国際金融為替ウィークリー

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FOREIGN EXCHANGE
英国の「離脱」ショックと為替シナリオ
Global Markets Research
2016 年 6 月 27 日
介入不発でドル円は 100 円前後で低迷する一方、
資源国通貨には投資妙味も
リサーチアナリスト
グローバル為替ストラテジー
● 今週の注目点 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2
池田 雄之輔 - NSC
1. ドル円①:英国の「離脱」ショックと為替シナリオ . . . . . . . . . . . . . . . . . 3
郭 穎 - NSC
英国民投票の結果をうけ、リスクオフの円高が加速した。麻生財務大臣の発言
中島 將行 - NSC
内容は、市場の期待感と裏腹に、為替介入の可能性が低いことを示唆している。
一方、今回のイベントは突発的でなかっただけに、市場はパニックには陥って
いない。中国景気堅調、米国の利上げ先送りを想定すれば、資源国通貨の投資
環境は必ずしも悪化していないだろう。(池田)
小池 基生 - NSC
後藤 祐二朗 - NIplc
2. 英国民投票結果の新興国への影響を探る . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
英国民投票結果を受け、各新興国の英国・EU との経済的な結びつきの強さを
定量評価した。総合評価では、東欧および、香港、シンガポールといったアジ
アの金融センターとの結びつきが強い。また、南アフリカは英国との経済的な
結びつきの強さが突出しており、英国の EU 離脱が実現した場合、最も影響を
受ける新興国の一つとなろう。一方、ブラジル、メキシコ、トルコはユーロ圏
との金融面での結びつきは強い一方、英国との結びつきは弱い。世界経済にと
って重要度の高い中国に対する悪影響は軽微に留まる公算が大きい。(中島)
3.
中国元:英国の EU 離脱は人民元安、資本流出圧力を強化. . . . . . . . . . . 11
英国民投票で EU 離脱が過半を占めたことにより市場はリスクオフになってお
り、為替政策の軸は対ドルの元安+対通貨バスケットの安定化に切り替わる公
算が高い。中国政府は人民元の国際化を巡ってこれまで英国と提携関係を強め
てきたものの、「EU 離脱」でその進捗も遅れる可能性が高まった。(郭)
4. 豪ドル:相対的な優位性が見直される時 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13
英国民投票を受け、年後半の豪ドル相場を改めて展望する。(1)短期金融市
場の落ち着き、(2)対英輸出比率の小ささ、を踏まえると、英国の EU 離脱と
の選挙結果が豪実体経済の下押し圧力となる可能性は低い。消去法的ながらも、
豪州債・豪ドルが国内外から選好される可能性は大いにあろう。(小池)
5.
ドル円②:トランプ候補と為替市場 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .15
2016 年米大統領選挙は英国民投票を凌駕するイベントになり得る。両大統領
候補は保護貿易主義に傾いており、メキシコペソ、カナダドル、人民元、日本
円などへの影響をまとめた。(Jordan、Bilal、Charles、Craig、Lewis)
6.
為替予測 .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 30
Appendix A-1に記載されているアナリスト証明、重要なディスクロージャー及び米国以外のアナリストのステータス
をお読み下さい。
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2016 年 6 月 27 日
今週(6 月 27 日∼7 月 1 日)の注目点:
ドル円想定レンジ:

米中経済指標
1ドル=100.00∼103.00 円
今週は、英国民投票の「離脱」という結果を受けて、市場が冷静な評価を試みる一週間となろう。グローバ
ルにイベントは少ない。米国では 6 月 29 日(水)個人消費・PCE デフレータ、7 月 1 日(金)ISM 製造業指
数などが発表される。雇用統計(6 月分)の下振れ、英国民投票の結果を受け、当面の利上げシナリオが大幅
に後退してしまっている。また、FRB の雇用環境自体に対する評価も定まっていない。今週発表される統計
が上振れたとしても、追加利上げ期待が高まるとは考え難い。

中国は 1 日(金)に統計局 PMI の発表が予定されている。24 日時点の市場予想は 50.1 と 5 月並みになって
いる。4-5 月に国内投資が減速しているが、一部の地域で統計上の水増しが排除されたことによる影響もあっ
たと見られる。国務院は 6 月において 2 回記者会見を行い、中国の債務問題について市場とコミュニケーシ
ョンした。当局は中国の政府部門・企業部門の債務にかかわるリスクが限定的と説明し、今後の債務再編に
おいて財政政策で総需要を下支えすると表明した。年後半は構造改革が加速する可能性が高まっているが、
財政政策が強調されており、リスクセンチメントが大きく悪化する可能性は小さいと考えられる。
週間イベント・マップ (時刻は東京時間)
発表日(現地)
オセアニア
アジア
欧州
米州
6 月 27 日(月)
28 日(火)
23:00 CB 消費者信頼感
29 日(水)
21:30 米個人消費
21:30 米 PCE デフレータ
30 日(木)
18:00 ユーロ圏 CPI
7 月 1 日(金)
8:50 日銀短観
22:45 シカゴ PMI
23:00 ISM 製造業指数
中国製造業 PMI
通貨別イベントスケジュール
通貨
発表日(現地)
時刻(東京)
イベント
野村/市場/前回
ポイント
JPY
7 月 1 日(金)
8:50
日銀短観 6 月調査(大企業製造業)
5/ 4/ 6
USD
6 月 28 日(火)
23:00
CB 消費者信頼感 6 月
94.8/ 93.4/ 92.6
6 月 29 日(水)
21:30
米個人消費 5 月(前月比)
+0.3%/+0.4%/+1.0%
小売統計は堅調な伸びを示唆
21:30
米コア PCE デフレータ 5 月(前月比)
+0.2%/+0.2%/+0.2%
インフレ率は緩やかに上昇へ
7 月 1 日(金)
23:00
ISM 製造業指数 6 月
51.5/51.4/51.3
EUR
6 月 30 日(木)
18:00
ユーロ圏 CPI 6 月(前年比)
0.0%/0.0%/-0.1%
CNY
7 月 1 日(金)
10:00
政府版中国製造業 PMI 6 月
NA/50.0/50.1
景況感の悪化が続く公算
雇用環境の悪化を受け、マインド改善は難しいか
原油高も一服し、さらなる改善は見込み難い
インフレ率は引き続き低迷へ
景況感は低位安定へ
2
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2016 年 6 月 27 日
1. ドル円①:英国の「離脱」ショックと為替シナリオ
6月 23 日の英国民投票は、EU からの「離脱」で決した。24 日の為替市場
では、開票速報とともにポンドが急落、リスクオフが加速し、ドル円も一時
「離脱」ショックで一時1ドル=
100 円を下回る
100 円割れとなった。その後、103 円ちょうどまで戻したが、テクニカルな自
然反発とみられる。
目先の注目点は、為替介入の有無であるが、可能性は低いと考えざるを得な
くなっている。麻生財務大臣は、6月 24 日に 3 度の記者会見を行ったが、相
麻生大臣の発言は、為替介入の
可能性が低いことを示唆
場について「神経質だ」などと言及するにとどまり、質問を打ち切るなど、口
先介入の姿勢は強まるどころか、今までになく弱かった。介入の可能性を強く
示唆する「ファンダメンタルズを反映していない」「無秩序だ」といった踏み
込んだ表現が用いられることはなかった。
為替介入においては、サプライズで実弾を打ち出すよりも、まずは口先の牽
制で効果が発揮できれば、日米双方にとって上策である。にもかかわらず、麻
大統領選を控え、米国の為替介
入への拒絶姿勢がうかがえる
生大臣の口先介入が弱かったことは、単独での円売り・ドル買い介入について
米財務省から了解が得られていないことを示していよう。大統領選を 11 月に
控え、為替介入に対する米国の拒絶姿勢は、予想以上に強かったと言わざるを
得ない。
G7 緊急共同声明では、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済
及び金融の安定に対して悪影響を与え得る」との決まり文句が繰り返されたが、
ポンド買い支えの協調介入は、
英米日とも思惑が一致しない
円やポンドへの具体的な言及はなかった。ポンド買い支えの協調介入も、(1)景
気悪化が予想される英国で、当局はポンドを押し戻す動機に乏しい、(2)米国は
介入政策に首尾一貫して否定的、(3)日本は対ポンドでの円売りではドル円押し
上げの効果が小さい、と3者いずれも後ろ向きと見られる。
なお、スイス国立銀行は金曜日にフラン売り・ユーロ買いの介入を実施して
いるが、同国は G7 のメンバーでないがゆえ、為替市場に自由に介入できると
スイスの為替介入はG7非加盟
国ならでは
いう立場にある。
当面、「離脱」の意味をめぐって市場は冷静な評価を求められる。悲観的に
見るべき要素としては、総じて政治を中心とした中長期の問題が多い。(1)スコ
グローバルな政治情勢への中長
期的な悪影響を注視
ットランド独立の可能性を含めた英国政治の混乱、同国経済の停滞、(2)欧州各
国での離脱志向の連鎖、極右勢力の拡大、(3)米大統領選挙への影響、すなわち
孤立主義的政策を掲げるトランプ候補への追い風、などである。
一方、短期的には、(i)今回のイベントがスケジュールされていたものであり、
結果は驚きであっても突発的ではない、(ii)主要中銀による流動性の潤沢な供給
今回のショックは、驚きではある
が突発的ではない
が用意されている、といった観点から、スパイラル的な市場環境の悪化は回避
できるように思われる。(i)については、機関投資家はあらかじめポンド下落に
対するヘッジをある程度進めていたと見込まれ、大規模な損失の発生による、
ポジション調整の玉突き現象は生じにくいと想定される。
6月 24 日時点の欧米市場の反応を見ると、南欧国債の対独利回り格差が拡
大、ドル調達のベーシススプレッドが拡大、VIX 指数が上昇(25.8)と、軒並
リスクオフだが、金融危機、パニ
ックの色彩は薄い
みリスクオフの反応ではあるが、通常の動きを逸脱するような「パニック」の
様相はない(図表1)。一方、「金融システム不安」を表す指標とされる TED
スプレッド(ロンドン銀行間ドル金利と短期財務省証券の利回り格差)はほと
んど動いておらず、この面からも「危機」の色彩は薄い。
3
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2016 年 6 月 27 日
ここからのドル円相場をどうみるか。市場に残存している介入警戒感にも助
けられ、一方的な下落には歯止めがかかっている。先物市場が織り込む米国の
ドル円の3カ月レンジは 96∼
105 円
年内の利上げ確率がすでにゼロまで後退しており、「利下げシナリオ」を本格
的に織り込まない限りは米金利の下げ余地が狭まっていることも、ドルの底割
れはないとみる理由になる。しかし、いずれ介入警戒感が薄れるとともに、ド
ル円はじりじりと下落すると予想される。向こう3カ月は、1ドル=100 円を
中心に 96∼105 円のレンジでの推移を想定する。
中長期の展望はどうか。前述したグローバルな政治不安に加え、主要地域の
景気シナリオに変調が生じるかが重要だろう。基本観として、内需主導の経済
米国のリセッション、利下げとい
った究極の円高シナリオは回避
へ
構造を備える中国および米国への、欧州景気悪化の波及効果は小さいはずであ
る。そうであれば、米国のリセッション入り、利下げといった究極の円高シナ
リオは避けられることになる。リスクオフがどの程度、短期で終息するかも実
体経済への影響を見極めるうえでカギを握る。
当社は、FOMC の予想外のハト派化により、英国の EU 残留の場合ですら、
ドル円シナリオの下方修正が必要であると認識、告知してきた。予想外の「離
ドル円予想は下方修正を検討
も、来年にかけ 105 円を取り戻
すと予想
脱」との結果を受け、より大きく見直さざるを得ないと考えている。しかし、
現段階では、ドル円が 95 円を下回るリスクよりも、米大統領選以降は緩やか
に持ち直し、105 円を取り戻すとの見通しがより妥当だと認識している。
高金利・資源国通貨にとっても、今回のショック、それに伴うリスクオフに
よって、「残留」のケースよりも投資環境が悪化したと考えている。しかし、
原油価格が 48 ドル台を維持し
ていることは重要
原油価格(北海ブレント)の下落が 48 ドル/バレルと限定されていることは
重要なヒントであろう。内需主導の中国経済は、英・欧経済減速の影響を大き
く受けないと予想される。一方、米国の利上げスケジュールが後ずれすること
による緩和状態の継続は、リスク資産の下落圧力を和らげる効果が期待される。
目先は慎重な見極めが求められるものの、資源国通貨に対しては、ただちに
資源国通貨には投資妙味も
悲観シナリオに傾くのも賢明ではなかろう。とりわけ、欧州景気および米大統
領選などの政治リスクへの耐久性が高い資源国通貨には今後、投資妙味が出て
くる可能性がある。(池田 雄之輔)
図表 1: VIX 指数(S&P500 オプション価格から算出される予想変動率)
(%)
90
リーマンショック/金融危機
英国民投票で
EU離脱が決定
80
70
欧州債務危機
60
人民元切り下げ
/原油急落
50
40
30
20
10
0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
出所:ブルームバーグ、 野村
4
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2016 年 6 月 27 日
2. 英国民投票結果の新興国への影響を探る
6 月 23 日の英国民投票が予想外の離脱派の勝利となったことで世界的なリス
ク回避の動きが拡大、多くの新興国通貨が大幅に下落した。しかし、新興国通
英国民投票での離脱派の勝利に
よって多くの新興国通貨が下落
したが、影響度合いはまちまち
貨ごとの下落率を見ると、明確に差がついている。
こうした反応の違いを分けた最大の要因は、新興国各国の英国・EU に対す
る経済的な結びつきの強弱である可能性が高いと見られる。英国の EU 離脱を
新興国各国の英国・EU に対す
る経済的な結びつきの強弱で明
暗
巡る情勢が今後も市場で大きなテーマとして意識される可能性が高いことから、
各新興国の英国・EU との結びつきの強さを把握することは、新興国通貨・経
済の先行きを占ううえで重要となろう。
本稿では、 (1)輸出、(2)対内直接投資、(3)金融機関のクロスボーダー(国際)
与信、(4)労働者送金、の 4 つの側面から分析を行った。
総合的に見た英国・EU との経済的な結びつきが最も強いのは、ポーランド、
チェコ、ルーマニア、ハンガリーといった欧州新興国、および、香港、シンガ
輸出、対内直接投資、金融機関
のクロスボーダー(国際)与
信、労働者送金の 4 側面から分
析
欧州新興国や香港、シンガポー
ルへの影響が大きい
ポールといったアジアの金融センターである。香港、シンガポールは国際的な
金融・貿易のハブであり、比較的小規模な開放経済であることが、GDP への影
響が大きく出てしまう要因となる。
その他の新興国の中では、南アフリカの英国との経済的な結びつきの強さ
(特に金融面)が突出している。英国が実際に EU 離脱となった場合、最も影
南アフリカの英国との経済的な結
びつきの強さ(特に金融面)が突
出している。
響を受ける新興国の一つとなろう。一方、ブラジル、メキシコ、トルコは英国
との結びつきは弱く、直接的な悪影響は見込まれない。ただし、ユーロ圏との
金融面での結びつきは強く、先行き不透明感から貸出姿勢の慎重化がユーロ圏
の金融機関に広がるようであれば、リスク要因となろう。他方、世界経済にと
って重要度の高い中国に対する悪影響は軽微に留まる公算が大きい。
英国民投票後のリスク回避的な動きから、新興国通貨は急落した。しかし、
一部の欧州・アジア新興国を除いて英国・EU との経済的な結びつきはそれほ
英国民投票結果の新興国通貨へ
の悪影響について、過大評価す
べきではない
ど大きくないと評価できる。また、主要中銀による流動性の潤沢な供給が用意
されている、といった観点から、スパイラル的な市場環境の悪化は回避できる、
と思われる。さらに、中国経済へのマイナスの影響の小ささを考慮すれば、世
界経済の需要後退が資源価格の下押し圧力に繋がるシナリオの実現リスクも低
い。英国民投票結果の新興国通貨への悪影響について、現時点では必ずしも過
大評価すべきではないだろう。
5
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2016 年 6 月 27 日
① 英国民投票結果を受けた新興国通貨の為替騰落率
6 月 23 日の英国民投票において、直前の多くの世論調査結果とは異なり、
「離脱派」勝利後の新興国通貨
の値動きには明確な差異
EU 離脱派が勝利、世界的なリスク回避の動きが広がったことで多くの新興国
通貨が大幅に下落した。しかし、新興国通貨ごとの下落率を見ると、明確に差
がついている(図表 2)。
図表 2: 英国民投票の結果が判明した 6 月 24 日の主な新興国通貨、先進国通貨の対ドル騰落率
(騰落率%)
10
23日と24日の終値の比較
ピーク(安値)
ピーク(高値)
5
+7.2
0
-5
-10
-5.3
-5
-4.1
-4
-1.3 -1.2
-2.3 -2.1 -1.4
-1
-0.6
日本円
中国人民元
フィリピンペソ
タイバーツ
インドルピー
インドネシアルピア
スイスフラン
シンガポールドル
韓国ウォン
カナダドル
マレーシアリンギ
ブラジルレアル
コロンビアペソ
ドル
NZ
豪ドル
ユーロ
トルコリラ
ロシアルーブル
メキシコペソ
ポーランドズロチ
南アフリカランド
-11.1
英ポンド
-15
-8.1
-7.2 -6.6
-2.6 -2.5 -2.5
-3.8 -3.5 -3.2 -3.1
注:ピーク時(高値、安値)は 23 日の終値と比較している。
出所:ブルームバーグ、野村
反応の違いを分けた最大の要因は、新興国各国の英国・EU に対する経済的
な結びつきの強弱である可能性が高い。野村(英国)の担当エコノミストは、
英国の EU 離脱によって、同国の実質 GDP 成長率が 2%ポイント低下するリス
新興国各国の英国・EU に対す
る経済的な結びつきの強弱で明
暗
クがあるとしている。また、英国との直接的な結びつきの強さを考慮すれば、
EU の成長率にも下押し圧力がかかろう。
英国の EU 離脱を巡る情勢が今後も市場で大きなテーマとして意識される可
能性が高いことから、各新興国の英国・EU との結びつきの強さを把握するこ
とは、新興国通貨・経済の先行きを占ううえで重要となろう。
本稿では、 (1)輸出、(2)対内直接投資、(3)金融機関のクロスボーダー(国際)
与信、(4)労働者送金、の 4 つの側面から分析を行った。
② 輸出への影響
国民投票結果に伴う英ポンド急落を受けた直接的な影響として、英国の輸入
の鈍化が懸念される。また、EU 全体の景気減速につながるリスクも指摘され
東欧諸国、ロシア、トルコは英
国・EU 向け輸出の割合が大き
い
ている。
新興国では、東欧諸国、ロシア、トルコといった国々が英国・EU への輸出
割合が大きい(図表 3)。一方、香港、シンガポールはアジア向け・米国向け
の輸出が全体の中の大部分を占めるものの、両国の経済規模の小ささから、
GDP 比で見た場合の英国・EU 向け輸出の存在感は大きくなる(図表 4)。
6
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2016 年 6 月 27 日
図表 3: 英国・EU に対する輸出が総輸出に占める割合
(2015 年)
図表 4: 英国・EU に対する輸出の GDP 比(2015 年)
チェコ
ハンガリー
ポーランド
ルーマニア
ロシア
トルコ
ナイジェリア
イスラエル
南アフリカ
ブラジル
インド
コロンビア
中国
アルゼンチン
フィリピン
サウジアラビア
タイ
マレーシア
インドネシア
香港
韓国
シンガポール
メキシコ
チェコ
ハンガリー
ポーランド
ルーマニア
香港
ロシア
シンガポール
トルコ
マレーシア
イスラエル
南アフリカ
タイ
ナイジェリア
韓国
サウジアラビア
中国
フィリピン
インド
コロンビア
ブラジル
インドネシア
メキシコ
アルゼンチン
83.3
81.4
79.2
73.7
48.2
44.5
32.7
27.6
20.1
17.8
16.9
16.6
15.6
13.6
12.2
10.4
10.1
10.1
9.9
9.3
9.2
8.2
4.7
0
20
英国
英国以外のEU
(%)
40
60
80
100
出所: IMF、野村
72.6
66.5
33.1
25.2
14.0
12.5
9.8
8.7
6.8
6.1
5.7
5.4
3.8
3.5
3.3
3.2
2.5
2.1
2.0
1.9
1.7
1.6
1.4
0
10
20
英国
英国以外のEU
(単位:対GDP比%)
30
40
50
60
70
80
出所: IMF、野村
③ 対内直接投資への影響
実体経済への影響を測るうえでは、対内直接投資も重要である。英国からの
直接投資で目立つのは、南アフリカ(45%)、ナイジェリア(21%)向けの存
英国・EU からの対内直接投資
が目立つのは、南アフリカ、ナ
イジェリア、東欧諸国
在感である(図表 5)。もともと両国は、イギリスが宗主国であったこともあ
り、現在も経済的な結びつきが強い。また、ポーランド(92%)をはじめ東欧
諸国は英国を含む EU からの成長資金に依存している。
一方、世界からの対内投資の GDP 比で見ると、香港やシンガポールが上位
に位置づけられる(図表 6)が、この 2 国は国際的な金融センターとして直接
投資や金融取引のハブとなっていることが最大の理由である。
図表 5: 英国・EU からの対内直接投資残高が全体に占
める割合(2014 年)
ポーランド
ルーマニア
チェコ
南アフリカ
ロシア
トルコ
ハンガリー
ブラジル
ナイジェリア
メキシコ
韓国
インド
インドネシア
シンガポール
フィリピン
マレーシア
タイ
香港
中国
91.5
90.4
87.6
75.9
70.9
68.4
64.2
60.5
48.5
38.8
33.5
32.7
26.8
23.5
22.8
19.4
16.6
英国
英国以外のEU
8.2
6.7
0
出所: IMF、野村
(%)
20
40
60
80
100
図表 6: 新興国の対内直接投資対 GDP 比(2015 年)
香港
シンガポール
ブラジル
コロンビア
イスラエル
マレーシア
メキシコ
ハンガリー
トルコ
中国
インドネシア
ルーマニア
インド
タイ
アルゼンチン
フィリピン
チェコ
ポーランド
サウジアラビア
ナイジェリア
南アフリカ
韓国
ロシア
58.3
22.3
4.2
4.1
3.9
3.7
2.6
2.3
2.3
2.3
2.2
2.2
2.1
2
2
2
1.4
1.3
1.2
0.6
0.5
0.4
0.4
0
(対GDP比%)
20
40
60
出所: IMF、各国統計、野村
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2016 年 6 月 27 日
④ 国際的な金融機関からの与信
英国の EU 離脱/残留を問う国民投票が世界の注目を浴びたのは、同国に世界
南アフリカの英国への依存度の
大きさは先行き経済の不安定化
要因
有数の金融センターがあるためである。同国や欧州の金融機関が先行き不透明
感から貸出姿勢を慎重化させれば、成長資金を海外に依存する新興国にとって
打撃となろう。
英国の金融機関からの与信の存在感が大きいのが、南アフリカ(69%)、ナ
イジェリア(50%)、香港(50%)である(図表 7)。
ユーロ圏からの与信では、東欧諸国に加え、トルコ(78%)やロシア
(65%)、ブラジル(51%)やメキシコ(50%)といった中南米諸国も依存度
が高い。ブラジルやメキシコは旧宗主国であるスペインやポルトガルをはじめ
南欧諸国の金融機関が大きな存在感を占めている。
GDP 比で見ると、香港やシンガポールが計算上、突出して大きくなるが、こ
れは国際金融のハブとしての両国の存在感の大きさを示すものに過ぎず、両国
自体への与信残高はそれほど大きくないと見られる(図表 8)。一方、南アフ
リカの英国への依存度の大きさは先行き経済の不安定化要因となりうる。
図表 7: 英国、ユーロ圏の金融機関からの与信が全体に
占める割合(2015 年)
ルーマニア
チェコ
ハンガリー
ポーランド
トルコ
アルゼンチン
南アフリカ
ナイジェリア
ロシア
ブラジル
メキシコ
香港
サウジアラビア
コロンビア
イスラエル
シンガポール
インド
韓国
中国
フィリピン
マレーシア
インドネシア
タイ
96.4
図表 8: 国際与信残高対 GDP 比(2015 年)
香港
シンガポール
95.9
91.0
89.3
86.6
79.9
77.5
76.4
70.4
65.4
59.7
58.0
54.1
50.0
45.3
44.3
42.3
39.5
英国
36.4
35.8
ユーロ圏
30.4
25.2
(%)
14.6
0
20
注:最終リスクベース。
出所:IMF、野村
40
60
80
100
221.0
118.5
0
チェコ
ポーランド
マレーシア
ハンガリー
ルーマニア
トルコ
南アフリカ
タイ
メキシコ
ブラジル
韓国
コロンビア
インドネシア
フィリピン
インド
ロシア
サウジアラビア
中国
アルゼンチン
イスラエル
ナイジェリア
(対GDP比%)
100
200
300
87.9
53.7
48.8
45.8
43.3
35.2
31.6
29.4
29.2
19.7
18.7
15.4
12.8
12.5
12.3
8.3
8.0
6.3
6.0
5.1
2.8
0
20
英国
ユーロ圏
その他の国
(対GDP比%)
40
60
80
100
出所: IMF、各国統計、野村
⑤ 労働者送金への影響
一部の新興国では、国外労働者の労働者送金が主要な外貨獲得手段の一つと
なっており、反移民の動きが広がれば、国際収支の悪化につながるリスクがあ
労働者送金は差しあたって大き
なリスクとはなりにくい
る。この点、英国・EU は労働者送金の送金元としての存在感は大きくない
(図表 9)。英国単独からの労働者送金では、考慮する必要があるのはナイジ
ェリア(対 GDP 比 0.8%)くらいであろう。また、EU からの送金全体で見て
も、上述のナイジェリア(同 1.5%)に加え、ハンガリー(同 2.0%)、ルーマ
ニア(同 1.6%)、フィリピン(同 0.7%)が目立つ程度である(図表 10)。
8
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
しかし、世界的に反移民の動きが広がるようであれば、インドやメキシコに
世界的に反移民の動きが広がる
ようであれば、インドやメキシ
コにも影響が及ぶリスク
も影響が及ぶリスクには留意が必要となろう。特に、メキシコは今年 11 月に
控える米国の大統領選挙が市場の懸念材料である。不法移民根絶を公約に掲げ
るトランプ共和党候補が、メキシコ系移民による本国への巨額の送金を問題視
する発言を繰り返していることから、留意が必要である。
図表 10: 労働者送金対 GDP 比(2015 年)
図表 9: 労働者送金の送金元の割合(2015 年)
(単位:%)
フィリピン
ナイジェリア
ハンガリー
インド
メキシコ
ルーマニア
コロンビア
ポーランド
タイ
0
20
EU
40
米国
60
サウジアラビア
80
その他
100
フィリピン
ナイジェリア
ハンガリー
インド
メキシコ
ルーマニア
コロンビア
ポーランド
タイ
チェコ
インドネシア
中国
マレーシア
ロシア
韓国
イスラエル
南アフリカ
ブラジル
トルコ
香港
アルゼンチン
サウジアラビア
9.8
4.2
3.5
3.3
2.2
1.8
1.6
1.5
1.3
1.3
1.1
0.6
0.5
0.5
0.5
0.3
0.3
0.2
0.1
0.1
0.1
0.0
0
出所: 世界銀行、野村
2
英国
英国以外のEU
その他の国
(対GDP比%)
4
6
8
10
出所: 世界銀行、IMF、野村
⑥ 新興国の英国・EU への経済依存度の一覧表
ここまで見てきたデータをもとに、新興国各国の英国・EU への経済依存度
をまとめた(図表 11)。
総合的に見た英国・EU との経済的な結びつきが最も強いのは、ポーランド、
チェコ、ルーマニア、ハンガリーといった欧州新興国、および、香港、シンガ
ポールといったアジアの金融センターである。
また、南アフリカは、同国に対する国際与信の約 7 割が英国の金融機関によ
るものであり、金融面での結び付きの強さは突出している。また、対内直接投
新興国各国の英国・EU への経
済依存度をまとめた
経済的な結びつきが強いのは東
欧諸国、および香港、シンガポ
ール
南アフリカは英国が実際に EU
離脱となった場合、最も影響を
受ける新興国の一つとなろう
資も 2014 年末時点(残高)で約 45%が英国によるものである。英国が実際に
EU 離脱となった場合、最も影響を受ける新興国の一つとなろう。
一方、ブラジル、メキシコ、トルコは英国との結びつきは弱く、直接的な悪
影響は見込まれない。ただし、ユーロ圏との金融面での結びつきは強く、先行
ブラジル、メキシコ、トルコへ
の直接的な悪影響は見込まれず
き不透明感から貸出姿勢の慎重化がユーロ圏の金融機関に広がるようであれば、
リスク要因となろう。また、今回の英国民投票の結果が、米大統領選挙におい
てトランプ共和党候補にとって追い風となりかねないという市場心理的な側面
を考慮すれば、メキシコの金融資産からの資金流出の動きが一時的に大きくな
るリスクはある。
アジア新興国に目を転じると、前述した香港、シンガポール以外は英国・EU
中国の実体経済への影響は軽微
との経済的な結びつきは相対的に低い。特に、世界最大規模の資源消費国であ
る中国の実体経済への影響は軽微に留まろう。
9
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
図表 11: 新興国の英国・EU への経済依存度の一覧(2015 年)
(対GDP比%)
英国
アジア新興国
中国
韓国
香港
インド
インドネシア
マレーシア
タイ
フィリピン
シンガポール
中南米
ブラジル
メキシコ
アルゼンチン
コロンビア
欧州新興国・
中東・アフリカ
ロシア
トルコ
サウジアラビア
イスラエル
ポーランド
チェコ
ルーマニア
ハンガリー
南アフリカ
ナイジェリア
輸出
英国を
除くEU
(世界)
対内直接投資
英国を
英国
(世界)
除くEU
国際与信
英国
ユーロ圏 (世界)
労働者送金
英国を
英国
(世界)
除くEU
0.5
0.6
2.3
0.4
0.2
0.8
1.0
0.2
1.1
2.7
3.0
11.7
1.7
1.6
6.0
4.5
2.3
8.7
20.8
38.3
150.2
12.7
17.5
67.5
53.4
20.1
120.1
0.0
0.0
0.7
0.3
0.1
0.2
0.1
0.0
1.3
0.1
0.1
4.1
0.4
0.5
0.6
0.3
0.4
3.9
2.3
0.4
58.3
2.1
2.2
3.7
2.0
2.0
22.3
1.4
4.7
111.3
3.1
1.8
12.7
2.9
2.6
30.1
0.9
2.7
16.8
2.1
1.4
2.1
1.4
1.8
22.4
6.3
18.7
221.0
12.3
12.8
48.8
29.4
12.5
118.5
0.0
0.0
0.0
0.2
0.0
0.0
0.1
0.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
0.0
0.3
0.5
0.0
0.6
0.5
0.1
3.3
1.1
0.5
1.3
9.8
0.0
0.2
0.2
0.1
0.2
1.8
1.4
1.3
1.8
10.8
33.3
10.3
12.2
0.1
0.1
2.4
1.0
4.2
2.6
2.0
4.1
2.8
2.9
0.9
0.4
10.1
14.5
3.9
7.3
19.7
29.2
6.0
15.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.3
0.2
2.2
0.1
1.6
0.6
1.4
0.3
1.4
2.8
4.6
1.5
3.3
1.2
0.4
11.9
7.3
3.0
4.8
30.2
68.0
23.7
63.3
4.5
3.4
25.9
19.6
31.9
22.3
41.7
87.1
34.2
81.7
28.4
11.6
0.2
1.4
0.4
2.3
1.2
3.9
1.3
1.4
2.2
2.3
0.5
0.6
0.5
3.2
1.6
1.2
1.0
2.2
0.0
0.5
21.8
1.4
5.4
27.3
2.7
1.2
46.9
82.1
41.7
41.2
2.7
0.7
8.3
35.2
8.0
5.1
53.7
87.9
43.3
45.8
31.6
2.8
0.0
0.0
0.0
0.0
0.2
0.1
0.1
0.3
0.1
0.8
0.1
0.1
0.0
0.1
0.8
0.8
1.5
1.7
0.0
0.7
0.5
0.1
0.0
0.3
1.5
1.3
1.8
3.5
0.3
4.2
-
-
0.0
0.1
-
0.0
0.0
0.1
0.1
0.2
0.1
1.2
1.2
1.9
1.4
0.2
0.2
注:英国/英国を除く EU からの対内直接投資は推計値。IMF では内訳のデータは 2014 年までしか取得することができない。そのため、2015
年の対内直接投資対 GDP 比を求めたうえで、2014 年までの対内直接投資(残高)のウェートで各国に割り振るという手法をとった。
結びつきが強い項目の色づけについては 2 段階で実施した。薄い網掛けがやや依存している項目(レベル 1)、濃い網掛けが強く依存してい
る項目(レベル 2)である。
各項目の色づけの基準は以下の通り(全て対 GDP 比)。
輸出・・・<英国>レベル 1:1∼2%、レベル 2:2%超、<英国を除く EU>レベル 1:10∼30%、レベル 2:30%超、<世界>レベル 1:
20∼50%、レベル 2:50%超。
対内直接投資・・・<英国>レベル 1:0.5∼1%、レベル 2:1%超、<英国を除く EU>レベル 1:1∼3%、レベル 2:3%超、<世界>レベ
ル 1:2∼10%、レベル 2:10%超。
労働者送金・・・<英国>レベル 1:0.3∼0.5%、レベル 2:0.5%超、<英国を除く EU>レベル 1:0.5∼1%、レベル 2:1%超、<世界>レ
ベル 1:1∼2%、レベル 2:2%超
国際与信・・・<英国>レベル 1:10∼20%、レベル 2:20%超、<ユーロ圏>レベル 1:10∼20%、レベル 2:20%超、<世界>レベル 1:
20∼50%、レベル 2:50%超
出所:各国統計、IMF、世界銀行、ブルームバーグ、野村
⑦ まとめ
英国民投票後のリスク回避的な動きから、新興国通貨は急落した。しかし、
一部の欧州・アジア新興国を除いて英国・EU との経済的な結びつきはそれほ
英国民投票結果の新興国通貨へ
の悪影響について、過大評価す
べきではない
ど大きくないと評価できる。また、主要中銀による流動性の潤沢な供給が用意
されている、といった観点から、スパイラル的な市場環境の悪化は回避できる、
と思われる。さらに、中国経済へのマイナスの影響の小ささを考慮すれば、世
界経済の需要後退が資源価格の下押し圧力に繋がるシナリオの実現リスクも低
い。英国民投票結果の新興国通貨への悪影響について、現時点では必ずしも過
大評価すべきではないだろう。(中島 將行)
10
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
3. 中国元:英国の EU 離脱は人民元安、資本流出圧力を強化
ドル人民元相場は 6 月上旬以降のドル安局面の対ドル安定、対バスケット通
英国の「EU 離脱」を受けて短期
的にドル安からドル高局面にシフ
ト、人民元安圧力が高まる
貨の元安から再び変化する公算が大きい。英国民投票で EU 離脱が過半を占め
たことで市場はリスクオフになっており、6 月 3 日雇用統計後のドル安局面が
いったんドル高にシフトする可能性が高い。人民元は上海 G20(2 月 26-27)
以降のドル安局面でマイルドな対米ドルの安定化+対通貨バスケットの元安、
5 月に FRB がタカ派に転じた後のドル高局面で対ドルの元安+対通貨バスケッ
トの安定化、といった為替政策を実行してきたと見られている(図表 12)。今
後想定されるドル高の局面においては対ドルの元安が進みやすいと見られる。
ドル元は年末 6.9 元/ドルを割り込む可能性もある。
英国の「EU 離脱」で、人民銀行による預金準備率の引き下げへの期待も高
人民銀行による預金準備率の引
き下げ等への期待も高まっている
まっている。実体経済について、中国の輸出に占める英国向けは 2.6%と小さ
いが、EU 向けは 15.7%と大きい(2015 年)。離脱によって欧州全体の経済成
長が減速すると見込まれることから、年後半から中国貿易への影響が表面化す
ると想定される。流動性環境について、ドル高元安で資本流出圧力が強まって
いる。また、人民銀行が元安のペースを抑制するために今後元買い介入を強化
する可能性を考えると、当局は流動性環境の安定を確保するために、預金準備
率の引き下げに踏み切る確率も高まっている。今後の一つの注目点は銀行間金
利であるが、半期末という季節要因もあり、銀行間レポレートは 7 日物、14 日
物について 6 月下旬から上昇している(図表 13)。
図表 12: ドル元と人民元指数(CFETS)の動向
図表 13: 国内銀行間金利の動向
(2014年末=100)
(元/ドル)
CFETS野村試算(左軸)
USDCNY中間値(右軸)
7日物レポレート(左軸)
(%)
4.0
102
(%)
14日物レポレート(右軸)
4.0
6.40
元高
3.8
3.5
101
3.6
6.45
3.4
3.0
100
3.2
6.50
2.5
99
3.0
2.8
6.55
2.0
98
?
97
2.6
6.60
2.4
1.5
2.2
16/3
16/4
16/5
16/6
出所: 中国外為取引センター、ブルームバーグ、野村
16/7
16年4月
16/2
16年1月
6.70
16/1
15年10月
?
95
2.0
1.0
15年7月
6.65
96
出所: 全国インターバンクコールセンター、ブルームバーグ、野村
中国はこれまで人民元国際化に向けて英国と連結を強化してきた。オフショ
ア人民元市場として、ロンドンは日当たり取引量が 600 億ドル前後と、香港の
人民元国際化の進展にも影響す
る懸念が強まる
900 億ドル前後に次ぐ 2 番目のオフショア人民元取引センターである。中国財
政部は 5 月にロンドンで 30 億元の国債を発行し、香港以外で初めての事例と
なった。また、当局は現在上海ロンドン相互株式投資制度の導入を検討してお
り、ロンドンを欧州で人民元国際化を推進する戦略的拠点にしようとしている。
もともと、英国は EU と中国の貿易協定提携や人民元の SDR への採用を支持
する立場である。英国の EU 離脱によってロンドンの国際金融センターの重要
性が低下すれば、人民元国際化の進捗も遅れる可能性がある。
中国人民銀行は 6 月 21 日に「2015 年人民銀行報告書」を発表した。その中
で資本勘定の自由化と人民元の国際化について改革意欲を表明したばかりであ
当局は資本勘定の開放を再強
調、3 つの分野を挙げる
11
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
った。今後の目標として以下の 3 点が取り上げられている。(1)国内個人投
資家による対外証券投資制度(QDII2)の導入、(2)外国企業による中国国内
証券市場の IPO の許可、中国預託証券(CDR)制度導入の検討、(3)更なる
国内債券市場の開放、である。また、2014 年 11 日に上海香港相互株式投資制
度が発足したことに加えて、市場は深セン香港相互株式投資制度(深港通)に
ついても近々実施することへの期待が高まっている。
これらの政策は短期的に資本流出への影響が大きいと見られ、計画通りに進
しかし、短期的には資本流出の
効果がより大きいと見られる
められるか不確実性が高まっている。(1)は資本流出のスキームであること
は明らかであり、(2)は資本流出につながらないものの、国内株式市場の流
動性に影響を与えることから、規模が限定的であろう、(3)は資本流入につ
ながるスキームではあるが、元安期待が根強い中、為替リスクを考えると外国
資金の元建て債券買いは現状想定しにくい。また、深港通は短期的に資金流出
の効果がより高くなると見られる。
2014 年 11 日に上海香港相互株式投資が発足した時、初期において、香港か
上海香港相互株式投資制度が導
入された当初と逆に、深セン香港
相互株式制度の導入初期には資
本流入効果が期待しにくい
ら上海株に投資する「北上」資金が絶対額として多く、資本流入効果が強かっ
た(図表 14)。当時は A 株の割高感はあまりなく、改革期待で株価の先高感
も強かったことが背景であった。しかし、深港通の場合、現状株価を考えると
香港株の割安感が強く、香港ドルの堅調さもあり、本土の資金が香港に「南下」
する可能性が高い。ちなみに、上海香港相互株式投資のスキームにおいて、上
海株投資の限度枠利用率が低迷している一方、香港株投資の利用率が 4 月下旬
以降上昇している(図表 15)。
図表 14: 上海香港相互株式投資の買い越し状況
図表 15: 香港株投資枠の利用率が 4 月後半以降上昇
(10億元)
250
上海香港相互株式投資の限度枠利用率
(%)
上海株投資
香港株投資
60
上海株投資の買い越し額
香港株投資の買い越し額
200
50
上海からの資本流出
40
150
30
100
20
50
10
上海への資本流入
0
出所: 上海証券取引所、香港証券取引所、CEIC データ、野村
16年05月
16年02月
15年11月
15年08月
15年05月
15年02月
14年11月
16年05月
16年02月
15年11月
15年08月
15年05月
15年02月
14年11月
0
出所: 上海証券取引所、香港証券取引所、CEIC データ、野村
英国の「EU 離脱」でユーロ相場が減価傾向にあり、人民元資産が安全資産
替わりになるとの見方も一部出ている。ただし、この見方は少なくとも中期的
人民元資産が中期的に安全資産
になる可能性は低い
には成立しにくいと思われる。安全資産になる通貨の特徴として、極めて地政
学リスクが低い他に、(1)同通貨を運用できる資産プールが十分大きい、(2)
市場で広く認められ、高度に資本勘定が自由化された金融制度、(3)良好な
民間部門の対外収支・対外ポジション(貿易勘定、資本勘定)、などが挙げら
れる。人民元が現在相対的に安定している理由は、資本規制と人民銀行の為替
操作能力に対する市場の期待であり、上記の(1)∼(3)を背景とする国際投
資家の信認の高さから来るものではない。(郭 穎)
12
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
4. 豪ドル:相対的な優位性が見直される時
英国の EU 残留期待の高まりとともに、豪ドルは 6 月 23 日(木)に対米ド
英国民投票前後で騰落した豪ド
ル
ル:0.76 台へと上昇した。しかし、国民投票で EU 離脱が過半を占めたことを受
け、豪ドルは一時、前日比-4%超の下落を記録した。結局、豪ドルは現在(6
月 27 日時点)、残留期待が高まる前の水準だった 0.7400 付近で推移している。
英国の EU 離脱との結果を踏まえ、年後半の豪ドル相場を改めて展望する。
まず、次の 2 点から、英国の EU 離脱との選挙結果が豪実体経済の下押し圧
力となる可能性は低いだろう。第 1 に、リーマン・ショックや欧州債務危機時
英国の EU 離脱は流動性の枯
渇を招かず
とは異なり、今回の国民投票を受け、金融市場の流動性が枯渇し、信用収縮を
引き起こす状況には至っていない。豪企業の資金調達コストが顕著に上昇する
事態となれば、豪州準備銀行(RBA)による利下げが本格的に意識される展開
となっていただろう。投票結果こそ予想外だったものの、予定されていたイベ
ントだったため、主要先進国中銀を筆頭に、流動性供給の備えが十分にできて
いる側面が大きい。短期金融市場の動向に留意する必要があるものの、RBA が
今回、資金調達コストを引き下げるために、利下げに動く必要性は乏しい。
第 2 に、英国民投票を受け、豪外需環境が大きく変調するリスクは現時点で
小さい。豪輸出の大半は中国や日本などアジア諸国向けである。対英輸出比率
英国の EU 離脱は豪外需環境
の下振れに直結せず
はわずか 1.5%に過ぎない。豪州と英国の直接的な通商関係は大きくなく、英
国が仮に深刻なリセッションに陥ったとしても、豪輸出が大幅に下振れるとは
考えられない。また、中国経済が英国経済動向に左右される可能性も限定的で
あることは、豪州にとって安心材料である。加えて、豪国内では家計消費や住
宅投資が堅調な伸びを維持している上、16 年後半以降、LNG 生産・輸出の拡
大も見込まれている(図表 16)。グローバルに不透明感が燻る中、景気の加速
感が強まるとの見通しは、豪ドル投資の魅力を高めよう。
豪ドル投資のリスク要因は、RBA による追加利下げである。RBA がコア
CPI として重視するトリム(刈込平均)CPI がインフレ目標(前年比+2∼3%)
RBA による追加利下げがリスク
材料
を下回るなど、ディスインフレ圧力が高まっている(図表 17)。インフレ目標
の達成に向け、RBA は追加利下げの機会を窺っており、当社でも 8 月理事会で
の追加利下げを想定している。もっとも、物価統計の公表頻度が四半期に 1 回
という特有の事情もあり、RBA・市場参加者が追加利下げを意識するのは、
CPI 公表翌月の理事会に限られる。したがって、追加利下げ期待が常時、豪ド
ル安圧力となるリスクは低い。また、実体経済の堅調さを踏まえると、RBA は
大幅な追加利下げに慎重な節も見受けられる。仮に利下げに踏み切ったとして
も、市場で利下げ打ち止め観測が台頭すれば、豪ドルが大幅に下落するリスク
は小さいだろう。
米利上げ計画がいったん白紙に戻った直後に、英国の「EU 離脱」が決まり、
外部環境の不透明感は一段と高まった。FRB の利上げが一段と後ずれする可能
豪ドルの相対的な優位性が注目
される可能性
性があろう。他方、豪長期金利は従来よりも大幅に低下しているとはいえ、主
要先進国の中では依然として十分なプラスを確保している。消去法的ながらも
豪州債がグローバルに選好される可能性は大いにある。総じて、豪州の相対的
な優位性が再び注目を集めれば、豪ドルは年末にかけ対米ドル:0.7 台前半で
底堅く推移するだろう。なお、ニュージーランドドルも同様の観点から議論す
ることができるものの、債券市場の規模・流動性を踏まえると、豪ドルほどの
恩恵を享受することは難しいだろう。(小池 基生)
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2016 年 6 月 27 日
図表 16: 豪実質 GDP 成長率
前年同期比 %
実質GDP成長率
6
実質GDP成長率(除く資源輸出)
実質GDP成長率(除く鉱業部門)
5
実質GDP成長率(長期平均)
4
3
2
1
0
'05
'06
'07
'08
'09
'10
'11
'12
'13
'14
'15
'16
出所: 豪州統計局、野村
図表 17: インフレ率とインフレ目標
%
6.0
総合CPI(前年比)
トリムCPI(前年比)
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
'02
'03
'04
'05
'06
'07
'08
'09
'10
'11
'12
'13
'14
'15
'16
注: 網掛けはインフレ目標、出所: 豪州統計局、野村
14
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
5. ドル円②:トランプ候補と為替市場
米国大統領選挙は次のボラティリティ・イベントか?
金融市場における政治的な「既知の未知」は長らく、目前に迫った英国の欧
州連合(EU)残留・離脱の是非を問う国民投票であった。しかし、2016 年の米
国大統領選挙はこれを凌駕するイベントになり得る。英国の単一市場離脱の是
非を問う国民投票と米大統領選挙では、リスクの性質は大きく異なるが、大統
領選における米国二大政党の主張(ただし、トランプ候補により強くあてはま
る)は次第に保護貿易主義に傾いている。大統領選挙の結果は、EU 離脱の場合
ほど極端な二面的リスクはないものの、両候補の貿易政策のみに基づいた単純
反射的な取引の動きが一部に出てくることが予想される。ただし、トランプ候
補が勝利する場合、必ずしもすべてのクロスで米ドル安とはならないだろう。
米ドルは、メキシコペソ、カナダドル、人民元など、対米貿易依存度の高い通
貨に対してはアウトパフォームするとみられるが、「安全通貨」とみなされる
円などに対してはアンダーパフォームしそうだ。それでも、(1)トランプ候補の
勝利は実際にありうるのか?(2) 当選した場合、どういった政策で臨むのか?
という 2 つの大きな疑問が残る。ともあれ、とりわけ現時点で、ブックメーカ
ーが示すトランプ候補の当選確率が英国の EU 離脱を上回ることを踏まえると、
11 月 8 日の大統領・議会選挙後に米国の政治と貿易関係がどのように展開する
かが、今後次第に市場参加者の注目を集めよう。
トランプ氏の大統領就任の確率がこのところ上昇している
米国政治の見通しは 1 年間で大きく様変わりした。2016 年の大統領・議会
選挙は現状維持、すなわち共和党が下院と上院で引き続き過半数を占め、民主
党の候補が大統領に就任すると予想されていた。しかし、先物市場 IEM (Iowa
Electronic Markets、アイオワ大学が教育目的で運営)に織り込まれた予想確率
によれば、共和党が下院を、民主党が上院を制する公算がより大きい。トラン
プ候補がどのような政策を推進しようとするか完全には明らかになっていない
ため、大統領に就任した場合、米国経済と金融市場にとってどのような意味を
持つかは不透明である。世論調査ではトランプ候補とクリントン候補の支持率
の差はほとんどないが、金融市場は今のところこれに反応していない。しかし
11 月 8 日の投票日が近づくにつれて、経済政策を巡る不確実性が市場に影を落
とし始めるとみられ、そうした情勢は変化しよう(詳細は、2016 年 6 月 3 日付
「米国スペシャルレポート - トランプ候補と米国経済政策」を参照)。
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Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
図表 18: 米国一般有権者に対する世論調査では両候補の支持率は僅差で推移
クリントン(民)
トランプ対クリントン:
世論調査
62%
トランプ(共)
58%
54%
50%
46%
42%
38%
15年5月
15年7月
15年9月
15年11月
16年1月
16年3月
16年5月
出所: Realclearpolitics.com、野村
トランプ候補の勝利確率上昇に金融市場が反応しやすくなる可能性がある
トランプ氏が共和党の大統領候補として指名確実になる一方、共和党が上院
の過半数を維持するとの市場の織り込みは後退し、確率は 50%超から現在は
30%前後となっている。これは必ずしも悪材料ではない。金融市場はこれまで、
米国政治が「ねじれ」の状態にある時の方がその他の場合よりも堅調に推移し
ている(図表 22)。しかし、トランプ候補が大統領選に勝利する場合、市場の反
応は異なるものとなる可能性がある。
図表 19: 米国政治の「ねじれ」と「ねじれ解消時」
70%
選挙先物市場
IEMによる確率
60%
下院、上院とも民主党
下院が民主党、上院が共和党
下院が共和党、上院が民主党
下院、上院とも共和党
ねじれ議会
48.1%
50%
図表 20: トランプ候補の当選確率と金融市場の調整
(指数)
S&P500種株価指数(左軸)
共和党候補の勝利確率(右軸、逆目盛)
トランプ氏関連のイベント
2150
25%
「スーパーチューズデー」
27%
2100
29%
2050
40%
ねじれなし
32.8%
30%
31%
33%
2000
35%
1950
20%
ねじれなし
14.7%
10%
0%
14年11月
37%
39%
1900
トランプ候補
の勝利確率
1850
15年5月
15年11月
出所: Iowa Electronic Markets、野村
ねじれ議会
0.7%
16年5月
1800
15年6月
15年9月
15年12月
16年3月
41%
43%
45%
16年6月
出所: Iowa Electronic Markets、野村
金融市場のリターンの観点からみて政治「こう着」は悪材料とならず。ただし
トランプ氏は新たなファクター
米国の選挙結果に対する過去の市場の反応は、2 つの教訓を示している。第
1 に、歴史的に米国株式市場は政治こう着(上院と下院の過半数政党が別々)の
時により堅調に推移し、上下院と大統領がすべて同じ政党になるとアンダーパ
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2016 年 6 月 27 日
フォームする傾向がある。第 2 に、市場は現職大統領の再選を好感し、交代は
悪材料となる傾向がある。大統領選挙の過去データは限られるが、分析の結果
は、選挙結果が現状維持を意味する場合、当然ながら市場が見込む不確実性は
より低いことを示している。
この 2 つの教訓は、2016 年の選挙にも十分当てはまろう。しかし、トラン
プ候補と、米国の貿易関係を重点課題とする同候補の選挙キャンペーンは、今
回の選挙における新たなファクターである。よって、為替市場では当然ながら、
トランプ候補の大統領就任によって米国の保護貿易主義が強まる場合、どの通
貨が最も影響を受けるかという疑問が生じよう。
図表 21: 金融市場は米国政治の現状維持を望み…
MSCIワールド指数の平均累積リターン
25%
15%
ねじれなし
ねじれ議会
10%
上院の勢力が入れ替わる
20%
図表 22: …政治膠着(ねじれ)継続が望ましい結果に
上院の勢力に変化なし
5%
大統領の続投
0%
大統領の交代
15%
-5%
-10%
10%
-15%
-20%
5%
-5%
0
5
10
15
20
25
30
大統領戦からの時間(週)
35
40
45
50
ドル
株価
10年国債
利回り
12ヶ月後
3ヶ月後
12ヶ月後
3ヶ月後
12ヶ月後
3ヶ月後
0%
12ヶ月後
3ヶ月後
-25%
VIX指数
注: 1975 年以降の大統領選挙年の平均。
注: 米ドルはドルインデックス、株価は S&P500 種指数。
出所: 野村、ブルームバーグ
出所: 野村、ブルームバーグ
北米自由貿易協定(NAFTA)と中国、単純反射的な市場の動き
トランプ候補の選挙キャンペーンでは、いくつかの重要なメッセージが発せ
られており、とりわけメキシコ/NAFTA と対中貿易が攻撃対象となっている。
したがって、メキシコペソ、カナダドルと人民元は、トランプの大統領就任シ
ナリオにおいて、市場が単純反射的な取引の対象とすることが考えられる。米
国がこれまでに締結したその他の自由貿易協定(FTA)加盟国も、市場が注目す
る可能性があろう。メキシコとカナダ、そして中米自由貿易協定(CAFTA)に加
盟する対米貿易の比重が高い小規模経済の国々を別にすると、他の FTA 加盟国
の対米貿易の比重はかなり小さくなるが、イスラエル、コロンビア、ペルー、
チリ、韓国といった国々はその中では対米輸出比率が高く、相対的に影響を受
けやすいと言えよう。
FTA とは別に、世界全体の対米輸出でみても、メキシコ(80%)とカナダ
(77%)は対米輸出の比率が最も高く、ジャマイカ(39%)、ベネズエラ(35%)、イ
スラエル(27%)がこれに続く。日本の対米輸出は全体の 19%で第 9 位、また、
中国は 17%で大きな差はないが、EU は 6.7%にとどまる。一方、米国の輸入を
国別にみると、中国への依存度が輸入全体の 22%と高く、ユーロ圏(15%)、メ
キシコとカナダ(各 13%)、日本(6%)がこれに続く。ただし、メキシコとカナダ
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2016 年 6 月 27 日
からの輸入では貿易障壁対象外の石油・エネルギーが大きなウェイトを占める
ことから、実際の影響レベルはより低水準とみられる。
図表 23: 米国の FTA 締結国の対米輸出が輸出と経済に占める比率
90%
80%
80%
77%
輸出全体に占める米国向けの比率
70%
米国向け輸出の対GDP比
60%
50%
40%
30%
28% 23% 27% 26%
20%
6%
10%
20% 18%
16%
5%
0%
3%
12% 12%
3% 4%
0%
8%
5% 6% 4% 4%
1% 2% 3%1% 1%
1%
注:中米自由貿易協定(CAFTA)は含まない。詳細は付記参照。
出所: 野村、国際通貨基金(IMF)輸出入貿易統計(DOTS)、米国通商代表部
図表 24: 対米輸出が輸出と経済全体に占める比率
英国
ブラジル
全世界
韓国
チリ
パキスタン
サウジアラビア
スイス
インド
フィリピン
バングラデッシュ
ペルー
中国
ヨルダン
日本
パナマ
ベトナム
アイルランド
コロンビア
イスラエル
ホンジュラス
ベネズエラ
グアテマラ
コスタリカ
ジャマイカ
ドミニカ共和国
エルサルバドル
ニカラグア
カナダ
メキシコ
12%
米国向け輸出の対GDP比
12%
輸出全体に占める米国向けの比率
12%
12%
12%
12%
13%
13%
13%
14%
14%
16%
17%
18%
19%
20%
20%
22%
26%
27%
35%
35%
36%
38%
39%
40%
46%
48%
77%
80%
0%
20%
40%
60%
80%
出所: 野村、国際通貨基金(IMF)輸出入貿易統計(DOTS)
図表 25: 米国の国別輸入比率
豪州
オーストリア
コロンビア
スペイン
ベネズエラ
ロシア
オランダ
シンガポール
ベルギー
インドネシア
サウジアラビア
イスラエル
ブラジル
タイ
スイス
マレーシア
ベトナム
アイルランド
台湾
イタリア
インド
フランス
英国
韓国
ドイツ
日本
メキシコ
カナダ
ユーロ圏
中国
0.5%
米国の輸入に占める割合
0.5%
0.6%
0.6%
0.7%
0.7%
0.7%
0.8%
0.9%
0.9%
1.0%
1.1%
1.2%
1.3%
1.4%
1.5%
1.7%
1.8%
1.8%
2.0%
2.0%
2.1%
2.6%
3.2%
5.5%
5.8%
13.1%
13.2%
14.8%
21.5%
0%
100%
5%
10%
15%
20%
25%
出所: 野村、国際通貨基金(IMF)輸出入貿易統計(DOTS)
米国の政治イベントを前に為替ボラティリティは上昇するのか?
我々が集計した過去の米大統領選と為替ボラティリティ市場のデータはかな
り小さなサンプルだが、2008 年を別にすると、過去の選挙では投票日にかけ
てドル円 3 ヶ月予想変動率(IV)が低下していた。逆に(2008 年を別にすると)、
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2016 年 6 月 27 日
ボラティリティは投票日以降年末にかけて上昇傾向を示している。ただし、サ
ンプルが小さいため、この結論を重視することは難しい。
図表 26: 米国大統領選挙前、必ずしもボラティリティ
は上昇していない
96年11月
00年11月
04年11月
12年11月
08年11月
ドル円3ヶ月ボラティリティ
15
14
13
40
35
図表 27: 選挙前にリスクリバーサルは低下傾向を示す
がサンプルが小さいことに留意する必要がある
ドル円3ヶ月25デルタリスクリバーサル
2.0
0
1.5
-2
1.0
30
12
0.5
-4
11
25
10
0.0
-6
-0.5
9
20
-8
15
-10
-1.0
8
-1.5
7
6
-100 -80
-60
-40
-20
0
10
20
40
60
80 100
投票日を基準とする時間(日)
出所: 野村、ブルームバーグ
-12
-100 -80
-60
-40
-20
0
08年11月 -2.0
04年11月
12年11月 -2.5
20 40 60 80 100
投票日を基準とする時間(日)
出所: 野村、ブルームバーグ
米国財政が緊迫した 2011 年と 2013 年、2010∼13 年の米国のその他政治イ
ベントの期間について、為替ボラティリティと歪度を詳細にみると、政治的不
確実性と為替ボラティリティの間に直接的な関係を見出すことは難しい。ドル
円 3 ヶ月の IV は 2011 年の連邦債務上限問題の際に上昇し、問題解決後は低下
した。ただし、2012 年の大統領選挙にかけてはボラティリティが低下し、ア
ベノミクスを受けて、その後上昇した。2013 年の連邦政府閉鎖問題の期間は
ドル円ボラティリティが急低下しており、過去の米国の政治イベントでは明確
なパターンはみられないと言える。
図表 28: ATM ボラティリティと政治の関係は明確では
ない
ドル円3ヶ月ボラティリティ
米国のイベント
日本のイベント
(%)
18
東日本大震災
16
日銀量的質的緩和
2011年連邦債務上限問題
14
12
米国財政の崖
図表 29: 選挙結果や問題解決後に為替ボラティリティ
のスキューは高まるのか?
2
1
(%)
ドル円3ヶ月25デルタリスクリバーサル
米国のイベント
安倍首相就任 米国財政の崖
日本のイベント
米国大統領選挙
東北大震災 2011年
連邦債務
上限問題
日銀量的
質的緩和
0
米国大統領選挙
-1
10
米国連邦
政府閉鎖
8
安倍首相就任
-2
6
10年10月 11年4月 11年10月 12年4月 12年10月 13年4月 13年10月
米国連邦政府閉鎖
-3 S&Pが米国を格下げ方向で見直しに
10年10月 11年4月 11年10月 12年4月 12年10月 13年4月 13年10月
出所: 野村、ブルームバーグ
出所: 野村、ブルームバーグ
S&Pが米国を格下げ方向で見直しに
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2016 年 6 月 27 日
上記の結論は、ドル円ボラティリティに限ったものだが、上記の結論の強さ
(頑健性)を確認するため、ユーロ/ドルについても同様の分析を行い、その結果
を付記に示した。分析の結果、ユーロ/ドル為替ボラティリティは、米国政治よ
りも、ギリシャ問題や欧州中央銀行(ECB)の影響を強く受けていたことが判明
した。
とは言え、トランプ氏の大統領就任は市場にとってサプライズとなり得、為
替ボラティリティの上昇につながる市場の不確実性の強まりをもたらすと考え
られる。
過去の関税問題に対して市場はどのように反応したか
貿易戦争は目新しいものではないが、新たな火種がくすぶる
米国の関税は平均で約 1.3%であり、長期にわたり低下している。ただし、
業種によって関税は様々となり得、いくつかのケースでは例外的な高税率が課
せられている。米国の貿易法では、外国の競争相手が米国市場に製品を不当な
安値で販売し、輸入急増で国内産業が痛手を受けた場合に、反ダンピング関税
を課すことが認められている。歴史的にも各大統領がこれらの措置を講じる高
い裁量権をもつことがうかがえる。関税の発動はそれほど珍しいことではなく、
最近では 16 年 3 月初めに中国の鉄鋼製品に 266%の報復関税を課すと決定した
例がある。
過去の著名な対米貿易摩擦の事例:日本車と米国産鉄鋼製品
米国貿易戦争の有名な事例の 1 つは日米自動車摩擦(1993 年 1 月∼95 年 6
月)がある。緊張が高まったのは、1995 年 5 月 16 日に当時のクリントン大統領
が日本の高級車 13 車種(同年の米国で販売額 59 億ドル)に対して 100%関税を
かける可能性をちらつかせた時である。報復関税は 6 月 28 日に発効する見通
しとなり、米国上院は賛成 88 対反対 8 でこれを支持することを決定した。そ
の間の 6 週間は、日本が米国の自動車及び部品メーカーに市場を開放すること
で解決の道を探ることに費やされた。最終的に 6 月 28 日、関税発動のわずか
数時間前になって、両国は合意に達した。
日経平均は 10%下落、FRB は利下げを実施し、報復関税回避後、株価は 13%
上昇
株式市場の反応を見ると、報復関税の発動が発表された日から回避が決まる
までに 10%以上下落した後、その後 2 週間で 13%上昇した。この上昇は、そ
の間に実施された FRB の利下げも一因になったと考えられる。 よって、関税
問題による市場へのインパクトは、とりわけタイミングを見ると、やや把握し
にくいものの、完全には無視できない。
関税問題は主要 7 ヶ国(G7)による協調介入と並行していたことも影響を読み解
きにくくしている
株式市場では反応は極めて明確であったが、為替市場の反応はそれほどでは
なかった。報復関税が脅威となっていたとき、米国と G7 はドル高誘導の協調
介入を実施していた。95 年 8 月まで繰り返し介入が実施され、2 つの要因を切
り離すのは困難である。G7 声明と関税発効までの間に介入が実施されたかは
明確ではないが、関税に関する発表前後のドル円の不可思議な動きの説明にな
るかもしれない。米ドルは一時的に上昇したが、その後は下落しており、明確
な結論は引き出せない。
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Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
図表 30: 「日米自動車戦争」と米ドル上昇
図表 31: 日経平均の変動幅は為替を上回った
ドル円相場(左軸)
(円)
110
日米自動車貿易関連のイベント
(ドル)
0.62
(円)
20000
0.64
19000
日経平均株価(左軸)
(指数)
610
日米自動車貿易関連のイベント
ドル・マルク(右軸)
S&P500種株価(右軸)
105
590
最後の協調為替介入
最後の協調為替介入
570
0.66
100
18000
100%報復関税を
ちらつかせる
95
90
550
0.68
17000
0.7
G7の
ドル買い介入
16000
530
G7の
ドル買い介入
510
0.72
FRB利下げ
85
0.74
FRB利下げ 490
15000
100%関税の危機
関税撤廃
470
関税撤廃
80
94年12月
95年3月
95年6月
0.76
95年9月
出所: 野村、ブルームバーグ
14000
94年12月
95年3月
95年6月
450
95年9月
出所: 野村、ブルームバーグ
2002 年の米国対 EU 鉄鋼関税問題
もう 1 つの著名な例は、ブッシュ大統領が 2002 年に発表した輸入鉄鋼製品
に対する高関税賦課である。この時、欧州連合(EU)は総額 22 億ドルの報復関
税を提案し、対象製品のリストを慎重にまとめあげ、これが 2004 年 11 月の大
統領選挙の争点になると予想されていた。この鉄鋼関税は、強い反対に遭い、
最終的に 2003 年に撤廃された。
この時の経験は、たとえ米国による報復関税が強い反対に直面し、あるいは
提訴され、撤廃に追い込まれても、提訴による結論が出るまで十分長い間、制
裁を発動させる時間があるという点である。しかし、関税発動に対する市場の
反応(為替、株式、金利に加え、鉄鋼の国際価格を含めても)をみると、市場が
強い影響を受けたと言えるほどの大幅な価格の変動は見られない。また、当時
の世界経済の減速の方がより強い影響を及ぼしたと考えられる。
図表 32: 欧米鉄鋼関税発動
(ドル)
1.03
図表 33: 欧米鉄鋼関税撤廃
ユーロ/ドル相場(左軸)
EU米国鉄鋼貿易関連のイベント
ドル円相場(右軸)
(円)
115
(ドル)
1.3
0.97
0.95
EU米国鉄鋼貿易関連のイベント
ドル円相場(右軸)
1.01
120
0.99
ユーロ/ドル相場(左軸)
105
1.25
107
109
2002年の鉄鋼
関税導入に対
する反応は
わずか
125
1.2
111
113
0.93
130
関税撤廃
1.15
0.91
115
117
0.89
135
1.1
119
0.87
0.85
01年10月
(円)
103
121
02年1月
出所: 野村、ブルームバーグ
02年4月
140
02年7月
1.05
03年7月
03年10月
04年1月
123
04年4月
出所: 野村、ブルームバーグ
21
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
トランプ政権の誕生は人民元にとって何を意味するか?
トランプ氏の大統領就任は中国経済と金融市場にリスクをもたらすとみられ
る。トランプ氏の対中「交渉戦略」の一部の要素が薄められるとしても、トラ
ンプ氏の勝利に対する中国国内市場の当初の反応はネガティブとなる可能性が
高い。トランプ氏が(次期大統領に就任する場合)自身の提案をすべて実行しよ
うとすれば、対中投資に対する大幅な悪化リスクや、貿易摩擦、経済成長に対
するマイナス影響が生じ、世界政治を巡る不確実性が高まろう。人民元に関し
ては、すでに脆弱な国内経済におけるマクロ経済および政治リスクの高まりを
踏まえると、トランプ氏の勝利は元安リスクを高めると考えられる。野村のア
ジア通貨ストラテジーチームのポートフォリオでは、現在、オフショア元
(CNH)の対ドル安を予想しており、野村では、オンショア元(CNY)のスポット
レートが 2017 年 1−3 月期に 1 ドル=6.80 前後に達すると予想している。し
かし、トランプ氏勝利の場合、特に同氏が 17 年 1 月の大統領就任後にこれま
でに表明している対中政策を積極的に遂行した場合、ドル人民元に対するリス
クは上方に大きく傾斜しよう。
主な懸念材料は以下のとおり:
1.中国製品に対する輸入関税の導入
トランプ氏は米国が中国から輸入する製品に対し高い関税を課すことを提案
している。中国製品の対米輸出に対する新たな高い障壁は、中国経済にマイナ
ス影響を及ぼそう。16 年 4 月までの 12 ヶ月間の対米輸出額は総額 3,991 億ド
ル(輸出全体の 17.9%)に上り、同期間の二国間貿易黒字は 2,563 億ドルとなっ
た(中国の貿易黒字全体の 41.7%)(図表 34)。中国製品に対する輸入関税は中国
の外貨収入/流入にも大きなマイナス影響を及ぼすとみられ、すでに厳しい状況
にある国際収支のさらなる悪化につながろう。加えて、そうした政策措置は、
報復措置やサプライチェーンの混乱、多国籍企業にとって加工・組立拠点とし
ての中国の魅力低下(純対内直接投資に影響)、そして政策対応など、より広範
な 2 次的影響をもたらす可能性が高い。
図表 35: 米国の対中直接投資は影響を受ける可能性
図表 34: 中国の対米貿易収支
(12ヶ月累積、全体に占める比率%)
(12ヶ月累積、10億ドル)
中国の対米貿易収支:割合(右軸)
280
中国の対米貿易収支:金額(左軸)
140%
260
240
120%
220
100%
200
80%
(94年以降の累計、10億ドル)
70
60
米国の対中直接投資
50
40
30
180
60%
160
20
40%
140
120
20%
100
05年12月
0%
08年1月
10年2月
出所: CEIC データベース、野村
12年3月
14年4月
10
0
94年3月 97年11月 01年7月 05年3月 08年11月 12年7月
出所: CEIC データベース、野村
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2016 年 6 月 27 日
2.米国企業の海外移転に対する課税
トランプ氏は海外に雇用を移転する米国企業にペナルティーを課すことも提
案しており、これも中国にマイナス影響を及ぼす可能性が高い。具体的には、
米国は、対中直接投資実行額(1979∼2014 年累計)の 4.9%を占め、香港、英領
バージン諸島、日本に次ぐ第 4 位となっている。米商務省経済分析局によれば、
2015 年の対中直接投資は 64 億ドルであった(図表 35)。対中直接投資のセクタ
ー別内訳は公表されていないが、米国の対外直接投資全体に占める製造業セク
ターの割合は 17.9%に上る。中国ではすでに民間部門の海外への資産分散の動
きが大幅に強まっており、米国からの対中投資の減少によって中国の対内純直
接投資額のマイナスはさらに拡大する可能性がある(16 年 1−3 月期は 229 億ド
ルの流出超)。既に指摘したとおり、中国の資本勘定自由化が進んでいること、
国内の脆弱性の高まり、米中金融政策格差、そして政府の反腐敗運動を踏まえ
ると、同国の民間部門による海外への資産分散の動きは中期的なトレンドであ
ると考えられる(詳細は、2015 年 12 月 8 日付「アジアスペシャルレポート:中
国 - 人民元国際化への道」を参照)。
3.中国の為替操作国認定
トランプ氏は政権発足当日に中国を為替操作国に認定すると明言している(大
統領就任は 17 年 1 月 20 日)。新大統領が中国を為替操作国に認定する固い決
意があるならば、米財務省および国際通貨基金(IMF)との手続きが開始される可
能性がある。しかし、最近可決された、米財務省が不公平な慣行を持つ国を特
定し、対応をとるための手続きを確立する法案を踏まえると、手続きはそれほ
ど容易ではない可能性がある。この法案に従い、財務省は為替操作国であるか
否かを判断する 3 つの基準を定めている。これら 3 つの基準すべてに抵触する
場合、米財務省は、財務長官を通じて大統領が当該国と二国間交渉を開始する
ことを表明する。1 年後に当該国が依然として適切な政策を採用していない場
合、大統領はさらなる措置を講じることが可能である。為替操作国の認定だけ
では相殺関税を課すことは認められない。とは言え、そうした決定を受け、議
会内では対中強硬姿勢が強まり、中国製品に対し様々な形で関税を課そうとす
る動きが強まる可能性がある。
図表 36: 不公正な慣行を特定する米財務省の基準と各国の状況
経常収支
二国間財
貿易収支
(10億ド ル )
中国
ドイツ
日本
メキシコ
韓国
イタリア
インド
フランス
カナダ
台湾
イギリス
ブラジル
365.7
74.2
68.6
58.4
28.3
27.8
23.2
17.6
14.9
14.9
1.5
-4.3
経常収支黒字
( 対 GDP比 %、
2015年 )
3.1%
8.5%
3.3%
-2.8%
7.7%
2.2%
-1.1%
-0.2%
-3.3%
14.6%
-5.2%
-3.3%
過去 3年の変化
( 対 GDP比
%ポイン ト )
0.5%
1.5%
2.3%
-1.4%
3.5%
2.6%
3.8%
1.0%
0.3%
5.0%
-1.9%
-0.3%
為替介入
純外貨購入
( 対 GDP比 %、
2015年 )
-3.9%*
0.0%
-1.8%
0.2%*
1.8%
0.0%
2.4%*
0.0%
0.1%
継続的
外貨購入
NO
NO
NO
NO
NO
NO
NO
NO
NO
YES
NO
NO
注: *は米財務省の推定。出所: 米財務省
23
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2016 年 6 月 27 日
4.南シナ海を巡る政治リスク
トランプ氏の勝利は米中間の政治リスクも高める可能性がある。米国が中国
に課す可能性のある様々な制裁措置(すなわち貿易関係)を通じたリスクのみに
とどまらず、南シナ海における中国の軍事基地建設に対するトランプ氏のスタ
ンスもリスクとなろう。米国自身も周辺海域に軍事基地を建設するのかという
質問に対し、トランプ氏はその可能性はあると答えている(16 年 3 月 26 日付ニ
ューヨーク・タイムズ紙のインタビュー)。加えて、同氏は中国に対する「交渉
の切り札」として貿易を用いるとも述べている。アジアと中国の政治リスクに
関しては、トランプ氏は北朝鮮と中国からの防衛に関し米国に過度に依存すべ
きではないとの考えから、日本と韓国の双方から米軍を撤退させる意向を強調
している(16 年 3 月 27 日付(豪州)「フィナンシャル・レビュー」紙)。
全体として、トランプ氏の比較的積極的な姿勢を踏まえると、同氏が大統領
に選出されれば米中間の経済・政治関係に対するリスクは高まるとみられ、中
国経済および金融市場にマイナス影響をもたらす可能性があろう。しかし、ト
ランプ氏が対中強硬姿勢の一部を弱め、より現実主義的な姿勢をとる可能性も
あり、その場合にはこうしたネガティブなリスクは大幅に軽減されよう(詳細は、
2016 年 6 月 3 日付「米国スペシャルレポート - トランプ候補と米国経済政策」
を参照)。中国はすでにここ数ヶ月間、トランプ氏の発言に対して不満を表明し
ており、同氏は「米国社会のパンドラの箱を開けた」としたうえで、米国は、
中国に「略奪」されたとのトランプ氏の「単純なロジック」(16 年 5 月 4 日付
新華社通信)による「制度的失敗の見通し」に直面している(16 年 3 月 14 日付
グローバル・タイムズ紙)としている。しかし中国は、トランプ氏の勝利が「中
米関係に変化をもたらす」(16 年 5 月 4 日付グローバル・タイムズ紙)ことを懸
念しているにもかかわらず、少なくとも当初は合理的かつ客観的な姿勢を維持
する可能性が高いと野村はみている。とは言え、中国経済がすでに減速するな
か、トランプ氏の政策によってさらなる下押し圧力が生じれば、中国は景気刺
激へと政策の焦点をシフトさせ、より柔軟な金融政策が必要となる可能性があ
る。これは人民元安を通じて一部達成される可能性があると野村はみている。
メキシコにとって何を意味するか?
貿易障壁の導入と本国送金の禁止を実行することは難しいだろうが、単なる
脅しであっても、メキシコ資産のリスクプレミアムを拡大させかねない。
本国送金は経常収支赤字を低水準に抑えるうえで重要である。米国に居住す
るメキシコ国民による違法、合法含めた本国送金フローはメキシコの対 GDP
比約 2.4%に上る。2015 年のメキシコの経常収支赤字は対 GDP 比 2.8%であっ
た。
輸出、対内直接投資、対内証券投資は米国との安定した関係に依存しており、
トランプ政権の下ではこの関係が不安定化する可能性がある。
実際、メキシコおよびメキシコペソの見通しは、トランプ氏の積極的な戦略
から最も直接的な影響を受ける可能性が高い。トランプ氏の勝利の可能性が高
まれば、メキシコペソの見通しは悪化しよう(詳細は、2016 年 4 月 7 日付「メ
キシコ:トランプ氏の政策とメキシコペソ - 米国大統領選挙の影響」を参照)。
カナダにとってトランプ政権の誕生が意味することは?
トランプ氏はこれまでのところ、メキシコや中国に対する発言とは対照的に
カナダに対しては比較的慎重な姿勢をとっている。しかし、入手可能な情報を
24
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2016 年 6 月 27 日
検討すると、トランプ政権はカナダ経済にとってマイナスとなる可能性が高い
ように思われる。
米国経済への依存が大きいことを踏まえると、カナダの交渉上の立場は弱く、
貿易協定交渉では敗北する可能性が高い。しかし、米国とカナダの貿易関係が
混乱すれば、米国経済にも重大なマイナス影響が及ぼう。カナダの輸出の約
75%は米国向けであり、貿易障壁の導入や様々な貿易協定の撤廃/再交渉はカナ
ダ経済にとって最大の脅威となろう。しかし重要な点として、カナダ向け輸出
は米国の輸出の 12.5%を占め、中国に次いで第 2 位であることから、こうした
状況は米国にとっても打撃となり得る。したがって、多くのセクターにおいて
米加間でサプライチェーンの統合がかなり確立していることを考えると、カナ
ダに対する貿易障壁の導入によって短期的には米国の製造業も打撃を受ける可
能性がある。
トランプ氏は、「キーストーン XL パイプライン」の建設を承認するとして
いるが、パイプラインで運ばれる石油から生じる利益の一部を(恐らく税金を通
じて)米国が確保する取り決めを模索すると付け加えている。問題は、パイプラ
インで運ばれる石油に対する課税によってこのプロジェクトが不採算化し、計
画中止に追い込まれるかどうかである。さらに、これが前例となり、他のパイ
プライン(石油、ガス、その他)への課税につながることも考えられる。こうし
た課税はカナダの生産者にとって打撃となろうが、コストがエンドユーザーに
転嫁されれば、米国の一部の産業分野にも影響が及ぶ可能性がある。さらに、
カナダ産原油に対する課税は、より長期的なエネルギー安全保障の観点でも米
国に厄介な影響を及ぼしかねず、カナダ産原油を湾岸部に運ぶ別のパイプライ
ンの建設の意思決定プロセスと建設が加速し、北米市場でカナダ産原油の利用
が難くなる可能性もある。
カナダにとって企業投資と経済成長を刺激するために対米輸出の拡大が必要
であることは明らかであり、上述の結果はカナダ経済にとっては最悪のタイミ
ングとなろう。カナダ経済が疲弊している国内経済に依存せざるを得ない状況
となり、景気が停滞するリスクがある。その場合には金融と財政双方からのさ
らなる政策対応が必要となる可能性が高く、そうした対応は恐らく通貨にとっ
てネガティブとなろう。
円相場にとってトランプ政権の誕生は何を意味するか?
前のセクションで検討したとおり、イベント分析では米国政治による日本円
への明確なインプリケーションは認められない。しかし、トランプ氏の大統領
選出の可能性の高まりに伴う米国政治リスクの増大は、次の 2 つの理由からド
ル安円高要因になると野村はみている。
第 1 に、円は主要なセーフヘイブン(安全な避難先)通貨の 1 つである。野村
の米国エコノミストが指摘するとおり、11 月の大統領選でのトランプ氏の勝利
は、米国の経済政策を巡る不確実性が高まることを意味する。加えて、野村の
米国エコノミストは、トランプ氏の移民および貿易政策が少なくとも短期的に
は米国経済に混乱をもたらすと考えている一方、野村のアジア通貨ストラテジ
ーチームは、トランプ氏のポリシーミックスは中国経済と金融市場に対するリ
スクを高めるとみている。世界経済見通しに関する投資家の評価はマイナス影
響を受けるとみられ、リスクセンチメントが打撃を受ける一方、セーフヘイブ
ン通貨に対する需要は高まろう。ユーロ、スイスフラン、スウェーデンクロー
ナなど、主要 10 通貨の中には利回りがより低い通貨があるものの、ユーロ円
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2016 年 6 月 27 日
は依然としてリスクセンチメントと正の相関を示している。英国の欧州連合
(EU)離脱の是非を問う国民投票を控え、円は主要 10 通貨の中で、不確実性の
高まりから恩恵を受ける可能性が高い(詳細は、2016 年 6 月 1 日付「国際金融
為替フラッシュ - 英国の EU 残留/離脱から影響を受ける通貨ペアは?(パート
2)」を参照)。日本の一部の生保は、海外の政治的不確実性(英国の EU 離脱と米
国大統領選)が、為替リスクをとることに慎重になる 1 つの要因であることを示
唆している。
第 2 に、米国の対中貿易関係を巡る激しい論戦を受け、投資家は日本の政策
当局が為替介入や金融緩和を通じて円高を抑制する能力に対し懐疑的な見方を
強めるだろう。中国とは異なり、日本の対米貿易黒字は拡大していない。した
がって、20∼30 年前とは異なり、通商問題におけるトランプ氏の主なターゲ
ットは日本経済ではなく中国経済となろう。為替市場に関する日米間の見解の
相違は直近の主要 7 ヶ国(G7)首脳会議ですでに明らかになっているが、米国が
中国の為替政策に対する圧力を強めれば、日本の為替介入能力に対する投資家
の懐疑的な見方はさらに強まる可能性がある。日銀は 6 月ないし 7 月に追加緩
和に動くとみられ、その直後にさらなる緩和を実施することは考え難いものの、
米国の大統領選挙を控え、市場の日銀追加緩和期待はさらに後退する可能性が
ある。
野村では、1) 米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ(訳注:野村は次回利上げ
のタイミング予想を 7 月∼9 月に変更した)、2)7 月に見込まれる日銀の追加緩
和、3)英国の国民投票(野村の基本シナリオは EU 残留)を背景に、向こう 2 ヶ
月間(6∼7 月)はドル円が上昇するリスクがあるとみている。しかし、6∼7 月の
これらのイベント終了後は、市場の関心は米国政治に移るとみられ、夏から秋
にかけてドル円は失速する可能性が高い。
米国の政治システムと同国が締結している自由貿易協定(FTA)の詳細に関して
は、以下の付記を参照されたい。
付記
1. 米国の政治システム
米国の連邦議会は上院と下院で構成されている。議会選挙は 2 年に 1 度行わ
れ、偶数年の 11 月第 1 月曜日の翌火曜日が投票日となる。米国大統領は国と
行政府の長であり 4 年に 1 度、4 の倍数の年に選挙が行われる。法案は上院と
下院の両方で可決されたのち大統領の署名を経て法律となる。大統領は拒否権
を持つが、上院と下院の両方で 3 分の 2 以上の賛成を得られれば議会が大統領
拒否権を覆すことができる。米国の立憲制度は権力の分散を意図してつくられ
ており、行政、立法、司法の三権が相互に抑制し合う構造となっている。
下院の定数は 435 議席である。議席は各州の人口比に応じて配分されており、
配分は 10 年ごとの国勢調査の結果をもとに見直される。下院の任期は 2 年で
あり全員が 2 年ごとに改選される。下院では 218 議席の獲得で過半数議席数が
得られる。現在は共和党が 247 議席を獲得している。最大議席数を持つ政党の
トップは下院の立法をほぼ完全にコントロールできる。大統領の属する政党が
下院で過半数議席を有していれば立法のプロセスはより容易になる。議会選挙
が 2 年ごとに行われるため、大統領選挙のない年は常に中間選挙が行われる。
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2016 年 6 月 27 日
上院は各州 2 名ずつの議員で構成される。任期は 6 年で、2 年ごとに定数の
3 分の 1 の議員が改選される。立法プロセスにおいては個々の上院議員や野党
の意見が重視されており、半数に満たない 40 名の合意があれば法案成立を妨
げることが可能である。
大統領選挙は正式には選挙人団による間接投票で選ばれる。各州に上院と下
院の議員数に等しい数の選挙人が割り当てられ、選挙人が最終的に投票する。
2 州を除くすべての州において、選挙人は一般投票における最多得票候補に投
票することになっており、選挙人団による投票で得票数が最も多い候補者が大
統領となる。選挙人の総数は 538 名であるため、選挙人団の投票で 270 票を獲
得した候補者が大統領に選出される。
選挙人団方式が採用されているため、大統領選挙は事実上、50 回の州で別々
に行われるといえる。過去、ほぼすべての場合、全米で得票数が最も多い候補
者が選挙人団による投票でも勝利している。直近の例外としては、2000 年の
大統領選挙において、一般投票で 50.3%の票を獲得したアル・ゴア候補が、最
終的に選挙人団投票で 271 票を獲得したジョージ W ブッシュ候補に敗れたこ
とがあった。このようなケースはごく珍しく(その前は 1888 年までさかのぼる)、
近代史において最も接戦となった大統領選挙であった。
議会における政党色の強まり:近年の議会ではそれぞれの政党が政党色を一段
と強めている。共和党は中道から右寄りの姿勢を強め、民主党は逆に左寄りの
姿勢を強めている。このような変化は、地域ごとの政治的スタンスが均質化し
ていることを反映している。つまり、以前から共和党が優勢な地域は共和党へ
の支持姿勢を強め、民主党支持が優勢だった地域は民主党への支持を強めてい
るのである。このためお互い歩み寄る意欲は低下している。
2. 米国の自由貿易協定の詳細
米国は自由貿易協定(FTA)にいくつ加盟しているか?
図表 38: 自由貿易協定(FTA)と米国輸入
図表 37: 自由貿易協定(FTA)と米国輸出
22%
発効済みFTA
31%
34%
TPP
47%
7%
発効済みFTA
TTIP
TPP
その他交渉中
貿易合意なし
TTIP
その他交渉中
7%
18%
9%
6%
出所: 野村、国際通貨基金(IMF)輸出入貿易統計(DOTS)
貿易合意なし
19%
出所: 野村、国際通貨基金(IMF)輸出入貿易統計(DOTS)
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2016 年 6 月 27 日
図表 39: 米国の自由貿易協定(FTA)合意と各国の輸出入に占める対米貿易の比率
米国輸出に占め 米国輸入に占め 対米輸出が全体 対米輸入が全体
る 比率
る 比率
に占め る 比率
に占め る 比率
国名
FTA 発効年
1985
1994
2001
2004
2004
2004
2006
2006
2006
2007
2005
2012
2012
2012
署名済み
協議中
なし
イスラエル
カナダ
メキシコ
ヨルダン
オーストラリア
チリ
シンガポール
バーレーン
モロッコ
オマーン
ペルー
コスタリカ
エルサルバドル
グアテマラ
ホンジュラス
ニカラグア
ドミニカ共和国
パナマ
コロンビア
韓国
発効済みFTAの合計
TPP
TTIP
その他交渉中
交渉中の貿易協議の合計
合意なし
0.9%
18.6%
15.7%
0.1%
1.7%
1.0%
1.9%
0.1%
0.1%
0.2%
0.6%
0.4%
0.2%
0.4%
0.3%
0.1%
0.5%
0.5%
1.1%
2.9%
47.3%
6%
18%
7%
30.6%
22%
1.1%
13.2%
13.1%
0.1%
0.5%
0.4%
0.8%
0.0%
0.0%
0.0%
0.2%
0.2%
0.1%
0.2%
0.2%
0.1%
0.2%
0.0%
0.6%
3.2%
34.4%
9%
19%
7%
34.9%
31%
26.9%
76.8%
80.2%
18.0%
4.2%
12.3%
5.9%
2.4%
3.6%
1.4%
16.1%
38.4%
46.5%
36.1%
35.2%
48.4%
40.1%
19.8%
26.3%
12.3%
14.4%
53.1%
47.3%
6.3%
11.2%
18.7%
11.2%
9.3%
5.7%
7.4%
21.4%
44.7%
39.4%
37.7%
37.1%
20.0%
42.0%
21.8%
28.8%
10.1%
出所: 野村
3. 米大統領・議会選挙年における金融資産のパフォーマンス
図表 40: 大統領、下院、上院選挙の結果と為替、株式、金利市場
1960年
1962年
1964年
1966年
1968年
1970年
1972年
1974年
1976年
1978年
1980年
1982年
1984年
1986年
1988年
1990年
1992年
1994年
1996年
1998年
2000年
2002年
2004年
2006年
2008年
2010年
2012年
2014年
投票日
11月8日
11月6日
11月3日
11月8日
11月5日
11月3日
11月7日
11月5日
11月2日
11月7日
11月4日
11月2日
11月6日
11月4日
11月8日
11月6日
11月3日
11月8日
11月5日
11月3日
11月7日
11月5日
11月2日
11月7日
11月4日
11月2日
11月6日
11月4日
大統領
の政党
民主党
民主党
民主党
民主党
共和党
共和党
共和党
共和党
民主党
民主党
共和党
共和党
共和党
共和党
共和党
共和党
民主党
民主党
民主党
民主党
共和党
共和党
共和党
共和党
民主党
民主党
民主党
民主党
大統領
ケネディ
ケネディ
ジョンソン
ジョンソン
ニクソン
ニクソン
フォード
フォード
カーター
カーター
レーガン
レーガン
レーガン
レーガン
G.H. ブッシュ
G.H. ブッシュ
クリントン
クリントン
クリントン
クリントン
G.W. ブッシュ
G.W. ブッシュ
G.W. ブッシュ
G.W. ブッシュ
オバマ
オバマ
オバマ
オバマ
上院
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
共和党
共和党
共和党
民主党
民主党
民主党
民主党
共和党
共和党
共和党
民主党
共和党
共和党
民主党
民主党
民主党
民主党
共和党
下院
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
民主党
共和党
共和党
共和党
共和党
共和党
共和党
民主党
民主党
共和党
共和党
共和党
S&P500
10年物
ドル
( 貿易加重平均 )
株価指数
米国債利回り
( 選挙ま での 4年間の変化 %)
-8%
5%
-17%
0%
40%
14%
-23%
-15%
-12%
9%
-3%
1%
7%
24%
-8%
-20%
1%
1%
-10%
4%
8%
9%
46%
-5%
28%
-19%
36%
-36%
41%
-8%
36%
5%
24%
46%
11%
15%
34%
10%
53%
57%
29%
-37%
24%
22%
-30%
23%
20%
42%
4%
24
96
52
161
-97
153
-42
147
361
-190
100
-428
163
-41
-161
115
-169
-158
109
-181
3
62
-78
-129
-94
66
-51
出所: 野村
28
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
4. 米国政治の不確実性とユーロドル為替ボラティリティ(ドル円ボラティリテ
ィの補足として)
図表 41: 米国/欧州の政治イベントとユーロドル為替 3 ヶ月ボラティリティ、3 ヶ月 25 デルタリスクリバーサル
ユーロドル3ヶ月ボラティリティ
米国のイベント
ユーロ圏のイベント
(%)
20
2011年連邦債務
上限問題
18
ギリシャへの支援遅延
ギリシャ救済
16
LTRO
米国大統領選挙
14
12
米国財政の崖
10
米国連邦政府閉鎖
ギリシャ救済
8
S&Pが米国を
格下げ方向で見直しに
6
10年10月
11年4月
ドラギ総裁
「あらゆる措置を講じる」発言
11年10月
12年10月
13年4月
13年10月
米国大統領選挙
(%)
0
-1
12年4月
S&Pが米国を格下げ方向で見直しに
2011年
連邦債務
上限問題
-1
-2
LTRO
-2
米国財政の崖
-3
米国連邦政府閉鎖
ギリシャ救済
ドラギ総裁「あらゆる措置を講じる」発言
-3
-4
ギリシャ救済
-4
ユーロドル3ヶ月25デルタリスクリバーサル
米国のイベント
-5
-5
10年10月
ギリシャへの支援遅延
11年4月
11年10月
ユーロ圏のイベント
12年4月
12年10月
13年4月
13年10月
出所: 野村、ブルームバーグ
(Jordan Rochester、Bilal Hafeez、後藤 祐二朗、Charles St-Arnaud、Craig
Chan、Wee Choon Teo、Sam Bonney、David Wagner、Lewis Alexander、雨
宮
愛知)
29
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
6. 為替予想
※予告なしに変更する場合があります。
ドル USD/JPY
ユーロ EUR/JPY
ポンド GBP/JPY
豪ドル AUD/JPY
加ドル CAD/JPY
ニュージーランドドル NZD/JPY
南アランド ZAR/JPY
ブラジルレアル BRL/JPY
メキシコペソ MXN/JPY
トルコリラ TRY/JPY
インドルピー INR/JPY
2015.2Q
2015.3Q
2015.4Q
2016.1Q
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
末値
レンジ
122.5
119.9
120.2
112.5
2016.2Q(予) 2016.3Q(予) 2016.4Q(予)
136.5
134.0
130.6
128.0
192.5
181.3
177.1
161.9
94.4
84.1
88.6
86.3
98.0
90.0
86.9
86.7
82.9
76.7
82.2
77.0
10.07
8.65
7.76
7.66
39.5
30.4
30.4
31.6
7.78
7.09
6.98
6.51
45.7
39.6
41.2
39.9
1.95
1.83
1.82
1.70
2015.2Q
2015.3Q
2015.4Q
2016.1Q
-1.7
1.7
-1.8
1.9
0.8
1.4
1.0
118
100∼121
127
110∼130
172
134∼177
84
74∼86
87
76∼90
76
71∼77
6.7
6.6∼6.9
33
29∼34
6.2
5.2∼6.4
40
34∼41
1.77
147∼1.81
120
114∼126
128
122∼134
176
168∼185
82
78∼86
87
83∼91
74
71∼78
6.6
6.2∼6.9
34
33∼36
6.2
5.8∼6.5
41
39∼43
1.78
1.69∼1.87
122
116∼128
128
122∼134
183
174∼192
82
78∼86
90
86∼95
76
72∼79
6.4
6.1∼6.7
35
33∼37
7.0
6.6∼7.3
41
39∼43
1.80
1.71∼1.89
(出所)野村
(
経済・金利前提
[日本] 実質経済成長率(前期比年率) (%)
2016.2Q(予) 2016.3Q(予) 2016.4Q(予)
消費者物価コア(前年比)
(%)
0.1
-0.1
0.0
-0.1
-0.4
-0.2
0.1
政策金利
(%)
0.10
0.10
0.10
-0.10
-0.10
-0.20
-0.20
10年債ベンチマーク金利
(%)
0.46
0.35
0.27
-0.05
-0.15
-0.15
-0.15
[米国] 実質経済成長率(前期比年率) (%)
3.9
2.0
1.4
0.8
2.0
2.2
2.2
消費者物価コア(前年比)
(%)
1.8
1.8
2.0
2.3
2.2
2.2
2.2
フェデラルファンドレート
(%)
0-0.25
0-0.25
0.25-0.50
0.25-0.50
0.25-0.50
0.50-0.75
0.50-0.75
10年財務省証券
(%)
2.35
2.06
2.27
1.76
1.90
2.00
2.00
[ユーロ] 実質経済成長率(前期比)
(%)
0.4
0.3
0.3
0.6
0.3
0.4
0.4
消費者物価(前年比)
(%)
0.2
0.1
0.2
0.0
-0.1
0.3
0.7
メインリファイナンス金利
(%)
0.05
0.05
0.05
0.00
0.00
0.00
0.00
独10年連邦債
(%)
0.78
0.59
0.63
0.15
0.35
0.40
0.40
(%)
0.6
0.4
0.6
0.4
0.4
0.5
0.5
消費者物価(前年比)
(%)
0.0
0.0
0.1
0.3
0.7
1.0
1.6
オフィシャル・バンク・レート
(%)
0.50
0.50
0.50
0.50
0.50
0.50
0.50
10年国債
(%)
2.02
1.76
1.96
1.42
1.85
1.90
2.10
(%)
2.0
2.7
3.0
2.4
2.6
2.0
1.9
消費者物価(前年比)
(%)
1.5
1.5
1.7
1.3
1.1
1.3
1.4
オフィシャル・キャッシュ・レート
(%)
2.00
2.00
2.00
2.00
1.75
1.50
1.25
10年国債
(%)
3.01
2.61
2.88
2.49
2.55
2.50
2.75
実質経済成長率(前年比)
(%)
3.3
3.6
3.7
2.7
2.9
2.6
2.3
消費者物価(前年比)
(%)
0.4
0.4
0.1
0.4
0.4
0.5
1.1
オフィシャル・キャッシュ・レート
(%)
3.25
2.75
2.50
2.25
2.00
2.00
2.00
10年国債
(%)
3.63
3.28
3.57
2.93
2.91
3.00
3.12
[英国] 実質経済成長率(前期比)
[豪州] 実質経済成長率(前年比)
[NZ]
(出所)野村
30
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
Appendix A-1
アナリスト証明
我々、 池田 雄之輔, 郭 穎, 中島 將行, 小池 基生 と 後藤 祐二朗は、(1)レポートに記述されている全ての見方が私のここで議論した全
ての証券や発行企業に対する私の見方を正確に反映していることを保証いたします。(2)さらに、私は私の報酬が、直接的あるいは間接
的にこのレポートで議論した推奨や見方によって、現在、過去、未来にわたって一切影響を受けないこと、ならびに、(3)米国の NSI、英
国の NIP あるいはその他の野村のグループ企業が行ったいかなる投資銀行案件とも関係ないことを保証いたします。
重要なディスクロージャー
リサーチのオンライン提供と利益相反に関するディスクロージャー
野村のリサーチは、www.nomuranow.com/research、ブルームバーグ、キャピタル IQ、ファクトセット、MarkitHub、ロイター、トムソン・ワンでご覧いただ
けます。重要なディスクロージャーにつきましては、http://go.nomuranow.com/research/globalresearchportal/pages/disclosures/disclosures.aspx に
てご参照いただくか、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(1-877-865-5752)までお申し出ください。ウェブサイトへのアクセスでお困りの場合
には [email protected] にお問い合わせください。
本レポートを作成したアナリストは、その一部は投資銀行業務によって得ている会社の総収入など、様々な要素に基づく報酬を得ています。特に断りがな
い限り、本レポートの表紙に記載されている米国外のアナリストは、金融取引業規制機構(FINRA)/ニューヨーク証券取引所(NYSE)の規定に基づくリサ
ーチ・アナリストとしての登録・資格を得ておらず、NSI の関係者ではない場合があり、また、調査対象企業とのコミュニケーション、公の場での発言、ある
いはリサーチ・アナリスト個人が保有する証券の売買に関して、FINRA の規則 2711 や NYSE の規則 472 を適用されない場合があります。
ノムラ・グローバル・フィナンシャル・プロダクツ・インク(「NGFP」)、ノムラ・デリバティブ・プロダクツ・インク(「NDPI」)およびノムラ・インターナショナル plc
(「NIplc」)は、商品先物取引委員会および米国先物取引委員会にスワップ・ディーラーとして登録されています。NGFP、NDPI および NIplc は、通常業務
として、先物およびデリバティブ商品のトレーディングに従事しており、いずれの商品も本レポートの対象となることがあります。
米国で必要なその他のディスクロージャー
NSI ならびにその関連会社は、通常、このリサーチレポートで言及されている債券あるいはそのデリバティブの取引を行っています。アナリストは、NSI の
従業員と情報を交換しています。NSI ならびにその関連会社の債券アナリストは、それぞれがカバーする債券の流動性や価格情報を得るため、トレーディ
ング・デスクの従業員とも情報を交換しています。
評価方法:債券等
野村の債券アナリストならびにストラテジストは、個々の取引推奨を通じ債券や金融商品の価格について見通しを提供しています。これらの推奨は相対
価値、相場の方向性及び資産配分に係る取引推奨、ないし、これら三つの組み合わせとなります。個々の取引推奨が内包している証券分析には通常以
下の分析が含まれています。
・ 各証券価格とその背景にあるマクロあるいはミクロ経済との乖離に関するファンダメンタル分析
・ 価格の差異に関する計量分析
・ 法令諸規則の変更、市場におけるリスク選好の変化、予想外の格付けアクション、発行市場の動向や需給状況などに関するテクニカル要因の分析
債券や金融商品に対する推奨期間は個々の推奨で異なります。テクニカル要因に基づく取引推奨はより短期で、通常 3 ヶ月未満の期間を対象としていま
す。戦略的な取引推奨はより長期で、通常 3 ヶ月を超える期間を対象としています。
ディスクレイマー
本資料は表紙に記載されている野村の関連会社により作成されたもので、表紙などに従業員やその協力者が記載されている1社あるいは複数の野村の
関連会社によって単独あるいは共同で作成された資料が含まれます。ここで使用する「野村グループ」は、野村ホールディングス、あるいはその関連会社
または子会社を指し、また、1 以上の野村グループ会社を指すこともあり、日本の野村證券(「NSC」)、英国のノムラ・インターナショナル plc (「NIplc」)、米
国のノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク (「NSI」)、香港の野村国際(香港) (「NIHK」)、韓国のノムラ・フィナンシャル・インベストメント(韓
国) (「NFIK」) (韓国金融投資協会(「KOFIA」)に登録しているアナリストの情報は KOFIA のイントラネット http://dis.kofia.or.kr でご覧いただけます)、シン
ガポールのノムラ・シンガポール・リミテッド (「NSL」) (登録番号 197201440E、 シンガポール金融監督局に監督下にあります)、オーストラリアのノムラ・オ
ーストラリア・リミテッド (「NAL」) (ABN 48 003 032 513) (オーストラリアのライセンス番号 246412、オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」)の監督下にあ
ります)、インドネシアの P.T.ノムラ・インドネシア (「PTNI」)、マレーシアのノムラ・セキュリティーズ・マレーシア Sdn. Bhd. (「NSM」)、台湾の NIHK 台北支
店 (「NITB」)、インドのノムラ・フィナンシャル・アドバイザリー・アンド・セキュリティーズ (インディア) プライベート・リミテッド (「NFASL」)、 (登録住所: Ceejay
House, Level 11, Plot F, Shivsagar Estate, Dr. Annie Besant Road, Worli, Mumbai- 400 018, India;電話: +91 22 4037 4037、ファックス: +91 22 4037 4111;
CIN 番号:U74140MH2007PTC169116、SEBI 登録番号(株式ブローカレッジ): BSE INB011299030、NSE INB231299034、 INF231299034、 INE
231299034, MCX: INE261299034、SEBI 登録番号(マーチャントバンキング):INM000011419、SEBI 登録番号(リサーチ):INH000001014)、スペインの
NIplc マドリッド支店 (「NIplc, Madrid」)が含まれます。リサーチ・レポートの表紙のアナリスト名の横に記載された「CNS タイランド」の記載は、タイのキャピ
タル・ノムラ・セキュリティーズ・パブリック・カンパニー・リミテッド (「CNS」)に雇用された当該アナリストが、リサーチ・アシスタント・アグリーメントに基づき、
NSL にリサーチ・アシスタントのサービスを行っていることを示しています。リサーチ・レポートの表紙の従業員氏名の横に記載された「NSFSPL」は、ノム
ラ・ストラクチャード・ファイナンス・サービシーズ・プライベート・リミテッドに雇用された当該従業員が、インタ−カンパニー・アグリーメントに基づき、特定の
野村の関連会社のサポ―トを行っていることを示しています。
本資料は、(i)お客様自身のための情報であり、投資勧誘を目的としたものではなく、(ii)証券の売却の申込みあるいは証券購入の勧誘が認められていな
い地域における当該行為を意図しておらず、かつ(iii)信頼できると判断されるが野村グループによる独自の確認は行っていない情報源に基づいておりま
す。
31
Nomura | 国際金融為替ウィークリー
2016 年 6 月 27 日
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証とその他の言質は許容可能な最大の範囲まで免除されます。野村グループは本情報の利用、誤用あるいは配布に対して一切の責任を負いません。
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るいは売買を行う場合があります。また、野村グループ会社は発行体の金融商品の(英国の適用される規則の意味する範囲での)マーケットメーカーある
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ソライズド・パーソンズ」、「エグゼンプト・パーソンズ」、または「インスティテューションズ」以外の者への本資料の配布、アラブ首長国連邦(「UAE」)におい
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ろの、)「マーケット・カウンターパーティー」、または「ビジネス・カスタマーズ」以外の者への配布を認めておりません。サウジアラビアおいては、「オーソラ
イズド・パーソンズ」、「エグゼンプト・パーソンズ」、または「インスティテューションズ」以外の者、UAE の「専門的顧客」以外の者、あるいはカタールの「マ
ーケット・カウンターパーティー」、または「ビジネス・カスタマーズ」以外の者を対象に本資料ならびにそのいかなる複製の作成、配信、配布を行うことは直
接・間接を問わず、係る権限を持つ者以外が行うことはできません。本資料を受け取ることは、サウジアラビアに居住しないか、または「オーソライズド・パ
ーソンズ」、「エグゼンプト・パーソンズ」、または「インスティテューションズ」であることを意味し、UAE においては「専門的顧客」、カタールにおいては「マー
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2016 年 6 月 27 日
ケット・カウンターパーティー」、または「ビジネス・カスタマーズ」であることの表明であり、この規定の順守に同意することを意味いたします。この規定に従
わないと、サウジアラビア、UAE、あるいはカタールの法律に違反する行為となる場合があります。
本資料のいかなる部分についても、野村グループ会社から事前に書面で同意を得ることなく、(i)その形態あるいは方法の如何にかかわらず複製する、あ
るいは(ii)配布することを禁じます。本資料が、電子メール等によって電子的に配布された場合には、情報の傍受、変造、紛失、破壊、あるいは遅延もしく
は不完全な状態での受信、またはウィルスへの感染の可能性があることから、安全あるいは誤りがない旨の保証は致しかねます。従いまして、送信者は
電子的に送信したために発生する可能性のある本資料の内容の誤りあるいは欠落に対する責任を負いません。確認を必要とされる場合には、印刷され
た文書をご請求下さい。
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無登録格付に関する説明書
格付会社に対し、市場の公正性・透明性の確保の観点から、金融商品取引法に基づく信用格付業者の登録制が導入されております。
これに伴い、金融商品取引業者等は、無登録の格付業者が付与した格付を利用して勧誘を行う場合、金融商品取引法により、無登録の格付業者が付与
した格付(以下「無登録格付」といいます)である旨及び登録の意義等を顧客に告げなければならないこととされております。
○登録の意義について
登録を受けた信用格付業者は、①誠実義務、②利益相反防止・格付プロセスの公正性確保等の業務管理体制の整備義務、③格付対象の証券を保有し
ている場合の格付付与の禁止、④格付方針等の作成及び公表・説明書類の公衆縦覧等の情報開示義務等の規制を受けるとともに、報告徴求・立入検
査、業務改善命令等の金融庁の監督を受けることとなりますが、無登録の格付業者は、これらの規制・監督を受けておりません。
○格付業者について
スタンダード&プアーズ
・格付業者グループの呼称等について
格付業者グループの呼称:
S&P グローバル・レーティング(以下「S&P」といいます。)
グループ内の信用格付業者の名称及び登録番号:
スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(金融庁長官(格付)第5号)
・信用格付を付与するために用いる方針及び方法の概要に関する情報の入手方法について
スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社のホームページ(http://www.standardandpoors.co.jp)の「ライブラリ・規制関連」の「無登録格付
け情報」(http://www.standardandpoors.co.jp/unregistered)に掲載されております。
・信用格付の前提、意義及び限界について
S&P の信用格付は、発行体または特定の債務の将来の信用力に関する現時点における意見であり、発行体または特定の債務が債務不履行に陥る確
率を示した指標ではなく、信用力を保証するものでもありません。また、信用格付は、証券の購入、売却または保有を推奨するものでなく、債務の市場流
動性や流通市場での価格を示すものでもありません。
信用格付は、業績や外部環境の変化、裏付け資産のパフォーマンスやカウンターパーティの信用力変化など、さまざまな要因により変動する可能性があ
ります。
S&P は、信頼しうると判断した情報源から提供された情報を利用して格付分析を行っており、格付意見に達することができるだけの十分な品質および量
の情報が備わっていると考えられる場合にのみ信用格付を付与します。しかしながら、S&P は、発行体やその他の第三者から提供された情報について、
監査、デュー・デリジェンスまたは独自の検証を行っておらず、また、格付付与に利用した情報や、かかる情報の利用により得られた結果の正確性、完全
性、適時性を保証するものではありません。さらに、信用格付によっては、利用可能なヒストリカルデータが限定的であることに起因する潜在的なリスクが
存在する場合もあることに留意する必要があります。
この情報は、平成 28 年 5 月 18 日現在、当社が信頼できると考える情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を当社が保証するものではあり
ません。詳しくは上記スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社のホームページをご覧ください。
ムーディーズ
・格付業者グループの呼称等について
格付業者グループの呼称:
ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク(以下「ムーディーズ」といいます。)
グループ内の信用格付業者の名称及び登録番号:
ムーディーズ・ジャパン株式会社(金融庁長官(格付)第2号)
・信用格付を付与するために用いる方針及び方法の概要に関する情報の入手方法について
ムーディーズ・ジャパン株式会社のホームページ(ムーディーズ日本語ホームページ(https://www.moodys.com/pages/default_ja.aspx)の「信用格付事
業」をクリックした後に表示されるページ)にある「無登録業者の格付の利用」欄の「無登録格付説明関連」に掲載されております。
・信用格付の前提、意義及び限界について
ムーディーズの信用格付は、事業体、与信契約、債務又は債務類似証券の将来の相対的信用リスクについての、現時点の意見です。ムーディーズは、
信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期日に履行できないリスク及びデフォルト事由が発生した場合に見込まれるあらゆる種類の財産的損失
と定義しています。
信用格付は、流動性リスク、市場リスク、価格変動性及びその他のリスクについて言及するものではありません。また、信用格付は、投資又は財務に関す
る助言を構成するものではなく、特定の証券の購入、売却、又は保有を推奨するものではありません。ムーディーズは、いかなる形式又は方法によっても、
これらの格付若しくはその他の意見又は情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性について、明示的、黙示的を問わず、いか
なる保証も行っていません。
ムーディーズは、信用格付に関する信用評価を、発行体から取得した情報、公表情報を基礎として行っております。ムーディーズは、これらの情報が十分
な品質を有し、またその情報源がムーディーズにとって信頼できると考えられるものであることを確保するため、全ての必要な措置を講じています。しかし、
ムーディーズは監査を行う者ではなく、格付の過程で受領した情報の正確性及び有効性について常に独自の検証を行うことはできません。
この情報は、平成 28 年 5 月 18 日現在、当社が信頼できると考える情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を当社が保証するものではあり
ません。詳しくは上記ムーディーズ・ジャパン株式会社のホームページをご覧ください。
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2016 年 6 月 27 日
フィッチ
・格付業者グループの呼称等について
格付業者グループの呼称:フィッチ・レーティングス(以下「フィッチ」といいます。)
グループ内の信用格付業者の名称及び登録番号:
フィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社(金融庁長官(格付)第7号)
・信用格付を付与するために用いる方針及び方法の概要に関する情報の入手方法について
フィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社のホームページ(https://www.fitchratings.co.jp/web/)の「規制関連」セクションにある「格付方針等の概要」に
掲載されております。
・信用格付の前提、意義及び限界について
フィッチの格付は、所定の格付基準・手法に基づく意見です。格付はそれ自体が事実を表すものではなく、正確又は不正確であると表現し得ません。信用
格付は、信用リスク以外のリスクを直接の対象とはせず、格付対象証券の市場価格の妥当性又は市場流動性について意見を述べるものではありません。
格付はリスクの相対的評価であるため、同一カテゴリーの格付が付与されたとしても、リスクの微妙な差異は必ずしも十分に反映されない場合もあります。
信用格付はデフォルトする蓋然性の相対的序列に関する意見であり、特定のデフォルト確率を予測する指標ではありません。
フィッチは、格付の付与・維持において、発行体等信頼に足ると判断する情報源から入手する事実情報に依拠しており、所定の格付方法に則り、かかる
情報に関する調査及び当該証券について又は当該法域において利用できる場合は独立した情報源による検証を、合理的な範囲で行いますが、格付に
関して依拠する全情報又はその使用結果に対する正確性、完全性、適時性が保証されるものではありません。ある情報が虚偽又は不当表示を含むこと
が判明した場合、当該情報に関連した格付は適切でない場合があります。また、格付は、現時点の事実の検証にもかかわらず、格付付与又は据置時に
予想されない将来の事象や状況に影響されることがあります。
信用格付の前提、意義及び限界の詳細にわたる説明については、フィッチの日本語ウェブサイト上の「格付及びその他の形態の意見に関する定義」をご
参照ください。
この情報は、平成 28 年 5 月 18 日現在、当社が信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を当社が保証するものでは
ありません。詳しくは上記フィッチのホームページをご覧ください。
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レポート本文中の格付記号の前に※印のある格付けは、金融商品取引法に基づく信用格付業者以外の格付業者が付与した格付け(無登録格付け)です。
無登録格付けについては「無登録格付に関する説明書」https://www.nomura.co.jp/retail/bond/noregistered.html をご参照ください。
当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大 1.404%(税込み)(20 万円以下の
場合は、2,808 円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等
の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリ
スクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。
国内株式(国内 REIT、国内 ETF、国内 ETN を含む)の売買取引には、約定代金に対し最大 1.404%(税込み)(20 万円以下の場合は 2,808 円(税込み))
の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取
引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。
国内 REIT は運用する不動産の価格や収益力の変動により損失が生じるおそれがあります。国内 ETF は連動する指数等の変動により損失が生じるお
それがあります。
外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大 1.026%
(税込み)(売買代金が 75 万円以下の場合は最大 7,668 円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金
等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対
取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損
失が生じるおそれがあります。
信用取引には、売買手数料(約定代金に対し最大 1.404%(税込み)(20 万円以下の場合は 2,808 円(税込み)))、管理費および権利処理手数料をいた
だきます。加えて、買付の場合、買付代金に対する金利を、売付けの場合、売付け株券等に対する貸株料および品貸料をいただきます。委託保証金は、
売買代金の 30%以上で、かつ 30 万円以上の額が必要です。信用取引では、委託保証金の約 3.3 倍までのお取引を行うことができるため、株価の変動
により委託保証金の額を上回る損失が生じるおそれがあります。詳しくは、上場有価証券等書面、契約締結前交付書面、等をよくお読みください。
CBの売買取引には、約定代金に対し最大 1.08%(税込み)(4,320 円に満たない場合は 4,320 円(税込み))の売買手数料をいただきます。CBを相対取
引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づ
き、別途手数料をいただくことがあります。CBは転換もしくは新株予約権の行使対象株式の価格下落や金利変動等によるCB価格の下落により損失が
生じるおそれがあります。加えて、外貨建てCBは、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。
債券を募集・売出し等その他、当社との相対取引によってご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。債券の価格は市場の金利水準
の変化に対応して変動しますので、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、
投資元本を割り込むことがあります。加えて、外貨建て債券は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。
個人向け国債を募集によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。個人向け国債は発行から 1 年間、原則として中途換金はできま
せん。個人向け国債を中途換金する際、原則として次の算式によって算出される中途換金調整額が、売却される額面金額に経過利子を加えた金額より
差し引かれます。(変動 10 年:直前 2 回分の各利子(税引前)相当額×0.79685、固定 5 年、固定 3 年: 2 回分の各利子(税引前)相当額×0.79685)
物価連動国債を募集・売出等その他、当社との相対取引によって購入する場合は、購入対価のみをいただきます。当該商品の価格は市場の金利水準及
び全国消費者物価指数の変化に対応して変動しますので、損失が生じるおそれがあります。想定元金額は、全国消費者物価指数の発行時からの変化
率に応じて増減します。利金額は、各利払時の想定元金額に表面利率を乗じて算出します。償還額は、償還時点での想定元金額となりますが、平成 35
年度以降に償還するもの(第 17 回債以降)については、額面金額を下回りません。
投資信託のお申込み(一部の投資信託はご換金)にあたっては、お申込み金額に対して最大 5.4%(税込み)の購入時手数料(換金時手数料)をいただき
ます。また、換金時に直接ご負担いただく費用として、換金時の基準価額に対して最大 2.0%の信託財産留保額をご負担いただく場合があります。投資信
託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用として、国内投資信託の場合には、信託財産の純資産総額に対する運用管理費用(信託報酬)(最大
5.4%(税込み・年率))のほか、運用成績に応じた成功報酬をご負担いただく場合があります。また、その他の費用を間接的にご負担いただく場合があり
ます。外国投資信託の場合も同様に、運用会社報酬等の名目で、保有期間中に間接的にご負担いただく費用があります。
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等によ
り基準価額が変動します。従って損失が生じるおそれがあります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容
や性質が異なります。また、上記記載の手数料等の費用の最大値は今後変更される場合がありますので、ご投資にあたっては目論見書や契約締結前交
付書面をよくお読みください。
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2016 年 6 月 27 日
金利スワップ取引、及びドル円ベーシス・スワップ取引(以下、金利スワップ取引等)にあたっては、所定の支払日における所定の「支払金額」のみお受払
いいただきます。金利スワップ取引等には担保を差入れていただく場合があり、取引額は担保の額を超える場合があります。担保の額は、個別取引によ
り異なりますので、担保の額及び取引の額の担保に対する比率を事前に示すことはできません。金利スワップ取引等は金利、通貨等の金融市場におけ
る相場その他の指標にかかる変動により、損失が生じるおそれがあります。また、上記の金融市場における相場変動により生じる損失が差入れていただ
いた担保の額を上回る場合があります。また追加で担保を差入れていただく必要が生じる場合があります。お客様と当社で締結する金利スワップ取引等
と「支払金利」(又は「受取金利」)以外の条件を同一とする反対取引を行った場合、当該金利スワップ取引等の「支払金利」(又は「受取金利」)と、当該反
対取引の「受取金利」(又は「支払金利」)とには差があります。商品毎にリスクは異なりますので、契約締結前交付書面やお客様向け資料をよくお読みく
ださい。
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引を当社と相対でお取引いただく場合は手数料をいただきません。CDS 取引を行なうにあたっては、弊社との間
で合意した保証金等を担保として差し入れ又は預託していただく場合があり、取引額は保証金等の額を超える場合があります。保証金等の額は信用度
に応じて相対で決定されるため、当該保証金等の額、及び、取引額の当該保証金等の額に対する比率をあらかじめ表示することはできません。CDS 取
引は参照組織の一部又は全部の信用状況の変化や、あるいは市場金利の変化によって市場価値が変動し、当該保証金等の額を超えて損失が生じるお
それがあります。信用事由が発生した場合にスワップの買い手が受取る金額は、信用事由が発生するまでに支払う金額の総額を下回る場合があります。
また、スワップの売り手が信用事由が発生した際に支払う金額は、信用事由が発生するまでに受取った金額の総額を上回る可能性があります。他の条
件が同じ場合に、スワップの売りの場合に受取る金額と買いの場合に支払う金額には差があります。 CDS 取引は、原則として、金融商品取引業者や、あ
るいは適格機関投資家等の専門的な知識を有するお客様に限定してお取り扱いしています。
有価証券や金銭のお預かりについては料金をいただきません。証券保管振替機構を通じて他の証券会社へ株式等を移管する場合には、数量に応じて、
移管する銘柄ごとに 10,800 円(税込み)を上限額として移管手数料をいただきます。
野村證券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第 142 号
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
野村グループは法令順守に関する方針および手続き(利益相反、チャイニーズ・ウォール、守秘義務に関する方針を含むがそれに限定されない)やチャイ
ニーズ・ウォールの維持・管理、社員教育を通じてリサーチ資料の作成に関わる相反を管理しています。
ご要望に応じて追加情報を提供いたします。ディスクロージャー情報については下記のサイトをご参照ください。
http://go.nomuranow.com/research/globalresearchportal/pages/disclosures/disclosures.aspx
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