記者発表資料(PDF形式 497KB)

横
浜
市
記
者
発
表
資
料
平成28年6月29日
金沢区保険年金課
金沢区保険年金課における国民健康保険給付費返還請求事務の遅延について
金沢区保険年金課において、国民健康保険の資格喪失後受診の給付費を受診者に返還請求する事務が、平成 25 年 4
月から滞っていたことが、平成 27 年 11 月に判明しました。
その後、本市が負担した給付費(自己負担分を除く 7 割など)について、受診者への返還請求、医療機関の同意を
得た医療機関による返還を行いましたが、一部については、時効のため受診者のご負担により返還いただくこととな
りました。対象となる市民の方々にご迷惑とご負担をお掛けしてしまうことをお詫びいたします。
1 事務遅延の概要
担当者1名に業務を任せており、組織的なチェック体制が不備だったため、上司や同僚も気づくことができませ
んでした。担当者は、平成 25 年4月に異動してきた職員であり、システム操作に習熟していなかったことやシス
テム変更等が重なり、事務が滞ってしまったものです。
※国民健康保険給付費の返還が起こる仕組み
健康保険制度は、加入している健康保険組合の健康保険証を提示して、医療機関を受診することが原則です。
就職・転職等によりすでに横浜市国民健康保険の資格を喪失し、他の健康保険組合等に新たに加入しているにも
かかわらず、横浜市の国民健康保険証を提示して医療機関を受診(以下、
「資格喪失後受診」という。
)した場合は、
それによって横浜市が負担した給付費(自己負担分を除く 7 割など)について返還していただくこととなります。
2 今回の受診者への返還請求等の流れ(別紙参照)
通常は(1)の方法で返還請求を行いますが、今回の返還請求対象については受診者が診察を受けた日(以下、
「受
診日」という。)を起点として、経過した年数により対応を変えています。
(1) 受診日の翌日から 2 年未満のもの(例:平成 25 年 4 月 1 日受診であれば、平成 27 年 4 月 1 日まで)
横浜市から受診者へ返還請求を行っています。
この給付費は、受診者が、受診日時点で加入していた正規の保険者(以下、
「正規の保険者」という。)へ請求す
ることが可能です。
(2) 受診日の属する日の翌月一日から 3 年未満((1)を除く)のもの
(例:平成 25 年 4 月 1 日受診であれば、平成 27 年 4 月 2 日から平成 28 年 4 月 30 日まで)
今回は、資格喪失後受診者が受診した医療機関の同意を得て、診療報酬明細書を返戻し診療報酬の返還を依頼
しました。 診療報酬明細書の返戻を受け診療報酬を返還した医療機関は、受診者の正規の保険者へ請求が可能
です。医療機関から返還を受けるため、受診者は横浜市への保険負担分の返還は不要となりますが、請求先の
保険者が相違することについて医療機関に責がないため、通常は行わない方法です。今回は、受診者の負担を
減らすため、特別にご協力をお願いしたものです。
(3) 受診日の属する日の翌月一日から 3 年以上経過し、5 年以下の期間のもの
(例:平成 25 年 4 月 1 日受診であれば、平成 28 年 5 月 1 日から平成 30 年 3 月 30 日まで)
今後、横浜市から受診者へ横浜市が負担した給付費の返還請求を行います。
ただし、(1)(2)と異なり、受診者から正規の保険者への請求権が既に消滅しているため、受診者の自己負担と
なります。なお、横浜市から受診者への返還請求は、5年間可能です。
3 2に該当する世帯数・金額
平成 25 年 4 月から本日までの間に判明した、事務遅延した総世帯数・金額は以下のとおりです。
受診日から 2 年を経過していないもの(2(1)に該当)については、現時点でも引き続き請求事務を行っておりま
す。
世帯数
2年を経過していないもの…2(1)
金額(円)
1,623※
40,233,711
454
5,205,945
447
5,030,169
2年を経過したもの
医療機関を通して横浜市が返還を受けることができたも
の…2(2)
受診者に自己負担していただかざるを得ないもの…2(3)
※発生時点での延べ世帯数です。
4 原因
(1)
組織的なチェック体制の不備
金沢区では、国民健康保険の資格喪失後受診の給付費を受診者に返還請求する事務を担当者 1 名に任せてい
ました。事務の進捗を管理する内部ルールを決めていなかったので上司や同僚も気づくことができませんでし
た。
(2)
システム操作の不習熟等
国民健康保険給付費の返還請求事務は専用のシステムで管理しています。平成 25 年 4 月から担当した職員
がシステム操作に習熟していなかったことから、返還請求事務が遅れはじめていたところに、平成 26 年 4 月
にシステムが更新され新たにシステム操作を習得しなくてはならなくなるなどの状況が重なり、さらに事務が
滞ってしまいました。
5 再発防止策
組織的なチェックについて内部ルールを定め、定期的にチェックを行っています。具体的には、該当者のリスト
に基づき、毎月の処理状況を課内で確認することで組織的な進捗管理を徹底しました。
また、システム変更等があった場合には、変更箇所の確認を係ミーティングなどで情報共有し、変更等に伴う操
作に誤りがないようにします。
なお、この件については、判明後速やかに18区保険年金課で情報共有しました。
また、他区においては本件と同様の事例はございません。
6 國原 章弘(くにはら あきひろ)金沢区長のコメント
金沢区において市民の皆さまの信頼を損ってしまい、深くお詫びを申し上げます。2度とこのようなことが起き
ないよう、区役所全体をあげて、チェック体制の強化に取り組んでまいります。
お問合せ先
金沢区役所保険年金課長 中林 都 Tel 045-788-7830
別紙
資格喪失後受診における医療費債権管理のフロー
・受診日
①返還請求
③申請
④支払い
②返還
(1)受診日の翌日から2年
正しい
保険者
本人
横浜市
※保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は
二年を経過したときは、時効により消滅する。(健康保険法193条)
※今回は特別に行いましたが、通常は行わない方法です。
①診療報酬明細書の返戻
③診療報酬請求
本人が
受診した
医療機関
横浜市
正しい
保険者
④診療報酬の支払い
②診療報酬の返還
※任意(医療機関の了解が得られた場合)
(2)受診日の属する月の翌月一日から3年
※次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。
一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
(民法第170条抜粋)
①返還請求
請求権消滅
本人
横浜市
②返還
×
正しい
保険者
(3)受診日の翌日から5年 横浜市から受給者に対する請求権の消滅(時効)
※金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は
時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか
五年間これを行わないときは、時効により消滅する。(地方自治法第236条)