富士山観光に強みを持つ旅行会社が システム統合でスムーズな

富士急トラベル株式会社
富士山観光に強みを持つ旅行会社が
システム統合でスムーズなオンライン販売を実現し、
国内外の個人顧客を開拓
導入の狙い
スムーズなオンライン販売を実現したい
高速バス予約システムなど、外部シ
ステムとの連携を図りたい
営業担当の事務作業を省力化したい
データを多様な経営分析に活用したい
導入システム
旅行業総合支援システム
『Dream Journey』
Web販売システム
『Dream Journey Web』
カスタマイズ高生産ツール
『SMILE BS 2nd Edition
Custom AP Builder
(CAB)』
NEC製ラックサーバー
導入効果
スムーズなオンライン販売の実現
外部システムとの連携強化
業務効率の向上と事務作業の省力化
多様な経営分析の実現
—USER
富士急ブランドと富士山観光に関するノウハウの蓄積を武器に、国内外の個人顧客開拓に取り組む
富士急トラベル株式会社は、富士山周辺で総合レジャーサービスを手がける富士急
グループの旅行会社だ。定評ある富士登山ツアーと地盤である山梨・静岡両県にお
ける営業力を強みに、これまで法人営業を核として事業を展開してきた。しかし、近
年、戦略的に国内外の個人顧客開拓に向けたオンライン販売に力を入れている。そ
P R O F I L E ———————————————————
富士急トラベル株式会社
●業種:旅行業
の一環で行われた新基幹業務システムへの移行は、より迅速な旅行商品のアップ
ロードをはじめ、ネット上での効率販売を可能にしただけでなく、業務の効率化、外
部システムとの連携強化など、大きな成果を上げつつある。
●事業内容:旅行業、広告代理業、保険代
理業
●従業員数:98名
(2016年2月現在)
『Dream Journey』
によってよりスムーズなオンライ
ン販売を実現した富士急トラベル株式会社
2016年5月取材
配という二方向で事業を展開してきた。
富士山観光を中核に
個人顧客の開拓に取り組む
ノウハウの 積 み 重ねに基づく、富 士
富士急トラベル株式会社(以下、富
登山ツアー市場における商品開発力
士急トラベル)は、富士山周辺で総合
だ。もう一つの強みが、地域経済圏に
レジャーサービスを展開する富士急グ
おける富士急グループのブランド力で
ループの旅行会社だ。1954年の設立
ある。執行役員 旅行事業部長の渡邊
その第一の強みは、長年にわたる
以来、東京などの都市圏から富士登山
裕文氏はこう説明する。
およびグループ施設への送客と、地盤
「当社にはリレーションシップに長け
である山梨・静岡両県の顧客の旅行手
た営業担当が多いこともあり、山梨・
1
富士急トラベル株式会社
静岡両県の法人様や教育機関とお付
「旅行業界の団体旅行のパイが全体
き合いをさせていただいています。団
として縮小を続ける中、店舗網の拡大
体営業に強いという特長は、売上比率
によって個人顧客やインバウンド需要
からも明らかです。一般の旅行会社の
を取り込むという判断は現実的なもの
場合、店舗営業と団体営業の比率は7
ではありません。結果として、ネット上
対3程度になることが一般的ですが、
での販売強化以外の選択肢は旅行業
当社は両者の比率が完全に逆転して
界には残されていないと考えていま
います」
す」
(渡邊氏)
設立以来、団体営業を強みとしてき
こうした中、富士急トラベルが自社
たが故のことではあるが、個人需要に
サイト上で販売する、世界遺産・富士
対しても取り組みを強化する必要を感
山の新たな魅力を伝える「フジヤマツ
じていることから、既に戦略を構築し
アー」や、経験豊富なガイド付き富士
実践している。
登山ツアーのノウハウに基づいた国
また、2015年に訪日外国人と出国
内外の各種グリーンツーリズムプラン
日本人の数が45年ぶりに逆転するな
は、新たな旅のスタイルを求める旅行
ど、インバウンド需要は、旅行業界に
者から高い評価を得ている。同社はこ
限らず大きな注目を集めている。こう
れからも、魅力的な商品開発とネット
した状況を受け、2013年に世界遺産
販売チャネルの活用を通し、個人顧客
に登録された富士山を訪れる外国人
の開拓に積極的に努めていく考えだ。
執行役員 旅行事業部長
渡邊 裕文氏
「今後DP連携の一層の強化、タブレットの
活用などを通し、個人顧客のさらなる掘り起
こしを進めていきたいと考えています。大塚
商会さんには、こうしたテーマの先行事例
についての各種情報の提供を強く期待し
ています」
は確実に増え続けている。だが、それ
により潤っているのは、宿泊施設や交
ルをはじめとする国内旅行会社の売り
オンライン販売との親和性を評価し
基幹業務システムを選定
上げにはまだつながっていないのが現
富士急トラベルが、サーバーの老朽
状だ。
化とWindows XPサポート終了を契
「具体的な数字はまだ把握しきれて
機とした基幹業務システムリプレース
いませんが、2年ほど前に大雪で山梨
の検討を開始したのは2014年春の
県内の鉄道がマヒし、乗客が近隣の自
ことだった。その背景には、よりスムー
治会館で一夜を過ごした際、乗客構成
ズなネット上での販売を可能にする環
は外国人観光客が過半数に及んでい
境を実現したいという狙いもあった。
ました。それを考えると、観光コース
同社は、旧システムのソリューション
に富士山を含める外国人観光客は確
ベンダーであった大塚商会を含む3社
実に増えているはずなのですが、国内
に提案を依頼。オンライン販売の強化、
旅行会社はそのニーズをまだうまく
ダイナミックパッケージ
(交通手段と祝
取り込めていないのが実情なのです」
初施設を自由に組み合わせられる旅行
通機関などにとどまり、富士急トラベ
(渡邊氏)
商品のこと、以下DP)への取り組みを
こうした中、個人顧客やインバウン
視野に入れた拡張性、業務に対応した
ド需要の取り込みに向け、同社が積極
カスタマイズの容易さの3点を軸に検
的な取り組みを続けているのがオンラ
討を進めた末に同社が選定したのは、
イン販売の強化である。
大塚商会が提案した旅行業総合支援
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総務部 係長
阿部 泰之氏
「オンライン販売への移行に伴い、膨大な
受注件数の迅速な処理など、ITの必要性
はこれまで以上に大きくなります。今後はそ
うした面でも、大塚商会さんの知恵をお借り
していきたいですね」
「一元的管理の実現は、業務効率の
向上、情報共有の促進などの成果につ
ながっています。かつて当社では、個
人顧客を対象とした主催ツアーは別シ
ステムで管理していたため、その会計
処理を行うには、あらためて別途手配
書を作る必要がありました。一元的管
理は、こうした重複作業の解消と共に、
団体・個人を問わない顧客情報管理の
統合化、そして社内の情報共有の促進
につながっています」
富士急ハイランドと富士急行線の真横に位置する本社ビル
システム移行に際して最も苦労した
システム
『Dream Journey』
だった。
のは、新旧システムの操作法の違いを
渡邊氏は選定の経緯をこう振り返る。
社内に周知することだった。新システム
「我々営業サイドが特に重視したの
への移行において中心的役割を務めた
は、オンライン販売との親和性の高さ
総務部 係長の阿部 泰之氏は言う。
と、当社業務に柔軟に対応できること
「これまで長く使ってきたシステム
の2点でした。こうした観点で各社の提
から新システムへの移行は、確実に
案を評価した結果、最も高い評価を集
現場の混乱を伴います。導入に先立
めたのが
『Dream Journey』
でした」
ち、大塚商会さんから講師を招いた
後 継 シ ス テ ム が 決 定した の は
講習を複数回実施しましたが、それ
2014年9月。その後、業務に対応し
でも導入後の混乱は多少ありました。
たカスタマイズを行った上で、2015
『Dream Journey』の場合、前シス
年8月に
『Dream Journey』は本稼
テムでは2段階の操作が必要だった
働を開始している。
処理が1操作で済むようになるなど、
操作の簡略化が積極的に図られてい
カスタマイズによって
各種旅行商品の一元管理を実現
ることもあり、移行後の数カ月は現場
からの問い合わせに対応する日々が
続きました」
富士急トラベルが手掛ける旅行商品
は大きく分けると、
(1)個人を対象にし
した受注型企画旅行、
(3)個人・法人
事務作業の効率化が
営業担当の余力を捻出
を対象にした手配旅行の三つになる。
本格稼働から1年近くが過ぎた今、
これら全ての旅行商品の一元管理を
その効果として富士急トラベルが最も
実現させることもリプレースの狙いの
高く評価しているのが業務効率の改
一つだった。運用開始に向けて、同社が
善である。
た募集型企画旅行、
(2)法人を対象に
『Dream Journey』に施したカスタ
「旧システムでは月末の集計作業に
マイズの大部分はその実現に向けた
丸一日を費やしていましたが、新シス
ものだったという。渡邊氏は言う。
テムはほぼ瞬時に集計を終えられるた
3
富士急トラベル株式会社
め、常にリアルタイムのデータを参照
響を知ることができる環 境は、営 業
することが可能になりました。また行
担当のモチベーションアップにもつな
程表をシステム内に蓄積して情報共
がっている。さらに、DPシステムを構
有を図れるようになったことにより、既
築するための基盤ができたことも、渡
存データに手を加えることで、新人で
邊氏が高く評価する点の一つだ。
あっても簡単に行程表を作成すること
「課題であった、DPシステムを構築
が可能です。また店舗営業において、
するための基盤ができたことは大きな
入力処理が早くなり、顧客を長時間お
進歩でした。
『Dream Journey』以外
待たせすることが少なくなったことも
のシステムであれば、DP連携のため
大きな成果の一つです」
(渡邊氏)
に別のシステムを構築する必要があっ
渡邊氏が中でも特に高く評価してい
たはずですから、経費削減という部分
るのは、業務効率化による営業担当の
でも効果があったと考えています」
負荷軽減である。
そ の ほか同 社は、
『 発 車オ〜ライ
「当社の場合、手配書作成や売上入
ネット』など各種高速バス予約システ
力などの事務作業は営業担当が自ら
ム、宿泊サイトコントローラー『TLリン
行っています。こうした作業の省力化
カーン』
との連携も実現している。
による効果は数値としては見えにくい
富士急トラベルでは、カスタマイズ
部分ですが、仮に1日30分削減でき
を最小限に抑えるかたちで目的に応
たなら、単純に計算すると年間100
じたシステム構築が可能な開発ツール
時間以上、営業活動に注力できる時間
『SMILE BS Custom AP Builder
を捻出できることになります。その効
(C A B)』も併せて導入している。こ
果はやはり大きいと思います」
れは主にデータ分析に活用している。
移行の狙いの一つであった、よりス
「これまでの見方、考え方が通用しな
ムーズなオンライン販 売 の 実 現は、
くなった現在、新たな切り口ですばや
Web販売システム
『Dream Journey
く経営データを分析したいという、経
Web』の導入によって可能になった。
営層の要望は以前からありました。しか
「これまで、販売サイトへの旅行商
し、切り口によっては分析データの作
品のアップロードは、当社のシステム
成に何日もかかってしまうため、分析を
管理部門の手を経て行ってきました。
あきらめていたのが実情でした。それ
しかし
『Dream Journey Web』の導
だけに
『CAB』
によって、知りたいデー
入により、営業担当が自分の手で即座
タが短時間で得られるようになったこと
にアップロードすることが可能になり
は大きな成果だと考えています」
ました。従来は旅行プラン確定からサ
国内・国外の個人顧客獲得に向け、
イトへの掲示まで、数日かかることが
オンライン販売の強化に大きく舵を
少なくありませんでしたが、今はタイ
切った富士急トラベルだが、その果実
ムラグなしに掲示できるようになった
を手にするのはまだこの先の話だ。だ
ため、販売機会ロスの削減につながっ
が、これからの旅行業システムに求め
ています」
(渡邊氏)
られる多様な機能を実装する
『Dream
自分が企画したツアーを自分の手
Journey』は、同社の新たな挑戦を力
で販売サイトに掲示し、即座にその反
強く支えていくに違いない。
富士急トラベル株式会社のホームページ
http://www.fujikyu-travel.co.jp/
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・この記事は2016年6月に作成されました。
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