう少し見えてくるに
従って、不透明感の払しょくとともに市場の動揺に歯止めがかかり、実際の悪影響を
精査する動きとなれば、金融市場の混乱は後退していくだろうとみている。
円高が継続するとは
想定しがたい
ドル円はBrexitショックによる円買いに大幅な下落を演じたが、経済的な基礎的要
因(ファンダメンタルズ)を反映したというよりは、リスクイベントに対する過度の反応
であり、100円割れはオーバーシュートの域に入りつつあるとみられる。金融市場の
混乱が後退していくにつれ、市場の焦点は日米金融政策等のファンダメンタルズに
移り、ドル円は緩やかに底打ちを確認する動きとなっていくのではないか。
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最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
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時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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金融商品取引法に係る重要事項
当社取り扱いの商品等(外貨建商品等も含む)にご投資いただく際には、各商品等に所定の手
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お支払いいただきます。
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ます。
なお、債券の利金・償還金の支払いについて、発行者の信用状況等によっては、支払いの遅
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えて当社が決定した為替レートによるものとします。また、売却時等の為替相場の状況によっ
ては為替差損が生じ、損失を被るおそれがあります。
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論見書またはお客さま向け資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160701-18
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