開講科目 - 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 金融戦略・経営財務

開講科目
< 基礎科目 >
基礎科目では、現代のファイナンス全体の理解に必要な基礎知識を、投資と価格決定の理論、統計的
方法に基づくデータ分析と実証、企業金融と財務の 3 分野に分割し、以下の講義で網羅します。
●ファイナンス理論の基礎:
ファイナンス理論の基礎では、資産価格、投資、資金調達の決定に関するファイナンスの基本
的な考え方を広く学びます。全体像の体系的な理解と専門への基礎知識の習得のために、ファイ
ナンス理論の基礎、ファイナンス理論双方の履修を推奨します。
概要:基礎では、まず、ファイナンス理論の全体像の中で機軸となる幾つかの基礎理論の位置
付けを鳥瞰します。その後、無裁定による資産価格の決定とその応用、マルチンゲール価格理論
の基礎、Black-Scholes オプション価格公式等を学びます。最も単純な 1 期間モデルにおいて基
本的な結果を網羅的に理解した後、それらを多期間モデルの枠組みへと拡張します。
●金融データ分析の基礎:
経済・ファイナンスデータの分析に必要となる統計学と計量経済学の基礎理論について解説し
ます。また、パソコン実習を適宜行うことで、統計ソフトウェアの基本的な使い方を学ぶととも
に、実際の経済・ファイナンスデータを分析することも行います。
講義を通じて、統計学と計量経済学の基礎理論を理解するとともに、授業で学んだモデルを推
定し、結果を正しく解釈できるようになることを目標とします。
●コーポレートファイナンスの基礎:
本講義の目的は、コーポレート・ファイナンスの基礎的な概念や理論について学習し、実際的
な意思決定問題への応用力を養うことである。本講義では、経営上の重要な課題がコーポレート・
ファイナンスの観点からどのように分析されるかを議論していく。具体的には、(1)価値評価
(valuation)と投資の意思決定、(2)資本構成に関するトレードオフ理論、(3)利益還元政
策(配当と自社株買い)、(4)エイジェンシー問題と経営者のインセンティブ、(5)情報の
非対称性と財務的意思決定について論じていく。
●会計・バリュエーションの基礎:
金融戦略・経営財務コースにおける計量分析に最低限必要なアカウンティングの知識の習得、
財務諸表分析の手法、そして会計情報を用いた企業評価フレームワーク(DDM、DCF、EVA、
残余利益モデルなど)を正確に理解することが、本科目の目標である。それによって、株価など
のデータと、企業が公表する会計データとの統合的な分析が可能となることを期待したい。レク
チャーとともに、関連するケースをとりあげて、分析・ディスカッションを行うことにより理論
に関する理解を深めたい。
●ファイナンス理論:
ファイナンス理論の基礎で扱えなかった証券価格及び投資決定に関する基礎理論を広く学びま
す。ここでは、投資の最適化と資産価格及び情報の非対称性が金融活動に与える影響を中心に学
びます。具体的には、不確実性下における投資決定問題、平均分散アプローチと CAPM、代表的個
人と CCAPM、APT、多期間最適化問題とダイナミック・プログラミング、情報の非対称性と資金調
達、インセティブと金融契約、流動性等の問題を扱います。
●コンピュテーショナル・ファイナンス:
ファイナンスのモデル検証では数値解法、数値計算が重要な要素技術である。本講義では、ま
ず、簡単にプログラミング技法のガイダンスを行った後、ファイナンスで現れる事例を通じて、
プログラミングに慣れてもらう。続いて、ファイナンスの代表的数値計算法(オプション評価、
格子法、モンテ・カルロ法など)を順次、解説していく。その他に、数値計算技術の観点からリ
スク管理、金融市場の計量分析に繋がる入門的話題も取り上げる。
●金融数理の基礎:
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確率モデルを用いて金融市場を理論的に分析する学問である「数理ファイナンス」の基本的な
概念を理解するために必要な数学(確率解析)の基礎的な内容を理解してもらうことがねらいで
す。具体的には、離散時間モデルにおけるデリバティブの価格付け理論の理解を最終的な目的と
しますが、そのために必要となる確率論の知識・考え方および、さらにその前提となる論理・集
合論・測度論・積分論などの基本的な知識・考え方にまで立ち戻って理解してもらうことを目指
します。
< 専門科目 >
専門科目の講義では、特定の分野に関する専門的な知識を習得します。講義科目名は以下の通りです。
扱う内容の水準に応じて「入門的内容」「標準的内容」「発展的内容(博士後期課程向け科目)と整理
しています。
◆ 入門的内容
○線形モデル入門:
線形モデルを理解するために必要となる数学の基礎知識を復習したのち、線形モデルの基礎理
論を学習します。また。,統計ソフトウェアRを用いたデータ分析法についても学習します。
本講義の目的は、,データ分析のなかで最も基本的なモデルである線形モデルの基礎理論の習
得にあります。自らが独力で線形モデルによるデータ分析が行えるようになるために必要とな
る数学の知識、Rの操作法を含めて習熟することが目標です。
○金融数理入門:
金融戦略・経営財務コースの各授業で用いられる基本的な数学の理解を目的としています。
講義では、
直感的な理解を助けるような解説と考える力を養うための問題演習を行う予定です。
基本的な数学を理解している学生や理工学部出身の学生は「金融数理の基礎」からの受講を強
く勧めます。
金融戦略・経営財務コースで学習・研究をしていくうえで最低限必要となる数学知識の習得を
目的としており、特に関数の微分に焦点を絞って解説します。具体的には、関数の極限・偏分、
テーラー展開の理解を通じて、関数の極値、最大値・最小値問題を解けるようにしていきます。
○金融リスク計量入門:
金融リスク(市場リスク・信用リスク)の計量に関するいくつかの入門的内容を扱う。数式に
基づいた理論の説明よりも、Excel のツールによるデータ作業を通じてリスク計測のエッセンスを
理解してもらう。最終的にはリスク分析に関連するやや実践的な課題にも取り組んでもらう。
◆ 標準的内容
○統計科学の数理(回帰分析):
回帰分析は、自然科学、社会科学、工学、ファイナンスなどの様々な分野で重要な役割を果た
すデータ分析の手法であるだけでなく、さまざまな統計モデルの基本となる分析である。回帰分
析において、データの挙動や特徴がどのようにモデルに影響を与えるのかを理解することは、
より複雑な統計モデルの理解には欠かせない知識である。本講義では、線形回帰モデルや生存分析
などの理論的構造を説明し、データを用いたモデルの推定手法を解説する。
プロフェッショナルのデータ分析者として、
回帰分析を中心とする統計手法を使いこなすために
必要な理論的知識を身につけることを目標とする。
○統計科学の数理(推定手法・モデル選択):
いわゆる「ビッグデータ」を背景として、様々な分野において、より複雑なモデル、より複雑
で計算負荷の高い推定手法が注目を集めている。データを利用した推定手法の一般理論を説明
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し、情報量基準を用いたモデル選択、MCMC、カルマンフィルタや粒子フィルタなどを解説する。
ワンランク上のデータ分析者として、先端的な統計手法を理解し、実施するために必要な理論
的知識を身につけることを目標とする。
○金融データの時系列分析:
本講義では、経済・ファイナンスデータの分析に用いられる時系列モデルの基礎理論や応用例
について解説します。
経済・ファイナンスデータの分析に必要となる時系列モデルの基礎的な考え方を理解し、それ
らのモデルを実際の経済・ファイナンスデータに応用する方法を習得することを目標とします。
○ベイズ統計学(MCMC 法):
本講義では、ベイズ的アプローチによるデータ解析法の習得を目的としています。具体的に
は、伝統的な頻度論的アプローチと対比させながらベイズ的アプローチの基本概念を解説した
後に、ギブスサンプラーを中心に MCMC 法の理論,統計解析ソフトウェア R によるプログラミ
ングについて解説します。なお、ベイズ統計学の入門講座頻度論的アプローチによるデータ解
析法と R の基本操作についてはすでに習得しているものとしますので、事前に「金融データ分
析の基礎」などを受講しておくことを勧めます。
条件付確率とベイズの定理を理解し、事前分布と尤度を組み合わせた事後分布を求める仕組
みを理解する。また、マルコフ連鎖を利用したサンプリング法であるMCMC法の理論とRに
おける実装法を身に着ける。
○ポートフォリオ投資論:
株式や債券といった標準的な資産を対象に、
運用資産が比較的大きなポートフォリオ運用につ
いて学んでゆきます。
ポートフォリオの構築には経済学、ファイナンス,数理計画法,統計学,確率論といった多く
の分野の包括的な知識が必要となります。資産価格モデルを通じた資産市場の分析と、ポート
フォリオ構築における諸問題の関係について理解することが目的です。実務でよく用いられる
ポートフォリオ構築方法やリスク管理手法を理解し、応用力を養うことが目標です。
○ファイナンスにおける諸問題:
ファイナンスの基礎的、古典的な論文を中心に、それらの文献でどのような分析が行われ、分
析結果を著者がどのように解釈、説明しているのかを読み解くことに重点をおく。
単なる知識の習得ではなく、専門用語の意味の正確な理解、専門職学位取得論文の書き方や学
術文献の読み方の習得を重視します。学術研究の結果を正確に理解、解釈してゆけるようになる
ことを目標とします。
○金融経済学(情報とインセンティブ):
本講義では、今回の金融危機で明らかになった現代の金融市場の特性を、情報とインセンティ
ブの観点から理解する。そのために、まず証券化金融商品の基本的構造を理解し、そのキャッ
シュフローの把握とリスク評価の在り方について学ぶ。そして、証券化と企業財務とを対比させ
ることによって、証券化スキームに内在するインセンティブの問題とそれに起因するリスクにつ
いて考察し、証券化商品の設計について契約論の立場から議論する。さらに、シャドウ・バンキ
ングといった金融市場の変化に果たす証券化の役割を理解すると共に、金融市場と流動性の問題
について考察する。
○ファイナンシャル・リスク・マネジメント:
信用リスクを内包する社債や CDS などのクレジット・デリバティブズといった金融商品の価格
付け理論や、
銀行などの多数の貸付ポートフォリオのリスク評価などへの応用法について紹介す
る。
目的・到達目標:
・ブラウン運動など確率解析の基本的な概念と応用例を身につけること
・信用リスクに関連してどのような数理的に困難な問題があるかを知ること
・数理ファイナンスにおける信用リスク・モデルの2つの代表的アプローチ(構造型と誘導型)
の基本的な考え方と基本的な数理手法を理解すること
・ポートフォリオレベルの信用リスクのモデル化の基本的なアプローチと基本的な数理手法を理
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解すること
○グローバル・リーダーシップ:
金融セクターにおいてグローバルリーダー力をつけるとともに、自らのキャリアデザインの構
築を目指します。そのため、一方向の講義ではなく、皆さまがアクティブに参加され、考え、そ
して行動を起こすことが求められます。ケーススタディ・課題を通じて各スキルとマインドセッ
トを育成していきます。また、世界規模で活動する金融セクター(大手金融機関経営者、起業家、
アメリカの金融セクターのエンジェル投資家など)のグローバルリーダーをお呼びし、学んだス
キルとマインドセットを基に、直接対話し、具体的な実践事例に触れ、グローバルリーダーシッ
プを身につけることを狙いとしています。15 回の授業すべてにアクティブに参加していただく
と、金融機関、そして社会におけるグローバルリーダーとしてのキャリアをデザインすることが
できるようになるでしょう。
○投資戦略論:
リスク資産の実践的な投資戦略について幾つかの事例を通じて学ぶ。
その理論的背景や必要な
基礎知識を講義で解説し、周辺の関連する話題を取り上げる。
各基礎科目群で学んだ方法を実際の投資に如何に応用し、実践していくかということを学ぶ。
実際の投資戦略は多岐にわたるため、この講義では、網羅的に取り上げるのではなく、幾つかの
代表的な方法論を軸に、応用事例を通じて基礎知識を学習していく。投資対象には金利商品・債
券も含まれるため、金利・債券の必要最低限の基礎的知識は講義の中で補うようにする。
○資産価格の実証分析:
主に株式を対象に、様々な資産価格論の実証分析の手法・実例について講義する.資産価格論
とマクロ経済学の関わりについても取り上げる。
この分野で論文を書こうとする受講者を念頭におき、
自力で研究を行うのに必要な分析手法を
身につけてもらうとともに、比較的最近までの研究を紹介していきます。
○金融機関経営論:
この講義では、外資系投資銀行、資産運用会社の経営を、ビジネスモデル、時代の潮流、組織
運営から学ぶ。外資系経営者の論点整理、論理展開、意思決定の把握、その応用可能性を体得す
る。
○企業価値向上論 I:
日本経済の活性化は各企業の企業価値向上努力の集積に負っているといえる。
ビジネスの世界
で活躍されている経営者と直接話をする講義をできるだけ増やし、いろいろな経営者の経営理念
に実際に触れることによって、「よい経営者」とは、働く者にとっての「理想の会社」とは、に
ついて考察する。本講義では、何名かの一線で活躍されている経営者をお招きし、企業価値向上
を実践的に考えることを主な目的としている。
企業価値実践論Ⅰでは、「よい経営者」とはどういう経営者であるかを中心に考察する。
○企業価値向上論Ⅱ:
企業価値実践論Ⅱでは、「理想の会社」とはどういう会社かであるかを中心に考察する。
○金融データ分析:
「金融データ分析の基礎」で学んだ内容を踏まえて、経済・ファイナンスデータを用いた実証
分析に必要となる計量経済学の発展的な理論について解説します。具体的には、内生性の問題へ
の対処、制限従属変数モデル、パネルデータ分析などを取り扱います。特にデータ分析演習を重
点的に行います。
本科目では、(1)ミクロ実証分析で用いられる計量経済学的な知識を講義によって習得する
ことと、(2)計量経済学的な分析の作法を演習によって身に付けることを目的とします。具体
的には、
アカデミックな研究論文における標準的な実証分析結果を正しく理解出来るようになる
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こと、分析テーマ・分析手法・データが与えられた場合に適切な実証分析が行えるようになるこ
とを到達目標とします。
○M&A 実践論 I:
1970 年代から欧米では日常茶飯事の M&A も、日本経済に本格的に定着し始めたのは 1990 年
代に入ってからのバブル崩壊後である。しかし、
「やらざるを得ない M&A」は起こるようになっ
てきたものの、「やった方がいい M&A」はまだまだ十分に起こっているとは言い難いのが、日
本の M&A 市場である。欧米企業は大型のグローバルな M&A を繰り返し企業規模を拡大し、時
価総額で日本企業に大きく水をあけてしまった。どの業界をみても、M&A 戦略抜きには生き抜
けない状況になってきているのは間違いなく、経営者にとって正確に M&A についての理解を深
めることは極めて重要である。本講座では、企業の価値とはどう考えればいいのか、M&A はど
うすすめるべきなのか、ゼロから実践的なレベルまで、M&A についての理解を深めることを目
的としている。
M&A 実践論Ⅰでは、「M&A の進め方」、具体的には、いかに対象企業を探し、交渉するか
等中心に考える。
○M&A 実践論Ⅱ:
M&A 実践論Ⅱでは、「企業評価」について、基本的な考え方と実践的に使用されている方法
も諸問題も考察する。
○コーポレート・ファイナンス(ケーススタディ):
This course will largely be devoted to a consideration of voluntary restructuring and reorganization
techniques for non-distressed corporations. Each topic that we discuss describes a transaction that
restructures or reorganizes the firm in some particular way. The specific objectives of the course
include: (1) to help build a framework for analyzing various corporate restructuring transactions
primarily through techniques of financial analysis; (2) to provide a broad overview of corporate
restructuring approaches which can then be critically applied to solve business problems; (3) to
establish an economic perspective from which to assess the corporate and social consequences of
alternative corporate restructuring and reorganization techniques.
○コーポレート・ファイナンスに関する諸問題:
本授業では,「コーポレート・ファイナンスの基礎」で習得した知識をベースにしつつ、コーポ
レート・ファイナンスに関する具体的なトピックについて理論・実証の両面でこれまでの研究成
果を概観することで、コーポレート・ファイナンスに関する理解を深めることを目的としています。
○コーポレート・ガバナンス:
コーポレート・ガバナンスの理論と実践について、多面的に議論を行う。
コーポレート・ガバナンスの理論を理解するとともに、企業など実践の場において意思決定に有
用な知識を得ることを目的とする。
○FinTech とイノベーション:
まず、FinTech とイノベーションについて講義を行う。その後は、FinTech 分野のスタートアッ
プ、ベンチャーキャピタリスト、法律事務所、規制当局からゲストスピーカーを招聘する。
FinTech が既存の金融機関に与える影響を理解したうえで、各社に求められる変革について考え
て欲しい。
○マネジリアル・エコノミクス:
コーポレート・ファイナンス及びアセットプライシングの理論的な議論の前提となる概念を
中心に、基礎的なミクロ経済学のツールを解説します。具体的には、家計・企業の最適化問
題、独占と寡占(ゲーム理論の基礎的な知識を含む)、情報の経済学(契約理論の基礎的な
知識を含む)を取り扱います。特にミクロ経済学における基礎的な分析手法の習得に重点を
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置いた議論を行います。
本科目では、(1)アセットプライシングの理論的な議論の前提となる家計の最適化問題(特
に異時点間の消費最適化)、(2)企業ダイナミクス(設備投資、参入・退出、輸出等)に関す
る理論的な議論の前提となる企業の利潤最大化問題、(3)金融に関する産業組織論的な議論に
必要となる独占・寡占(ゲーム理論を含む)のモデル、(4)コーポレート・ファイナンスの理
論的な議論の前提となる情報の経済学(契約理論を含む)を概観することを目的とします。具体
的には、
各自の修論テーマに関して標準的なミクロ経済学の考え方に基づいた議論が行えるよう
になることを到達目標とします。
○マネタリー・エコノミクス:
国レベルの短期的・長期的な経済変動を理解し、それらに対応した財政・金融政策を議論す
るために不可欠となるマクロ経済学について金融面に重点を置きながら解説します。具体的に
は、短期の経済変動を対象とする「IS-LM/AD-AS モデル」(閉鎖経済モデル)および為替や経
常収支といった対象を分析するための開放経済モデルのツールを学んだ上で、長期の経済成長
に影響を与える要因をモデルを通じて確認し、最後に、マクロ経済の供給サイドに注目する議
論と需要サイドに注目する議論を比較しながら、経済政策・インフレーション・失業といった
トピックスについて議論を行います。
本科目では、(1)閉鎖経済モデルを用いた金利・GDP の決定メカニズム、(2)開放経済モ
デルを用いた為替レート・国際収支の決定メカニズム、(3)長期の経済成長を対象としたモ
デル、(4)幾つかの重要なトピックスを概観します。
○行動経済学:
経済行動(とくに資産運用)における認知・判断バイアスを実務的な事例に即して学習す
る。伝統的な経済学では、合理的な経済人が自己の利得を最大化する行動をとることで市場で
は均衡価格が成立する、と想定してきた。しかし現実には理論が想定するほど人々は合理的で
はないことが一連の行動経済学の研究であきらかにされてきた。本講座では行動ファイナンス
の主要トピックを学びつつ、ケース・スタディを通じて、実務的な場面での意思決定とバイア
スを、受講生が自分自身の体験に照らして考えられるようにしたい。
○経営における職業倫理:
職業倫理のあり方を金融業界(特に資産運用業界)の具体的な事例に即して学習する。
しばしば発生する会計不正や欠陥製品など企業不祥事は、顧客や投資家からの信用を失墜さ
せ、結果的に企業価値を既存させる。これらの事件の根底には経営における職業倫理の軽視が
ある。とくに金融業界では扱う商品・サービスの特殊性と業務の専門性のゆえに職業倫理と行
為規範が問われる。本講義では専門職プロフェッショナルが身につけるべき倫理と行為規範
を、ケース・スタディとディスカッションをつうじて学習する.
○M&A と事業再生の実践Ⅰ:
経営環境の変化が激しい昨今、企業はさまざまな事態に直面する。企業は急激な環境の変化に
対応するため、絶えず自らの事業ポートフォリオを見直し、事業を売却し、統合し、整理し、買
収し、再生・再建しながら、成長を続けていかなくてはならない。したがって、M&A や事業再
生の手法に関する深い理解は、現代の経営に必須である。本寄附講義では、この分野の第一線で
活躍する KPMG グループのパートナー等の実務家が、M&A と事業再生の現場で実際に行われ
ている意思決定を例に、事業・財務戦略の実践方法とそれに関する諸問題を、経営・財務・会計・
法律を含めた広い視野から議論する。
本科目では、M&A に関する(1)ディールエグゼキューション、(2)事業価値評価、(3)
財務デューデリ、(4)ビジネスデューデリ、(5)PMI、の実務的な知識を概観することを目
的とします。具体的には、個別のケースを題材として、M&A の各段階における業務について実
務的な議論が行えるようになることを到達目標とする。
○M&A と事業再生の実践Ⅱ:
経営環境の変化が激しい昨今、企業はさまざまな事態に直面する。企業は急激な環境の変化に
対応するため、絶えず自らの事業ポートフォリオを見直し、事業を売却し、統合し、整理し、買
収し、再生・再建しながら、成長を続けていかなくてはならない。したがって、M&A や事業再
生の手法に関する深い理解は、現代の経営に必須である。本寄附講義では、この分野の第一線で
活躍する KPMG グループのパートナー等の実務家が、M&A と事業再生の現場で実際に行われ
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ている意思決定を例に、事業・財務戦略の実践方法とそれに関する諸問題を、経営・財務・会計・
法律を含めた広い視野から議論する。
本科目では、M&A および事業再生に関する実務家を交えたディスカッションに加えて、事業再
生について(1)オペレーショナル・リストラクチャリング、(2)フィナンシャル・リストラ
クチャリングに関する実務的な知識を概観することを目的とします。具体的には、個別のケース
を題材として、M&A・事業再生の各段階における業務について実務的な議論が行えるようにな
ることを到達目標とする。
○企業税務の実務と実証研究:
本講義は、企業活動と不可分の法人税制に関して、実務と実証研究の両面から学習する。前半
のパートでは、法人税の主要な論点を理解し、税務上の取扱いを分析する素養を身につける。後
半のパートでは、前半のパートで学習した企業課税の実務を踏まえ、企業税務がどのように組織
行動や企業戦略、企業評価などに影響を与えるかを実証研究の知見から学ぶ。
○国際財務管理:
「コーポレートファイナンスの基礎」で習得した知識をベースとしつつ、国際財務の諸問題の
いくつかについてケース討論を通じて理解を深めることをめざす。原則、講義・ケース討論は
英語で行う予定である。ただし日本語による補完も可とする。
○エナジー・ファイナンス:
本講義は、過去 20 年の間に大きく発展した、エネルギー分野を中心とする商品の取
引や価格決定、
そしてリスク管理や投資に対するファイナンスの利用について学ぶこと
を目的とする。今回はわが国で拡大される電力取引を中心に、コモディティ・ファイナ
ンスに関する様々な内容を学ぶ。
○アントレプレナー・ファイナンス:
ベンチャー企業は、イノベーションを生み出し、新産業を創造する主体として期待されてい
る。米国においては、マイクロソフト、アップル、グーグル、フェイスブックをはじめベンチャー
企業から世界的な大企業に発展した企業群が経済の牽引役となっている。一方、わが国において
は、ベンチャー企業の活躍は限定的であると言わざるを得ない。本講義においては、ベンチャー
企業の事業戦略と財務戦略に両面において経験豊富な講師が、理論と実務の双方の観点から、ベ
ンチャー企業の成長の鍵を握るアントレプレナー・ファイナンスについて、その基礎理論から具
体的なバリュエーション方法、ディールストラクチャー設計まで、詳細に講義を行う。
本講義においては、ベンチャー企業の成功の鍵とも言えるアントレプレナー・ファイナンス
について、理論と実務、両面の知識とそれら相互の関わりを理解すること、その上で、新事業創
造に向けてそれらの知識を実務で活用できるようになることを到達目標とする。
◆発展的内容(博士後期課程科目)
以下の科目は博士後期課程学生向けの科目ですが、専門職学位課程学生であっても、当該科目担当教員
と面接の上、承認されれば、履修することが出来ます。
○コーポレート・ファイナンスの実証分析Ⅰ:
博士後期課程の学生を対象に、コーポレート・ファイナンスにおけるいくつかのトピックにつ
いて研究の最新動向を展望することを目的とする。専門職学位・修士課程の学生でも、担当教員
が十分なバックグラウンドを持つと判断した場合には履修を認める。
○コーポレート・ファイナンスの実証分析Ⅱ:
本講義は、コーポレート・ファイナンスに関する博士課程レベルの実証研究を学ぶ上級科目で
ある。コーポレート・ファイナンスに関する分野を特定し、関連する基礎概念,理論モデルを概
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観しつつ、実証論文を輪読する.論文の輪読を通じて、コーポレート・ファイナンスの実証研究
でどうすれば貢献のある論文を書けるか学んでいく。
○資産価格理論:
本講義は、ファイナンスに関する博士レベルの基礎理論を学ぶ上級科目であり、主な目的は
資産価格や最適投資の決定に利用される様々なモデルの背景と数学的・経済構造を、自分の手
を動かして習得することです。そのため、受講者には、教科書及び配布される資料に関する報
告とディスカッションが毎週求められます。
○金融市場の計量ファイナンス:
金融市場の計量分析において重要な役割を果たす代表的な時系列モデルを概観した後に、
ベイ
ズ統計に基づく時系列の推定法や様々なフィルタリングによる状態推定法などを学ぶ。
博士課程向けに開講された本講義は、
金融市場の高度な計量分析を行うための方法論の習得を
目的とする。
< 専門科目(演習)>
演習は必修です。受講者は、以上の講義に加え演習として、特定の教員の指導のもと特定の問題につい
て研究することを求められます。
研究する問題は各自が入試申請時に提出した研究計画書に記述された
ものを基本とします。授業科目のなかで身につけた方法論と理論的知識、さらに自らの実務経験をもと
にして演習を行います。専門職学位論文は、この演習における学習・研究をもとに作成されます。通常、
指導教員を中心とするセミナー形式で研究が進められ、受講者には積極的な貢献が期待されます。
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