AOI Pro. (9607・東証 1 部) 2016 年 7 月 1 日 デジタル関連や海外拠点が牽引、収益拡大続く ベーシックレポート 社 様々な媒体向けの映像作品を一貫して制作できる。企画・制作力の評 価は高く、広告関連の受賞歴も多い。 概 要 デジタルコンテンツ関連や海 外への積極展開が奏功、売上高・ 所 在 地 東京都品川区 代 表 者 中江 康人 設 立 年 月 資 本 1963/10 金 3,323 百万円 場 日 U R L 1990/04/26 種 情報・通信 価 844 円 1,062 円 (16/02/09) 799 円 (16/06/24) 年 初 来 高値 年 初 来 安値 発行済株式数 13,334,640 株 売 買 単 位 100 株 時 価 総 額 11,254 百万円 予 想 配 当 31.00 円 ( 会 予 想 社 ) E P S 103.92 円 ( ア ナ リ ス ト ) 実 績 去最高を更新しつつある。 ●中期経営計画では 20/3 期に売上高 50,000 百万円を目指す 中期経営計画では 20/3 期に売上高 500 億円を目指す 16/3 期から 5 カ年の「中期経営計画 2019」では、従来の展開に加え、 P B R めた。同事業は、様々なデータを取得できるウェブの特性を活かして 動画広告のターゲットの反応を分析、内容や配信条件の最適化を図る もので、既存事業との相乗効果や、新たな強みの創造を狙う。好採算 0.85 倍 期に、全体で売上高 500 億円、営業利益率 10%、ROE12.0%以上の達成 を目指す。 最高益更新が続くと予想 ●最高益更新が続くと予想 16/3 期通期の連結業績は、売上高が 15/3 期比 11.3%増の 321 億円、 経常利益が同 18.7%増の 23 億円となった。テレビ CM 制作が好調で、 自動車メーカーなどを中心に案件数が増え、受注単価も上昇した。企 業価値研究所は、17/3 期通期の連結経常利益を 27 億円(16/3 期比 17% 増) 、18/3 期の同利益を 29 億円(17/3 期比 7%増)と予想。成長領域 と位置づけるデジタル関連や海外拠点が収益拡大を牽引、システム投 資などで費用がかさむが、増収効果と制作原価低減で吸収し、過去最 高経常利益の更新が続くとみる。 売上高 百万円 前期比 % 績 32,060 11.3 2,491 27.6 想 33,800 5.4 2,630 (2016 年 6 月発表) 35,700 11.4 ナリスト予想 2018/3 通 期 ア (2016 年 6 月発表) 37,800 5.9 業 績 動 向 2016/3 通 期 実 会 2017/3 通 期 社 名 の Pro. に は 、 Professional や Promise など様々な Pro に関する思い が込められている のソリューション提供型ビジネスを拡大することで、最終年度の 20/3 主要指標 2016/06/28 現在 株 の景気後退で落ち込んだ 10/3 期 新たに「動画コンテンツマーケティング事業」を立ち上げ、強化し始 http://www.aoi-pro.com/ 業 ▼同社の社名ロゴ 経常利益は、リーマンショック後 に比べ 2 倍以上の水準にあり、過 (2016/03/31 現在) 上 大手テレビ CM 制作会社。プランナーや演出家を多数擁することで多 様な企画を提案ができ、撮影・編集スタジオを自社保有しているため、 (株)QUICK 清水 康之 会 ●大手テレビ 大手テレビCM CM制作会社。デジタル領域や海外展開に積極的 制作会社。デジタル領域や海外展開に積極的 社 予 (2016 年 5 月発表) アナリスト予想 アナリストレポート・プラットフォーム 営業利益 百万円 前期比 % 経常利益 百万円 前期比 % 当期純利益 百万円 前期比 % 2,302 18.7 1,098 5.5 2,630 14.2 1,300 18.4 103.92 2,700 8.4 2,700 17.3 1,300 18.4 103.92 2,900 7.4 2,900 7.4 1,400 7.7 111.91 -11.4 EPS 円 88.09 1 会 社 会 社 概 概 要 要 会社概要 テレビ CM 制作会社の大手。東北新社(2329) 、TYO(4358)と 3 強の一角 を占める。近年、市場が拡大しているデジタルコンテンツ制作や海外展開に 積極的で、CM 制作市場の伸びを上回る成長を達成。16/3 期から 5 カ年の中 期経営計画では、運用型広告の手法を動画コンテンツに応用し、動画とデー タ解析により顧客企業のマーケティングを支援する「動画コンテンツマーケ ティング事業」を成長領域として注力、最終年度の 20/3 期に全体で売上高 500 億円、営業利益率 10%を目指している。 経 営 者 代表取締役社長・グループ CEO 中江 康人 氏 中江氏は、1967 年生まれ。1991 年に同社に入社し、制作の指揮を執るプ ロデューサー業に長年従事、2010 年に常務取締役に就任した。15 年 2 月、 先代の藤原社長が急逝したのを受けて社長に就任。先代の社長時代には、社 長の補佐役としてデジタル領域の強化や海外展開を推進し、現在の体制の基 盤をつくった。 企 業 理 念 企業理念に代わる企業ステートメント「AOI Pro. Promise(AOI Pro.の約 束) 」では、社会およびステークホルダー(利害関係者)への約束として“ひ とりひとりがそれぞれの立場や役割の Professional として、最高のクリエ イティビティを発揮させさまざまな Produce を行う。そこから生み出された Product を、社会やステークホルダーの Profit につなげる。それが私たち の Promise です。”と定めている。 沿 革 1963 年にテレビ CM 制作を目的とする葵プロモーションとして設立。テレ ビ CM を主力とする映像制作会社として事業基盤を確立し、1990 年に株式を 店頭登録(現在の JASDAQ 上場に相当)。1998 年の東証 2 部上場を経て、2000 年に同 1 部指定。 2008 年のリーマンショックの影響で CM 制作が落ち込んだのをきっかけに、 2011 年、デジタルコンテンツの制作等を主力とするビジネス・アーキテク ツ(東京・港)を子会社化して、CM 制作以外の領域への展開を開始。 また、アジアに進出する日系企業のニーズに対応するため、同年、インド ネシアに進出。その後、シンガポール、タイ、中国、ベトナムに拠点を拡大 した。 2014 年 10 月には、動画プラットフォームの効果測定や運用を得意とする ナカミノ(東京・港、現・クォークトーキョー)を持分法適用関連会社とし て傘下に収め、 「動画コンテンツマーケティング事業」を本格化し始めた。 アナリストレポート・プラットフォーム 2 会 社 概 要 会社概要 1963 年 10 月 テレビ CM 制作を主たる目的とする葵プロモーション設立 1990 年 4月 株式を店頭登録銘柄として日本証券業協会に登録 1998 年 2月 東証第 2 部に上場 2000 年 9月 東証第 1 部に指定 2010 年 5月 写真スタジオ事業を開始 2011 年 4月 ゴルフに係る出版・広告・オンライン事業を主たる目的とするパ -ゴルフ・プラス(後の Pargolf & Company)に出資(2014 年 10 月 に事業譲渡を行い、2015 年 7 月に清算) 7月 WEB コミュニケーションコンサルティング事業を行うビジネス・ アーキテクツ(現・連結子会社)に出資 9月 インドネシアにテレビ CM 制作関連業務を行う PT. AOI ASIA INDONESIA(現・連結子会社)設立 2012 年 7月 10 月 AOI Pro.に社名変更 シンガポールに地域統括会社 AOI Pro. ASIA PTE. LTD.(現・連 結子会社)設立 2013 年 2月 タイ王国にテレビ CM の企画・制作を行う AOI ASIA THAI CO., LTD.(現・連結子会社)を設立 4月 中国でテレビ CM の企画・制作を行う北京葵友広告有限公司(現・ 連結子会社)に出資 5月 ベトナムにウェブ、アプリ等の制作・運用業務を行う AOI SYSTEMS VIETNAM CO., LTD.(現・連結子会社)を設立 6月 オンラインメディア運営事業、スポーツマーケティング事業を行 う P.A.R. Sports Marketing を設立(2014 年 10 月に事業譲渡を 行い、2015 年 7 月に清算) アナリストレポート・プラットフォーム 2014 年 10 月 オンライン動画マーケティング業務を手掛けるナカミノに出資 2015 年 12 月 ナカミノの第三者割当増資を引き受け、連結子会社化 2016 年 4月 ナカミノの商号を Quark tokyo(クォークトーキョー)に変更 3 会 大 社 概 株 要 主 会社概要 金融機関以外では、創業メンバーの原仁氏(現、名誉会長)やその配偶者、 資産管理会社コスモチャンネルが中心。そのほか、取引先のイマジカ・ロボ ットホールディングス(6879)やオムニバス・ジャパン(東京・港)が並ぶ。 なお、イマジカ・ロボットホールディングスとは相互に出資する関係。一方、 オムニバス・ジャパンは競合する東北新社系の編集スタジオであり、繁忙期 には編集設備などを利用することがあるが、特段の提携関係にはない。 株主 所有株式数 (千株) 所有比率 (%) 1 コスモチャンネル 1,373 10.7 2 イマジカ・ロボットホールディングス 1,000 7.8 3 日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 972 7.6 4 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 497 3.8 5 原 仁 400 3.1 6 原 文子 328 2.5 7 資産管理サービス信託銀行(信託 E 口) 282 2.2 8 AOI Pro.従業員持株会 254 1.9 9 オムニバス・ジャパン 220 1.7 9 住友生命保険相互会社 220 1.7 (注)株式数、所有比率は 16 年 3 月 31 日時点 (出所)16/3 期定時株主総会招集通知をもとに当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 4 事 事 業 業 概 の 内 要 容 会社概要 主力の「広告制作事業」のほか、一般消費者向けの写真スタジオの運営な どを行う「写真スタジオ事業」を展開する。なお、ゴルフに関連する出版・ 広告・オンライン業務を手掛ける「メディア関連事業」については 14 年 10 月に事業譲渡し撤退、16/3 期から廃止となった。 広告制作事業で は、テレビ CM のほ か、映画や動画な ども手掛ける 【広告制作事業】 主にテレビ CM 作品・ウェブ作品の制作など、広告に関わる制作業務を行 う。アジアを中心とした海外では、日系企業向けおよび現地企業向けにテレ ビ CM を制作。CM 作品以外では、テレビ番組や映画、ミュージックビデオな ども手掛ける。 図 1.グループ会社と業務概要 (出所)16/3 期定時株主総会招集通知 【写真スタジオ事業】 写真スタジオ事業 では、商業施設内 に、一般向け写真 スタジオを展開 連結子会社のホリーホック(東京・品川)が、一般消費者向けの写真スタ ジオ「hollyhock」を運営。主力の「広告制作事業」は一般消費者との接点 がないことから、知名度向上を主な目的として 10 年に開始した。 プロのカメラマンによる撮影や照明などの高い技術を訴求、また、競合他 社では、原則として提供していない画像データを提供するなどして、差別化 を図っている。 10 年 9 月に六本木の東京ミッドタウン内に 1 号店を出店。その後、横浜 市内の大型商業施設に 2 店、さらに、ららぽーと海老名店、同立川立飛店の オープン時に出店し、16/3 期末で 5 店舗となった。今後は、集客力のある 大型商業施設などを中心に出店し、早期に 10 店舗、売上高 10 億円規模の事 業に育成する方針。 アナリストレポート・プラットフォーム 5 事 強 業 み 概 ・ 特 要 徴 会社概要 質の高い映像制作 業務を 、企画か ら 制 作 ・編 集 ま で 一 貫して提供 同社の強みは、映像に関する高い企画・制作力と、その企画から制作まで 自社で対応可能なこと。多数のプランナーや演出家を擁することで多様な企 画の提案が出来、撮影スタジオや編集スタジオを自社保有していることで、 映像・ウェブ・紙などの各種プロモーションツールやイベントなどを全て自 社グループで制作・運営できる。 図 2.テレビ CM 映像制作業務の流れ (出所)15/3 期個人投資家向け会社説明会資料 その企画・制作力は、広告主や広告代理店など関係者からの評価が高く、 広告関連の受賞歴も多い(次頁の表 1 は 2015 年以降の受賞実績の抜粋)。ま た、自社グループで完結できるため、内製化率が高まりコスト面で有利なだ けでなく、限られたスケジュールや、逆に長期にわたる案件などにも柔軟に 対応できる。 広告主の業種別売上高構成比では、飲料・酒類などの「食品」、自動車な どの「輸送・精密」 、化粧品などの「化学」、移動体通信事業者などの「運輸・ 倉庫・通信」などが上位を占め、販売チャネル別の売上高構成比率は、博報 堂グループと電通グループで 6 割超(16/3 期連結ベース)を占める。 図3.広告主の業種別売上高(単体ベース) (単位:百万円) 「食品」 4,293 (飲料・酒類など) その他 「輸送・精密」 4,227 (自動車など) 「化学」 2,620 (化粧品など) (出所:16/3期通期決算説明会資料をもとに当研究所作成) アナリストレポート・プラットフォーム 6 事 業 概 要 表1.2015年以降の主な受賞作品 会社概要 広告主 作品名 受賞内容 KDDI 第69回 広告電通賞 <広告電通賞特別賞> a u「三太郎」シ リー ズ 第68回 広告電通賞 テレビ広告<最優秀賞> 2015年 ACC CM FESTIVAL フィルム部門<GOLD> 第53回 ギャラクシー賞 CM部門<大賞> 第45回 フジサンケイグループ 広告大賞 メディア部門<最優秀賞> メディアミックス部門<優秀賞> クリエイティブ部門<優秀賞> 日テレCM大賞 2015 <日テレCM賞> CM総合研究所 「BRAND OF THE YEAR 2015」 CM好感度1位 フ ルLTE「3秒ク ッキ ング 爆速エ ビフ ラ イ」 第30回 ロンドン・ インターナショナル・アワーズ Branded Entertainment部門<GOLD> PR EMIU M 4G 「3秒ク ッキ ング 爆速餃子」 第8回 釜山国際広告祭 Interactive部門<GOLD> NTTドコモ PR部門<GOLD> Promotion部門<GOLD> 第62回 カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・ フェスティバル 第18回 アジア太平洋広告祭 FILM CRAFT部門<GOLD> BRANDED CONTENT & ENTERTAINMENT部門<GOLD> BRANDED CONTENT & ENTERTAINMENT LOTUS部門<GRANDE> PROMO LOTUS部門<GOLD> サントリーホールディングス 響 「H IB IKI GLA SS」 2015 One Show Design部門<GOLD> 第94回 ADC賞 DIGITAL部門<GOLD> 第18回 アジア太平洋広告祭 LOTUS ROOTS部門<GRAND> OUTDOOR LOTUS部門<GOLD> INNOVA LOTUS部門<GRANDE> メルセデス・ベンツ日本 2015年 ACC CM FESTIVAL マーケティング・エフィクティブネス部門 <総務大臣賞・ACCグランプリ> 第68回 広告電通賞 テレビ広告<最優秀賞> 第19回 アジア太平洋広告祭 DIRECT LOTUS部門<GRANDE> GLA 「GO! GLA 」 ダイハツ工業 ウェイク 「WA KE兄弟」シ リー ズ リクルート住まいカンパニー SU U MO 「Shel l We Mov e?」 OUTDOOR LOTUS部門<GRANDE> MEDIA LOTUS部門<GOLD> INNOVA LOTUS部門<INNOVA LOTUS> ドラマ 「イタズ ラ なKi s s 2~Lov e i n TOKYO」 東京ドラマアウォード2015 <J Series賞> 第3回 DramaFever Award <Best Japanese Drama><Best Couple> ミュージックビデオ 第19回 SPACE SHOWER くるり 「Li berty &Gra v i ty 」 MUSIC VIDEO AWARDS (注)シリーズの一部作品が受賞したものを含む (出所)同社ホームページの受賞歴から抜粋して当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム <BEST VIDEO OF THE YEAR> 7 財 務 ・戦 略 分 析 6 期連続の増収、 利益水準も切りあ 会社概要 がる 同社の過去 10 年の業績推移をみると、08 年のリーマンショック後の 2 年 間は、景気後退に伴う企業の広告宣伝予算縮小の影響を受けて落ち込んだが、 10/3 期を底に回復、16/3 期まで 6 期連続の増収を継続している。デジタル 分野や海外展開が奏功したほか、主力の国内 CM 制作も、小幅な伸びが続く 広告制作市場の中にあってシェア拡大に成功、順調に売り上げを伸ばした。 経常利益も、新規事業の立ち上げなど投資が先行した 13/3 期こそ足踏みし たが、その後は着実に利益水準を切り上げ、既に、売上高・経常利益は、リ ーマンショック直後の業績の底だった 10/3 期の 2 倍を超え、過去最高を更 新している。 図4.売上高と経常利益の推移 売 上 高 ( 億 円 ) 550 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 33 30 27 24 21 18 15 12 9 6 3 0 売上高 (連結・左目盛) 売上高 (単独・左目盛) 経常利益 (連結・右目盛) 経 常 利 益 ( 億 円 ) 07/3 08/3 09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 期 期 期 期 期 期 期 期 期 期 期 期 (当研究所予想) (出所)会社資料をもとに当研究所作成。予想は当研究所 自己資本比率は 40 % 台 で 安 定 推 移 財務基盤の安全性を示す自己資本比率は 40~50%台で安定的に推移、資 本効率を示す ROE(自己資本利益率)も 16/3 期末で 9.1%まで向上した。ROE が 15/3 期末に比べ低下したのは、事業譲渡に伴い 15/3 期の税金負担が一時 的に減少、純利益が押し上げられていたため。近年では、増収効果による利 益率の改善に伴い ROE は上昇傾向にある。 図5.自己資本比率・ROEの推移 100.0 14.0 自己資本比率(左目盛) ROE (右目盛) 90.0 12.0 11.3 80.0 自 70.0 己 60.0 資 本 50.0 比 40.0 率 ( 30.0 % ) 20.0 10.0 10.0 7.1 53.6 56.3 53.5 57.5 53.2 46.2 5.3 1.4 3.2 3.9 46.2 2.9 9.1 6.5 43.2 42.7 45.8 8.0 6.0 R O 4.0 E ( 2.0 % 0.0 ) -2.0 -3.1 0.0 -4.0 -6.0 07/3期 08/3期 09/3期 10/3期 11/3期 12/3期 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 (出所)会社資料をもとに当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 8 財 務 ・戦 略 分 析 中計では 20/3 期 に売上高 500 億 会社概要 円、営業利益率 10%を目指す 同社が昨年 3 月に発表し、現在推進している 16/3 期から 5 カ年の「中期 経営計画 2019」の基本コンセプトは表 3 にまとめた 4 つ。これまでの CM 制 作やデジタルコンテンツ制作、海外展開に加え、ビッグデータの分析結果を 動画コンテンツ配信に活かして広告主のマーケティングを支援する「動画コ ンテンツマーケティング事業」を成長領域として強化している。 ポイントとなる「動画コンテンツマーケティング事業」は、従来の運用型 広告の手法を動画コンテンツに応用したビジネスモデル。様々なデータを取 得できるウェブの特性を活かして広告ターゲットの反応を分析、動画の内容 や配信条件を最適化するもので、14 年 10 月には、動画プラットフォームの 効果測定や運用を得意とするナカミノ(現・クォークトーキョー)を傘下に 収めた。今後は、クォークトーキョーを軸に、動画を中心としたオンライン コンテンツの戦略立案から、企画・制作・メディア配信・データ解析までを ワンストップで提供、この PDCA サイクルをまわすことで、動画コンテンツ による企業のマーケティング活動を支援する。また、CM や動画の制作と、 コンテンツマーケティングの関連する 2 つの事業領域を同時に扱うことで、 相乗効果を創出し、新たな強みの創造を狙っている。 図6.動画コンテンツマーケティング事業のイメージ 動画コ ンテ ンツ 運用型広告 1 .視聴環境がテ レビから ネット へ拡大 2 .動画コ ンテ ンツがより身近に 3 .マー ケテ ィング担当者が注目す る 広告手法の第一位が動画コ ンテ ン ツに 1 .デ ジ タルメ デ ィア だから 可能になる デ ー タに基づいた広告の効果測定 が魅力 2 .広告に関す るPD CA サイク ルを 可能に 動画コ ンテ ンツマー ケテ ィング 動画コ ンテ ンツをPDCA サイク ルで 運用し、より高い成果を狙う (出所)15年3月2日付「中期経営計画に関するお知らせ」 「動画コンテンツマーケティング事業」をはじめ、より利益率の高いソリ ューション提供型のビジネスモデルを拡大することで、最終年度の 20/3 期 には、全体で売上高 500 億円、営業利益率 10%、ROE12.0%以上の達成を掲 げている。 表2.「中期経営計画2019」の数値目標 指標 20/3期の目標 売上高 500 億円 営業利益 10.0 % 連結ROE 12.0 %以上 (出所)会社側資料 アナリストレポート・プラットフォーム 9 財 務 ・戦 略 分 析 売上高の目標 500 億円の内訳については未公表だが、広告制作を主体とす る既存事業で 300 億円(16/3 期実績概算約 260 億円)、動画コンテンツ関連 会社概要 事業で 150 億円(同 47 億円)、海外事業で 50 億円(同 13 億円)が一応の視 線の高さとみられる。セグメント利益率についても、既存事業は請負型であ るため短期に改善することは難しいものの、売上拡大とともに 8%程度まで 改善。動画コンテンツ関連や海外については 10%台前半の利益率を目標に 利益率の高いソリューションを開発することで、全体として利益率 10%の 達成を目指している。 表3.「中期経営計画2019」4つの基本コンセプト コンセプト 概要 ・ コア事業となっている広告映像制作については、大手集中が進む中で、デジタル 領域や海外展開への対応力を強みとして、更なるシェアアップを図る テレビCMを中心とする 広告映像制作の更なる拡大 ・ テレビCMという高品質の映像制作で培ったノウハウを、ウェブ動画などテレビ以 外のメディア用動画にも活用 ・ テレビCMおよびウェブムービーの制作事業で培ったノウハウを活用し、「動画コン テンツマーケティング事業」を新たに展開 「データベーシック&ヒューマンドリブン」な クリエイティブソリューション力を グループで強化 ・ メディア・コンテンツ領域における企業との提携を推進し、ソリューションの開発・ 提案力を強化 ・ データ分析(=データベーシック)に、人間ならではの視点(=ヒューマンドリブン) を加えることが重要なテーマ 地域・メディア・コンテンツの 更なる“NO BORDERS”推進 ・ 基盤の整ったアジア拠点では、従来からの既存ビジネスの展開に加え、新たなソ リューションなども積極展開。既存ビジネスと新規事業の両面から境界を越えて 事業展開するためのプラットフォーム(基盤)に進化させる 人材育成・業務効率化(IT 関連)への 積極的な投資 ・ 既存事業の一層の強化だけでなく、新たな強みを創造するために必要となる人材 育成・業務効率化(IT 関連)への積極的な投資を推進し、組織力を向上 (出所)15年3月2日発表の「中期経営計画に関するお知らせ」をもとに当研究所作成 現実的な中計。新 領域での ビ ジ ネス モデル確立が急務 この中計について当研究所は、十分達成は可能とみている。 既存事業については 15/3 期からの 5 年で 25%の増収となるため、年率で は 4~5%増収が必要となる。電通の調査による「日本の広告費」によれば、 15 年の地上波テレビ CM 制作費は前年比 1.2%減 2,145 億円(図 7 参照)と 伸び悩んでいるが、企画から制作まで質の高いサービスを提供できる強みや、 広告代理店からの発注が大型案件や最新技術にも対応できる大手制作会社 に集中する流れを加味すれば、必ずしも高い目標ではない。むしろ、苦戦す る中小制作会社の買収なども想定され、それらの寄与も考慮すると、現実的 な計画といえる。 また、動画広告市場は、サイバーエージェント(4751)の推定によれば、 17 年に 1,000 億円、20 年に 2,000 億円規模と見込まれており(図 8 参照)、 大手広告主を中心に、動画素材を活用したネット上でのブランディングや多 様なプロモーションニーズは高い。動画制作でノウハウを持つプレイヤーが 限られる中、5%のシェアに相当する約 100 億円を上乗せすることは難しい ことではないとみる。 アナリストレポート・プラットフォーム 10 財 務 ・戦 略 分 析 一方、海外事業については、定量的な評価は難しいが、海外事業が収益面 で本格的に立ち上がったのは 15/3 期であり、現時点では中国での収益が主 会社概要 体だ。事業内容も主に日系企業の CM 制作の割合が高く、事業拡大の余地は 大きい。今後は、現地の代理店・広告主の取り込みが進むほか、インドネシ アやタイでは現地制作会社との提携や M&A も想定されることから、妥当な目 標だろう。 ただ、テレビを中心としたマスメディアの退潮を踏まえると、既存事業を 取り巻く市場が、10 年後も現状の規模を維持できているかは見方の分かれ るところだ。既存事業が拡大している間に、映像をキーワードに新領域での ビジネスモデルの確立が急がれる。 図7.地上波テレビCM制作費の推移 3,000 2,500 制 2,000 作 費 1,500 ( 億 円 1,000 ) 1,788 1,870 1,894 1,990 2,147 2,170 2,145 2013年 2014年 2015年 500 0 2009年 2010年 2011年 2012年 (出所)電通「日本の広告費」をもとに当研究所作成 図8.インターネット動画広告市場の推移 3,000 2,500 PC スマートフォン 2,009 2,000 市 場 1,500 規 模 ( 1,000 億 円 ) 500 0 1,718 1,397 631 800 506 317 231 86 2014年 272 234 492 397 403 601 766 2015年 2016年 2017年 2018年 推定 予想 予想 予想 (出所)サイバーエージェントの公表資料をもとに当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 860 782 1,093 936 2019年 予想 1,149 2020年 予想 11 業 績 ■16 年 3 月期通期(15 年 4 月~16 年 3 月)の実績 広告制作順調で、 会社概要 16/3 期 は 経 常 19%増益。不振事 業撤退も寄与 16/3 期通期の連結業績は、売上高が前期比 11.3%増の 321 億円、経常利 益が同 18.7%増の 23 億円となった。企業の販促意欲の高まりを追い風に、 「広告制作事業」の中核である「CM 制作」が好調に推移し、 「メディア関連 事業」撤退に伴う 4.7 億円の減収要因を吸収。利益面でも、増収効果に加え、 「メディア関連事業」の経常赤字 1.2 億円が無くなったことが寄与した。新 規事業推進や人材強化、業務システムの刷新など戦略投資のために発生した 先行的支出約 3 億円を吸収し、2 桁の経常増益だった。 映像制作の好調な受注が 4Q に入っても続いたうえ、成長領域と位置づけ るデジタル関連、海外拠点の売り上げも増加したことから、期初(昨年 5 月)に発表した計画に対しても売上高で 21 億円、経常利益で 1.5 億円上振 れた。 なお、純利益は同 11.4%減の 11 億円だった。15/3 期に「メディア関連事 業」の事業譲渡および清算に伴い税金負担が一時的に減少していた反動が出 た。 表4.連結業績(実績)の概要 (単位:百万円) 16/3期<通期> 15/3期<通期> 実績 売上高 売上比 実績 売上比 前期比 増減額 増減率 28,817 100.0% 32,060 100.0% +3,242 +11.3% 28,238 98.0% 31,922 99.6% +3,683 +13.0% 写真スタジオ事業 105 0.4% 137 0.4% +32 +30.2% メディア関連事業 473 1.6% 売上総利益 5,613 販売費・一般管理費 広告制作事業 - - - 19.5% 6,406 20.0% +793 +14.1% 3,660 12.7% 3,914 12.2% +254 +6.9% 営業利益 1,952 6.8% 2,491 7.8% +539 +27.6% 経常利益 1,939 6.7% 2,302 7.2% +362 +18.7% 2,114 ( 7.5%) 2,436 ( 7.6%) +321 +15.2% 広告制作事業 写真スタジオ事業 -55 - -129 - メディア関連事業 -119 - - - 純利益 1,238 4.3% 1,098 - -73 3.4% -140 -11.4% (注1) 金額は百万円未満を切り捨て。内訳は内数。売上比・前年比は千円単位で算出 (注2) カッコ内の事業別経常利益の売上比は、各事業別売上高に対する比率 (出所) 会社資料をもとに当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 12 業 績 大手制作会社への 集中の流れ受け案 会社概要 件数増加、高度化 で単価も上昇 「広告制作事業」の売上高は同 13.0%増の 319 億円、経常利益は同 15.2% 増の 24 億円だった。自動車メーカーなどを中心に案件数が増えたうえ、受 注単価も伸びた。広告主が映像に高いクオリティを求めて予算を投じる傾向 が強まっており、海外での撮影や CG(コンピュータグラフィックス)の多 用に伴い案件規模が大型化。また、それらの対応は、資金・機材・体制など の面から、中小制作会社では対応が難しく、実績のある大手への集中が加速 した。 「写真スタジオ事業」の売上高は同 30.2%増の 1.4 億円、経常損益が 1.3 億円の赤字(15/3 期は 55 百万円の赤字)だった。15 年 10 月に複合型商業 施設「ららぽーと海老名」 (神奈川県海老名市)、同 12 月に「ららぽーと立 川立飛」 (東京都立川市)へ、それぞれ新規出店したが、人員採用などで費 用が先行した。 「広告制作事業」で注力する「デジタルコンテンツ制作」の売上高は同 注力する「デジタル コンテンツ制作」は 18%増収 17.7%増の 47 億円、「海外拠点」の売上高は同 33.7%増の 13 億円だった。 「デジタルコンテンツ制作」では、ブランド向上を狙った広告主が自社サイ トや動画共有サイトに掲載するウェブ動画や、SNS(交流サイト)などでの 拡散により広告効果を狙うバズムービーなどの受注が拡大、 「海外拠点」も、 13 年に現地制作会社を買収して参入した中国法人が本格的に立ち上がった。 日系広告主の案件に加え、現地の通信会社などからの受注も増加傾向にある。 ■17 年 3 月期通期(16 年 4 月~17 年 3 月)の会社計画 17/3 期の会社計 画は 5%増収。国 内 CM 制作に慎重 な見方 17/3 期通期の連結業績について会社側は、売上高 338 億円(前期比 5% 増) 、経常利益 26 億円(同 14%増)を計画する。 「動画コンテンツマーケ ティング事業」の本格的な立ち上げに伴う「デジタルコンテンツ制作」や、 中国以外での事業拡張を見込む「海外拠点」が増収を牽引する見通し。中 核の国内 CM 制作は堅調な推移を予想するものの、前期が想定以上に好調で 制作能力の余力が限られることなどから、収益計画では大きな伸びを織り 込んでいないという。 損益面では、制作原価管理の徹底により採算の改善を目指すが、 「動画コ ンテンツマーケティング事業」の推進や業務システム刷新など戦略投資に よる先行的な支出が拡大するため、売上高営業利益率の改善は見込んでい ない。このため、通期連結ベースの営業増益率は増収率と同水準の 5%増 の計画となる。 アナリストレポート・プラットフォーム 13 業 績 経常利益が同 2 桁増になるのは、前期の営業外費用に支払い手数料 1.9 億円を計上した反動。この支払い手数料は、保有していた横浜の撮影スタ 会社概要 ジオの土地(底地)を売却、リースバックに切り替えた際に発生したもの。 当該の土地については、バブル期に取得したが大幅に値下がりし減損のリ スクを抱えていた。今回、マンション用地などにも適した土地であること などが評価され、簿価と同水準でリースバック契約が出来る条件が整った ため、実行した。今後、新たに賃料負担があるものの、減損リスクはなく なった。 なお、 「写真スタジオ事業」は、前期に出店した 2 店が期初から寄与する ため増収を計画。その一方で、新規出店の計画はなく、出店コストや人件 費が先行する可能性は低いため、同事業として収支均衡を見込んでいる。 表5.通期連結業績 (予想) の概要 (単位:百万円) 16/3期<通期> 実績 売上比 売上高 32,060 100.0% 31,922 99.6% 137 売上総利益 17/3期<通期> 会社 計画 当研究所予想 当研究所予想 売上比 売上比 前期比 前期比 35,700 100.0% +11.4% 37,800 100.0% +5.9% - 35,400 99.2% +10.9% 37,400 98.9% +5.6% 0.4% - 300 0.8% +117.5% 400 1.1% +33.3% 6,406 20.0% - 7,300 20.4% +13.9% 7,900 20.9% +8.2% 販売費・一般管理費 3,914 12.2% - 4,600 12.9% +17.5% 5,000 13.2% +8.7% 営業利益 2,491 7.8% 2,630 2,700 7.6% +8.4% 2,900 7.7% +7.4% 経常利益 2,302 7.2% 2,630 2,700 7.6% +17.3% 2,900 7.7% +7.4% 広告制作事業 2,436 7.6% - 2,700 7.6% +10.8% 2,900 7.7% +7.4% 写真スタジオ事業 -129 -0.4% - 0 0.0% - 0 0.0% 1,098 3.4% 1,300 3.6% +18.4% 1,400 3.7% 広告制作事業 写真スタジオ事業 純利益 33,800 18/3期<通期> 1,300 - +7.7% (注1) 通期(事業年度)は、4月1日~翌年3月31日 (注2) 金額は百万円未満を切り捨て。内訳は内数。売上比・前年比は千円単位で算出 (出所) 会社資料をもとに当研究所作成、予想は当研究所 アナリストレポート・プラットフォーム 14 業 績 ■17 年 3 月期通期(16 年 4 月~17 年 3 月)の当研究所予想 17/3 期は会社計 を上回る売上 画 会社概要 高・経常利益を予 想 17/3 期通期の連結業績について当研究所は、売上高 357 億円 (前期比 11% 増) 、経常利益 27 億円(同 17%増)を予想、会社計画を売上高で 19 億円、 経常利益で 70 百万円上回る。 このうち「写真スタジオ事業」の予想は、売上高が 3 億円(同 2.2 倍) 、 セグメント損益が収支均衡であり、会社側の見方と大きな差はない。 一方、 「広告制作事業」は、売上高が 354 億円(同 11%増) 、セグメント 利益は 27 億円(同 11%増)を予想。同事業の増収率について、会社計画 は 5%程度とみられるが、 「デジタルコンテンツ制作」や「海外拠点」が大 幅増収になる前提から逆算すると、国内 CM 制作は横ばい~極めて穏やかな 伸びしか想定していないことになる。しかし、堅調な広告需要や制作会社 の大手集中傾向など、事業環境に大きな変化が無いことから、国内 CM 制作 も一定の伸びを期待できよう。そのうえで、 「デジタルコンテンツ制作」が、 クォークトーキョーを軸に展開する新事業本格化などで 10 億円以上増収 が見込まれる。さらに、 「海外拠点」も、中国の伸長に加え、インドネシア やタイのテコ入れで現地企業との提携ないし M&A も想定され、その効果な いし寄与が下期にも見込まれることから、10 億円前後の増収になるとみて、 同事業全体では同 2 桁の増収を予想する。 損益面では、増収効果や原価低減施策で売上高総利益率は改善するとみ るが、 「動画コンテンツマーケティング事業」の本格化や業務システムの刷 新など戦略投資に伴う先行的支出が前期比で 1 億円前後増加するほか、横 浜の撮影スタジオの底地をリースバック契約したことによる新たな賃料負 担も 1.5 億円程度見込まれることから、営業利益率ベースで改善する可能 性は低いとみる。 アナリストレポート・プラットフォーム 15 業 績 ■18 年 3 月期通期(17 年 4 月~18 年 3 月)の当研究所予想 18/3 期 は 経 常 7%増益を予想。 会社概要 「プリント」減速も、 注力事業が牽引 続く 18/3 期通期の連結業績について当研究所は、売上高 378 億円(前期 比 6%増) 、経常利益 29 億円(同 7%増)を予想、過去最高計上利益の更新 が続くとみる。 このうち、 「広告制作事業」の売上高は同 6%増の 374 億円を見込む。国 内 CM 制作は不確定要素が強いが、大手集中の流れは変わらないとみて堅調 な推移を想定、注力する「デジタルコンテンツ制作」や「海外拠点」は軌 道に乗りはじめ 2 桁の伸びを見込む。ただ、CM 作品の放送局への納入が 17 年度から順次オンライン送稿に切り替わる見込みで、16/3 期で 17 億円あ った「プリント」売上が減少に転じる可能性がある。その影響を一部織り 込んだため、同事業全体では 1 桁の増収にとどまるとみる。 一方、「写真スタジオ事業」は、17/3 期に新規出店の計画がないため収 益改善が進むが、事業育成段階のためその利益水準は限られる。一方で、 18/3 期には出店再開の可能性が高く、出店費用などが先行するとみて同事 業の経常損益の予想は収支均衡にとどめた。 注力事業の進捗次 第で業績上振れ も。M&A による成 長加速にも注目 両事業ともに、現時点での戦略やその進捗をベースとしての予想のため、 来期については、17/3 期までに比べて比較的穏やかな予想になるが、注力 する「動画コンテンツマーケティング事業」の進捗や、海外展開のスピー ド次第では、収益の上振れも期待できる。また、国内では、苦戦する中小 制作会社の取り込みが想定され、海外では、事業拡大に向けて現地制作会 社等を買収する可能性も高い。それら M&A があった場合、非連続な形で成 長が加速することになるため、その動向にも注目している。 アナリストレポート・プラットフォーム 16 (出所)㈱QUICK 上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。 上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。 上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。 2014/03 株 価 推 移 2015/03 2016/03 2017/03 予 (アナリスト) 株価(年間高値) 円 740 933 1,180 - 株価(年間安値) 円 542 600 800 - 月間平均出来高 百株 3,075 4,947 6,161 - 売 上 高 百万円 27,976 28,817 32,060 35,700 営 業 利 益 百万円 1,783 1,952 2,491 2,700 経 常 利 益 百万円 1,704 1,939 2,302 2,700 百万円 645 1,238 1,098 1,300 業 績 推 移 当 期 純 利 益 E P S 円 53.90 101.38 88.09 103.92 R O E % 6.5 11.3 9.1 10.1 流動資産合計 百万円 15,632 17,330 20,197 - 固定資産合計 百万円 7,921 8,252 8,798 - 資 百万円 23,554 25,583 28,995 - 産 合 計 貸借対照表 流動負債合計 百万円 9,429 10,021 9,212 - 主 要 項 目 固定負債合計 百万円 3,327 31,113 6,596 - 負 百万円 12,757 13,135 15,808 - 株主資本合計 百万円 10,126 11,430 12,245 - 純 資 産 合 計 百万円 10,796 12,447 13,186 - 営業活動による CF 百万円 -274 1,255 1,257 - 投資活動による CF 百万円 -1,176 -404 -1,552 - 財務活動による CF 百万円 1,537 -269 1,675 - 現金及び現金同等 物の期末残高 百万円 2,457 3,052 4,413 - キャッシュフ ロー計算書 主 要 項 目 債 合 計 アナリストレポート・プラットフォーム 17 リ ス ク 分 事 業 関 会社概要 す る リ 析 に ス ク ●主要取引先の動向 売上高の約 6 割を、電通および博報堂の 2 社グループが占める。これら主 要販売先の業況や発注方針等に変化があった場合、業績に影響を及ぼす可能 性がある。 ●オンライン送稿システムの普及 売上高の約 5%を占める CM プリント(CM 原版の磁気ないし光学媒体への 複製)は、テレビ局向けにオンライン送稿システムの利用が普及すると、不 要となることも予想されている。その場合は、業績に影響を及ぼす可能性が ある。 ●経済情勢 業 関 す 界 る リ に ス ク 広告業界は、主に企業の広告宣伝費に依存する。広告宣伝費は、内外の経 済情勢・企業収益の動向に大きく左右される傾向が強いことから、その動き によっては、業績に影響を及ぼす可能性がある。 ●人材の確保・育成 CM を中心に映像制作の全て(制作スタッフ編成、予算内での制作費執行、 スケジュール及び作品のクオリティ管理等々)に係る責任者としてプロデュ ーサーがいる。発注権限を持つ広告代理店クリエイターと深く係わりながら、 仕事を受注する営業マンの役割も果たし、一人前になるには一般に 7~10 年を要する。優秀な人材の確保および育成ができない場合、業績に影響を及 ぼす可能性がある。 アナリストレポート・プラットフォーム 18 デ ィ ス ク レ ー マ ー 1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。 )が実施する「アナリストレポー ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。 会社概要 2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作 成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社 QUICK (以下「レポート作成会社」といいます。 )に支払われています。 3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに 誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま せん) 。 4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。 5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の 取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変 動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資 の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適 合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお 願いいたします。 6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当 該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の ものであり、今後予告なく変更されることがあります。 7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及 びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が 欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる 情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。 8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作 権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに 複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。 <指標の説明について> 本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。 参照 URL ⇒ http://www.jpx.co.jp/listing/reports/analyst-report/03.html アナリストレポート・プラットフォーム 19
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