+日本の古本屋」の新機能解説 書誌データベース ・書誌情報と在庫情報

+日本の古本屋」の新機能解説
○書誌データベース
・書誌情報と在庫情報
われわれ古書店が古書目録を作る際には、本の題名・著者・版元・状態・付属品・価格などを書きます。
このうち、
「本の題名」
「著者」
「版元」は本が作られたときに決まることがらです。たいていは奥付に書
いてあります。これを書誌情報といい、2000部の本が作られたとすれば、その2000部全部に共通
する内容になります。
それに対して、
「状態」
「付属品」
「価格」は手もとにある一冊の本に関する情報で、同じように作られた
本でも、年月を経るうちに変わっていくことがらです。これを在庫情報といいます。在庫情報には、
「署
名あり」のようなプラスの情報もあります。
古書には在庫情報がありますが、新刊書はみな同じ状態なので、在庫の数量以外に在庫情報がありませ
ん。新刊書店で「同じ本」として扱われる本が、古書店では「同じ書誌の別の在庫」となるわけです。
1984年以降の本にはISBNコードがついていて書誌を区別できるようになっています。
※刊行年
本の奥付に書いてある日付には、初版の刊行日、その版の刊行日、その刷の印刷日が書いてあります。古
書店が古書目録などに表示する刊行年は「その在庫の印刷日」の年です。これは在庫情報です。コレクシ
ョンなどで各刷りの異同が重要な場合や、おおよその経年劣化の見当を付けるためには重要です。
「日本
の古本屋」では「刊行年」という用語は、古書業界の慣行どおり「その在庫の印刷日」の年をさします。
それに対して「初版の刊行日」に基づく年を、
「日本の古本屋」では「初版年」と呼びます。
「初版年」は
書誌情報です。学術書などを引用する際には初版の刊行年によって引用元を示すことが多いので、書誌
を区別する際には「初版年」を明示する事が重要です。
・NHマスタ
「日本の古本屋」では書誌の情報を集めたデータベースである「NHマスタ」(エヌ・エイチ・マスタ)
を作成しています。NHマスタでは書誌ごとに一つの番号を割り当てており、この番号のことをNHI
D(エヌ・エイチ・アイディー)と呼んでいます。
例えば、
新ナポレオン奇譚
G.K.チェスタトン 著 ; 高橋康也, 成田久美子 訳
ちくま文庫
出版社:筑摩書房
ISBN-13:978-4-480-42720-5
初版年:2010.7
のNHIDはXXXXXXXXXXです。
岩波文庫の夏目漱石『こころ』ISBN4003101111 と新潮文庫の『こころ』ISBN4101010137 は書誌は違
いますが内容は同じ作品です。このように、書誌同士には関連があります。しかし、NHマスタでは書誌
と書誌の関連については扱いません。国会図書館や Webcat のような図書館の書誌情報データベースで
はFRBRという国際的な基準で書誌の関連について整理しています。NHIDと図書館の書誌コード
(JPNOなど)が対応することにより、書誌同士の関連についても情報が得られるようになります。
・NHマスタでできるようになること
まず「日本の古本屋」への在庫の登録が簡単になります。
「日本の古本屋」にNHマスタがあることによ
り、古書店は書誌情報を入れなくても、ISBNを入れるだけで在庫の登録ができるようになります。I
SBNがわからない本でも、題名などの一部を入れるだけで書誌情報の全体を呼び出すことができます。
また、検索結果が出なかった場合、本を探している人からは、書誌情報データベースがないと単に在庫が
ないだけなのか、元もとその本が存在しないのかの区別がつきません。NHマスタによって、在庫のない
本も「在庫なし」として表示されるので、そこから探求書へと進んでいくことができます。
一つの書誌情報に対して一つの書誌ページが用意されていることにより、Google や Yahoo!などの検索結
果に「日本の古本屋」が表示されやすくなることも重要です。従来は検索サイトで書籍名などを検索して
も、ほとんどの場合「日本の古本屋」が表示されませんでしたが、今度は検索結果から「日本の古本屋」
内の書誌ページへと誘導することが可能となります。在庫が書誌に紐づけられていることにより、書誌
ページには販売可能な在庫として表示されるので販売の機会が増えます。
(逆に、在庫データが書誌に紐
づけられていない場合、書誌ページには在庫として表示されません。
)
(また、書誌ページが用意されていることにより、Google ショッピングなどにも登録可能となりますの
で、より販売の機会を増やせる手法として事業部で検討しています。
)
○送料設定と「即決注文」
「日本の古本屋」の通常注文の流れは以下のようになります。
お客様による〈仮注文〉
↓
古書店による総額提示と請求
↓
お客様による〈本注文〉
または〈クレジット決済〉
お客様は、古書店に注文を出したあと総額の提示を待って、もう一度その金額や販売条件などに同意し
なければ成りません。
煩雑な上、注文前に支払総額を知ることができません。そのため、注文前から送料を知りたい、一度のオ
ファーで購入まで一気に至りたいという要望がお客様からよせられています。
新しい機能である「送料設定」と「即決注文」はこの要望に応えるためのものです。
送料設定は「基本情報管理」の「配送方法設定」からできます。一つの表に県別の料金を設定する方式で
す。表を複数設定することにより、重さや大きさごとに異なる送料を指定することができます。また、宅
配系とメール系を両方設定することにより、お客様に配送方法を選んでいただくことも想定しています。
この設定をしていただくことにより、お客様の登録住所に応じた送料を、あらかじめ表示することがで
きます。
「即決注文」は、更に進んで仮注文を経ずにお客様からの一度の注文で購入が確定する方式です。
「即決
注文」を可に設定すると、価格の横に『即決注文ボタン』が表示され、これをお客様が押すことにより購
入画面へと遷移します。
現在は、通常注文との混乱を避けるために買い物かごからの「即決注文」はできないようになっていま
す。そのため、一度の注文では一点の購入しかできません。また、支払い方法はクレジットのみの対応と
なっています。
○レコメンド機能
「日本の古本屋」は愛書家が探している本を見付けるためには最強のサイトです。国内の珍しい書籍が集
まっていることは間違いありません。
しかし、探している本は見つかるけれど、目的のはっきりしないお客さんに本を紹介する機能は全く持
っていませんでした。これを補うのが「レコメンド機能」です。
ネット検索という性質上、目的のないお客様に商品を紹介するのは、どの販売サイトも苦労しています。
その中で比較的良くできているといわれる Amazon や、国際的に古書の売買に利用されている AbeBooks
などを参考に、強力なレコメンド機能を用意する予定です。
具体的には、書誌情報から国立情報学研究所の連想検索エンジン GETAssoc が提供する機能を用いて、
お客様がチェックした本に関連する書籍を提示したり、古書店側の特集に基づいて魅力的な書籍を紹介
したりすることができるようになります。
当初はほとんどのレコメンド機能を提供できませんが、準備が整い次第順次公開していく予定です。
○取引ナビ
「日本の古本屋」はお客様と古書店との相対取引で、
「日本の古本屋」事業部は売買に関与しません。そ
のことは、今までと変わりませんが、
「日本の古本屋」のサイトを利用してお客様と古書店の取引を進め
ていくことができるようになりました。
メールに頼らなくても、サイト内にある【受注管理】の画面からお客様と古書店がメッセージを交換でき
るようになりました。あらかじめ設定したひな型を利用することで、簡単に総額の請求や発送済みの連
絡ができます。
この画面を利用することで、
「仮注文」
(注文待ち|受注中)から「販売済み」へのステータス変更なども
できます。これらの機能はZIZAIの在庫管理機能と連動しており、
「日本の古本屋」で販売済みの品
物は自動的に「過去分在庫」に移動します。
※課金に関して:
「過去分在庫」は課金の対象になりません。現在「日本の古本屋」で販売中の品物だけ
が課金対象在庫としてカウントされます。販売中ではない非課金の在庫は、おおむね課金対象分の10
倍程度まで想定しています。
○自店在庫管理システムZIZAI(ジザイ)
今度の「日本の古本屋」は各お店の在庫管理ができる「データベース・システム」になります。普通の古
書目録では、その本が売れてしまえば、せっかく書いた情報は捨てるしかありません。しかし、データベ
ース・システムに在庫を登録することにより、いちど入力したデータを何度でも柔軟に再利用できます。
今までのように、ただ商品を出品して販売するだけではなく、在庫管理用のデータベースとしてご利用
いただけます。
また、受注販売時にはお客様とのメッセージのやりとりや、納品書領収書なとの伝票発行も半自動で行
えます。
販売済みの本のデータを再利用できます。
同じ本が再入荷したときに、前回のデータを利用して書誌入力の手間を省き、過去の販売記録と比較し
て価格設定の参考にできます。
○共通コンディション
異なる書店間でいくつかの在庫があるときに、在庫の状態を比較できる共通の尺度があったらいいと、
があったらいいと、以前よりお客様からご指摘をいただいております。一口に古書といっても、コレクシ
ョン対象の本もあれば、研究に利用する本もあります。また、新品の代用にする最近の中古本と世代を経
た古書とを共通の尺度で評価するのはむずかしいと思います。しかし、お客様の要望に応えるために、今
回の「日本の古本屋」では「共通コンディションコード」を導入し、これを検索結果に表示することにし
ました。
コンディションは以下の6段階になっています。
極美:新品と全く区別がつかないもの。または、一世代以上前の本で、存在することが稀と思われるほど
状態の良いもの。
美:状態の良いもの。または、一世代以上前の本で、良く保存されているもの。
良好:通常の古書として普通のもののうち、比較的状態の良いもの。または、一世代以上前の本で、比較
的経年劣化が少ないもの。
並:通常の古書として普通のもののうち、必ずしも良いとは言えないもの。または、一世代以上前の本で、
通常以上の経年劣化があるもの。
並下:古びているもの。具体的な難点はないが、全体に劣化が目立つ古書。
難:かなり難点のあるもの。読めればいいというような本。
※書き込みあり、カバー欠などの注意事項は、具体的に「解説」にお書きください。
※「共通コンディションコード」は必須項目ではありません。セットものなどで、指定がむずかしい場合
は「未設定」をご利用ください。EC画面には状態表示がされなくなります。その場合はなるべく解説欄
で具体的に説明してください。