医療事故情報収集等事業 第45回報告書

医療事故情報収集等事業
第45回 報 告 書
(2016年1月 ∼3月 )
2016年 6月 28日
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本事業の内容(報告書、事例等)は、以下のホームページから閲覧・検索していただけます。
(公財)日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業トップページ:http://www.med-safe.jp/
○ 報 告 書 ・ 年 報 :http://www.med-safe.jp/contents/report/index.html
○ 医 療 安 全 情 報 :http://www.med-safe.jp/contents/info/index.html
○ 公開データ検索:http://www.med-safe.jp/mpsearch/SearchReport.action
目次
はじめに …………………………………………………………………………………… 1
第45回報告書の公表にあたって ……………………………………………………… 3
医療事故情報収集等事業について ∼第45回報告書の内容を中心に∼ ………… 5
I 医療事故情報収集等事業の概要……………………………… 45
1 経緯 ………………………………………………………………………… 45
【1】ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の経緯 ………………………………45
【2】医療事故情報収集・分析・提供事業の経緯 ………………………………………45
【3】本財団における事業の経緯 …………………………………………………………46
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要 …………………………… 47
【1】事業の目的 ……………………………………………………………………………47
【2】医療事故情報の収集 …………………………………………………………………47
【3】医療事故情報の分析・提供 …………………………………………………………48
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要 …………………… 49
【1】事業の目的 ……………………………………………………………………………49
【2】ヒヤリ・ハット事例の収集 …………………………………………………………49
【3】ヒヤリ・ハット事例の分析・提供 …………………………………………………51
Ⅱ 報告の現況 …………………………………………………… 52
1 医療事故情報収集等事業の現況 ………………………………………… 52
2 医療事故情報収集・分析・提供事業 …………………………………… 53
【1】登録医療機関 …………………………………………………………………………53
【2】報告件数 ………………………………………………………………………………55
【3】報告義務対象医療機関からの報告の内容 …………………………………………59
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業 …………………………… 82
【1】登録医療機関 …………………………………………………………………………82
【2】発生件数情報の報告件数 ……………………………………………………………84
【3】事例情報の報告件数 …………………………………………………………………89
【4】事例情報の報告の内容 ………………………………………………………………93
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況 ………………………… 112
1 概況 ………………………………………………………………………… 112
【1】分析対象とするテーマの選定状況 ……………………………………………… 112
【2】分析対象とする情報 ……………………………………………………………… 112
【3】分析体制 …………………………………………………………………………… 113
【4】追加情報の収集 …………………………………………………………………… 113
2 個別のテーマの検討状況 ………………………………………………… 114
【1】腫瘍用薬に関連した事例 ①概要 ……………………………………………… 114
【2】外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例 ……………………………… 135
【3】人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例 ………………………………… 157
3 再発・類似事例の発生状況 ……………………………………………… 172
【1】概況 ………………………………………………………………………………… 172
「病理診断時の検体取り違え」
(医療安全情報 No. 53)について …………… 176
【2】
【3】共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」
(第15回報告書)について ……………………………………………………… 187
参考 医療安全情報の提供 …………………………………… 197
【1】目的 ………………………………………………………………………………… 197
【2】対象医療機関 ……………………………………………………………………… 197
【3】提供の方法 ………………………………………………………………………… 197
【4】医療安全情報 ……………………………………………………………………… 197
はじめに
公益財団法人日本医療機能評価機構
理事長 井原 哲夫
このたびの平成28年熊本地震により、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い
復旧、復興をお祈り申し上げます。
本財団は公益財団法人として、国民の医療に対する信頼の確保および医療の質の向上を図ることを
目的として、病院機能評価事業や医療事故情報収集等事業など様々な事業を運営し、医療の質をでき
るだけ高く保ち、安心・安全な医療を提供するために、それらの事業に継続して取り組んでおります。
医療事故情報収集等事業では、収集した医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の集計、分析結果を定
期的な報告書や年報として取りまとめるとともに、医療安全情報を作成し、医療従事者、国民、行政
機関等広く社会に対して情報提供を行っております。その上で、医療安全情報については医療安全の
直接の担い手である医療機関により確実に情報提供が行えるよう、希望する病院にファックスで直接
提供する事業を行っております。医療安全情報は2016年2月から全国の約7割の病院に提供するま
で拡大しています。
本事業は2014年9月30日に5年毎に必要とされている医療法施行規則に基づく登録分析機関
として3期目の登録を更新いたしました。この間、医療安全の推進のため、平素より本事業において
医療事故情報やヒヤリ・ハット事例等の情報の提供にご協力いただいております医療機関の皆様や、
関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
本事業における報告書の公表は今回が45回目になります。今回は2016年1月から3月までに
ご 報 告 い た だ い た 医 療 事 故 情 報 と ヒ ヤ リ・ ハ ッ ト 事 例 の 報 告 を と り ま と め た も の で す。 ま た、
本報告書に掲載しております医療安全情報はこれまで115回の情報提供を行ってきたもののうち、
2016年1月から3月に提供した No. 110から No. 112を掲載しております。
これまでに公表した報告書に対しては、医療事故情報の件数や内容に関するお問い合わせや報道な
ど多くの反響があり、医療安全の推進や医療事故の防止に関する社会的関心が依然として高いことを
実感しております。
今後とも、本事業や病院機能評価事業などの様々な事業を通じて、国民の医療に対する信頼の確保
と、日本の医療の質の向上に尽力して参りたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますよ
う宜しくお願い申し上げます。
-1-
-2-
第45回報告書の公表にあたって
公益財団法人日本医療機能評価機構
特命理事 野本 亀久雄
このたびの平成28年熊本地震において、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
本事業は開始後11年が経過しました。この間、本事業に対する医療機関の皆様の反応には大きな変化
があったと考えています。事業開始当初には、報告した事例をどのように活用されるのかわからない、
という不安を感じておられた医療機関が多かったように記憶しています。しかし最近では、収集した
情報をもっと使いやすい形で提供して欲しいといったご要望が増えてきており、これは事業開始当
初とは異なる大きな変化であるととらえています。その結果、皆様ご存じのとおり、報告書や年報は
次第に内容の濃いものになるとともに、医療安全情報の提供を行い、さらに後述するWebを活用した
情報提供も開始しております。それらの情報を基盤に、参加してくださっている医療機関の方々に
有用な情報としてお返しすることによって、経験したことのないタイプの医療事故の実態も理解する
ことが可能となり、具体性をもった医療事故防止が可能となるようです。
本事業は、多くの医療機関のご協力を得て、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を幅広く収集する
ことが基盤となっております。本事業にご参加いただいている医療機関の皆様には、我が国で初めて
の試みとして開始された本事業の円滑な運営に関し、ご支援、ご協力いただいておりますことに心よ
り感謝申し上げます。また、2014年9月30日に、5年毎に必要とされている医療法施行規則に
基づく登録分析機関として3期目の登録を更新いたしました。一層充実した情報を全国の医療機関や広
く国民に還元できるよう、引き続き、報告範囲に該当する医療事故情報やヒヤリ・ハット事例が発生し
た場合は、適切にご報告いただきますよう宜しくお願い申し上げます。
今回は2016年1月から3月までにご報告いただいた医療事故情報と、ヒヤリ・ハット事例のご報告
をとりまとめた第45回報告書を公表いたします。今回の個別のテーマは、
「腫瘍用薬に関連した事例
①概要」
「外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例」
「人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例」
を取り上げました。さらに、本報告書が対象とする2016年1月から3月に提供した、医療安全情
報の No. 110から No. 112も掲載しております。
これらの内容を含め、本事業の現況について、第19回報告書から執行理事と担当部長による解説
の頁を、私からのご挨拶の頁に引き続いて設けております。その頁をお読みいただくことにより、
本事業を支えておられる参加医療機関の皆様に、本事業の最新の状況をお知らせできるものと考えて
おります。そのような本報告書の内容を、医療機関において、管理者、医療安全の担当者、医薬品の
安全使用のための責任者、医療機器の安全使用のための責任者及びその他の職員の皆様の間で情報共有
していただくことにより、医療安全推進にお役立てくだされば大変幸いに存じます。
国民の医療に対する信頼を回復し、その信頼を保っていくためには、医療の安全性を向上させる
取り組みを永く続けていくことが必要であると考えておりますので、私共の事業を通じて、個々の
医療事故防止を超えて、医療に関わる人々の誇りとなるような旗印を作りたいと念願しています。
そのために、10年以上の実績を持つ本事業は、報告を定着させていく時期から、報告された情報を
活用していく時期に移行していかねばならないと考えております。
今後とも本事業の運営主体として、我が国の医療事故の防止、医療安全の推進に資するよう、報告
書の内容充実と、一層有効な情報提供に取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご協力を心より
お願い申し上げます。
-3-
-4-
医療事故情報収集等事業について
∼第45回報告書の内容を中心に∼
公益財団法人日本医療機能評価機構
執行理事 後 信 医療事故防止事業部長 坂口 美佐
1 はじめに
平素より本事業の運営にご理解とご協力をいただき、深く感謝申し上げます。
さて今回は、2016年1月から3月までにご報告いただいた医療事故情報とヒヤリ・ハット事例
をとりまとめた第45回報告書を公表いたします。報告書の内容をご参照いただき、安全管理を担当
する方を中心に、それぞれの医療機関の実情に即した有用な部分を院内で周知していただければ幸い
に存じます。
また、医療を受ける立場でこの報告書や本事業のホームページをご覧の皆様におかれましては、
医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の現状、そして医療機関や医療界が再発防止に向けて取り組んで
いる姿を、ご理解いただければ幸いに存じます。
さらに、このたびの公表にあたり、医療事故情報収集等事業や関連する事業の現況について、以下
にご紹介させていただきます。
2 第45回報告書について
1)参加登録医療機関数
本事業に参加している医療機関数は、2016年3月31日現在で1,436となり、前回の
報告書に記した数より少し増加しました。参加登録医療機関数の内訳を示す図表を52頁に掲載し、
医療事故情報を報告している医療機関数、ヒヤリ・ハット事例を報告している医療機関数、重複を
除いた事業参加医療機関数などをお示ししています。また、この図表の内容は、本事業の参加状況
を示す基本的な内容であることから、ホームページの「参加登録医療機関一覧」において随時情報
を更新しています(http://www.med-safe.jp/contents/register/index.html)
。
2)報告件数など
この報告書が対象としている2016年1月1日から3月31日の間に、950件の医療事故情報
をご報告いただきました。内訳は、報告義務対象医療機関から865件、参加登録申請医療機関、
つまり任意で参加していただいている医療機関から85件でした。この1月∼3月の報告件数を単
純に1年分に換算すれば、昨年の報告件数3,654件よりやや多い状況となります。毎年の報告
件数は、前年とほぼ同じか前年を上回る数の報告が続いており、医療事故を報告することが定着し
てきているものと考えています。そして、将来、報告範囲に該当する事例が十分報告されるように
なった段階で、特定の種類の医療事故がいくつも減少して行くことが観察されるとすれば、それは
望ましいことと考えています。そのためにも有用な事例の報告、分析、情報提供という改善サイク
ルを回し続けることが重要です。医療事故の発生予防や再発防止に資する事例のご報告をいただく
-5-
ことにより、わが国の医療安全の推進のために重要な情報が得られ、広く医療機関に共有すること
が可能になります。医療を取り巻く環境が厳しくなっているという指摘が多くなされる中で、医療
事故情報やヒヤリ・ハット事例をご報告くださる医療機関の皆様のご協力に心より感謝申し上げま
す。今後とも、本報告書中の、
「Ⅰ−2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要【2】医療事
故情報の収集」に掲載している報告範囲(47∼48頁)をいま一度ご確認いただき、該当事例を
ご報告いただければ幸いに存じます。報告範囲につきましてはホームページに掲載している「事業
の内容と参加方法」(http://www.med-safe.jp/pdf/business_pamphlet_2016_01.pdf)や事業開始
時のお知らせ(http://www.med-safe.jp/pdf/2004.09.21_1.pdf)にも記載しています。
また、全ての事業参加医療機関にとって、報告範囲に該当する事例の発生を把握すること、事実
を確認して整理すること、そしてその内容をまとめて報告することは、決して容易なことではない
と考えています。しかし、本事業に参加し、質の高い報告を継続的に行うことで、事実を把握する
能力や報告する能力が高まることや、医療機関というひとつの組織として医療安全を重視した方針
を決定するための有用な資料とできることなどが期待できます。これらは医療機関における医療安
全推進だけでなく、わが国の医療安全の底上げにつながるものと考えられますので、何卒よろしく
お願いいたします。
3)任意参加医療機関からの報告件数∼任意参加医療機関からの報告を期待しています∼
任意参加の医療機関から報告される医療事故情報の件数については、報告義務が課せられている
医療機関の報告件数に比べ随分少ない現状が事業開始後長く続いたあと、2010年は521件と、
それまでの約3倍程度に増加しました。しかし、2011年以降の報告件数は300件前後になり、
2014年も283件にとどまり、2015年も280件となっています。一方で、任意参加の医
療機関数が増加していることは、本事業へのご協力の意思のあらわれと考えられ、大変ありがたく
思っております。そして、
「参加」の段階の次は、
「報告」の段階です。報告件数をみると、私ども
の取り組みを含め、この「報告」の段階の取り組みがまだ不十分であると考えられます。
任意参加の医療機関からの報告件数が、報告義務対象医療機関からのそれよりも随分少ないこと
は、報告に対する意識の違いを示しているとも考えられ、本事業の運営委員会でも指摘されている
ところです。本事業として講演の機会をいただいた際には、この点についてご説明し、出席者の皆
様にご協力をお願いしています。同時に、医療事故情報を外部報告することについて、医療機関や
医療界の中で十分な動機が成熟してこそ、件数だけでなく質の高い内容の報告がなされるという考
え方も併せてご説明しています。つまり、報告件数が少ないことを問題視するあまり、国がいたず
らに報告義務を拡大したり、罰則を課したりする方法で達成されるものではないと考えています。
医療事故情報の報告件数は、医療界が医療安全に積極的に取り組んでいる姿勢が評価されるひと
つの目安になると思われます。報告義務が課せられている医療機関と任意で参加されている医療機
関の間に報告件数の大きな差があることは、必ずしも日常の診療現場の医療安全の努力の実態を反
映していないのではないかと考えられます。任意で参加されている医療機関の皆様におかれまして
は、報告範囲に該当する事例の適切なご報告に引き続きご協力くださいますようお願いいたします。
-6-
表1 医療事故情報の報告件数
年
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
報告義務
報告件数
任意参加
1,296
1,266
1,440
1,895
2,182
2,483
2,535
2,708
2,911
3,374
151
155
179
123
169
521
316
347
341
283
280
1,265
1,451
1,445
1,563
2,064
2,703
2,799
2,882
3,049
3,194
3,654
報告義務
272
273
273
272
273
272
273
273
274
275
275
任意参加
283
300
285
272
427
578
609
653
691
718
743
合計
555
573
558
544
700
850
882
926
965
993
1,018
合計
医療機関数
1,114
4)報告の現況
本報告書の「Ⅱ 報告の現況」に示している多くの図表の数値は、毎回大きな変化は見られない
傾向にあります。本事業は、変化がある場合もない場合も医療事故やヒヤリ・ハットの現状を社会
に継続的に示し、医療の透明性向上に寄与していくことも役割と考えており、集計結果を掲載して
います。
また、「当事者の直前1週間の勤務時間」「発生場所」「事故調査委員会設置の有無」「事故の概要
×事故の程度」など、報告書に掲載していない図表を、ホームページ(http://www.med-safe.jp/
contents/report/html/StatisticsMenu.html)に掲載していますので、ご参照ください。
図1 集計表のページ
「報告書・年報」のページの
「集計表(Web 公開分)」をクリック
四半期毎の表(2015年分)
四半期毎の表(2014年分)
年報の表(2014年分)
5)個別のテーマ(114∼171頁)
本報告書の個別のテーマでは、
「腫瘍用薬に関連した事例」
「外観の類似した薬剤の取り違えに
関連した事例」
「人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例」を取り上げました。これらのうち、
「腫瘍用薬に関連した事例」は、テーマを設定した後、それに該当するヒヤリ・ハット事例を1年
間にわたり収集しながら医療事故情報と総合的に検討し、前方視的に分析していくテーマです。そ
れ以外のテーマは、2016年1月∼3月に報告された重要な事例をテーマとして設定し、同種事
例を過去に遡って、後方視的に分析したものです。このように、個別のテーマの分析には、前方視
的分析と後方視的分析とがあります。
-7-
表2 個別のテーマ一覧
①前方視的分析を行うテーマ
(テーマに該当するヒヤリ・ハット事例を1年間収集しながら、医療事故情報と総合的に分析するテーマ)
・腫瘍用薬に関連した事例
②後方視的分析を行うテーマ
(1∼3月に報告された医療事故情報の中からテーマを設定し、同種事例を過去に遡って活用し分析する
テーマ)
・外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
・人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
テーマ分析の概要を次に紹介します。
① 腫瘍用薬に関連した事例 ①概要(114∼134頁)
本テーマは、事例を1年間継続的に収集し、第45回報告書から4回にわたって取り上げる予定
で、今回が初回の掲載となります。
がん治療において腫瘍用薬(抗がん剤)を用いた薬物療法は、手術療法や放射線療法とともに重
要であり、広く行われています。腫瘍用薬は複数の薬剤を組み合せた多剤併用療法が行われること
が多く、様々な薬剤が使用され、制吐剤や抗アレルギー薬などの支持療法の薬剤を併用することも
あります。
腫瘍用薬は複数の薬剤を使用すること、患者の体重によって投与量が決定されること、薬剤の取り
扱いに注意が必要なこと、患者への影響が大きいことなどから、医療事故情報およびヒヤリ・ハット
事例が本事業に多数報告されています。本事業では、報告された事例を基に、これまでに医療安
全情報 No. 22「化学療法の治療計画の処方間違い」
(2008年9月)
、医療安全情報 No. 93
「腫瘍用薬のレジメンの登録間違い」(2014年8月)、医療安全情報 No. 104「腫瘍用薬処方時
の体重間違い」(2015年7月)を提供し、注意喚起を行ってきました。その後も継続的に事例
が報告されていることから、本事業では腫瘍用薬に関連した医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を
個別のテーマとして取り上げ、事例を1年間継続的に収集し、4回の報告書にわたって分析を進め
ることとしました。今回は事例の発生状況を紹介し、主な事例を概観しています。医療事故情報では、
「薬剤の血管外漏出・血管炎」と「腫瘍用薬投与中の状態の悪化(副作用等)」の事例の報告件数が
多く、ヒヤリ・ハット事例では「支持療法の間違い」の事例が多く報告されていました。
医療機関におかれましては、事例の背景・要因や改善策を参考にしていただき、同種事例の発生
予防に努めていただければ幸いに存じます。
-8-
表3 発生状況(医療事故情報)
事例の内容
薬剤量間違い
薬剤 対象者
間違い 間違い
カテー
腫瘍用
テル
薬剤の カテー
投与
薬投与
・
投与日
血管外 テル
経路
支持
投与
中の
投与
ポート
中止時
・
外れ
漏出
無投与
・
時間
状態の 療法の その他
速度
の投与
日数
の不具合
・
・
部位
悪化 間違い
間違い 間違い
間違い
・
血管炎 漏れ
間違い
(副作用
取り扱い
等)
間違い
過剰
過少
不明
3
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合計
レジメン登録
0
0
治療計画
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
1
4
処方
5
1
19
1
0
0
1
5
0
1
1
0
0
0
0
5
2
41
指示
5
発生段階
指示出し
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
2
0
0
0
0
0
1
5
指示受け
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
調剤
2
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
調製
0
0
9
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
11
その他
準備
0
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
患者への説明・指導
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
実施
3
5
0
0
0
3
1
1
6
3
0
0
0
2
0
0
1
25
実施に伴う確認・観察
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
68
6
0
53
0
1
128
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
合 計
10
6
34
1
0
5
3
11
6
6
3
68
6
2
53
6
8
228
② 外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例(135∼156頁)
注射薬のアンプルやバイアル、内服薬のPTP包装などには、外観が類似しているものがあります。
本事業では、第9回報告書(2007年6月公表)の共有すべき医療事故情報において、ラシック
ス注を投与するところ、同じく茶色のアンプルであるホリゾン注を誤って投与した事例を取り上げま
した。その後も、各報告書の「再発・類似事例の発生状況」において、
「外形の類似による薬剤間違
いの事例」の類似事例の件数を集計して示しています。今回、本報告書分析対象期間(2016年
1月1日∼3月31日)に、注射薬のアンプルの外観が類似していたことが一因となり、薬剤を取
り違えた事例が1件報告されました。そこで本報告書では、事例を過去に遡り、注射薬に限らず外
観が類似していたことが一つの要因となって薬剤を取り違えた事例を取り上げ、分析を行いました。
2010年以降、薬剤の外観が類似していたことが要因になった事例は24件ありました。これ
らの事例における使用する予定の薬剤と取り違えた薬剤を整理して示し、外観の類似について事例
に記載されていた要素を示しました。また、報告された事例のうち検査に用いる試薬等を除き、患
者に投与する薬剤21件について、発生場面や主に関わった職種で分類するとともに、主な薬剤の
写真をカラーで掲載しています。
薬剤を使用する際には、色や形などの外観で判断するのではなく、薬剤名を確認することが基本
です。医療機関におかれましては、本報告書を教育などにご活用いただき、同種事例の発生予防に
お役立ていただければ幸いに存じます。
-9-
表4 薬剤の外観(一部を抜粋)
種類・形態
投与予定の薬剤
取り違えた薬剤
外観類似について
記載されていた内容
注射薬
セレネース注5mg
サイレース静注2mg
ともに茶褐色のアンプル
であった。
ラシックス注20mg
プリンペラン注射液10mg
両薬剤は遮光2mLの類
似した形状のアンプルで
あった。
アンプル
プリンペラン注射液10mg
ペルジピン注射液2mg
茶色のアンプルという認
識で薬剤を手に取った。
ヱフェドリン「ナガヰ」
注射液40mg
ネオシネジンコーワ注5mg
外観が1mLのアンプル
で類似していた。
- 10 -
③ 人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例(157∼171頁)
人工呼吸器は生命維持装置の一つであり、呼吸回路の接続が緩んだり外れたりすると、患者の生
命に重大な影響を及ぼす可能性があります。本事業では、第15回報告書(2008年12月公表)
∼第17回報告書(2009年6月公表)で、人工呼吸器に関連する事例を分析テーマとして取り
上げました。また、人工呼吸器に関連して、医療安全情報 No. 24「人工呼吸器の回路接続間違い」
(2008年11月)
、医療安全情報 No. 32「ウォータートラップの不完全な接続」
(2009年
7月)
、医療安全情報 No. 37「
『スタンバイ』にした人工呼吸器の開始忘れ」
(2009年12月)
、
医療安全情報 No. 92「人工呼吸器の配管の接続忘れ」
(2014年7月)を提供し、注意喚起を行っ
てきました。今回、本報告書分析対象期間(2016年1月1日∼3月31日)に、人工呼吸器管
理中の患者の気管切開チューブと閉鎖式サクションカテーテルの接続が外れた事例が1件報告され
ました。そこで、本報告書では事例を過去に遡り、人工呼吸器の回路の接続が外れた事例を取り上
げて分析を行いました。
本報告書では、2010年以降に報告された医療事故情報から該当する43件を取り上げ、発生
場所、発生時間帯などを集計するとともに、接続が外れた部分や接続が外れたことに気付いたきっか
け、主な背景・要因、改善策を整理して示しました。接続が外れた部分は、呼吸回路と気管チューブ
(または気管切開チューブやマスク)の接続部が24件と最も多くなっていました。また、治療の
程度として「濃厚な治療」を要した事例が25件あり、人工呼吸器の回路の接続が外れたことによ
り患者に大きな影響を及ぼした事例が含まれていました。呼吸回路の構造上の特徴を把握し、呼吸
回路を確認する際は、目視で確認するだけでなく呼吸回路全体を手で触り、たどって確認すること
の重要性が示唆されました。
医療機関で人工呼吸管理に関わる皆様におかれましては、本報告書を参考にしていただき、同種
事例の防止に努めていただければ幸いに存じます。
表5 接続が外れた部分
接続が外れた部分
件数
1)人工呼吸器本体と呼吸回路の接続部
1
2)呼吸回路内の一部
10
3)呼吸回路と気管チューブ・気管切開チューブ・マスク
※
の接続部
不明
24
8
合 計
43
※ 非侵襲的陽圧換気療法を行う際に使用する換気用マスクのことである。
6)再発・類似事例の発生状況(172∼195頁)
第17回報告書まで掲載していた「共有すべき医療事故情報」や「個別のテーマの検討状況」
、
そして「医療安全情報」で取り上げた事例の中には、一度情報提供しても、実際には引き続き類似
事例が報告されているものがあります。そこで、
「Ⅲ−3 再発・類似事例の発生状況」では、再
び報告があった事例を取り上げ、情報提供後の類似事例の発生件数の推移、類似事例の概要、医療
機関から報告された具体的な改善策などの内容を掲載しています。
過去に掲載した「共有すべき医療事故情報」と「個別のテーマの検討状況」の中から、本報告書
が対象とする2016年1月∼3月に報告された再発・類似事例の件数を173∼174頁に掲載
- 11 -
しています。
「共有すべき医療事故情報」の再発・類似事例の件数は、「ベッドからベッドへの患者
移動に関連した事例」が7件、
「小児への薬剤倍量間違いの事例」
、「体内にガーゼが残存した事例」
がそれぞれ6件などでした。
「個別のテーマの検討状況」の再発・類似事例の件数は、「凝固機能の
管理にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び出血の事例」が6件、
「院内での自殺
及び自殺企図に関する事例」が3件などでした。
また、これまでに提供した「医療安全情報」の中から、本報告書分析対象期間に報告された再発・
類似事例の件数を175頁に掲載しています。このうち、「No. 85:移動時のドレーン・チューブ
類の偶発的な抜去」が6件、「No. 54:体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去」が
4件、「No. 106:小児の薬剤の調製間違い」が3件などとなっています。
それらの中から今回取り上げたのは、
「No. 53:病理診断時の検体取り違え」
「眼内レンズに関
連した事例」です。概要を以下に示します。
① 「病理診断時の検体取り違え」(医療安全情報 No. 53)について(176∼186頁)
本事業では、第21回報告書(2010年7月公表)∼第24回報告書(2011年3月公表)で、
「病理に関連した医療事故」を分析テーマに取り上げました。その後、医療安全情報 No. 53(2011年
4月)では、
「病理診断時の検体取り違え」を取り上げました。このたび、本報告書分析対象期間
(2016年1月1日∼3月31日)においても類似の事例が1件報告されたため、再び取り上げ
ることとしました。
本報告書では、医療安全情報 No. 53の集計期間以降(2011年3月∼2016年3月)に報
告された「病理診断時の検体取り違え」の類似事例8件を紹介し、それらの事例における取り違え
た場面や取り違えに気付いたきっかけなどを整理しました。また、事例が発生した医療機関から報
告された改善策を掲載しています。
病理診断に関する業務には、病理検体の採取から検体の処理、診断に至るまで様々な場所で多職
種が関わります。医療機関におかれましては、本報告書とともに以前に公表した報告書や医療安全
情報を参考にしていただき、同種事例の発生予防と再発防止に努めていただければ幸いに存じます。
表6 取り違えた場面と内容
病理検査室外
取り違えた
場面
内容
検体容器にラベルを貼付する際、別の患者のラベルが残っており、医師は確認しないまま貼付した
容器保存
患者2名分の検体を提出する際、医師は誤って別の患者の名前のラベルを貼付した
検体受付
臨床検査技師は、検体容器を病理番号順に並べるところ、並べる順番を間違えた
包埋
臨床検査技師が検体を検体容器からカセットに移す際に、患者Aと患者Bの検体を取り違えた
病理検査室内
薄切後、検体を液体に浮かべる際に患者Aと患者Bの検体を一つの区切りに入れたため取り違えた
薄切・染色
標本ラベルを印刷する際、臨床検査技師は別の患者のオーダ用紙のバーコードを読み取り、誤った
ラベルを貼付した
スライドガラスに印字する際、臨床検査技師はバーコードが読み取れず手入力したところ、別の
患者の番号を誤って入力した
臨床検査技師 X が別の患者の検体を染色している間に、臨床検査技師 Y が次の患者のシールを置い
たため、誤ったシールを貼付した
- 12 -
② 共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」
(第15回報告書)について
(187∼195頁)
第15回報告書(2008年12月公表)では、分析対象期間に眼内レンズに関連した事例が報
告され、
「共有すべき医療事故情報」として取り上げました。その後、類似の事例が報告されたこ
とを受け、第24回報告書(2011年3月公表)及び第27回報告書(2011年12月公表)
では、「再発・類似事例の発生状況」として取りまとめました。その後も継続的に類似の事例が報
告されており、本報告書分析対象期間(2016年1月1日∼3月31日)においても3件報告さ
れたため、再び取り上げることとしました。
今回は、本報告書分析対象期間に報告された類似事例3件の概要を紹介するとともに、第27回
報告書分析対象期間以降(2011年10月∼2016年3月)に報告された事例22件について
分析を行いました。事例を、1)検査値の間違い、2)眼内レンズの間違い、3)手術患者の同定
間違い、に大別し、間違いが発生した段階ごとに整理して示しました。報告された事例では、検査
から度数決定、眼内レンズのオーダ、準備、実施までの様々な段階で間違いが発生していました。
さらに、主な背景・要因、医療機関から報告された改善策などを整理して掲載しています。
このように、継続して報告されている事例に対し、繰り返し情報提供することで、同種事例の再
発防止に取り組んでまいりますので、医療機関におかれましては本稿を活用していただくとともに、
以前に公表した報告書も併せてご参照いただければ幸いに存じます。
表7 間違いが発生した段階
事例の分類
検査値の間違い
検査値の
入力の
間違い
眼内レンズの間違い
準備した 他の患者に
手術患者の
他の患者の 指示変更の
眼内レンズ 準備した
同定間違い
検査値を 情報伝達の
の度数の 眼内レンズ
間違い
送信
間違い
の使用
合計
段階
検査
0
0
0
0
0
0
0
検査値入力・転送
7
2
0
0
0
0
9
度数決定
0
0
0
0
0
0
0
オーダ
0
0
1
3
0
0
4
準備
0
0
0
1
2
0
3
実施
0
0
0
0
5
1
6
7
2
1
4
7
1
22
合 計
- 13 -
3 医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例データベースとホームページの機能
1)事例の公開・検索機能
本事業のホームページの「公開データ検索」のボタンをクリックすると、図2の画面が現れます。
このページ上で、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を閲覧することができます。また、図の下方
にボタンがあり、選択した事例を「XML」
「PDF」
「CSV」の3つのファイル形式で、皆様の
コンピュータにダウンロードして活用することが可能です。このような事例を参考に、安全な診療、
看護、調剤などのマニュアルの整備や医薬品の表示の改善、医療安全分野の医学的、工学的な研究
が行われています。また、医療事故が発生した場合に、類似事例を閲覧することで、患者の病状の
推移や治療方法などの点で参考になります。本機能の活用に関するアンケート調査では、「医療事
故発生時の参考資料として使用」
「安全管理委員会の参考資料として使用」
「安全管理に関連した研
修会の教材として使用」などが多く回答されました。
以上の機能は、本事業に参加しておられる医療機関や研究者の皆様、またその他多くの皆様より、
報告書に掲載される事例が多くなり内容も豊富になっているため、Webを活用した事例の閲覧や
検索ができるシステムの開発を望む声を多くいただいてきたことに対応したものです。そしてこの
検索ページでは、本稿執筆時点で医療事故情報18,281件、ヒヤリ・ハット事例42,262件
が検索できます。
ご報告いただいた情報をこのような形で公表し、それが適切に活用されることによって医療提供
の仕組みやモノの改善が進み、また、紛争解決にも寄与し、その成果が実感されることによりさら
に報告が定着する、といった医療安全の好循環が生じ、医療界だけでなく我が国の社会において重
要な機能となることを願っています。
図2 医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例を閲覧できるページ
キーワードの入力
事例概要の選択
ファイル形式毎のダウンロードボタン
- 14 -
2)国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針について
∼本事業を通じた医療機関による医療事故の公表∼
医療事故が発生した場合は、医療機関が医療の透明性を高めることや、事例を他施設の活用に供
することによって、同種事例の再発防止を図ることなどを目的として、また、医療事故の当事者や
家族が、医療事故を再発防止のために活用することを希望することに対応する目的などから、医療
機関が事例を公表することがあります。
国立大学附属病院長会議では、2005年3月に「国立大学附属病院における医療上の事故等の
公表に関する指針」を策定し、医療上の事故等が発生した場合の公表に関する基準を示しました。
その後、本事業を通じた医療事故の概要、再発防止策その他の医療安全情報に関する社会的な公表
システムが定着し、機能するようになっているという認識に基づき、2012年に同指針が改訂さ
れました。改訂前の指針と同様、各国立大学附属病院において、医療上の事故等につき、医療の透
明性を高め、国民からの信頼向上をはかるとともに、他医療機関における医療安全管理の徹底及び
再発防止に資することを目的として、公表を行うための一定の基準が示されています。国立大学附
属病院における医療事故の公表に関しては、一部の医療事故事例を医療機関のホームページ等を通
じて公表し、その他の多くの事例を本事業への報告を通じて公表することとされています。このよ
うに、本事業の成果物、特に公開データ検索の機能は、医療の安全に関する透明性の向上や、各医
療機関の医療事故の公表という重要な役割を担っていると考えています。
3)医療事故情報収集等事業のデータベースを活用した医薬品の取り違え防止のための製薬企業の対応
∼「ノルバデックス」と「ノルバスク」の販売名類似による取り違えに関する注意喚起 ∼
本事業の事例データベース等を活用し、「アルマールとアマリール」、「ノルバスクとノルバデッ
クス」などの名称類似薬の取り違えについて、製薬企業から注意喚起がなされていることを、過
去の報告書でご紹介しました(第34回報告書 19∼21頁、第29回報告書 13∼18頁、
平成24年年報 25∼29頁、平成23年年報 16∼19頁)
。このように、本事業に報告さ
れたことを契機として、本財団以外の関係団体や企業から、医療事故防止のための具体的な注意
喚起が行われることが継続しています。2015年7月には、
「デュファストン ® 錠(一般名:
ジドロゲステロン)」(アボット ジャパン株式会社)と「フェアストン ® 錠(一般名:トレミ
フェンクエン酸塩):乳癌治療剤」(日本化薬株式会社)について、それぞれの製造販売業者で
あ る 企 業 か ら、 販 売 名 の 類 似 に 関 す る 注 意 喚 起 が な さ れ ま し た(https:// www.pmda.go.jp/fi
les/000206336.pdf)
。それぞれの薬効は、デュファストンは、切迫流早産、習慣性流早産、無月経、
月経周期異常、月経困難症などですが、フェアストンは、閉経後乳癌ですので、大きく異なってい
ます。
よく知られた名称類似薬である「ノルバデックス ®(一般名:タモキシフェンクエン酸塩):
抗乳がん剤」と「ノルバスク ®(一般名:アムロジピンベシル酸塩):高血圧症・狭心症治療薬
/持続性Ca 拮抗薬」の取り違えについても、製薬企業より、本事業の成果を引用した注意喚起
が繰り返し行われてきており、2013年11月に再び注意喚起がなされ、2014年7月及び
2015年5月にその情報が更新され、そして2016年3月に再度更新されました(図3)。
医療従事者に対してそのことを説明するために企業名で公表された文書には、本事業に報告され
た事例が紹介されているとともに、具体的な表示や検索システムの改善による対策、医薬品の外観
- 15 -
の写真などが紹介されています。また、対策がとられていても、医師に異動や非常勤といった事情
があることにより、対策が十分理解されていないことによる取り違えの事例もあることから、周知
徹底を呼びかけています。
このように、医療の現場の安全性を高めることにより、国民に安全な医療を提供することにつな
がる改善のために、本事業の成果が活用されることは、事業の趣旨に即した適切な取り組みである
と考えています。同種の事例について今後も繰り返し注意喚起することが本事業の役割であるとと
もに、製造販売業者である企業の皆様にもこのようなご活動を継続していただければありがたいと
考えています。
図3 「ノルバデックス ®」と「ノルバスク ®」の販売名類似による取り違え注意のお願い(一部掲載)
<参考> 本事業の成果を活用した注意喚起
本事業に報告される事例は、医薬品の製造販売業者に位置付けられる企業によって、医薬品の
取り違えだけでなく適正使用に関する注意喚起もなされています。2015年8月には、ペグイン
トロン ® 皮下注用の調製に関する注意喚起が公表されています。注意喚起文書の中で、「ペグイン
トロン ® 皮下注用50μg/0.5mL 用、ペグイントロン ® 皮下注用100μ g/0.5mL
用、ペグイントロン ® 皮下注用150μg/0.5mL 用(以下、本剤)につきまして、公益財
団法人日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業において、調製時に添付の注射用水0.7
mLで溶解し、そのまま全量(0.7mL)を投与した事例や、注射用水0.5mLで溶解し、過量
に投与した事例が複数報告されています。」と、本事業における報告事例に基づいた注意喚起情報
であることが説明されています。本注意喚起文書発出後、2016年4月には、注意喚起後に同種
事例の報告はないものの、引き続き注意を喚起するとして、再度同趣旨の文書が発出されています
(図4)。
- 16 -
図4 ペグイントロン ® 皮下注用調製時の注意に関するお願い
また、本事業では、2015年8月に、医療安全情報 No. 105で「三方活栓の開閉忘れ」を
取り上げ、情報提供したところです(図5)
。これに関し、
(独)医薬品医療機器総合機構が、本事
業の事例や、医薬品、医療機器の品質及び安全性の確保等に関する法律に基づく副作用・不具合報
告において収集された事例の中などから、専門家の意見を参考に医薬品、医療機器の安全使用推進
の観点から情報提供を行っている「PMDA医療安全情報」において、2016年1月に No. 48
「三方活栓の取扱い時の注意について」を公表しています(図6)。このように、本事業に報告され
た事例や分析の内容について透明度を高くして公表することにより、その活用が広がっています。
図5 医療安全情報 No. 105
図6 PMDA医療安全情報 No. 48
「三方活栓の開閉忘れ」
「三方活栓の取扱い時の注意について」
- 17 -
4)これまでのホームページの機能追加
2013年、本事業のホームページに、①「分析テーマ」と②「再発・類似事例の発生状況」の
ボタンを追加しました(図7)。
図7 本事業のホームページ
①「分析テーマ」のボタン
②「再発・類似事例の発生状況」のボタン
図7の①のボタンをクリックすると、第1∼44回報告書で取り上げた分析テーマについて、テーマ
のタイトルと該当するページのPDFファイルを閲覧することができます。
図8 分析テーマのページ
該当ページのPDFファイル
第44回報告書
分析テーマ
第43回報告書
分析テーマ
- 18 -
事業開始後、第1∼45回報告書に掲載したテーマのうち過去3年分を次に示します。
表8 報告書で取り上げた分析テーマ一覧(過去3年分)
年
回数
2016 年 第45回
第44回
第43回
2015 年
第42回
第41回
第40回
第39回
2014 年
第38回
第37回
延べテーマ
No .
テーマ
180
腫瘍用薬に関連した事例
① 概要
179
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
178
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
177
インスリンに関連した医療事故
④「無投与、中止時の注射、投与時間間違い、その他」の事例
176
観血的医療行為前に休薬する薬剤に関連した事例
175
気管切開時の電気メス使用による引火に関連した事例
174
インスリンに関連した医療事故
③「薬剤量間違い、投与速度間違い」の事例
173
座位による中心静脈カテーテルの処置に関連した事例
172
胃管の誤挿入に関連した事例
171
インスリンに関連した医療事故
②「薬剤間違い、対象者間違い」の事例
170
与薬時の患者または薬剤の間違いに関連した事例
169
パニック値の緊急連絡に関連した事例
168
インスリンに関連した医療事故
① 概要
167
手術中の砕石位に関連した事例
166
病室での自殺及び自殺企図に関する事例
165
職種経験1年未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
④「療養上の世話」の事例
164
カリウム製剤の急速静注に関連した事例
163
放射線治療の照射部位の間違いに関連した事例
162
口頭による情報の解釈の誤りに関連した事例
161
職種経験1年未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
③「治療・処置、医療機器等、ドレーン・チューブ、検査」の事例
160
皮膚反応によるアレルギーテストの実施時の試薬に関する事例
159
内視鏡の洗浄・消毒に関する事例
158
職種経験1年未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
②「薬剤、輸血」の事例
157
後発医薬品に関する誤認から適切な薬物療法がなされなかった事例
156
無線式心電図モニタの送受信機に関連した事例
155
調乳および授乳の管理に関連した事例
154
職種経験1年未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
① 概要
153
気管切開チューブが皮下や縦隔へ迷入した事例
152
事務職員の業務における医療安全や情報管理に関する事例
- 19 -
また、図7の②のボタンをクリックすると、第18∼44回報告書で取り上げた、
「再発・類似
事例の発生状況」のテーマについて、テーマのタイトルと該当するページのPDFファイルを閲覧
することができます。
図9 再発・類似事例の発生状況のページ
該当ページのPDFファイル
第44回報告書
再発・類似事例の
発生状況
第43回報告書
再発・類似事例の
発生状況
第18回報告書から開始した「再発・類似事例の発生状況」で掲載したテーマのうち過去3年分
を次に示します。
表9 報告書で取り上げた「再発・類似事例の発生状況」一覧(過去3年分)
年
回数
2016 年 第45回
第44回
第43回
2015 年
第42回
第41回
第40回
第39回
2014 年
延べテーマ
No.
83
82
「病理診断時の検体取り違え」(医療安全情報 No. 53)について
共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」(第15回報告書)について
81
「併用禁忌の薬剤の投与」(医療安全情報 No. 61)について
80
共有すべき医療事故情報「酸素ボンベ残量の管理に関連した事例」
(第17回報告書)について
79
「B型肝炎母子感染防止対策の実施忘れ」
(医療安全情報 No. 49)について
78
77
共有すべき医療事故情報「体内にガーゼが残存した事例」
(第14回報告書)について
「人工呼吸器の回路接続間違い」(医療安全情報 No. 24)について
76
「患者の体内に植込まれた医療機器の不十分な確認」(医療安全情報 No. 62)について
75
「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」
(医療安全情報 No. 2 第2報 No. 45)について
74
「小児への薬剤10倍量間違い」
(医療安全情報 No. 29)について
73
「禁忌薬剤の投与」
(医療安全情報 No. 86)について
72
「画像診断報告書の確認不足」(医療安全情報 No. 63)について
71
共有すべき医療事故情報「三方活栓の閉塞や接続外れ等、使用に関する事例」
(第11回報告書)について 70
「未滅菌の医療材料の使用」
(医療安全情報 No. 19)について
69
「清拭用タオルによる熱傷」
(医療安全情報 No. 46)について
68
第38回
67
第37回
テーマ
「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」(医療安全情報 No. 33)
、
「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎」(医療安全情報 No. 77)について
共有すべき医療事故情報「歯科診療の際の部位の取り違えに関連した医療事故」
(第15回報告書)について
66
「小児の輸液の血管外漏出」(医療安全情報 No. 7)について
65
「電気メスによる薬剤の引火」(医療安全情報 No. 34)について
- 20 -
さらに、2014年には「公開データ検索」のページに、関連診療科及び当事者職種を選択で
きるプルダウンメニューを設定しました。本事業に対して、各診療領域の基幹的な学会から講演依
頼を受けることがあり、学会の医療安全関連の委員会の事業として、有害事象の収集を検討されて
いる学会もあるようです。しかし、事例収集をシステムとして行うことは容易ではないことから、
本事業の「公開データ検索」のページの活用を検討する学会もありました。そのような検討にあたっ
ては、この関連診療科や当事者職種を絞り込む機能は有用なものと考えられます。これらの機能追
加により、
「公開データ検索」の機能が医療安全の推進のために一層活用されることを願っています。
4 医療安全情報の提供
本事業は、特に周知すべき情報を提供することにより、医療事故の発生予防、再発防止を促進
することを目的として、医療安全情報を提供しています。医療安全情報は、医療の現場で忙しく業
務に従事している方々が手軽に活用できる情報として、A4サイズ2枚程度に情報量を絞り込み、
イラストや表を入れるなど視認性に配慮して作成しています。2006年12月から医療安全情報の
提供を開始し、本報告書の対象期間である2016年1月∼3月には No. 110∼ No. 112を作成、
公表しました(198∼203頁)。
医療安全情報は、医療事故情報収集・分析・提供事業やヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
の参加医療機関に対して、毎月1回ファックスで提供するとともに、事業のホームページにも掲載し
ています。さらに、より広く情報を共有するため、事業に参加されていない病院でもご希望があれば
医療安全情報をファックスで無料配信しています。ファックス配信は医療安全情報の公表日に行いま
すので、迅速に情報を受け取ることができ、院内の回覧などに利用していただくことができます。
2015年12月にファックス受信のご希望を募ったところ、579病院から新たにご依頼をいた
だき、ファックスを受信する医療機関は全国の病院の約7割になりました。
図10 医療安全情報の申し込み方法
※ファックスによる提供は病院を対象としています。
- 21 -
また、2016年3月には、ファックスによる医療安全情報の提供を受けている医療機関名を閲覧
できるボタンを作成しました。 これを押すことにより、2016年3月末時点の 5,935施設が掲
載されたPDFファイルが開きますので、近隣の医療安全情報提供先医療機関名を確認していただく
ことができます。医療安全情報のファックス配信のご依頼は随時受け付けていますので、まだ提供を
受けていない病院の皆様には、地域の医療機関に関するこのような情報を参考にしていただき、病院
の約7割に配信されている医療安全情報をぜひお申し込みいただきますようにお願いいたします。
図11 医療安全情報提供医療機関一覧のボタン
- 22 -
5 医療安全情報集の作成、公表
本事業の成果のひとつである医療安全情報は、2006年12月から発行され、2015年3月
で第100号という節目を迎えました。2011年12月には第1号から第50号までを掲載した
「医療安全情報集 No. 1∼ No. 50」を公表しました。医療安全情報集 No. 1∼ No. 50は、多くの
医療機関から、よくまとまっていて院内で活用したい、余分があれば追加送付して欲しい、院内で印
刷して職員に配布し、特に新入職員の教育に活用したい、といったご連絡をいただきました。ご関心
を持っていただきましたことに深く感謝申し上げます。そこで、2015年9月には第51号から
第100号までを掲載した「医療安全情報集 No. 51∼ No. 100」を公表し、事業に参加しておられ
る医療機関などに送付するとともに、ホームページにも掲載しています。どなたでもダウンロードして
ご活用いただくことができます(http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe-collection_051-100.pdf)。
情報集の中では、本事業の運営委員会座長である、株式会社日立製作所ひたちなか総合病院院長
永井庸次先生や、総合評価部会座長である、東邦大学医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野教
授 長谷川友紀先生から、それぞれ「医療安全情報の意義と課題」
、「医療安全情報に寄せて」として
ご寄稿いただき、医療安全情報の性質や活用などについてお感じになられてきたことを執筆していた
だきました(医療安全情報集 No. 51∼ No. 100:5∼8頁)。その中でも言及されていますが、
100号を重ねることができたことは、本事業の参加医療機関や関係者の皆様のお陰であり、深く感
謝申し上げます。また、
「医療安全情報のあゆみと今後の展望」として、①医療安全情報作成の経緯、
②医療安全情報の提供、③医療安全情報の構成、④医療安全情報のテーマの考え方、⑤医療安全情報
の5つのパターン、⑥医療安全情報の影響、⑦医療安全情報の海外への情報発信、などについてご説
明しています。特に⑥医療安全情報の影響は、医療安全情報が、医薬品の製造販売業者である企業の
皆様による、医薬品の名称類似による取り違えの注意喚起につながった事例を紹介しており、情報提
供による具体的成果をお示ししている部分です。
さらに、この度の「医療安全情報集 No. 51∼ No. 100」では、
「医療機関における医療安全情
報の活用」という項目を設けて、医療機関における医療安全情報の活用の実例を紹介しています。事
業参加医療機関のご協力を得て、活用例を収集したところ、①医療安全情報に掲載したイラストを抜
粋して使用した例、②医療安全情報に院内の事例を加えた例、③院内発行物に医療安全情報を組み込
んで掲載した例、④医療安全情報を院内教育の資料に使用した例、の4つのパターンがありました。
我が国の医療機関で実際に発生した事例が、このように他施設において具体的な形で活用されること
により、医療事故の発生予防に寄与するという好影響が一層広がることを期待し、本事業としても、
このような事例をこれからもご紹介していきたいと考えています。
- 23 -
図12 医療安全情報 No. 54
図13 医療機関における医療安全情報の活用例
「体位変換時の気管・気管切開 (医療安全情報集 No. 51∼ No. 100に掲載)
チューブの偶発的な抜去」
- 24 -
6 医療安全情報の提供医療機関拡大とアンケート調査について
本事業では、継続的に医療安全情報のファックスによる提供医療機関数の拡大を図るため、講演
会におけるご案内や、ファックス未受信病院に対する受信希望調査を行ってきました。2011年に
調査を行ったところ、新たに697病院から提供のご希望をいただきました。このように、ご希望を
募る調査を行うたびに、相当数の申し込みがあるのが現状です。そこでこの度、再度同様な調査を行
うとともに、ファックス未受信病院における医療安全情報の活用状況等について2015年12月に
アンケート調査を実施しました。その結果、調査を依頼した3,385病院のうち1,021病院から
回答がありました(回答率30. 2%)
。また、今回の調査によって、新たに579病院から提供のご
希望をいただきました。
表10 医療安全情報提供拡大のためのご希望を募った調査年と増加数
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
2006年
2007年
2008年
2011年
2015年
(新規)情報提供を希望した病院数
情報提供医療機関数合計
提供開始した医療安全情報
1,924
1,039
623
697
579
3,332
4,232
4,838
5,307
5,932
No. 6∼
No. 15∼
No. 27∼
No. 63∼
No. 111∼
アンケート調査の結果では、ファックス未受信病院においても「医療安全情報を見ている」と回答
した病院は67.9%、また、医療安全情報を「活用している」または「どちらかというと活用して
いる」と回答した病院は92.6%でした。このように医療安全情報はファックス未受信病院におい
ても相当程度に知られており、かつ、活用されていることが明らかとなりました。従来、医療安全情
報の普及について、ファックス受信病院数や、全病院に占める割合を目安にしていましたが、実際は
それ以上に普及が進んでいると考えられました。さらに、医療安全情報を「どちらかというと活用し
ていない」と回答した病院に対して、その理由をお尋ねしたところ、「自施設では内容が合致しない」
とする回答が最も多く65.3%を占め、次に「その他」(14.3%)、
「自施設で周知する方法がない」
(10.2%)等でした。
「その他」の回答の自由記載欄には、
「精神科病院なので、内容が合致するも
のが少ないが、精神科でも身体管理が増えてきているので、今後活用したい」、「当院は医療処置が少
ない為、療養上の内容や医療処置・検査等に関係する内容は活用している」
、「当院は事故はなく、軽
微なインシデントが多い」等の記載がありました。このような特定の診療科や処置が少ない医療現場
における有効な情報提供のあり方は、今後の医療安全情報の内容の充実にとって課題であると考えら
れました。「医療安全情報を見ていない」と回答された病院のうち86.9%が「今後医療安全情報を
入手する希望の有無について「はい」と回答し、入手の方法は、
「ファックスの受信を希望する」と
回答した病院が74.0%ありました。このように、医療安全情報のファックス受信のご要望は、ま
だ潜在的に多いものと考えられました。
- 25 -
図14 医療安全情報拡大のためのファックス未受信病院へのアンケート調査結果(抜粋)
①最新の「医療安全情報」の定期的な閲覧について
項目
見ていない
32.1%
病院数
見ている
693
見ていない
328
合 計
1,021
見ている
67.9%
(①で「見ている」と回答した病院への問い)
②「医療安全情報」の院内での活用について
どちらかというと
活用していない
6.6%
活用していない
0.4%
未回答
0.3%
項目
病院数
活用している
396
どちらかというと活用している
246
どちらかというと活用していない
どちらかというと
活用している
35.5%
46
活用していない
3
未回答
2
活用している
57.1%
合 計
693
●「活用している」または「どちらかというと活用している」と回答した病院での活用方法
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258
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299
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445
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121
䠑㻚䛭䛾௚
䠒㻚ᮍᅇ⟅
31
1
- 26 -
(②で「どちらかというと活用していない」または「活用していない」と回答した病院への問い)
③「医療安全情報」を活用していない理由について
複数回答
2.0%
他の情報を
活用している
8.2%
項目
その他
14.3%
自施設で周知する
方法がない
10.2%
自施設では内容が
合致しない
65.3%
病院数
自施設では内容が合致しない
32
自施設で周知する方法がない
5
他の情報を活用している
4
その他
7
複数回答
1
合 計
49
□その他の回答
・周知する仕組みを考えていなかったが、今後活用する予定である
・職員への意識づけが不十分である
・ 精神科病院なので内容が合致するものが少ないが、精神科でも身体管理が増えてきているので、今後活用したい
・当院は医療処置が少ない為、療養上の内容や医療処置・検査等に関係する内容は活用している
・当院では事故はなく、軽微なインシデントが多い
・当院の現状から判断して関係のあるもののみを必要な部署に伝えている
・活用できる情報は活用しているが、今後もっと活用していきたい
・ホームページからその都度個人でしか情報を収集していない
④今後の「医療安全情報」の入手について
●①で「見ていない」と回答した病院
●①で「見ている」と回答した病院
未回答
1.5%
未回答
2.3%
希望しない
11.6%
希望しない
46.5%
項目
希望する
51.2%
希望する
86.9%
項目
病院数
希望する
355
希望する
希望しない
322
希望しない
未回答
合 計
未回答
16
合 計
693
- 27 -
病院数
285
38
5
328
7 本事業の成果物の活用に関するアンケート調査の結果について
本財団は、病院機能評価事業を始めとする、医療の質・安全の向上に関する様々な事業を運営し
ており、その多様性は、国際的にみても本財団の大きな特徴であると考えています。また本年は、
第33回ISQua国際会議を東京で開催することも決定しています。そこでこのような機会に、
本財団が運営してきた事業が、医療現場における医療の質の向上に与えてきた影響を把握するために、
2014年に本事業においてこれまでに作成、提供してきた成果物について、参加医療機関における
活用状況をアンケート調査しました。調査を依頼した1,377施設のうち735施設から回答があ
りました(回答率53.3%)。
具体的には、
「報告書及び年報」
「医療安全情報」
「公開データ検索(データベース)の機能」に
ついて、活用状況をうかがいました。
「活用している」または「どちらかというと活用している」と
回答した割合は、「報告書及び年報」が69.0%「医療安全情報」が95.5%、「公開データ検索」
が37.8%でした。
「報告書及び年報」は、500床以上の病院では、7割を超える医療機関が「活用している」または
「どちらかというと活用している」と回答していました。また、医療事故情報の報告件数が少ない任
意参加の医療機関においても、7割を超える割合でした。報告件数の少なさとは別に、成果物を活用
した医療安全の取り組みは盛んになされていると推測されました。定型化している報告書の構成の中
では、「個別のテーマの検討状況」
「再発・類似事例の発生状況」の部分が特に活用されていました。
これらの部分を充実していくことが重要と考えられました。「報告書及び年報」の活用方法としては、
「事故発生時の参考資料」
「取り上げられたテーマに関連した診療科や部署に周知」
「安全管理委員会
に周知、資料として活用」「安全管理に関連した研修会の教材」「職員全体に周知」などがありました。
「医療安全情報」は、その「情報量」
「頻度(ひと月に1回)
」「わかりやすさ」についても、
「適切
である」
「どちらかというと適切である」とする割合が96.6∼99.0%という大変高い結果でした。
このことは、多忙な医療現場の職員に、有効に情報を伝達するための媒体として、情報量を絞り込み、
一定の頻度(ひと月に1回)で、文字を大きくしたり色を変えたりイラストを取り入れるなどして視
認性にも配慮した媒体が好感されるものと考えられ、今後の情報発信手段の検討に有用な知見である
と考えられました。医療安全情報の活用方法としては、
「職員全体に周知」
「安全管理委員会に周知、
資料として活用」
「取り上げられたテーマに関連した診療科や部署に周知」
「事故発生時の参考資料」
「院内に医療安全情報の印刷物を掲示」などがありました。
「公開データ検索(データベース)の機能」は、個別事例が検索、閲覧できる機能ですので、日々
の診療や看護に頻繁に活用されるというよりも、会議資料の作成、マニュアルなどの改訂時の参考、
医療事故発生時の参考、研究における活用などを想定しています。また、法令に基づき、公費で運営
している本事業の透明性を高く保つことにも有用であると考えています。「活用している」または「ど
ちらかというと活用している」と回答したのは約4割の医療機関でした。活用の方法としては、「事
故発生時の参考資料」「安全管理委員会の資料等として活用」などがありました。また、「活用してい
ない」理由を尋ねていますが、「知らなかった」「活用する機会がない/報告書や医療安全情報がより
有用である」という回答が多くありました。「報告書や医療安全情報がより有用である」という内容
の回答は、本事業の成果物の間の相対的な有用性を回答しているのであって、「公開データ検索」単
独の有用性を回答したものではないことが推測されます。そこで、今後も報告書や年報、研修会、講
演などの機会に機能や活用例の周知を図ることが重要であると考えられました。
- 28 -
図15 本事業の成果物の活用に関するアンケート結果(抜粋)
【報告書及び年報】
●活用方法
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145
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306
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304
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83
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231
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18
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375
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61
2
◆活用項目
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211
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260
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411
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435
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156
415
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42
【医療安全情報】
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●活用方法
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496
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376
389
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117
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110
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54
1
【公開データ検索(データベース)の機能】
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●活用方法
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217
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48
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151
16
䠑䠊஦ᨾⓎ⏕᫬䛾ཧ⪃㈨ᩱ
321
䠒䠊◊✲䛾ཧ⪃㈨ᩱ
䛹䛱䜙䛛䛸䛔䛖䛸
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㻟㻢㻚㻢㻑
䠓䠊䛭䛾௚
䠔䠊↓ᅇ⟅
- 29 -
40
23
17
8 医療事故情報収集等事業平成26年年報英語版及び医療安全情報 No. 96∼107
英語版の公表と Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)のプロジェクト「Global
Patient Safety Alerts」を通じた情報発信
医療事故情報収集等事業では、平成17年年報より英語版を作成し、ホームページを通じて公表し
たり、海外からの訪問者の方々に差し上げたりして、事業の内容や成果の周知に活用してきました。
2 0 1 6 年 3 月 末 に、 平 成 2 6 年 年 報 の 英 語 版 で あ る、「Project to Collect Medical Near-Miss/
Adverse Event Information 2014 Annual Report」を公表いたしました。この内容は、ホームページで
閲覧、ダウンロードできるとともに、検索のページ(報告書類・年報検索 Full Text Search:http://
www.med-safe.jp/reportsearch/SearchReportInit)より、英語による検索が可能です。
図16 医療事故情報収集等事業平成26年年報英語版と目次
また、医療安全情報の英語版も作成して、それらを海外に向けて情報提供しています。2016年3月
末には、医療安全情報 No. 96∼107の英語版を公表しました。それらは、本事業のホームページの
英語のページ(http://www.med-safe.jp/contents/english/index.html)に掲載していますので、機会
がありましたらご活用いただければ幸いに存じます(図17)。
また引き続き、カナダの Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)がWHOと行う共同プロジェ
クトである「Global Patient Safety Alerts」において、医療安全情報英語版を世界的に共有すること
のご依頼をいただいたことから、そのプロジェクトを通じた情報発信も続けています。具体的には、
各医療安全情報(英語版)に基づき、それぞれに掲載されている情報の要旨、関連情報、関連する
推奨事項が新たに記述され、同じ画面から医療安全情報(英語版)へのリンクが設置されています。
同プロジェクトのホームページの協力団体には、本財団の名称を掲載していただいています。また、
閲覧用アプリも提供されています。
- 30 -
図17 医療安全情報(英語版)
後述する、有害事象の報告及び学習システムをテーマとした、WHO Inter-regional Consultation
Conference (Colombo) において、同団体の Iona Popescu 氏が International Perspective: Canada と
題した講演を行いました。同団体の様々なプロジェクトの説明には、Global Patient Safety Alert も含
まれていました。その説明の中で、何度も本事業の医療安全情報について言及されました。例えば、
「Global Patient Safety Alert では、日本のアラートを多く掲載している。日本のアラートの情報の中
から、我々のフォーマットに従って内容を抽出して整理したものを公開している。当然のこととし
て、日本のアラートのホームページにもリンクしている。日本の有害事象報告制度のホームページに
は英語版のアラートを掲載したページがある。」とご説明がありました。講演後の質疑応答の時間に、
「2011年だったと記憶しているが、本事業の医療安全情報英語版の提供のご要請を受けた。この
プロジェクトでアラートが閲覧されている頻度を教えてほしい。ある程度閲覧されているとしても、
まだ知らない人も多くいるので、一層の周知をお願いしたい。
」と質問及び依頼をしました。ご回答
としては、
「毎年40,000件くらいのアクセスがあり、年々増加している。周知はこれからもやっ
ていく。活用しやすいようにアプリも作成している。」との返答でした。そこで「このプロジェクト
やアプリについては、日本の医療事故情報収集等事業の定期報告書や年報の中で記述している。毎回
の報告書で紹介してきた。今後も継続的に医療安全情報英語版をご提供するので、活用と周知をよろ
しくお願いする。
」と依頼しました。会を主催されたWHOの担当者は、このご講演や質疑応答を聞
いて、WHOの活動や成果と Global Patient Safety Alert との連携を強化したいご意向でした。会合の
終了後、Iona Popescu 氏及び Global Patient Safety Alert の担当者と連絡を取り、医療安全情報英語
版 No. 107までを本事業のホームページに掲載したので、活用していただくように依頼しました。
先方からは、ホームページを改修し、単なるアラートの紹介だけでなく、関連情報等もあわせて掲載
するよう準備中とのことであり、本稿執筆中、その改修が進捗しています。
このように、本事業の英語のホームページの他に、
「Global Patient Safety Alerts」のページの協力
団体のページや検索機能、アプリを通じて、医療安全情報英語版の内容が世界から閲覧されています。
- 31 -
9 WHOにおける有害事象報告システム(Minimal Information Model for Patient Safety :
MIM PS)の開発について
WHOでは2004年10月に創設した医療安全プログラムを継続して実施する中で、国際的に
医療安全を推進するための方法論として、本事業と類似の方法論である、有害事象を報告しそれを
分析して再発防止を図る学習システムを開発するプロジェクトを進めています。2005年には、
医 療 安 全 の 分 野 で よ く 知 ら れ て い る「WHO Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and
Learning Systems」
(現在改訂作業中)を作成、公表し、その中で、体系的な有害事象の収集を通じた
学習システムの基本原則などが述べられました。本事業も、我が国における有害事象の報告、学習の
仕組みとして紹介されています。
後 述 す る よ うに、 有 害 事 象 を 把 握 す る た め の 基 盤 的 な シ ス テ ム の 一 つ とし て、Conceptual
Framework for the International Classification for Patient Safety(ver.1.1)が作成、公表されました。
その中では、インシデントを把握するために、発生に寄与した因子、患者の要因、インシデント
の特徴、発見の契機、重症度に影響した要因、患者への影響、組織への影響、対策などについて
様々な項目が提案されています。そしてその成果に基づいて、施設レベルを超えて世界レベルで
学 習 し た り、 情 報 を 共 有 し た り で き る シ ス テ ム、Minimal Information Model for Patient Safety
(MIM PS)が開発され、2015年5月12∼13日、ポーランドのワルシャワで開催された会
議 WHO International Consultation on European Validation of the Minimal Information Model for
Patient Safety Incident Reporting and Learning においてその内容が説明されました。同会議では、
日本の有害事象報告制度として、我が国からの参加者によって本事業の説明を含む講演が行われまし
た。また、同様に本事業の講演を依頼された2016年2月と3月の会議においても、WHOの担当
者からその進捗が講演されました。3月22∼24日にスリランカのコロンボで開催された WHO
Inter-Regional Consultation Patient Safety Incident Reporting and Learning Systems in Africa and
Asia Pacific Regions における講演内容について、次に示します。
The Minimal Information Model for Reporting Patient Safety incidents-progress review
Ms Maki Kajiwara
●MIM PSについて
インシデントレポートを理解し比較するための必須と考えられるコード構造の概念である。
それ以上の概念を追加したり、カスタマイズしたりすることもできる。目的は、最低限の有意義
な学習が得られるために重要な特徴を見出すことにより、効果的な報告がなされることを強化
することである。報告制度がない場合は、MIM PSはインシデントを収集する共通のツール
となりうる。
● 2005年にWHO RLSドラフトガイドラインが作成された。その中で、報告基準と事例
の分類の調和が必要とされた。RLSは医療システムの失敗に学び、非難を回避するために有
用である。また、リスクの様相の分析に基づいた建設的な対応や同種事例の再発を防止するた
めの教訓を周知することが必要である。
- 32 -
● 2009年には患者安全の国際分類のための概念的な枠組み(Conceptual Framework::CF)
が作成された。重要な10の項目は次の通りであり、それぞれについて20∼40項目の選択
肢がある。
①インシデントの類型
②患者の特徴
③インデントの特徴
④発生に寄与した因子や危険
⑤発見の情報
⑥被害が緩和された要因
⑦患者の予後
⑧組織への影響
⑨改善策
⑩リスクを低減させるために採られた方策
● 用語の定義
①患者安全インシデント:不必要な害が患者に及んだ出来事や状況
②医療における安全:医療提供に伴う不必要な害を許容範囲まで低下させること
③エラー:計画通りに行動することに失敗すること、あるいは、誤った計画を実行すること
④ニアミス:患者に到達しなかったインシデント
⑤無害インシデント:患者に到達したが判別できる害が生じなかった事例
⑥有害事象:患者に害を及ぼした事例
⑦有害反応: 事象が発生した状況において、正しい過程が行われることにより、正当化さ
れる行為の結果生じた予期しない害
● MIM PSの定義と標準版(8項目)について
①患者情報(直接又は間接的に患者安全インシデントに関与した人、最低限その人の年齢、
性別を把握する)、②発生時間(インシデントが発生した日時)、③発生場所(インシデン
トが発生した物理的環境)
、④関係者、関連機器等(インシデントに影響を与える可能性が
ある物、機器、人やあらゆる要素)、⑤インシデント類型(共通の性質で類型化、グループ
化されたインシデントの型を示す記述的な用語)、⑥インシデントの結果(インシデントの
一部や全てが患者や組織に与えた影響)、⑦改善策(インシデントの結果実施された行動)、
⑧報告者の役割(インシデントを収集し、記載した人)。
● 2 0 1 4 ∼ 2 0 1 5 年 に は、 E U( ベ ル ギ ー、 ク ロ ア チ ア、 チ ェ コ、 デ ン マ ー ク、
イタリア、ルクセンブルグ、ポーランド、スペイン、UK)とEFTA(The European Free
Trade Association)MS(ノルウェー)で試行と検証を実施した。目的は、WHOのMIM案
を経験的に検証して改善(必要な修正を加えること)すること、欧州におけるRLSとして現
実的であるか評価することである。手法としては、EU加盟国から事例を選び出し、欧州で稼
動している報告システムの事例情報がMIM案に則したものであるか検証する。その結果は、
①MIMの項目ごとに欧州の報告システムの事例でも情報が報告されている率、②欧州の報告
システムごとにMIMの求める情報が報告されている率、で表すこととした。
- 33 -
● 欧州におけるMIMの検証結果について
400件以上の事例が登録された。全てのデータには、MIMの項目の5項目以上に該当す
るデータが報告されていた。全ての項目を網羅していた国や地域は6つであった。報告され
ていなかった項目には、患者情報、インシデントの発生日時、関係者、関連機器等、インシ
デント類型、インシデントの結果及び報告者の役割が挙げられた。
● 国際的な専門家による検証について
2015年5月12∼13日にポーランドのワルシャワで会議を開催した。欧州、豪州、インド、
日本から45名の専門家が参加した。目的は、MIMの開発経緯のまとめを検証することやM
IMの医療現場における適用性を検証すること、患者安全情報の報告と学習に関する世界的
なベストプラクティスや、よい経験、教訓に学ぶこと、比較可能な結果から学習する効果を
高め共通の報告事項に同意すること、現行のMIMのフォーマットを検証し今後の改善を推
奨すること、RLSの現時点の優先課題を同定し推奨される将来の戦略的な方向性を示すこ
とである。
● 検証の結果について
RLSに関し各国が共通した対応を行うことの必要性が認識された。MIM PSがEU加盟国
やその他の国において情報共有や教訓を学ぶための基本的な枠組みであることが検証された。
10個の項目を有するMIMが了解され、また、既存の報告制度が機能している国においても
有用性があるというコンセンサスが得られた。8個の報告項目を有するMIMも報告制度を持
たない国々では報告制度を開始する際によいモデルであると考えられた。既存の報告制度が機
能している国でもしていない国でも、MIM PSの構造は、データによる構造的な部分とフ
リーテキストから成る。RLSの学習の性質を強化することが重要であり、それは、蓄積し
たデータの体系的分析とその比較や、急速に増加する優先度の高い事象を同定することによっ
て行われる。
● 標準8項目と拡大10項目の比較について
<参考>MIM PS標準版と拡大版(下線部が相違点)
◆ MIM PS標準版
◆ MIM PS拡大版
①患者情報(年齢、性別)
①患者情報(年齢、性別)
②発生時期
②発生時期
③発生場所
③発生場所
④関係者、関連機器等
④原因
⑤インシデント類型
⑤寄与因子
⑥インデントの結果
⑥エラーの緩和要因
⑦改善策
⑦インシデント類型
⑧報告者の役割
⑧インデントの結果
⑨改善策
⑩報告者の役割
- 34 -
● 拡大版の定義を追加された項目について
④原因:インシデントを誘発した中心的な事象、⑤寄与因子:インシデントの原因や、進展、
リスクの増大に部分的に寄与したと考えられる因子、⑥エラーの緩和要因:インシデントが
患者に害を与えることを緩和したり妨げたりした行動や状況。
● 医療安全の情報源としてのRLS:EU各国における調査結果の成果について
患者安全を優先することの確立、保健省の推奨、テーマ分析と報告、警告や参照情報の提供。
多くの情報を含んだ冊子、ニュースレター、グッドプラクティスのメモ、特定のエラーの防止法、
新しいプロトコールの提示。ピアレビューの実施、教育セッションの実施、チェックリストの
作成、統計的分析。その結果明らかとなったことは次の通り。リストにある全ての事象が全
ての国で生じるわけではない。13%の国では、レポートは単に報告されて蓄積されている
のみ。分析はインシデントの種類による。手法としては Failure mode やRCA(Root Cause
Analysis)がある。
● EUにおける評価を終えた際には、次のメッセージを公表した。MIM PSは、患者安全と
医療の質の強化のためのEU全域にわたる幅広い戦略を、組織しさらに開発するために必須な、
共通の枠組みである。
● MIMに関するこの他の方向性について
報告と監視のためのMIM(Cross cutting MIM)
。WHOにはいくつかのタスクフォースがあっ
て、患者安全のための報告と監視システムの導入機会、利益、方向性を検討している。具体
的には、輸血、医療機器、患者安全、医薬品の副作用監視、放射線の安全、ワクチン、漢方、
注射の安全、診断的検査、労働衛生のタスクフォースがある。
● 患者安全のための報告と監視システムとしてのMIMに関する非公式会議を、2014年4月
1∼2日にスイスのジュネーブで開催した。10の技術的分野から45名の専門家が出席した。
目的は、MIMの開発経緯のまとめを検証することやMIMの医療現場における適用性を検証
すること、患者安全情報の報告と学習に関する世界的なベストプラクティスや、よい経験、教
訓に学ぶこと、比較可能な結果から学習する効果を高め共通の報告事項に同意すること、現行
のMIMのフォーマットを検証し、今後の改善を推奨すること、RLSの現時点の優先課題を
同定し、推奨される将来の戦略的な方向性を示すこと(ワルシャワの会合の目的と同じ)であ
る。また、次のことも目的である。多職種による高いレベルの議論を行う。報告システムの必
要性、困難性とそのギャップについて理解する。
● 今後について
アジア、アフリカ地域での試行。MIMの運用による学習効果の強化。多職種・多部門が関
与する領域(薬効・副作用監視、輸血、放射線、医療機器、ワクチン接種)におけるMIMの
試行。患者からの報告を可能にするなど有害事象報告システムに関する新しい考え方の導入(患
者の責任感の養成、患者の声を現場に届ける、患者・住民と医療者とのパートナーシップの
形成が期待できる)。
- 35 -
10 ISQua(International Society for Quality in Health Care)との連携について
I S Q u a(The International Society for Quality in Health Care)
(http://www.isqua.org/) は、
医療の質の向上に関わる国際団体で1985年に設立され、現在本部はダブリン(アイルランド)に
置かれています。そして、約70カ国の組織会員、個人会員とアイルランド政府から資金を得て運営
されています。本財団は組織会員として登録するとともに、24名が個人会員として参加しています。
2015年10月4日∼7日に、中東のカタール、ドーハの National Convention Center で、
第32回 ISQua International Conference が開催されました。会期中に開催された理事会におい
て、本財団の今中雄一理事が、ISQuaの理事として選出されました。
ISQuaの主な事業は次の通りです。
・病院等の第三者評価に関する国際認定(IAP : International Accreditation Programme)
・学会誌 International Journal for Quality in Health Care の出版
・医療の質向上に関する教育・啓発事業(ISQua Education)
・国際学術会議 International Conference の開催 2016年は、10月16日(日)∼19日(水)東京国際フォーラムにて開催の予定です(http://
jcqhc.or.jp/banaimg/ISQua.pdf)
。この機会を活用して、同会との連携を深める中で、国際的な流れに
即した取り組みを実践することだけでなく、国際的な流れの形成に参加することにも取り組んでいます。
図18 2016年のISQua国際会議(東京)を伝える情報(ISQuaホームページより)
また、最近では、本財団はISQuaと共同で、インターネット講義である Webinar の日本語版
である「Japanese Webinar」を運営することによって、一層の情報発信に努めています。同時に、同
じ内容を英語版の Webinar でも情報発信しています。
- 36 -
11 海外に向けた情報発信
医療事故情報収集等事業では、年報の英語版や医療安全情報の英語版を公表しており、本事業のホーム
ページの英語のページに掲載し、事業の内容や成果の周知に活用してきました。
そのような情報発信を続けておりましたところ、2010年度以降、毎年のように、海外から
本事業を含む、本財団の医療の質や安全に関する事業の講演のご依頼を受けるようになりました。
また、本財団がISQua(International Society for Quality in Healthcare)との連携を強める中で、
ISQuaの年次会議でも同様の内容で発表を続けています。
最近では、WHOの会議において本事業や本財団の運営している医療の質や安全に関する事業につ
いてご説明する講演やプレゼンテーション等のご依頼を頂いています。後が2015年9月に WHO
West Pacific Region が 主 催 し 香 港 で 開 催 さ れ た WPRO Policy Round Table on Quality in Health
Services (第44回報告書 34∼36頁に概要を掲載)、11月にスイス、ジュネーブのWHO
本部で開催された WHO Strategic Expert Working Group Meeting Developing Vision and Strategic
Directions for Improving Patient Safety and Quality of Care (第44回報告書 39頁に概要を掲載)
に引き続き、2016年2月には、オマーンのマスカットで開催された Inter-Regional Technical
Consultation on Best Practices in Patient Safety and Quality of Care 、3月には、スリランカのコロ
ンボで開催された WHO Inter-Regional Consultation Patient Safety Incident Reporting and Learning
Systems in Africa and Asia Pacific Regions で本事業について講演しました。それら2回の会議の概
要を次に示します。
1) Inter-Regional Technical Consultation on Best Practices in Patient Safety and Quality of Care,
8-10 February 2016 in Muscat, Oman
○ 2016年2月8∼10日にオマーンのマスカットにおいて、日本およびオマーン政府の協力
を得て、WHOの 4 つの地域(アフリカ地域、東地中海地域、南東アジア地域、西太平洋地域)
の連携を図ることを目的として、WHO本部及びWHO東地中海地域オフィスの主催により開
催された。
○ 会合は、WHO Global Patient Safety and Quality Network を構築するイニシアチブの一環であ
り、同時に、医療の質と安全の強化を望む世界的な関心の高まりに対するもの。
○ 22の国から医療の質や安全に関し、120名の参加者と専門家つまり保健省の政策決定者や
主要な施設、組織、利害関係者が集まり会議に参加した。
○ 目的は次の通りである。
①対話や経験やノウハウに関する国際的な情報交換の場を提供すること。
②患者安全の推進に成功している取り組みに学び重要な考察を行うこと。
③ 医療安全の強化や、質と安全の改善において、今後患者にどのように参加してもらうこと
ができるか検討すること。
④医療安全や質の改善分野において、世界的ネットワークを構築すること。
- 37 -
○ 当方の役割として、1日目午前に本事業について講演(30分)
。具体的には、日本の医療安
全対策(国レベル:医療事故情報収集等事業、産科医療無過失補償/原因分析・再発防止制
度、病院機能評価事業等、施設レベル:院内インシデント報告制度、紛争対応)について説
明した。1日目午後のパネルディスカッション Panel Discussion on Selected Evidence Based
Interventions for Patient Safety and Quality of Care の司会(1時間)を行い、その他、意見
やコメントを述べて議論に参加した。
○会議で提案された推奨事項
各国のプレゼンテーションと3日間の議論を経て、以下の通り多くの推奨事項が導かれた。
① 患者安全におけるリーダーシップの関与:課題実行して患者安全や質の改善を進めるため
には強力なリーダーシップを必要とする。政治の関与も必須である。また、医療機関や医
療者によるマネジメント能力の発揮も同様である。このことは健康政策上優先されるべき
であり、患者安全の実施プログラムや介入の大規模化を図る上で、必要な資源を与えられ
るべきである。
② 政策や実践を説明するエビデンス:報告と学習のシステムが医療の安全や質の即時的モニ
タリングツールとして、また、エラーに学ぶツールとして確立されるべきである。様々な
規制により、このシステムを非懲罰的なものとしなければならない。そうすることにより、
失敗が正確に報告され、修正されることになる。医療の安全や質の必要性を評価し、達成
された進捗をモニタするための指標の確立も必要である。
③ 知識と技術的な能力の強化:計画された仕事の実行を支援するために、患者安全やコミュ
ニケーションに関するスタッフ教育が促進されるべきである。WHOが作成した患者安全
に関する多職種用のカリキュラムは、卒前、卒後及び継続的な教育プログラムにおいて有
用な資源となりうる。
④ 効果的なコミュニケーション手段:信頼でき効果的なメディアを通じたコミュニケーション
の戦略の作成のために、メディアによる、患者安全問題の根本原因の理解を構築する初期
の段階が必要である。
⑤ 患者安全における患者の強化と関与:患者の能力を養うことは、安全な医療の提供におい
て、説明を受けたパートナーとして積極的に関与してもらうために必要である。この中には、
患者や地域全体における健康に関する基礎的な能力向上を含み、そのことによって効果的
な患者や地域の関与を確実にするものである。
⑥ 優れた事例の共有と適用の促進:患者安全や質の領域におけるコミュニケーションや警
告、優れた取り組みの共有のための基盤として、WHO Global Patient Safety and Quality
Network が確立され維持される必要がある。この基盤によって、効果的で費用対効果の高
い解決を促進するために、資源の少ない状況に適応可能な革新的なアプローチの開発を可
能にする。
- 38 -
2)
WHO Inter-Regional Consultation Patient Safety Incident Reporting and Learning Systems in
Africa and Asia Pacific Regions, 22-24 March 2016, Colombo, Sri Lanka
○ 2016年3月22∼24日にスリランカのコロンボにおいて、日本政府及びスリランカ政府
の支援を受けて、WHOの 4 つの地域(アフリカ地域、東地中海地域、南東アジア地域、西太
平洋地域)の連携を図ることを目的として、WHO本部及びWHO東南アジア地域オフィスの
主催により開催された。
○ WHOでは国レベルのインシデント報告制度の創設を希望する加盟国を支援するために、
2005年にドラフトガイドライン(初版)、簡素で機能的な報告項目であるMIM PS
(Minimal Information Model for Patient Safety Incident Reporting and Learning System) を開
発してきた。
○ 会議における議論は、今後作成される WHO Implementation Guidelines on Patient Safety
Incident Reporting and Learning Systems に活かされる予定である。
○ 21の国から医療の質や安全に関し、専門家つまり保健省の政策決定者や主要な施設、組織、
利害関係者が集まり会議に参加した。
○ 目的は次の通りである。
①報告と学習システムの運営から得られた教訓の情報交換を促進すること。
② 今後作成される WHO Implementation Guidelines on Patient Safety Incident Reporting and
Learning Systems に活かす知見を得ること。
③ MIM PSが試行された4つの地域における結果を、特に資源の少ない地域における運営
に着目してレビューすること及び、幅広く加盟国で運用可能であって、現場で運用可能な
ツールとしての有用性についてレビューすること。
④ データ分析の能力を開発すること:組織や需要度、資源に基づく分析方法の選択と適用に
関する能力を開発する。
⑤ これらの議論から得られる教訓を活用すること及び、報告システムの更なる充実にという
方向性に向けた推奨事項を提供すること。
○ 当方の役割として、1日目午後に本事業について講演(15分)
。具体的には、医療事故情報
収集等事業における報告の方法、分析結果、成果の活用例(名称類似薬の解消等)について説
明した。1日目午後のグループワーク Developing WHO Guidance on Patient Safety Incident
Reporting and Learning Systems の司会とまとめ(2時間)を行い、その他、意見やコメン
トを述べて議論に参加した。
○会議で行われた中心的な議論及び提案された推奨事項
○ 報告と学習システム(RLS : Reporting and Learning System)は患者安全の中心であり、施
設レベル、国レベル、WHOの地域レベル、世界レベルの全てのレベルで実践されるべきである。
加盟国は、国レベルで効果的かつ持続可能なインシデント報告システムを構築すべきである。
- 39 -
○ 国レベルの報告システムについて、施設、地域、国のいずれのレベルから開始してもよいので、
段階的に国レベルのインシデント報告システムを整備する。これにより、次のことが期待される。
①患者安全への理解が改善し文化が醸成され、活用しやすい報告システムとなる。
② 政策的枠組み、法や規制の整備を行う。利害関係者を明確化し、公的、私的医療施設を対
象とし、また全ての医療を包括的に対象にした、義務的/任意的な報告制度の創設。
③ 規制によって報告制度を非懲罰的なものとすることにより、発生した誤りが正確に報告さ
れるシステムを確立する。
④患者安全のためのナショナル・アクションプランを策定する。
⑤ 国レベルのガイドライン、定義、分類、ツール、SOPs(標準作業手順書)、インフラが
必要であり、その中で報告範囲を明確化する。
⑥この件に関する国レベルの中心や組織レベルの中心を設置することが必要である。
⑦ 報告者とそれに続く対応者とを明確化する。データ分析、推奨事項の作成、フィードバック、
モニタ、周知における役割と責任を明確化する。
⑧ 国や施設レベル、しかも病院だけでなくプライマリケアのレベルでも、リーダーシップの
形成とトレーニングの提供を行うべきである。
⑨ 教育にあたっては、WHOが作成した多職種向けカリキュラムを活用して、UG・PG
(卒前・卒後)カリキュラムや、CPD(Continuing Professional Development、継続研修)
を最新の内容に見直す。
⑩報告及び学習システム(RLS)のうち「学習」部分を強化する。
⑪ アンダー・レポーティングの問題と報告の質の問題に取り組む。インセンティブや報償の
仕組みの導入を検討する。
⑫研究機関の参加を得る。
⑬幅広い医療情報と関連させる。患者安全の指標を開発する。
⑭ キャンペーンの実施や、ソーシャルメディアによるネットワーク化、組織間や医療者、患
者代表者間のネットワーク化を図る。
⃝WHOの地域とグローバルレベルの報告制度
①リーダーシップ、政策立案と連携
・エビデンスやリサーチに基づく加盟国の支援
・ 戦 略 的 な 助 言 を 行 う、 よ り 大 き な 目 的 に つ な げ る、 U H C や S D G(Sustainable
Development Goals)に関連させる
・政策の誘導、立法の必要性
・UHCや世界患者安全デーの制定に必要なWHO総会決議の作成
・効果的なパートナーシップの構築
− WHO Patient Safety and Quality Network
− Global Patient Safety Alerts(Canadian Patient Safety Institute)
−医師や看護師の教育委員会や大学との連携
−WHO連携センターやNGOとの公的な関係としての連携
−国際機関(ISQua , WONCA)
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②基準、スタンダード、ガイドライン
・ WHOによる報告及び学習システム(RLS)の構築と実践のためのガイドライン、いく
つかの異なる技術的システムを統合する組織的なモデルが推奨されている
・ 整合性の評価ツール
・ ITシステムの確立
・ データ収集、分析、周知のための公開ソフトウエアやツールの開発
・ WHOの開示指針の策定:加盟国が患者や家族に対する情報開示の仕組みを開発するため
の指針
・ 用語の定義と、最低限の共通化した報告項目の開発
・ 医療における賠償制度創設の指針
・ 認定の効果と費用対効果のエビデンスの作成
○技術的指針、施設や人材に対する支援や能力開発
①加盟国との共同作業を行う。RLSの開発や分析を、オンサイトで支援する。
② 全ての医療関係者の受講する教育プログラムに患者安全のカリキュラムを組み込む。卒前、
卒後のいずれの教育プログラムも対象とする。
③ 加盟国に対し、フェローシップや研修プログラムを通じて、国際的な能力開発の機会を提供
する。
④国レベルの認定制度を構築する。
⑤MIMを実践の初期段階において技術的支援を行う。
○モニタと測定
①ニーズの評価や進捗のモニタができるように、患者安全の指標を開発する。
② WHOによる Web-based reporting system の構築。世界レベルでデータ収集を行い、周知
する。
- 41 -
12 依頼講演への対応∼医療事故調査制度に関する内容を含む講演依頼が増えています∼
医療機関、薬局や、関係団体などのご依頼に対応して、本事業の現況や報告書、年報、医療安全
情報などの成果物の内容をご説明する講演を、毎年国内外で50回程度行っています。本財団は、
2015年10月に開始された医療事故調査制度における支援団体ですので、最近では医療事故調
査制度を中心とした講演内容のご依頼が増えています。また、後述するように、これは医療事故調
査制度における支援団体である本財団の役割でもあります。我が国において、有害事象を調査、収集、
分析、学習を行う全国規模の事業は図19の通りです。本財団が担当している事業が多いことから、
各事業の相互関係も含め、ご説明させていただいている内容は表11の通りです。本事業にご参加
いただいている医療機関の皆様の中で、ご希望がございましたらできる限り対応させていただきま
すので、ご連絡いただければ幸いに存じます。
図19 有害事象(医療事故、ヒヤリ・ハット)の調査、収集、分析、学習を行う全国規模の制度・事業
有害事象(医療事故、ヒヤリ・ハット)の
調査、収集、分析、学習を行う全国規模の制度・事業
2004 ∼
2015.10
医療事故情報
収集等事業
2008 ∼
薬局ヒヤリ・ハット事例
収集・分析事業
2009 ∼
産科医療補償制度
2015 ∼
医療事故調査制度
- 42 -
表11 講演内容
1 医療事故情報収集等事業
・事業の趣旨、概要
・報告書の内容(集計結果、テーマ分析の内容)
・医療安全情報
・ホームページの活用方法
・原因分析の意義、方法
・海外への情報発信
2 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業
・事業の趣旨、概要
・集計報告、年報の内容(集計結果、テーマ分析の内容)
・薬局ヒヤリ・ハット分析表の活用
・共有すべき事例の活用方法
・ホームページの活用方法
3 産科医療補償制度
・制度の趣旨、概要
・審査の現況
・原因分析の現況
・原因分析の考え方
・再発防止の現況
4 医療事故調査制度
・制度の概要、医療事故情報収集等事業や産科医療補償制度との関係について
・制度の現状(報告の現況等)
13 医療事故調査制度における支援団体としての役割について
2015年10月1日に、医療事故調査制度に関する医療法が施行され、制度が開始されました。
本財団は、法に定める「医療事故調査等支援団体」として告示されています。具体的な支援内容とし
ては、医療機関からの求めに応じ、制度のご説明を中心とした支援をしています。
- 43 -
14 Facebook を活用した情報発信
医療事故防止事業部では、公式の Facebook ページを作成し、2014年4月8日より情報発信を
始めました。Facebook を活用することにより、1)本事業の最新の情報をタイムリーに発信でき、
「いいね!」に登録していただいたユーザはタイムリーに情報を受け取ることができる、2)
「いいね!」
に登録していただいた Facebook ユーザを介して、本事業をご存知ではない方に情報発信できる、など
のメリットがあると考えています。情報発信する内容としては、①報告書、年報に関する情報、②医療
安全情報に関する情報、③システムメンテナンスに関する情報、④その他 事業の動向(取材対応など)
を考えており、発信頻度は1回/週を目安としています。本稿執筆時点で、本事業の Facebook のページ
の「いいね!」に登録していただいたユーザは1,
599名となっています。本事業の Facebook のページ
及びコンテンツの例を次に示します(図20)。
図20 医療事故情報収集等事業の Facebook ページ(URL:https://www.facebook.com/
medsafe.jcqhc)
15 おわりに
事業に参加しておられる医療機関の皆様におかれましては、引き続き本事業において医療事故情報
やヒヤリ・ハット事例をご報告いただきますよう宜しくお願い申し上げます。また、これまで以上
に報告しやすい環境を整備することにより、報告の負担のために従来本事業への参加を躊躇しておら
れた医療機関の皆様の新規のご参加も期待しております。今後とも本事業が我が国の医療事故防止、
医療安全の推進に資するよう、報告書や年報の内容充実と、一層有効な情報提供に取り組んでまいり
ますので、皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
- 44 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
本事業は、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の収集を基盤として、日々進歩する医療における
安全文化の醸成を図るよう取り組んでいる。
本事業は、医療事故情報収集・分析・提供事業とヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の2つ
の事業より構成されており、以下にそれぞれの事業の概要を述べる。
1 経緯
【1】ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の経緯
厚生労働省は、2001年10月から、ヒヤリ・ハット事例を収集・分析し、その改善方策等医療
安全に資する情報を提供する「医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)」
を開始した。事業開始当初、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(現(独)医薬品医療機器総
合機構)が参加医療機関からヒヤリ・ハット事例を収集したのち厚生労働省へ報告し、厚生労働省の
研究班が集計・分析を行う枠組みとなっていた。この枠組みに従ってヒヤリ・ハット事例収集が行われ、
厚生労働省より集計結果の概要を公表する等、収集したヒヤリ・ハット事例に基づく情報提供が行わ
れた。(注1)
2004年度からは、本財団が医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(現(独)医薬品医療機器
総合機構)よりヒヤリ・ハット事例収集事業を引き継ぎ、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
を行ってきた。集計・分析結果は、本事業のホームページにおいて公表している。(注2)
【2】医療事故情報収集・分析・提供事業の経緯
2002年4月、厚生労働省が設置した医療安全対策検討会議が「医療安全推進総合対策」(注3)を
取りまとめ公表した。同報告書は、2001年10月から開始された医療安全対策ネットワーク整備
事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)に関し、
「事例分析的な内容については、今後より多くの施設から、
より的確な原因の分析・検討結果と改善方策の分析・検討結果を収集する体制を検討する必要がある。
」
と述べるとともに、医療事故事例に関してもその収集・分析による活用や強制的な調査・報告の制度化
を求める意見を紹介しつつ、医療事故の報告に伴う法的な問題も含めてさらに検討する必要があると
述べた。
(注1)厚生労働省ホームページ「医療安全対策」
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/i-anzen/index.html)
参照。
(注2)公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
(注3)「医療安全推進総合対策」では、
『医療機関における安全対策』、
『医薬品・医療用具等にかかわる安全向上』、
『医療安全に関する教育研修』
、
『医療安全を推進するための環境整備等』を取り組むべき課題として提言がなされた。
厚生労働省ホームページ(医療安全対策のページにおける「3 医療安全推進総合対策」の報告書)(http://www.mhlw.go.jp/topics/
bukyoku/isei/i-anzen/houkoku/index.html)参照。
- 45 -
I
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
その後、厚生労働省が平成16年9月21日付で医療法施行規則の一部を改正する省令(注1)を公布
し、特定機能病院などに対して医療事故の報告を義務付けた。本財団は、同年10月1日付厚生労働
省告示第三百七十二号を受け(同年9月30日登録)、当該省令に定める事故等分析事業を行う登録
分析機関となり、医療事故情報収集・分析・提供事業を開始した。その後、本財団は5年毎に必要とさ
れている医療法施行規則第十二条の五に基づく登録分析機関として、2009年に2期目の登録更新、
2014年に3期目の登録更新を行った。
【3】本財団における事業の経緯
2004年7月1日、本財団内に医療事故防止センター(現 医療事故防止事業部)を付設し、
2004年10月7日、法令に基づく医療事故情報の収集を開始した。医療事故防止事業部では、
ヒヤリ・ハット事例、医療事故情報を併せて総合的に分析し、当事業部の運営委員会(注2)の方針に
基づいて、専門家より構成される総合評価部会(注3)による取りまとめを経て報告書を作成している。
2006年度からは特に周知すべき事例や個別テーマを医療安全情報として作成・提供し、2010年
度からは、より具体的な個別テーマの分析を開始し、報告書に掲載している。
また、2008年より、医療機関の報告の負担を軽減し、これまで以上に報告しやすい環境を整備
するとともに、医療安全推進に必要な情報の収集は引き続き行っていく観点から、本事業の運営委
員会や総合評価部会において報告体制の見直しが検討された。その内容を具体化し、2010年より、
インターネットを活用した医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の新たな収集方式および情報提供を
開始した。
本財団は、報告書や医療安全情報を、本事業に参加している医療機関、関係団体、行政機関などに
送付するとともに、本事業のホームページ(注4)へ掲載することなどにより広く社会に公表している。
(注1)厚生労働省令第133号。
(注2)医療全般、安全対策などの有識者や一般有識者などで構成され、当事業部の活動方針の検討及び活動内容の評価などを行っている。
(注3)各分野からの専門家などで構成され、報告書を総合的に評価・検討している。また、分析手法などに関する技術的支援も行っている。
(注4)公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 46 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要
I
【1】事業の目的
報告義務対象医療機関並びに医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を希望する参加登録申請医
療機関から報告された医療事故情報などを、収集、分析し提供することにより、広く医療機関が医療
安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて、医療安全対
策の一層の推進を図ることを目的とする。
【2】医療事故情報の収集
(1)対象医療機関(注1)
対象医療機関は、次に掲げる報告義務対象医療機関と参加登録申請医療機関である。
i)報告義務対象医療機関(注2)
① 国立研究開発法人及び国立ハンセン病療養所
② 独立行政法人国立病院機構の開設する病院
③ 学校教育法に基づく大学の附属施設である病院(病院分院を除く)
④ 特定機能病院
ii)参加登録申請医療機関
報告義務対象医療機関以外の医療機関であって、医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を希
望する医療機関
(2)医療事故情報として報告していただく情報の範囲
報告の対象となる医療事故情報は次の通りである。
① 誤った医療または管理を行ったことが明らかであり、その行った医療又は管理に起因して、患
者が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期して
いたものを上回る処置その他の治療を要した事例。
② 誤った医療または管理を行ったことは明らかでないが、行った医療又は管理に起因して、患者
が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期してい
たものを上回る処置その他の治療を要した事例(行った医療又は管理に起因すると疑われるも
のを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る)。
③ ①及び②に掲げるもののほか、医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資する
事例。
(注1)対象医療機関は公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ「参加登録医療機関一覧」
(http://www.medsafe.jp/contents/register/index.html)参照。
(注 2) 国立研究開発法人、国立ハンセン病療養所、独立行政法人国立病院機構の開設する病院、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく
大学の附属施設である病院(病院分院を除く)
、特定機能病院に対して、厚生労働省は平成16年9月21日付で医療法施行規則の一部
を改正する省令(平成16年 厚生労働省令第133号)を公布し、医療事故情報の報告を義務付けた。
- 47 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療事故情報は、
「発生年月及び発生時間帯」
「事故の程度」
「事故の概要」
「患者の数、患者の年齢及
び性別」
「事故の内容、背景・要因、改善策」等、28項目の情報の報告を行う。また、報告は当該事故
が発生した日若しくは事故の発生を認識した日から原則として二週間以内に行わなければならない。
また、以下の①∼⑧の項目を医療事故情報収集等事業要綱 第十四条の2(注1)に基づき、
「特に報告
を求める事例」と定めている。
① 汚染された薬剤・材料・生体由来材料等の使用による事故
② 院内感染による死亡や障害
③ 患者の自殺又は自殺企図
④ 入院患者の失踪
⑤ 患者の熱傷
⑥ 患者の感電
⑦ 医療施設内の火災による患者の死亡や障害
⑧ 間違った保護者の許への新生児の引渡し
(3)報告方法
報告はインターネット回線(SSL暗号化通信方式)を通じ、
Web上の専用報告画面を用いて行う。
報告方法は、Web上の報告画面に直接入力し報告する方法と、指定フォーマット(XMLファイル)
を作成し報告する方法とがある。直接入力する方法は、チェックボックスやプルダウンリストから該
当する項目を選択して回答する選択形式と、記述欄に文字入力する記述形式がある(注2)。
【3】医療事故情報の分析・提供
(1)集計・分析
公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部において行っている。
(2)集計・分析結果の公表
本事業の報告書及びホームページ(注3)を通じて、関係者や国民に情報提供している。
(注1)医療事故情報収集等事業要綱 第十四条の2 当事業部は、前項の各号に規定する事故の範囲に該当する事例に関する情報を適切に収集
するために、必要な報告項目を定めることができる。
(http://www.
(注2)「報告入力項目(医療事故事例)」は公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ「関連文書」
med-safe.jp/pdf/accident_input_item.pdf)参照。
(注3)公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 48 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
I
【1】事業の目的
参加医療機関から報告されたヒヤリ ・ ハット事例を収集、分析し提供することにより、広く医療機関
が医療安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて、医療
安全対策の一層の推進を図ることを目的とする。
【2】ヒヤリ・ハット事例の収集
(1)対象医療機関(注)
対象医療機関は、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する医療機関である。
ヒヤリ・ハット事例には「発生件数情報」と「事例情報」の2種類の情報がある。
ⅰ)「発生件数情報」を報告する医療機関(参加医療機関)
ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する全ての医療機関である。
ⅱ)「事例情報」を報告する医療機関(事例情報報告参加医療機関)
ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する医療機関のうち、事例報告を
希望した医療機関である。
(2)ヒヤリ・ハット事例として報告していただく情報の範囲
i)ヒヤリ・ハット事例の定義
① 医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例。
② 誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかった事例または軽微な処置・治療
を要した事例。ただし、軽微な処置・治療とは、消毒、湿布、鎮痛剤投与等とする。
③ 誤った医療が実施されたが、患者への影響が不明な事例。
ii)報告内容
① 「発生件数情報」の報告
発生件数情報は、ヒヤリ・ハット事例を「薬剤」
「輸血」
「治療・処置」
「医療機器等」
「ドレーン・
チューブ」
「検査」
「療養上の世話」
「その他」といった事例の概要で分類する。同時に、
まず、誤っ
た医療行為の実施の有無を分け、さらに誤った医療行為の実施がなかった場合、もしその医療行
為が実施されていたら、患者にどのような影響を及ぼしたか、といった影響度で分類し(発生
件数情報入力画面参照)、それぞれの分類に該当する件数を報告する。
発生件数情報の報告期間は、各四半期(1∼3、4∼6、7∼9、10∼12月)の翌月初め
から月末としている。
(注) 対象医療機関は公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ「参加登録医療機関一覧」(http://www.medsafe.jp/contents/register/index.html)参照。
- 49 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【発生件数情報入力画面】
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度
項 目
当該事例の内容が仮に実施された場合
実施あり
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が必要
な状 況に至ったと が 必 要 であると もしくは処置・治療が不要
考えられる
考えられる
と考えられる
(1)薬剤
件
件
件
件
件
(2)輸血
件
件
件
件
件
(3)治療・処置
件
件
件
件
件
(4)医療機器等
件
件
件
件
件
(5)ドレーン・チューブ
件
件
件
件
件
(6)検査
件
件
件
件
件
(7)療養上の世話
件
件
件
件
件
(8)その他
件
件
件
件
件
件
件
件
件
件
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
件
件
件
件
件
【2】薬剤に由来する事例
件
件
件
件
件
【3】医療機器等に由来する事例
件
件
件
件
件
【4】今期のテーマ
件
件
件
件
件
合 計
再 掲
注)「今期のテーマ」とは、収集期間ごとに定められたテーマに該当する事例のことである。
② 「事例情報」の報告
事例情報は次のⅰ∼ⅴに該当する事例の情報(
【発生件数情報入力画面】実線囲み部分)を
収集する。
ⅰ 当該事例の内容が仮に実施された場合、死亡もしくは重篤な状況に至ったと考えられる事例
ⅱ 薬剤の名称や形状に関連する事例
ⅲ 薬剤に由来する事例
ⅳ 医療機器等に由来する事例
ⅴ 収集期間ごとに定められたテーマに該当する事例
なお、2016年のテーマは「腫瘍用薬に関連した事例」である。
ヒヤリ・ハット事例は、「発生年月及び発生時間帯」
「事例の概要」
「医療の実施の有無」
「事例
の治療の程度または影響度」「発生場所」「患者の数、患者の年齢及び性別」「事例の内容、背景・
要因、改善策」等、24項目の情報の報告を行う。
事例情報の報告期限は、事例が発生した日もしくは事例の発生を認識した日から1ヶ月として
いる。
- 50 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(3)報告方法
報告はインターネット回線(SSL暗号化通信方式)を通じ、
Web上の専用報告画面を用いて行う。
ⅰ)「発生件数情報」の報告
Web上の報告画面に発生件数を直接入力する。
ⅱ)「事例情報」の報告(注1)
Web上の報告画面に直接入力し報告する方法と、指定フォーマット(XMLファイル)を
作成し報告する方法とがある。直接入力する方法は、チェックボックスやプルダウンリストから
該当する項目を選択して回答する選択形式と、記述欄に文字入力する記述形式がある。
【3】ヒヤリ・ハット事例の分析・提供
(1)集計・分析
公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部において行っている。
(2)集計・分析結果の提供
本事業の報告書及びホームページ(注2)を通じて、関係者や国民に情報提供している。
(注1)
「報告入力項目(ヒヤリ・ハット事例)
」は公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ「関連文書」
(http://www.med-safe.jp/pdf/hiyarihatto_input_item.pdf)参照。
(注2)公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 51 -
I
Ⅱ 報告の現況
1 医療事故情報収集等事業の現況
医療事故情報収集等事業は、医療事故情報収集・分析・提供事業とヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業の2つの事業により構成されている。
2016年3月31日現在、それぞれの事業に参加している医療機関は以下の通りである。
(注)
図表Ⅱ - 1- 1 (QI-01)
参加登録医療機関の登録状況
ヒヤリ・ハット事業
登録状況
参加する
参加しない
義務
発生件数と
事例情報
参加する
124
参加する
352
合計
発生件数のみ
82
476
任意
医療事故事業
参加しない
69
298
216
275
252
183
166
244
642
542
合計
1,026
751
410
252
1,436
1,184
各事業の報告の現況を、2 医療事故情報収集・分析・提供事業、3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業に示す。
(注)各図表番号に併記される( )内の番号はWeb上に掲載している同図表の番号を示す。
- 52 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集・分析・提供事業は、報告義務対象医療機関と本事業に参加を希望する参加登録
申請医療機関から医療事故情報の収集を行う。本報告書には、報告義務対象医療機関より報告された
内容を中心に集計結果を掲載している。事故の概要や事故の程度等の集計結果は、2016年1月
から3月までの集計値と2016年の累計値とを併記して掲載した。
Ⅱ
【1】登録医療機関
(1)報告義務対象医療機関数及び参加登録申請医療機関数
2016年3月31日現在、医療事故情報収集・分析・提供事業に参加している医療機関数は以下の
通りである。なお、医療機関数の増減の理由には、新規の開設や閉院、統廃合の他に、開設者区分の
変更も含まれる。
図表Ⅱ - 2- 1 (QA-01)
報告義務対象医療機関数及び参加登録申請医療機関数
開設者
国立大学法人等
独立行政法人国立病院機構
国立研究開発法人
国立ハンセン病療養所
国
独立行政法人労働者健康福祉機構
独立行政法人地域医療機能推進機構
その他の国の機関
都道府県
市町村
自治体
公立大学法人
地方独立行政法人
日本赤十字社
恩賜財団済生会
北海道社会事業協会
自治体以外の公的 厚生農業協同組合連合会
医療機関の開設者 国民健康保険団体連合会
健康保険組合及びその連合会
共済組合及びその連合会
国民健康保険組合
学校法人
医療法人
公益法人
法人
会社
その他の法人
個 人
合 計
報告義務対象
医療機関
参加登録申請
医療機関
45
143
8
13
0
0
0
2
0
9
1
0
0
0
0
0
0
0
0
53
0
1
0
0
0
275
1
0
0
0
31
40
0
18
83
2
22
56
19
1
18
1
1
10
0
13
307
45
12
28
43
751
※参加登録申請医療機関とは、報告義務対象医療機関以外に任意で本事業に参加している医療機関である。
- 53 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)参加登録申請医療機関数の推移
2016年1月1日から同年3月31日までの参加登録申請医療機関数の推移は以下の通りである。
図表Ⅱ - 2- 2 (QA-02)
参加登録申請医療機関数の推移
2016 年
1月
2月
3月
新規登録
医療機関数
3
5
登録取下げ
医療機関数
0
746
累 計
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
0
−
−
−
−
−
−
−
−
−
0
0
−
−
−
−
−
−
−
−
−
751
751
−
−
−
−
−
−
−
−
−
- 54 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【2】報告件数
(1)月別報告件数
2016年1月1日から同年3月31日までの報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関の
月別報告件数は以下の通りである。
図表Ⅱ - 2- 3 (QA-03)
報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関の月別報告件数
2016 年
報告義務対象
医療機関報告数
参加登録申請
医療機関報告数
報告義務対象
医療機関数
参加登録申請
医療機関数
10 月 11 月 12 月
合計
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
316
228
321
−
−
−
−
−
−
−
−
−
865
50
16
19
−
−
−
−
−
−
−
−
−
85
275
275
275
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
746
751
751
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
(2)医療事故情報の報告状況
① 報告義務対象医療機関の報告状況
報告義務対象医療機関の2016年1月1日から同年3月31日までの報告医療機関数及び報告
件数を図表Ⅱ - 2- 4に、事業開始からの報告件数を開設者別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 5に、病床
規模別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 6に、地域別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 7に示す。また、
同期間内における報告医療機関数を報告件数別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 8に示す。なお、報告
義務対象医療機関については、集計期間中に特定機能病院の認定や医療機関の廃止等の変更が行われ
ることがあるため、医療機関数等の数値が他の図表と一致しない場合がある。2016年3月31日
現在、報告義務対象医療機関は275施設、病床数合計は141,339床である。
図表Ⅱ - 2- 4 (QA-04)
開設者別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
開設者
国立大学法人等
国
独立行政法人国立病院機構
国立研究開発法人
国立ハンセン病療養所
報告医療機関数
報告件数
自治体
医療機関数
※ 2016 年
3月 31 日現在
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月(累計)
2016 年
1月∼3月
45
34
34
239
239
143
105
105
427
427
8
7
7
26
26
13
6
6
10
10
12
8
8
41
41
53
20
20
122
122
2016 年
1月∼3月(累計)
都道府県
市町村
公立大学法人
地方独立行政法人
法人
学校法人
公益法人
合 計
1
0
0
0
0
275
180
180
865
865
- 55 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 5 (QA-05)
報告義務対象医療機関の報告件数(累計)
報告件数
開設者
2004 年10月∼
2016 年3月
国立大学法人等
5,690
独立行政法人国立病院機構
国
10,340
国立研究開発法人
974
国立ハンセン病療養所
279
都道府県
自治体
市町村
1,550
公立大学法人
地方独立行政法人
法人
学校法人
5,423
公益法人
36
合 計
24,292
図表Ⅱ - 2- 6 (QA-06)
病床規模別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
病床数
医療機関数
※ 2016 年
3月 3 1日現在
報告医療機関数
2016 年
1月∼3月
報告件数
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
0 ∼ 19 床
0
0
0
0
0
20 ∼ 49 床
14
0
0
0
0
50 ∼ 99 床
5
0
0
0
0
100 ∼ 149 床
8
4
4
8
8
150 ∼ 199 床
7
3
3
4
4
200 ∼ 249 床
16
10
10
20
20
250 ∼ 299 床
16
10
10
24
24
300 ∼ 349 床
27
16
16
37
37
350 ∼ 399 床
17
14
14
54
54
400 ∼ 449 床
27
24
24
110
110
450 ∼ 499 床
19
15
15
79
79
500 ∼ 549 床
9
5
5
15
15
550 ∼ 599 床
9
9
9
58
58
600 ∼ 649 床
26
20
20
123
123
650 ∼ 699 床
8
7
7
52
52
700 ∼ 749 床
11
8
8
43
43
750 ∼ 799 床
3
3
3
6
6
800 ∼ 849 床
12
7
7
62
62
850 ∼ 899 床
4
3
3
44
44
900 ∼ 999 床
11
6
6
24
24
1000 床以上
26
16
16
102
102
275
180
180
865
865
合 計
- 56 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 7 (QA-07)
地域別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
地域
医療機関数
※ 2016 年
3月 3 1日現在
報告医療機関数
2016 年
1月∼3月
報告件数
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
北海道
10
5
5
10
10
東北
25
15
15
38
38
関東甲信越
86
51
51
232
232
東海北陸
38
25
25
140
140
近畿
35
21
21
74
74
中国四国
35
32
32
170
170
九州沖縄
合 計
46
31
31
201
201
275
180
180
865
865
図表Ⅱ - 2- 8 (QA-08)
報告件数別報告義務対象医療機関数
報告医療機関数
報告件数
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月(累計)
0
95
95
1
43
43
2
34
34
3
28
28
4
16
16
5
10
10
6
6
6
7
8
8
8
6
6
9
5
5
10
2
2
11 ∼ 20
20
20
21 ∼ 30
1
1
31 ∼ 40
1
1
41 ∼ 50
0
0
51 ∼ 100
0
0
101 ∼ 150
0
0
151 ∼ 200
0
0
200 以上
合 計
0
0
275
275
- 57 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
② 参加登録申請医療機関の報告状況
参加登録申請医療機関の2016年1月1日から同年3月31日までの報告医療機関数及び
報告件数を図表Ⅱ - 2- 9に、事業開始からの報告件数を開設者別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 10
に示す。
図表Ⅱ - 2- 9 (QA-09)
参加登録申請医療機関の報告医療機関数及び報告件数
開設者
国
報告医療機関数
医療機関数
※ 2016 年
3月31日現在
2016 年
1月∼3月
報告件数
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
72
5
5
17
17
自治体
125
13
13
36
36
公的医療機関
106
7
7
12
12
法 人
405
12
12
20
20
個 人
43
0
0
0
0
合 計
751
37
37
85
85
図表Ⅱ - 2- 10 (QA-10)
参加登録申請医療機関の報告件数(累計)
開設者
報告件数
2004 年10月∼ 2016 年3月
国
138
自治体
688
公的医療機関
764
法 人
1,370
個 人
6
合 計
2,966
- 58 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【3】報告義務対象医療機関からの報告の内容
2016年1月1日から同年3月31日までの報告義務対象医療機関からの医療事故情報の
報告の内容は以下の通りである。
なお、各表は、医療事故情報報告入力項目(注)を集計したものである。
図表Ⅱ - 2- 11 (QA-28-A)
当事者職種
当事者職種
件数
医師
504
歯科医師
11
看護師
552
准看護師
4
薬剤師
7
臨床工学技士
2
助産師
0
看護助手
4
診療放射線技師
4
臨床検査技師
2
管理栄養士
1
栄養士
0
調理師・調理従事者
1
理学療法士(PT)
11
作業療法士(OT)
0
言語聴覚士(ST)
0
衛生検査技師
0
歯科衛生士
0
歯科技工士
0
その他
合計
Ⅱ
22
1,125
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
(注) 「報告入力項目(医療事故事例)
」は公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ「関連文書」
(http://www.
med-safe.jp/pdf/accident_input_item.pdf)参照。
- 59 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 12 (QA-29-A)
当事者職種経験
当事者職種経験
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
13
2
44
0
3
0
0
2
0
0
1年
9
1
43
0
0
0
0
0
0
0
2年
34
0
51
0
0
0
0
0
0
1
3年
26
0
49
0
0
0
0
0
2
0
4年
15
0
50
0
0
0
0
0
0
0
5年
31
2
21
0
0
0
0
1
0
0
6年
22
2
21
0
0
0
0
0
0
0
7年
28
0
12
0
1
1
0
0
0
0
8年
12
1
18
0
0
0
0
1
0
1
9年
33
1
22
0
0
0
0
0
0
0
10 年
24
0
22
0
1
0
0
0
0
0
11 年
19
0
14
0
0
0
0
0
0
0
12 年
26
0
12
0
1
0
0
0
0
0
13 年
28
1
16
0
0
0
0
0
0
0
14 年
23
0
6
0
0
0
0
0
0
0
15 年
19
0
13
0
0
0
0
0
0
0
16 年
4
0
13
0
0
0
0
0
0
0
17 年
18
0
12
0
0
0
0
0
0
0
18 年
16
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19 年
13
0
8
0
0
0
20 年
17
0
3
0
0
1
0
0
0
0
21 年
9
0
9
0
1
0
0
0
0
0
22 年
7
1
6
0
0
0
0
0
0
0
23 年
11
0
9
1
0
0
0
0
0
0
24 年
14
0
6
0
0
0
0
0
0
0
25 年
7
0
13
1
0
0
0
0
0
0
26 年
2
0
3
0
0
0
0
0
1
0
27 年
3
0
4
0
0
0
0
0
0
0
28 年
1
0
11
0
0
0
0
0
0
0
29 年
1
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30 年
3
0
11
0
0
31 年
2
0
3
0
0
0
0
0
0
0
32 年
2
0
5
0
0
0
0
0
1
0
33 年
5
0
3
0
0
0
0
0
0
0
34 年
2
0
2
2
0
0
0
0
0
0
35 年
2
0
4
0
0
0
0
0
0
0
36 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37 年
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
38 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
合 計
504
11
552
4
7
2
0
4
4
2
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 60 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合計
0
0
0
2
0
0
0
0
0
3
69
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
55
0
0
0
2
0
0
0
0
0
2
90
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
80
0
0
0
2
0
0
0
0
0
2
69
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
55
0
0
0
1
0
0
0
0
0
2
48
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
43
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
33
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
58
0
0
1
0
0
0
0
0
0
2
50
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
34
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
40
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
45
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
31
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
33
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
18
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
22
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
21
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
21
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
22
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
22
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
1
11
0
0
0
0
0
22
1,125
- 61 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 13 (QA-30-A)
当事者部署配属期間
当事者部署配属期間
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
140
4
120
0
5
0
0
2
1
0
1年
63
0
108
2
0
0
0
1
0
0
2年
50
0
102
1
1
0
0
1
1
2
3年
41
2
68
0
0
1
0
0
1
0
4年
33
0
46
0
0
0
0
0
0
0
5年
22
1
37
1
1
0
0
0
0
0
6年
18
0
25
0
0
0
0
0
0
0
7年
22
1
14
0
0
0
0
0
0
0
8年
13
1
10
0
0
0
0
0
0
0
9年
19
0
1
0
0
0
0
0
0
0
10 年
19
0
5
0
0
0
0
0
0
0
11 年
4
0
5
0
0
0
0
0
0
0
12 年
9
0
3
0
0
0
0
0
0
0
13 年
4
1
1
0
0
0
0
0
0
0
14 年
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
15 年
6
0
1
0
0
0
0
0
0
0
16 年
4
0
1
0
0
0
0
0
0
0
17 年
6
1
0
0
0
0
0
0
0
0
18 年
5
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19 年
2
0
1
0
0
0
20 年
6
0
0
0
0
1
0
0
0
0
21 年
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
22 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
23 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
24 年
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
25 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
26 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
27 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
28 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
29 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30 年
1
0
0
0
0
31 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
32 年
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
33 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
35 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
36 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
38 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合 計
504
11
552
4
7
2
0
4
4
2
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 62 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合計
0
0
0
4
0
0
0
0
0
5
281
0
0
0
1
0
0
0
0
0
5
180
0
0
1
1
0
0
0
0
0
4
164
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
114
0
0
0
3
0
0
0
0
0
2
84
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
62
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
44
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
25
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
22
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
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1
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0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
11
0
0
0
0
0
22
1,125
- 63 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 14 (QA-35-A)
事故の概要
事故の概要
2016 年1月∼3月
件数
%
2016 年1月∼3月(累計)
件数
%
薬剤
38
4.4
38
4.4
輸血
1
0.1
1
0.1
治療・処置
230
26.6
230
26.6
医療機器等
22
2.5
22
2.5
ドレーン・チューブ
68
7.9
68
7.9
29
3.4
29
3.4
療養上の世話
検査
348
40.2
348
40.2
その他
129
14.9
129
14.9
865
100.0
865
100.0
合 計
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 2- 15 (QA-37-A)
事故の程度
事故の程度
死亡
2016 年1月∼3月
件数
%
82
9.5
2016 年1月∼3月(累計)
件数
82
%
9.5
障害残存の可能性がある(高い)
90
10.4
90
10.4
障害残存の可能性がある(低い)
230
26.6
230
26.6
障害残存の可能性なし
250
28.9
250
28.9
障害なし
173
20.0
173
20.0
不明
合 計
40
4.6
40
4.6
865
100.0
865
100.0
※事故の発生及び事故の過失の有無と事故の程度とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していない事例が含まれる。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 64 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 16 (QA-40-A)
関連診療科
関連診療科
2016 年1月∼3月
件数
2016 年1月∼3月(累計)
%
件数
%
内科
65
6.0
65
6.0
麻酔科
28
2.6
28
2.6
循環器内科
62
5.7
62
5.7
神経科
38
3.5
38
3.5
呼吸器内科
57
5.3
57
5.3
消化器科
64
5.9
64
5.9
血液内科
16
1.5
16
1.5
循環器外科
8
0.7
8
0.7
アレルギー科
0
0
0
0
リウマチ科
3
0.3
3
0.3
50
4.6
50
4.6
外科
106
9.8
106
9.8
整形外科
155
14.3
155
14.3
形成外科
7
0.6
7
0.6
美容外科
0
0
0
0
脳神経外科
50
4.6
50
4.6
呼吸器外科
19
1.8
19
1.8
心臓血管外科
39
3.6
39
3.6
小児外科
3
0.3
3
0.3
ペインクリニック
0
0
0
0
小児科
皮膚科
12
1.1
12
1.1
泌尿器科
20
1.8
20
1.8
0
0
0
0
性病科
肛門科
0
0
0
0
24
2.2
24
2.2
産科
3
0.3
3
0.3
婦人科
8
0.7
8
0.7
産婦人科
眼科
17
1.6
17
1.6
耳鼻咽喉科
19
1.8
19
1.8
0
0
0
0
心療内科
精神科
67
6.2
67
6.2
リハビリテーション科
10
0.9
10
0.9
放射線科
13
1.2
13
1.2
3
0.3
3
0.3
歯科
矯正歯科
0
0
0
0
小児歯科
0
0
0
0
歯科口腔外科
8
0.7
8
0.7
不明
1
0.1
1
0.1
その他
合 計
109
10.1
109
10.1
1,084
100.0
1,084
100.0
※関連診療科は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 65 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 17 (QA-41-A)
発生要因
発生要因
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
観察を怠った
報告が遅れた(怠った)
記録などに不備があった
連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条件下にあった
通常とは異なる心理的条件下にあった
その他
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
医療機器
施設・設備
諸物品
患者側
その他
その他
教育・訓練
仕組み
ルールの不備
その他
合 計
2016 年1月∼3月
2016 年1月∼3月(累計)
件数
%
件数
%
1,029
252
258
26
21
125
116
231
429
130
148
80
4
14
53
442
8
12
45
28
21
301
27
396
168
33
54
141
2,296
44.8
11
11.2
1.1
0.9
5.4
5.1
10.1
18.7
5.7
6.4
3.5
0.2
0.6
2.3
19.2
0.3
0.5
2
1.2
0.9
13.1
1.2
17.2
7.3
1.4
2.4
6.1
100.0
1,029
252
258
26
21
125
116
231
429
130
148
80
4
14
53
442
8
12
45
28
21
301
27
396
168
33
54
141
2,296
44.8
11
11.2
1.1
0.9
5.4
5.1
10.1
18.7
5.7
6.4
3.5
0.2
0.6
2.3
19.2
0.3
0.5
2
1.2
0.9
13.1
1.2
17.2
7.3
1.4
2.4
6.1
100.0
※発生要因は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 2- 18 (QA-42-A)
特に報告を求める事例
特に報告を求める事例
汚染された薬剤・材料・生体由来材料等の使用
による事故
院内感染による死亡や障害
患者の自殺又は自殺企図
2016 年1月∼3月
件数
2
2016 年1月∼3月(累計)
%
件数
0.2
2
%
0.2
1
0.1
1
0.1
11
1.3
11
1.3
入院患者の失踪
1
0.1
1
0.1
患者の熱傷
6
0.7
6
0.7
患者の感電
0
0
0
0
医療施設内の火災による患者の死亡や障害
0
0
0
0
間違った保護者の許への新生児の引渡し
本事例は選択肢には該当しない
合 計
0
0
0
0
844
97.6
844
97.6
865
100.0
865
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 66 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 19 (QA-64-A)
発生場面 × 事故の程度
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
発生場面×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
処方
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
調剤
内服薬調剤
注射薬調剤
血液製剤調剤
外用薬調剤
その他の調剤に関する場面
製剤管理
内服薬製剤管理
注射薬製剤管理
血液製剤管理
外用薬製剤管理
その他の製剤管理に関する場面
与薬準備
与薬準備
与薬
皮下・筋肉注射
静脈注射
動脈注射
末梢静脈点滴
中心静脈注射
内服
外用
坐剤
吸入
点鼻・点耳・点眼
その他与薬に関する場面
輸血に関する項目
処方
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
輸血検査
準備
実施
その他の輸血検査に関する場面
放射線照射
準備
実施
その他の放射線照射に関する場面
輸血準備
製剤の交付
その他の輸血準備に関する場面
輸血実施
実施
その他の輸血実施に関する場面
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
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0
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2
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0
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0
0
0
1
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0
1
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1
0
0
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0
1
0
4
1
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0
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0
4
1
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1
0
1
0
1
0
7
1
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1
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1
1
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1
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2
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1
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1
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1
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3
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1
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2
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3
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1
1
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1
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1
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8
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6
2
5
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1
1
8
0
6
2
5
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0
0
0
1
0
1
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0
0
0
0
1
0
1
0
- 67 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
発生場面×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
治療・処置に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
その他の管理に関する場面
準備
準備
その他の準備に関する場面
実施
実施
その他の治療・処置に関する場面
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
準備
準備
使用
使用中
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
準備
準備
使用
使用中
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
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0
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0
0
0
0
1
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0
0
0
1
1
1
2
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
2
0
0
0
1
1
2
2
0
0
0
1
3
1
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0
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0
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5
0
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0
6
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27
1
27
1
1
0
1
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0
0
0
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3
0
1
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0
1
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1
1
0
0
0
0
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1
6
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3
20
3
32
3
32
3
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3
35
3
50
4
50
4
28
1
28
1
8
2
8
2
173
16
173
16
0
0
0
0
0
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0
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2
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4
2
2
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16
16
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1
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1
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0
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1
1
0
0
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6
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15
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0
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0
0
0
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0
0
0
0
2
2
7
7
13
13
17
17
8
8
3
3
50
50
- 68 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
発生場面×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
検査に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
準備
準備
実施
実施中
療養上の世話に関する項目
計画又は指示
手書きによる計画又は指示の作成
オーダリングによる計画又は指示の作成
口頭による計画又は指示
手書きによる計画又は指示の変更
オーダリングによる計画又は指示の変更
口頭による計画又は指示の変更
その他の計画又は指示に関する場面
管理・準備・実施
管理
準備
実施中
その他
合 計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
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0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
1
1
1
0
0
0
0
1
1
2
2
1
1
5
5
0
0
0
0
0
0
2
2
1
1
1
1
4
4
2
2
1
1
7
7
5
5
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3
0
0
18
18
0
0
0
0
0
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1
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21
82
13
1
7
21
82
10
0
12
14
90
10
0
12
14
90
68
0
45
27
230
68
0
45
27
230
60
2
41
41
250
60
2
41
41
250
43
0
23
25
173
43
0
23
25
173
3
1
9
1
40
3
1
9
1
40
197
4
137
129
865
197
4
137
129
865
※事故の発生及び事故の過失の有無と事故の程度とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していない事例が含まれる。
- 69 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 20 (QA-65-A)
事故の内容 × 事故の程度
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
処方
処方忘れ
処方遅延
処方量間違い
重複処方
禁忌薬剤の処方
対象患者処方間違い
処方薬剤間違い
処方単位間違い
投与方法処方間違い
その他の処方に関する内容
調剤
調剤忘れ
処方箋・注射箋鑑査間違い
秤量間違い調剤
数量間違い
分包間違い
規格間違い調剤
単位間違い調剤
薬剤取り違え調剤
説明文書の取り違え
交付患者間違い
薬剤・製剤の取り違え交付
期限切れ製剤の交付
その他の調剤に関する内容
製剤管理
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の製剤管理に関する内容
与薬準備
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
混合間違い
その他の与薬準備に関する内容
与薬
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の与薬に関する内容
0
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0
1
3
- 70 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
輸血に関する項目
指示出し
指示出し忘れ
指示遅延
指示量間違い
重複指示
禁忌薬剤の指示
対象患者指示間違い
指示薬剤間違い
指示単位間違い
投与方法指示間違い
その他の指示出しに関する内容
輸血検査
未実施
検体取り違え
判定間違い
結果記入・入力間違い
その他の輸血検査に関する内容
放射線照射
未実施
過剰照射
過少照射
患者間違い
製剤間違い
その他の放射線照射に関する内容
輸血管理
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の輸血管理に関する内容
輸血準備
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血準備に関する内容
輸血実施
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血実施に関する内容
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- 71 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
治療・処置に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
治療・処置指示間違い
日程間違い
時間間違い
その他の治療・処置の指示に関する内容
管理
治療・処置の管理
その他の治療・処置の管理に関する内容
準備
医療材料取り違え
患者体位の誤り
消毒・清潔操作の誤り
その他の治療・処置の準備に関する内容
実施
患者間違い
部位取違え
方法(手技)の誤り
未実施・忘れ
中止・延期
日程・時間の誤り
順番の誤り
不必要行為の実施
誤嚥
誤飲
異物の体内残存
診察・治療・処置等その他の取違え
その他の治療・処置の実施に関する内容
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1
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0
3
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4
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1
22
1
128
- 72 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
管理
保守・点検不良
保守・点検忘れ
使用中の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
管理に関する内容
準備
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
電源入れ忘れ
警報設定忘れ
警報設定範囲間違い
便宜上の警報解除後の再設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
準備に関する内容
使用
医療機器等・医療材料の不適切使用
誤作動
故障
破損
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
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1
0
0
6
6
- 73 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他のドレーン・チューブ類の
使用・管理の指示に関する内容
管理
点検忘れ
点検不良
使用中の点検・管理ミス
破損
その他のドレーン・チューブ類の
管理に関する内容
準備
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
その他のドレーン・チューブ類の
準備に関する内容
使用
点滴漏れ
自己抜去
自然抜去
接続はずれ
未接続
閉塞
切断・破損
接続間違い
三方活栓操作間違い
ルートクランプエラー
空気混入
誤作動
故障
ドレーン・チューブ類の不適切使用
その他のドレーン・チューブ類の
使用に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
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0
0
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0
0
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
2
2
1
1
0
0
3
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
1
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0
0
0
1
0
0
0
1
0
1
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
2
3
0
2
0
1
3
0
0
0
0
0
0
0
2
3
0
2
0
1
3
0
0
0
0
0
0
0
2
4
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
0
0
2
4
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
0
0
0
2
1
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
6
10
3
2
0
5
6
0
0
0
1
1
0
0
6
10
3
2
0
5
6
0
0
0
1
1
0
0
2
2
3
3
6
6
11
11
5
5
0
0
27
27
- 74 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
検査に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
指示検査の間違い
その他の検査の指示に関する内容
管理
分析機器・器具管理
試薬管理
データ紛失
計算・入力・暗記
その他の検査の管理に関する内容
準備
患者取違え
検体取違え
検体紛失
検査機器・器具の準備
検体破損
その他の検査の準備に関する内容
実施
患者取違え
検体取違え
試薬の間違い
検体紛失
検査の手技・判定技術の間違い
検体採取時のミス
検体破損
検体のコンタミネーション
データ取違え
結果報告
その他の検査の実施に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
1
2
0
0
0
1
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
1
0
1
0
1
1
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
2
1
0
1
0
1
2
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
1
1
0
0
0
1
3
0
0
1
0
1
1
0
0
0
1
3
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
4
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
3
1
0
0
0
1
13
1
0
1
0
3
1
0
0
0
1
13
- 75 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
障害残存の 障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
可能性なし
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害なし
不明
合計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
療養上の世話に関する項目
計画又は指示
計画忘れ又は指示出し忘れ
計画又は指示の遅延
計画又は指示の対象患者間違い
計画又は指示内容間違い
その他の療養上の世話の計画又は指
示に関する内容
管理・準備・実施
拘束・抑制
給食の内容の間違い
安静指示
禁食指示
外出・外泊許可
異物混入
転倒
転落
衝突
誤嚥
誤飲
誤配膳
遅延
実施忘れ
搬送先間違い
患者間違い
延食忘れ
中止の忘れ
自己管理薬飲み忘れ・注射忘れ
自己管理薬注入忘れ
自己管理薬取違え摂取
不必要行為の実施
その他の療養上の世話の管理・準備・
実施に関する内容
その他
合 計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
3
1
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
73
4
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
73
4
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
67
3
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
67
3
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
38
5
1
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
38
5
1
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
200
13
4
10
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
200
13
4
10
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
11
9
9
40
40
28
28
22
22
5
5
115
115
21
82
21
82
14
90
14
90
27
230
27
230
41
250
41
250
25
173
25
173
1
40
1
40
129
865
129
865
※事故の発生及び事故の過失の有無と事故の程度とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していない事例が含まれる。
- 76 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
Ⅱ
- 77 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 21 (QA-68-A)
関連診療科 × 事故の概要
薬剤
関連診療科×事故の概要
2016 年
1月∼3月
輸血
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
治療・処置
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
医療機器等
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
内科
5
5
0
0
10
10
1
1
麻酔科
4
4
0
0
12
12
3
3
循環器内科
3
3
0
0
19
19
3
3
神経科
0
0
0
0
2
2
0
0
呼吸器内科
1
1
0
0
6
6
2
2
消化器科
1
1
0
0
27
27
1
1
血液内科
2
2
0
0
3
3
0
0
循環器外科
0
0
0
0
2
2
0
0
アレルギー科
0
0
0
0
0
0
0
0
リウマチ科
1
1
0
0
0
0
0
0
小児科
7
7
0
0
4
4
4
4
外科
2
2
0
0
38
38
1
1
整形外科
0
0
1
1
27
27
2
2
形成外科
1
1
0
0
2
2
0
0
美容外科
0
0
0
0
0
0
0
0
脳神経外科
2
2
0
0
15
15
0
0
呼吸器外科
0
0
0
0
10
10
0
0
心臓血管外科
3
3
0
0
22
22
2
2
小児外科
1
1
0
0
0
0
0
0
ペインクリニック
0
0
0
0
0
0
0
0
皮膚科
0
0
0
0
0
0
0
0
泌尿器科
0
0
0
0
11
11
0
0
性病科
0
0
0
0
0
0
0
0
肛門科
0
0
0
0
0
0
0
0
産婦人科
2
2
0
0
13
13
0
0
産科
0
0
0
0
2
2
0
0
婦人科
1
1
0
0
2
2
1
1
眼科
0
0
0
0
6
6
1
1
耳鼻咽喉科
0
0
0
0
7
7
1
1
心療内科
0
0
0
0
0
0
0
0
精神科
0
0
0
0
1
1
1
1
リハビリテーション科
0
0
0
0
1
1
0
0
放射線科
0
0
0
0
3
3
0
0
歯科
0
0
0
0
1
1
0
0
矯正歯科
0
0
0
0
0
0
0
0
小児歯科
0
0
0
0
0
0
0
0
歯科口腔外科
0
0
0
0
2
2
0
0
不明
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
6
6
0
0
28
28
3
3
42
42
1
1
276
276
26
26
合 計
※関連診療科は複数回答が可能である。
- 78 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
ドレーン・チューブ
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
検査
2016 年
1月∼3月
療養上の世話
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
その他
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
合 計
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
7
7
2
2
30
30
10
10
65
65
6
6
0
0
0
0
3
3
28
28
5
5
1
1
17
17
14
14
62
62
2
2
0
0
29
29
5
5
38
38
4
4
4
4
36
36
4
4
57
57
5
5
5
5
14
14
11
11
64
64
0
0
1
1
7
7
3
3
16
16
5
5
0
0
1
1
0
0
8
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
3
3
10
10
0
0
23
23
2
2
50
50
14
14
2
2
29
29
20
20
106
106
0
0
2
2
107
107
16
16
155
155
0
0
0
0
3
3
1
1
7
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
7
2
2
15
15
9
9
50
50
2
2
0
0
5
5
2
2
19
19
5
5
2
2
4
4
1
1
39
39
1
1
0
0
1
1
0
0
3
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
3
0
0
8
8
1
1
12
12
1
1
0
0
6
6
2
2
20
20
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
3
3
5
5
24
24
0
0
0
0
0
0
1
1
3
3
2
2
0
0
2
2
0
0
8
8
0
0
2
2
3
3
5
5
17
17
2
2
0
0
6
6
3
3
19
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
51
51
14
14
67
67
0
0
0
0
8
8
1
1
10
10
2
2
4
4
3
3
1
1
13
13
0
0
0
0
0
0
2
2
3
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
0
0
1
1
3
3
8
8
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
7
7
9
9
37
37
19
19
109
109
92
92
37
37
450
450
160
160
1,084
1,084
- 79 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 22 (QA-71-A)
発生要因 × 事故の概要
薬剤
発生要因×事故の概要
2016 年
1月∼3月
輸血
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
治療・処置
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
医療機器等
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
32
32
1
1
53
53
11
11
観察を怠った
6
6
0
0
30
30
5
5
報告が遅れた(怠った)
0
0
0
0
6
6
0
0
記録などに不備があった
3
3
0
0
4
4
0
0
連携ができていなかった
11
11
1
1
16
16
3
3
患者への説明が不十分で
あった(怠った)
1
1
0
0
16
16
0
0
判断を誤った
8
8
1
1
59
59
1
1
14
14
1
1
21
21
4
4
技術・手技が未熟だった
2
2
1
1
55
55
0
0
勤務状況が繁忙だった
7
7
0
0
6
6
5
5
ヒューマンファクター
知識が不足していた
通常とは異なる身体的条
件下にあった
通常とは異なる心理的条
件下にあった
1
1
0
0
3
3
0
0
3
3
0
0
4
4
0
0
その他
4
4
0
0
14
14
1
1
コンピュータシステム
7
7
0
0
0
0
0
0
医薬品
7
7
0
0
1
1
0
0
医療機器
0
0
1
1
15
15
15
15
施設・設備
1
1
0
0
1
1
0
0
諸物品
0
0
0
0
5
5
0
0
患者側
0
0
0
0
36
36
1
1
その他
0
0
0
0
7
7
0
0
11
11
1
1
29
29
5
5
仕組み
4
4
0
0
7
7
2
2
ルールの不備
4
4
0
0
14
14
4
4
その他
3
3
0
0
70
70
2
2
129
129
7
7
472
472
59
59
環境・設備機器
その他
教育・訓練
合計
※発生要因は複数回答が可能である。
- 80 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
ドレーン・チューブ
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
検査
2016 年
1月∼3月
療養上の世話
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
その他
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
合 計
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
1,029
1,029
31
31
10
10
90
90
24
24
252
252
20
20
1
1
178
178
18
18
258
258
4
4
2
2
11
11
3
3
26
26
1
1
0
0
12
12
1
1
21
21
16
16
3
3
59
59
16
16
125
125
1
1
2
2
89
89
7
7
116
116
23
23
6
6
110
110
23
23
231
231
429
429
15
15
1
1
49
49
25
25
130
130
16
16
6
6
47
47
21
21
148
148
6
6
3
3
44
44
9
9
80
80
0
0
0
0
0
0
0
0
4
4
2
2
1
1
2
2
2
2
14
14
3
3
1
1
21
21
9
9
53
53
442
442
0
0
0
0
0
0
1
1
8
8
2
2
0
0
2
2
0
0
12
12
9
9
1
1
1
1
3
3
45
45
1
1
2
2
18
18
5
5
28
28
4
4
0
0
11
11
1
1
21
21
16
16
7
7
192
192
49
49
301
301
0
0
1
1
9
9
10
10
27
27
396
396
11
11
2
2
94
94
15
15
168
168
0
0
2
2
10
10
8
8
33
33
3
3
3
3
14
14
12
12
54
54
9
9
7
7
21
21
29
29
141
141
193
193
61
61
1,084
1,084
291
291
2,296
2,296
- 81 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業で収集する情報には発生件数情報と事例情報がある。
発生件数情報はヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する全ての医療機関から収集
を行う。事例情報は、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する医療機関のうち、
事例情報の報告を希望した医療機関から収集を行う。本報告書には、2016年1月1日から同年3月
31日までの発生件数情報と事例情報の集計結果を掲載している。
【1】登録医療機関
(1)参加医療機関数
2016年3月31日現在、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加している医療機関数
は以下の通りである。なお、医療機関数の増減の理由には、新規の開設や閉院、統廃合の他に、開設
者区分の変更も含まれる。
図表Ⅱ - 3- 1 (QH-01)
参加医療機関数
開設者
参加医療機関
国立大学法人等
独立行政法人国立病院機構
国立研究開発法人
国
国立ハンセン病療養所
独立行政法人労働者健康福祉機構
独立行政法人地域医療機能推進機構
その他の国の機関
都道府県
市町村
自治体
公立大学法人
地方独立行政法人
日本赤十字社
恩賜財団済生会
北海道社会事業協会
自治体以外の公的 厚生農業協同組合連合会
医療機関の開設者 国民健康保険団体連合会
健康保険組合及びその連合会
共済組合及びその連合会
国民健康保険組合
学校法人
医療法人
法人
公益法人
会社
その他の法人
個 人
合 計
- 82 -
29
118
5
11
30
44
0
26
131
9
25
80
20
0
20
2
1
20
1
47
408
52
12
41
52
1,184
事例情報報告
参加医療機関
18
69
3
4
25
24
0
16
75
5
11
45
10
0
8
0
0
12
1
33
203
23
3
21
33
642
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)参加医療機関数の推移
2016年1月1日から同年3月31日までの参加医療機関数の推移は以下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 2 (QH-02)
参加医療機関数の推移
2016 年
1月
2月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
2
−
−
−
−
−
−
−
−
−
0
−
−
−
−
−
−
−
−
−
1,179 1,182 1,184
−
−
−
−
−
−
−
−
−
新規登録
医療機関数
1
3
登録取下げ
医療機関数
0
0
累 計
3月
10月 11月 12月
事例情報報告
新規登録
医療機関数
1
0
0
−
−
−
−
−
−
−
−
−
事例情報報告
登録取下げ
医療機関数
0
1
1
−
−
−
−
−
−
−
−
−
644
643
642
−
−
−
−
−
−
−
−
−
累 計
- 83 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【2】発生件数情報の報告件数
(1)発生件数情報の報告状況
2016年1月1日から同年3月31日までの発生件数情報の報告は以下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 3 (QNR-01)
発生件数情報の報告件数
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
164
1,294
17,747
42,368
61,573
(2)輸血
28
51
382
726
1,187
(3)治療・処置
112
559
2,827
8,117
11,615
(4)医療機器等
54
179
2,256
3,675
6,164
(5)ドレーン・チューブ
74
379
5,845
23,859
30,157
(6)検査
90
299
5,819
10,996
17,204
(7)療養上の世話
113
764
11,760
32,043
44,680
(8)その他
122
413
11,393
11,739
23,667
757
3,938
36
115
1,100
3,223
4,474
合 計
58,029 133,523 196,247
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
127
595
7,680
17,963
26,365
【3】医療機器等に由来する事例
50
146
998
2,874
4,068
【4】今期のテーマ
34
85
396
1,576
2,091
【2】薬剤に由来する事例
報告医療機関数
病床数合計
- 84 -
516
207,388
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)病床規模別の発生件数情報
2016年1月1日から同年3月31日までの病床規模別の発生件数情報を図表Ⅱ - 3- 4∼図表
Ⅱ - 3- 10に示す。
図表Ⅱ - 3- 4 (QNR-02)
病床規模別発生件数情報の報告件数(病床数が0∼99床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
Ⅱ
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
0
1
237
287
525
(2)輸血
0
0
2
0
2
(3)治療・処置
0
0
79
120
199
(4)医療機器等
0
0
35
25
60
(5)ドレーン・チューブ
0
2
21
100
123
(6)検査
0
0
116
157
273
(7)療養上の世話
1
2
208
264
475
(8)その他
1
0
208
104
313
2
5
906
1,057
1,970
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
0
0
3
13
16
【2】薬剤に由来する事例
0
1
146
144
291
【3】医療機器等に由来する事例
0
0
7
10
17
【4】今期のテーマ
0
0
2
3
5
合 計
再 掲
報告医療機関数
病床数合計
- 85 -
31
1,611
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 5 (QNR-03)
病床規模別発生件数情報の報告件数
(病床数が100∼199床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
2
0
2
2
3
0
0
1
10
58
2
17
5
23
9
45
13
172
1,207
20
211
139
451
416
1,225
900
4,569
1,800
14
265
156
741
509
1,711
795
5,991
3,067
36
495
302
1,218
934
2,981
1,709
10,742
0
1
2
0
4
42
4
1
73
444
61
14
45
812
65
24
122
1,299
132
39
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
83
12,883
報告医療機関数
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 6 (QNR-04)
病床規模別発生件数情報の報告件数
(病床数が200∼299床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
6
1
8
2
3
7
4
10
41
81
1
143
13
29
24
151
82
524
1,598
29
304
190
371
463
1,841
1,191
5,987
2,890
22
521
203
1,292
634
3,113
1,156
9,831
4,575
53
976
408
1,695
1,128
5,109
2,439
16,383
4
3
3
0
16
41
11
17
90
605
94
45
271
1,193
159
302
381
1,842
267
364
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
報告医療機関数
病床数合計
- 86 -
74
18,292
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 7 (QNR-05)
病床規模別発生件数情報の報告件数(病床数が300∼399床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
19
1
11
6
8
8
12
18
83
101
6
57
27
41
41
92
69
434
2,896
55
409
377
777
792
1,825
1,466
8,597
5,800
76
1,136
491
3,085
1,440
5,496
1,750
19,274
8,816
138
1,613
901
3,911
2,281
7,425
3,303
28,388
5
11
4
2
23
38
20
5
184
1,140
180
31
292
1,778
391
135
504
2,967
595
173
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
97
32,435
報告医療機関数
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 8 (QNR-06)
病床規模別発生件数情報の報告件数
(病床数が400∼499床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
36
8
24
18
9
16
14
20
145
269
9
101
36
71
36
135
59
716
3,545
51
739
536
1,078
762
2,365
2,614
11,690
7,589
111
1,411
762
4,622
1,890
7,020
2,179
25,584
11,439
179
2,275
1,352
5,780
2,704
9,534
4,872
38,135
8
25
17
4
14
159
29
17
135
1,050
182
90
306
2,638
443
230
463
3,872
671
341
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
報告医療機関数
病床数合計
- 87 -
87
37,983
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 9 (QNR-07)
病床規模別発生件数情報の報告件数
(病床数が500∼599床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
63
4
10
13
28
20
61
22
221
138
4
51
34
50
44
110
27
458
2,491
45
239
201
926
769
1,328
941
6,940
5,047
93
994
396
2,713
1,537
3,328
1,381
15,489
7,739
146
1,294
644
3,717
2,370
4,827
2,371
23,108
8
59
11
4
15
72
28
12
92
1,401
108
75
517
1,928
234
168
632
3,460
381
259
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
46
24,918
報告医療機関数
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 10 (QNR-08)
病床規模別発生件数情報の報告件数
(病床数が600床以上の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
38
14
57
13
23
39
21
50
255
646
29
190
64
163
145
229
163
1,629
5,773
180
846
778
2,221
2,501
2,968
4,073
19,340
18,955
410
3,670
1,642
11,306
4,829
11,111
4,374
56,297
25,412
633
4,763
2,497
13,713
7,514
14,329
8,660
77,521
11
28
13
24
43
242
54
33
523
2,894
366
139
1,779
9,470
1,572
714
2,356
12,634
2,005
910
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
報告医療機関数
病床数合計
- 88 -
98
79,266
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【3】事例情報の報告件数
(1)事例情報の月別報告状況
2016年1月1日から同年3月31日までの事例情報の月別報告件数は以下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 11 (QH-03)
事例情報の月別報告件数
1月
事例情報
報告数
事例情報報告
参加医療機関数
2月
3月
4,206 1,422 1,937
644
643
642
2016 年
6月
7月
4月
5月
−
−
−
−
−
−
- 89 -
8月
9月
10月 11月 12月
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
合計
7,565
−
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)事例情報の報告状況
事例情報報告参加医療機関の2016年1月1日から同年3月31日までの報告医療機関数及び報告
件数を図表Ⅱ - 3- 12に、病床規模別に集計したものを図表Ⅱ - 3- 13に、地域別に集計したもの
を図表Ⅱ - 3- 14に示す。また、同期間内における報告医療機関数を報告件数別に集計したものを
図表Ⅱ - 3- 15に示す。2016年3月31日現在、事例情報報告参加医療機関の数は642施設、
病床数合計は211,102床である。
図表Ⅱ - 3- 12 (QH-04)
開設者別事例情報報告参加医療機関数及び報告件数
報告医療機関数
医療機関数
開設者
国
※ 2016 年
3月 3 1日現在
報告件数
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
国立大学法人等
18
5
5
18
18
独立行政法人国立病院機構
69
11
11
21
21
国立研究開発法人
3
1
1
423
423
国立ハンセン病療養所
4
0
0
0
0
独立行政法人労働者健康福祉機構
25
2
2
301
301
独立行政法人地域医療機能推進機構
24
4
4
588
588
0
0
0
0
0
107
20
20
2,949
2,949
その他の国の機関
自治体
都道府県
市町村
公立大学法人
自治体以外の公的医療機関
の開設者
地方独立行政法人
日本赤十字社
45
6
6
887
887
恩賜財団済生会
10
2
2
401
401
0
0
0
0
0
北海道社会事業協会
厚生農業協同組合連合会
8
1
1
1
1
国民健康保険団体連合会
0
0
0
0
0
健康保険組合及びその連合会
0
0
0
0
0
12
1
1
6
6
共済組合及びその連合会
法人
1
0
0
0
0
学校法人
国民健康保険組合
33
4
4
446
446
医療法人
203
15
15
735
735
公益法人
23
1
1
6
6
3
0
0
0
0
21
4
4
765
765
個 人
33
2
2
18
18
合 計
642
79
79
7,565
7,565
会社
その他の法人
- 90 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 13 (QH-05)
病床規模別事例情報報告参加医療機関数及び報告件数
病床数
医療機関数
※ 2016 年
3月 3 1日現在
報告医療機関数
2016 年
1月∼3月
報告件数
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
0 ∼ 19 床
52
2
2
8
8
20 ∼ 49 床
22
2
2
52
52
50 ∼ 99 床
38
5
5
62
62
100 ∼ 149 床
43
2
2
4
4
150 ∼ 199 床
75
6
6
220
220
200 ∼ 249 床
44
6
6
119
119
250 ∼ 299 床
36
7
7
605
605
300 ∼ 349 床
73
7
7
1,399
1,399
350 ∼ 399 床
37
4
4
215
215
400 ∼ 449 床
63
9
9
979
979
450 ∼ 499 床
30
3
3
120
120
500 ∼ 549 床
25
6
6
664
664
550 ∼ 599 床
19
2
2
15
15
600 ∼ 649 床
19
5
5
639
639
650 ∼ 699 床
14
2
2
392
392
700 ∼ 749 床
13
2
2
25
25
750 ∼ 799 床
4
1
1
4
4
800 ∼ 849 床
8
3
3
1,803
1,803
850 ∼ 899 床
3
0
0
0
0
900 ∼ 999 床
11
4
4
20
20
1000 床以上
13
1
1
220
220
642
79
79
7,565
7,565
合計
図表Ⅱ - 3- 14 (QH-06)
地域別事例情報報告参加医療機関数及び報告件数
地域
医療機関数
※ 2016 年
3月 3 1日現在
報告医療機関数
2016 年
1月∼3月
報告件数
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
北海道
52
7
7
73
73
東北
63
7
7
521
521
関東甲信越
167
20
20
2,129
2,129
東海北陸
112
11
11
1,975
1,975
近畿
92
12
12
1,696
1,696
中国四国
78
13
13
1,036
1,036
九州沖縄
78
9
9
135
135
642
79
79
7,565
7,565
合計
- 91 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 15 (QH-07)
報告件数別事例情報報告参加医療機関数
報告医療機関数
報告件数
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
0
563
563
1
18
18
2
4
4
3
4
4
4
3
3
5
3
3
6
5
5
7
3
3
8
1
1
9
2
2
10
1
1
11 ∼ 20
5
5
21 ∼ 30
2
2
31 ∼ 40
2
2
41 ∼ 50
1
1
51 ∼ 100
5
5
101 ∼ 150
3
3
151 ∼ 200
0
0
200 以上
合計
17
17
642
642
- 92 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【4】事例情報の報告の内容
2016年1月1日から同年3月31日までの事例情報報告参加医療機関からのヒヤリ・ハット
事例情報報告の内容は以下の通りである。
なお、各表はヒヤリ・ハット事例「事例情報」報告入力項目(注)を集計したものである。
図表Ⅱ - 3- 16 (QH-28)
当事者職種
当事者職種
件数
医師
Ⅱ
352
歯科医師
7
看護師
6,700
准看護師
49
薬剤師
335
臨床工学技士
38
助産師
108
看護助手
23
診療放射線技師
74
臨床検査技師
99
管理栄養士
16
栄養士
34
調理師・調理従事者
40
理学療法士(PT)
71
作業療法士(OT)
38
言語聴覚士(ST)
12
衛生検査技師
0
歯科衛生士
1
歯科技工士
0
その他
313
合 計
8,310
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
(件)
その他
歯科技工士
歯科衛生士
衛生検査技師
言語聴覚士︵ST︶
作業療法士︵OT︶
理学療法士︵PT︶
調理師 調・理従事者
栄養士
管理栄養士
臨床検査技師
診療放射線技師
看護助手
助産師
臨床工学技士
薬剤師
准看護師
看護師
歯科医師
医師
7,000
6,500
6,000
5,500
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
(注)
「報告入力項目(ヒヤリ・ハッ
ト事例)
」は公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ「関連文書」
(http://www.
med-safe.jp/pdf/hiyarihatto_input_item.pdf)参照。
- 93 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 17 (QH-29)
当事者職種経験
当事者職種経験
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
55
3
1,211
1
90
1
12
7
9
19
1年
23
0
852
4
38
2
12
2
4
1
2年
21
0
591
0
14
2
10
2
4
2
3年
27
0
488
1
19
3
8
1
7
6
4年
36
1
422
1
11
2
7
0
3
4
5年
16
0
295
1
10
1
0
0
1
1
6年
7
0
256
0
11
1
9
1
0
4
7年
7
0
228
0
13
4
9
0
0
4
8年
9
1
203
0
9
6
1
0
2
3
9年
8
0
208
0
1
2
3
1
1
5
10 年
17
1
215
1
10
3
4
2
3
6
11 年
11
0
160
1
6
2
1
0
1
2
12 年
4
0
148
1
5
0
0
0
0
2
13 年
12
0
143
1
2
1
2
0
1
2
14 年
7
0
112
0
4
1
1
1
1
1
15 年
6
0
99
0
12
2
2
0
3
2
16 年
5
0
96
0
2
0
2
0
0
1
17 年
13
0
91
1
5
1
3
1
3
1
18 年
2
0
98
1
3
0
7
1
0
3
19 年
1
0
70
0
2
0
2
1
1
0
20 年
13
0
89
2
6
2
5
0
3
2
21 年
5
0
43
1
5
0
0
1
3
1
22 年
7
0
75
1
1
1
2
0
2
3
23 年
1
0
60
1
16
0
0
0
0
3
24 年
3
0
47
1
3
0
1
0
3
2
25 年
4
0
65
1
2
1
0
0
4
0
26 年
3
1
36
0
1
0
1
0
1
0
27 年
4
0
50
2
10
0
3
0
3
0
28 年
3
0
26
0
4
0
0
0
1
1
29 年
5
0
22
1
4
0
0
0
2
3
30 年
10
0
67
8
8
0
0
0
1
4
31 年
2
0
30
1
0
0
1
1
2
1
32 年
0
0
10
0
0
0
0
1
3
0
33 年
0
0
13
0
1
0
0
0
0
1
34 年
1
0
25
2
2
0
0
0
0
4
35 年
2
0
19
2
2
0
0
0
1
2
36 年
0
0
11
1
2
0
0
0
1
1
37 年
0
0
3
0
1
0
0
0
0
2
38 年
0
0
8
1
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
2
0
12
10
0
0
0
0
0
0
合 計
352
7
6,700
49
335
38
108
23
74
99
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 94 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合 計
2
5
2
6
9
4
0
0
0
181
1,617
1
3
3
4
3
5
0
0
0
16
973
1
3
5
10
13
1
0
0
0
18
697
1
2
1
10
4
0
0
0
0
8
586
2
0
2
9
2
0
0
0
0
5
507
1
0
0
7
2
0
0
0
0
13
348
0
1
0
1
1
0
0
0
0
1
293
1
6
2
6
1
1
0
0
0
2
284
1
0
3
1
0
0
0
0
0
3
242
1
2
0
2
2
0
0
0
0
0
236
0
1
2
0
1
1
0
0
0
2
269
0
0
2
0
0
0
0
0
0
1
187
2
1
3
0
0
0
0
0
0
2
168
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
169
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
128
0
0
2
3
0
0
0
0
0
2
133
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
107
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
121
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
117
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
80
1
5
3
0
0
0
0
0
0
1
132
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
60
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
94
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
83
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
63
0
1
2
0
0
0
0
0
0
0
80
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
43
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
72
0
0
3
0
0
0
0
0
0
2
40
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37
0
3
0
0
0
0
0
0
0
6
107
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
44
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
16
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
15
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
28
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
16
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
42
66
16
34
40
71
38
12
0
1
0
313
8,310
- 95 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 18 (QH-30)
当事者部署配属期間
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
当事者部署配属期間
医師
0年
123
5
2,025
12
115
2
23
8
13
25
1年
59
1
1,396
5
54
4
19
4
6
6
2年
22
0
920
3
19
6
11
4
5
8
3年
25
1
630
3
16
4
11
0
5
12
4年
20
0
535
4
6
2
6
1
3
2
5年
14
0
354
1
12
1
2
0
1
3
6年
10
0
232
4
11
0
7
2
2
4
7年
9
0
152
1
8
2
7
0
1
2
8年
7
0
111
2
5
6
3
1
1
6
9年
10
0
70
2
2
3
4
0
1
2
10 年
13
0
94
3
7
1
5
2
3
2
11 年
2
0
46
2
9
0
1
0
2
2
12 年
4
0
18
0
3
0
0
0
1
1
13 年
4
0
16
0
3
0
2
0
3
2
14 年
3
0
14
0
3
1
0
0
1
2
15 年
6
0
7
0
10
2
2
0
2
1
16 年
3
0
10
1
1
3
2
0
1
0
17 年
0
0
13
0
2
0
0
0
0
1
18 年
1
0
7
1
1
0
0
0
0
2
19 年
0
0
2
1
1
0
0
1
1
0
20 年
4
0
13
1
3
1
1
0
3
5
21 年
0
0
3
0
4
0
0
0
4
1
22 年
1
0
3
1
1
0
1
0
1
1
23 年
1
0
2
0
14
0
0
0
0
1
24 年
0
0
1
0
8
0
0
0
2
1
25 年
1
0
5
0
2
0
0
0
1
0
26 年
0
0
7
0
3
0
0
0
0
2
27 年
2
0
2
0
1
0
0
0
3
0
28 年
4
0
1
0
0
0
0
0
1
0
29 年
3
0
0
1
3
0
0
0
1
1
30 年
1
0
7
1
4
0
0
0
1
3
31 年
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
32 年
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
33 年
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
34 年
0
0
1
0
2
0
0
0
0
1
35 年
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
36 年
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
37 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
38 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
合 計
352
7
6,700
49
335
38
108
23
74
99
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 96 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合 計
6
6
2
21
10
5
0
0
0
189
2,590
2
8
5
11
5
4
0
0
0
29
1,618
1
5
5
11
13
1
0
0
0
14
1,048
0
4
1
5
3
0
0
0
0
5
725
2
6
4
6
2
0
0
0
0
9
608
1
2
1
4
2
0
0
0
0
7
405
0
1
0
2
0
0
0
0
0
4
279
1
0
3
0
1
1
0
1
0
2
191
1
0
2
0
0
0
0
0
0
1
146
1
0
0
1
2
0
0
0
0
0
98
0
0
1
0
0
1
0
0
0
3
135
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
65
0
1
1
0
0
0
0
0
0
2
31
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
31
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
24
0
0
1
0
0
0
0
0
0
2
33
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
21
0
0
1
2
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
13
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
8
1
1
4
0
0
0
0
0
0
1
38
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
18
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
19
0
0
0
5
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0
0
0
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7
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
42
44
16
34
40
71
38
12
0
1
0
313
8,310
- 97 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 19 (QH-31)
事例の概要
事例の概要
薬剤
2016 年1月∼3月
%
件数
%
2,955
39.1
2,955
39.1
37
0.5
37
0.5
297
3.9
297
3.9
輸血
治療・処置
医療機器等
ドレーン・チューブ
173
2.3
173
2.3
1,207
16.0
1,207
16.0
検査
療養上の世話
631
8.3
631
8.3
1,453
19.2
1,453
19.2
その他
合 計
2016 年1月∼3月(累計)
件数
812
10.7
812
10.7
7,565
100.0
7,565
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 3- 20 (QH-33)
影響度
影響度
死亡もしくは重篤な状況に
至ったと考えられる
濃厚な処置・治療が必要
であると考えられる
軽 微 な 処 置・ 治 療 が 必 要
もしくは処置・治療が不要
と考えられる
合 計
2016 年1月∼3月
件数
2016 年1月∼3月(累計)
%
件数
%
51
1.5
51
1.5
131
4.0
131
4.0
3,128
94.5
3,128
94.5
3,310
100.0
3,310
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 98 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 21 (QH-36)
発生要因
2016 年1月∼3月
発生要因
件数
%
10,553
4,764
1,778
194
220
1,177
872
1,548
4,550
825
572
1,722
110
527
794
2,245
187
383
171
169
147
913
275
2,636
884
260
450
1,042
19,984
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
観察を怠った
報告が遅れた(怠った)
記録などに不備があった
連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条件下にあった
通常とは異なる心理的条件下にあった
その他
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
医療機器
施設・設備
諸物品
患者側
その他
その他
教育・訓練
仕組み
ルールの不備
その他
合 計
52.8
23.8
8.9
1
1.1
5.9
4.4
7.7
22.8
4.1
2.9
8.6
0.6
2.6
4
11.2
0.9
1.9
0.9
0.8
0.7
4.6
1.4
13.2
4.4
1.3
2.3
5.2
100.0
2016 年1月∼3月(累計)
件数
%
10,553
4,764
1,778
194
220
1,177
872
1,548
4,550
825
572
1,722
110
527
794
2,245
187
383
171
169
147
913
275
2,636
884
260
450
1,042
19,984
52.8
23.8
8.9
1
1.1
5.9
4.4
7.7
22.8
4.1
2.9
8.6
0.6
2.6
4
11.2
0.9
1.9
0.9
0.8
0.7
4.6
1.4
13.2
4.4
1.3
2.3
5.2
100.0
※発生要因は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 3- 22 (QH-61)
事例の概要 × 影響度
事例の概要×影響度
軽微な処置・治療が必要
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要
も し く は 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2016 年
1 月∼3月
2016 年
1 月∼3月
(累計)
2016 年
1 月∼3月
2016 年
1 月∼3月
(累計)
2016 年
1 月∼3月
2016 年
1 月∼3月
(累計)
合 計
2016 年
1 月∼3月
2016 年
1 月∼3月
(累計)
薬剤
13
13
52
52
1,313
1,313
1,378
1,378
輸血
0
0
1
1
15
15
16
16
治療・処置
8
8
15
15
107
107
130
130
医療機器等
5
5
7
7
75
75
87
87
ドレーン・チューブ
5
5
19
19
387
387
411
411
検査
5
5
6
6
321
321
332
332
療養上の世話
7
7
22
22
606
606
635
635
その他
合 計
8
8
9
9
304
304
321
321
51
51
131
131
3,128
3,128
3,310
3,310
- 99 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 23 (QH-64)
発生場面×影響度
発生場面×影響度
薬剤に関する項目
処方
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
調剤
内服薬調剤
注射薬調剤
血液製剤調剤
外用薬調剤
その他の調剤に関する場面
製剤管理
内服薬製剤管理
注射薬製剤管理
血液製剤管理
外用薬製剤管理
その他の製剤管理に関する場面
与薬準備
与薬準備
与薬
皮下・筋肉注射
静脈注射
動脈注射
末梢静脈点滴
中心静脈注射
内服
外用
坐剤
吸入
点鼻・点耳・点眼
その他与薬に関する場面
輸血に関する項目
処方
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
輸血検査
準備
実施
その他の輸血検査に関する場面
放射線照射
準備
実施
その他の放射線照射に関する場面
輸血準備
製剤の交付
その他の輸血準備に関する場面
輸血実施
実施
その他の輸血実施に関する場面
死亡もしくは重篤な状況 濃 厚 な 処 置・ 治 療 が 必 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
要であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
6
1
0
0
0
0
0
6
1
0
0
0
0
0
25
4
4
5
1
35
0
25
4
4
5
1
35
0
32
5
4
5
1
35
0
32
5
4
5
1
35
4
2
0
1
0
4
2
0
1
0
1
5
0
0
0
1
5
0
0
0
90
52
2
2
5
90
52
2
2
5
95
59
2
3
5
95
59
2
3
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
3
1
0
0
0
3
8
18
2
1
19
8
18
2
1
19
9
18
2
1
22
9
18
2
1
22
1
1
15
15
163
163
179
179
0
1
0
1
2
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
2
0
0
0
0
0
0
2
4
1
3
0
9
1
0
0
0
0
2
4
1
3
0
9
1
0
0
0
0
60
86
6
142
43
467
23
2
6
13
29
60
86
6
142
43
467
23
2
6
13
29
62
91
7
146
45
476
24
2
6
13
29
62
91
7
146
45
476
24
2
6
13
29
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
0
1
0
0
0
0
2
0
1
0
0
0
0
2
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
3
0
0
3
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
5
4
5
4
6
4
6
4
- 100 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
発生場面×影響度
治療・処置に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
その他の管理に関する場面
準備
準備
その他の準備に関する場面
実施
実施
その他の治療・処置に関する場面
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
準備
準備
使用
使用中
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
準備
準備
使用
使用中
検査に関する項目
指示
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
管理
準備
準備
実施
実施中
死亡もしくは重篤な状況 濃 厚 な 処 置・ 治 療 が 必 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
要であると考えられる 不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
1
0
1
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
3
9
0
2
1
0
0
3
9
1
2
2
0
0
3
9
1
2
2
0
0
3
9
1
0
1
0
4
1
4
1
11
5
11
5
16
6
16
6
1
0
1
0
3
0
3
0
23
3
23
3
27
3
27
3
4
0
4
0
6
1
6
1
43
7
43
7
53
8
53
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
7
0
1
0
1
0
0
7
0
1
0
1
0
0
7
0
1
0
1
0
0
7
3
3
1
1
22
22
26
26
1
1
1
1
13
13
15
15
1
1
5
5
31
31
37
37
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
2
0
2
0
0
1
0
31
0
2
0
0
1
0
31
0
2
0
0
1
0
33
0
2
0
0
1
0
33
1
1
6
6
61
61
68
68
1
1
0
0
4
4
5
5
3
3
11
11
288
288
302
302
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
5
0
0
3
1
52
3
5
0
0
3
1
52
3
5
0
0
3
1
52
3
5
0
0
3
1
52
1
1
1
1
20
20
22
22
1
1
2
2
69
69
72
72
3
3
3
3
168
168
174
174
- 101 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
発生場面×影響度
療養上の世話に関する項目
計画又は指示
手書きによる計画又は指示の作成
オーダリングによる計画又は指示の作成
口頭による計画又は指示
手書きによる計画又は指示の変更
オーダリングによる計画又は指示の変更
口頭による計画又は指示の変更
その他の計画又は指示に関する場面
管理・準備・実施
管理
準備
実施中
その他
合計
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
死亡もしくは重篤な状況 濃 厚 な 処 置・ 治 療 が 必 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
要であると考えられる 不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
1 月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
2
0
0
0
0
1
0
2
2
3
0
0
1
2
86
2
3
0
0
1
2
86
2
3
0
0
2
2
88
2
3
0
0
2
2
88
3
0
4
8
51
3
0
4
8
51
4
0
15
9
131
4
0
15
9
131
137
30
345
304
3,128
137
30
345
304
3,128
144
30
364
321
3,310
144
30
364
321
3,310
- 102 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 24 (QH-65)
事例の内容 × 影響度
事例の内容×影響度
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
処方
処方忘れ
処方遅延
処方量間違い
重複処方
禁忌薬剤の処方
対象患者処方間違い
処方薬剤間違い
処方単位間違い
投与方法処方間違い
その他の処方に関する内容
調剤
調剤忘れ
処方箋・注射箋鑑査間違い
秤量間違い調剤
数量間違い
分包間違い
規格間違い調剤
単位間違い調剤
薬剤取り違え調剤
説明文書の取り違え
交付患者間違い
薬剤・製剤の取り違え交付
期限切れ製剤の交付
その他の調剤に関する内容
製剤管理
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の製剤管理に関する内容
与薬準備
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
混合間違い
その他の与薬準備に関する内容
与薬
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の与薬に関する内容
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0
1
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1
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2
1
2
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2
1
2
0
2
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0
0
47
1
16
4
2
3
7
1
5
40
47
1
16
4
2
3
7
1
5
40
47
1
19
5
4
3
9
1
5
40
47
1
19
5
4
3
9
1
5
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1
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4
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1
0
1
5
7
1
35
3
19
3
35
2
5
3
1
31
5
7
1
35
3
19
3
35
2
5
3
1
31
5
7
1
38
3
20
3
42
2
5
4
1
33
5
7
1
38
3
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2
1
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3
0
3
14
12
8
4
1
2
2
10
20
3
4
25
3
63
14
12
8
4
1
2
2
10
20
3
4
25
3
63
17
12
8
4
1
2
2
13
22
4
5
28
3
66
17
12
8
4
1
2
2
13
22
4
5
28
3
66
1
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3
0
0
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3
4
2
3
2
0
0
2
0
3
0
0
0
3
4
112
100
70
16
7
45
12
21
29
4
27
259
124
112
100
70
16
7
45
12
21
29
4
27
259
124
115
103
72
16
7
47
12
24
29
4
28
262
130
115
103
72
16
7
47
12
24
29
4
28
262
130
- 103 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
事例の内容×影響度
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
輸血に関する項目
指示出し
指示出し忘れ
指示遅延
指示量間違い
重複指示
禁忌薬剤の指示
対象患者指示間違い
指示薬剤間違い
指示単位間違い
投与方法指示間違い
その他の指示出しに関する内容
輸血検査
未実施
検体取り違え
判定間違い
結果記入・入力間違い
その他の輸血検査に関する内容
放射線照射
未実施
過剰照射
過少照射
患者間違い
製剤間違い
その他の放射線照射に関する内容
輸血管理
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の輸血管理に関する内容
輸血準備
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血準備に関する内容
輸血実施
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血実施に関する内容
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1
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1
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1
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6
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1
0
0
1
0
0
6
- 104 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事例の内容×影響度
治療・処置に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
治療・処置指示間違い
日程間違い
時間間違い
その他の治療・処置の指示に関する内容
管理
治療・処置の管理
その他の治療・処置の管理に関する内容
準備
医療材料取り違え
患者体位の誤り
消毒・清潔操作の誤り
その他の治療・処置の準備に関する内容
実施
患者間違い
部位取違え
方法(手技)の誤り
未実施・忘れ
中止・延期
日程・時間の誤り
順番の誤り
不必要行為の実施
誤嚥
誤飲
異物の体内残存
診察・治療・処置等その他の取違え
その他の治療・処置の実施に関する内容
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
0
0
0
0
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1
0
0
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1
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2
1
2
2
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1
2
1
2
2
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0
1
2
1
2
2
1
0
2
2
1
2
2
1
0
2
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1
0
1
3
2
3
2
8
7
8
7
11
10
11
10
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1
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1
2
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1
2
1
0
3
24
1
0
3
24
1
0
4
27
1
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4
27
1
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1
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1
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1
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4
2
1
5
5
1
1
0
4
1
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6
0
29
2
1
5
5
1
1
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1
0
6
0
29
3
1
6
5
1
2
0
4
1
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7
0
37
3
1
6
5
1
2
0
4
1
0
7
0
37
- 105 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
事例の内容×影響度
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
管理
保守・点検不良
保守・点検忘れ
使用中の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
管理に関する内容
準備
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
電源入れ忘れ
警報設定忘れ
警報設定範囲間違い
便宜上の警報解除後の再設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
準備に関する内容
使用
医療機器等・医療材料の不適切使用
誤作動
故障
破損
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
0
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3
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15
1
3
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15
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19
1
3
1
19
1
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9
9
10
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6
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4
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7
5
4
1
7
5
0
0
2
2
15
15
17
17
- 106 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事例の内容×影響度
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他のドレーン・チューブ類の
使用・管理の指示に関する内容
管理
点検忘れ
点検不良
使用中の点検・管理ミス
破損
その他のドレーン・チューブ類の
管理に関する内容
準備
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
その他のドレーン・チューブ類の
準備に関する内容
使用
点滴漏れ
自己抜去
自然抜去
接続はずれ
未接続
閉塞
切断・破損
接続間違い
三方活栓操作間違い
ルートクランプエラー
空気混入
誤作動
故障
ドレーン・チューブ類の不適切使用
その他のドレーン・チューブ類の
使用に関する内容
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
0
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1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
2
2
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
1
1
0
2
15
3
0
2
15
3
0
2
16
4
0
2
16
4
1
1
1
1
36
36
38
38
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
0
0
2
0
1
0
0
2
0
1
0
0
2
0
1
0
0
1
1
0
0
2
2
3
3
0
1
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
9
3
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
1
1
9
3
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
1
10
208
34
16
2
10
13
0
2
7
0
0
0
4
10
208
34
16
2
10
13
0
2
7
0
0
0
4
11
218
37
17
2
10
16
0
2
7
0
0
0
5
11
218
37
17
2
10
16
0
2
7
0
0
0
5
0
0
0
0
17
17
17
17
- 107 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
事例の内容×影響度
検査に関する項目
指示
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
指示検査の間違い
その他の検査の指示に関する内容
管理
分析機器・器具管理
試薬管理
データ紛失
計算・入力・暗記
その他の検査の管理に関する内容
準備
患者取違え
検体取違え
検体紛失
検査機器・器具の準備
検体破損
その他の検査の準備に関する内容
実施
患者取違え
検体取違え
試薬の間違い
検体紛失
検査の手技・判定技術の間違い
検体採取時のミス
検体破損
検体のコンタミネーション
データ取違え
結果報告
その他の検査の実施に関する内容
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
13
0
2
0
0
13
0
2
0
0
13
0
2
0
0
13
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
22
1
0
0
1
22
1
0
0
1
22
1
0
0
1
22
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
2
5
6
0
10
0
52
5
6
0
10
0
52
5
6
0
10
0
55
5
6
0
10
0
55
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
2
10
4
0
10
13
25
4
1
4
8
130
10
4
0
10
13
25
4
1
4
8
130
11
4
0
10
14
26
4
1
4
8
135
11
4
0
10
14
26
4
1
4
8
135
- 108 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事例の内容×影響度
療養上の世話に関する項目
計画又は指示
計画忘れ又は指示出し忘れ
計画又は指示の遅延
計画又は指示の対象患者間違い
計画又は指示内容間違い
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もしくは 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
2016 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
1
0
1
1
1
0
1
1
2
0
1
1
2
0
1
1
0
0
0
0
9
9
9
9
拘束・抑制
0
0
0
0
4
4
4
4
給食の内容の間違い
0
0
0
0
12
12
12
12
安静指示
禁食指示
外出・外泊許可
異物混入
転倒
転落
衝突
誤嚥
誤飲
誤配膳
遅延
実施忘れ
搬送先間違い
患者間違い
延食忘れ
中止の忘れ
自己管理薬飲み忘れ・注射忘れ
自己管理薬注入忘れ
自己管理薬取違え摂取
不必要行為の実施
0
1
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
11
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
11
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
10
9
4
324
105
6
0
0
7
1
9
1
4
1
1
2
0
4
5
6
10
9
4
324
105
6
0
0
7
1
9
1
4
1
1
2
0
4
5
7
11
9
4
337
109
6
0
0
7
1
9
1
4
1
1
2
0
4
5
7
11
9
4
337
109
6
0
0
7
1
9
1
4
1
1
2
0
4
5
その他の療養上の世話の管理・準備・
実施に関する内容
4
4
5
5
79
79
88
88
8
51
8
51
9
131
9
131
304
3,128
304
3,128
321
3,310
321
3,310
その他の療養上の世話の計画又は
指示に関する内容
管理・準備・実施
その他
合計
- 109 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 25 (QH-67)
発生要因×事例の概要
薬剤
輸血
治療・処置
2016 年
1月∼3月
確認を怠った
2,448
2,448
25
25
176
176
110
110
観察を怠った
389
389
7
7
60
60
32
32
報告が遅れた(怠った)
83
83
4
4
13
13
2
2
記録などに不備があった
103
103
4
4
11
11
8
8
連携ができていなかった
535
535
7
7
48
48
28
28
患者への説明が不十分で
あった(怠った)
212
212
0
0
16
16
4
4
判断を誤った
421
421
7
7
56
56
17
17
知識が不足していた
416
416
5
5
45
45
25
25
技術・手技が未熟だった
260
260
3
3
41
41
19
19
勤務状況が繁忙だった
835
835
9
9
39
39
31
31
発生要因×事例の概要
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
医療機器等
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
当事者の行動に関わる要因
ヒューマンファクター
通常とは異なる身体的
条件下にあった
通常とは異なる心理的
条件下にあった
52
52
1
1
3
3
2
2
268
268
1
1
19
19
6
6
その他
338
338
4
4
25
25
19
19
81
81
4
4
7
7
2
2
342
342
1
1
4
4
1
1
医療機器
21
21
0
0
26
26
63
63
施設・設備
31
31
2
2
3
3
7
7
諸物品
31
31
1
1
7
7
6
6
患者側
141
141
1
1
29
29
2
2
その他
120
120
4
4
12
12
9
9
教育・訓練
396
396
8
8
29
29
26
26
仕組み
121
121
1
1
12
12
16
16
ルールの不備
215
215
7
7
18
18
12
12
その他
288
288
2
2
28
28
14
14
8,147
8,147
108
108
727
727
461
461
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
その他
合計
※発生要因は複数回答が可能である。
- 110 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
ドレーン・チューブ
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
検査
2016 年
1月∼3月
療養上の世話
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
その他
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
合計
2016 年
1月∼3月
(累計)
2016 年
1月∼3月
2016 年
1月∼3月
(累計)
10,553
10,553
508
508
476
476
503
503
518
518
4,764
4,764
564
564
58
58
523
523
145
145
1,778
1,778
12
12
26
26
26
26
28
28
194
194
8
8
29
29
28
28
29
29
220
220
102
102
138
138
181
181
138
138
1,177
1,177
162
162
31
31
358
358
89
89
872
872
392
392
87
87
465
465
103
103
1,548
1,548
4,550
4,550
100
100
82
82
99
99
53
53
825
825
111
111
40
40
66
66
32
32
572
572
225
225
145
145
293
293
145
145
1,722
1,722
10
10
6
6
26
26
10
10
110
110
52
52
57
57
58
58
66
66
527
527
108
108
77
77
131
131
92
92
794
794
2,245
2,245
3
3
28
28
17
17
45
45
187
187
15
15
4
4
9
9
7
7
383
383
28
28
14
14
7
7
12
12
171
171
26
26
12
12
74
74
14
14
169
169
25
25
10
10
45
45
22
22
147
147
268
268
13
13
408
408
51
51
913
913
19
19
32
32
46
46
33
33
275
275
2,636
2,636
137
137
53
53
177
177
58
58
884
884
21
21
35
35
31
31
23
23
260
260
34
34
52
52
66
66
46
46
450
450
98
98
74
74
118
118
420
420
1,042
1,042
3,028
3,028
1,579
1,579
3,755
3,755
2,179
2,179
19,984
19,984
- 111 -
Ⅱ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
1 概況
【1】分析対象とするテーマの選定状況
本事業においては、収集された情報を基に、医療事故の発生予防・再発防止に資する情報提供を行
うために、分析対象とするテーマを設定し、そのテーマに関連する事例をまとめて分析、検討を行っ
ている。テーマは、①一般性・普遍性、②発生頻度、③患者への影響度、④防止可能性、⑤教訓性といっ
た観点から、専門家の意見を踏まえ選定している。なお、医療事故情報とヒヤリ・ハット事例を総合
的に検討するテーマについては、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業において収集期間ごとに
定められたテーマに該当する事例情報を収集し、分析している。
本報告書における分析テーマについて図表Ⅲ - 1- 1に示す。
図表Ⅲ - 1- 1 本報告書における分析テーマ
医療事故情報とヒヤリ・ハット
事例を総合的に検討したテーマ
○腫瘍用薬に関連した事例
本報告書対象期間内に収集した
医療事故情報から選定したテーマ
○外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
○人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
【2】分析対象とする情報
本報告書対象期間内に収集した医療事故情報及びヒヤリ・ハット事例のうち、対象とするテーマに
関連する情報を有している事例を抽出し、分析対象とした。
さらに、分析の必要性に応じて、本報告書対象期間外の過去の事例についても、抽出期間を設定し
た上で、同様の抽出を行い、分析対象とした。
- 112 -
1 概況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【3】分析体制
医療安全に関わる医療専門職、安全管理の専門家などで構成される専門分析班を月1回程度の頻度
で開催し、本事業で収集された事例の概要の把握を行っている。その上で、新たな分析テーマに関す
る意見交換や、すでに分析対象となっているテーマについての分析の方向性の検討、助言などを行っ
ている。
さらに、事例の集積の程度や専門性に応じて設置が必要と判断されたテーマについては、テーマ別
専門分析班を設置し、分析を行っている。テーマ別専門分析班の開催頻度は報告書での公表のタイミ
ングや事例の集積の程度に応じて全体で月1∼2回程度としている。また、テーマによってはテーマ
別専門分析班を設置せず、専門分析班の助言を得ながら当事業部の客員研究員や事務局員が分析を
行っている。
最終的に専門分析班、テーマ別専門分析班の意見を踏まえ、当事業部で分析結果を取りまとめ、
総合評価部会の審議を経て分析結果の公表を行っている。
Ⅲ
【4】追加情報の収集
専門分析班において、医療機関から報告された事例の記述内容を分析する上で、さらに詳細な
事実関係を把握する必要があると判断される事例に関しては、文書による問い合わせや、医療機関の
協力を得て現地状況確認調査を行っている。追加情報の内容は、医療安全対策を検討するために活用
している。医療機関への現地状況確認調査は、2016年1月1日から3月31日までに2事例実施
した。
概況
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
- 113 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
2 個別のテーマの検討状況
【1】腫瘍用薬に関連した事例 ①概要
がん治療において腫瘍用薬(抗がん薬)を用いた薬物療法は、手術療法や放射線療法とともに重要
である。腫瘍用薬を用いた薬物療法は、がんの治癒及び患者のQOLを高めることを目的とし、対象
疾患も多く、治療法、使用する薬剤も様々である。腫瘍用薬は単剤で使用することもあるが、多くは
複数の薬剤を組み合せた多剤併用療法がなされている。また、腫瘍用薬を投与する際の副作用の軽減
のため、制吐剤や抗アレルギー薬などの支持療法の薬剤と併用することも多い。
腫瘍用薬は、がん細胞に効果がある一方で、正常な細胞に損傷を与える危険もある。そのため、
医療機関では、腫瘍用薬を用いる化学療法に関して、科学的根拠に基づき薬剤の種類、投与量、投与
方法、投与期間、投与日、投与順などを決定し、時系列に明記した治療計画(レジメン)を作成し、
院内の委員会で審査した上で実施するなど、組織的な管理がなされている。さらに、患者の治療計画
及び治療過程においては、患者の状態把握、治療効果の判断が重要であり、医師のみならず、薬剤師
や看護師などがレジメンや患者の病態などの情報を共有し、安全に治療できるよう、チームで取り組
んでいる。
厚生労働科学研究「
『医薬品の安全使用のための業務手順書』作成マニュアル(2007年3月)
」1)
において、抗がん剤は特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)とされている。また、一般社団法人
日本病院薬剤師会による「ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver.2.
1)
(2013年2月
9日改訂)」2)においては、抗悪性腫瘍薬はハイリスク薬に該当している。
本事業では、報告された事例を基に、これまでに腫瘍用薬に関連する医療安全情報を3回提
供し、事例を紹介するとともに注意喚起を行ってきた(図表Ⅲ - 2- 1)
。また、第18回報告書
(2009年9月公表)及び第20回報告書(2010年3月公表)では「化学療法に関連した医療事故」
として主な事例の紹介を行った。さらに、第34回報告書(2013年6月公表)では「リツキシマ
ブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例」を分析テーマとして取り上げ、発生要因の分析や
B型肝炎治療ガイドラインの紹介を行った。
腫瘍用薬は主に複数の薬剤を使用すること、患者の体表面積や体重によって投与量が決定されるこ
と、当日の検査値などから減量や投与中止の判断など薬剤の取り扱いに注意が必要なこと、患者への
影響が大きいことなどから、医療事故情報およびヒヤリ・ハット事例が本事業に多数報告されている。
そこで、本事業では腫瘍用薬に関連した医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を個別のテーマとして取
り上げ、事例を1年間継続的に収集し、4回の報告書にわたって分析を進めることとした。
図表Ⅲ - 2- 1 これまでに本事業が提供した腫瘍用薬に関連する医療安全情報
No.
タイトル
提供年月
22
化学療法の治療計画の処方間違い
2008年9月
93
腫瘍用薬のレジメンの登録間違い
2014年8月
腫瘍用薬処方時の体重間違い
2015年7月
104
- 114 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療安全情報 No. 22「化学療法の治療計画の処方間違い」
Ⅲ
医療安全情報 No. 93「腫瘍用薬のレジメンの登録間違い」
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
- 115 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療安全情報 No. 104「腫瘍用薬処方時の体重間違い」
(1)腫瘍用薬に関連した医療事故の現状
①腫瘍用薬に関連した医療事故の考え方
本分析の対象は、2010年以降に報告された医療事故情報のうち、以下のキーワードを含む事
例を検索し、その中で、腫瘍用薬やその作用、薬剤の投与中の管理に関わる事例を対象とした。また、
腫瘍用薬を投与する際の副作用の軽減のため支持療法として投与される薬剤に関わる事例も対象と
した。
なお、本分析では、腫瘍用薬投与中の患者の転倒、転落、誤飲、誤嚥、自殺などに関連した事例
や腫瘍用薬投与目的で留置されているカテーテルの管理に関する事例、医薬品の臨床試験に関連し
た事例などは対象に含めないこととした。
キーワード
腫瘍用薬
抗がん剤
抗癌剤
腫瘍薬
腫瘍剤
プロトコール
プロトコル
レジメン
ケモ
化学療法
②発生状況
本報告書では、2010年1月1日から2016年3月31日までに報告された医療事故情報の
うち、上記の基準に合致する腫瘍用薬に関連した医療事故情報228件を分析の対象とした。
報告された事例について、事例の内容と発生段階で整理し、発生状況を集計した(図表Ⅲ - 2- 2)。
事例の内容としては、薬剤の血管外漏出・血管炎が最も多く68件であり、次いで腫瘍用薬投与中
の状態の悪化(副作用等)が53件、薬剤量間違い(過剰)が34件と多かった。発生段階では、
実施に伴う確認・観察が最も多く128件、次いで処方が41件と多かった。
- 116 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 2- 2 発生状況(医療事故情報)
事例の内容
薬剤量間違い
薬剤 対象者
間違い 間違い
カテー
腫瘍用
テル
薬剤の カテー
薬投与
・
投与日
血管外 テル
投与
支持
投与
中の
投与
ポート
中止時
・
外れ
漏出
経路 無投与
時間
状態の 療法の その他
速度
の投与
日数
の不具合
・
・
間違い
悪化 間違い
間違い 間違い
間違い
・
血管炎 漏れ
(副作用
取り扱い
等)
間違い
過剰
過少
不明
3
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合計
レジメン登録
0
0
治療計画
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
1
4
処方
5
1
19
1
0
0
1
5
0
1
1
0
0
0
0
5
2
41
指示
5
指示出し
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
2
0
0
0
0
0
1
5
指示受け
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
調製
0
0
9
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
11
その他
0
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
患者への説明・指導
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
発生段階
その他
調剤
準備
実施
3
5
0
0
0
3
1
1
6
3
0
0
0
2
0
0
1
25
実施に伴う確認・観察
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
68
6
0
53
0
1
128
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
合 計
10
6
34
1
0
5
3
11
6
6
3
68
6
2
53
6
8
228
③患者への影響
腫瘍用薬に関連した事例228件の事故の程度を図表Ⅲ - 2- 3に示す。本事業に報告された事
「障害残存の可能性がある(高い)」が26件と、患者への影響が大きい事例が含まれていた。
一方、「障害残存の可能性なし」が54件、
「障害なし」が71件と患者に障害を残さなかった事
例もあった。ただし、事故の程度は「障害なし」であっても医療の実施の有無で「実施あり」を選択し、
治療の程度は「濃厚な治療」が選択されている事例も報告されている。治療の程度は、
「濃厚な治療」
を要した事例が105件と最も多く(図表Ⅲ - 2- 4)
、腫瘍用薬に関連した事例全体の46.1%
であった。腫瘍用薬に関連した事例は、患者に障害残存の可能性がある事例や何らかの治療を要し
た事例が多いことが分かる。
図表Ⅲ - 2- 3 事故の程度
事故の程度
図表Ⅲ - 2- 4 治療の程度
件数
治療の程度
件数
死亡
20
濃厚な治療
105
障害残存の可能性がある(高い)
26
軽微な治療
71
障害残存の可能性がある(低い)
44
なし
32
障害残存の可能性なし
54
不明
4
障害なし
71
不明
13
合 計
228
- 117 -
合 計
212
※「医療の実施あり」を選択した212件の内訳を示す。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
例の事故の発生と事故の程度とは必ずしも因果関係が認められるものではないが、
「死亡」が20件、
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
④発生場所と関連診療科
発生場所(複数回答可)は病室が137件と最も多かった(図表Ⅲ - 2- 5)
。また、外来診察室
が26件、化学療法室・がんセンター・腫瘍センター等が20件、外来処置室が17件であり、
外来での腫瘍用薬による治療も多くなされていることが示唆された。
関連診療科(複数回答可)は外科が最も多く37件、次に消化器科が35件であった(図表
Ⅲ - 2- 6)。また、様々な診療科において腫瘍用薬に関連した事例が発生していることがわかる。
図表Ⅲ - 2- 5 発生場所
発生場所
病室
図表Ⅲ - 2- 6 関連診療科
件数
関連診療科
137
外来診察室
26
化学療法室・がんセンター・
腫瘍センター等
20
外来処置室
17
薬局(調剤所)
8
カテーテル検査室
5
病棟処置室
3
手術室
2
救急外来
2
放射線撮影室
2
NICU、放射線治療室
各1
その他(自宅など)
6
不明
1
合 計
231
※発生場所は複数回答が可能である。
※薬局には腫瘍センターの調剤室を含む。
件数
外科
37
消化器科
35
内科
25
血液内科
23
婦人科・産婦人科
22
呼吸器内科
17
泌尿器科
16
小児科
16
耳鼻咽喉科
13
皮膚科
9
放射線科
9
整形外科
7
脳神経外科
6
乳腺科・乳腺外科
6
歯科口腔外科
4
循環器内科
3
呼吸器外科
3
形成外科
2
小児外科
2
眼科
2
麻酔科、肛門科
各1
その他(腫瘍内科・腫瘍センター3、
救急科2など)
11
合 計
270
※関連診療科は複数回答が可能である。
※ 消化器科には、その他を選択し、消化器内科、消化器外科と記載
があった8件を含む。
- 118 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
⑤当事者の職種
当事者の職種(複数回答可)は、医師が最も多く177件、次いで看護師が116件と多かった。
また、その他3件はすべて保険薬局の薬剤師であった(図表Ⅲ - 2- 7)
。
図表Ⅲ - 2- 7 当事者の職種
当事者の職種
件数
医師
177
看護師
116
薬剤師
32
歯科医師
2
その他 (保険薬局薬剤師)
3
合 計
330
Ⅲ
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
⑥投与経路
事例で報告された腫瘍用薬の投与経路を図表Ⅲ - 2- 8に示す。注射薬の静脈からの投与が最も
多く161件(70.3%)であり、次いで内服薬は29件(12.7%)であった。
図表Ⅲ - 2- 8 投与経路(医療事故情報)
種類
投与経路
注射薬
191
静脈
161
筋肉内
髄腔内
腹腔内
膀胱内
局所
硝子体内
点眼
各1
0.4%
末梢静脈 43
中心静脈 34
不明 84
動脈
14
皮下
5
門脈
3
内服薬
29
12.7%
動脈
14
6.1%
門脈
3
1.3%
注射薬
191
83.4%
静脈
161
70.3%
筋肉内、髄腔内、
皮下
5
2.2%
腹腔内、膀胱内、局所、 各1
硝子体内、点眼
不明
内服薬
1
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、
合計が100.0にならないことがある。
29
不明
9
合 計
229
※ 注射薬、内服薬の両方に関係する事例が1件含まれる。
- 119 -
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
不明
9
3.9%
件数
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
⑦医療事故の内容
腫瘍用薬に関連した主な医療事故情報と、それらの事例について専門分析班及び総合評価部会で
議論された内容を図表Ⅲ - 2- 9に示す。なお、報告された事例内の「腫瘍用薬」を示す言葉とし
て抗がん剤、化学療法などと記載されており、そのまま掲載する。
図表Ⅲ - 2- 9 主な事例の概要及び専門分析班・総合評価部会の議論
No.
事故の内容
背景・要因
改善策
レジメン登録/薬剤量間違い(過剰)
患者は、小細胞肺がんの再発に対し、化 レジメン登録の際、薬剤師が誤って入 ・ 現在登録されているレジメンの
学療法目的にて入院した。医師は、CB 力 を し た。 必 ず 時 間 を 置 い て ダ ブ ル チェックについて、提出レジメ
DCA(パラプラチン)+CPT−11 チェックをしていたが、間違いに気付 ンの確認作業を各診療科で行
(カンプト)の併用療法をPCからオーダ か な か っ た。 患 者 の 副 作 用 症 状 が 強 う。
し、Day8のCPT−11(カンプト) く、次の治療の実施について科長に相 ・ レジメン集および申請書類と、
を投与した。その後、約10日間、患者 談した際に、経験豊富な科長が気付い 登録レジメンのリストの資料作
には、化学療法による副作用(嘔気、下 た。7ヶ月前に実施された電子カルテ 成は薬剤部の対応とし、準備が
痢、骨髄抑制)が認められ、輸血、制吐剤、 移行に伴う新システム導入の際に、2 整い次第、化学療法管理指導委
G−CSF製剤の投与がなされた。骨髄 年 前 ま で に 実 施 さ れ て い た 肺 が ん 抗 員会委員長名で各診療科に依頼
機能が回復傾向となったため、次のコー が ん 剤 全 レ ジ メ ン に に つ い て、 薬 剤 を行う。
スについて検討するにあたって再度投与 部 で 入 力 し、 診 療 科 で 正 し く 入 力 さ ・ 新規登録されるレジメンは、電
量 を 確 認 し た と こ ろ、 通 常、 C P T − れ た か 確 認 す る 作 業 を 行 っ た。 こ の 子カルテシステムへの仮登録
11(カンプト)投与量は、単独投与の 際、小細胞肺がんにおけるCBDCA (使用不可な状態で)後、申請
場合は体表面積あたり100mg、併用 (パラプラチン)+CPT−11(カン 医師とレジメン管理担当薬剤師
療法の場合は体表面積あたり50mgだ プト)併用療法のCPT−11(カンプ で内容確認を行い、申請医師の
が、レジメン登録時に投与量設定が併用 ト)の量が体表面積あたり100mgに 押印または署名を取得した後に
1 療法の場合も体表面積あたり100mg なっていたが気づかないまま登録した。 レジメン登録し運用を開始する
こととする。
で登録されており、CPT−11(カン
・ 新たな医療情報システム導入な
プト)が過剰に投与されたことに気づい
どで、データ移行を行う際は、
た。
レジメン内容が元のレジメン内
容と同一であることを診療科と
薬剤部との間で確認した後、運
用を開始する。
専門分析班・総合評価部会の議論
○事例はシステム変更時のデータ移行の際の問題である。特にベンダーが変わる時は要注意である。
○ システムは老朽化していくので、いずれデータ移行が必要になることを見据えて、レジメンの数を整理することを
考えておくことが重要である。しかし、レジメンの登録ルールはあっても削除のルールはないことが多く、使用し
ないレジメンがそのままになっている場合がある。
○本事例は薬剤師の疑義照会の対象にはなりにくい事例であろう。
○ 間違いに気がついたきっかけが「経験豊富な科長に相談し・
・」ということは着目すべき点である。本事例をもとに、
間違いに気がつく仕組みを検討することも重要である。
- 120 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
背景・要因
改善策
処方/薬剤間違い
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 事例が発生した医療機関では、オーダ画面の医薬品をハイリスク薬と色分けして表示する、という工夫を行ってい
るが、医師は様々な施設で勤務することがあるので注意が必要である。色や見え方を変えるルールは全国規模で取
り組まないと新たな危険を生む可能性があるため、「抗がん剤」などと文字で読めるほうが効果的かもしれない。
○医療機関によっては、腫瘍用薬は他の薬剤とは別の画面から処方する、というシステムを用いているところもある。
- 121 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
患者は他院にて関節リウマチ、高血圧の 降圧剤のアムロジンとノルバスクの採 ・ 事例発生後、ニュースレターで
加療をされ、高血圧に対して降圧剤であ 用を検討した当時は、ノルバスクとノ 院内採用の頭3文字が同一の医
るノルバスクを内服していた。入院時に ルバデックスが似ている薬剤名という 薬品例やオーダリング時の薬剤
当院で処方する際に、本来ならノルバス 認識はなく、院内処方はアムロジンを の種別について周知を行った。
クを処方するところをノルバデックスと 採用することに決まった。その後、ノ ・ 初めて患者の内服薬を処方する
間違えてオーダした。その後も、継続し ルバスクとノルバデックスの取り違え 際はより慎重に行う。
て入院中誤った処方をした。転院の際、 について当院では認識していたが、ノ ・ 処方薬に疑問を抱いた場合は、
紹介状にそのまま誤って記載されたため、 ルバスクを院内処方に採用していない 速やかに周りに相談する。
転院先でも誤ってノルバデックスが内服 た め 薬 剤 マ ス タ の 見 直 し 等 は 行 わ な ・ 全病棟に病棟薬剤師を配置し、
された。2回目の転院先の施設で病名と か っ た。 よ っ て、 当 院 で コ ン ピ ュ ー 病棟薬剤業務を開始した。夜間
内服薬が合わない事に気付き、家族より タ ー で の オ ー ダ の 際 に「 ノ ル バ 」 の に緊急入院した患者は翌日の薬
「母は乳がんなのか。施設の医師から聞か 3文字で検索するとノルバデックスの 剤師、休日に緊急入院した患者
れた。」と当該医療機関に問い合わせがあ みが検索される。初回入力した医師は、 は日直の薬剤師が対応し、基本
り、間違いが分かった。
ノルバスクは高血圧の薬だと認識して 的には全病棟の持参薬の鑑別を
いたが、ノルバデックスについての知 行っている。
識はなかった。3文字入力して画面に ・ 初めて処方する際は、仮にメモ
表示されたノルバデックスをノルバス 書きなどであったとしても、処
クと勘違いしてそのまま処方した。医 方した内容と比較できる情報は
師は、表示された「ノルバデックス」 保存し、薬剤師と情報を共有し、
の文字が青色になっていたが、医師は、 処方内容の確認ができるように
システム上、青色が「抗がん剤」を示 しておくことを周知した。
していることを知らなかった。また、・ 知識の薄い薬剤の処方をする際
医師は入院時に家族のメモをもとに処 は、薬効などを調べてから処方
2
方の指示を出したが、初期の処方入力 することを研修医から教育す
と照らし合わせるためのメモなどは残 る。
していなかった。夜間の緊急入院であっ ・ 適応となる病名が無い場合は、
たため、薬剤師による持参薬の鑑別等 処方が行えないようにオーダ画
の介入はしていなかった。その後、病 面の改善を検討する。
名と薬剤が合わない事に気付きかけた ・ 名称が類似する薬剤に対する注
看護師はいた。しかし、
『今日の治療薬 意をオーダ画面上で処方の際に
2010』でノルバデックスを検索し 提示する事等、改善を検討する。
たところ「抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬」
のページに載っており、ノルバデック
スは「ホルモン(抗エストロゲン薬)
」
に分類されていたため、患者の既往に
ある関節リウマチに対し「免疫抑制剤」
「ホルモン剤」としてノルバデックスが
処方されていると判断し、そのまま配
薬した。
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の内容
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
背景・要因
改善策
処方/薬剤量間違い(過剰)
子宮頸癌の術後リンパ節転移を認めたため CPT−11/NDPの外来投与用の ・ 腫瘍用薬を処方する時は自動計
補助化学療法として、CPT−11 60 セット登録が完了していなかった。投 算だけでなく、電卓などを使用
mg/m2、NDP 80mg/m2の投与 与量の確認をせずに処方した。診療録 し、手計算を行い、入力画面と
を開始した。当初は入院中のDAY8に投 の投与量を確認せずに調剤確定した。 照合し投与量を確認することを
与予定であったが、退院の希望が強く退院 外来化学療法はオーダリングシステム 徹底する。
した。外来化学療法の入力は入院中に行っ で入力すると薬剤部から部署に届けら ・ 症例毎に実施計画書に記載され
た。外来の処方画面にはCPT−11/ れ、担当者が確認の上、投与する。入 ている量を確認し、調剤決定す
NDPセット登録がなく、CPT−11単 力時には一度入力された内容を改めて ることを徹底する。
剤(100mg/m2)の項目を選択し、 担当医または上級医が確認しOKボタ
投与量を減量しないまま処方、投与した。 ンをクリックする。投与量は従来単独
2日後、薬剤師より指摘を受け過剰投与 で使用する投与量であったため、薬剤
3
に気付いた。副作用が強く出現する可能 部は過剰投与量とは認識していなかっ
性があるために外来受診し、採血検査で た。本事例はオーダ時のダブルチェッ
異常所見がないことを確認した。下痢症 クが機能しなかったことが要因と考え
状があるとのことで止痢剤を処方した。
る。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 入院、外来でレジメンは一括にすることが望ましいが、分けることもあり得るので、治療中に患者が入院から外来
に移行する時は注意が必要である。
○ 事例が発生した医療機関では登録した単剤のレジメンを更にアレンジできるようなシステムのようである。この様
な運用方法は改善を検討したほうがよい。
○レジメンの登録方法や追加機能の問題を見直すことを検討してもよいのではないか。
- 122 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
背景・要因
改善策
処方/薬剤量間違い(過少)
患者は急性白血病に対して、初回の抗が 看護師は患者が入院する際、多くの情 ・ 身長・体重は治療に関わる重要
ん剤投与を目的に入院した。入院の際に関 報と書類を取り扱う。特に身長・体重 なデータであるため、入力した
わった看護師は、患者の身長・体重を測 は治療にも関わる重要な値であるため、 値のダブルチェックを徹底す
定し、身長55cm、体重162.
2kg その値はダブルチェックを行うことと る。
と値を逆に電子カルテに入力した。薬剤 なっていた。しかし、入力したか否か ・ レジメンチェックの際には、薬
部ではがん専門薬剤師が抗がん剤レジメ の確認のみで、その値は確認されなかっ 剤投与量を算出するための体表
ンチェックを行う。薬剤量算出のために た。電子カルテには前回入力した身長・ 面積と、そのもとになる身長・
参考にするのは、身長・体重をもとに自 体重の値よりも5%以上差がある場合、 体重も確認する。
動計算された体表面積である。がん専門 ワーニングメッセージを表示する仕組 ・ 20歳以上の患者の場合、身長
薬剤師が見た用紙には身長55cm、体重 みがある。しかし当該患者は初回入院 の値が100cm以下で入力さ
162.
2kg、体表面積1.
141m2と印 であったため、メッセージが表示され れるとエラーメッセージが表示
字されていたが、間違いに気が付かなかっ なかった。薬剤部ではがん専門薬剤師 されるシステムに変更した。
た。監査者も調剤者も、体表面積と算出 がレジメンチェックを行う。用紙には ・ 電子カルテバージョンアップの
された薬剤量を見て問題ないと判断した。 身長・体重と、身長・体重から自動計 際には、レジメン機能に身長の
医師は投与する薬剤量がやや少ないよう 算された体表面積が印字されていた。 値よりも体重の値が大きくなる
に感じたが、患者はやせ型の男性であり、 体表面積は確認したが、まさか身長・ 場合には、ワーニングメッセー
標準投与量の下限に含まれる量であった 体重の値が間違っているはずはないと ジを表示する、あるいはエラー
ため、あり得る量だと判断した。初回の抗 思った。医師は薬剤投与量が少ないよ を表示する仕組みの導入を検討
4
がん剤治療であったため、薬剤に関する うに感じたが、全くあり得ない量では する。
詳細な説明が患者に必要だと考えた病棟 なかったため、再確認しなかった。
薬剤師は、がん専門薬剤師に説明内容に
ついて相談した。相談を受けたがん専門
薬剤師はレジメンを確認したところ、薬剤
投与量が少ないと感じた。処方医に減量
しているのかを確認したところ「通常用量
でオーダしているはずだ」と回答があり、
原因を確かめると体表面積が小さく、身長
と体重の値が逆に入力されたことによって
過少投与になっている事を発見した。
○報告された改善策はシステムでの対応が検討されており、他の医療機関にも参考になる。
○身長・体重は患者の治療に係る重要なデータという意識が看護師の中で薄いのかもしれない。
○ 患者の身長・体重の入力は、複数人をリストごと入力できる、一括入力ができる等、システムによって様々な機能
がある。入力の方法を決めておくのがよいであろう。
○処方時に体重測定を行うのがよいであろう。
指示出し/投与速度間違い
A M L に 対 し て、10 時 に キ ロ サ イド レジメン個人注射指示票の表記が見に ・ 準備時、レジメン注射指示票の
2000mg/200mLを3時間(67 くかった。レジメン個人注射指示票を 用量、用法にマーカーを入れて
mL/h)で投与し、3時間空けて16時 担 当 看 護 師 と 確 認 し た が、 指 示 票 に 強調し、薬剤名、投与量、投与
にベプシドを投与する予定であった。し 「1日2回12時間毎」と記載があり、 順、投与時間を確認する。
か し、 キ ロ サ イ ド を メ イ ン ル ー ト か ら 12時間持続投与と勘違いした。下の ・ 実施時、指示票を用いて、2名
12時間持続投与(17mL/h)して 段に「注入時間 3時間」とあったが、 で薬剤名、投与量、投与順、投
しまい、ベプシドを18時まで2時間同 12時間と思い込んでしまった。全量 与時間のダブルチェックを行い
時投与した。
が200mLのため、医師は17mL PDAで認証し実施する。
/hと手書きで記載し、
「12時間投与 ・ レジメン個人指示票の印刷レイ
だから17mL/hで」と言い、その アウトを変更する(表示順の統
5
指示に対して担当看護師も計算をする 一、用量、用法の強調などによ
ことなく従った。
り見誤りを防ぐレイアウトを検
討する)。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 注射指示票は、文字数が限られており、長い名前の薬剤等は一行に入らない場合もある。改行するとどこに繋がる
のか分かりにくかったり、見落としてしまいそうな見え方もある。レイアウトの変更の検討を含め、分かりやすい
指示票にすることは重要である。
○ 腫瘍用薬の投与速度はレジメンによって違いがある。薬剤ごとに一定の投与速度があるわけではないため、知識や
経験を生かしにくい現状がある。
- 123 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
専門分析班・総合評価部会の議論
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の内容
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
背景・要因
改善策
指示出し/中止時の投与
有害事象があり当日の抗癌剤投与は中止 外来医師Aが患者に中止の説明、中止 ・ 判断した医師が「実施可」の入
した。外来医師Aは患者に中止を説明し の記録をしなかった。外来医師Bが医 力をする。
なかったため、患者は抗癌剤投与のため 師Aに確認することなく「実施可」の ・ 看護師は判断した医師に確認す
に腫瘍センターに行った。外来医師Aは 入力をした。
る。
中止の記録をしていなかった。腫瘍セン
ターの看護師は抗癌剤の処方が「実施可」
の状態になっていないため、外来医師Bに
問い合わせ「実施可」の入力をしてもらい、
抗癌剤の投与を開始した。中止したこと
を知っていた外来看護師が電子カルテで
6
投与されているのをみて、誤投与したこと
がわかった。抗癌剤投与は外来で診察し、
医師が予め入力している処方に「実施可」
の入力後、薬剤部で調剤し腫瘍センター
で投与することになっている。
専門分析班・総合評価部会の議論
○処方が「実施可」の状態になっていない場合、看護師が医師に確認する際のルールを明確にしておく必要がある。
○ 事例の医療機関のシステムの詳細は不明だが、中止指示をする場合の、あるべき流れが不明である。情報伝達の過
程でどこに問題があったのかが分かるよう、業務の工程や背景・要因が分かると分析に役立つだろう。
指示受け/支持療法の間違い
化学療法目的にて入院中、白血球減少の
ため、白血球減少治療薬のノイトロジン
注を投与していた。白血球の増加がみら
れ、医師は中止の指示を出したが、指示
を出した時点で処方箋の中止処理を行わ
なかった。翌日、看護師は処方箋と薬剤
を確認した。注射ワークシートには患者
の名前がなかったが、オーダを確認しな
かった。前日の白血球は10000ある
7 ことは確認していたが、本日注射がある
ものと思い込みそのまま実施した。実施
後、実施サインを入力する際、中止になっ
ていることが判明した。
薬の作用に関する知識不足があった。・情報伝達を徹底する。
前日中止になっているにもかかわらず、・マニュアルを徹底する。
伝達がなされていない情報伝達不足が ・薬品に関する知識を習得する。
あった。中止時、マニュアルに沿った
処方箋処理・薬品処理が出来ていなかっ
た。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 薬 剤 は 前 日 に 病 棟 に 届 い て お り、 当 日 に 中 止 す る よ う な 状 況 は 混 乱 を 起 こ し や す い。 中 止 の 指 示 の 場 合、
処方は中止しても指示とリンクしない場合がある。看護師が何を基に患者に投与する薬剤を確認するかは、医療機
関によって様々であるが、リアルタイムの情報が反映されるもので確認するのがよいだろう。
○薬剤師がデータをチェックするなど、看護師と連携ができるとよいだろう。
- 124 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
背景・要因
改善策
調剤/薬剤間違い
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 薬剤の名称類似は、頭文字が同じ場合が多いが、ホルモン剤の「デュファストン」と乳癌治療剤の「フェアストン」
は末尾の3つの文字が同じであるため類似しているというパターンである。
○ 「デュファストン」と「フェアストン」の取り違えについては、製薬企業から注意喚起が出されている3)。
○薬剤棚については、薬剤名を入れずに番号で管理するほうが間違いを起こしにくいという考え方もある。
○ 改善策で「棚の薬剤名に紫のラインをひく」とあるが、色では意味が伝わりにくいので、「腫瘍用薬」と記載する
のも一案である。
- 125 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
不妊症治療のために産科・婦人科医師が 処方は、デュファストン錠(5mg)・ 調剤の手順を遵守する。また、
ホルモン剤のデュファストン錠5mgを 3錠 分3朝・昼・夕 14日分であっ 調剤時の指差し声出し確認を周
処方するところ、薬剤部が間違えて乳癌 たが、フェアストン錠(40mg)を 知徹底させ調剤室のリーダーが
治療剤のフェアストン錠40を調剤した。 全42錠取り揃え調剤した。ハイリス 1 日 2 回 10 時・14 時 に 見 廻
患者が1回1錠 朝・昼と2回の計2錠 ク薬であっても通常は前回処方を毎回 り確認する。実行できていない
を服用した。交付2日後に、患者本人が 確認はしていない。処方されたデュファ 場合は、その場で注意する。
違う薬剤であることに気付き薬剤部に連 ストン錠は普通薬であったため、薬剤 ・ 名前が類似した薬剤の同一列を
絡が入った。
名は黒文字であった。一方、フェアス 禁止し、同じ棚におく場合は棚
トン錠は劇薬であったため、薬剤名は 段を2つ以上離すことで取り間
赤文字で書かれ、ハイリスク薬である 違いをしないように薬品配置の
ことを示す「H」の文字が付いていた 見直す。
が、抗がん剤であることを示す表示は ・ 使用頻度に関わらず、類似した
なかった。薬剤は使用頻度別に並んで 名称の薬剤は離れた場所に配置
おり、当該事例のデュファストン錠や することにした。
フェアストン錠は使用頻度の少ない棚 ・ 抗がん剤については棚の薬剤名
に他薬剤(ルナベル配合錠LD、ジュ に紫色のラインを引き、他の薬
リナ錠0.5mg)を挟んで配置されて 剤と区別がつくよう、フェアス
いた。「デュファストン」
「フェアスト トン錠は抗がん剤の入っている
ン」と名前が類似した薬剤が同一棚の 引き出しに移動した。
同一列に配置されていた。薬剤棚と調 ・ 抗がん剤の薬剤のラベルは、薬
剤の作業棚が離れているため、薬剤師 剤名に紫色のラインを入れ、他
は処方箋を見ながらピッキングを行っ の薬剤と区別できるようにし
ていなかった。また、調剤スペースが た。
狭くなってから、ピッキングしたその ・ 他のハイアラート薬についても
8
場で薬袋に入れることがあった。本来 同様の対応をするために準備を
であれば、処方箋監査、調剤、調剤鑑 している。
査はそれぞれ別の薬剤師が行うことに ・ 交付窓口での患者との薬剤確認
なっているが、急いでいたため、処方 は、ハイアラート薬のうち特に
箋監査と調剤を同一人物が行い、最終 誤薬が重大な事故に繋がる薬が
鑑査のみ別の薬剤師が行ったので2名 処方されている患者を対象に行
で担当していた。調剤鑑査を行った薬 なう。現時点では人員・施設の
剤師は、処方箋の薬剤名を確認したが、 問題もあり全処方の確認をする
薬袋に入っていた薬剤の錠数(42錠) ことが出来ないため、まずは当
のみ確認しただけで薬剤名を確認しな 事象が発生した産科婦人科より
いまま、鑑査を終了した。交付する際、 開始する。
薬剤師は患者とともに薬剤を確認せず ・ 患者のプライバシーを考慮した
(患者に薬剤を見せず)
、そのまま渡し、 カウンターレイアウトの変更及
説明や指導はしなかった。
び患者動線の変更を行い、段階
的に拡大させ全科全処方に対応
出来るように進めてゆく。
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の内容
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
背景・要因
改善策
調製/薬剤量間違い(過剰)
開始5日目の抗がん剤調製リーダーは、 フルダラの小児用のレジメンはなく、成人 ・ 「抗がん剤溶解液一覧」を改訂
11時過ぎに、当該患者が小児であり薬 用のレジメンを使用していた。フルダラ静 し、凍結乾燥製剤の各製剤の添
5mLの注射
付文書に記載された溶解液と溶
剤部内で抗がん剤の溶解方法が統一され 注用の添付文書に「通常2.
用水にて溶解し(フルダラビンリン酸エス
解液量を併記した。
ていなかったため、前日の調製方法を参
、体表面積により計算 ・ 計算間違いによる調製間違いを
考にしようと思い、前日(4日目)の調 テル20mg/mL)
製記録を確認した。その際、4日目のフ した必要量を取り、日局生理食塩液100 防止するためにすべての抗がん
ルダラ静注用(50mg/V)が、2倍 mL以上に希釈する」とあるため、成人用 剤で溶解後の濃度も併記した。
5mL、生理食
・ 溶解液の計算・確認を行う際は、
量の30mgで調製されていたことに気 レジメンは大塚蒸留水2.
塩液100mLが初期設定になっていた
必ず電卓を使用する。
付いた。それ以前の調製記録や前日の調
が、医師はフルダラを10mLの蒸留水
・ 調製方法の計算者は濃度計算に
製担当者に確認を行い、主治医に4日目
で溶解し、3mL取れば計算しやすいと
よる計算方法で計算を行い、そ
のフルダラ静注用が(15mgの)2倍
思い、蒸留水の量を2.
5mLから3mL
の鑑査者は調製記録に印字され
量の30mgで調製されていたことを報
に変更した。1日目から5日目までの調
る比例係数を使用した「溶解液
告し、指導医、主治医、抗がん剤責任薬
製記録を確認した結果、薬剤師によって
剤師、担当看護師より患者の両親に謝罪 調製方法が3通りあった。(1)1日目の 量×比例係数=採取液量」の
するとともに、経緯や調製手順、今後予 調製方法:フルダラ静注用1Vを蒸留水 計算を行う。
測される副作用(骨髄抑制、肝・腎機能 3mLで溶解し、そのうち0.9mL取 ・ 調製方法の計算、記載内容の鑑
障害の可能性)、副作用確認のために採血 り、生理食塩液と足して10mLにした。 査、調製、最終鑑査の一連の手
を行う旨の説明をした。なお、フルダラ (2)2日目、3日目の調製方法:フル 順については常に3名以上で行
の投与期間は、6日間を予定していたが、 ダラ静注用1Vを蒸留水2.5mLで溶 う。
4日目に2倍量で投与されたため、総投 解し、そのうち0.7mL取り、生理食 ・ ヒューマンエラーを回避するた
与量を合わせ5日間で投与終了する方針 塩液と足して10mLにした(添付文書 めに、溶解液量や採取液量の計
に準じた調製方法)。(3)4日目の調製
算をコンピュータ上で自動的に
となった。
方 法: フ ル ダ ラ 静 注 用 1 V を 蒸 留 水 5
行うシステム導入の検討を始め
mLで溶解し、そのうち1.5mL取る
た。
と こ ろ 3 m L を 取 り、 生 理 食 塩 液 と 足 ・ 電子カルテ上の薬剤師連絡事項
して10mLにした(フルダラ静注用を
を有効に活用し、薬剤師同士で
2倍量投与した際の調製方法)
。調製方
調製方法や注意事項などの情報
法( 溶 解 液 量 や 量 り 取 る 量 ) に つ い て
が共有できるよう検討を行って
は、 個 々 の 薬 剤 師 の 裁 量 に 委 ね て い た
いる。
が、多忙時に様々な計算を行っていたこ
とがミスの原因の一つと考えられた。調
製を行った薬剤師は、抗がん剤溶解後の
濃 度 の 計 算 に つ き、 暗 算 で 行 っ た た め
計 算 ミ ス を し た。 混 合 指 示 書 の 記 載 内
容をチェックした鑑査者も同じく電卓
を 使 わ な か っ た た め、 記 載 さ れ た 調 製
方法でよいと判断した。本来であれば、
1) 調 製 方 法 の 計 算 と 指 示 書 へ の 記 載
2) 1) の 記 載 し た 内 容 の チ ェ ッ ク
3) 記載内容をチェックしながら抗がん
剤を調製
4) 出来上がった注射薬に異常がないか、
調製方法に間違いはないか
等の最終チェックを3名ないし4名で
行っている。
4日目は休日で調製件数が少なかったこ
とから2名で対応した。その結果、薬剤
師1名が1)
、4)、もう1人の薬剤師が
2)、3)の手順を行うこととなり、チェッ
ク機能が十分に機能しなかった。また、
計算方法が同じで、かつ両者ともに暗算
で行ったこともあり、思い込みにより間
違いに気づくことができなかった。
9
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 薬剤師は、自分のやりやすい溶解方法を選択する傾向がある。薬剤師が実際に調製しているところをチェックする
のは難しい。溶解の計算式は調剤鑑査によりチェックされるが、本事例は機能しなかった。
○薬剤師により溶解方法が違うことについては、薬剤部で検討すべきことであろう。
○ 間違いに気がついたきっかけは、過去の計算式を参考にしようと見直したことであり、このように記録を確認した
ことは改善策の参考になるだろう。
- 126 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
背景・要因
改善策
患者への説明・指導/投与日・日数間違い
院療養計画書の記載の中に「メソトレキ
セートは週1回内服してください」とあっ
た。しかし、指示、処方にはコメントの記
載はなかった。病棟担当薬剤師に持参薬
確認時の状況を尋ねると、母親は週1回の
内服は理解できていたとのこと。薬剤師の
持参薬確認時のコメントにも記載はなかっ
た。夕方 担当医が母親に電話したところ、
発熱があるとのこと。FNの可能性あり、
血球確認のために翌日来院するよう伝えた。
翌日、患者は、口内炎悪化、食事がとれな
いことから母親とともに外来を受診した。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 改善策に「看護師は、退院処方が抗がん剤や麻薬の場合は、ダブルチェックで確認することを徹底する。
」とあるが、
本事例では薬袋をダブルチェックしても、誤りに気がつかなかった可能性がある。どの場面で何を確認するのか、明確
にしておくとよいだろう。退院処方薬の薬袋と退院時の指示として出されている内容を照合するのがいいのではないか。
○ 薬剤師の疑義照会の際、医師より「母親に説明して理解しているから大丈夫です」という回答をもらうだけではなく、
処方オーダのコメントをいれることを依頼する等、具体的な疑義照会の方法を検討するとよいだろう。
○ メソトレキセートのように休薬が必要な薬剤に関して、処方箋に投与日の記載がない時は、薬剤師が医師に疑義照
会し、週○回であることを薬袋に記載するように取り組んでいる保険薬局もある。
- 127 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
10:30 B−LBL BFM95寛解 週1回投与する薬剤などの処方は、医 ・ 患者は薬袋を見て内服するた
維持療法中、TITのため入院し、担当医 師が処方する際にコメント欄に入力す
め、医師は、処方をオーダする
より外泊退院可との指示あり。15:17 ることになっており、コメントは処方
際に、内服方法に指示がある場
担当医の退院時処方オーダあり。日勤担 箋や薬袋で確認が出来る。しかし、今
合は必ずコメントを入れる。
当看護師は患者の退院療養計画書を出力 回はオーダした際に、内服方法につい ・ 看護師は、退院処方が抗がん剤
し、退院準備を始めた。17:40 日勤 てコメント入力されていなかった。看
や麻薬の場合は、ダブルチェッ
担当看護師は外泊・退院チェックリストを 護師は、退院処方が抗がん剤や麻薬の
クで確認することを徹底する。
もとに退院の準備を行ったが、退院処方は 場合は、ダブルチェックで確認するこ ・ 看護師は、外泊退院の場合は、
まだ病棟に届いていなかった。日勤担当看 とになっているが、していなかった。 外泊時に余裕を持って退院処方
護師は病棟会へ出席のため、退院療養計画 退院処方を渡す看護師が、退院療養計
を患者に渡せるよう、退院処方
書と退院時処方渡しを遅出看護師に依頼し 画書の内容を確認し患者へ説明してい
はできる限り早めに出してもら
た。18:30 依頼を受けた遅出看護師 なかった。退院療養計画書の内服につ
うよう医師に依頼する。
は、退院時処方が病棟に届いたので父親と いての記載内容と、処方箋に相違があっ ・ 医師は、外泊退院の場合は、薬
本人の元へ行き、退院時処方を薬袋に記載 たが、
医師に確認しなかった。看護師は、 剤の最終搬送が16:00であ
の通りに説明し渡した。母親は家の事情で 患者のプロトコールを把握し何の治療
るため、15:30までには処
先に帰宅していた。その後、患者は父親と をしているかを理解していなかった。 方を入力する。
ともに外泊退院した。<退院時処方> 今回は、継続処方であったため、薬剤 ・ 退院処方を渡す看護師は、退院
1) バクタ配合錠 3錠 1回1.5錠(1 師による疑義照会はなかった。しかし、 療養計画書の内容を確認し患者
日3錠) 1日2回(朝・夕)食後 初回処方の際に疑義照会しており、そ へ 説 明 す る。 退 院 療 養 計 画 書
15日分 週3回内服
の時の医師の回答が「母親に説明して に内服についての記載がある場
ロイケリン酸100mg 45mg
2)
理解しているから大丈夫です」であっ 合は、退院処方と照らし合わせ
1回45mg(1日45mg)
1日
たため、その後も、同じ処方オーダの て内容を確認する。内容に相違
1回眠前 35日分
まま本事例に至った。
がある場合は必ず医師に確認す
メソトレキセート錠2.5mg 1回
3)
る。
25mg(1日25mg)
1日1回
・ 業務を依頼された看護師は、自
(朝)食後 5日分
分が最終実施者であると同時に
4) カイトリル錠1mg 2錠 1回2錠(1
責任も依頼されたということを
日2錠)
1日1回(朝)食後 5日分
認識して行動する。
5日後の午前、担当医より、看護師長へ「患
・ 看護師は、患者のプロトコール
者の母親より口内炎ができて痛いと言って
を把握し何の治療をしているか
10 いると電話があった。確認すると、遅出看
を理解する。疾患の知識、プロ
護師からメソトレキセートを毎日飲むよう
トコールについての知識を深め
言われて飲んだようだ。母親は週1回飲む
るために勉強会を行う。
薬だと知っているはずであり、今までその
・ 病棟では多種の抗がん剤を取り
ように飲んでいた。疼痛が改善しないよう
扱っているため、病棟でよく使
であれば来院するように伝えた」とのこと。
う抗がん剤の取り扱いや基礎知
退院時、退院処方の薬袋に記載の通り説明
識を深めるために担当薬剤師を
して渡したことがわかり、メソトレキセー
交え勉強会を行う。
ト錠の過剰投与がわかった。カルテには退
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の内容
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
背景・要因
改善策
実施/対象者間違い
患者Aはアービタックスを使用したレジ 入室時の患者による名乗り確認は行っ ・ 患者の確認は、患者自身の名乗
メンで外来化学療法中であった。チェア ていたが、実施前の名乗りによる確認 りで確認し、基本カード、指示
を 使 用 す る 患 者 は ベ ッ ド サ イ ド テ ー ブ を行っていなかった。PDAは導入さ 箋のネームホルダー上の氏名を
ル が な い た め、 中 央 テ ー ブ ル に 指 示 書 れているが、患者認証用のバーコード 確認後、化学療法中は首からか
と 薬 剤 を 置 い て、 投 与 管 理 を 行 っ て い には患者基本カード(紙)を用いている。 け、薬剤投与はネームホルダー
た。11時頃患者Aは1人で来室し、6 2名で管理を行っているが、チェアサ のバーコードによる3点認証を
番チェアでCVポートから前投薬開始と イドは、患者の状態が見えないため、 行い、実施する。
な っ た。 1 1 時 2 4 分 頃、 患 者 A が 前 薬剤更新などの投与中の管理に集中す ・ 治療中は、オーバーテーブルも
投薬が終了したことを看護師に伝えた。 るために、中央テーブルに薬剤や指示 しくは床頭台上に、基本カード、
看護師は中央テーブルにあった患者B
箋を並べ、患者と離れた場所で認証を 注射指示箋、薬剤、問診票を置
(8番チェア)に使用するアリムタを患者
行い、PDAが有効に機能しなかった。 く。
Aに使用すると思い込み、中央テーブル
発生時、ベッドが満床(8床)であり、
の患者Bの指示書のバーコードでPDAの
看護師2人で投与管理を行っていた。
注射実施確認をした。また、患者Aの足
元に置いてある点滴台の位置からラベル 末梢確保の介助や点滴の更新、リーダー
11 を見せて「患者Bさんですね、アリムタ 業務が重なり多重業務となっていた。
を始めます。ポートなので逆血の確認が
いりませんね。全開で点滴します」と説
明した。患者Aも「はい」と返答したた
め、看護師は患者Bのアリムタを患者A
に接続し投与を開始した。11時30分
頃、患者Aが他の看護師に点滴ボトルの
名前が違う事を指摘、誤って接続されて
いることに気付いた。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ バーコード認証システムがあるにも関らず、患者と離してバーコードを中央のテーブルで一括管理することは、輸
血や他の薬剤でも起こりうることである。
○ 外来患者についても、化学療法や内視鏡検査などの際は、入院患者と同様にネームバンドを発行し、患者認証に使
用している医療機関もある。
実施/投与経路間違い
メソトレキセート12.5mgを髄腔内 抗がん剤の髄腔内投与を含め、化学療
に、キロサイド73.65mgを静脈内 法を行う際には量の確認、投与経路の
に注射予定であった。メソトレキセート 確認を複数のスタッフで行い、取り違
とキロサイドは薬剤部で調製され、各々 えがないように注意徹底する。 コン
10mLのシリンジに入った状態で、「抗 ピューター、PDAでの照合を確実に
癌剤無菌調製明細書」が印刷されたそれ 行う。開始前に、医師、看護師、関係
ぞれ別の薬袋に入れて払い出された。「抗 スタッフがタイムアウトを行う。薬袋
癌剤無菌調製明細書」の上段には薬袋に の表示を見間違いしないような表示に
入っている薬剤の処方内容が、下段には 変更してもらうように薬剤部・医療情
それ以外の当日行われる処方が印字され 報部に依頼する。
ており、髄腔内注射の際に、下段に記載
された薬剤(メソトレキセート)を薬袋
内の薬剤(キロサイド)と誤認した。投
12 与時には取り違えに気づかず、後にキロ
サイドを静脈内に投与しようとした際、
髄腔内に投与すべきメソトレキセートが
薬品棚に残っており、髄腔内にキロサイ
ドが入ったことがわかった。
・ 抗がん剤の髄腔内投与を含め、
化学療法を行う際には投与量の
確認、投与経路の確認を複数の
スタッフで行い、取り違えがな
いように注意徹底する。
・ コンピューター、PDAでの照
合を確実に行う。
・ 開始前に、医師、看護師、関係
スタッフがタイムアウトを行
う。
・ 薬袋の表示を見間違いしないよ
うな表示に変更してもらうよう
に、薬剤部・医療情報部に依頼
し改善した。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 改善策に挙げられている薬袋の表示を分かりやすくすることも重要だが、薬剤部で調剤の際、投与経路の違う薬剤
に関して、シリンジの色を変える等、血管から注入する薬剤と区別したシリンジを準備をすること等を検討するの
もよいだろう。例えば、シリンジの色の区別は医療機関内での取り組みであり万全ではないが、「血管に注入しな
い薬剤に透明なシリンジを使用しない」という取り決めを院内で行っている医療機関もある。
○ 英国では、化学療法で髄腔内注入に使用するシリンジの接続部を変える取り組みをしている。このような取り組み
は全国規模で検討されることが必要であろう。
- 128 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
背景・要因
改善策
実施に伴う確認・観察/薬剤の血管外漏出・血管炎
外来で24G留置針を挿入し、治療開始 患者には、医師、看護師からも後日連 ・ 看護師に確認したところ、16時
時逆血・痛み・腫れがないことを確認し 絡し皮膚科の受診を説明していたが、 20分に確認された左手背が
治療を開始した。14時53分エピルビ コンタクトはなかった。 抗癌剤の副作 所々褐色(オレンジレンジ色)
シンに交換した。14時56分血管に沿っ 用について理解はあり、家庭の事情で だった状態はしばらくして消失
て痒みと硬結を伴った膨隆疹があったが、 忙しいことや、過去にも静脈炎の疼痛 したとのことであったが、この
逆血があったことから、主治医は血管内 を経験していることから、受診まで我 時点で漏れを疑うべきであった
投与が出来ていると判断し、点滴漏れは 慢していたのではないかと推測される。 かどうかを検証する必要があ
なく静脈炎と認識し、治療続行となった。 外科や外来点滴治療室では静脈炎と判 り、検討している。
エピルビシンの副作用で投与時の静脈炎 断し血管外漏出の予防として対応して
や疼痛は多くみられており、患者も今ま おり、その観点からすれば、院内の抗
での治療で同様の症状があったため、点 がん剤の血管外漏出の対応マニュアル
滴終了時の発赤については経過観察とし どおりに実施されており、対応に問題
た。16時20分左手背が所々褐色になっ はないものと考える。血管外漏出があっ
ているため再度主治医が診察した。患者 たか否かについては、院内報告がなさ
は患側に留置針を入れるのは嫌とのこと れた時点での皮膚科の見解は、現状か
だったが、医師より説明があり納得し、 らみて静脈炎だけでここまで重症化す
右手に留置針を入れ替え治療再開し終了 るとは考えにくく、抗がん剤が何らか
13 した。トラブルのあった左手は様子観察 の理由で血管外に漏れていた可能性は
とした。以降3週間は患者からの連絡は 否定できないとのことである。
なく、治療日に左手の患部の痛み・発赤・
腫脹が強く、皮膚潰瘍の形成がみられ皮
膚科受診となった。皮膚潰瘍の範囲が明
確になってきており、拘縮が残る可能性
もあり得るとの見解で治療が開始となっ
た。
専門分析班・総合評価部会の議論
- 129 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
○ 腫瘍用薬の血管外漏出は、予防の視点と、早期発見・対応の視点が重要である。すべてを防ぐことは難しいので、
早期発見し重症化させないことが重要である。
○ 手背の静脈からの投与は皮膚が薄く薬剤の漏出が起こりやすいので、腫瘍用薬の投与は可能な限り避けたほうがよ
いだろう。
○ エピルビシンは起壊死性抗癌薬であり、炎症性抗癌薬と区別して、血管痛が出ただけですぐ抜去する、と取り決め
をしている医療機関もある。
○事例は、24Gの留置針で手背から起壊死性抗癌薬を投与しており、血管外漏出や血管炎に対する観察が重要で
ある。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)腫瘍用薬に関連したヒヤリ・ハット事例の現状
①腫瘍用薬に関連したヒヤリ・ハット事例の考え方
2016年1月から12月までの1年間、ヒヤリ・ハット事例のテーマとして「腫瘍用薬に関連
したヒヤリ・ハット事例」を収集している。分析対象は、医療事故情報と同様に、以下のキーワー
ドを含む事例を検索し、その中で、腫瘍用薬やその作用、薬剤の投与中の管理に関わる事例を対象
とした。また、腫瘍用薬を投与する際の副作用の軽減のため支持療法として投与される薬剤に関わ
る事例も対象とした。
なお、医療事故情報と同様に、腫瘍用薬投与中の患者の転倒、転落、誤飲、誤嚥、自殺に関連し
た事例や腫瘍用薬投与目的で留置されているカテーテルの管理に関する事例、医薬品の臨床試験に
関連した事例は対象に含めないこととした。
キーワード
腫瘍用薬
抗腫瘍剤
抗がん剤
抗癌剤
腫瘍薬
プロトコール
プロトコル
レジメン
ケモ
化学療法
②発生状況
本報告書では、2016年1月1日から3月31日までに報告されたヒヤリ・ハット事例のうち、
上記の基準に合致する腫瘍用薬に関連したヒヤリ・ハット事例158件を分析の対象とした。
報告された事例について、事例の内容と発生段階で整理し、発生状況を集計した(図表Ⅲ - 2- 10)
。
事例の内容としては、支持療法の間違いが29件、薬剤の血管外漏出・血管炎が26件と多かった。
発生段階では、実施が64件と多く、腫瘍用薬に関連したヒヤリ・ハット事例全体の40.5%を
占めていた。
図表Ⅲ - 2- 10 発生状況(ヒヤリ・ハット事例)
事例の内容
薬剤量間違い
薬剤 対象者
間違い 間違い
過剰
過少
不明
カテー
腫瘍用
テル
薬剤の カテー
薬投与
・
投与日
血管外 テル
投与
支持
投与
中の
投与
ポート
中止時
・
外れ
漏出
経路 無投与
時間
状態の 療法の その他
速度
の投与
日数
の不具合
・
・
間違い
悪化 間違い
間違い 間違い
間違い
・
血管炎 漏れ
(副作
取り扱い
用等)
間違い
合計
レジメン登録
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
治療計画
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
処方
1
0
3
4
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
2
18
指示出し
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
1
1
4
指示受け
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
0
0
0
0
1
1
5
指示
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
調製
1
2
2
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
7
その他
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
2
6
患者への説明・指導
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
4
実施
2
0
0
2
0
6
14
3
0
13
0
0
1
3
0
19
1
64
実施に伴う確認・観察
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
26
13
0
0
0
2
42
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
5
合 計
4
4
7
6
1
7
14
3
0
15
4
26
14
5
0
29
19
158
発生段階
その他
調剤
準備
- 130 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
③患者への影響
腫瘍用薬に関連したヒヤリ・ハット事例158件を、誤った医療の実施の有無で分類し、さらに
「実施あり」は治療の程度、「実施なし」は仮に実施された場合に患者に及ぼしたと考えられる影響
度で分けた(図表Ⅲ - 2- 11)。「実施あり」であった事例90件のうち、68件は治療が不要であっ
たことを意味する「なし」を選択しており、
「軽微な治療」を行ったのは22件で、誤った医療は
実施されたが患者への影響は少ないと考えられた事例が多かった。また、「実施なし」であった事
例68件の影響度は、仮に実施された場合「軽微な処置・治療が必要もしくは処置・治療が不要と
考えられる」が63件と多かった。
「実施なし」であった事例のうち、仮に実施された場合「死亡
もしくは重篤な状況に至ったと考えられる」事例は1件あり、入院時に患者の身長・体重を電子カ
ルテに入力する際、看護師は体重50kgのところ誤って74kgと入力し、電子カルテで体重を
確認した医師は腫瘍用薬を誤った投与量で処方を行ったが、病棟薬剤師が体重の誤入力に気付き未
然防止できた事例であった。
Ⅲ
図表Ⅲ - 2- 11 影響の程度
医療の実施の
有無
実施あり
影響度(仮に実施された場合)
件数
軽微な治療
−
22
なし
−
68
不明
−
0
−
死亡もしくは重篤な状況に至ったと考えられる
1
−
濃厚な処置・治療が必要であると考えられる
4
−
軽微な処置・治療が必要もしくは処置・治療が不要と
考えられる
合 計
- 131 -
63
158
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
実施なし
治療の程度
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
④投与経路
事例で報告された腫瘍用薬の投与経路を図表Ⅲ - 2- 12に示す。注射薬の静脈からの投与が最
も多く92件(58.2%)であった。内服薬は45件(28.5%)であり腫瘍用薬に関連したヒ
ヤリ・ハット事例全体に占める割合は医療事故情報における割合と比較すると高かった。
図表Ⅲ - 2- 12 投与経路(ヒヤリ・ハット事例)
種類
投与経路
件数
注射薬
113
静脈
内服薬
45
28.5%
92
末梢静脈 24
中心静脈 4
不明 64
動脈
1
皮下
1
髄腔内
1
不明
内服薬
不明
18
11.4%
動脈
1
0.6%
18
皮下
1
0.6%
45
合 計
158
注射薬
113
71.5%
静脈
92
58.2%
髄腔内
1
0.6%
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、
合計が100.0にならないことがある。
⑤ヒヤリ・ハット事例の内容
患者への影響が小さかった事例や実施に至る前に未然に防止された事例はヒヤリ・ハット事例と
して報告されている。しかし、ヒヤリ・ハット事例で済んだ事例には、仮に実施されたり、あるい
は実施後の発見が遅くなったりした場合、患者への影響が大きくなった可能性のある事例も含まれ
ており、事例を共有することは有用である。今回は、発生段階別にいくつかの事例を紹介する。
1)レジメン登録
○ 審査委員会で承認されたレジメンの電子カルテへの登録作業が完了していなかったため、主治医
がオーダ入力できず、投与開始が遅延した。
2)処方
○ レジメンの腫瘍用薬投与量計算に用いられる体重が間違っていたため、実際よりも少ない投与
量で処方した。
○ 卵巣癌再発の化学療法投与量決定に用いる血清クレアチニン値をカルテに誤って記載したた
め、投与量を間違えたが、薬剤師の指摘で判明した。
○ パクリタキセルの過敏反応予防のため、レスタミン錠を前投薬として処方するところ、処方し
なかった。
- 132 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
3)準備
○ 外来患者の抗がん剤調製時、オーダ画面の内容を声だし確認した際、画面がグレーに色分けさ
れていたオーダ削除であるエルプラット点滴静注液と5%ブドウ糖液を調製した。
○髄腔内注射の薬剤の開封の仕方がわからず、投与前にこぼした。
4)実施
○ 2本目のドセタキセルは300m L /hの流速設定の指示であったが、注射箋の確認不足のた
め3本目のカルボプラチンの指示流速(320m L /h)で設定してしまった。
○ 中心静脈ポートを使用していたため、フィルターが必要だと思いルートにフィルターを接続し
た。その後、閉塞アラームが鳴り、フィルター内にアブラキサンが詰まっていることがわかっ
た。腫瘍用薬の種類によっては、フィルターを使用してはいけない薬剤があることの知識がな
かった。
○ ティーエスワンを3錠内服するところ2錠しか投与しなかったことに、定期処方の内服を準備
する際の残薬確認で気がついた。
Ⅲ
5)実施に伴う確認・観察
○ 前腕末梢静脈ルートよりラステットを投与する際、逆血を確認し、点滴の落下は良好であった
が刺入部に腫脹を認めた。
○投与中の抗癌剤の点滴ボトルのルートさしこみ口から抗癌剤が漏れているのを発見した。
6)その他
○ 患者が退院になったため処方薬の残薬を確認していたところ、1 錠あるはずのイレッサ錠が紛
失していた。配薬車の中、患者のベッドサイド周囲を探したが、イレッサ錠は無かった。
腫瘍用薬に関連した医療事故情報とヒヤリ・ハット事例の発生状況を紹介し、主な事例を概観した。
医療事故情報では、
「薬剤の血管外漏出・血管炎」と「腫瘍用薬投与中の状態の悪化(副作用等)
」の
事例の報告件数が多く、ヒヤリ・ハット事例では「支持療法の間違い」の事例が多かった。関連診療
科は外科が最も多かったが、消化器科、内科、血液内科などの事例も多く、様々な診療科において腫
瘍用薬に関連した事例が発生していることがわかった。また、腫瘍用薬に関連した医療事故情報を専
門分析班および総合評価部会で検討し、各事例で議論された内容を掲載した。
今後も事例の収集を継続し、分類ごとに代表的な事例を取り上げながら分析を行っていくこととし
ている。
- 133 -
腫瘍用薬に関連した事例
①概要
(3)まとめ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(4)参考文献
1. 平成18年度厚生労働科学研究「医薬品等の安全管理体制の確立に関する研究」主任研究者
北澤 式文 「医薬品の安全使用のための業務手順書」
.
作成マニュアル(2007年3月)
(Online).
available from <http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/070330-1a.
pdf>(last accessed 2016-4-14)
.
2. 一般社団法人日本病院薬剤師会 . ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver. 2. 1)
(Online)
.
available from <http://www.jshp.or.jp/cont/13/0327-1.pdf>(last accessed 2016-4-20)
.
3. 「デュファストン ® 錠」と「フェアストン ® 錠」の取り違え事例発生のお知らせ . アボット ジャ
パン株式会社・日本化薬株式会社 . 2015年7月 .(Online). available from <http://www.
pmda.go.jp/files/000206336.pdf>(last accessed 2016-4-20)
.
4. 師井洋一 . 副作用対策のコツとピットフォール 血管外漏出 . 外来癌化学療法2011年 2 月号.
34(34)Vol.2 No.1 2011.
- 134 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【2】外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
注射薬のアンプルやバイアル、内服薬のPTP包装など、薬剤には外観が類似しているものがあり、
「容器の大きさや形状、材質、ガラスの色、キャップの色、ラベルサイズとデザイン、表示の文字色
と配列など、類似点が多くなればなるほど外観の類似性は増し、識別しがたくなる」とされている1)。
本事業では、第9回報告書(2007年6月公表)の「共有すべき医療事故情報」において、ラシッ
クス注を投与するところ、同じく茶色のアンプルであるホリゾン注を誤って投与した事例を取り上げ
た。その後、報告書の「再発・類似事例の発生状況」において「外形の類似による薬剤間違いの事例」
の類似事例の件数を公表してきた。
今回、本報告書分析対象期間(2016年1月1日∼3月31日)に、注射薬のアンプルの外観が
類似していたことが一因となり、薬剤を取り違えた事例が1件報告された。そこで本報告書では、事
例を過去に遡って検索し、注射薬に限らず外観が類似していたことが要因となり、薬剤を取り違えた
事例を取り上げ、分析を行った。
Ⅲ
(1)外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例の報告状況
①対象とする事例
本分析の対象事例は、2010年以降に報告された医療事故情報の中から、「事例の内容」や
「事例の背景・要因の概要」に、薬剤の外観が類似していたことから患者に誤った薬剤を投与した
ことが記載されている事例を対象とした。院内製剤の事例や、患者自身が薬剤を誤って内服した事
例は対象外とした。
2010年1月1日から2016年3月31日までに報告された医療事故情報のうち、上記の基
準に合致した事例は24件であった。報告年ごとの報告件数は、図表Ⅲ - 2- 13に示すとおりで
ある。
図表Ⅲ - 2- 13 報告件数
報告年
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(1∼3月)
合計
件数
0
4
5
4
4
6
1
24
- 135 -
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
②報告件数
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
③外観が類似していたと報告された薬剤
外観が類似した薬剤の取り違えの事例について種類と形態を分類した(図表Ⅲ - 2- 14)。注射
薬が最も多く10件の報告があった。次いで内服薬が6件、外用薬が5件であった。形態については、
注射薬ではアンプルの事例が7件、内服薬ではPTP包装の事例が4件と多かった。
注射薬のキット、プレフィルドシリンジや、内服薬のPTP包装、外用薬の坐薬コンテナー
など、患者に投与する直前までそのままの形態で準備されることが多い薬剤は、準備の際に外
観が類似している薬剤と取り違えても、投与直前に、記載された薬剤名の最終確認ができれば
薬剤の取り違えに気付くことは可能である。しかし、アンプルやバイアルに入った注射薬は、
注射器などに薬液を吸って準備するとアンプル等に記載された情報とは離れる。同じく、ガラス
瓶やポリエチレン容器に入った複数回または複数人に使用する外用薬は、他の容器に移し変え
て使用することも多く、液体の色が違うなどの特徴がない限り、薬剤を同定することが難しい。
そのため、薬剤を取り出す時点で記載された薬剤名を確認することは重要である。
最近では、注射薬のアンプルやバイアルには、製剤名が記載されたラベルの一部をはがして注射
器などに貼れるようになっており、薬液を準備する時にラベルをはがして注射器に貼り、投与時に
ラベルの情報で薬剤名を確認する仕組みを活用することが可能である。
厚 生 労 働 省 は、 日 本 製 薬 団 体 連 合 会 会 長 に 対 し、 平 成 1 8 年 9 月 1 5 日 付 薬 食 安 発
第0915001号「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について」を発出し、医療用医薬品
の取り違えによる医療事故の防止及び医療用医薬品のトレーサビリティの観点から、医療用医薬品
へのバーコード表示の実施要項を取りまとめた。さらに平成24年6月29日付医政経発0629
第1号・薬食安発0629第1号「『医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項』の一部改正に
ついて」2)を発出し、バーコード表示に関する技術開発等が進んだことから、内服薬及び外用薬
についても新バーコードの表示を求めることとした。その後、製薬業界では、注射薬のアンプル、
バイアル、内服薬のPTP包装、分包および外用薬の容器等の調剤包装単位にバーコードを表示す
る取り組みが開始されている。医療機関においても、アンプルやPTP包装などに表示されている
バーコードを薬剤の照合に使用し、薬剤の取り違えの防止に活用する仕組みができることが期待さ
れる。
また、その他に分類した薬剤については、直接患者に投与・使用する薬剤ではないが、
「キシレン−
メタノール」、
「クレアチニン第2試薬−クレアチニン第1試薬」の組み合わせは検査に関する試薬、
「次亜塩素酸ナトリウム−酢酸」の組み合わせは透析液供給装置の消毒に使用している薬剤であり、
診療過程において患者に影響を及ぼす可能性があるため、図表Ⅲ - 2- 14に掲載した。これらの
直接患者に投与しない薬剤は、1回の使用量が多く、一斗缶や大型のポリエチレン容器に入ってい
ることが多い。また、同種の容器が様々な薬剤で用いられていることがあるため、使用時は注意が
必要である。
- 136 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 2- 14 外観が類似していたと報告された薬剤の種類と形態
種類
件数
形態
褐色ガラスアンプル
注射薬
セレネース注5mg
サイレース静注2mg
ラシックス注20mg
プリンペラン注射液10mg
プリンペラン注射液
10mg
ペルジピン注射液2mg
プリンペラン注射液
10mg
ホリゾン注射液10mg
セレネース注5mg
ジゴシン注
ドルミカム注射液
10mg
ミオブロック注射液※2
2
ガラス製シリンジ型
バイアル
1
クリアボーン注
パーヒューザミン注
キット
1
リュープリン注射用
キット3. 75
リュープリン注射用キット
11. 25
プレフィルドシリンジ
1
ヘパリンシリンジ※3
キシロカイン注シリンジ1%
ワーファリン錠1mg
ラシックス錠40mg
レナデックス錠4mg
ルプラック錠8mg
ガスコン錠40mg
ガスロンN・OD錠2mg
4
ヱフェドリン「ナガヰ」
ネオシネジンコーワ注5mg
注射液40mg
重曹錠500mg
「マイラン」
6
炭カル錠500mg
「旭化成」
アルミネート
フィルム包装
1
ホスリボン配合顆粒
ホスレノール顆粒分包
250mg
白色ポリエチレン
容器
1
ジスロマックSR
成人用DS 2g
ジスロマック錠
600mg 30錠
ビソルボン吸入液
0.2%
ベネトリン吸入液0.5%
ブリリアントブルーG
1%(w/v)
ピオクタニンブルー溶液
無水エタノール
オリブ油
3
5
3
取り違えた薬剤※1
坐薬コンテナー
1
ジクロフェナクNa
坐剤※3
新レシカルボン坐剤
角型ポリエチレン
容器
1
ステリクロン液5
ハイジール消毒液10%
一斗缶
1
キシレン
メタノール
詳細不明
1
クレアチニン第2試薬
クレアチニン第1試薬
1
次亜塩素酸ナトリウム
酢酸
ポリエチレン容器
(外装:ダンボール)
※1 事例の報告時と現在では、ラベル等の仕様が変更になっている場合がある。
※2 現在は販売を中止している。
※3 事例の内容に正式な販売名が記載されておらず不明である。
- 137 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
その他
使用する予定の薬剤※1
無色ガラスアンプル
褐色ガラス瓶
外用薬
5
10
PTP包装
内服薬
件数
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
④外観が類似していた要素
報告された事例の内容や背景要因の概要に記載された外観が類似していた要素を抽出し、整理し
て示す(図表Ⅲ - 2- 15)
。
注射薬では、アンプルなどの「形」が7件、「色」が4件と多く、形や色で薬剤を選択している
ことが分かる。内服薬では、PTP包装の事例が多く、
「外観」が5件と多かった。また、内服薬では、
「名称の類似」が要素となった事例が2件あった。外用薬は、薬剤によってそれぞれ形態が異なる
ことから、「形」「外観」「容量」「色」「蓋の色」の要素が複数報告された。
図表Ⅲ - 2- 15 外観が類似していた要素
種類
注射薬
内服薬
外用薬
その他
類似していた要素※1
件数
形
7
色
4
容量
3
ラベル
2
※2
外観
5
名称の類似
2
色
1
形
1
形
3
外観※2
2
容量
2
色
2
蓋の色
2
形
2
ラベル
1
※2
1
外観
※1 一つの事例に複数の要素が含まれる。
※2 「外観」と記載された事例は、形や色など複数の要素を含むと推測されるため、そのままとした。
- 138 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
⑤患者への影響
24件の事例の中には、患者に投与する前に薬剤の取り違えに気付いた事例が1件あり、その内
容は薬剤師がセレネース注を調剤するところ、誤って外観が類似したジゴシン注を調剤したが、看
護師が準備をする際に薬剤名が違うことに気付いた事例であった。その他の23件は、全て誤った
まま患者に投与又は使用されていた。そこで、事故の程度を図表Ⅲ - 2- 16に示す。事故の程度では、
「障害なし」が最も多く17件、次いで「障害残存の可能性なし」が4件であり、患者への影響が
小さい事例が多かった。
「障害残存の可能性がある(高い)」の1件は、手術中に眼内を染色するた
めブリリアントブルー G を使用するところ、眼内の染色には使用しないピオクタニンブルー溶液が
同型の茶色ガラス瓶に入っていたために誤って準備し、眼内に注入した事例であった。
治療の程度を分類すると、「濃厚な治療」を選択している事例が6件あり、一時的に患者に大き
な影響を及ぼした可能性がある(図表Ⅲ - 2- 17)
。
図表Ⅲ - 2- 16 事故の程度
事故の程度
Ⅲ
図表Ⅲ - 2- 17 治療の程度
件数
治療の程度
件数
死亡
0
濃厚な治療
6
障害残存の可能性がある(高い)
1
軽微な治療
5
障害残存の可能性がある(低い)
2
なし
8
障害残存の可能性なし
4
障害なし
17
合 計
24
合 計
19
※ 「医療の実施の有無」の選択が「実施あり」であった19件
を掲載した。
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
- 139 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)事例の内容
ここでは、外観の類似した薬剤の取り違えの事例24件のうち、試薬等のその他の事例3件を除き、
注射薬、内服薬、外用薬の事例の計21件について、分析を行った。
①発生場面と主に関わった職種
事例の発生場面と主に関わった職種をまとめた(図表Ⅲ - 2- 18)
。
注射薬の10件のうち9件は、
発生場面が「薬剤準備」の事例であり、
主に関わった職種は、
助産師・
看護師が6件、医師が3件であった。注射薬の「薬剤準備」については、患者毎に個別に払い出さ
れた薬剤ではなく、手術時や緊急時などに、薬剤カートや病棟の定数薬などから取り出した事例が
多かった。
内服薬の6件は、すべて発生場面が「調剤」であり、薬剤師が取り違えた事例であった。この中
には、保険薬局の薬剤師の事例も1件含まれる。また、薬剤師がガスコン錠を調剤するところ、名
称が類似したガスロン N・OD 錠を誤って病棟に払い出し、病棟看護師は名称と外観が似ていたた
め誤りに気付かないまま患者に投与した事例も報告されている。
外用薬の5件のうち3件は、発生場面が「薬剤準備」の事例であり、看護師が冷蔵庫から坐薬を
取り出す際や、棚から消毒剤を取り出す際に取り違えた事例などであった。また、外用薬の事例には、
薬剤部で無水エタノールを小分けした製剤を作成する際に、無水エタノールと同様に瓶が褐色で蓋
の色が白色であるオリブ油を誤って準備・作成した「製剤の分注」の事例が1件報告されていた。
図表Ⅲ - 2- 18 発生場面と主に関わった職種
主に関わった職種
種類
注射薬
内服薬
外用薬
発生場面
件数
薬剤師
医師
助産師 ・
看護師
調剤
1
−
−
1
薬剤準備
−
3
6
9
調剤
6
−
−
製剤の分注
1
−
−
1
調剤
1
−
−
1
薬剤準備
−
0
3
3
合 計
9
3
9
10
6
5
21
②外観が類似していると報告された薬剤
主な事例の薬剤の外観3)∼25)と、外観の類似について事例内に記載されていた内容を掲載した
(図表Ⅲ - 2- 19)。それぞれの薬剤の写真を並べて配置すると、色は同じでもラベルやPTP包
装の色やデザインに違いがあるように見えるが、外観の類似について記載されていた内容を見ると、
色、形態、形状、サイズのうちいずれかが同じであった、もしくは似ていたと記載されている。通
常行っている業務の中で薬剤の形や色、サイズなどを記憶し、その記憶で薬剤を選択している可能
性がある。特に注射薬はすべてが外観類似といえる製品であり、外観に惑わされることなく薬剤名
を必ず確認する必要がある1)。
- 140 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 2- 19 薬剤の外観
種類・形態
投与予定の薬剤
取り違えた薬剤
外観類似について
記載されていた内容
注射薬
セレネース注5mg
サイレース静注2mg
ともに茶褐色のアンプル
であった。
ラシックス注20mg
Ⅲ
プリンペラン注射液10mg
両薬剤は遮光2mLの類
似した形状のアンプルで
あった。
プリンペラン注射液10mg
ペルジピン注射液2mg
茶色のアンプルという認
識で薬剤を手に取った。
ヱフェドリン「ナガヰ」
注射液40mg
ネオシネジンコーワ注5mg
外観が1mLのアンプル
で類似していた。
- 141 -
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
アンプル
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
種類・形態
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
投与予定の薬剤
クリアボーン注
取り違えた薬剤
外観類似について
記載されていた内容
パーヒューザミン注
ガラス製
シリンジ型
バイアル
両製剤はコンテナ、中の
バイアルの形状がほとん
ど同じであった。
内服薬
ワーファリン錠1mg
ラシックス錠40mg
赤いPTP包装はワー
ファリンだと思った。
レナデックス錠4mg
ルプラック錠8mg
薬剤の外観が似ていた。
PTP包装
ガスコン錠40mg
ガスロンN・OD錠2mg
名称と外観が似ていた。
重曹錠500mg「マイラン」 炭カル錠500mg「旭化成」
形状が似ていた。
- 142 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
種類・形態
投与予定の薬剤
ホスリボン配合顆粒
取り違えた薬剤
外観類似について
記載されていた内容
ホスレノール顆粒分包250mg
名称が類似し、同じアル
ミ包装で外観が似てい
た。
アルミネート
フィルム包装
外用薬
ステリクロン液5
ハイジール消毒液10%
ポリエチレン
容器
Ⅲ
外観が類似していた。
ビソルボン吸入液0.2%
ベネトリン吸入液0.5%
形状が似ていた。
※各薬剤の製造販売業者のホームページに掲載されている写真を引用した(2016年4月18日時点)。
※各写真の縮尺は異なる。
- 143 -
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
褐色ガラス瓶
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
③事例の概要
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例のうち、主な事例の概要を図表Ⅲ - 2- 20に示す。
図表Ⅲ - 2- 20 主な事例の概要
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
注射薬
心不全により呼吸状態が悪化し、ネーザルハイフ 満床であり、他の受け持ち患者の ・ 年間を通してサイレースは
ローで呼吸管理を行い、SpO2 は98∼99% ケアも十分に行えていなかったた 使用していなかったため、
で経過していた。翌日21:00不眠の訴えがあ め、気持ちが焦っていた。受け持 ストックから除去する。
り、医師指示にてプレセデックスを4.5mL/ ち看護師はセレネース、サイレー ・ 投与する薬剤は必ず5つの
h→7mL/hへ増量したが、入眠できておら スともに茶褐色のアンプルであり、 Rightを確認する。
ずルート類を気にせず体位を変えたりと落ち着 セレネースだと思い込んでしまっ ・ アンプルやバイアルの外見
かない様子であった。本人の希望もあり22: た。受け持ち看護師は患者の呼吸 が似ている薬剤は特に注意
00にゾルピデムを内服した。その後も患者は 状態が悪化しており、指示を急い して確認を行う。
入眠できず、ネーザルハイフローを外すことも で実行しなくてはと焦っており、・ 口頭指示受け時のルールを
頻回となり、呼吸困難感の訴えも現れた。安静 薬剤名の確認が不十分であった。 遵守する。
が保てなくなったため、22:45に不穏時の 口頭指示受け時のルールが遵守で
指示通りにアタラックスP 1AをCVCより投 きていなかった。
与した。投与後も患者はRASS:+2であり、
SpO 2 は80%台に低下し、チアノーゼが出
現 し た た め、 I C U 当 直 医 に 経 緯 を 報 告 し た。
23:15患者を診察したICU当直医よりセレ
ネース投与の口頭指示を受け、金庫からサイレー
スを取り出した。受け持ち看護師はICU当直医
の口頭指示を「セレネース」と聞いたが、セレ
ネースだと思い込んでサイレースを手に取り、取
り出した薬剤のラベルをきちんと見ていなかっ
1 た。ミキシング前にICU当直医より薬剤の濃度
の質問があり、リーダー看護師がサイレースの
アンプルをICU当直医に直接見せて、2mg
/1mLであることを確認した。その後、ICU
当直医が指示書に記載しながら、生食9mLで希
釈するように指示を出した。指示書には
「セレネー
ス1A+生食9mLのうち5mL 投与」と記載さ
れていたが、リーダー看護師も受け持ち看護師も、
指示書の記載は確認していなかった。受け持ち
看護師はミキシングの時にも薬剤名を確認せず準
備し、「サイレース2mg/1mLを生食9mL」
と記載し、23:15CVCより患者に投与した。
投与後、患者はRASS:−5となり、肩枕を入
れたがSpO2が74%まで低下したため、マスク
をリザーバーマスクに変更した。しかし、SpO2
は改善せず、BiPAPマスクを装着し、SpO2
は99∼100%へ上昇した。準夜から深夜へ勤
務交代し、深夜のリーダー看護師がストック薬剤
の確認を行ったところ、セレネースではなくサイ
レースの残数が減っていることに気づき、投与し
た薬剤を誤ったことが分かった。
- 144 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
帝王切開術をルンバールにて施行。術中血圧の低 帝王切開時は短時間でいろいろな ・ 全ての薬剤は、手に取った
下あり(70∼90台)エフェドリン(4mg) 事が発生するため、常に慌ただし 際、溶解する際、投与する
を使用していた。その後患者が吐き気、気分不快 さがある。本事例においても看護 際など、全ての場面で声に
感を訴えたため術者より「プリンペラン投与」と 師は臍帯血のガス分析や他の薬剤 出しダブルチェックする。
口頭指示が出た。その時点で看護師は他の処置を の点滴内投与を行っていた。当事 ・ ダブルチェックできない場
行っていたため、医師が薬剤の準備から実施まで 者である医師はプリンペランやペ 合は、指差し呼称が必要で
行った。看護師が術中使用した薬剤のアンプルを ルジピンを実際に使用したことが ある。また看護師がいない
確認したところ、プリンペランの空アンプルがな あり、プリンペランは茶色のアン 場合は、指示を出した医師
く、使用していないはずのペルジピンの空アンプ プルという認識で薬剤を手に取っ に確認を求めるのが望まし
ルがあった。すぐに医師に確認し、プリンペラン ていた(薬剤名の確認を行ったか い。
2
と取り違えてペルジピンを使用したことが分かっ は覚えていない)。実施をする際、・ ア ン プ ル 自 体 を 他 者 に 見
た。ペルジピンを投与後、患者の血圧は60∼ ダブルチェックしていなかった。 せ、チェックする習慣をつ
80台になり、エフェドリン(4mg)を2回使 手術室で薬剤は全身麻酔用と脊椎 ける。そのためには、ロー
用している(但しこの時点では間違えたことは気 麻酔用にカートが分かれているが、 ルプレイ等の研修を実施す
づいていない)が、手術終了時には血圧は100 帝王切開の際は両方のカートが持 るなどのトレーニングが必
∼110台まで回復し、全身状態も安定した。
ち込まれている。脊椎麻酔用カー 要である。
トにはペルジピンはセットされて ・ ダブルチェックの徹底、薬
剤確認のタイミング等を
いない。
ルール化し、院内に周知す
るべきである。
病棟で患者の点滴準備を実施していた。薬局で準 セレネースとジゴシンは包装が類 ・ 包装や形状、色など見た目
備された点滴カートから薬品を取り出し確認し、 似している。薬剤の混注前に確認 が類似している薬剤は多く
患者氏名の貼り付け作業をしていたところ、「セ 作業で誤りに気付けたため、患者 あることを再認識する。
・ ダブルチェックによる確認
3 レネース 1 A」のところ「ジゴシン 1 A」が用意 への影響はなかった。
されていたことに気付いた。薬剤部に確認してセ
作業の重要性を再認識し、
レネースに交換してもらい患者に影響は出なかっ
各部署できちんと確認作業
た。
を行う。
内服薬
- 145 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
下肢静脈血栓症のためワーファリン錠が処方さ 医師が処方した薬剤と、調剤され (保険薬局からの報告内容)
れ て い た。 当 院 消 化 器 内 科 受 診 し、 内 服 薬 を た薬剤が異なっていた。患者が気 ・ ラシックスの棚の移動と簡
処方され、保険薬局で内服薬を受け取り帰宅し 付かず内服してしまった。
単に取り出せないように作
た。受診後より食欲不振、倦怠感が強く、歩行
成する。
困 難となる。顔、膝、ひじ、掌、足 裏 のしび れ (保険薬局からの報告内容)
・ 医薬品の陳列の点検、外観
もあり、改善しないため再度消化器内科を受診 1) 物的要因
類似の薬品を移動する。
した。脱水がみられ補液加療目的に入院必要と ワーファリン錠とラシックス錠は ・外観類似の印をつける。
なる。持参薬確認時、
「ワーファリン錠1mg夕 外観が類似しているにも関わらず ・ 交付時に薬剤名を提示し、
食後3錠」の薬袋に、ラシックス錠40mgが 同一棚に陳列していた。調剤時に 患者に説明する。
15錠入っているのを発見し、2日間、夕食後に は各医薬品ごとに割り付けている ・ 口頭伝達事項を業務手順書
ワーファリン錠ではなくラシックス錠40mg、 棚の番号(棚番)を確認するよう に反映させ周知する。
3錠を内服していたことが判明した。主治医は、 全職員に口頭伝達していたが、業 ・連絡体制を再構築する。
ラシックス錠を中止し、再度ワーファリン錠を処 務手順書に反映されていなかった
方した。その後、病棟より保険薬局へ報告した。 ため遵守できていなかった。
4
2)
人的要因
調 製 時、 混 雑 し て い る 時 間 帯 で、
気持ちにゆとりがなかった。患者
を待たせないようにという思いか
ら、棚番確認を省略してしまった。
鑑査交付時、混雑している時間帯
であるため、赤いシートを見てラ
シックスをワーファリンと思い込
み、十分に確認することなく鑑査
終 了 し た。 交 付 時、 患 者 に 対 し
て錠数が変更されワーファリンが
1mg4錠から3錠になったこと
を確認したが、薬剤は確認せず交
付した。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事故の内容
事故の背景要因
改善策
ガスコンの処方に対し、薬剤師が誤ってガスロン 薬 剤 師 は、 名 称 が 似 て い た た め、・ ダ ブ ル チ ェ ッ ク の シ ミ ュ
Nを調剤した。看護師Aは指示簿を見て「ガスコ 薬剤部の棚に記載された薬剤名を レーションを行い、意識付
ン」と声を出して読み、看護師Bは薬剤(ガスロ 見誤って取り出した。指示と薬袋 けを図る。
ンN)を見て「ガスコンですね」と言って準備した。 に「ガスコン」と記載されており、・ 忙しい業務の時こそ、正し
薬剤がガスロンNであったことに い6Rのダブルチェックを
看護師が気付かずに配薬した。ガ 実施する意識を持つよう注
5
スロンとガスコンNの名称、外観 意喚起を図る。
が似ていたためPTPシートに記
載された文字を「ガスコン」と見
間 違 え た。 多 忙 な 業 務 で あ せ り、
確認が不充分であった。
抑うつ状態に伴う食思低下、低栄養状態がみられ 処方箋には、医薬品の配置場所が ・ 薬剤部の払い出し時の鑑査
ていた。無機リン1.9mg/dLと低下してい 分かるよう棚番号が記載されてい について、作業過程を周知
たため、ホスリボン配合顆粒10包分2(朝、夕) る。ホスリボンは調剤棚Aの上部 する。
の内服が開始された。3日後、次の3日分の処方 から11段目の左から2番目、ホ ・ セットする場合は「鑑査」
箋が出た。実際に薬剤部より調剤されてきたもの スレノールは調剤棚Aの上部から の視点で作業を徹底する。
は、ホスレノール顆粒分包250mgであった。 11段目の左から4番目に収納さ ・ 看護師は、ルールの徹底と
看護師は調剤の間違いに気付かず、ホスレノール れていた。調剤者は、ホスリボン ルールを守らないとどんな
を与薬トレイに3日分セットした。その間の深夜 をどちらかというと処方されるこ 危険があるのか、チームで
帯看護師、準夜帯看護師は、内服薬確認のダブル との多いホスレノールと読み違え 再度認識する。
チェック時十分な確認を怠り、薬剤名と与薬トレ た。本来であれば処方箋に記載さ ・ 看護師は、薬剤に関して部
イ内の薬剤が相違している事に気付かなかった。 れ て い る 情 報( 医 薬 品 名、 総 量、 署で知識の強化を行う。
準夜看護師は18時30分に患者の夕食後薬の内 薬品コード、棚番号)を確認する ・ 看護師は、患者の情報共有
服介助を行った。19時、夕食後薬の実施入力を ことになっているが、できていな を行うため、カンファレン
するためカルテを開いた時にホスリボンではな かった。鑑査者は、ホスリボンと スを強化する。
く、ホスレノールを誤って内服させていた事に気 ホスレノールの名称が類似してい ・ 薬剤部では継続処方との監
6 付いた。当直医に、当日の朝夕、翌日の朝夕に、 ること、同じアルミ包装で外観が 査ができるよう専門性を強
誤ってホスレノールを内服させていた事を報告し 似ていることから、見誤った。処 化する。
た。19時10分当直医は患者を診察した。ホス 方箋上の薬剤名と実物の照合や識 ・ ジェネリック薬品の利用に
リボンは眠前薬と同時に内服し、翌日の朝食前血 別コードの確認が不十分であった。 より、短期間で薬剤名の変
液検査で経過観察するよう指示が出た。無機リン 病棟では、薬剤部から届いた薬剤 更があり、また形状が似て
は、2.1mg/dLであった。
は正しいという認識が働いた。金 いるため、今後、採用する
曜日は、病棟に土曜日・日曜日の 薬剤を検討する。
薬剤が薬剤部から届いており、十 ・ 「一文字」ごとの確認の強
化、調剤者は棚番号の確認、
分な確認ができていなかった。
鑑査時は処方箋との照合を
徹底周知した。
・ 処方箋上の識別コード欄に
ホ ス リ ボ ン に は[ リ ン 補
充]、ホスレノールには[リ
ン抑制]と表示されるよう
にした。
外用薬
術後12日目の患者が疼痛を訴えたため、カルテ ジクロフェナク50ミリグラムと ・ 薬剤投与時の薬剤確認の基
に記載されている「ジクロフェナク50ミリグラ レシカルボン坐剤の外観・形状が 本ルールを遵守する。
ム 1個」投与の準備を始めた。看護師は、電子 類似していた。薬剤投与時の薬剤 ・ 確認作業の際に、指さし呼
カルテの指示に従い、「ジクロフェナク50ミリ 確認の基本ルールを遵守しなかっ 称を取り入れ、確認の精度
を上げる。
グラム」保管場所の病棟冷所から坐剤を取り出し、 た。
電子カルテを参照しながら、別の看護師と坐剤の
ダブルチェックを行い、その後患者に投与した。
翌日、病棟薬剤師から、レシカルボン坐剤を使用
7
した患者名を確認された際に、「ジクロフェナク
50ミリグラム」ではなく、誤ってレシカルボン
坐剤を投与したことが判明した。病棟冷所にある
「ジクロフェナク50ミリグラム」の保管場所に、
誤ってレシカルボン坐剤が保管されており、誤っ
た坐剤を取り出したが、ダブルチェックの際にも
薬剤名が違っていることに気付かずに患者に投与
した。
- 146 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
調剤者(薬剤師)はビソルボン吸入液を調剤する ビソルボン吸入液とベネトリン吸 ・ 薬剤の保管場所を別々にす
ところ、誤ってベネトリン吸入液を調剤し、ビソ 入液は形状が似ている。一緒の棚 る。
ルボン吸入液のラベルを貼った。鑑査者(薬剤師) に置かれている。調剤者と鑑査者 ・ 調剤時に機械による水剤鑑
は間違いに気が付かず払い出した。病棟看護師は の確認不足である。看護師は、処 査システムを用いて、薬剤
間違いに気が付かず、ビソルボン2mLの指示ど 方箋とラベルの薬剤名は確認する の バ ー コ ー ド の 照 合 を 行
おりにベネトリンを2mL使用した。その後別の が、薬剤本体とラベルが合ってい い、調剤者が正しい薬剤で
看護師が瓶のラベルの下にベネトリンと書いてあ るかを確認することは困難であっ あるか確認できるようにす
ることに気付いた。すぐに医師に報告し、副作用 た。ベネトリンは使用量が微量で る。
8 としての頻脈や血圧低下、電解質異常の出現がな あるにもかかわらず、ビソルボン ・ 患者氏名、服薬方法が書か
いか注意深く観察したが、幸い異常は認められな と同じような量の瓶に入って、通 れた薬剤ラベルは貼付時に
かった。すぐに両親に医師・看護師・薬剤師から 常は分割して調剤することが多い。 確実に薬剤名が確認できる
状況を説明し謝罪、再発防止に努めることを伝え その場合、間違いに気付けなかっ ようにサイズを工夫する。
た。
た可能性がある。
・ 製薬会社に薬剤瓶の形状を
検討してもらったり、必要
量が適切に払い出される量
の薬剤になるよう協力を依
頼する。
- 147 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
外陰部腟消毒用に0.05%ステリクロン液では 内診室へ0.05%ステリクロン ・ 生体消毒剤と器械器具消毒
なく、10%ハイジール液を間違えて用意した。 液を補充するところ、消毒剤保管 剤 を 別 々 の 場 所 に 保 管 す
婦人科内診ユニット中段にそのユニットで使用 場 所 か ら 隣 に あ っ た 1 0 % ハ イ る。
する消毒液のボトルに開封日を記載して置いてい ジール液を取り出し、内診室へ置 ・ 消毒剤作成時は、消毒剤名
る。朝の診察準備時に看護師が、いつも使用する い た。 内 診 室 で 使 用 す る 消 毒 は、 (ボトル)の確認をする。
消毒ボトルと違っているため確認すると、ステリ 0.05%ステリクロン液とわかっ ・ 消毒液交換時は、ボトルを
クロン液でなくハイジール液であった。開封日か ていたが、消毒綿作成時に、ボト 使用済みボトルと新しく出
9
ら使用した可能性がある患者を確認すると、外陰 ルの確認をせずステリクロン液と したボトルで比べて確認を
部の消毒、卵管造影の消毒、癌検診時の消毒に使 思い込み、ハイジール液で消毒綿 する。
用したことが分かった。
球を作成した。0.05%ステリク
ロン液と10%ハイジール液の保
管を隣同士で並べていた。外観が
類似している。薬液ボトルの名前
の確認が出来ていない。
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
<参考> 患者が内服薬に外観が類似した外用薬を誤って内服した事例
今回のテーマにおいては分析の対象外としたが、患者が自己管理していた薬剤の外観と内服す
べき薬剤の外観が似ていたことが一つの要因となり、薬剤を間違えた事例が報告された。その事例
は、ピコスルファートナトリウム内用液を内服するところ、患者が誤って外用薬のネリゾナソリュー
ションを内服した事例であった。参考として、外観と事例26)27)の概要を次に示す。
形態
投与予定の薬剤
間違えた薬剤
内服薬
外用薬
ピコスルファートナトリウム
内用液0.75%「日医工」
外観類似について
記載されていた内容
ネリゾナソリューション
0.1%
医薬品の容器が似てい
白色プラス
チック容器
た。
事故の内容
事例の背景・要因の概要
改善策
22:00のCAPDの排液の時に、ピコスルファー 患者と滴数の確認を行った後、直ぐ ・ 与薬時の手順を順守する。
トナトリウムを35滴内服することを患者と打ち合わ に与薬を行えば良かったが夜勤中 特に、確認後の与薬は直ち
せた。予定より1時間半を過ぎた23:30にピコ で別件の業務が入ってしまい、与 に行うようにする。
スルファートナトリウムをカップに滴下し白湯に溶い 薬が1時間半後になった。その間 ・ 患者からの発言内容を理解
たものを持ち訪室すると、患者は自分の湯飲みを手に に患者は入眠してしまい、目が覚 し、きちんと確認を行う。
持っていて、「何か変なにおいがする。ここに水を入 めた際に「ピコスルファートナト ・ 患者の状況にあわせた薬剤
れて」と言った。看護師は飲料水を飲んだと思い、湯 リウム」を服用していないことに の管理を行う。
呑に水を追加し、患者はそれを飲んだ。その後、看護 気付き、自己管理のためベッドサ ・ メーカー側への外観の類似
師が持参したピコスルファートナトリウムを内服し イドに置いてあった「ネリゾナソ 薬剤の包装変更を依頼す
た。1:00頃、トイレよりナースコールあり、患者 リューション」を「ピコスルファー る。
が嘔吐していた。患者は「看護師に渡された下剤を飲 トナトリウム」と思い込み、通常
んだ」とテーブルにあるネリゾナソリューションを指 は看護師が準備しているにも関わ
した。ネリゾナソリューションは、皮膚科処方の持参 らず自分で準備し服用した。23:
薬で、自己管理で頭皮に(朝・夕)塗布している。容 30の時点で患者から「何か変な
器の表記を確認すると、アルコールとの記載があり、 においがする。」と発言があった際
間違って飲んだ可能性があるため、当直医師へコール に、看護師が具体的な確認を行わな
した。アルコールのためか、呂律が回らない感じであっ かったことも、誤飲の発見を遅ら
た。23:30以前の内服のため胃洗浄は適応外であ せる原因となってしまった。「ネリ
り、モニタ管理で経過観察となった。薬剤師当直に相 ゾナソリューション」を自己管理
談し、添加物としてポピドン・グリセリン・エタノー とし患者のベッドサイドに置いて
ルが入っており、添加されているエタノールは濃度が あったことは管理上問題があった
99%以上であり、今回の症状はアルコールによるも が、両薬剤の容器が似ていたこと
のと考えられる、と返答があった。朝、薬剤部より販 も誤飲の原因の1つと考えられる。
売メーカーに確認したところ、「これまで誤飲の報告
はないが、毒性試験の結果や添加物等から、現時点で
は経過観察をするのが適切である」と回答があった。
経過観察を行い、症状の発現等もなく退院した。
- 148 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(3)薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業における関連情報
本財団で行っている薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業においても、外観が類似していた薬剤に
関するヒヤリ・ハット事例の報告があり、平成23年年報(2012年10月公表)28)の分析テーマ
「包装に関するヒヤリ・ハット」(287∼319頁)で集計・分析を行った。「Ⅱ 包装等の色調が
類似していることによるヒヤリ・ハット事例」(306∼314頁)では、PTP包装や薬剤の色調
が似ていることにより取違えた事例を取り上げ、それらの組み合わせや主な医薬品の外観の写真を
紹介している。現在では包装が変更になった薬剤もあるため、ここでは詳細について述べないが、
「薬剤の名前や規格を声に出して確認し、色で判断しない」「必ず処方箋と実物を確認する」などの改
善策が挙げられている。
(4)外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例の背景・要因
事例が発生した医療機関から報告された24件の事例について、外観の類似に関する主な背景・
要因を整理して示す。ここでは、薬剤師が①調剤時に取り違えた事例と、医師や看護師が②薬剤準備
Ⅲ
時に取り違えた事例、③その他に分けた。
①調剤時に取り違えた事例では、内服薬の間違いが多く、
「薬剤部」における調剤と「病棟など」に
おける払い出された薬剤の扱いに区別してまとめた(図表Ⅲ - 2- 21)
。②薬剤準備時に取り違えた事
例については、内服薬の事例はなく、注射薬と外用薬の種類で区別してまとめた(図表Ⅲ - 2- 22)
。
③その他の事例は、試薬などの事例であり、薬剤の外観や配置に関すること、確認に関することなど
をまとめた(図表Ⅲ - 2- 23)
。
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
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Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 2- 21 ①調剤時に取り違えた事例の主な背景・要因
●薬剤部
外観に関すること
○薬剤の外観(または形状、包装など)が似ていた。
(複数報告あり)
薬剤の保管場所に関すること
○薬剤部の棚の配置が隣同士であった。(複数報告あり)
○両薬剤が同じ薬剤棚に少し離して配置されていた。(複数報告あり)
○使用実績が少ない薬剤を、使用することの多い薬剤と同じ棚に配置していた。
処方の多い薬剤との誤認に関すること
○調剤者は、処方されることの多い薬剤の処方だと思い込んだ。(複数報告あり)
名称類似に関すること
○外観だけでなく、名称も類似していた。(複数報告あり)
確認に関すること
○ 本来であれば処方箋に記載されている情報(医薬品名、総量、薬品コード、棚番号)を確認するこ
とになっているが、できていなかった。
○処方箋上の薬剤名や識別コードと、実物の照合が不十分であった。
○調剤者と鑑査者の確認不足があった。
○多忙な業務で焦り、確認が不十分であった。
○薬剤のラベルをきちんと確認しなかったため、取り違えに気がつかなかった。
その他
○当直時間帯は一人鑑査であった。
○規格が異なる薬剤についての知識が不十分であった。
○「お薬説明書」に写真がなかったため、薬剤師・患者ともに薬剤の確認ができなかった。
●病棟など
確認に関すること
○病棟看護師は、薬剤部から払い出された薬剤の処方箋と薬剤名の確認を怠った。(複数報告あり)
○病棟では、薬剤部から届いた薬剤は正しいという認識が働いた。
○ 金曜日であったため、薬剤部から病棟に土曜日・日曜日の薬剤が届いており、十分な確認ができて
いなかった。
- 150 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 2- 22 ②薬剤準備時に取り違えた事例の主な背景・要因
●注射薬
外観に関すること
○両薬剤は同じサイズの遮光茶色のアンプルであった。
(複数報告あり)
○色違いであるが、形状が似ていた。
薬剤の保管・配置に関すること
○病棟常備薬の数が多く、整理整頓が出来ていなかった。
○薬剤カート内において両薬剤の配置が近かった。
○当該部署の救急カート内には、指示された薬剤が配置されていないことを把握していなかった。
○どちらの薬剤も金庫で管理する薬剤であった。
薬剤準備の環境に関すること
○処置を行っている部屋は、薬剤金庫がある部屋から離れているところにあった。
○ エックス線室には安全にトレイを置く場所がなく、廊下で薬剤を準備したため医師に薬剤を見せな
かった。
Ⅲ
確認に関すること
○指さし・声だし呼称による確認ができていなかった。(複数報告あり)
○繁忙であったため気持ちが焦ってしまい、薬剤名の確認が不十分であった。
○ 外来の「毒薬・劇薬取扱い要項」ではダブルチェックを行うことになっていたが、薬剤を取りだす
時にダブルチェックをしなかった。
○助産師は病棟常備薬から薬剤を取り出すときにラベルの確認を怠った。
○看護師は正しいと思い込み、アンプルのラベルの薬剤名の読みあげを行わなかった。
○医師はアンプルを見せられただけで確認とし、ラベルを確認しなかった。
ルール・マニュアルに関すること
○ 口頭指示受け時のルールが遵守できていなかった。
(復唱したが、メモはとらなかった。薬剤を指
示した医師にアンプルを見せていない。手渡す時にも薬剤名を復唱していない。医師は、口頭指示
をすみやかに電子カルテに入力していない。)
○ セイフティーマネジャーが医師に口頭指示マニュアルの「薬剤名ラベルを見て確認する」というルー
ルを周知することが不十分であったため、医師は薬剤名ラベルを見て確認するというルールを知ら
なかった。
その他
○院内では採用されていない薬剤名で指示を受けた。
- 151 -
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
○ 看護師は、処方箋と印刷されたラベルの薬剤名は確認するが、薬剤本体とラベルが合っているかの
確認はできていなかった。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
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Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
●外用薬
外観に関すること
○外観・形状が類似していた。
(複数報告あり)
薬剤の配置に関すること
○ 定数配置は各1本であるが、2∼3本あることが常態的にあり、持ち出し後の返却・補充が不確実
であった。
○消毒剤の保管場所の隣に配置してあったため、思い込みで取り出し、準備した。
○ 発注間違いがあり通常より多くの薬剤が納品されたため、本来の保管場所以外の場所に薬剤を保管
していた。
確認に関すること
○準備した薬剤の名前の確認が出来ていなかった。(複数報告あり)
○薬剤投与時、薬剤確認を行う基本ルールを遵守しなかった。
図表Ⅲ - 2- 23 ③その他(試薬など)の事例の主な背景・要因
●その他(試薬など)
外観に関すること
○同じメーカーの一斗缶であったため、外観や試薬名シールが似ていた。
○試薬ボトルの形状が似ており取り違えを起こしやすかった。
○2種の消毒剤のパッケージが同じような箱であり、酷似している。
薬剤の配置に関すること
○業者が休日前で試薬が通常より多く納品され、乱雑に置かれていた。
○ラベルを確認する習慣が欠如し、通常設置されている場所にあった薬剤が正しいと思い込んだ。
○両剤の配置が近い場所での補充作業であった。
確認に関すること
○試薬交換時に試薬缶のラベル確認を怠った。
○ 臨床検査の試薬の管理、保管に関する明確な文書はないが、試薬の交換及び補充作業に関する手順
はあり、
「保冷庫から試薬を取り出す時、それぞれの試薬を別のトレイに出す」
、「分注作業を実施
するトレイを用意し作業環境を確保する」、「声出し確認の実施」などが明記されていたが、実施で
きていなかった。
- 152 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(5)事例が発生した医療機関の改善策について
医療機関から報告された24件の事例について、外観の類似した薬剤の取り違えに関する主な改善
策を整理して以下に示す。
①調剤時に取り違えた事例
1)薬剤の保管・配置に関すること
・ 処方箋上の識別コード欄にホスリボンには[リン補充]
、ホスレノールには[リン抑制]と
表示されるようにした。
・医薬品の棚の配置を点検し、外観が類似している薬剤の位置を離す。(複数報告あり)
・外観が類似した薬剤は、棚に外観の類似の印を付ける。
2)確認に関すること
・ダブルチェックによる確認作業の重要性を再認識し、各部署できちんと確認作業を行う。
・ ダブルチェックのシミュレーションを行い、意識付けを図り、忙しい業務の時こそ、6Rの
Ⅲ
チェックを実施する意識を持つよう注意喚起を図る。
・ 調剤手順について再度周知を行い、手順を遵守しているかの確認を管理者が実技チェック、
評価を行う。
・調剤者は棚番号の確認、鑑査時は処方箋との照合を徹底する。
・ 調剤時に機械による水剤鑑査システムを用いて、薬剤のバーコードの照合を行い、調剤者が正
しい薬剤であるか確認できるようにする。
3)患者説明に関すること
・全ての薬剤について「お薬説明書」に薬剤の写真を表示する。
4)その他
・包装や形状、色など見た目が類似している薬剤は多くあることを再認識する。
(複数報告あり)
・製薬会社に、薬剤瓶の形状について検討をお願いする。
②薬剤準備時に取り違えた事例
1)薬剤の保管・配置に関すること
・年間を通して使用していない薬剤は、ストックから除去する。
・病棟常備薬の数を削減し、整理整頓を行う。
。
・ 部署の定数配置薬の保管場所について検討する(緊急性の低い薬剤を救急カートに配置しない)
・生体消毒剤と器械器具消毒剤を別々の場所に保管する。
2)薬剤準備に関すること
・救急カートを移動させ、薬剤の準備ができるスペースを確保する。
・ 放射性医薬品はRI貯蔵室から移動する際、検査ごとに取り出してトレイに入れ、各トレイに
は大きな文字で検査名もしくは医薬品名を表示する。
- 153 -
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
・薬剤を渡す際、薬剤名を提示して患者に説明する。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
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Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
3)確認に関すること
・投与する薬剤は必ず5Rを確認する。(複数報告あり)
・ 薬剤は、
手に取った際、
溶解する際、
投与する際など、
全ての場面で声に出しダブルチェックする。
(複数報告あり)
・ アンプルを他者に見せ、チェックする習慣をつける。そのために、ロールプレイ等の研修を
実施するなどのトレーニングを行う。
・消毒剤交換時は、使用済みボトルと新しく出すボトルを比べて確認をする。
4)その他
・口頭指示受け時のルールを遵守する。
③その他(試薬など)の事例
1)外観に関すること
・試薬ボトルケースをテープ等で色分けすることで試薬ボトルの識別をしやすくする。
2)薬剤の保管・配置に関すること
・次亜塩素酸ナトリウムと酢酸の容器の配置距離を離す。
・薬剤の保管倉庫の整理・整頓を行う(5Sの推進)。
3)確認に関すること
・試薬充填時にダブルチェック、指示呼称を行う。
・試薬充填時はチェックリストで試薬名と実施者のサインをする。
・ 早朝、検査機器立ち上げ後に実施しているコントロール測定を午後も行う。キャリブレーション
の数値を出力し確認、保存する。
・生化学試薬の交換及び補充作業の手順を見直す。
4)その他
・ 次亜塩素酸ナトリウムの容器に消毒ラインを直接接続することで、補充作業の工程をなくし、
酢酸を誤投入してしまう危険性を防ぐ。
(6)おわりに
2010年以降、薬剤の外観が類似していたことが取り違えの一因になった事例は24件あった。
使用する予定の薬剤と取り違えた薬剤を種類と形態別に分け、類似していた要素を示した。また、患
者に投与する薬剤21件については、発生場面や主に関わった職種で分類すると共に、主な薬剤の写
真をカラーで掲載した。
外観の類似した薬剤の取り違えの事例は、形や色などによる思い込みや薬剤の保管場所の近さなど
により誤って薬剤を選択しており、薬剤を使用する際には外観で判断するのではなく、薬剤の名称を
確認することが重要である。注射薬や内服薬などの薬剤の取り違え防止のため、今後ラベルやPTP
包装に印字されたバーコードの活用が進むことが期待される。
- 154 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(7)参考文献
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2016年1月30日.
2. 厚生労働省.
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Ⅲ
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7. ペ ル ジ ピ ン 注 射 液 2 m g 製 品 写 真. ア ス テ ラ ス 製 薬 株 式 会 社.(online)
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10. クリアボーン注製品写真.日本メジフィジックス株式会社.
(online)
,available from<http://
www.nmp.co.jp/member/photo/image.html?image=HMDP_inj>(last accessed 2016-4-18)
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11. パーヒューザミン注製品写真.日本メジフィジックス株式会社.
(online)
,available from<http://
www.nmp.co.jp/member/photo/image.html?image=IMP>(last accessed 2016-4-18)
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12. ワーファリン錠1mg製品写真.エーザイ株式会社.
(online)
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,available from<http://www.
13. ラシックス錠40mg製品写真.日医工株式会社.(online)
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14. レナデックス錠4mg製品写真.セルジーン株式会社(online)
,available from<http://www.
lenadex-japan.jp/professional/product/basic/popup02.html>(last accessed 2016-4-18)
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15. ルプラック錠8mg製品写真.大正富山医薬品株式会社.(online)
,available from<http://
medical.taishotoyama.co.jp/data/photo/htm/lpr8/picture/housou/lpr8.jpg>(last accessed
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16. ガスコン錠40mg製品写真.キッセイ薬品工業株式会社.
(online)
,available from<http://
www.kissei.co.jp/di/cgi-bin2/regist.cgi?c=photo-details&id=7>(last accessed 2016-4-18)
.
- 155 -
外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例
9. ネオシネジンコーワ注5mg製品写真.興和創薬株式会社.
(online),available from<http://
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
17. ガ ス ロ ン N・ O D 錠 2 m g 製 品 写 真. 日 本 新 薬 株 式 会 社.
(online)
,available
from<http://www.nippon-shinyaku.co.jp/medicine/product/product_list/product.
html?agree=1&id=1187#photo>(last accessed 2016-4-18)
.
18. 重 曹 錠 5 0 0 m g「 マ イ ラ ン 」 製 品 写 真. フ ァ イ ザ ー 株 式 会 社.(online)
,available
from<http://pfizerpro.jp/cs/sv/druginfo?key1=1&key2=%E9%87%8D%E6%9B%B9#linkToT
op>(last accessed 2016-4-18)
.
19. 炭カル錠500mg「旭化成」製品写真.旭化成ファーマ株式会社.
(online)
,available
from< http://www.ak-hcc.com/product/detail/15.html>(last accessed 2016-4-18)
.
20. ホスリボン配合顆粒製品写真.ゼリア新薬工業株式会社.(online)
,available from<http://
www.zeria.co.jp/medi/detail/phosribbone01.html>(last accessed 2016-4-18)
.
21. ホスレノール顆粒分包250mg製品写真.バイエル薬品株式会社.(online)
,available
from<http://www.bayer-hv.jp/hv/products/zaikei/fos250k.html>(last accessed 2016-4-18)
.
22. ステリクロン液5製品写真.健栄製薬株式会社.
(online)
,available from<http://www.keneipharm.com/medical/192/#photo>(last accessed 2016-4-18)
.
23. ハ イ ジ ー ル 消 毒 液 1 0 % 製 品 写 真. 丸 石 製 薬 株 式 会 社.(online),available from<http://
www.maruishi-pharm.co.jp/med2/product-detail45.html>(last accessed 2016-4-18)
.
24. ビソルボン吸入液0.2%製品写真.日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社.
(online)
,
available from<http://www.bij-kusuri.jp/products/attach/img/bl_is0_2_package1_l.jpg>(last
accessed 2016-4-18)
.
25. ベ ネ ト リ ン 吸 入 液 0.5 % 製 品 写 真. グ ラ ク ソ・ ス ミ ス ク ラ イ ン 株 式 会 社.(online)
,
available from<https://www.healthgsk.jp/content/dam/global/Health/Master/ja_JP/productsbasic-info/venetlin_inh/item1.jpg>(last accessed 2016-4-18)
.
26. ピコスルファートナトリウム内用液0.75%「日医工」製品写真.日医工株式会社.(online),
available from<http://www.nichiiko.co.jp/medicine/gazo.php?id=30980>(last accessed
2016-4-18).
27. ネ リ ゾ ナ ソ リ ュ ー シ ョ ン 0.1 % 製 品 写 真. バ イ エ ル 薬 品 株 式 会 社.
(online)
,available
from<http://www.bayer-hv.jp/hv/products/zaikei/nss.html>(last accessed 2016-4-18)
.
28. 公益財団法人日本医療機能評価機構 . 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 平成23年
年報 .「包装に関するヒヤリ・ハット」.(Online)
,available from < http://www.yakkyokuhiyari.jcqhc.or.jp/pdf/year_report_2011_T007.pdf>(last accessed 2016-4-18).
- 156 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【3】人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
人工呼吸器は生命維持装置の一つであり、人工呼吸器本体や呼吸回路等の何らかの異常のために換
気が停止した際には、患者の生命に重大な影響を及ぼす可能性が高い。また、人工呼吸器の使用場所
は重症患者を管理するICUや救命救急センターのみならず、一般病棟や在宅医療に至るまで多様化
してきている。
人工呼吸器や呼吸回路は、ISO(国際標準化機構)規格により多くの要求事項や項目があり厳し
い基準が設けられ、安全な動作が求められている。また、呼吸回路は、安全のため気道内圧の上昇時
などに接続部が外れるテーパー状の構造になっているため、意図せず接続部が緩んだり外れることが
ある。
本事業では、第15回報告書∼第17回報告書の個別のテーマの検討状況において、人工呼吸器に
関連する事例を取り上げた。また、人工呼吸器に関連した医療安全情報として、医療安全情報 No. 24
「人工呼吸器の回路接続間違い」
(2008年11月)
、医療安全情報 No. 32「ウォータートラップの不
完全な接続」
(2009年7月)
、医療安全情報 No. 37「
『スタンバイ』にした人工呼吸器の開始忘れ」
Ⅲ
(2009年12月)
、
医療安全情報 No. 92「人工呼吸器の配管の接続忘れ」
(2014年7月)を提供し、
注意喚起してきた。
今回、本報告書分析対象期間(2016年1月1日∼3月31日)に、人工呼吸器管理中の患者
の気管切開チューブと閉鎖式サクションカテーテルの接続が外れた事例が1件報告された。そこで、
本報告書では事例を過去に遡って検索し、人工呼吸器の回路の接続が外れた事例を取り上げ、分析を
行った。
①本分析で対象とする事例について
報告された事例の内容に人工呼吸器と記載のある事例、及び非侵襲的陽圧換気を意味する
NPPVやNIPPV等の記載のある事例を対象とした。さらに後者の事例については、報告され
た事例の内容に医療機器名についての記載があり、医療機器製造販売業者が出している添付文書に
「人工呼吸器」と記載のある事例に限定した。その上で、人工呼吸器の回路の接続が外れた事例を
抽出するために、「外れ(はずれ)」をキーワードに追加して検索した事例を本分析の対象とした。
②報告件数
2010年1月1日から2016年3月31日までに報告された医療事故情報のうち、本分析で
対象とした事例は43件であった。報告年ごとの報告件数を、図表Ⅲ - 2- 24に示す。
図表Ⅲ - 2- 24 報告件数
報告年
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(1∼3月)
合計
件数
5
6
4
9
11
7
1
43
- 157 -
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
(1)発生状況
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
③発生場所
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例の発生場所を図表Ⅲ - 2- 25に示す。発生場所と
して選択された場所は、病室が33件と最も多く、他はICUやNICU、救命救急センターなど
の重症患者を管理する部門であった。
図表Ⅲ - 2- 25 発生場所
発生場所
件数
病室
33
ICU
5
NICU
2
救命救急センター
1
その他(ICUに準ずる病床、HCU)
2
合 計
43
④発生時間帯
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例が発生した時間帯を図表Ⅲ - 2- 26に示す。14時
から15時台が8件と最も多く、次いで8時から9時台、20時から21時台がそれぞれ7件と多
かった。
図表Ⅲ - 2- 26 発生時間帯
䠄௳ᩘ䠅
8
7
6
5
4
3
2
1
0
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䠄᫬㛫ᖏ䠅
- 158 -
哎
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哎
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哎
哎
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哎
㻜㻦㻜㻜
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
⑤患者への影響
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例の事故の程度を図表Ⅲ - 2- 27、治療の程度を図表
Ⅲ - 2- 28に示す。事故の程度は、人工呼吸器の回路の接続が外れたこととの因果関係は不明で
あるが、「死亡」や「障害残存の可能性がある(高い)」を選択した事例は11件であり、対象とし
た事例の25. 6%を占めていた。また、治療の程度は、医療を実施した41件の事例のうち「濃
厚な治療」を選択した事例が25件であった。人工呼吸器の回路の接続が外れたことにより心肺蘇
生を要した事例も報告されており、一時的であっても患者に大きな影響を及ぼした事例が含まれて
いた。
図表Ⅲ - 2- 27 事故の程度
事故の程度
図表Ⅲ - 2- 28 治療の程度
件数
治療の程度
件数
死亡
4
濃厚な治療
25
障害残存の可能性がある(高い)
7
軽微な治療
14
障害残存の可能性がある(低い)
8
(治療)なし
障害残存の可能性なし
19
障害なし
4
不明
1
合 計
43
Ⅲ
1
不明
1
合 計
41
※ 「医療の実施の有無」で、
「実施あり」を選択した41件
の内訳を示す。
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
- 159 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)事例の内容
①人工呼吸器の回路の接続が外れた部分について
人工呼吸器本体から送気され、呼吸回路、気管チューブ等を介して換気する経路を3つの区分に
分類し、1)人工呼吸器本体と呼吸回路の接続部、2)呼吸回路内の一部、3)呼吸回路と気管
チューブ・気管切開チューブ・非侵襲的陽圧換気療法を行う際に使用する換気用マスク(以下
マスク)の接続部、として接続が外れた部分を分類した(図表Ⅲ - 2- 29)
。
図表Ⅲ - 2- 29 接続が外れた部分
接続が外れた部分
件数
1)人工呼吸器本体と呼吸回路の接続部
1
2)呼吸回路内の一部
10
3)呼吸回路と気管チューブ・気管切開チューブ・マスク
※
の接続部
不明
24
8
合 計
43
※ 非侵襲的陽圧換気療法を行う際に使用する換気用マスクのことである。
事例の内容に記載されていた呼吸回路には、吸気側回路と呼気側回路で構成されており、Yピース
を用いて気管チューブ等に接続する呼吸回路を使用していた事例と、呼気ポートが備わっている吸
気回路のみで構成される呼吸回路等を使用していた事例がある。また、呼吸回路内の一部は、蛇管
(ホース)
、加温加湿器やウォータートラップ等を含む吸気側回路や呼気側回路、および吸気回路か
らカテーテルマウント等のコネクタを介して気管チューブ等と接続する接続部までとした。なお、
カテーテルマウントとは、気管チューブ等と呼吸回路をつなげるコネクタであり、気管チューブ等
との接続側はL字になっている製品やストレートの製品等、様々な形態がある。
接続が外れた部分を分類した結果、呼吸回路と気管チューブ・気管切開チューブ・マスクの接
続部が外れた事例が24件と多かった。気管チューブ等と呼吸回路の接続部は、安全上一定の力が
加わった時に外れるべき個所として示されている1)。また、気管チューブの添付文書の警告には、
「呼吸回路を本品のコネクタに接続時及び接続後に、直接的又は回転的な過剰な力が本品にかから
ないように注意すること [ 偶発的に呼吸回路との接続が外れたり、チューブ又は呼吸回路の閉塞、
気管内チューブが気道から逸脱する原因となるため ]。」と記載されているものもある2)。報告され
た事例の中には、「人工呼吸器の回路が外れやすい部分(気管チューブと人工呼吸器の回路の接続
部の辺り)」と記載されているものもあった。これらのことから、呼吸回路の構造上の特徴を把握し、
呼吸回路と気管チューブ等との接続部は外れやすいという認識を持つ必要がある。
呼吸回路内の一部の接続が外れた事例は10件であり、蛇管と人工鼻、蛇管と加温加湿器や加
温加湿器本体の温度センサーの接続が外れた事例であった。事例の内容に「外れた回路が加温加湿
器の上に載っているような状態であり一目では分からなかった」と記載されているものもあった。
接続が外れた呼吸回路がどのような状態であるかは外れた状況次第であり、呼吸回路を確認する際
は、目視で確認するだけでなく、呼吸回路全体を手で触り、たどって確認することが重要である。
- 160 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
②事例の概要
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例のうち、主な事例の概要を図表Ⅲ - 2- 30に示す。
図表Ⅲ - 2- 30 事例の概要
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
1)人工呼吸器本体と呼吸回路の接続部が外れた事例
14時30分に看護師は、体位変換と気管吸引を 結 核 ユ ニ ッ ト 内 の 人 工 呼 吸 器 の ・ 結核ユニット内で使用する
行った。その後、人工呼吸器のチェックを行い アラーム音が記録室内に聞こえな 人 工 呼 吸 器 の ア ラ ー ム は
異常がないことを確認し結核ユニットから出た。 い構造となっていた。セントラル ナースコール連動にする。
15時頃、臨床工学技士は人工呼吸器の作動チェッ モ ニ タ の ア ラ ー ム 音 に 気 付 か な ・ 結核ユニット内で看護師が
クを行ったが異常はなかった。その時に患者は体 かった。結核ユニット内に看護師 不在とならない看護体制に
位変換を希望したので、結核ユニットから出た所 が不在となっていた。セントラル 変更する。
で看護師に伝えた。看護師は、薬剤の受領等があ モニタのマニュアルがなかった。・ セントラルモニタのマニュ
り直ぐに対応出来ず、その後記録室で指示受けを 結核ユニット内での医療機器使用 アル及び看護手順を作成す
る。
1 行った。記録室には複数の看護師がいた。15時 基準がなかった。
・ 結核ユニット内での医療機
31分にセントラルモニタのSpO2 低下アラー
ム、15時32分に無呼吸アラーム、15時36分
器使用基準を作成する。
に徐脈アラーム、15時41分に心停止アラーム
・ 結核ユニット内でセントラ
が鳴っていたが気付かなかった。15時47分に
ルモニタが確認できるよう
体位変換のため結核ユニット内に入ると人工呼吸
にする。
器のアラームが鳴っていることに気付き患者の病
室へ訪室すると、患者は心肺停止状態で呼吸回路
が人工呼吸器本体部分より外れていた。
2)呼吸回路内の一部の接続が外れた事例
- 161 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
臨床工学技士と担当看護師の2名で点検表を用い 人工呼吸器のアラームが鳴動した ・ 事例を院内に紹介して周知
て点検を行った。臨床工学技士は、通常人工呼吸 時、看護師は人工呼吸器を確認し するとともに、人工呼吸器
器の接続外れやリークを確認するために、呼吸回 たが異常に気がつかなかった。看 のアラームの初期対応に関
路の接続部位を押し込みながら点検し、設定値と 護師は、人工呼吸器の回路が外れ する教育を行う。
実測値を点検表に記録している。患者が病棟へ転 やすい部分(気管チューブと人工 ・ 人工呼吸器のアラームに関
室した翌日、11時50分にシーツを汚染する 呼吸器の回路の接続部分辺り)を す る マ ニ ュ ア ル を 作 成 す
ほどの多量の排便があり、看護師2名で患者の体 目視確認しただけであった。外れ る。
位を左右交互に側臥位にして、汚染した寝衣やお た回路が人工呼吸器の加温加湿器 ・ 人工呼吸器のそばには、
バッ
むつを交換していた。12時20分、患者のSp の上に載っているような状態であ グバルブマスクを設置する
O2 は100%を維持していたが、何度目かの側 り、一目では分からなかった。ま よう徹底する。
臥位の後、便汚染のために心電図モニタを外した た、回路が外れていた加温加湿器 ・ 現在、安全対策ポケットマ
12時21分以降からSpO 2 が低下しはじめ、 は、人工呼吸器の足元にあり、見 ニュアル内に人工呼吸器の
12時25分にはSpO2 が70∼40%と急激 えにくい位置にあった。看護師は、 アラームに関する事項を記
に低下した。看護師は、患者を側臥位から仰臥位 人工呼吸器のアラームが鳴動した 載しているが、看護師用の
にして様子を見たがSpO 2 は改善しなかった。 際に、人工呼吸器のトラブルだと e ラーニング教材では、ア
2
間もなくして人工呼吸器のアラームが鳴動したた は思わず患者の死期が迫っている ラーム対応等緊急時の対応
め、看護師は気管チューブ辺りの接続が外れてい と判断して医師を呼んだため、用 に関する事項が不足してい
ないかを目視確認したが異常は認めなかった。そ 手換気を行わなかった。人工呼吸 るため、当該事例において
の後もSpO2 の改善はなく、12時26分に看 器のそばにはバッグバルブマスク 検証した内容をeラーニン
護師は患者に心電図モニタを装着した。12時 を設置していなかったため、人工 グ内に入れ込むように、看
31分に主治医が到着した時には、患者はPEA 呼吸器のトラブルだと認識したと 護部との調整を行う。
の状態であり、その後心停止となった。主治医は、 しても、直ぐに対応できるような
人工呼吸器が装着されているにも関わらず患者の 環境にはなかった。eラーニング
胸郭が挙上していないことに気付き、人工呼吸器 教材「人工呼吸器装着中の患者の
の設定を強制換気モードに変更した。しかし、患 看護」内に、救急用常時設置物品
者の胸郭は挙上せず、異常を感じて更に注意深く として、バッグバルブマスク、二
確認した際に、人工呼吸器の加温加湿器と回路の 股アウトレット、酸素流量計等が
接続部が外れていることを発見した。
記載されているが、吸引時や体位
変換時のバッグバルブマスク使用
方法について説明していない。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事故の内容
事故の背景要因
改善策
2 0 時 4 0 分 頃、 看 護 師 A が 他 の 個 室 患 者 の 人工呼吸器の回路外れを発見した ・ アラームが出来るだけ鳴ら
処 置 を 終 え ド ア を 開 け た 際、 モ ニ タ の ア ラ ー 約30分前に患者の体位変換のた ないよう予防的、計画的に
ム 音 に 気 付 い た。 ナ ー ス ス テ ー シ ョ ン に 戻 っ め、フレックスチューブと呼吸回 関わる対策と、アラームが
て S p O 2 モ ニ タ を 見 る と S p O 2 は 1 5 % に 路を外し再装着していた。直後に 鳴 っ た 場 合 の 対 策 を 立 て
なっていた。患者は、顔面蒼白、四肢紫色、呼 アラームは鳴らなかったため、接 る。
名 に 反 応 な く、 フ レ ッ ク ス チ ュ ー ブ と 呼 吸 回 続が甘く何らかの力が加わること ・ 病棟看護カンファレンスを
路 が 外 れ て い た。 呼 吸 回 路 を 接 続 し、 他 の ス で外れた可能性がある。接続が甘 施行し、以下の点を病室に
タッフを呼ぶためスタッフコールを押した。手 かったところに、人工呼吸器の送 貼り出し、指さし呼称を行
元 の S p O 2 モ ニ タ に は 値 が 出 て い な か っ た。 気か、呼吸回路がアームごと下が い確認する。
看護師Bは、アンビュバッグで換気を開始した。 ることで引っ張られ外れたことが (1)
人工呼吸器が確実に患者
看護師Cは、SpO2 が50%台であり、気管内 考えられる。呼吸回路はアームで
に接続されているか
の貯留音が著明であったため吸引を施行し、白色 支えているが、アームの固定部分 (2)
呼吸回路がアームに適切
の粘稠痰が多量に引けた。アンビュバッグに酸素 が緩んで下がってくることがあり
に固定されているか
を接続し3Lで開始し、SpO2は97%まで上昇 呼吸回路が同じ位置で固定されて (3)
人工呼吸器の内圧は通常
した。看護師Dは、血圧測定し、心電図モニタを いなかった事が考えられる。看護
の圧に戻っているか
装着した。患者のSpO2は回復し、顔色が戻り、 師Aは他の個室患者の処置中で、(4)
消音ボタンを解除したか
3
開眼、口を動かす動作が見られた。
部屋のドアを開いた時、アラーム (5)
SpO2の値
に気がついたが、他の看護師は休 ・ アラーム音が聞こえる場所
憩室や離れた病室で処置をしてい に看護師を配置する。
たため、アラームに気がつかなかっ ・ 処置時、患者の了解を得て
た。モニタの時間修正を定期的に 部屋のドアを開けておく。
行うように決まっていたが実施さ ・ レンタル業者に連絡、人工
れていなかったため、モニタの時 呼 吸 器 の 回 路 を 固 定 す る
間と実際の時間にずれがあった。
アームの点検と緩んでいる
物を交換した。
・ 人工呼吸器のアラーム音の
設定を確認し、全て最大に
なっていたが、機器の個体
差があったため対応を依頼
した。
・ モニタ類の時間修正の徹底
を行う。
3)呼吸回路と気管チューブ・気管切開チューブ・マスクの接続部が外れた事例
11時15分に、発見者がナースステーション
の心電図モニタのアラームに気付き、患者の部屋
に訪室したところ、ボーカレードとエコキャスの
接続が外れていることに気付いた。モニタの履歴
を振り返ると、
11時10分 HR:145 SpO2:92%
11時11分 HR:109 SpO2:65%
11時12分 HR:108 SpO2:50%
11時13分 HR: 99 SpO2:38%
11時14分 HR: 86 SpO2:31%
4 11時15分 HR: 42 SpO2:31%
11時16分 HR: 32 SpO2:31%
11時17分 HR: 61 SpO2:69%
11時18分 HR: 96 SpO2:69%
11時19分 HR:115 SpO2:77%
11時20分 HR:116 SpO2:90%
11時15分に発見者がアラームに気付くまで
ナースステーションには、看護師、医師は不在で
あり、廊下にも医療者はおらず、家族も不在であっ
たため、異常アラーム音をキャッチする人はいな
かった。
ア ラ ー ム 音 は 扉 を 開 け て い て も ・ アラーム音がしっかり聞こ
ナースステーションから3つめの えるように重症個室の入り
大部屋に入ってしまうと聞こえな 口を開ける(プライバシー
い状況であった。直前までバイタ を守れるよう、衝立を使用
ルサインを測定しており、アラー する)。
ム音、モニタ設定等問題はなかっ ・ 患者は首を動かしており、
た。重症個室の扉が閉まっていた 気管切開チューブが抜けて
ことや、ナースステーションに誰 しまう可能性をチームで共
もいなかった点が改善できると考 有する。
える。
・ 患者は首を動かしているた
め、頻回に見回り呼吸回路
にテンションがかからない
ように、回路を調節する。
・ ナ ー ス ス テ ー シ ョ ン に ス
タッフがいる体制を作る。
- 162 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
15時45分 ナースコールあり訪室すると患 モニタ履歴と状況確認から、15時 ・ ケア後の人工呼吸器接続に
者は吸引を希望した。15時47分 吸引施行 47分に吸引施行し、SpO 2 は ついて病棟全体でマニュア
し、実施前後のSpO2 は100%であり、むせ 100%、気管カニューレとフレッ ルを再確認した。
込みはなく気管カニューレにフレックスチューブ クスチューブを接続した。15時 ・ 気管カニューレの取り扱い、
を接続した。接続時入りづらく、押し込んで右に 50分にSpO 2 は95%に低下 接続方法の学習会を実施す
回して片手で接続確認を行った。15時51分 し、接続外れが発生したと考えら る。
経管栄養の濃厚流動食を配るために訪室したと れる。15時53分にSpO 2 は ・ 病棟医療安全推進担当者が
ころ、ベッドサイドモニタ上SpO2 は30%ま 29%、訪室した看護師が発見し 中心となり、全員の手技を
で低下し、気管カニューレとフレックスチューブ アンビュバッグにて酸素15Lで 確認する。
が外れていた。患者は、チアノーゼ、眼球上転、 用 手 換 気、 応 援 要 請 し た。 吸 引 ・ ケア後、気管カニューレの
顔面蒼白、呼名に反応なく、意識レベルJCS 後、気管カニューレとフレックス 刺激により咳き込み、怒責
5
300であった。発見と同時にアンビュバッグに チューブの接続確認がマニュアル が出現した場合は、咳き込
て酸素15Lで用手換気しながら看護師の応援依 通り両手で行われていなかった為、 みの症状が消失し、SpO2
頼、医師に報告し、FiO2 を25%から50% 接続が甘く、外れたと考えられる。 値が安定するまでその場を
に上げて人工呼吸器に接続した。15時55分
離れない。
SpO2 は84%、チアノーゼ消失、意識レベル
・ 咳 き 込 み、 怒 責 が あ っ た
クリア、呼名に口パクで反応あり。15時57分
場 合 は、 再 度 フ レ ッ ク ス
SpO 2 は100%に回復したため、FiO 2 を
チューブと気管カニューレ
25%に下げた。患者は、15時45分に看護師
の接続部を確認する。
が吸引を行い接続確認したが、その直後に外れた
・ LTV1200の検証結果、
と訴えた。
機器の異常は発見されな
かった。
- 163 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
14時15分 患児の検温後(SpO2100%) 気管カニューレと人工呼吸器が外 ・ 人工呼吸器のアラームだけ
気管吸引と体位変換を施行し、電気毛布を気管カ れていることに気付かなかった。 に依存しないで生体モニタ
ニューレの所まで掛け保温を行った。14時30 SpO2のアラームの下限値設定が のアラームへの対応を確実
分 他の患児の散歩へ付き添うため看護師Aに当 88%で、アラームの音量設定が にする。
該患児の観察を依頼した。14時40分頃 時間 最低音量になっていたため聞こえ ・ 各患児のベッドサイドにア
注射終了のアラームが鳴ったため、看護師Aは患 なかった。前日に当該患児に使用 ラームの上限下限を表示す
児のもとへ行ったところ、人工呼吸器が外れてい 中のモニタを他の患児に使用した る。
ることを発見した。患児は、SpO2 28%、脈 ため、アラームの設定を変えてい ・ 始業前に経皮酸素飽和度や
拍触知不能、チアノーゼあり。近くにいた看護師 たが、当該患児に使用する時にア 心拍のアラームの上・下限
Bを呼び、直ちにバギングを開始し、病棟内にい ラームの設定条件の確認ができて 値及び音量のチェックをす
た医師を呼びCPRを実施した。14時42分 いなかった。小児用ETCO2セン る。
SpO 2:96% HR:100回/分 血圧: サーが人工呼吸器に着いた状態で ・ 気管チューブと人工呼吸器
6
158/94mmHg、チアノーゼ改善する。主 気管カニューレと外れていたため、 を外した後は確認を確実に
人 工 呼 吸 器 の ア ラ ー ム は 鳴 ら な 行う。
治医に状態を報告した。
かった(小児用ETCO2センサー
は、死腔削減のため、ラインが細
く吸気圧のリークがない。気管カ
ニューレ挿入部より常にエアー漏
れがありリーク補正がかかってお
り人工呼吸器の漏れに対する感知
が鈍くなっていた)
。気管吸引後に
患児から離れた時、人工呼吸器と
の接続を確認できていなかった。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事故の内容
事故の背景要因
改善策
9時47分頃訪室した際、HR50台、SpO2 患者は、呼吸管理のためICUに ・報告、連携を強化する。
30%台に低下、声掛けに反応しない患者を発見 入室し、ICU入室後も軽快、増 ・ お互いのコミュニケーショ
し、医師に報告した。医師はすぐに駆けつけるが、 悪を繰り返していた。意識レベル ンを良好に保ち、声を掛け
モニタ上PEA波形に移行した。この時人工呼吸 はクリアであり、身体拘束は行わ 合う習慣を持つ。
器の回路が気切口より外れている事を発見する。 ずナースコールも押せている状況 ・ 日々変化する病態観察にお
用手換気、胸骨圧迫を開始し、アドレナリン1mg であったため、担当看護師は9時 いて、患者に視点を当て五
をIVし約3分後には自己心拍再開した。その後 頃訪室した際に声掛けのみ行い、 感を育てる教育を行う。
自発呼吸を認めたが、対光反射は無く、痛覚に反 他の患者のケアに入った。患者は ・ 医療機器のアラーム音の設
応しなかったため、脳への影響を考慮し低体温療 ベッドサイドリハビリを行ってい 定の見直し及び人工呼吸器
法を開始した。2時間後に対光反射は回復し、B たが、看護師は患者の右手が頭元 チェックリストの検討(ア
ISも90まで上昇を認めた。その後、監視モニ まで上がるとは思っていなかった。 ラーム音の点検項目)を行
タの画像を確認したところ、9時29分に患者が また、前日も人工呼吸器の接続外 う。
右手を拳上した際に、人工呼吸器の回路が引っ掛 れがあったが、すぐに対応し事な ・ ベッド周囲の環境整備を行
7 かり外れていたことが分かった。
きを得ていたため情報の共有がさ う。
れていなかった(自発呼吸はある ・ 人工呼吸器を患者の状況に
が、人工呼吸器の補助がないと数 応じた設置場所に置く。
分でSpO2 は低下する)。朝のケ ・ 身体拘束の時期や時間の検
アや他の患者の入室時間と重なり、 討を他職種を交えて行う。
ナースステーション内で生体監視
モニタを誰も見ていなかった。前
室のある角部屋で人工呼吸器のア
ラーム音が聞こえなかった。また、
使い慣れていない機種でアラーム
の音量が変えられることを知らな
かった。人工呼吸器はリハビリの
関係から右側に置かれていた。
- 164 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
No.
事故の内容
事故の背景要因
22時30分頃、BiPAPのアラームについて BiPAPのアラーム音量が下げ
同室者から「さっきから何回も鳴ってうるさい、 られていたため、アラーム音がナー
眠れない」と訴えがあり、看護師はアラーム音 スステーションに聞こえず、患者
を6から3に下げて頻回に訪室していた。深夜勤 の異変に気づくのが遅れた。BiP
務看護師に口答で伝えたが、記録には残さなかっ APはリース機器だったため、当
た。深夜勤務看護師は頻回に巡視した。患者は 院のものと違ってナースコールと
BiPAPのマスクを外しているため、必要性を 連動していなかった。BiPAP
説明して装着した。時々起きあがりマスクの接続 のマスクとホースは、以前から接
が外れていることもあり、その都度患者へ説明し 続外れがあったが、臨床工学科へ
装着した。翌日、朝食摂取時にカヌラにすると の報告はなく、外れをなくす工夫
SpO2 が45%まで低下したため、BiPAP もされていなかった。BiPAP
を装着しSpO2 が98%に上がったのを確認し 使 用 中 に 外 れ る こ と が 多 か っ た
退室したのが8時頃であった。9時40分に看護 患者であるが、観察時間が1時間
師がバイタル測定のため訪室すると、左下肢が 30分程度空いた。事故発生時の
ベッド柵の隙間から出た状態で、BiPAPのマ 連絡が遅く、共通報告ルートで実
スクとホースの接続部が外れているのを発見し 施されなかった。
た。
8
・ 巡回を含めて他種類の機器
に関してもアラームを確認
する。
・ ナースコールと連動してい
ない機器に関しては、臨床
工学科でアラーム設定が変
更出来ないように機器に注
意を表示する。
・ 出来るだけ当院で使用して
いる機器と同じものをリー
スし、アラーム対応できる
ようにする。
・ BiPAPの接続が外れる
事に関しては、臨床工学科
と連携を取って対策を行
う。接続時に深く力を入れ
ることにより外れにくくな
るが、使用中の湿潤した状
態での確認を行う。
・ 患者がBiPAPを外すこ
とにより、SpO 2 が下が
ることがあるため、BiP
AP使用の有効性と危険性
について医師と認識を共有
する必要がある。
・ BiPAPを使用している
患者への医療チームによる
対 応 が 重 要 で あ り、 カ ン
ファレンスでの情報共有を
活発に行う。
・ 申し送り前後の患者観察は
重要であり、特にBiPA
Pが外れやすいなどの状況
が伝わっていない状態では
見落としとなるため、伝達
内容が漏れないような対策
が必要である。
・ I C U 病 棟 は 入 室 基 準 を
持って患者を管理してい
る。人工呼吸器使用患者に
関する管理基準を作成し、
原則、人工呼吸器使用患者
はICU病棟管理とする。
・ 診療部としてはBiPAP
の適応を十分に検討、使用
する時は患者に十分な説明
を行い適応を判断する。
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
- 165 -
改善策
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(3)事例の背景・要因
①接続が外れた背景・要因
接続が外れた背景・要因が記載されていた13件の事例の内容を抽出し、図表Ⅲ - 2- 31に示す。
気管吸引や体位変換の際に一旦接続部を外して再接続したことや、体位変換や患者の体を持ち上
げるなど患者の体を動かしたことが背景・要因として挙げられていた。
図表Ⅲ - 2- 31 接続が外れた背景・要因と内容
背景・要因
体位変換時
再
接
続
内容
接続が外れた部分※
約30分前に患者の体位変換のため、フレックスチューブと
2)呼吸回路内の一部
呼吸回路を外し再接続した。
約30分前に患者の気管カニューレと呼吸回路の接続部を確認
するため一度接続部を外して再度接続し、更に手製のベルト
接続部確認時
で固定したが、その後、気管カニューレと呼吸回路の接続部が
水平に半分ずれた状態で外れていた。
3) 呼 吸 回 路 と 気 管
チューブ・気管切
看護師は、吸引後に気管カニューレとフレックスチューブを
開チューブ・マス
接続する際、入りづらく、押し込んで右に回し片手で接続確認
クの接続部
を行ったが、その直後に外れた。
気管吸引後
看護師は、吸引後に気管カニューレとカテーテルマウントを
接続したが、患者が痛みを訴えたため強く接続しなかった。
患者の体位を何度か左右交互に側臥位にして清潔援助を行って
いたところ、SpO2が急激に低下したため人工呼吸器を確認
した際に、呼吸回路と加温加湿器が外れていた。
2)呼吸回路内の一部
看護師2人で体位変換を行った際、加温加湿器の温度センサー
が外れたことに気付かなかった。
体位変換
体位変換用の枕を移動した1分後に、気管切開チューブと
カテーテルマウントが外れた。
呼 吸 回 路 と 気 管
3)
チューブ・気管切
開チューブ・マス
クの接続部
患者を左側臥位ギャッチアップ40度とし、大腿にクッショ
ンを入れて下肢側もギャッチアップしてずれ防止を行ったが、
不明
1時間後に患者がベッドの足の方へずれていたため、呼吸回路
が外れ、気管チューブも抜けていた。
患者の挙上
看護師2人で患者をリフターにて挙上しシーツ交換を実施し
た際、実施中に人工呼吸器のアラームが鳴り確認したところ、 2)呼吸回路内の一部
呼吸回路と加温加湿器が外れていた。
患者が右手を挙上した際に、呼吸回路に引っかかり外れた。
患者の体動や状況
3) 呼 吸 回 路 と 気 管
チューブ・気管切
開チューブ・マス
クの接続部
患者の肺の器質化による気道内圧上昇と頭の動きで接続が
外れた。
患者の下肢が呼吸回路にあたっており、呼吸回路がやや引っ
張られていた。
ベッド上で患者が体を動かし、体の位置がずれていた。
※ 図表Ⅲ - 2- 29 接続が外れた部分(1 60頁参照)。
- 166 -
不明
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
②接続が外れたことに気付いたきっかけ
接続が外れたことに気付いたきっかけを事例の内容や背景・要因から抽出し、図表Ⅲ - 2- 32に
整理した。接続が外れたことに気付いたきっかけとして、何らかのアラーム音を聞いたことを挙げて
いた事例は27件であった。また、生体情報モニタの数値や心電図波形を確認した際に、接続が外
れたことに気付いた事例は6件であり、事例の内容にアラーム音に関する記載はなかったが、HR低
下、SpO2低下、HRとSpO2低下がモニタに表示されていた事例であった。その他の事例は、
患者のバイタルサイン測定や体位変換をするために訪室した際に接続が外れていたことを発見した
事例などであった。
図表Ⅲ - 2- 32 気付いたきっかけ
気付いたきっかけ
アラーム音を聞いた
件数
27
生体情報モニタを見た
6
人工呼吸器のリーク音を聞いた
1
その他
9
合 計
Ⅲ
43
次に、アラーム音が、接続が外れたことに気付くきっかけになった27件の事例について、アラーム
音を聞いた機器とアラーム音の種類について分類した(図表Ⅲ - 2- 33)
。
生体情報モニタのアラーム音が、接続が外れたことに気付くきっかけになった事例は11件であ
た。日本呼吸療法医学会が示している「人工呼吸器安全使用のための指針 第2版」3)においても、
「Ⅴ 警報装置およびモニター」の項目の中で、人工呼吸器の警報設定、呼吸に関するモニタリン
グやその他の生体情報モニタリングについての内容が掲載されている。警報設定やモニタは、呼吸
回路等の接続の外れ、人工呼吸器本体の異常や患者の状態の変化などを検知できる手段であるため、
適切なアラーム値やアラーム音量の設定、アラーム音を聞くことができる環境の整備が必要である。
また、前述した「人工呼吸器安全使用のための指針 第2版」では、
「補足資料 人工呼吸器に
関連した医療事故とその対策」において、人工呼吸器の安全使用のための予防対策が提唱されてい
る。本事業に報告された医療事故情報が発生分類別に掲載されており、呼吸回路やアラームなど
人工呼吸器全般についての知識不足と誤認識などについての問題点や対策が記載されているため、
参照していただきたい。
- 167 -
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
り、人工呼吸器のアラーム音が、接続が外れたことに気付くきっかけになった事例は10件であっ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 2- 33 アラーム音を聞いた機器とアラーム音の種類
アラーム音を聞いた機器とアラーム音の種類
件数
生体情報モニタのみ
11
SpO2のアラーム
7
心電図のアラーム
4
人工呼吸器のみ
10
人工呼吸器および生体情報モニタ
2
不明
4
合 計
27
③接続が外れたことに関連した背景・要因
接続が外れたことに関連した背景・要因を図表Ⅲ - 2- 34に示す。
図表Ⅲ - 2- 34 接続が外れたことに関連した背景・要因
○呼吸回路の接続の確認不足
・看護師は、接続外れの危険性を予測した回路接続部の意図的な確認ができていなかった。
・ 看護師は、人工呼吸器の回路が外れやすい部分(気管チューブと人工呼吸器の回路の接続部分辺り)を
目視確認しただけであった。
・呼吸回路の屈曲は確認したが、接続部の確認が行えていなかった。
・ナースコール対応等他の患者の対応に追われており、呼吸回路や機器設定の確認が不十分であった。
・深夜であり、部屋が暗いまま作業を行ったため、回路の確認をしっかりとできなかった。
・吸引後の患者観察及び人工呼吸器の作動チェックの確認が不足していた。
・ 看護師は病室を退室する際、人工呼吸器の回路から閉鎖式吸引カテーテル、気管チューブに至るまで接
続部を確認できていなかった。
・気管吸引後に患児から離れた際、人工呼吸器との接続を確認できていなかった。
○マニュアルの不遵守
・吸引後に気管カニューレとフレックスチューブの接続確認がマニュアル通り両手で行われていなかった。
・ 人工呼吸器の呼吸回路の点検は、目視だけでなく、緩みがないか両手で触れることが手順化されているが、
手での確認ができていなかった。
・ 勤務交代時にNPPVの値だけメモし、NPPVチェックリストによる全項目の確認や記録を行わなかっ
た。
・人工呼吸器再装着時のルールを無視していた。
○情報共有や連携の不足
・ 看護師は、時々呼吸回路の接続外れを認識していたが、申し送りや看護記録による情報共有ができてい
なかった。
・ 前日も人工呼吸器の接続外れがあったが、すぐに対応し事なきを得ていたため情報の共有がされていな
かった。
・ 以前からBiPAPのマスクと蛇管の接続外れがあったが、臨床工学科への報告はなく、外れをなくす
工夫をしていなかった。
- 168 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
○医療機器等の状況
・加湿器MR730は、温度センサーがMR850と比べて外れやすい構造であった。
・ 呼吸回路はアームで支えているが、アームの固定部分が緩んで下がってくることがあり、回路が同じ位
置で固定されていなかった事が考えられる 。
○患者の状況
・ 患者は、時々側臥位になることがあり、蛇管にテンションがかかることで接続部が緩み、外れた可能性
があった。
・ 患者は起き上がろうとしたり、側臥位になったりしており、人工呼吸器との接続や回路(Y字管部分)
が外れることが日ごろからあった。
・気管切開術後に気管切開孔の痛みが続いており、さらに痰が多い状態であった。
・痰が多く接続部が外れやすくなっていた。
・患者は経鼻挿管で気管チューブを28cm挿入しており、呼吸回路との間にゆとりがなかった。
○その他
・看護師は吸引後に気管カニューレとI字管を接続したが、患者が痛みを訴えたため強く接続しなかった。
Ⅲ
(4)事例が発生した医療機関の改善策について
事例が発生した医療機関の改善策の中から、接続が外れたことに関連した改善策を抽出し、以下に
示す。
○呼吸回路の観察・確認
・呼吸回路の接続は目視だけでなく、手で直接外れや緩みを確認する。
・処置後や訪室時に、目視ではなく接続を必ず確認する。
・アラームが鳴った際は、呼吸回路の確認を行う。
・ 患者に咳き込みや怒責があった場合は、再度フレックスチューブと気管カニューレの接続を確
認する。
・ 患者は首を動かしているため頻回に見回り、
呼吸回路にテンションがかからないように調節する。
・ラウンドごとに人工呼吸器接続部分を確認し、従来通り指定の記録用紙に記入する。
・勤務交代時、NPPVチェックリストを使用し、全チェック項目を確認して記録に残す。
・ 人工呼吸器と閉鎖式吸引カテーテル、気管チューブの接続部についての確認方法を写真で明示
し、毎回実施する。
○呼吸回路の再接続時の確認
・気管カニューレ挿入時や呼吸回路の再接続時は、聴診器で呼吸音を聴取することを原則とする。
・吸引などで接続部を外した時は、確実に接続を確認する。
・ 人工呼吸器を外し再接続したら、必ずチェックリストに沿って正しく接続されているかを確認
する。
- 169 -
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
・呼吸回路のねじれやたるみがないか走行を確認する。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
○マニュアルの再確認
・ケア後の人工呼吸器の接続について病棟全体でマニュアルを再確認した。
・人工呼吸器の管理のための手順などを見直す。
○情報の共有や連携
・ 吸引後や回路の確認は、手順にそった点検が確実に実施できるよう、看護職員への周知徹底を
図る。
・BiPAPの接続が外れる事に関して、臨床工学科と連携を取って対策をたてる。
・ 人工呼吸器安全管理委員会を新たに設置し、人工呼吸器を安全に使用する体制を再構築する。
少なくとも月1回の巡視を行い人工呼吸器の運用面での問題点を検討する。
○医療機器等に関すること
・ 回路を外さず加湿水を補充できるように、加湿器と蛇管が一体型となっている構造のNPPV
に変更する。
・ 精度の高い人工呼吸器に変更し、気管カニューレと人工呼吸器の接続部を外れにくくした。
・ 業者に連絡し、人工呼吸器の呼吸回路を固定するアームの点検と緩んでいるアームの交換を
行った。
・気管カニューレに接続する部分の人工呼吸器回路製品の使用方法の見直しや変更を検討する。
○教育
・ 人工呼吸器管理中の観察や管理を確実にすることについての意識を継続させるために、人工呼
吸器強化月間を設けて、病棟ラウンドや医療安全ニュース等で定期的に教育指導する。
・気管カニューレの取り扱いや接続方法についての学習会を実施する。
・人工呼吸器の安全使用について、職員の教育をより一層充実させる。
○その他
・患者に接続が外れることのリスクを説明し協力を依頼する。
・ 人工呼吸器とベッドが少し離れており、
呼吸回路を移動させた際にセンサーを引っ張ってしまっ
たことから、人工呼吸器とベッドの位置を近付けた。
・病棟の医療安全推進担当者が中心となり、手技を確認する。
・気管切開孔の痛みがある場合は、気管カニューレのネックプレートを持ち両手で接続する。
・痰が多い場合は適宜吸引を行いカニューレが滑らない様にする。
- 170 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(5)まとめ
本報告書では、人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例43件について、接続が外れた部分や
接続が外れたことに気付いたきっかけ、主な背景・要因、改善策を整理した。
呼吸回路と気管チューブ・気管切開チューブ・マスクの接続部が外れた事例が24件と多かったが、
蛇管と加温加湿器など呼吸回路内の一部の接続が外れた事例も報告されていた。また、接続が外れた
ことにより心肺蘇生が必要となるなど、患者へ大きな影響を及ぼした事例が含まれている。
呼吸回路の構造上の特徴を把握し、気管チューブ等との接続部が外れやすいという認識を持つこと
や、呼吸回路を確認する際は、目視で確認するだけでなく呼吸回路全体を手で触り、たどって確認す
ることが重要である。
(6)参考文献
1. 安全な人工呼吸療法回路の提言(ラフ版)
.社団法人 千葉県臨床工学技士会 安全な人工呼吸療
法回路の提言ワーキンググループ.
(online)
.available from < http://www.chibarinkou.com/
Ⅲ
_src/sc745/88c091s82c890l8dh8cc48bz97c3964089f198h82cc92f18cbe20-2020.pdf >
(last accessed 2016-4-18)
.
2. ポーテックス・ソフトシールカフ付き気管内チューブ添付文書.スミスメディカル・ジャパン
株式会社.2013年4月1日(第6版).
3. 人工呼吸器安全使用のための指針 第2版.一般社団法人 日本呼吸療法医学会 人工呼吸管
理安全対策委員会.2011年7月27日.
(online)
.available from < http://square.umin.
ac.jp/jrcm/contents/guide/page06.html >(last accessed 2016-4-20)
.
2014年4月15日.
- 171 -
人工呼吸器の回路の接続外れに関連した事例
4. MEの基礎知識と安全管理 改訂第6版.(一社)日本生体医工学会ME技術委員会.南江堂.
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
3 再発・類似事例の発生状況
本事業では、第3∼17回報告書において「共有すべき医療事故情報」として、医療事故情報を分
析班等で個別に検討し、広く共有すべきであると考えられた事例の概要を公表してきた。また、第1回
∼本報告書において「個別のテーマの検討状況」として、分析対象となるテーマを設定し、そのテーマ
に関連する事例をまとめて分析、検討を行っている。
さらに、これまでに「共有すべき医療事故情報」や「個別のテーマの検討状況」として取り上げた
事例の中から、特に周知すべき情報を提供するため「医療安全情報」を公表している。
ここでは、
「共有すべき医療事故情報」
、
「個別のテーマの検討状況」や「医療安全情報」として取り
上げた内容の再発・類似事例の発生状況について取りまとめた。
【1】 概況
これまでに取り上げた「共有すべき医療事故情報」の再発・類似事例の件数について図表Ⅲ - 3- 1、
「個別のテーマの検討状況」の再発・類似事例の件数について図表Ⅲ - 3- 2にまとめた。
本報告書分析対象期間に報告された「共有すべき医療事故情報」の再発・類似事例の内容は26で
あり、事例数は58件であった。このうち、類似事例が複数報告されたものは、「ベッドからベッド
への患者移動に関連した事例」が7件、「小児への薬剤倍量間違いの事例」、「体内にガーゼが残存し
た事例」がそれぞれ6件、
「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)
」、「病理検体に関連した事例」が
それぞれ5件、
「眼内レンズに関連した事例」が3件、
「小児の輸液の血管外漏出」
、
「輸血療法施行時
に患者を誤った事例」
、
「伝達されなかった指示変更」
、
「三方活栓使用時の閉塞や接続はずれ等に関す
る事例」
、
「ベッドなど患者の療養生活で使用されている用具に関連した事例」
、
「ベッドのサイドレール
や手すりに関連した事例」がそれぞれ2件であった。
また、本報告書分析対象期間に報告された「個別のテーマの検討状況」の再発・類似事例のテーマ
は13であり、事例数は24件であった。このうち類似事例が複数報告されたものは、
「凝固機能の
管理にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び出血の事例」が6件、「院内での自殺及
び自殺企図に関する事例」が3件、「皮下用ポート及びカテーテルの断裂に関連した医療事故」、「散
剤の薬剤量間違い」、「画像診断報告書の内容が伝達されなかった事例」、「胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿
入時に左右を取り違えた事例」がそれぞれ2件であった。
- 172 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 3- 1 2016年1月から3月に報告された「共有すべき医療事故情報」の再発・類似事例
内容
件数
掲載報告書(公表年月)
1
第 3 回(2005 年 10 月)
1
第 5 回(2006 年 6 月)
左右を取り違えた事例
1
第 8 回(2007 年 2 月)
小児の輸液の血管外漏出
2
第 8 回(2007 年 2 月)
外形の類似による薬剤間違いの事例
1
第 9 回(2007 年 6 月)
輸血療法施行時に患者を誤った事例
2
第 9 回(2007 年 6 月)
熱傷に関する事例(療養上の世話以外)
5
第 9 回(2007 年 6 月)
MRI検査室に磁性体を持ち込んだ事例
1
第 9 回(2007 年 6 月)
注射器に準備された薬剤の取り違えの事例(名前の記載なし)
1
第 10 回(2007 年 9 月)
小児への薬剤倍量間違いの事例
6
第 10 回(2007 年 9 月)
伝達されなかった指示変更
2
第 10 回(2007 年 9 月)
投与目的とは異なる場所へ輸液等を投与した事例
1
第 10 回(2007 年 9 月)
三方活栓使用時の閉塞や接続はずれ等に関する事例
2
第 11 回(2007 年 12 月)
ベッドなど患者の療養生活で使用されている用具に関連した事例
2
第 11 回(2007 年 12 月)
アレルギーの既往がわかっている薬剤を投与した事例
1
第 12 回(2008 年 3 月)
人工呼吸器の回路接続間違いの事例
1
第 12 回(2008 年 3 月)
ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例
7
第 13 回(2008 年 6 月)
ベッドのサイドレールや手すりに関連した事例
2
第 13 回(2008 年 6 月)
口頭での情報伝達の間違いが生じた事例
1
第 13 回(2008 年 6 月)
体内にガーゼが残存した事例
6
第 14 回(2008 年 9 月)
病理検体に関連した事例
5
第 15 回(2008 年 12 月)
眼内レンズに関連した事例
3
第 15 回(2008 年 12 月)
歯科診療の際の部位間違いに関連した事例
1
第 15 回(2008 年 12 月)
食物アレルギーに関連した事例
1
第 15 回(2008 年 12 月)
アルチバ(レミフェンタニル)に関連した事例
1
第 17 回(2009 年 6 月)
酸素ボンベ残量の管理に関連した事例
1
第 17 回(2009 年 6 月)
共有すべき医療事故情報
抗リウマチ剤(メトトレキサート)を過剰投与した事例
「療養上の世話」において熱傷をきたした事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
概況
- 173 -
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 3- 2 2016年1月から3月に報告された「個別のテーマの検討状況」の再発・類似事例
内容
件数
掲載報告書(公表年月)
凝固機能の管理にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び
出血の事例
6
第 20 回(2010 年 3 月)
皮下用ポート及びカテーテルの断裂に関連した医療事故
2
第 21 回(2010 年 6 月)
薬剤内服の際、誤ってPTP包装を飲んだ事例
1
第 23 回(2010 年 12 月)
散剤の薬剤量間違い
2
第 24 回(2011 年 3 月)
画像診断報告書の内容が伝達されなかった事例
2
第 26 回(2011 年 9 月)
医薬品添付文書上【禁忌】の疾患や症状の患者へ薬剤を投与した事例
1
第 29 回(2012 年 6 月)
膀胱留置カテーテル挿入の際、尿流出を確認せずにバルーンを膨らませ
尿道損傷を起こした事例
1
第 31 回(2012 年 12 月)
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
2
第 34 回(2013 年 9 月)
はさみを使用した際、誤って患者の皮膚や医療材料等を傷つけた事例
1
第 36 回(2014 年 3 月)
気管切開チューブが皮下や縦隔へ迷入した事例
1
第 37 回(2014 年 6 月)
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
3
第 41 回(2015 年 6 月)
座位による中心静脈カテーテルの処置に関連した事例
1
第 43 回(2015 年 12 月)
胃管の誤挿入に関連した事例
1
第 43 回(2015 年 12 月)
個別のテーマの検討状況
次に、これまでに取り上げた「医療安全情報」の再発・類似事例の件数について、図表Ⅲ - 3- 3
にまとめた。本報告書分析対象期間に報告された「医療安全情報」の再発・類似事例の内容は24で
あり、事例数は39件であった。このうち、類似事例が複数報告されたものは、
「No. 85:移動時の
ドレーン・チューブ類の偶発的な抜去」が6件、
「No. 54:体位変換時の気管・気管切開チューブの
偶発的な抜去」が4件、
「No. 106:小児の薬剤の調製間違い」が3件、
「No. 11:誤った患者へ
の輸血およびNo.110:誤った患者への輸血(第2報)
」、「No. 13:輸液ポンプ等の流量の確認
忘れ」、「No. 29:小児への薬剤10倍量間違い」、「No. 58:皮下用ポート及びカテーテルの断裂」、
「No. 99:胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え」がそれぞれ2件であった。
- 174 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 3- 3 2016年1月から3月に報告された「医療安全情報」の再発・類似事例
No.
タイトル
公表年月
2 抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制
No. 45 抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
1
2007 年 1 月
2010 年 8 月
No. 7 小児の輸液の血管外漏出
1
2007 年 6 月
No. 8 手術部位の左右の取り違え
No. 50 手術部位の左右の取り違え(第2報)
1
2007 年 7 月
2011 年 1 月
No. 10 MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み
No. 94 MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み(第2報)
1
2007 年 9 月
2011 年 1 月
No. 11 誤った患者への輸血
No.110 誤った患者への輸血(第2報)
2
2007 年 10 月
2016 年 1 月
No. 13 輸液ポンプ等の流量の確認忘れ
2
2007 年 12 月
No. 14 間違ったカテーテル・ドレーンへの接続
1
2008 年 1 月
No. 20 伝達されなかった指示変更
1
2008 年 7 月
No. 23 処方入力の際の単位間違い
1
2008 年 10 月
No. 27 口頭指示による薬剤量間違い
1
2009 年 2 月
No. 29 小児への薬剤10倍量間違い
2
2009 年 4 月
No. 47 抜歯部位の取り違え
1
2010 年 10 月
No. 48 酸素残量の未確認
1
2010 年 11 月
No. 53 病理診断時の検体取り違え
1
2011 年 4 月
No. 54 体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去
4
2011 年 5 月
No. 57 PTPシートの誤飲
No. 82 PTPシートの誤飲(第2報)
1
2011 年 8 月
2013 年 9 月
No. 58 皮下用ポート及びカテーテルの断裂
2
2011 年 9 月
No. 80 膀胱留置カテーテルによる尿道損傷
1
2013 年 7 月
No. 85 移動時のドレーン・チューブ類の偶発的な抜去
6
2013 年 12 月
No. 89 シリンジポンプの取り違え
1
2014 年 4 月
No. 92 人工呼吸器の配管の接続忘れ
1
2014 年 7 月
No. 99 胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え
2
2015 年 2 月
No.105 三方活栓の開閉忘れ
1
2015 年 8 月
No.106 小児の薬剤の調製間違い
3
2015 年 9 月
No.
※医療安全情報の事例件数は、共有すべき医療事故情報や、個別テーマの検討状況に計上された事例件数と重複している。
本報告書では、本報告書分析対象期間において報告された再発・類似事例のうち、医療安全情報と
して取り上げた「No. 53:病理診断時の検体取り違え」、共有すべき医療事故情報として取り上げた
「眼内レンズに関連した事例」について事例の詳細を紹介する。
- 175 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
概況
件数
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【2】「病理診断時の検体取り違え」(医療安全情報 No. 53)について
(1)発生状況
本事業では、第21回報告書(2010年7月公表)∼第24回報告書(2011年3月公表)の
個別のテーマ「病理に関連した医療事故」において、該当する医療事故情報とヒヤリ・ハット事例に
ついて1年間にわたり分析した。そのうち、第22回報告書では、病理検体の取り違えの事例を取り
上げ、病理検体を取り違えたことにより、患者を間違えて治療した事例や患者を間違えてはいないが
誤った治療を行った事例などを紹介した。
その後、医療安全情報 No. 53(2011年4月)「病理診断時の検体取り違え」では、病理検体
取り違えの事例のうち、別の患者の検体と取り違えた事例を取り上げ、提供した(医療安全情報掲載
件数6件、集計期間:2007年1月∼2011年2月)。
このたび、本報告書分析対象期間(2016年1月1日∼3月31日)においても類似の事例が
1件報告されたため、再び取り上げることとした。
医療安全情報 No. 53の集計期間以降(2011年3月∼2016年3月)に報告された「病理診
断時の検体取り違え」の類似事例の報告件数を図表Ⅲ - 3- 4に示す。
図表Ⅲ - 3- 4「病理診断時の検体取り違え」の報告件数
1∼3月
(件)
4∼6月
(件)
7∼9月
(件)
10∼12月
(件)
合計
2011年
1
0
0
0
1
2012年
0
1
0
0
1
2013年
1
0
2
1
4
2014年
0
0
0
0
0
2015年
0
0
0
1
1
2016年
1
−
−
−
1
図表Ⅲ - 3- 5 医療安全情報 No. 53 「病理診断時の検体取り違え」
- 176 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(2)事例概要
医療安全情報 No. 53の集計期間以降に報告された事例8件の概要を以下に示す。
事例1
【内容】
患者Aの検体容器に患者Bのラベルが貼付され、病理検査室に搬送された。病理検査室からの
指摘で検体の誤認が分かった。
【背景・要因】
・患者Bの検体ラベルが手術室に残っており、そのラベルを患者Aの検体容器に貼付した。
・検体を処理する時に病理伝票と検体の照合を怠った。
Ⅲ
事例2
【内容】
担当医は、患者Aの病理検体(手術で切除した膵頭十二指腸)4つの容器と、患者Bの病理検体
(3日前の手術で切除した膵頭十二指腸)2つの容器にラベルを貼り忘れ、ICUの検体置き場に
置いたまま、提出したつもりになっていた。その後、担当医は、病理診断部から患者Aの検体が
未提出であると連絡を受けた。検体置き場に置いてあった患者Aの検体4つと患者Bの検体の 1
つの合計5つの容器に患者Aのラベルを貼り、病理診断部に提出した。病理診断部では事前にカ
【背景・要因】
・手術室で検体にラベルを貼らなかった。
・検体提出時の確認が不足していた。
事例3
【内容】
3名の患者のホルマリン固定乳腺針生検の検体瓶が3本一緒に病理室に提出された。本来、検
体瓶に病理番号を記載してから、検体瓶を番号順に並べるところ、臨床検査技師は先に検体瓶を
並べた。この時に並べ順をA、B、Cとするところ、B、C、Aと並べ病理番号を記載した。3
つ目の検体Aの病理申込書の氏名と検体瓶の氏名が異なることに気付き、検体を取り違えたこと
が分かった。
【背景・要因】
○作業環境
・手狭な作業台で多くの検体を仕分ける作業。
・作業動線の悪さ。
・PC等の機材の配置、作業空間。
○システム
・病理システムを使用しているにもかかわらず、アナログな作業。
- 177 -
﹁病理診断時の検体取り違え﹂︵医療安全情報№ ︶について
ンファレンスをしており、5つの検体のうち、患者Bの検体が1つ混ざっていることに気付いた。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
53
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事例4
【内容】
患者Aからは検体1個、患者Bからは検体4個を採取した。その後、患者Aの検体1個から悪
性所見がみつかり内視鏡的粘膜下層剥離術を行ったが、切り取られた検体から悪性所見は見られ
なかった。不審に思った病理医が検体の取り違えを疑った。院内での調査と他院の検査協力により、
患者Aの検体と、患者Bの4検体のうちの1つを取り違えたことが分かった。患者Bは臨床診断
の段階から悪性所見が強く疑われ、組織検査でも4つのうち3つの検体から悪性所見が出たため、
広範囲に内視鏡的粘膜下層剥離術が行われていた。
【背景・要因】
・ 臨床検査技師が、内視鏡室から病理室に届いた検体入りのホルマリンの小瓶から、標本作製の
開始段階である専用の小容器(カセット)に検体を移す際に取り違えが起きた。
・ 患者Aの検体は1つのカセットに、患者Bの4個の検体は2個ずつ2つのカセットに入れた。
この段階で入れ違いが起きた。
事例5
【内容】
臨床検査技師は、患者Aと患者Bの生検材料を薄切後にスライドガラスに貼り付ける際、患者
Aの検体を患者Bのスライドガラスに、患者Bの検体を患者Aのスライドガラスに貼り付けた。
病理診断部の医師が担当医から聞いている情報と検査結果がかみ合わないことから取り違えに気
付いた。
【背景・要因】
・検体を薄切後、液体に浮かべるが、複数人の検体を1つの区切りに入れていた。
事例6
【内容】
皮下腫瘍の手術検体の病理診断の際、臨床検査技師は、患者Aの#−5477の標本数が25枚
と多く、途中でブロックを冷却する必要が生じたため、時間を有効に使おうとして、ブロックを
冷却装置に置き、冷やしている間にオーダ用紙のバーコードを読み取らせて標本ラベルを印刷し
ようと考えた。その際、患者Bの#−5447のオーダ用紙を読み取り、誤ったラベルを印刷し
た。病理診断部の医師が免疫染色結果とHE染色標本を鏡検した際に、間違いに気付き、上級医
に口頭で報告した。その際、誤って#−5447で打ち出したラベルを貼付した染色済5枚と、
#−5477の未染20枚を含めた標本 1 式を上級医に渡したため、そのまま患者Aに誤った診
断(末梢性T細胞性リンパ腫)がなされた。その後、患者Aは悪性リンパ腫の病期診断のための
検査を終え、他院へ転院した。約2ヵ月後、他院よりスライドの依頼があり、患者Aの正しい番
号の#−5477の未染標本を渡したところ、他院の病理診断部より末梢性T細胞性リンパ腫で
はないと連絡があり、検体取り違えに気づいた。患者Bは、ブロック取り違えが起こった当日に
末梢性T細胞性リンパ腫の正しい診断が入力・登録されていたため、通常通りの治療が行われた。
- 178 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【背景・要因】
・病理診断部の技師・医師の人数が少なく、常に忙しい。
・バーコードで検体を確認する必要性の教育が不十分であった。
・インシデント報告についての教育が不十分であった。
・ ブロックのバーコードではなく、オーダ用紙のバーコードを読み取ることは、オーダされた免
疫染色や未染標本の枚数が多い場合には時々行われていた。
・ パラフィンの付着やQRコードの傷によりQRコードが機械で読み取れないことは、今までに
も100回に1回程度あり、そのような場合には手入力することがあった。
事例7
【内容】
同日に患者A、B、Cの3名に対し、肺癌の疑いの臨床診断のため、CT下肺生検を施行し、
Ⅲ
検体が同時に病理部へ提出された。患者AをH−4999、患者BをH−4998、患者Cを
H−5002として病理部門システムで受け付けた。検体処理後、臨床検査技師Xは各々検体番号
が印字されたブロックを作製した。その際、患者3名の検体のブロックを同時に薄切したが、最初
のブロック(3個のうちのいずれかは不明)のバーコードがバーコードリーダーに認識されず、
当該検体番号が印字されたスライドガラスが出力されなかったため、病理部門システム端末に検
体番号を手入力した。その際、誤って他の患者の検体番号を入力した。残り2つの検体について
もブロックのバーコードが認識出来なかったため、同様に検体番号をシステムに手入力したが、
者B(H−4998)の番号が印字されたスライドガラスに貼付し、患者Bのブロックの切片を
患者Aの番号が印字されたスライドガラスに貼付した状態となった。患者Cの切片は、患者Cの
番号が印字されたスライドガラスに切片を貼付した。3日後、臨床検査技師YがHE染色を行い、
出来上がったHE染色標本を病理医に渡した。この際、染色を行った臨床検査技師Yはブロック
とHE染色標本との肉眼による照合を行わず、患者Aと患者Bの切片が入れ替わっていることに
気づかなかった。病理医がHE染色標本を検鏡して、患者Aを「癌あり」、患者Bを「癌なし」と
の病理診断報告を行った。その結果に基づき、患者Aは肺癌の診断で、呼吸器外科において右肺
下葉切除術を施行した。患者Bは「癌なし」の診断であったため、
呼吸器内科で経過観察となった。
しかし、患者Aの手術標本には癌がなかった。その後、呼吸器外科医師から病理部に対し、検体
取り違えがあるのではないかとの問い合わせがあり、ブロックとHE染色標本を照合した結果、
患者AとBの切片が入れ替わっていることが分かった。
【背景・要因】
・ 検体処理後ブロックを作製した際、既製品のブロックへの二次元バーコード印字不良により、
バーコードがバーコードリーダーに認識されなかったため、薄切時に臨床検査技師Xが検体番
号をシステムに手入力した。その際、臨床検査技師Xが入力する検体番号の確認を怠った。
・ HE染色標本が出来上がった際、染色を行った臨床検査技師YがブロックとHE染色標本を肉
眼で照合することを怠った。
- 179 -
﹁病理診断時の検体取り違え﹂︵医療安全情報№ ︶について
その順序については記憶していない。その結果、患者A(H−4999)のブロックの切片を患
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
53
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
事例8
【内容】
乳癌の手術の際、乳頭側断端(乳頭根部から遠位方向へメスで追加切除した遠位断端)について、
術中迅速検査を依頼した。病理部には別手術室(消化器外科患者)からの頸部リンパ節検体1と3、
及び本事例患者のセンチネルリンパ節検体2及び乳頭断端検体4が断続的に届いていた。検体3が
病理部に届いた時、臨床検査技師Xが受付を行い、検体3のシールを出力しトレイ①に置いた。薄切
後、臨床検査技師Xが検体3の染色をしている間に検体4が病理部に到着した。臨床検査技師Yが受
付をし、検体4のシールを出力した。検体3を優先処理するため、検体3のシールを右隣のトレイ②
に移し、トレイ①に検体4のシールを置いた。その後、臨床検査技師Xが検体3の染色を終え、シー
ルを貼るためにトレイ①からシール(実際は検体4のもの)を取り、シールの表示を確認しないまま
検体3に貼り、病理診断室に提出した。引き続き臨床検査技師Xは、検体4の標本作製(薄切、染色)
を行い、シールを貼ろうとしたところ、トレイ②に検体3のシールが残っていたため、この時点で検
体3と4のシールの貼り間違いに気づいた。
その間、病理部から手術室に患者氏名を確認のうえ、
「断端陽性(腺癌あり)
」との回答と画像モニ
タによる報告があった。再度、診療科(乳腺内分泌外科)から病理部に確認したが、同じ回答であっ
たため、乳頭は残すことはできないと判断した。切除範囲は最小限にし、形成外科による再建の利便
性を考えて乳頭突起のみを切除した。その15分後、病理医から別患者の検体と取り違えたため、先
ほどの報告は誤りで、実際の結果は陰性であったとの連絡があったが、既に患者の乳頭先端部は切除
された後であった。
【背景・要因】
・標本作製時、スライドガラスに直接検体番号や患者氏名が記入されていなかった。
・検体シール貼付時、きちんと確認を行わなかった。
・複数の手術室から同時に複数の検体が到着したため、臨床検査技師に精神的な余裕がなかった。
・出力したシールの置き場所について、厳密なルールがなかった。
- 180 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(3)病理検査の流れ
病理検査は、検体の採取から標本の作製、病理診断報告書の作成、報告書の確認の間に、多数の段
階にわたり複雑な工程を経る。また、病理検査は、組織診、細胞診など診断方法によって標本を作製
する工程に違いがある。例えば、手術中に行う迅速組織診の場合、脱水操作に時間のかかるパラフィ
ン包埋は行わず、凍結薄切・染色を行うなど、組織の処理や手順に違いがある1)。さらに、業務の流
れは医療機関によって必ずしも同一ではない。ここでは報告された事例内容から病理検査の流れにつ
いて簡素化した例を示す(図表Ⅲ - 3- 6)
。
図表Ⅲ - 3- 6 病理検査の流れ
主な流れ
担当医
看護師など
手術室など
検体採取
容器保存(組織固定)
内容
検体を採取する
検体容器に検体を入れる
(場合によっては、ホルマリン固定液などに浸漬)
(搬送)
検体受付・組織番号付け
到着した検体に組織(病理)番号を割り振る
必要に応じて写真撮影・切り出し、脱水・脱脂などを行う
(ここで組織を固定する場合もある)
包埋
検体をカセットに入れてパラフィン浸透を行い、パラフィン
包埋したブロックを作製する
薄切
包埋後のブロックをミクロン(μ m)単位の厚さにスライス
し、スライドガラスに貼付する
染色・封入
組織切片を染色し、封入剤を滴下後、カバーガラスを置
く
病理医
担当医
病棟など
診断・報告書の作成
病理診断報告書の確認
病理診断を行い、報告書を作成する
病理診断報告書を確認する
- 181 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
﹁病理診断時の検体取り違え﹂︵医療安全情報№ ︶について
臨床検査技師など
病理検査室内
検体処理
Ⅲ
53
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(4)事例の分類
①病理診断の種類
医療安全情報の集計以降に報告された事例を病理診断の種類で分類したところ、組織診が4件、
細胞診が2件、迅速組織診が1件であった(図表Ⅲ - 3- 7)
。
図表Ⅲ - 3- 7 病理診断の種類
病理診断の種類
組織診
細胞診
迅速組織診
検体の内容
件数
上部消化管内視鏡で採取した組織
1
CT下肺生検の組織
1
乳腺針生検の組織
1
不明
1
皮下腫瘍手術後の組織
1
膵頭十二指腸切除術後の組織
1
乳癌手術中の乳頭断端の組織
1
不明
1
合 計
8
②検体取り違えの内容
事例を取り違えの内容と発生場面で分類した(図表Ⅲ - 3- 8)。病理検査室外での検体採取時の
事例は2件、病理検査室内での検体処理時の場面の事例は6件の報告があった。発生場面で見ると、
薄切・染色時の事例が4件と多かった。
また、取り違えの内容別に見ると、
「スライドガラスへの印字(ラベル貼付)間違い」が3件、
「検
体容器へのラベルの貼り間違い」、「標本作製時の組織片の取り違え」がそれぞれ2件であった。
図表Ⅲ - 3- 8 事例の分類
取り違えの内容
発生場面
検体採取時
容器保存
(病理検査室外)
検体の受付
検体処理時
包埋
(病理検査室内)
薄切・染色
合 計
スライドガラス
合計
への印字
(ラベル貼付)
間違い
検体容器への
ラベルの
貼り間違い
検体の入った
容器の取り違え
標本作製時の
組織片の
取り違え
2
0
−
−
0
1
−
−
−
0
1
0
−
−
1
3
2
1
2
3
- 182 -
2
6
8
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
③患者への影響
事例に記載された内容から、患者への影響を分類した(図表Ⅲ - 3- 9)
。8件の事例のうち4件は、
報告書を作成する前に取り違えに気付き、患者への影響はなかったが、他4件は、病理検体を取り
違えたことにより、誤った病理診断による治療等が行われていた。
図表Ⅲ - 3- 9 患者への影響
患者への影響
内容
件数
影響なし
報告書を作成する前に取り違えに気づいた
4
影響あり
誤った病理診断によって治療等が行われた
4
そこで、「影響あり(誤った病理診断によって治療等が行われた)
」の事例4件について、行われ
た治療等をまとめた(図表Ⅲ - 3- 10)。3件は検体を取り違えたことにより、本来は不要であっ
た手術や処置が行われ、1件は誤った診断により転院になった事例であった。
Ⅲ
図表Ⅲ - 3- 10 誤った病理診断による治療等
取り違えに
気づいた時期
転院後
誤った病理診断による治療等
患者A
患者B
4
誤って「悪性所見あり」と診断され、 複数採取した他の検体からも悪性所見が
本来しなくてもよい内視鏡的粘膜下層 出ていたため、正しく診断され、広範囲
剥離術を行った。
の内視鏡的粘膜下層剥離術を行った。
7
誤って「肺癌」と診断され、本来しな 誤って「癌なし」と診断され、呼吸器
くてもよい右肺下葉切除術を施行した。 内科で経過観察とした。
8
誤って「断端陽性」と診断され、本来 診 断 前 に 取 り 違 え に 気 づ い た た め、
しなくてもよい乳頭先端部を切除した。 正しい診断がなされた。
6
誤って「悪性リンパ腫」と診断され、 もともと、正しい診断である「末梢性
T細胞性リンパ腫」と入力・登録され
転院した。
ていたため、通常の治療が行われた。
(転院後の詳細は記載なし)
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
﹁病理診断時の検体取り違え﹂︵医療安全情報№ ︶について
治療後
事例
番号
53
- 183 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(5)事例の背景・要因
①取り違えの場面と内容
取り違えた場面と内容を図表Ⅲ - 3- 11にまとめた。検体採取後の容器保存時や病理検査室内
での標本作製時において、複数の患者の検体やラベルが同時に存在している。例えば別の患者のラ
ベルと取り違えると、検体が別の患者の組織として取り扱われ、誤った報告が行われている。
検体として提出された組織や、病理検査室で処理中の検体には直接患者名を記載することができ
ないため、検体に患者を特定する情報としてラベルを作成・貼付したり、正しい順番に並べその通
りに取り扱う必要が生じる。したがって、一つ一つの作業を行う際に患者を特定する情報の十分な
確認が必要である。検体が複数存在する状況でも、どの患者のものか特定できる工夫や他患者の情
報が混在しない手順の確立が必要であろう。
図表Ⅲ - 3- 11 取り違えた場面と内容
病理検査室外
取り違えた
場面
容器保存
内容
検体容器にラベルを貼付する際、別の患者のラベルが残っており、医師は確認しないま
ま貼付した
患者2名分の検体を提出する際、医師は誤って別の患者の名前のラベルを貼付した
臨床検査技師は、検体容器を病理番号順に並べるところ、並べる順番を間違えた
包埋
臨床検査技師が検体を検体容器からカセットに移す際に、患者Aと患者Bの検体を取り
違えた
病理検査室内
検体受付
薄切後、検体を液体に浮かべる際に患者Aと患者Bの検体を一つの区切りに入れたため
取り違えた
薄切・染色
標本ラベルを印刷する際、臨床検査技師は別の患者のオーダ用紙のバーコードを読み取
り、誤ったラベルを貼付した
スライドガラスに印字する際、臨床検査技師はバーコードが読み取れず手入力したとこ
ろ、別の患者の番号を誤って入力した
臨床検査技師 X が別の患者の検体を染色している間に、臨床検査技師 Y が次の患者のシー
ルを置いたため、誤ったシールを貼付した
②検体取り違えに気づいた契機
検体取り違えに気づいた契機を図表Ⅲ - 3- 12にまとめた。報告書作成前に気付いた事例にお
いては、検体の患者名と病理伝票(または申込書)の照合により取り違えに気付いた事例があり、
検体の取扱いや照合作業について手順を明確にしておくことの重要性が示唆される。
また、診断時に気付いた事例2件は、事前に入手していた情報と診断結果の齟齬から取り違えが
分かった事例であった。患者の担当医から臨床所見などの情報を入手しておくことは、病理診断時
の情報だけでなく、取り違えに気付く契機になっている。
誤った病理診断が報告された事例は、手術を行った後、提出された検体から悪性所見がないこと
から気付いた事例が2件、転院した病院から診断が誤っていると連絡があった事例などであった。
- 184 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 3- 12 検体の取り違えに気づいた時期とその契機
取り違えに
気づいた時期
取り違えに気づいた契機
報告書作成前
病理検査室
提出時
病理検査部の担当者が、到着した検体の患者名と病理伝票の名前が違うことに気付いた
検体受付後
臨床検査技師は、3つ目の検体の病理番号を記載する際、病理申込書の氏名と検体容器の
氏名が異なることに気付いた
診断時
病理診断部医師が担当医から聞いている情報と検査結果がかみ合わないことから、取り違
えに気付いた
病理診断部医師は、事前にカンファレンスをしており、提出された5つの検体のうち、
別の患者の検体1つが混ざっていることに気付いた
誤った病理診断後
悪性所見のため内視鏡的粘膜下層剥離術を行ったが、切り取られた検体に悪性所見が見ら
れなかった
治療後
臨床検査技師が次の患者の検体を処理後、シールを貼ろうとしたところ、トレイ内に前に
処理した患者のシールが残っていたため、シールを貼り間違えたことに気付いた。術中迅
速診であったため、すでに誤った報告がなされ、切除不要の乳頭先端が切除されていた
転院後
Ⅲ
右肺下葉切除術を施行した患者の検体に癌がなかったため、呼吸器外科医師から病理部に
対し、検体取り違えがあるのではないかとの問い合わせがあった
転院した病院よりスライドの貸し出しの依頼があり、患者本人の未染標本を渡したところ、
他院の病理診断部より悪性リンパ腫ではないと連絡があった
事例が発生した医療機関の主な改善策を以下に示す。
①容器保存時
・検体を採取した手術室で検体の容器に氏名を記載する。
②検体受付時
・ 「検体到着確認」と「病理申込書にバーコード貼付及び検体瓶に病理番号記載」の過程は2名
で声だし確認しながら行う。
・検体瓶を並べる際に縦横の仕切り板を利用し、前後左右で入れ違いが起こらないようにする。
・ 針生検の検体の受付について、同じ臓器に連続して病理番号を発番しないことをマニュアルに
定め徹底する。
﹁病理診断時の検体取り違え﹂︵医療安全情報№ ︶について
(6)事例が発生した医療機関の改善策について
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
53
・病理申込書にラベルを貼付する工程と検体瓶を並べる工程の順番をマニュアルに定め遵守する。
③検体処理時
・ 切出し時は、「病理申込書と検体を確認する」者と「切出しを行う」者の2名で行い、声に出
して確認する。
・ 切出し終了後の検体瓶とカセット、病理申込書について、氏名および病理番号、個数を再度確
認する。
- 185 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
④包埋時
・ 検体入りの小瓶からカセットに移す前に、依頼書(氏名、検体番号)
、検体の入ったホルマリン
容器、カセット(検体番号)をまとめて写真に撮り記録を残し、その後に作業を行う。更に、
翌週の担当者が依頼書とともに写真を再チェックする。
⑤薄切・染色時
・複数個同時処理していたものを、確実に一つ一つ処理することとする。
・全ての検体のスライドガラスに標本番号を記載する。
・スライドガラスに貼り付ける時は2名でブロック番号と薄切した検体の形を確認する。
・バーコードが機械で読み取れなかった場合には必ず2人以上で番号の入力を行う。
・臨床検査技師は、検体番号、患者氏名、検体個数を確認し、ブロックとの照合を必ず行う。
・標本シール貼付時、声だし及び指差し呼称による確認を徹底する。
・臨床検査技師は、トレイに優先処理の順位を明示し、優先順位に従って検体処理を行う。
⑥病理診断時
・ 病理診断時、病理医はスライドガラス記載の標本番号と貼付シールの番号を照合し、記載がな
い場合や番号不一致の場合は、再度標本を作製し直す。
⑦その他
・検体処理マニュアルの周知徹底を図る。
・ 今後、検体及び標本等の確認をすべて2名体制で実施することにより再発防止を図るとともに、
確認の指示を明記した文章を病理部マニュアルに追加記載した。
・標本作製の際には常にバーコードを使用するよう、指導を徹底する。
・標本ラベルを印刷するパソコンにバーコードの使用とダブルチェックを促す貼紙を貼る。
(7)まとめ
本報告書では、医療安全情報 No. 53「病理診断時の検体取り違え」について、報告された再発・
類似事例8件を紹介した。事例を分類したところ、病理診断の報告前に取り違えに気付いた事例が
4件、誤った診断が報告されたことにより本来であれば不要な手術・処置等が行われた事例が4件で
あった。それらの取り違えた場面や取り違えに気付いた契機などを整理し、医療機関が報告した改善
策を掲載した。
病理検査室においては、病理医が診断する標本を作製するまでに複雑な工程がある。また、同時に
複数の検体が存在することがあり煩雑になりやすい。そのため、一つ一つの工程を確実に行う必要が
ある。また、検体が複数存在する状況になっても、他患者の情報が混在しない工夫が必要であろう。
今後も引き続き類似事例の発生について注意喚起するとともに、その推移に注目していく。
(8)参考文献
1. スタンダード病理学 病理検査のすべて.大西俊造,梶原博毅,神山隆一.文光堂.2007年
8月17日.第1版第4刷発行.
- 186 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【3】共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」
(第15回報告書)
について
(1)発生状況
第15回報告書分析対象期間(2008年7月1日∼9月30日)において眼内レンズに関連した
事例が報告され、
「共有すべき医療事故情報」として取り上げた。また、第24回報告書分析対象期間
(2010年10月1日∼12月31日)及び第27回報告書分析対象期間(2011年7月1日∼
9月30日)において、類似の事例が報告されたことを受け、
「再発・類似事例の発生状況」として
取りまとめた。
その後も類似の事例は継続的に報告がなされており、本報告書分析対象期間(2016年1月1日
∼3月31日)においても類似の事例が3件報告されたため、再び取り上げることとした。
第27回報告書分析対象期間以降(2011年10月1日∼2016年3月31日)に報告された
Ⅲ
「眼内レンズに関連した事例」の類似事例の報告件数を図表Ⅲ - 3- 13に示す。
図表Ⅲ - 3- 13「眼内レンズに関連した事例」の報告件数
1∼3月
(件)
4∼6月
(件)
7∼9月
(件)
10∼12月
(件)
合計
(件)
1
1
2011年
0
0
3
1
4
2013年
1
1
0
0
2
2014年
1
1
3
3
8
2015年
0
0
4
0
4
2016年
3
―
―
―
3
(2)事例概要
本報告書分析対象期間に報告された事例3件の概要を以下に示す。
事例1
【内容】
患者は手術のため、術前検査を受けた。眼内レンズの度数決定に際して、眼軸長の測定値が
24.36mmであるところを、21.36mmと入力したため、誤った計算がなされた。
その後、左眼硝子体手術 + 水晶体再建術(眼内レンズNX60+26.
0D)を施行し、退院した。
たが、左眼屈折率が−7Dの近視であることが判明した。患者と相談し、眼内レンズの入れ替え
を行うことを決定し、入院申し込みを行った。その際に、眼内レンズの度数を再度計算し、初回
手術時に眼内レンズの度数が誤っていたことに気づいた。患者に経緯を説明し、眼内レンズの入れ
替え手術(眼内レンズNX60+15.0D)を行った。
- 187 -
回報告書︶について
約40日後、左眼の遠くが見にくいという患者の訴えがあった。左眼矯正視力は0.9と良好であっ
共有すべき医療事故情報﹁眼内レンズに関連した事例﹂︵第
2012年
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
15
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
【背景・要因】
・ 通常は光学式眼軸長測定装置を用いて眼軸長の測定を行うが、今回は硝子体出血のため光学式
眼軸長測定装置では測定できなかった。そこで、旧式の超音波式A−mode法による眼軸長
測定を行った。
・ 超音波式A−mode法は眼球接触型であることから測定値のばらつきや眼球圧迫による測定
誤差などの問題点がある。そこで、検者は何度か測定を行い、硝子体に出血がありながらも波
形のきれいなデータを選択する必要があった。そうして得られた眼軸長を、機械のタッチパネ
ルを操作し、入力する際に誤りが生じた。
・ 外来が混み合っていたため、視能訓練士の手が空かず、手の空いた処置担当の医師が検査を代
行した。
・観察が不十分であった。
・多忙であった。
事例2
【内容】
白内障手術施行時、予定していた度数と異なる眼内レンズを挿入し、手術を終了した。
【背景・要因】
・眼内レンズの指示書記載を締め切った後に、指示書の変更をした。
・変更した事を連絡しなかったため、変更前の眼内レンズが挿入された。
・術前のタイムアウト時に執刀医は眼内レンズの確認をせず、挿入前に助手が確認をした。
事例3
【内容】
患者にオーダと違う度数の眼内レンズが挿入された。通常、助手が医局から眼内レンズを持参す
るが、当日は助手が他患者の診察があったため執刀医が持参した(持参したオーダ用紙と眼内レン
ズは異なる度数のものの組み合わせであり、複数人分であった)
。執刀医はオーダ用紙と眼内レンズ
を照らし合わせて確認することなく手洗いを行った。手順書では、外回り看護師がダブルチェックを
行うことになっているが確認をしなかった。タイムアウトの際もオーダ用紙と眼内レンズを照らし合
わせて確認しなかった。執刀医からレンズは大丈夫と言われたため術野に出す際も眼内レンズとオー
ダ用紙を照らし合わせて確認しなかった。眼内レンズの間違いに気付かず手術が終了し患者は退室
した。
その後2件目の手術患者入室前に、執刀医と外回り看護師が眼内レンズの確認をした際、眼内
レンズとオーダ用紙の度数が異なり、1 件目に使用した眼内レンズの間違いに主治医が気付いた。
【背景・要因】
・中央手術部内での眼内レンズ取扱い手順が形骸化され、確認が徹底されていなかった。
・通常、助手がオーダ用紙と眼内レンズを確認しているが、助手が不在であり執刀医が行なった。
・外回り看護師は、執刀医が手術室到着後すぐに手洗いを始めたため慌てていた。
・消毒終了後に助手が来てすぐに手洗いに行き、タイムアウトは手を止めて行わなかった。
- 188 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(3)検査∼眼内レンズ挿入までの段階
眼内レンズの度数の計算は様々であるが、角膜曲率半径、前房深度、水晶体厚および眼軸長などを
測定した結果から計算する。眼内レンズの度数の決定は必ずしも正視の状況になることを求めるので
はなく、患者のQOLや希望に合わせた選択がなされる。患者に検査から眼内レンズが挿入されるま
での主な段階を、A)検査、B)検査値入力・転送、C)度数決定、D)オーダ、E)準備、F)実施、
に分けそれぞれの具体的な内容を次に示す。
A)検査 光学式生体計測装置により角膜曲率、前房深度、水晶体厚および
眼軸長を測定する
B)検査値入力・転送 検査値を度数の計算機に入力あるいは転送する
C)度数決定 検査値の結果を基に眼内レンズの度数を計算し、使用する眼内レンズ
の度数を決定する
D)オーダ 眼内レンズをメーカー担当者へオーダ、あるいは施設内でストックさ
Ⅲ
れている眼内レンズをオーダする
E)準備 オーダされた眼内レンズを手術室に準備する
F)実施 眼内レンズを清潔野に出し、患者へ眼内レンズを挿入する
(4)事例の分類
第27回報告書分析対象期間(2011年7月1日∼9月30日)以降、本報告書分析対象期間ま
間違い、に大別した(図表Ⅲ - 3- 14)
。
検査値の間違い9件の内訳は、眼軸長測定値、角膜曲率半径などの検査値の入力の間違いが7件、
IOLマスタから検査値を患者の電子カルテに送信する際に、他の患者の検査値を送信した間違いが
2件であった。
眼内レンズの間違い12件の内訳は、他の患者に準備した眼内レンズの使用が7件、準備した眼内
レンズの度数の間違いが4件、指示変更の情報伝達の間違いが1件であった。
図表Ⅲ - 3- 14 事例の分類
事例の分類
件数
検査値の間違い
9
7
他の患者の検査値を送信
2
眼内レンズの間違い
12
指示変更の情報伝達の間違い
1
準備した眼内レンズの度数の間違い
4
他の患者に準備した眼内レンズの使用
7
手術患者の同定間違い
1
合 計
22
- 189 -
回報告書︶について
検査値の入力の間違い
共有すべき医療事故情報﹁眼内レンズに関連した事例﹂︵第
でに報告された事例22件を、1)検査値の間違い、2)眼内レンズの間違い、3)手術患者の同定
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
15
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(5)事例の内容
報告された事例22件を間違いが発生した段階ごとに整理し、図表Ⅲ - 3- 15に示す。
図表Ⅲ - 3- 15 間違いが発生した段階
事例の分類
検査値の間違い
検査値の
入力の
間違い
眼内レンズの間違い
準備した 他の患者に
手術患者の
他の患者の 指示変更の
眼内レンズ 準備した
同定間違い
検査値を 情報伝達の
の度数の 眼内レンズ
送信
間違い
間違い
の使用
合計
段階
検査
0
0
0
0
0
0
0
検査値入力・転送
7
2
0
0
0
0
9
度数決定
0
0
0
0
0
0
0
オーダ
0
0
1
3
0
0
4
準備
0
0
0
1
2
0
3
実施
0
0
0
0
5
1
6
7
2
1
4
7
1
22
合 計
①検査値の間違い
検査値の間違いが発生した段階はすべて『検査値入力・転送』であった。そのうち「検査値の入
力の間違い」は、検査値は正しく測定されたが、眼内レンズの度数決定の際に、眼軸長の測定値が
24. 36mmであるところを21. 36mmと入力し誤った計算がなされた事例、医師が測定値を
入力した際、眼軸長22.
92mmのところを29.92mmと入力を間違えた事例、などであった。
また、「他の患者の検査値を送信」は、IOLマスタを使用し、検査値の測定から計算までは機
械で自動的に行われたが、その検査値を患者の電子カルテに転送した際に、他の患者の検査値を誤
送信した事例であった。検査値を入力したり、転送する際に誤りが発生しており、第三者が入力さ
れたデータを確認するなどチェック体制を検討することが重要である。
②眼内レンズの間違い
「指示変更の情報伝達の間違い」が発生した段階は『オーダ』であり、オーダ変更の際、眼内レ
ンズの指示書記載を締め切った後に、指示書を変更した事の連絡を怠ったため、変更前の眼内レン
ズが挿入された事例であった。
「準備した眼内レンズの度数の間違い」が発生した段階は、『オーダ』が3件、『準備』が1件で
あった。『オーダ』で発生した事例は、主治医はカルテの度数を眼内レンズ確認用紙に転記した際に、
+23. 5Dのところ誤って+13. 5Dと記載した事例、手書きの用紙に患者に使用する眼内レン
ズを+7.
0Dと記載したが、数字が判別しにくく、メーカー担当者が+20.
0Dと読み違えた事
例、などであった。
『準備』の段階で発生した事例は、正しいオーダはなされたが、眼内レンズのパッ
ケージに表示された度数を見間違って25. 5のところ22. 5の度数の眼内レンズを準備した事例
であった。
- 190 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
「他の患者に準備した眼内レンズの使用」の間違いが発生した段階は、
『準備』が2件、
『実施』
が5件であった。『準備』で発生した事例は、前の手術の患者の残りのレンズが当該患者のカルテ
の上に置かれて準備されており、そのまま使用した事例、
『実施』で発生した事例は、手術室で患
者のカルテが入れ替わっており、そこに記載された眼内レンズを清潔野に出した事例、などであっ
た。
医療機関では、多くの患者の眼内レンズ挿入のニーズに答えるため、同じ術式の患者の手術を並
行して複数件行ったり、手術の進捗状況により患者の順番や手術室を替えるなど、状況に応じて効
率的な運用を行っている。その中で、慌しく手術の準備が行われている現状が推測された。
③手術患者の同定間違い
「手術患者の同定間違い」が発生した段階は『実施』であり、他の医師より次は患者Bの手術と
聞いた術者は誤って手術用ベッドに案内されていた患者Aに「Bさん」と声をかけ手術を開始し、
助手の医師から渡された患者Bの眼内レンズを患者Aに挿入した事例であった。
Ⅲ
(6)事例の主な背景・要因
報告された事例の内容から①検査値の間違い、②眼内レンズの間違いについての主な背景・要因を
以下に整理した(図表Ⅲ - 3- 16、図表Ⅲ - 3- 17)
。
①検査値の間違い
事例から、業務に習熟していない医師による作業など、通常とは異なる状況下であったことや、
入力した検査値を後で見直す工程や、確認の工程の取り決めを検討することは重要である。
また、カルテへ検査値を転送する際、医療者が送信元と受信先の患者氏名やIDを確認すること
とともに、他の患者の検査値が誤って送られたとしても、システムでブロックできる仕組みを検討
することは重要である。
共有すべき医療事故情報﹁眼内レンズに関連した事例﹂︵第
入力作業が煩雑である現状が伺えた。緊急を要して眼内レンズの度数を決定することは少ないため、
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
回報告書︶について
15
- 191 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 3- 16 ①検査値の間違いに関する背景・要因
【検査値の入力の間違い】
○測定時
・ 通常使用する光学式眼軸長測定装置では硝子体出血のため測定できず、旧式の超音波式A - mode法
による眼軸長測定を行った。硝子体に出血があるため何度も測定を行い、波形のきれいなデータを選択
する必要があった。
○入力時
・ 外来が混み合っていたため、視能訓練士の手があかず、手のあいた処置担当の医師が検査を代行し、デー
タ入力をした。
・ 測定した眼軸長を用いて手入力で眼内レンズ計算を行う方法をとった。測定した眼軸長を一度紙に記載
する際に左右を間違えて記載していた。
○入力後
・データ入力のミスがあった際、ダブルチェックを行わなかったため気づけなかった。(複数報告あり)
・ 通常眼内レンズの度数確認は執刀医と主治医にてダブルチェックを行うが、
今回は執刀医が主治医であっ
たため、他者との確認が不十分であった。
・ 入力した値をダブルチェックで目視確認したが、22.59と25.59と見間違いやすい数字であり気
づかなかった。
○その他
・ 眼軸長・角膜厚測定装置は導入後 10 年以上経過しているもので、測定したデータが残らない。そのため、
データの入力を1回ごとに行わなければならないため入力作業が煩雑であった。
【他の患者の検査値を送信】
○送信時
・ 計測装置(IOLマスタ)は外来システムから出される伝票に印刷された患者認証用バーコードから立
ち上げが可能だが、眼科サブシステムのNAVISは患者IDを手入力しなければ立ち上げはできない。
NAVISは異なる患者のID番号の患者データであっても受信可能であり、他の患者のIDを入力した。
・ 計測装置(IOLマスタ)で得られた結果を電子カルテに転送する際、以前に撮影された他の患者データ
を削除してから転送しなければならないところ、削除をせずに、他の患者のデータも一緒に転送された。
・計測装置からNAVISにデータを転送する際、医師は患者IDなどによる照合を行っていなかった。
○その他
・ 外来患者数、手術件数などが多く多忙であり、検査や業務の合間を縫って、気付いた医師が時間のある時
にデータ送信やレンズの選択を行っていた。そのため、作業の中断が頻繁に発生する状況にあった。
②眼内レンズの間違い
手術室への眼内レンズの搬送や、手術室内での準備の際、まとめて複数の患者の眼内レンズを取
り扱う場合、どの場面で誰がどのように確認するのかなどを医療機関内で明確に取り決めておくこ
とが重要である。眼内レンズを置く場所や未使用のレンズを置く場所などの取り決めについて、医
師や看護師が共通認識しておくことが重要である。
また、間違った眼内レンズが準備されていても、手術直前にカルテに記載された眼内レンズの度
数と準備された眼内レンズのパッケージに表示された度数を照合することで、患者に誤った眼内レ
ンズを挿入することは防ぐことができる。手術直前の度数の照合をどのように行うかについて、煩雑
な業務やスタッフの数が限られた中でもチェックが有効に機能する方法を医療機関内で検討するこ
との重要性が示唆された。
- 192 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
図表Ⅲ - 3- 17 ②眼内レンズの間違いに関する背景・要因
【準備した眼内レンズの度数の間違い】
○眼内レンズ確認用紙の記載時
・ 眼内レンズ確認用紙に記入する際には、カルテの度数を確認して記入するが、確認が不十分で思い込み
により誤った数字を記入した。(複数報告あり)
○オーダの判読時
・眼内レンズのオーダシートが手書きであるため、7. 0が20. 0と判読された。
(数字の判読間違い、複数報告あり)
○準備時
・医師が医局から眼内レンズを持ち出す際に、間違ったレンズを持ち出した。
・手術の当日の慌ただしい中、22. 5を25. 5と見誤り準備し、手術で使用した。
○手術時
・手術直前にカルテで眼内レンズの度数を確認する習慣がなく、医師・看護師ともに最終確認を怠った。
・ タイムアウトでは局所麻酔での利点を活用し、患者に氏名や左右について言ってもらっていたが、医療者
の声出しによるレンズ度数確認は実施していなかった。
Ⅲ
・手術室内での眼内レンズ取扱い手順が形骸化され、確認が徹底されていなかった。
・ 通常助手がオーダ用紙と眼内レンズを確認しているが、助手が不在であり執刀医が行なった。消毒終了
後に助手が来たが、タイムアウトは手を止めて行わなかった。
・白内障手術は、短時間の入れ替わりで手術が開始されるため、確認する時間の余裕がない。
【他の患者に準備した眼内レンズの使用】
○手術室への搬送
・手術予定の患者の1日分の眼内レンズをまとめて手術室に持参していた。
・眼内レンズの搬送、挿入などの手順において、医師のみが関わる運用となっていた。
○手術室での管理
・眼内レンズの置き場所が特定されていなかった。(複数報告あり)
・前の患者の残りのレンズが、当該患者のカルテの上に置かれていた。
・未使用のレンズ、使用後のレンズの取り扱いが医師によって異なっていた。
○手術時の確認
・眼内レンズを出す時に患者の名前を確認しなかった。(複数報告あり)
・ 医師や看護師は眼内レンズの度数や種類があっていることを伝票で確認したが、患者名を確認しなかっ
た。
・ タイムアウト時に眼内レンズが用意されていることは確認したが、外来カルテの患者名と眼内レンズの
種類や度数を声に出して確認しなかった。
・手術患者一覧表が小さく、医師は患者氏名を確認しにくかった。(複数報告あり)
○その他
・ 手術は通常1部屋で8人程度の手術が予定されており、2部屋で手術を行っているが、緊急手術が入り
順番の入れ替え、部屋の変更があった。
・外回り看護師の業務量が多い。
- 193 -
回報告書︶について
・眼内レンズの準備から開封までは医師1人で行っており、別の人と確認作業を行っていなかった。
共有すべき医療事故情報﹁眼内レンズに関連した事例﹂︵第
・ 眼内レンズのストックは病棟にあり、前日までに医師が準備し、手術当日にその日の手術患者分全てを
まとめて1人の医師が手術室に搬送していた。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
15
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(7)事例が発生した医療機関の改善策について
事例が発生した医療機関から報告された事例の①検査値の間違い、②眼内レンズの間違いについて、
主な改善策を次に整理した。
①検査値の間違い
1)検査値の入力や入力時の確認に関すること
・眼軸長・角膜厚測定装置を活用しデータの手入力は極力避ける方法を選択する。
・データ入力が必要な場合は、ダブルチェックを行う。(複数報告あり)
・ 左右の出力したデータ(眼軸長、角膜径)と計算した眼内レンズの度数表に間違いがないか
医師2名でダブルチェックを行う。
・ 入院主治医は、担当している患者の眼内レンズの計測データのIDと、眼内レンズオーダの
IDが一致していることを確認する。
2)システムに関すること
・ 計測装置の患者リストから患者を選択する際、バーコードリーダーを使用し患者IDを読み取
ることで、計測装置内にある患者データが展開できる仕組みに変更した。
・ NAVISの業者にシステムの改良を依頼し、計測装置の患者IDとNAVISの患者IDが
一致しないとデータは送信ができない仕様とした。
②眼内レンズの間違い
1)オーダ時の記載に関すること
・レンズオーダーシートは手書きでなく、ワープロでの入力とする。
2)手術室での眼内レンズの管理に関すること
・手術室の眼内レンズの置き場所を特定する。
・ まとめて持参したレンズは、手術室前廊下にレンズ専用の棚を設置し、助手が患者氏名、左右、
オーダ用紙と合っているかを確認してから、順番に収納する。手術室には当該患者の眼内レンズ
以外は持ち込まない。
3)手術時の確認に関すること
・ 手術直前には、カルテでレンズの度数確認を行う。可能であれば、
患者にもレンズの度数を伝え、
確認行動に参加いただく。
・タイムアウトのルールの項目の中にレンズの種類と度数を含める。(複数報告あり)
・ タイムアウト時に患者名・術眼・レンズ種類・度数・目標度数・眼内レンズ本体を声に出して
確認した上で、眼内レンズを開封する。(複数報告あり)
・ 包装箱からレンズを取り出す際、包装箱の度数とカルテに記載のある度数が一致しているか指
差し呼称により確認する。
4)その他
・ 多数の患者の入れ替えに伴うあわただしさ、精神的負担を含め、コミュニケーションエラーを
減らすための協力体制を整える。
- 194 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
(8)まとめ
本報告書では、眼内レンズに関連した事例について、本報告書分析対象期間(2016年1月1日∼
3月31日)に報告された事例3件を紹介するとともに、第27回報告書分析対象期間以降(2011年
10月∼2016年3月)に報告された22件について、1)検査値の間違い、2)眼内レンズの間違い、
3)手術患者の同定間違いに大別した。
検査値の間違いでは、入力した検査値を後に見直す工程や、確認の工程の取り決めを検討すること
は重要であることが示唆された。
眼内レンズの間違いでは、眼内レンズを置く場所や未使用のレンズを置く場所等の取り決めについ
て、医師や看護師が共通認識しておくことが重要である。また、間違った眼内レンズが準備されてい
ても、手術直前にカルテに記載された眼内レンズの度数と準備された眼内レンズのパッケージに表示
された度数を照合することで、患者への誤った眼内レンズの挿入を防ぐことができる。手術直前の確
認が有効に機能するように、医療機関内で検討することの重要性が示唆された。
今後も引き続き類似事例の発生について注意喚起するとともに、その推移を注目していく。
Ⅲ
共有すべき医療事故情報﹁眼内レンズに関連した事例﹂︵第
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
回報告書︶について
15
- 195 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
- 196 -
参考 医療安全情報の提供
2006年12月より医療事故情報収集等事業において、報告書、年報を作成・公表する情報提供
に加え、特に周知すべき情報を医療安全情報として、事業に参加している医療機関などに対してファッ
クスなどにより提供することとした。
【1】目的
医療事故情報収集等事業で収集した情報に基づき、特に周知すべき情報を提供し、医療事故の発生
予防、再発防止を促進することを目的とする。
【2】対象医療機関
① 医療事故情報収集・分析・提供事業の報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関
② ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の参加医療機関
③ ファックスによる情報提供を希望した病院
なお、事業に参加していない病院からも、ファックスによる情報提供の依頼を随時受け付けている。
また、2015年12月にも医療安全情報の提供を受けていない病院に対し、第5回目の情報提供の
希望を募った。医療安全情報 No. 111より、約6,
000医療機関へ情報提供を行っている。
【3】提供の方法
主にファックスにより情報提供している。
【4】医療安全情報
2016年1月∼3月分の医療安全情報 No. 110∼ No. 112を以下に掲載する。
(注)公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 197 -
参考
なお、本事業のホームページ(注)にも掲載し、広く社会に公表している。
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.110 2016年1月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
誤った患者への輸血
医療
安全情報 (第2報)
No.110 2016年1月
「誤った患者への輸血」
を医療安全情報No.
11
(2007年10月)
で情報提供致しました。
その後、
8年5ヶ月の間に17件の類似事例が報告されています(集計期間:2007年
7月1日∼2015年11月30日)。この情報は、第34回報告書「再発・類似事例の発生
状況」
(P191)
で取り上げた内容を基に作成しました。
輸血用血液製剤を接続する直前に、
患者と使用
すべき製剤の照合を行わなかった事例が再び
報告されています。そのうち13件は、照合に
用いる認証システムがあったにもかかわらず、
使用しなかった、
または使用したが適切でなか
った事例です。
認証システム
件数
の使用状況
使用が適切でなかった内容
件数
3
使用しなかった
5
患者から離れた場所で認証システムを使用
し、別の患者のところに製剤を持っていった
使用した
8
認証システム使用後に製剤を保冷庫に保管し、
2
投与する際に別の患者の製剤を取り出した
認証システムに血液型が異なるというエラー
表示が出たが、機械の故障と判断した
1
認証システムの画面が進まない理由を、医師
の指示に問題があると判断した
1
投与開始後に認証システムを使用した
1
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参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業
医療
No.110 2016年1月
安全情報
誤った患者への輸血
(第2報)
事例1
医師は、輸血部から患者AのRCC-LR(A型)が届いた際、伝票と製剤の照合に続いて開始入力(患者
と製剤の照合)
を行った。
しかし、FFPを輸血中であったため、看護師XにRCC-LRを保冷庫に保管する
よう伝えた。看護師Xはベッド番号を記入したトレイにRCC-LRを入れて保冷庫に保管し、
「開始入力済」
であると看護師Yに申し送った。看護師Yは、患者AのRCC-LRを準備する際、
トレイの番号を見誤り、
患者BのRCC-LR(AB型)
を取り出し、点滴棒にかけた。その後、看護師Yは看護ケア中にFFPが終了
することに気づき、点滴棒にかけていた患者BのRCC-LRを、照合しないまま接続した。患者Bの輸血
がないと報告があったため確認したところ、患者Aに患者BのRCC-LRを投与したことがわかった。
事例2
患者(A型)
にFFPが投与されていた。看護師は次に投与するFFPを準備をする際、冷凍庫から患者A
(A型)のFFPを取り出すつもりで、引き出しが上下に隣接しており残数も同じO型のFFPを取り出し、
確認しないまま解凍器にセットした。その後、バーコードによる輸血認証をしたところ、血液型が異なる
というエラーが認証システムの画面上に表示されたが、看護師はエラーは機械の故障によるものと
思い込み、そのまま接続した。輸血伝票の処理を行っていた際、輸血バッグに付いているシールの色が
違うことに気づき、誤ったFFPを投与したことが分かった。
事例が発生した医療機関の取り組み
・院内の輸血マニュアルを遵守し、輸血用血液製剤を接続する直前に、患者と
投与する製剤の照合を行う。
・患者と製剤の照合は、投与直前に患者のそばで行いましょう。
手を止めて原因を確認しましょう。
・認証システムにエラーやアラートが出た際は、
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
本事業の一環として総合評価
部会の専門家の意見に基づき、
医療事故の発生予防、
再発防止のために作成されたものです。本事業の趣旨等の詳細については、
本事業
ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
▼カラー版はこちらから▼
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故防止事業部
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-4-17 東洋ビル
電話:03-5217-0252 FAX:03-5217-0253
http://www.med-safe.jp/
- 199 -
参考
総合評価部会の意見
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.111 2016年2月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.111 2016年2月
パニック値の緊急連絡の遅れ
検査値が医療機関内で取り決められたパニック値であったにもかかわらず、医師へ
の緊急連絡が遅れた事例が3件報告されています(集計期間:2012年1月1日∼
2015年12月31日)。この情報は、第42回報告書「個別のテーマの検討状況」
(P152)
で取り上げた内容を基に作成しました。
パニック値の緊急連絡が医師に伝わらなかった
ため、患者の治療が遅れた事例が報告されて
います。
検査項目
検査値
背景
グルコース
・臨床検査技師は、昼休憩の時間帯で人数
800mg/dL が少なかったため余裕がなく、報告を
忘れた
グルコース
・臨床検査技師は、内科外来に電話したが
892mg/dL 誰も出ず、電子カルテ上患者の会計が
終了していたので報告しなかった
カリウム
・臨床検査技師は、外来看護師に伝えた
が、すでに入院しているため病棟に電話
6.4mEq/L するよう言われ、病棟看護師に伝えた ・病棟看護師は、主治医不在時の連絡方法
を知らなかった
- 200 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業
医療
No.111 2016年2月
安全情報
パニック値の緊急連絡の遅れ
事例1
診察前に実施した血液検査でヘモグロビン値が低下していたため、
鉄剤を処方され、
患者は
帰宅した。診察時、
血糖値は
「検査中」
と表示されていたが、
実際は異常値で再検中であった。
患者の血糖値は800mg/dLであったため、本来であればパニック値として検査部より医師
に報告するところ、臨床検査技師は昼休憩の時間帯で人数が少なかったため余裕がなく、
連絡を忘れた。10日後、患者から倦怠感があると電話があり、医師が前回の検査結果を
確認したところ血糖値が800mg/dLであったことが分かり、入院となった。
事例2
外来で採血後、患者は入院した。患者は全身倦怠感があり、血圧80/50mmHg、呼吸促迫
状態でSpO2が89%であることを病棟看護師は確認した。臨床検査技師は血清カリウム値
がパニック値(6.4mEq/L)であったため、再検後に外来看護師に報告した。外来看護師
より、病棟に直接連絡してほしいと依頼があり、臨床検査技師は病棟の看護師に報告した。
病棟看護師は主治医が不在時の連絡方法を知らず、パニック値が医師に伝わらなかった。
事例が発生した医療機関の取り組み
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
本事業の一環として総合評価
部会の専門家の意見に基づき、
医療事故の発生予防、
再発防止のために作成されたものです。本事業の趣旨等の詳細については、
本事業
ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
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参考
・検査値がパニック値であった場合の報告手順を院内に周知する。
・検査部では、パニック値の連絡を行った際、検査結果、連絡者、
連絡先医師名を記録に残す。
・主治医不在時の連絡・対応体制を構築し、周知する。
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.112 2016年3月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
2015年に提供した
医 療 医療安全情報
安全情報
医療事故情報収集等事業
No.112 2016年3月
2015年1月∼12月に医療安全情報No.98∼No.109を毎月1回提供いたしました。
今一度ご確認ください。
番号
タイトル
No.98
カリウム製剤の投与方法間違い
No.99
★胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え
No.100
2014年に提供した医療安全情報
No.101
★薬剤の投与経路間違い
No.102
口頭指示の解釈間違い
No.103
2011年から2013年に提供した医療安全情報
No.104
★腫瘍用薬処方時の体重間違い
No.105
三方活栓の開閉忘れ
No.106
★小児の薬剤の調製間違い
No.107
電気メスによる薬剤の引火(第2報)
No.108
アドレナリンの濃度間違い
No.109
採血時の検体容器間違い
★のタイトルについては、提供後、
2015年12月31日までに類似事例が発生しています。
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参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 45 回報告書(2016年1月∼3月)
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.112 2016年3月
2015年に提供した医療安全情報
◆以下の類似事例が発生しています。
No.
99 胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え
医師は左側の胸腔穿刺を予定したが、右側であったと思い込み、エコーで
右胸腔の胸水を確認した。看護師は、左右どちらの胸腔穿刺か知らないまま
介助についた。局所麻酔後、医師は右側の胸腔穿刺を行ったところ、想定し
たよりも胸水が引けなかった。X線写真を再確認すると、多量の胸水が貯
留していたのは左胸腔であり、左右間違いに気付いた。
No.
104 腫瘍用薬処方時の体重間違い
看護師は、患者Aの検温表に体重を「42kg」と入力するところ、患者Bの
体重「60.9kg」を誤って入力した。レジメンオーダ画面は検温表に入力した
体重で投与量が計算される。患者Aの抗がん剤の処方の際、医師は患者Bの
体重で計算された投与量でオーダしたため、過量投与となった。
No.
106 小児の薬剤の調製間違い
◆他の類似事例につきましては、平成27年年報に掲載いたします。
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
本事業の一環として総合評価
部会の専門家の意見に基づき、
医療事故の発生予防、
再発防止のために作成されたものです。本事業の趣旨等の詳細については、
本事業
ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
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公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故防止事業部
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-4-17 東洋ビル
電話:03-5217-0252 FAX:03-5217-0253
http://www.med-safe.jp/
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参考
医師は、ユナシン注(1.5g/V)30mgをブドウ糖液1mLに溶解して投与す
る指示を出した。看護師Aはユナシン注1Vは150mgであると勘違いした
ため、ブドウ糖液5mLで溶解すると、30mgの薬液量は1mLになると計算
し調製した。確認を依頼された看護師Bは、看護師Aと同様にユナシン注1V
を150mgと思い込み計算したため、間違いに気付かなかった。看護師A
は誤って調製したユナシン注300mgを患者に投与した。
公益財団法人日本医療機能評価機構(以下「本財団」という)は、本報告書に掲載する内容について、善良なる市民および医療の質に関わ
る仕事に携わる者として、誠意と良識を持って、可能なかぎり正確な情報に基づき情報提供を行います。また、本報告書に掲載する内容につ
いては、作成時点の情報に基づいており、その内容を将来にわたり保証するものではありません。
したがって、これらの情報は、情報を利用される方々が、個々の責任に基づき、自由な意思・判断・選択により利用されるべきものであり
ます。
そのため、本財団は、利用者が本報告書の内容を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではないと同時に、医療従事者の裁量
を制限したり、医療従事者に義務や責任を課したりするものでもありません。